JP6052369B2 - 耐熱性水酸化アルミニウム粒子及びその製造方法、樹脂組成物、プリプレグ、積層板 - Google Patents

耐熱性水酸化アルミニウム粒子及びその製造方法、樹脂組成物、プリプレグ、積層板 Download PDF

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Description

本発明は、主に、プリント配線板基材を作製する際に用いられる耐熱性水酸化アルミニウム粒子及びその製造方法、樹脂組成物、プリプレグ、積層板に関する。
プリント配線板用基材等の樹脂組成物の難燃性を確保するために、従来はハロゲン系の難燃材が使用されていた。しかし、近年、環境問題への関心の高まりとともにダイオキシン等の有害物質を発生しない水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を難燃性フィラーとして充填したものが増えている。
特に水酸化アルミニウムは含水量が多く、難燃効果が大きいだけでなく、耐酸性や耐アルカリ性等の耐薬品性に優れるため、難燃性フィラーとして広く使用されている。この水酸化アルミニウムは200℃以上で吸熱を伴って脱水反応を起こし、χ−アルミナに変化する。この吸熱反応により樹脂組成物の温度上昇を抑制し、発生した水蒸気により可燃性のガスを希釈することにより燃焼が抑制される。
一方、プリント配線板用基材には、はんだにより電子部品が実装されるために、はんだ溶融温度以上の耐熱性が要求される。はんだには従来Sn−Pb系はんだが使用されていたが、鉛の毒性の問題からSn−Cu系、Sn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだへの転換が進んでいる。これらの材料の融点は、従来のSn−Pb系はんだの183℃に対してSn−Cu系、Sn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだでは220℃付近であり、約40℃上昇している。このため従来の水酸化アルミニウム使用すると、実装時の加熱により水酸化アルミニウムが脱水反応を起こし、生じた水蒸気により基材に膨れが生じるという問題が生じる。
このような問題を解決するために、種々の熱分解温度を向上させた耐熱性水酸化アルミニウムの製造方法が提案されている。(例えば、特許文献1〜3参照)
特開2002−211918号公報 特開2003−292819号公報 WO2004/080897A1
しかしながら、特許文献1のように水酸化アルミニウム粒子を大気下で加熱処理し、水酸化アルミニウムを化学式Al・3HOで表したときに、含水量の3モルを1.8〜2.7モルまで減らした場合には、放出可能な水分量が減るため難燃性が低下するという問題が生じる。
特許文献2のように水酸化アルミニウム粒子を170℃程度で水熱処理し、一部をベーマイトに転換した場合には、ベーマイトに転換する温度が低いため、未反応の水酸化アルミニウムには170℃程度の熱履歴しか付与されておらず、充分な高耐熱化ができない。
特許文献3のように水酸化アルミニウム粒子にベーマイト化を遅延させる反応遅延剤を混合し、水熱処理した場合には250℃程度までの熱処理が可能になり、高耐熱化が可能になる。しかし、高耐圧の反応設備が必要になる他、樹脂と混合した場合に添加した反応遅延剤による特性低下が発生する可能性がある。
以上のように、鉛フリーはんだに対応可能なプリント配線板基材には耐熱性と難燃性、即ち高い脱水開始温度と充分な脱水量を示す水酸化アルミニウム粒子が求められていた。
本発明の目的は、従来の水酸化アルミニウムでは達成が困難な高い脱水開始温度と充分な脱水量を併せ持つ耐熱性水酸化アルミニウム粒子及びその製造方法、並びに当該耐熱性水酸化アルミニウム粒子を含有する樹脂組成物、プリプレグ、積層板を提供するものである。
上記目的は、下記本発明により達成される。すなわち、本発明は下記の通りである。
[1] 水酸化アルミニウム粒子を、フッ素を含有するガス雰囲気で200℃〜270℃の加熱処理を行い、前記水酸化アルミニウム粒子の水酸基の一部をフッ素に置換した耐熱性水酸化アルミニウム粒子。
[2] 水酸化アルミニウム粒子を、フッ素イオンを含む溶液で処理し、前記水酸化アルミニウム粒子の水酸基の一部をフッ素に置換した後、200℃〜270℃の加熱処理を施した耐熱性水酸化アルミニウム粒子。
[3] 水酸化アルミニウム粒子表面に存在するフッ素の比率が1〜20at%であり、熱分解開始温度が260℃以上、脱水量が32質量%以上である[1]又は[2]に記載の耐熱性水酸化アルミニウム粒子。
[4] NaO濃度が0.3質量%以下であり、平均粒径が0.5〜5μmである[1]〜[3]のいずれかに記載の耐熱性水酸化アルミニウム粒子。
[5] 水酸化アルミニウム粒子を、フッ素含有ガスの存在下で200℃〜270℃の加熱処理を行い、水酸化アルミニウム粒子の水酸基の一部をフッ素に置換した耐熱性水酸化アルミニウム粒子の製造方法。
[6] 水酸化アルミニウム粒子を、フッ素イオンを含む溶液で処理し、水酸化アルミニウム粒子の水酸基の一部をフッ素に置換した後、200℃〜270℃の加熱処理を施す耐熱性水酸化アルミニウム粒子の製造方法。
[7] 前記フッ素含有ガスのフッ素源がフッ化アンモニウムであり、200℃〜270℃の加熱処理前に、水酸化アルミニウム粒子とフッ化アンモニウムとを混合する[5]又は[6]に記載の耐熱性水酸化アルミニウム粒子の製造方法。
[8] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の耐熱性水酸化アルミニウム粒子を含む樹脂組成物。
[9] 基材に上記[8]に記載の樹脂組成物が含浸、乾燥されてなるプリプレグ。
[10] 上記[9]に記載のプリプレグの硬化物の少なくとも一方の面に導体層を有する積層板。
本発明によれば、従来の水酸化アルミニウムでは達成が困難な高い脱水開始温度と充分な脱水量を併せ持つ耐熱性水酸化アルミニウム粒子及びその製造方法、並びに当該耐熱性水酸化アルミニウム粒子を含有する樹脂組成物、プリプレグ、積層板を提供することができる。
当該本発明により、耐熱性が高く、製造プロセスマージンが広く、難燃特性に優れるプリント配線板用基材の製造が可能になる。
[耐熱性水酸化アルミニウム粒子及びその製造方法]
以下、本発明を詳細に説明する。
無機物の熱分解は一般に活性化エネルギーの低い表面や、粒界の結晶転移やその他の欠陥部分から始まるとされる。そこで耐熱性を向上させるためには活性化エネルギーの低い箇所を、より安定な他の材料に変えることや、予め熱分解させ安定化することが有効である。水酸化アルミニウム粒子においては大気下での熱分解によりχ−アルミナに変化させる。活性化エネルギーの低い箇所を安定な脱水物に変えることにより、熱分解開始温度が上昇する。
一方、熱分解により生じるχ−アルミナは別名活性アルミナと呼ばれ、比表面積が大きく、吸湿性の大きい材料である。このためプリント配線板基材用フィラーとして充填した場合、吸着により表面に保持している水分量が増加するため、リフロー温度である260℃付近までの加熱によって生じる水分量を増やす作用がある。
本発明はこの問題点に鑑みなされた。すなわち、水酸化アルミニウム粒子の耐熱性を向上させるために水酸化アルミニウムの表面の水酸基を、より熱分解温度の高いフッ素と置換するために、所定の加熱処理を行う(本発明の第1の態様)又は所定の液相での処理及び加熱処理を行う(本発明の第2の態様)ことによって、耐熱性に優れ吸湿性の低い水酸化アルミニウム粒子の提供を可能とするものである。以下、本発明の第1の態様及び第2の態様について説明する。なお、第1の態様及び第2の態様を合わせて「本発明」ということがある。
(本発明の第1の態様)
本発明の第1の態様は、水酸化アルミニウム粒子を、フッ素を含有するガス雰囲気で200℃〜270℃の加熱処理を行い、前記水酸化アルミニウム粒子の水酸基の一部をフッ素に置換した耐熱性水酸化アルミニウム粒子である。
フッ素を含有するガス雰囲気(気相)で処理を行う場合には、フッ化水素酸ガス、フッ素ガス、又はフッ化アンモニウムの加熱分解ガス等のフッ素を含むガス雰囲気で加熱処理を施すことにより、水酸化アルミニウムの水酸基をフッ素と置換する。
気相での処理ではフッ素との置換処理と熱処理とを同時に行うことができる。フッ化水素酸ガス又はフッ素ガスを使用する場合には加熱雰囲気中にこれらのガスを導入することにより、また、フッ化アンモニウムを使用する場合には、水酸化アルミニウム粒子にフッ化アンモニウムを添加した容器を加熱することにより、フッ化アンモニウムが分解、昇華してフッ素を含むガス雰囲気を作ることができる。
処理温度が270℃以下であるとχ−アルミナの生成速度が大きくなるのを防ぎ、脱水量の制御を容易にすることができる。また、200℃以上であると実用的な処理時間では熱分解開始温度の上昇させることができる。処理温度は、210℃〜260℃であることが好ましい。
処理時間は例えば0.1〜10時間であることが好ましく、0.5〜5時間であることがより好ましい。
(本発明の第2の態様)
本発明の第2の態様は、水酸化アルミニウム粒子を、フッ素イオンを含む溶液で処理し、前記水酸化アルミニウム粒子の水酸基の一部をフッ素に置換した後、200℃〜270℃の加熱処理を施した耐熱性水酸化アルミニウム粒子である。
フッ素イオンを含む溶液で処理(液相での処理)を行う場合には、フッ素イオンを含む溶液に水酸化アルミニウムを浸漬・攪拌すればよい。フッ素を含む溶液はフッ酸又はフッ化ナトリウム、フッ化カリウム等のフッ素のアルカリ金属塩、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等のフッ素のアルカリ土類金属塩、フッ化アンモニウム、フッ化アルミニウム等のフッ化物塩を1種又は複数含む溶液が使用できる。なかでも水への溶解度が大きく、300℃以下の焼成で揮発し、不純物イオンを増加させることのないフッ酸、フッ化アンモニウムが好ましい。
浸漬する時間は10分から1時間程度であり、浸漬する温度は室温付近から水の沸騰する100未満で行うことが好ましいが特に制限はない。フッ化物イオンの濃度は水酸化アルミニウムの処理量と溶液の量とから適宜選定するが、実用的な範囲は0.01mol/リットルから10mol/リットルである。
液相で置換処理を行った後、水酸化アルミニウム粒子はろ過や遠心分離により水を除去し、ついで乾燥処理を行い、続いて加熱処理を行う。加熱処理は200℃〜270℃の温度範囲で行うことが好ましく、210℃〜260℃温度範囲で行うことがより好ましい。
処理温度が270℃以下であるとχ−アルミナの生成速度が大きくなるのを防ぎ、脱水量の制御を容易にすることができる。また、200℃以上であると実用的な処理時間では熱分解開始温度の上昇させることができる。
処理時間は例えば0.1〜10時間であることが好ましく、0.2〜5時間である。処理雰囲気は大気雰囲気、窒素雰囲気等、特に制限はないが、大気雰囲気で行うことが実用的である。
本発明において加熱処理を行うことで、水酸化アルミニウムの表面活性化エネルギーの低い表面や、粒界の結晶転移やその他の欠陥部分から分解脱水反応が起こり、水酸化アルミニウムからχ−アルミナに変化する。熱分解開始温度の低い部分が予め除去されることにより、熱分解開始温度が上昇する。本発明でのフッ素の作用は明確ではないが、フッ化アルミニウムは水酸化アルミニウムに比べて熱分解温度が高いことから、粒子表面に存在するフッ素が、χ−アルミナへの変化速度を遅くしているものと推定される。
フッ素の置換量は水酸化アルミニウム粒子表面に存在するフッ素の比率が1〜20at%であり、3〜15at%であることが好ましい。置換量が1at%より少ないと熱分解開始温度上昇効果が小さく、20at%を超えると分解放出される水の量が減るので難燃作用が低下する。フッ素置換量の定量にはXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy X線光電子分光装置)で行う。XPSは一般に物質の表層10nm以内の極表層の元素分析が可能であり、検出されるアルミニウム、酸素、フッ素、炭素の分光スペクトルから元素の存在比率を算出できる。
また、熱分解開始温度は260℃以上であることが好ましく、265〜300℃であることがより好ましい。また、800℃まで加熱した後の脱水量が32質量%以上であることが好ましく、32.5〜34.6質量%であることがより好ましい。熱分解開始温度は260℃以上であるとLSIの実装工程などの熱処理時に、熱分解による水蒸気の発生が無い、安定な樹脂組成物を提供することができる。脱水量が32質量%以上であると熱分解時に発生する水蒸気量が多く、難燃効果を高めることができる。
本発明に使用される水酸化アルミニウム粒子は、工業的に量産されているギブサイト型の水酸化アルミニウム粒子である。化学式はAl(OH)又はAl・3HOで表され、理論値で34.64質量%の水を含有する。
水酸化アルミニウム粒子は一般に、高温のアルミン酸ナトリウム溶液に種結晶を添加した後、液温を低下させて過飽和溶液にすることにより、種結晶上に水酸化アルミニウム粒子として析出させることにより製造される。このため、一定量のナトリウムを不純物として含む。熱分解開始温度は不純物濃度の影響を受け、NaO濃度が低いほど高くなることが知られている。このため本発明に使用される水酸化アルミニウム粒子にはNaO濃度が0.3wt%以下、好ましくは0.1wt%以下のものを使用する。
また、本発明に使用される水酸化アルミニウム粒子の平均粒径は0.3μm〜5μmであることが好ましく、1〜4μmであることがより好ましい。
平均粒径が0.3μm以上であると凝集を防止することができ、樹脂組成物中へ均一に混合分散すること容易になる。また、平均粒径が5μm以下であると樹脂組成物の電気的な特性を良好な状態に維持することができる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、耐熱性水酸化アルミニウム粒子を含む。水酸化アルミニウムの粒子を添加することにより、樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。従って本発明による耐熱性水酸化アルミニウム粒子を樹脂に添加することにより、耐熱性および難燃性の高い樹脂組成物を得ることができる。耐熱性水酸化アルミニウム粒子は、樹脂成分100質量部に対し、5〜60質量部とすることが好ましく、10〜50質量部とすることがより好ましい。
本発明に用いる樹脂は特に限定されず、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、これら樹脂の変性物等が用いられる。また、これらの樹脂は2種類以上を併用してもよく、必要に応じて各種硬化剤、硬化促進剤等を使用し、これらを溶剤溶液として配合してもかまわない。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物が含浸、乾燥されてなる。具体的には、本発明の樹脂組成物を含むワニスを基材に含浸させ、例えば80℃〜200℃の範囲で乾燥させてなるものである。基材としては、金属箔張り積層板や多層印刷配線板を製造する際に用いられるものであれば特に制限されないが、織布や不織布等の繊維基材が用いられる。
繊維基材としては、例えばガラス、アルミナ、シリカアルミナガラス、シリカガラス、チラノ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア等の無機繊維やアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、カーボン、セルロース等の有機繊維等及びこれらの混抄系が挙げられる。これらのなかでも、ガラス繊維の織布が好ましく用いられる。ガラス織布の種類は特に指定はなく、厚さ20μm〜200μmまでのものを、目的のプリプレグ又は積層板の厚さに合わせて使用することができる。
樹脂にワニスを含浸させる方法としては、特に制限されず、例えば、ウェット方式やドライ方式等の樹脂液に基材を含浸させる方法、基材に樹脂組成物を塗布する方法等が挙げられる。
[積層板]
上記により得られたプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、加熱加圧成形することにより積層板が得られる。加熱温度は150℃〜250℃であることが好ましく、170℃〜200℃であることがより好ましい。圧力は1.0MPa〜8.0MPaであることが好ましく、2.0MPa〜6.0MPaであることが好ましい。加熱加圧条件は、プリプレグ特性や、プレス機の能力、目的積層板の厚み等により適宜決定する。
また、プリプレグを少なくとも1枚以上重ねて、その片側又は両側に金属箔を配して、加熱加圧成形してプリント配線板用基材を製造することができる。金属箔としては主に銅箔やアルミ箔を用いるが、他の金属箔を用いてもよい。金属箔の厚みは通常3〜200μmである。これらのプリント配線板用基材を使用し、回路加工してプリント配線板が得られる。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、本発明の実施例および比較例の水酸化アルミニウム粒子の平均粒径、加熱重量減少量、熱分解開始温度、表面フッ素含有量は以下の方法で測定した。
平均粒径:
水酸化アルミニウム粒子の平均粒径は日機装株式会社製レーザー散乱粒度分布計MT3000で水を分散液にして測定した。
加熱重量減少量:
水酸化アルミニウム粒子の加熱重量減少量は、マックサイエンス株式会社製の示差熱−重量分析装置(TG−DTA2000)で昇温速度10℃/分、空気流量50ml/分で800℃まで測定し、110℃を基準に800℃までにおける重量減少量から算出した。
熱分解開始温度:
水酸化アルミニウム粒子の熱分解開始温度はマックサイエンス株式会社製の示差熱−重量分析装置(TG−DTA2000)で昇温速度10℃/分、空気流量50ml/分で800℃まで測定し、200℃を基準に重量減少率が0.5質量%になる温度を測定した。
表面フッ素含有量:
水酸化アルミニウム粒子の表面に存在するフッ素の存在量は、アルバック・ファイ株式会社製のX線光電子分光分析装置5400型でフッ素の1s軌動、アルミニウムの2p軌動、酸素の1s軌動、炭素の1s軌動のピーク面積を測定し、面積比から算出した。
(実施例1)
原料となる水酸化アルミニウム粒子として昭和電工株式会社製のHP−360(平均粒径3.2μm、比表面積1.3m/g、熱分解開始温度248℃、脱水量34.4質量%)を使用した。
水酸化アルミニウム粒子25gとフッ化アンモニウム(和光純薬試薬特級)0.71gとを良く混合した。その後、容量50mlの磁性坩堝に充填し、熱風循環タイプのボックス炉(ヤマト科学製ファインオーブンDH42)中、240℃で3時間加熱処理し耐熱性水酸化アルミニウム粒子を作製した。
示差熱−重量分析装置による評価では熱分解開始温度は281℃、脱水量33.5wt%であった。X線光電子分光分析装置による評価では水酸化アルミニウム粒子表面の原子パーセントは炭素16.2at%、酸素52.1at%、アルミニウム22.1at%、フッ素9.6at%であり、フッ素が粒子表面に存在していることが確認できた。
(実施例2)
フッ化アンモニウムの添加量を0.035gとしたこと以外は実施例2と同様に耐熱性水酸化アルミニウム粒子を作製した。
示差熱−重量分析装置による評価では熱分解開始温度は271℃、脱水量33.6wt%であった。X線光電子分光分析装置による評価では水酸化アルミニウム粒子表面のフッ素含有量が2.2at%であり、フッ素が粒子表面に存在していることが確認できた。
(実施例3)
原料となる水酸化アルミニウム粒子として住友化学株式会社製CL−303(平均粒径4.1μm、熱分解開始温度は242℃、脱水量34.4wt%))を使用した以外は実施例1と同様に耐熱性水酸化アルミニウム粒子を作製した。
示差熱−重量分析装置による評価では熱分解開始温度は278℃、脱水量32.7wt%であった。X線光電子分光分析装置による評価では水酸化アルミニウム粒子表面のフッ素含有量が10.1at%であり、フッ素が粒子表面に存在していることが確認できた。
(実施例4)
原料となる水酸化アルミニウム粒子として昭和電工株式会社製HP−360(平均粒径3.2μm、熱分解開始温度は248℃、脱水量34.4wt%)を使用した。500mlのプラスチックス容器に水酸化アルミニウム粒子50gと純水150gとを添加し攪拌した。その後、55質量%フッ酸(和光純薬化学用)を2.8gを添加し室温で1時間攪拌した。続いてろ過、150℃での乾燥を行い、フッ素置換水酸化アルミニウム粒子を得た。続いて容量50mlの磁性坩堝に充填し、熱風循環タイプのボックス炉(ヤマト科学製ファインオーブンDH42)中、220℃で3時間加熱処理し耐熱性水酸化アルミニウム粒子を作製した。
示差熱−重量分析装置による評価では熱分解開始温度は269℃、脱水量33.1wt%であった。X線光電子分光分析装置による評価では水酸化アルミニウム粒子表面のフッ素含有量が11.8at%であり、フッ素が粒子表面に存在していることが確認できた。
(比較例1)
フッ化アンモニウムを添加しないこと以外は実施例1と同様に水酸化アルミニウム粒子を作製した。示差熱−重量分析装置による評価では熱分解開始温度は252℃、脱水量30.2wt%であった。
上記実施例1〜4及び比較例1の水酸化アルミニウム粒子65部をそれぞれエポキシ樹脂として、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製EPICLON N865、エポキシ当量:205)を65.4部、硬化剤として、フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製HF−4、水酸基当量:108)を34.6部、硬化促進剤として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製2E4MZ)を0.2部、平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ30部、難燃助剤として、モリブデン酸亜鉛担持タルク(シャーウインウイリアムズ社製Kemgard 911C)を5部、メチルエチルケトン85.8部と配合し、固形分70重量%のワニスを調製した。
実施例1〜4及び比較例1の水酸化アルミニウム粒子を含む上記ワニスを厚さ約0.1mmのガラス布(#2116,E−ガラス)に含浸後、160℃で3〜10分加熱乾燥して樹脂分48重量%のプリプレグを得た。これらプリプレグ4枚を重ね、その両側に厚みが18μmの銅箔を重ね、180℃、90分、3.0MPaのプレス条件で両面銅張積層板を作製した。この基材を使用して吸湿耐熱性評価と燃燃性の評価を行った。
吸湿対熱性評価は作製した基材を2cm四角に裁断したサンプルをそれぞれ3個作製し、125℃のプレッシャークッカー装置で5時間吸湿処理を行い、重量変化から吸湿量を測定し、288℃のはんだバスに20秒浸漬し、膨れの発生状況を観察した。
難燃性評価は作製した基材の銅箔をエッチングで除去し、1.3cm×10cmに裁断したサンプルをそれぞれ5個作製し、縦型の燃焼試験を行い、5サンプルの平均燃焼時間と最大燃焼時間を測定した。また、UL−94垂直法に準拠した難燃性(平均燃焼時間(n=5))の評価結果も求めた。下記表1に結果を示す。
Figure 0006052369
実施例1〜4で得られた高耐熱水酸化アルミニウム粒子を用いた積層板は吸湿低熱性および難燃性にいずれも良好な特性を示した。これに対して、フッ化アンモニウムを添加せずに加熱処理した加熱処理した比較例1の水酸化アルミニウム粒子を用いた積層板は多孔質のχ−アルミナの含有量が多いため吸湿量が大きく、吸湿耐熱性に劣り、含水量が減るため難燃性に劣った。
以上から、本発明によれば、合成樹脂に難燃材として添加するのに適した熱分解開始温度が高く、脱水量の多い耐熱性水酸化アルミニウム粒子を提供することができるといえる。

Claims (8)

  1. 表面に存在するフッ素の比率が3〜20at%であり、熱分解開始温度が271℃以上、脱水量が32質量%以上である耐熱性水酸化アルミニウム粒子。
  2. NaO濃度が0.3質量%以下である、請求項1に記載の耐熱性水酸化アルミニウム粒子。
  3. 平均粒径が0.3〜5μmである、請求請1又は2に記載の耐熱性水酸化アルミニウム粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性水酸化アルミニウム粒子を含む、樹脂組成物。
  5. 基材に請求項4に記載の樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグ。
  6. 請求項5に記載のプリプレグを積層成形することにより得られる積層板。
  7. 請求項5に記載のプリプレグと金属箔とを積層成形してなるプリント配線板用基材。
  8. 請求項7に記載のプリント配線板用基材を使用して得られたプリント配線板。
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