JP6049284B2 - 制御システム - Google Patents
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Description
そこで、登坂発進の際に、ドライバー要求駆動力に制限をかけた制御を行うことで、ドライバーの急激で過剰なアクセルペダルの踏み込みに対しても、車輪の駆動力が急激に増加しないようにした技術が存在する(特許文献1参照)。
また、本発明において、上記登坂走行は車両が停止した状態からの登坂発進である。
さらに、本発明は、登坂発進に際して、前記ドライバー要求駆動力よりも前記車両登坂可能駆動力の方が大きいときに、前記ドライバー要求駆動力が前記車両登坂可能駆動力に達するまでの間、前記ドライバー要求駆動力を、前記ドライバー要求に応じた初期の駆動力として発生させる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御システムを搭載した車両の全体図である。同図において、ハイブリッドの車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動ユニット6を車両前部に有しており、駆動ユニット6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達されるようになっている。その一方で、この駆動ユニット6と別に車両後部に設けられた電動機2A、2Bを含む駆動装置1の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。
前輪Wf側の電動機5と後輪Wr側の電動機2A、2Bはともに、PDU8(パワードライブユニット)を介してバッテリ9に接続されており、PDU8において、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が制御されるようになっている。なお、車両3の電動機2A、2B、5を制御するための制御システムについては、後に改めて詳述する。
これらの図において、駆動装置1は、車両3の各後輪RWr、LWrに駆動力を伝えるために左右の出力軸10A、10Bを有しており、各々、車幅方向に同軸上に配置されている。これら出力軸10A、10Bは、図には示さないドライブシャフトを介して、各後輪RWr、LWrの車軸に接続されるようになっている。駆動装置1の減速機ケース11は全体が略円筒状に形成され、その内部には、出力軸10A、10Bを駆動するための電動機2A、2Bと、この電動機2A、2Bの駆動回転を減速する遊星歯車式減速機12A、12Bとが、出力軸10A、10Bと同軸上に配置されている。電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを制御し、電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを制御するようになっており、電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aと電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは、減速機ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。
なお、減速機ケース11は、車両3の骨格となる図示しないフレームの一部等で支持されている。
なお、中間壁18A、18Bは電動機2A、2Bを収容する電動機収容空間と遊星歯車式減速機12A、12Bを収容する遊星歯車式減速機空間とを隔て、外径側から内径側に互いの軸方向間隔が広がるように屈曲して構成されている。そして、中間壁18A、18Bの内径側、且つ、遊星歯車式減速機12A、12B側にはプラネタリギヤ22A、22Bを支持する軸受33A、33Bが配置されるとともに中間壁18A、18Bの外径側、且つ、電動機2A、2B側にはステータ14A、14B用のバスリング41A、41Bが配置されている。
本実施形態の場合、リングギヤ24A、24Bの最大半径は、第2ピニオン26A、26Bの出力軸10A、10Bの中心からの最大距離よりも小さくなるように設定されている。小径部29A、29Bは、径方向外側で対向する減速機ケース11の円筒状支持部42に軸受43を介して回転自在に支持され、止め輪44により連結されている。円筒状支持部42は、減速機ケース11の略中央部で遊星歯車式減速機12B側に偏奇した位置から径方向内側に伸びる支持壁39の内径側端部から遊星歯車式減速機12A側に延設されている。
この油圧ブレーキ60によれば、第2作動室と第1作動室に高圧オイルが導入され、第1ピストン壁63と第2ピストン壁64に作用するオイルの圧力によって固定プレート35と回転プレート36を相互に押し付けが可能である。したがって、軸方向前後の第2,第2ピストン壁63、64によって大きな受圧面積を稼ぐことができるため、ピストン37の径方向の面積を抑えたまま固定プレート35と回転プレート36に対する大きな押し付け力を得ることができる。
この油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35が減速機ケース11に支持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Aに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦係合によって互いに連結されたリングギヤ24A、24Bに制動力が作用し、リングギヤ24A、24Bが固定される。一方で、その状態からピストン37による係合が開放されると、連結されたリングギヤ24A、24Bの自由な回転が許容される。
一方向クラッチ50は、車両3が電動機2A、2Bの駆動力で前進走行する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的には、一方向クラッチ50は、リングギヤ24A、24Bに作用するトルクの作用方向によってリングギヤ24A、24Bをロック又は切り離すように構成されており、車両が前進する際のサンギヤ21A、21Bの回転方向を正転方向とするとリングギヤ24A、24Bに逆転方向のトルクが作用する場合にリングギヤ24A、24Bの回転をロックするようになっている。
図4は、車両の走行状態における電動機2A、2Bの状態と切離機構(一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60)の状態を示した図である。なお、フロントとは前輪Wfを駆動する駆動ユニット6、リアとは後輪Wrを駆動する駆動装置1を表わし、○が作動(駆動、回生含む)、×が非作動(停止)を意味する。また、MOT状態とは、駆動装置1の電動機2A、2Bの状態を意味する。さらに、切離機構のONはリングギヤ24A、24Bがロックされることを示し、OFFはリングギヤ24A、24Bがフリー状態であることを示す。また、OWCは一方向クラッチ50を意味し、BRKは油圧ブレーキ60を意味する。
そして、キーポジションをONにした後、EV発進時は、後輪Wrの駆動装置1の電動機2A、2Bが駆動する。このとき、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A、2Bの動力が後輪RWr、LWrに伝達される。
続いて加速時には、前輪Wf側の駆動ユニット6と後輪Wr側の駆動装置1の四輪駆動となり、このときも、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A、2Bの動力が後輪RWr、LWrに伝達される。
低・中速域のEVクルーズでは、モータ効率が良いため前輪Wf側の駆動ユニット6が非作動状態で、後輪Wr側の駆動装置1により後輪駆動となる。このときも、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A、2Bの動力が後輪RWr、LWrに伝達される。
また、自然減速する場合も、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60を作動しないため、電動機2A、2Bは停止する。
通常走行では、摩擦ブレーキに対する制動制御と協調して電動機2A、2Bで回生して走行エネルギーを回収するが、緊急制動の要求(例えば、ABS作動時)には、電動機2A、2Bの回生を禁止して、摩擦ブレーキによる制動制御を優先する。この場合、一方向クラッチ50は切り離された状態(OWCフリー)となり、油圧ブレーキ60を作動させないことで、電動機2A、2Bを停止させる。
前進方向側に牽引される(FWD被牽引)場合は、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60を作動しないため、電動機2A、2Bは停止する。なお、FWD被牽引の場合に、電動機2A、2Bを回生する場合には、減速回生時と同様に油圧ブレーキ60を接続する。
また、PDU等の故障等の高電圧系故障時により電動機2A、2Bが駆動できない場合には、前輪Wf側の駆動ユニット6により前輪駆動となる。このとき、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60を作動しないため、電動機2A、2Bは停止する。
図5は、第1実施形態の登坂時駆動力制御に用いられる制御システムの構成図である。
同図の制御システム100において、後輪Wr用の電動機2には、第1PDU(パワードライブユニット)80aが接続されており、第1PDU80aが高圧のバッテリ9に接続されている。
内燃機関4には、アクセルペダルセンサなどの検出結果に基づき燃料噴射量等を変化させてエンジンを制御するエンジンECU83が接続されている。
なお、同図では、後輪Wr用の電動機2に対する制御システムとして、1組の構成(第1PDU80a及び第1モータECU81aの構成)しか示していないが、これは記載を省略したに過ぎず、実際は、左右の後輪RWr、LWrに対応した電動機2A、2B毎に、それぞれ、第1PDU80a及び第1モータECU81aの構成が存在している。そして、これらの第1モータECU81aには、左右の後輪RWr、LWr毎に、メインECU90からトルク指令値が送られるようになっている。
また、メインECU90は、本発明の登坂時駆動力制御を行うようになっている。
図6は、本発明の第1実施形態の登坂時駆動力制御に用いられるメインECUのシステム構成図である。
同図において、メインECU90は、斜度判定部901と、登坂抵抗分駆動力算出部902と、車両登坂可能駆動力算出部903と、アクセルペダル踏込量検出部904と、駆動力決定部906と、アクセル駆動力算出部911と、レートリミット関数生成部912と、レートリミット駆動力算出部913と、加算部914と、車両駆動力決定部921と、を有している。
なお、図6のメインECU90は、後輪Wrに対応した第1モータECU81aに対応した構成のみを示しているが、前輪Wfに対しても特に説明がない限り同様の構成を有している。
そして、停車判定部900は、車両3が停車中であると判定した場合には、斜度判定部901において、前後Gセンサから斜度を取得するように指示するようになっている。一方、停車判定部900は、車両3が停車中でないと判定した場合には、斜度判定部901において斜度を取得しないように指示するとともに、駆動力決定部906に対して、レートリミット指令信号をオフするように制御するようになっている。このレートリミット指令信号をオフにすることの意味は、後述する車両駆動力決定部921において、ドライバー要求駆動力を選択して出力させること、すなわちドライバー要求に基づく制御を行うことの意味である。
そして、斜度判定部901は、この検出した斜度が所定値を超えている場合には、「車両3が登坂上にある」と判定するようになっている。この判定に用いる所定値は、平地付近で本発明の登坂時駆動力制御が不必要に行われることでドライバビリティを損なうことを回避するとの観点から決定されればよく、例えば5%となる。
なお、斜度判定部901において斜度を検出する際は、前後Gセンサの出力を用いる場合に限られず、例えば、車両3に設けられた角度センサから取得した値や、前後の荷重配分の違いや、GPSから取得する車両の現在地の道路の傾斜情報などに基づいて、斜度を検出しても良い。
この登坂抵抗分駆動力算出部902における登坂抵抗分の駆動力の算出方法を図7を用いて説明する。
同図に示すように、登坂抵抗分駆動力算出部902は、斜度と登坂抵抗分の駆動力が対応付けられた関数を有しており、この関数は、車両の重量センサに基づく車両重量を利用した、
登坂抵抗分の駆動力=車両重量×斜度(sin)
という式を利用したものとなっている。
すなわち、この式の登坂抵抗分の駆動力は、ある斜度の登坂において車両が登坂するのに必要な最低の駆動力(車両登坂可能最低駆動力)を意味している。したがって、登坂抵抗分の駆動力は、斜度に応じた値となっている。
また、登坂抵抗分駆動力算出部902の関数として、関係式ではなく、斜度に対して、登坂抵抗分の駆動力として具体的な値が対応付けられたテーブルを利用するようにしても良く、この場合も、登坂抵抗分の駆動力は斜度に応じた値となる。
また、この車両登坂可能駆動力算出部903で算出する車両登坂可能駆動力は、後述する駆動力決定部906において、レートリミット指令をオフからオンに切り替える際の比較の基準値となるものであり、車両3をドライバー要求に基づく制御からレートリミットに基づく制御に切り替える際の基準を構成するものとなっている。このため、車両登坂可能駆動力算出部903では、登坂発進の際の車輪の空転発生を防止するとの観点から所定の演算が行われるようになっている。
また、車両登坂可能駆動力算出部903では、登坂抵抗分駆動力算出部902で生成された登坂抵抗分の駆動力をそのまま利用して、すなわち、ある斜度の登坂において車両が登坂するのに必要な最低の駆動力(車両登坂可能最低駆動力)を車両登坂可能駆動力として用いてもよい。この場合、図7の例で、斜度が10%で、登坂抵抗分の駆動力がおよそ1000Nであれば、車両登坂可能駆動力も1000Nとなる。
なお、アクセルペダル踏込量検出部904では、アクセルペダルの遊びを考慮し、ドライバーの踏込量が所定の閾値を越えた場合に限り、踏込量をアクセル駆動力算出部911等に供給するようにしてもよい。
なお、ここで算出するドライバー要求駆動力は、ドライバーの要求に応じた値をそのまま用いるのではなく、ドライバー要求駆動力に対する時間変化率に制限を加えたレートリミットによる制御を行ってもよい。ただし、ここでいう、ドライバー要求駆動力に対するレートリミットの制御は、後述する車両駆動力決定部921におけるレートリミットとは異なる。つまり、ここでのレートリミットによる制御は、電動機5及びこれを制御する第1PDU80aの電流の許容値を超えないとの観点から決定されるものであり、後述する車両駆動力決定部921におけるレートリミットの制御が空転防止の観点から行われるものと異なるものである。
この比較の結果、ドライバー要求駆動力が車両登坂可能駆動力以下の場合には、駆動力決定部906は、レートリミット指令信号をオフにするようになっており、後述する車両駆動力決定部921においてドライバー要求駆動力を選択して出力させるように制御する。一方、ドライバー要求駆動力が車両登坂可能駆動力より大きい場合には、駆動力決定部906は、レートリミット指令信号をオンにするようになっており、車両駆動力決定部921においてレートリミット駆動力に応じた駆動力を選択して出力させるように制御する。
ここで、レートリミット関数生成部912は、登坂発進の際にアクセルペダルが踏み込まれてからの時間と車両3の駆動力とが対応付けられた関数を有しており、この関数に対応した計算式をレートリミット駆動力算出部913に出力するようになっている。レートリミット関数生成部912で生成される関数は、アクセルペダルが踏み込まれた時点での車両3の駆動力をゼロとした上で、その後の時間に対する車両3の駆動力を規定した関数となっており、すなわち、アクセルペダルが踏み込まれた後の車両3の駆動力の時間変化率を規定した関数となっている。
ただし、この時間変化率は、0でもよく、また、一定の値(時間に対する駆動力の関係が一次関数)でなくてもよく、時間変化率が可変なもの(時間に対する駆動力の関係が多次元の関数)を用いても良い。また、時間変化率は、予め実験的に車輪の空転が生じない変化率をプロットおき、そのプロットに近似した関数を利用するようにしてもよい。
そして、レートリミット駆動力算出部913は、算出したレートリミット駆動力を加算部914に出力するようになっている。
この加算部914の作用により、レートリミット指令信号がオフからオンに切り替わった際に、車両3に対する駆動力の切り替えが連動的に行えるようになっている。
ステップS1において、停車判定部900は、センサから車輪速とブレーキスイッチの状態を取得する。そして、停車判定部900は、車輪速とブレーキスイッチの状態に基づき車両3が停止していると判定した場合には、ステップS2に進む。
一方、車両3が停車していないと判定した場合には、本実施形態の登坂時駆動力制御を行わないので、レートリミット指令信号をオフにし、ステップS8のドライバー要求に基づく制御が行われるようにして、本フローを終了する。
なお、この判定に用いる所定値は、前述したように、平地付近で本発明の登坂時駆動力制御が不必要に行われることでドライバビリティを損なうことを回避するとの観点から決定される。
一方、ステップS8に進んで、車両3がドライバー要求制御を行う場合には、平地走行時と同様に、ドライバーによるアクセルペダル踏込量に基づいた制御を行うことになる。
図9は、登坂発進の際にレートリミット制御を行わない場合の車両(比較例1)の挙動を説明する図である。図10は、登坂発進の際にレートリミット制御のみを行う車両(比較例2)の挙動を説明する図である。図11は、登坂発進の際に本実施形態の登坂時駆動力制御を行うようにした車両の挙動を説明する図である。
図9乃至図11の(a)は、横軸時間に対して、アクセルペダルの開度AP、四輪の車輪速Wh1,Wh2,Wh3,Wh4を示したものである。
図9乃至図11の(b)は、横軸時間に対して、前後加速度を示したものである。
図9乃至図11の(c)は、横軸時間に対して、車両総駆動力要求Fcarを示したものである。
図9乃至図11の(d)は、横軸時間に対して、前輪Wfに対する前輪駆動力Fr及び後輪Wrに対する後輪駆動力Rrを示したものである。
しかし、期間α+βが経過するまで前後加速度の立ち上がりが遅くなっているため、その分、ドライバーは自身が想定する車両動き出しになっていないと考えて、車両の加速をより強めようとして、アクセルペダルを過剰に踏込んでしまうおそれがある。
なお、この初期の期間の動作において、前述したように、アクセル駆動力算出部911において電動機5及びこれを制御する第1PDU80aの電流の許容値を超えないとの観点からレートリミットによる制御を行った場合には、この初期の期間においてもレートリミット制御がおこなれることになる。しかし、このレートリミットによる制御は、レートリミット駆動力算出部913を用いた空転防止の観点から行われる制御ではない。このため、図11(c)のドライバー要求駆動力の変化を全体としてみると、車両の駆動力が車両登坂可能駆動力に達したときに、初期のレートリミットが緩やかなレートリミットに変化したのと同視することができる。すなわち、レートリミットが可変に制御されたのと同視することができる。
そして、レートリミット制御への切り替えの基準値なる車両登坂可能駆動力が、車輪の空転発生を防止するとの観点から設定されるだけでなく、レートリミット制御自体も、車輪の空転発生を防止するとの観点から駆動力の時間変化率が規定されているので、レートリミット制御への切り替えが車輪の空転発生前に行われ、その後の制御も空転発生が生じないように制御されて、車輪の空転発生を確実に防止できる。
しかも、切り替えを行う基準値となる車両登坂可能駆動力が、登坂抵抗分の駆動力に基づいて算出された斜度に応じた値であるため、ドライバー要求を斜度に応じて反映させることができ、車輪の空転発生の防止と、ドライバーによるアクセルペダルの過剰な踏み込み防止を両立することができる。
本発明の第2実施形態は、車両3に対する登坂時駆動力制御を前後の車輪Wf、Wr毎に行うようにしたものである。車両3が登坂に停車している場合、車両3の前後の車輪Wf、Wrにかかる負荷(荷重負荷)は均一ではなく、通常は、後輪Wrに対する負荷の方が大きくなる。第2実施形態は、この前後の車輪Wf、Wrにかかる負荷(荷重負荷)を考慮した制御を行うものである。
同図において、後輪Wrに対応した(第1モータECU81aに対応した)メインECU190は、第1実施形態のメインECU90に加えて、荷重検出部931を更に有している。
荷重検出部931は、前後の車輪Wf、Wrに対応する荷重センサからの出力に基づいて各車輪Wf、Wrの荷重を検出するようになっている。
後輪Wrに対応したメインECU190内の登坂抵抗分駆動力算出部932では、斜度と登坂抵抗分の駆動力が対応付けられた関数として、
後輪Wr用の登坂抵抗分の駆動力
=車両重量×斜度(sin)×後輪荷重/(前輪荷重+後輪荷重)
という式を利用するようになっており、車両重量に基づく登坂抵抗分の駆動力を、各車輪Wf,Wrにかかる荷重に応じて按分するようになっている。
そして、車両登坂可能駆動力算出部903では、按分計算して得られた後輪Wr用の登坂抵抗分の駆動力に基づいて、車両登坂可能駆動力の算出を行うようになっている。
前輪Wf用の登坂抵抗分の駆動力
=車両重量×斜度(sin)×前輪荷重/(前輪荷重+後輪荷重)
という式が利用される。
このため、第2実施形態の登坂時駆動力制御では、第1実施形態の効果に加え、各車輪Wf,Wr毎の荷重負荷の違いに応じたきめ細やかな制御を行うことができる。
以上の実施形態においては、車両3は、E−4WD車両を前提にしていたが、アクセルペダルに基づく駆動力を制限するものであれば、メカニカル式の4WDでもよく、FWD車両、RWD車両であってもよい。
この場合、前後の車輪Wf,Wrの一方が内燃機関によって駆動され、他方が電動機によって駆動されるような車両である場合、本発明の登坂時駆動力制御を行うにあたり、その初期の駆動力を電動機によって駆動される車輪に対してのみ発生させるようにしても良い。これにより、駆動力の立ち上げに対する応答性を高めることができる。
2、2A、2B 電動機
3 車両
4 内燃機関
5 電動機
6 駆動ユニット
80a、80b PDU
81a、81b モータECU
83 エンジンECU
90、190 メインECU
900 停車判定部
901 斜度判定部
902 登坂抵抗分駆動力算出部
903 車両登坂可能駆動力算出部
904 アクセスペダル踏込量判定部
906 駆動力決定部
911 アクセル駆動力算出部
912 レートリミット関数生成部
913 レートリミット駆動力算出部
921 車両駆動力決定部
931 荷重検出部
932 登坂抵抗分駆動力算出部
100 制御システム
Claims (7)
- 車両の駆動力を制御する制御システムであって
前記車両が位置する地点の斜度を判定する斜度判定手段と、
前記斜度に応じて生成された値に基づいて該車両の登坂走行に必要な駆動力である車両登坂可能駆動力を算出する車両登坂可能駆動力算出手段と、を備え、
前記車両の登坂走行に際してアクセルペダルの過剰な踏み込みによるドライバー要求が発生したときに、ドライバーが要求するドライバー要求駆動力と前記車両登坂可能駆動力のうちの何れか小さい方を、前記車両の前記ドライバー要求に応じた初期の駆動力として発生させ、
前記ドライバー要求駆動力が前記車両登坂可能駆動力より大きい場合に、車輪の空転が生じない変化率で駆動力を増加させる制御システム。 - 前記登坂走行は、前記車両が停止した状態からの登坂発進である、請求項1に記載の制御システム。
- 前記登坂発進に際して、前記ドライバー要求駆動力よりも前記車両登坂可能駆動力の方が大きいときに、前記ドライバー要求駆動力が前記車両登坂可能駆動力に達するまでの間、前記ドライバー要求駆動力を、前記ドライバー要求に応じた初期の駆動力として発生させる、請求項2に記載の制御システム。
- 前記斜度に応じて生成された値は、前記車両が登坂するのに必要な最低の駆動力であり、
前記車両登坂可能駆動力は、前記車両が登坂するのに必要な最低の駆動力又は該車両が登坂するのに必要な最低の駆動力に所定値を加えたものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の制御システム。 - 前記ドライバー要求駆動力が前記車両登坂可能駆動力より大きいときに、前記車両登坂可能駆動力と前記ドライバー要求駆動力との差に基づいて前記車両の初期の駆動力を漸次増加させる、請求項1〜4のいずれか1項記載の制御システム。
- 前記車両が内燃機関によって駆動する車輪と電動機によって駆動する車輪とから構成され、
前記車両の登坂に際し、前記電動機によって駆動する車輪のみに前記車両の初期の駆動力を発生させる、請求項1〜5のいずれか1項記載の制御システム。 - 前記車両の車輪に対する制御が前後の車輪毎に行われ、
前記車両の登坂に際し、前記前後の車輪のうち下方に位置する車輪にのみ前記車両の初期の駆動力を発生させる、請求項1〜6のいずれか1項記載の制御システム。
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