JP6052732B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電流計測や電力計測に好適に利用することができる磁気抵抗効果素子に関する。
近年環境問題を背景として太陽光発電、風力発電などの自然エネルギーの利用や燃料電池等の新しいエネルギーの開発や自動車、家電を含め種々の省エネルギー化が盛んに進められている。エネルギー消費の低減化、電力消費の低減化は今後の日本および全世界の重要な問題である。その解決法の一つは電気機器、電子機器それぞれの「消費電力の可視化」、および電力の蓄電・消費の管理制御機能の強化の実現であると考えられる。
近年インターネット等を利用する環境が整った中で、電力量計の遠隔検針を含めた電力管理システムの開発が進んできている。最近では既存の積算電力量計の回転を計測するセンサを付加することや電流計(CT)、電圧計(PT)を新たに付加し電子回路やマイクロプロセッサによる乗算計算を行うなど、住宅、工場等を一括したマクロな消費電力の計測が行われている。
しかしながらそれらの計測装置は大きく高価なものとなり、また無駄な多くのエネルギーを消費しかねない。また既設設備への新しい計測装置の追加は最近の密に設計製作された既設設備の空きスペースを考慮すると難しい。したがって、より小形集積化した電力センシングデバイスの開発が望まれる。
電力を計測するためには、電力メータ若しくは略式メータと呼ばれる電力量を積算するメータが用いられている。最も身近にあるのが、誘導型電力量計である。これは、アラゴーの円盤を利用する。アルミニウム製の円盤を電力に比例した速度で回転するようにしておき、その回転速度を積算することで電力量を計測する。しかし、このような電力メータは、電気回路の所望の箇所での消費電力を計測するには、大きすぎる。
特許文献1には、磁気抵抗効果を利用した磁気センサを用いて電力を計測する装置が開示されている。この磁気センサは、磁性膜を利用して電流を検出するため、比較的小型の回路にも搭載が可能であると考えられる。
また、特許文献1の電力計は、電圧と電流をそれぞれ測定し演算する。しかし、特許文献2には、磁気抵抗効果を利用した磁気センサの両端電圧を測定するだけで、電力を計測する電力計が開示されている。いずれにしても、磁気抵抗効果を利用した磁気センサが小型に製造できれば、所望の箇所での消費電力を計測することができる可能性が生まれる。
磁気抵抗効果は、外部から印加された磁界によって電気抵抗が変化する現象である。この現象は、磁性膜中を流れる電流と、磁性膜中に形成される磁化の方向が変わることで生じる。そのため、外部からの磁界に対しては、偶関数の特性を有する。そのため、線形性を得るためには、外部からの磁界と同じ方向にある程度のバイアス磁界を予め印加しておく必要がある。
このことは、磁気センサの小型化を困難にする要因となる。しかし、特許文献1には、磁性薄膜上にバーバーポール電極を配して、見かけ上バイアス磁界をかけなくても磁気抵抗効果の線形部分を利用することのできる磁気抵抗効果素子が開示されている。図12にバーバーポール電極を配した磁気抵抗効果素子100の構成を示す。
磁性膜112は、通常は基板111上に短冊状に形成されている。この磁性膜112は短冊状の長手方向に磁化容易軸EAが誘導されている。磁性膜112は例えば、鉄とニッケルの合金であるパーマロイ等が好適に用いられる。この磁性膜112上にバーバーポール電極114と呼ばれる電極が形成される。バーバーポール電極114は、短冊状の長手方向に対して傾斜辺114pを有する帯状の良電導性膜である。材質は銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、銀といった材料若しくはこれらの合金によって形成される。
このバーバーポール電極114は、磁気抵抗効果素子100の両端の接続電極116a、116bに電流Iを流すと、一方の傾斜辺114pから他方の傾斜辺114pに向かって電流が流れる。すると、短冊状の磁性膜112の長手方向(磁性膜112の磁化方向)とは異なる方向に電流Iが流れることになるので、バイアスがなくても磁気抵抗効果の線形部分を利用することができるというものである。
特開2007−187530号公報 WO2012/105459
特許文献1に開示されたバーバーポール電極114は、短冊状の磁性膜112の長手方向に対して傾斜角θが45度の傾斜辺114pを有して形成される。これは、外部磁界に対する磁気抵抗効果が偶関数であるため、磁化と電流の角度が45度の時に、線形部分を最も効率よく利用することができると考えられるからである。
しかしながら、バーバーポール電極114と、磁性膜112は別々の材質であるため、バーバーポール電極114の形状で決めた角度θで電流が流れるとは限らない。この点に関して、詳細に検討された報告例はほとんどない。バーバーポール電極114を用いた磁気抵抗効果素子は、バイアス磁界を別途用意する必要がないという点で、小型の電流計若しくは電力計を構成するために、重要なデバイスになると考えられる。そのバーバーポール電極114の最適な形状は、感度アップのために、大変重要なパラメータである。
本発明は、上記のような課題に鑑みて想到されたものであり、バーバーポール電極を有する磁気抵抗効果素子の効率を向上させるための、バーバーポール電極の形状を検討した結果想到されたものである。
より具体的に本発明に係る磁気抵抗効果素子は、
長手方向に磁化容易軸を誘導された短冊状の磁性膜と、
前記磁性膜上に前記長手方向に対して傾斜角θで形成されたバーバーポール電極を有し、
前記傾斜角θは45度より小さいことを特徴とする。
後述する検討および実証より、磁性膜に対して傾斜辺を持つように形成されたバーバーポール電極では、電極から磁性膜への界面で電流ベクトルが屈折作用をうける。そのため、傾斜角を45度で形成した傾斜辺を有するバーバーポール電極によっても、磁化容易軸方向に45度の電流を流すことができない。
しかし、その屈折角度の分だけ、バーバーポール電極の傾斜辺の傾斜角度を小さく設定すれば、磁化容易軸と電流ベクトルの角度を45度にすることができ、磁気抵抗効果の直線性のよい部分に動作点を持ってくることができる。すなわち、最も効率よくバーバーポール電極付磁気抵抗効果素子を得ることができる。
本発明に係る磁気抵抗効果素子の構成を示す図である。 導電率の異なる物質同士の界面に出入りする電流ベクトルの動作を説明する図である。 図2の関係を斜視図を使って説明する図である。 境界付近での電流ベクトルiの挙動を示す図である。 境界付近での電界ベクトルEの挙動を示す図である。 バーバーポール電極と磁性膜の関係を示す図である。 導電率の違いによる入射角と出射角の関係を示すグラフである。 傾斜角θを45°で作製したバーバーポール電極付磁気抵抗効果素子の特性を示すグラフである。 図8の特性を40Oeシフトさせた特性を書き込んだグラフである。 図7のうち、導電率の比が10:1の場合だけを示したグラフである。 傾斜角θを35°で作製した場合と45°で作製した場合のバーバーポール電極付磁気抵抗効果素子の特性を比較するグラフである。 従来のバーバーポール電極付磁気抵抗効果素子(傾斜角θが45°)の構成を示す図である。
以下本発明に係る磁気抵抗効果素子について図を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一実施形態を例示するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施形態は変更することができる。
図1には本発明に係るバーバーポール電極付磁気抵抗効果素子10の構成を示す。磁気抵抗効果素子10は、図12に記載したものと基本的に同じである。基板11上に短冊状の磁性膜12が形成される。基板11は、非磁性かつ絶縁性の材質が望ましい。より具体的には、ガラス、樹脂基板、セラミックなどが好適に利用できる。基板11の表面粗さは、磁性膜12の磁気特性に影響を及ぼす。表面粗さは小さく、滑らかな表面を有するのが好ましい。例えば、表面粗さをRaで表すと、基板11上に形成する磁性膜12の膜厚の1/2乃至1/10程度の表面粗さRaであれば望ましい。
磁性膜12は、単層であってもよいし、また巨大磁気抵抗効果を得るために、複数層で形成されてもよい。より具体的には、鉄、コバルト、ニッケルの少なくとも1種類を含む材料が好適に利用できる。
磁性膜12の形成は、常圧中で成膜できるメッキ法、真空中で成膜できる真空蒸着法や真空スパッタ法などが利用できる。また、短冊状への形成は、マスクによって短冊状に成膜してもよいし、平膜を形成し、エッチング等の方法で不要な部分を除去することで形成してもよい。ここで短冊状とは、対向する一対の辺を二対有する四辺形の内、一対の辺が他の一対の辺より長い形状をいう。従って、四辺形には台形および平行四辺形も含まれる。また、長い方の一対の辺の方向を長手方向と呼ぶ。
磁性膜12を成膜する時には、長手方向に磁界をかけながら成膜するのが望ましい。長手方向に磁化容易軸EAを誘導するためである。もちろん、磁化容易軸EAは、短冊状の磁性膜12を形成した後に、磁界をかけながらアニーリングすることで誘導してもよい。図1には長手方向へ磁化容易軸EAが誘導されている状態を示す。また、この時磁化Mは、紙面右向きで安定している状態を示す。
バーバーポール電極14は、磁性膜12上に磁性膜12と同じ方法で形成することができる。すなわち、成膜し、エッチングなどで不要な部分を除去する、若しくは予めマスクによって形成する形状に成膜する等である。なお、バーバーポール電極14は、磁性膜12上に直接形成する。バーバーポール電極14から磁性膜12に電流を流すからである。ただし、バーバーポール電極14から磁性膜12に電流を流しやすくするための層を形成することは排除しない。
磁性膜12上には、短冊形状の両端に接続用の電極(「接続電極16a、16b」と呼ぶ)を設ける。バーバーポール電極14は磁性膜12上に傾斜辺14p同士が平行になるように形成された帯状の電極である。両端の接続電極16a、16bに最も近いバーバーポール電極14は接続電極16a、16bと導通している。バーバーポール電極14の数は特に限定されるものではない。磁性膜12を挟んで対向する傾斜辺14pが少なくとも一対あればバーバーポール電極14が形成されているといえる。
長手方向とバーバーポール電極14の傾斜辺14pとのなす角度を「傾斜角θ」と呼ぶ。傾斜角θは0°から90°までの角度で表す。なお角度は「度」で表し「°」とも表記する。本発明に係る磁気抵抗効果素子10は、この傾斜角θが45°より小さい。また、傾斜角θは25°以上であり、望ましくは30°以上であるのが好ましい。さらに、傾斜角θは、45°から後述する(14)式で求めるθの平均値を引いた値に対して±5°の範囲の値にするのが望ましい。
この傾斜角θは、45°より小さい。しかし、電流ベクトルIは、良電導体であるバーバーポール電極14から導電性が一桁ほど低い磁性膜12へ移る際に、屈折するため、傾斜角θを45°より小さい角度にすることで、磁化ベクトルMと電流ベクトルIのなす角度φはほぼ45°の関係になる。
次に傾斜角θを45°以下に設定する理由について説明する。図2には、異なる導電率σ、σを有する物質1および物質2の境界BDを電流Iが流れる様子を示す。異なる導電率σ、σを持つ物質の境界BDを電流Iが流れるときには、電流や電界の向きと大きさが変化する。そこで境界BDを通過する際の入射角と屈折角の関係を求める。
まず、図3に示すように、物質1と物質2の境界BDに側面3sが限りなく0に近い円筒3を考える。境界BDより上側の物質1の導電率をσ、下側の物質2の導電率をσとする。さらに円筒3の軸を符号4とする。また、円筒3の法線ベクトルをベクトルnとする。
図4には、より見やすいように、境界BDの側面視を示す。ガウスの定理より(1)式が成立する。なお、文章中では、ベクトルを「ベクトルn」等と表記するが、式中では太字で表す。また、物質1から境界BDに流れる電流をベクトルiとし、境界BDから物質2に流れる電流をベクトルiとした。
ここで、ベクトルEとベクトルnの間の黒丸は、ベクトルの内積を表す。また、電界を示すベクトルをベクトルEとし、電流密度を示すベクトルをベクトルiとすると、ベクトルi=σベクトルE(ここでσは、導電率)であるので、(2)式が成り立つ。
右辺は電流の湧き出しを表すが、図3(図4)の円筒3内には電流源はないので、電流が湧き出すことはない。したがって、(2)式は(3)式のように書き換えられる。
図3(図4)の円筒3の側面3sを0(ゼロ)に近づけると、円筒3の底面と上面だけを考えればよい。底面と上面の面積をSとすると(3)式は以下の(4)式のように書き換えることができる。
この(4)式は物質1から境界BDに流れる電流iの垂直成分と境界BDから物質2に流れる電流iの垂直成分の和がゼロになることを表している。(4)式より微小面積ΔSを考えると(5)式が言える。
上面と底面の法線ベクトルの向きは逆なので、(6)式が成立する。
次に図5のように電場が境界BDに入射したときを考える。まず、境界BDにまたがる微小な長方形の閉曲線C0を考え、静電場を規定するガウスの法則(7)式を適用する。
この時、長方形の境界BDに垂直な辺C1の長さを限りなく0(ゼロ)に近づけると、境界BDと平行な辺のみ考えればよく、境界BDに平行な単位ベクトルをベクトルt1、ベクトルt2とすれば、(4)式、(5)式と同様に、(8)式が成り立つ。なお、物質1から境界BDに進む電界をベクトルEとし、境界BDから物質2に進む電界をベクトルEとする。
ベクトルt1とベクトルt2は、向きが逆向きなので(9)式が成立する。
ここで(6)式にベクトルi=σベクトルEの関係を代入すると(10)式となる。
(9)式および(10)式より(11)式のように変形できる。
これは、導電率の異なる物質の境界を電流が流れる際の電流の屈折の法則として用いることができる。ここで出射角θを求めると(12)式のように求めることができる。
(11)式若しくは(12)式より、σ>>σであれば、θ>>θである。また、σ<<σであれば、θ<<θとなることがわかる。これは、導電率の高い物質から低い物質に入る時は、入射角θに対して出射角θが小さくなり、また、逆の場合は、出射角θが大きくなることを表している。
次に図6のようにバーバーポール電極14の傾斜辺14pを考える。境界BDを境にして、紙面左側がバーバーポール電極14である。ここを材質として銅で形成したとする。そこで導電率をσCuとする。一方、境界BDの紙面右側はパーマロイとし、導電率をσとする。なお、バーバーポール電極14の傾斜辺14pと磁性膜12の長手方向のなす角度は傾斜角θである。今θ=45°とする。
磁化容易軸EAは水平方向を向いている。図6の水平方向は磁気抵抗効果素子10の長手方向である。従って、電流の流れが磁性膜12内において、長手方向と45°付近になるためには、出射角θが十分に小さい必要がある。θを小さくするにはθを小さくすればよい。しかし、(12)式より境界BDを挟んだ2つの材料の導電率の比も問題となる。つまり、(12)式において、σ>>σであれば、θは小さくなる。
図7に(12)式のθとθとの関係を異なる導電率の比毎に表したグラフを示す。横軸はθであり、縦軸はθである。θは電流が境界BDに流れ込む際の入射角であり、θは電流が境界BDから流れ出る際の出射角である。今θがゼロになることを目指している。まず、θが小さくなれば、θも急速に小さくなる。また、σとσの比が小さくなれば、よりθが小さくなる傾向が早くなる。なお、図7においては、σはσCuであり、σはσである。また、実線はσCu:σが10:1、細かい点線はσCu:σが12.5:1、長い点線はσCu:σが15:1を示している。
再び図6を参照して、境界BDに対して直角に電流が流れる(θ=0)と、電流は屈折することなく、直進するので、θ=0となる。θがゼロであるということは、磁性膜の磁化とのなす角度が45°になる。しかし、これは理想的な場合の話であり、実際は様々な角度を有する電流が境界BDを通過すると考えられる。
すでに述べたように、磁気抵抗効果は、磁化と電流のなす角度が45°の時に最も直線性のよい部分を利用することができ、感度が高くなると言える。上記のような屈折の法則を考慮した場合、磁化が磁性膜12の長手方向を向いているとすると、電流ベクトルと磁化ベクトルのなす角度は(45−θ)となり、45°から屈折角の分だけずれる。すなわち、この屈折角のずれを補正するために、傾斜角も(45−θ)とする必要がある。
図6からθは0°<θ<90°までの値を取ることができるが、抵抗変化が0となるθが45°以上で出てくるためにはθが約85°〜90°で入射することが必要となる。しかしながらバーバーポール電極14を有する磁気抵抗効果素子10の場合、バーバーポール電極14の電極幅、長さが十分大きいとは言えないため、電流の入射角は、85°未満であることの方が十分に多いと考え、出射角θは45°未満であると考える。
ここで電流の境界BDへの入射角θが0°<θ<84°の範囲で一様に分布すると仮定したときのθの値の平均を求めると(13)式のように表される。
(13)式の真ん中の項を「θの平均値」と呼ぶ。なお、σはバーバーポール電極14の導電率であり、σとは磁性膜12の導電率であり、σ>σである。(14)式に「θの平均値」をあらわに示す。
バーバーポール電極(銅)14を流れる電流が磁性膜12に出て行く時、電流は若干角度が変化する事になる。よってバーバーポール電極14のストライプの角度(傾斜角θ)を45°から約8°小さくし、37°程度の角度に定めたとき、電流は水平方向(磁化容易軸EA方向)に対し45°の方向に流れる。つまり、傾斜角θは、45°からθの平均値を引いた値に設定するのがよい。なお、製造時の誤差を考慮し、さらに±5°の範囲は変更してもよい。
また、θを小さくすると隣接するバーバーポール電極14とバーバーポール電極14の向かい合う面積が大きくなり、電流が水平方向に対し45°の方向に流れる面積が大きくなるので、より抵抗変化が大きくなるという効果も考えられる。
図8にバーバーポール電極(銅)14の傾斜辺14pを磁気抵抗効果素子10の長手方向に対して傾斜角θ=45度で配置したものを作製し、磁気抵抗効果を測定した結果を示す。横軸は外部から印加される磁界の強さ(Oe:エルステッド)を表し、縦軸は磁気抵抗効果ΔR/R(%)である。ここで、Rは、外部から印加磁界がかかっていない場合の磁性膜12の抵抗値であり、ΔRは、磁界が印加された場合の抵抗値の変化量である。
磁性膜12の幅は50μm、バーバーポール電極14間隔は40μmである。電流の向きを磁化の方向に対して45度変えることをこころみたものであるが、実際の素子の磁気抵抗効果特性は、図8のように線形領域LAが磁気抵抗のダイナミックレンジの上半分の領域に現れ、予定通りのシフトが達成できていないことがわかる。
より詳細には、動作点(磁界が0[Oe]の点)は磁気抵抗効果の抵抗変化の中程、直線部分の中心にはならず、磁気抵抗効果17%程度の所になっていた。同時に動作点(磁界が0[Oe]の点)での線形領域LAは図8に示すように狭い。
図9に試作素子の磁気抵抗効果特性と動作点(磁界が0[Oe]付近の点)が抵抗変化の中心になるようにその特性(白丸)を正の磁界方向に40Oe程度移動させた特性曲線(黒丸)を示す。横軸は外部から印加される磁界の強さ(Oe:エルステッド)を表し、縦軸は磁気抵抗効果ΔR/R(%)である。図より明らかに動作範囲である線形領域LAと感度(変化の傾き)が向上し、センサとして優れた特性となることが分かる。
図6に示したようにバーバーポール電極(銅)14と磁性膜の境界BDで電流の屈折について考えてみると、電流がバーバーポール電極(銅)14から入射角θで磁性膜12に流れたとすると、電流の屈折の法則より出射角θは(15)式で表される。
磁性膜12にパーマロイを用いると、その導電率は銅の約1/10となる。以上からθとθの関係をグラフにすると改めて示すと図10のようになる。
θが0°〜90°の角度で電流が入射するとき、入射角に対応する出射角の平均値は(13)式によりθ≒10°と計算できる。このθの分だけφ(電流と磁化のなす角度)が小さくなっていると推定される。このことからバーバーポール電極(銅)14の角度を変え、傾斜角θを小さくしておく必要がある。また傾斜角θを小さくすることで電極の向かい合う長さを長くとることができる。
以上のことから図8に示した試作素子に比べ、バーバーポール電極14間隔を20μmとし、傾斜角θ=35°の素子を作成し磁気抵抗の変化を測定した。
結果を図11に示す。横軸は外部から印加される磁界の強さ(Oe:エルステッド)を表し、縦軸は規格化した磁気抵抗効果である。傾斜角θを45°とした場合(白丸)と傾斜角θを35°にした場合(黒丸)の磁気抵抗効果の最大値と最小値を一致させるように、縦軸は比率(0からマイナス1.0)で示した。
白丸は傾斜角θが45°の場合であり、黒丸は傾斜角θが35°の場合である。また黒線および白線はそれぞれの線形領域を表す。傾斜角θが45°の時の線形領域をDR45とし、傾斜角θが35°の時の線形領域をDR35とした。
図11より傾斜角θを35°にした場合は、傾斜角θが45°の場合と比較して、動作点(磁界が0[Oe]の点)は明らかに抵抗変化(縦軸)の中央付近に移動し、かつ動作範囲(線形領域DR35とDR45)が各段に広がった。また黒線の傾きと比較し、白線の傾きが少し急になっているので、同時に感度が少し向上したといえる。
以上のことより、バーバーポール電極内部を流れる電流分布、バーバーポール電極と磁性膜との境界への電流の進入角度とその分布、バーバーポール電極部の導電率(抵抗率)と磁性膜の導電率(抵抗率)により起こる電流の回折現象を考慮し、電極間隔を狭める事により、磁気抵抗効果を理想状況に近づけることが出来ることが分かった。言い換えれば、バーバーポール電極構造の最適化を行う事によりバーバーポール型磁性薄膜電力センサの感度、動作範囲を各段に改善できることが分かる。
本発明に係る磁気抵抗効果素子は、微小な電流計や電力計を達成するために、有効に利用することができる。
1 導電率がσの物質1
2 導電率がσの物質2
10 磁気抵抗効果素子
11 基板
12 磁性膜
14 バーバーポール電極
14p 傾斜辺
16a、16b 接続電極
100 磁気抵抗効果素子
111 基板
112 磁性膜
114 バーバーポール電極
114p 傾斜辺
116a、116b 接続電極
EA 磁化容易軸
M 磁化
θ 傾斜角
φ 電流ベクトルと磁化ベクトルのなす角度

Claims (1)

  1. 長手方向に磁化容易軸を誘導された短冊状の磁性膜と、
    前記磁性膜上に前記長手方向に対して傾斜角θで形成されたバーバーポール電極を有し、
    前記傾斜角θは45度から(14)式で示すθ 2 の平均値を引いた値に対して±5°の範囲にあることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
    なお、σ 1 はバーバーポール電極の導電率であり、σ 2 は磁性膜の導電率であり、θ 1 は前記バーバーポール電極から前記磁性膜に流れる電流の入射角を表す。
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