JP6047970B2 - 応力腐食割れ試験装置及び応力腐食割れ試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、応力腐食割れ試験装置及び応力腐食割れ試験方法に係り、特に、放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験装置及び応力腐食割れ試験方法に関する。
使用済み燃料の再処理工程で排出される高レベル放射性廃棄物(HLW廃棄物)や長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)等を深地層中に埋設して地層処分することが検討されている。HLW廃棄物やTRU廃棄物は、金属製の放射性廃棄物処分容器に収納されて深地層中に埋設処分される。放射性廃棄物処分容器は、その周囲に緩衝材(けい砂を含む圧縮ベントナイト等)が設けられてコンクリート内部に設置される。
深地層中の地下環境は酸素のない還元性雰囲気であるが、放射性廃棄物処分容器の処分施工中に地上から大気が取り込まれるため、処分期間初期は酸化性雰囲気にある。取り込まれた大気の拡散等で酸素が消費し尽くされた後は、放射性廃棄物処分容器は、長期間にわたって酸素のない還元性雰囲気に曝される。
また、放射性廃棄物処分容器は、地下水がコンクリートを透過して浸み出したコンクリート透過溶液等にも曝される。このようなコンクリート透過溶液は、Na,K、Caなどのアルカリ成分を含むことにより形成されたアルカリ性水溶液である。
例えば、TRU廃棄物は、チタン材を耐食層として強度層である炭素鋼の周囲に設けた複合型の放射性廃棄物処分容器に収納される。放射性廃棄物処分容器は還元性雰囲気及びコンクリート透過溶液等に曝されるので、チタン材で形成された耐食層の表面では、カソード反応により水素ガスが発生する。その結果、チタン材で形成された耐食層に水素化物層の形成と破壊とが繰り返し生じて応力腐食割れが発生する可能性がある。そのため、放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れについて評価することが行われている。
非特許文献1では、高レベル放射性廃棄物の地層処分システムにおいて、チタンオーバーパックにおける長期的な水素吸収量、水素濃度分布を検討するとともに、水素を吸収させたチタン材料について大気中で機械特性試験を行い、チタン材の脆化挙動を検討している。具体的には、外部電源を用いてカソード分極により水素を吸収させた純チタン試験片を使用して、水素濃度をパラメータとして引張試験等を実施してチタンの水素脆化について検討を行っている。
谷口直樹他5名、「低酸素濃度下におけるチタンオーバーパックの長期水素吸収挙動と水素脆化の検討」、材料と環境 56号(2007)、P576−584
ところで、非特許文献1に記載の試験方法のように、最初にチタン試験片に水素を吸収させた後に大気中で機械特性試験を行った場合には、水素雰囲気中でチタン試験片に荷重を負荷していないので、チタンの水素脆性に伴う応力腐食割れを精度よく評価することができない場合がある。また、応力腐食割れ試験は、通常、長期間(例えば、500時間から10000時間)にわたって試験が行われるため、外部電源を用いてチタン試験片の浸漬電位、電流等を制御する場合には、外部電源の故障等により応力腐食割れ試験が無効となる可能性がある。
そこで、本発明の目的は、放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験の信頼性をより向上させる応力腐食割れ試験装置及び応力腐食割れ試験方法を提供することである。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置は、放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験装置であって、試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、前記試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷すると共に金属材料で形成された荷重負荷手段と、を備え、前記試験体と前記荷重負荷手段とは、前記混合物で埋められており、前記荷重負荷手段は、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、前記試験体と電気的に接続されており、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有することを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置は、放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験装置であって、試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、前記試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷する荷重負荷手段と、を備え、前記試験体と前記荷重負荷手段とは、前記混合物で埋められており、前記試験容器内に前記混合物で埋められ、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、前記試験体と電気的に接続されており、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有する電位調整金属体を有していることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置において、前記荷重負荷手段は、前記試験体に曲げ荷重を負荷する曲げ治具で構成されていることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置において、前記曲げ治具は、第1金属で形成され、前記試験体を挟む治具本体と、前記治具本体と電気的に接続されると共に、前記第1金属とは浸漬電位の異なる第2金属で形成され、前記曲げ治具の浸漬電位を調整する電位調整金属部材と、を有していることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置において、前記電位調整金属部材は、電気防食用流電陽極で形成されていることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置において、前記電位調整金属部材は、アルミニウム材、亜鉛材、マグネシウム材または鉄材で形成されていることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置において、前記治具本体は、炭素鋼で形成されていることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置は、前記試験容器内に配置され、前記混合物に先端が埋められた参照電極と、前記試験体と前記参照電極との間の浸漬電位差を計測する浸漬電位計測器と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験装置において、前記試験水溶液は、中性水溶液またはアルカリ性水溶液であり、前記緩衝材は、けい砂であることを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験方法は、放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験方法であって、チタン材で形成された試験体に、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、前記試験体と電気的に接続されており、金属材料で形成され、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有する荷重負荷手段で荷重を負荷し、試験容器内に前記試験体と前記荷重負荷手段とを試験水溶液と緩衝材との混合物で埋めて配置することを特徴とする。
本発明に係る応力腐食割れ試験方法は、放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験方法であって、チタン材で形成された試験体に荷重負荷手段で荷重を負荷し、前記試験体と、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、金属材料で形成され、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有する電位調整金属体とを電気的に接続し、試験容器内に前記試験体と前記荷重負荷手段と前記電位調整金属体とを試験水溶液と緩衝材との混合物で埋めて配置することを特徴とする。
上記構成によれば、試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷すると共に金属材料で形成された荷重負荷手段と、を備え、試験体と荷重負荷手段とが混合物で埋められているので、試験体に荷重を負荷した状態で、試験体の周りに還元性雰囲気を形成すると共に試験体と試験水溶液とを接触させて、試験体の表面からカソード反応により水素ガスを発生させることができる。
そして、荷重負荷手段は、試験体の浸漬電位を試験電位とするために、試験体と電気的に接続されており、試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、試験電位と同じ浸漬電位を有するので、外部電源を用いなくても試験体の浸漬電位を試験電位とすることができる。
また、上記構成によれば、試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷する荷重負荷手段と、を備え、試験体と荷重負荷手段とが混合物で埋められているので、試験体に荷重を負荷した状態で、試験体の周りに還元性雰囲気を形成すると共に、試験体と試験水溶液とを接触させて、試験体の表面からカソード反応により水素ガスを発生させることができる。
そして、試験容器内に混合物で埋められ、試験体の浸漬電位を試験電位とするために、試験体と電気的に接続されており、試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、試験電位と同じ浸漬電位を有する電位調整金属体を有しているので、外部電源を用いなくても試験体の浸漬電位を試験電位とすることができる。
このように上記構成によれば、外部電源を用いる必要がなく、試験体に荷重を負荷した状態で試験体を水素雰囲気に曝すことができるので、応力腐食割れ性試験の信頼性が向上する。
本発明の実施の形態において、応力腐食割れ試験装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態において、曲げ治具の構成を示す図である。 本発明の実施の形態において、電位調整金属部材を設けた曲げ治具の構成を示す図である。 本発明の実施の形態において、試験体への荷重負荷方法を示す模式図である。 本発明の実施の形態において、チタン製試験片を曲げ治具にセットした状態を示す写真である。 本発明の実施の形態において、Al流電陽極を曲げ治具に接続した状態を示す写真である。 本発明の実施の形態において、試験経過時間に対するチタン製試験片を取り付けた曲げ治具の浸漬電位を示すグラフである。
以下に、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、応力腐食割れ試験装置10の構成を示す模式図である。応力腐食割れ試験装置10は、試験水溶液と緩衝材との混合物12を入れた試験容器14と、試験容器14内に混合物12で埋められて配置される曲げ治具16と、を備えている。
試験容器14は、有底で筒状に形成されている。試験容器14には、例えば、ガラス製容器、樹脂製容器または金属製容器等を用いることができる。試験水溶液として高アルカリ性水溶液を用いる場合には、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)を被覆したステンレス製容器を用いることが好ましい。試験容器14の開口側には、蓋を設けるようにしてもよい。また、試験容器14には、後述する熱電対や参照電極を取り付けるコネクタ等を設けるようにしてもよい。
試験容器14には、試験水溶液と緩衝材との混合物12が入れられている。試験水溶液には、例えば、降水起源模擬地下水(略淡水)、海水起源模擬地下水(略海水)、コンクリート透過溶液等の中性水溶液やアルカリ性水溶液が用いられる。緩衝材には、例えば、無機粒子が用いられる。緩衝材には、放射性廃棄物処分容器が埋設される実環境により近づけるため、けい砂(鋳物砂等)やベントナイト等が用いられることが好ましい。試験水溶液と緩衝材とを混合することにより、試験水溶液の拡散や移動が緩衝材で抑制されるので、取り込まれた大気に含まれる酸素が消費し尽くされた後は、埋められた曲げ治具16の周りには溶存酸素がほとんど無い還元性雰囲気を形成することができる。
曲げ治具16は、試験容器14内に配置可能な大きさに形成されており、試験容器14内に混合物12で埋められて配置されている。曲げ治具16は、チタン材で形成された試験体18に荷重を負荷する荷重負荷手段としての機能を有している。
例えば、TRU廃棄物用の放射性廃棄物処分容器では、炭素鋼製強度層の外側にチタン耐食層を設けたチタンクラッド鋼で円筒型容器に曲げ成形加工されるため、チタン耐食層には曲げひずみが付与される。そのため、試験体18に曲げ荷重を負荷した状態で応力腐食割れを評価することにより、実環境に沿った評価が可能となる。
図2は、曲げ治具16の構成を示す図であり、図2(a)は、曲げ治具16の正面図であり、図2(b)は、曲げ治具16の側面図である。
曲げ治具16は、金属材料で形成された治具本体20を備えている。治具本体20は、試験体18を挟んで抑えることにより試験体18に曲げ荷重を負荷するために、円弧状の凹曲面を有する上治具部22と、円弧状の凸曲面を有する下治具部24とを有している。
上治具部22と下治具部24とは、試験体18の長さより長く形成されており、試験体18の幅と略同じか試験体18の幅より長い幅で形成されている。また、上治具部22と下治具部24には、長手方向の両端にボルト等の締結部材28を挿入するための穴が設けられている。上治具部22と下治具部24とは、試験体18に安定した曲げ荷重を負荷するために、ボルト等の締結部材28で締結されている。
曲げ治具16の大きさは、例えば、寸法Aが110mmであり、寸法B、C、Dが25mmである。また、下治具部24の凸曲面の曲率を変えることにより、試験体表面の曲げひずみ量を調整することができる。試験体表面の曲げひずみ量は、例えば、下治具部24の凸曲面の曲率半径Xを100mmRとすることにより、約1%に調整されている。曲げ治具16には、例えば、CBB(Creviced Bent Beam)試験用の曲げ治具を用いることができる。
試験体18は、上治具部22の円弧状の凹曲面と、下治具部24の円弧状の凸曲面との間に挟まれてセットされている。試験体18は、チタンまたはチタン合金からなるチタン材で形成されている。チタン材には、放射性廃棄物処分容器に設けられる耐食層として使用されるTi−Gr.1(工業用純チタン)、Ti−Gr.7(Ti−0.15〜0.2%Pd)、Ti−Gr.17(Ti−0.06%Pd)等が用いられる。
試験体18は、図2に示す曲げ治具16を用いる場合には、例えば、長さ50mm×幅10mm×厚み2mmの矩形状に形成される。勿論、曲げ治具16の大きさを変えることにより、試験体18の形状を、例えば、長さ150mmから350mm、幅60mmから150mm、厚み5mmから15mmの矩形状(例えば、長さ320mm×幅130mm×厚み10mm)としてもよいし、長さ100mm×幅30mm×厚み10mmの矩形状としてもよい。
また、試験体18には、チタンの溶接部における応力腐食割れを評価するために、試験体の長手方向の中央に溶接継手部を設けてもよい。放射性廃棄物処分容器のチタン耐食層が溶接後熱処理(PWHT)等の熱履歴を受ける場合には、試験体18に必要な熱履歴を与えてもよい。
応力腐食割れは、通常、引張応力側で発生することから、試験体18と上治具部22との間には、試験体表面により多くの試験水溶液を接触させるために、試験水溶液が通液可能な隙間形成部材30を設けることが好ましい。隙間形成部材30は、例えば、試験体18の大きさと略同じ大きさで矩形状に形成されている。隙間形成部材30には、例えば、グラファイトファイバウール等の多孔性材料が用いられる。
治具本体20は、試験体18と電気的に接続されており、試験体18の浸漬電位を試験電位とするために、試験体18の接液面積よりも大きい接液面積を有し、試験電位と同じ浸漬電位を有する金属材料で形成されている。これにより、試験体18を取り付けた曲げ治具16を混合物12で埋めたときの試験体18の浸漬電位は、試験体18の接液面積が治具本体20の接液面積よりも小さいことから、曲げ治具16の浸漬電位に支配されて、曲げ治具16の浸漬電位と同じ浸漬電位になる。治具本体20の接液面積は、試験体18の接液面積の10倍以上とすることが好ましい。なお、治具本体20にボルト等の締結部材28が設けられている場合でも、治具本体20の接液面積がボルト等の締結部材28の接液面積よりも十分に大きいことから、曲げ治具16の浸漬電位は、治具本体20の浸漬電位に支配される。
例えば、治具本体20が炭素鋼(例えば、浸漬電位が−0.7V vs SCE)で形成されている場合には、試験体18の浸漬電位は、曲げ治具16の浸漬電位に支配されて曲げ治具16の浸漬電位と同じ−0.7V vs SCEになる。したがって、外部電源を用いることなく、試験体18の浸漬電位を試験電位とすることが可能となる。
曲げ治具16には、曲げ治具16の浸漬電位を調整するための電位調整金属部材32を設けるようにしてもよい。図3は、電位調整金属部材32を設けた曲げ治具16の構成を示す図であり、図3(a)は、電位調整金属部材32を設けた曲げ治具16の正面図であり、図3(b)は、電位調整金属部材32を設けた曲げ治具16の側面図である。
電位調整金属部材32は、治具本体20を形成する金属材料とは異なる浸漬電位を有する金属材料で形成されており、治具本体20に電気的に接続されている。電位調整金属部材32は、例えば、矩形状等で形成されている。電位調整金属部材32の大きさは、例えば、寸法Eが70mmであり、寸法Fが75mmであり、寸法Gが25mmである。
電位調整金属部材32を設けた曲げ治具16の浸漬電位は、治具本体20の浸漬電位と、電位調整金属部材32の浸漬電位とを合わせた混成電位となる。そのため、電位調整金属部材32を設けた曲げ治具16の浸漬電位は、電位調整金属部材32の材質を変更することや、治具本体20の接液面積と電位調整金属部材32の接液面積との比率を変えることにより調整可能になる。
例えば、治具本体20が炭素鋼(例えば、浸漬電位が−0.7V vs SCE)で形成されており、電位調整金属部材32がアルミニウム合金(例えば、浸漬電位が−1.1V vs SCE)で形成されている場合には、電位調整金属部材32を設けた曲げ治具16の浸漬電位を、治具本体20の接液面積と電位調整金属部材32の接液面積との比率を変えることにより−1.1V vs SCEから−0.7V vs SCEの範囲の浸漬電位に調整可能となる。
電位調整金属部材32は、例えば、治具本体20の上治具部22に穴34(例えば、M12のタップ穴)を設けて、上治具部22に金属製ボルト36等で締結される。なお、電位調整金属部材32は、下治具部24に取り付けられてもよく、治具本体20にリード線60等で接続されるようにしてもよい。また、電位調整金属部材32は、治具本体20と着脱可能に取り付けられてもよく、治具本体20と一体的に設けられてもよい。
電位調整金属部材32は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム材、亜鉛または亜鉛合金からなる亜鉛材、マグネシウムまたはマグネシウム合金からなるマグネシウム材、鉄または鉄合金からなる鉄材等で形成される。試験体18に水素をより多く吸収させて試験を行う場合には、チタンは浸漬電位が低いほど水素を吸収しやすいことから(例えば、浸漬電位が−0.7V vs SCE以下)、電位調整金属部材32にはアルミニウム材等を用いることが好ましい。
電位調整金属部材32には、例えば、電気防食用流電陽極を用いることができる。電気防食用流電陽極には、例えば、ナカボーテック社製のアルミニウム合金陽極ALAP(代表組成:2%Zn−0.02%In−2%Mg−残Al、電極電位:−1.060 V vs、SCE)、亜鉛合金陽極ZAP(代表組成:0.2%Al−残Zn、電極電位:−1.060 V vs、SCE)、マグネシウム合金陽極MAGNAP(代表組成6%Al−3%Zn−0.5%Mn−残Mg、電極電位:−1.450 V vs、SCE)、鉄陽極(電極電位:−0.7 V vs、SCE)等を用いることが可能である。
再び、図1に戻り、応力腐食割れ試験装置10には、試験容器14を加熱するヒータ40等の加熱手段を設けてもよい。ヒータ40は、試験容器14の周りに配置される。ヒータ40は、放射性廃棄物処分容器の埋設処分環境温度、例えば、80℃に試験容器14を加熱する能力を有している。ヒータ40には、一般的な加熱用コイル等が用いられる。また、ヒータ40の代わりに恒温槽を使用して、恒温槽の中に試験容器14を配置してもよい。
また、応力腐食割れ試験装置10に参照電極42と電位計測器44とを設けて、試験体18を取り付けた曲げ治具16の浸漬電位を計測するようにしてもよい。参照電極42には、一般的なAg/AgCl電極等を用いることができる。曲げ治具16と参照電極42とは、絶縁被覆した金属製のリード線46で電位計測器44に接続されている。電位計測器44には、一般的なエレクトロメータ(電位差計)等が用いられる。なお、応力腐食割れ試験装置10には、試験容器14内の温度を計測するために、熱電対等(図示せず)を設けてもよい。
応力腐食割れ試験装置10には、ヒータ40、電位計測器44等を制御する制御手段48を設けてもよい。制御手段48は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ等で構成される。制御手段48は、データを計算処理する計算処理部と、データを記憶する記憶部とを有している。
また、試験体18に流れる電流を計測する場合には、試験体18と治具本体20との接触面(試験体18と上治具部22との接触面及び試験体18と下治具部24との接触面)を樹脂シート等の絶縁シートで絶縁した上で、試験体18と治具本体20とを電流計(例えば、無抵抗電流計)を介してリード線で接続すればよい。なお、試験体18と治具本体20の上治具部22との間に挟む絶縁シートには、試験体表面により多くの試験水溶液を接触させるために、試験水溶液が通液可能な樹脂製のメッシュシートを用いることが好ましい。
次に、試験体18の応力腐食割れ試験方法について説明する。
まず、試験体18を用意する。試験体18は、例えば、チタンシート等を機械加工して矩形状に形成される。試験体表面は、最終表面仕上げとして#600の湿式研磨されることが好ましい。
次に、曲げ治具16を用意する。曲げ治具16は、試験体18を試験する試験電位を有するものが用意される。例えば、試験温度80℃、アルカリ水溶液中で試験電位を―0.8V vs SHEからー0.75V vs SHEとする場合には、治具本体20を炭素鋼で形成した曲げ治具16が用意される。また、試験温度80℃、アルカリ水溶液中で試験電位を―0.85V vs SHEとする場合には、炭素鋼で形成した治具本体20にアルミニウム材で形成した電位調整金属部材32を取り付けた曲げ治具16が用意される。
なお、試験条件(試験温度、pH値等)と、曲げ治具16の浸漬電位との関係については、予め実験等で求めてデータベース化し、制御手段48の記憶部に記憶させておくことが好ましい。また、電位調整金属部材32を設けた曲げ治具16についても電位調整金属部材32の種類(材質や大きさ等)ごとに浸漬電位を予め実験等で求めてデータベース化しておくとよい。
次に、曲げ治具16に試験体18を取り付ける。上治具部22と下治具部24との間に試験体18を挟み、上治具部22と下治具部24とを金属製ボルト等の締結部材28で締結して試験体18に曲げ荷重を負荷する。上治具部22と試験体18との間には、グラファイトファイバウール等の隙間形成部材30が挿入されることが好ましい。なお、上治具部22と下治具部24との少なくとも一方は試験体18と接触しているので、曲げ治具16と試験体18とは電気的に接続されている。
次に、試験容器14内に試験体18を取り付けた曲げ治具16を配置し、試験体18を取り付けた曲げ治具16を試験水溶液と緩衝材との混合物12で埋める。試験体18を取り付けた曲げ治具16の浸漬電位や雰囲気温度を計測する場合には、試験容器14に参照電極42や熱電対がコネクタ等で取り付けられると共に、参照電極42と曲げ治具16とが電位測定器44を介してリード線46で接続される。
また、試験体18への溶存酸素の拡散を抑制するために、試験体18から混合物層表面までの厚みを十分に確保する(例えば、試験体18から混合物層表面までの厚みが約30mm)と共に、リード線46等の周りの隙間を可能なかぎり抑えるように試験容器14内に混合物12を充填する。なお、高温(例えば、80℃)で試験を行う場合には、試験容器14をヒータ40で試験温度まで加熱する。
次に、試験容器14を静置する。試験体18を取り付けた曲げ治具16を混合物12で埋め込むときに大気が取り込まれるため、埋込初期には試験体18を取り付けた曲げ治具16の周りは酸化性雰囲気にあるが、取り込まれた大気の拡散等で酸素が消費し尽くされた後には、試験体18を取り付けた曲げ治具16は還元性雰囲気に曝される。したがって、曲げ治具16に取り付けられた試験体18は還元性雰囲気及び試験水溶液に曝されるので、試験体表面では、カソード反応により水素ガスが発生する。また、試験体18は、曲げ治具16と電気的に接続されていると共に、曲げ荷重が負荷されているので、試験体18の浸漬電位が曲げ治具16の浸漬電位に支配されて、試験電位で水素脆性による応力腐食割れ試験が可能となる。
なお、試験容器14を静置中に、制御手段48により、試験体18を取り付けた曲げ治具16の浸漬電位、雰囲気温度等を測定し、記憶部に記憶させてもよい。
そして、例えば、100時間から10000時間静置した後に、試験容器14から試験体18を取り付けた曲げ治具16を取り出す。試験後の試験体18については、例えば、昇温法などによる吸収水素量の分析、断面観察による水素化物の各種評価(水素化物の生成状況、水素化物層の生成厚み、水素化物層の割れに伴う応力腐食割れ亀裂進展深さ等)が行われる。また、試験体18と曲げ治具16との間の通電電気量を測定した場合には、水素発生量を見積もることが可能となる。
なお、上記構成では、試験体18に荷重を負荷する荷重負荷手段を曲げ治具16としたが、荷重負荷手段は曲げ治具16に限定されることなく、例えば、試験体18に引張荷重を負荷する引張治具等であってもよい。
上記構成によれば、試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷すると共に、金属材料で形成された曲げ治具等の荷重負荷手段と、を備え、試験体と曲げ治具等の荷重負荷手段とが混合物で埋められているので、試験体に荷重を負荷した状態で、試験体の周りに還元性雰囲気を形成すると共に試験体と試験水溶液とを接触させて、試験体の表面からカソード反応により水素ガスを発生させることができる。
そして、曲げ治具等の荷重負荷手段は、試験体の浸漬電位を試験電位とするために、試験体と電気的に接続されており、試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、試験電位と同じ浸漬電位を有するので、外部電源を用いなくても試験体の浸漬電位を試験電位とすることができる。
このように上記構成によれば、外部電源を用いる必要がなく、例えば、停電等が発生した場合でも、試験体に荷重を負荷した状態で試験体を水素雰囲気に曝すことができるので、応力腐食割れ性試験の信頼性が向上する。
次に、他の応力腐食割れ試験装置の構成について説明する。他の応力腐食割れ試験装置は、試験体の構成と、荷重負荷手段とが応力腐食割れ試験装置10と相違する。なお、同様な構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図4は、試験体50への荷重負荷方法を示す模式図である。
試験体50は、破壊力学試験評価で用いられているWOL(Wedge Opening Load)試験片で構成されている。WOL試験片には、例えば、ISO/FDIS 7539−6 2011で規定されている試験片を用いることができる。
試験体50は、チタン材で矩形状のブロックに形成されている。そして、ブロックの側縁から機械加工で予亀裂を形成した後、繰り返し荷重を負荷して、予亀裂端から更に疲労予亀裂52が導入されている。また、試験体50には、亀裂先端部に一定の変位を与えて引張応力を負荷するためのボルト穴とピン穴とが設けられている。そして、ピン穴にピン54を挿入し、ボルト穴にボルト56を挿入し、ボルト56を回すことにより、試験体50の亀裂先端部に引張荷重を負荷して一定の変位を付与することで、亀裂先端部の応力拡大係数(K値)を求めることができる。なお、ピン54とボルト56とは、試験体50に荷重を負荷する荷重負荷手段としての機能を有している。
試験体50は、試験体50の浸漬電位を試験電位とするための電位調整金属体58とリード線60等で電気的に接続されている。電位調整金属体58は、試験体50の浸漬電位を試験電位とするために、試験体50の接液面積よりも大きい接液面積を有し、試験電位と同じ浸漬電位を有する金属材料で形成されている。
これにより、試験水溶液と緩衝材との混合物12でボルト56等を取り付けた試験体50と電位調整金属体58とを埋めたときの試験体50の浸漬電位は、試験体50の接液面積が電位調整金属体58の接液面積よりも小さいことから、電位調整金属体58の浸漬電位に支配されて、電位調整金属体58の浸漬電位と同じ浸漬電位になる。電位調整金属体58の接液面積は、試験体50の接液面積の10倍以上とすることが好ましい。
なお、試験体50にピン54やボルト56が取り付けられている場合でも、電位調整金属体58の接液面積がピン54やボルト56の接液面積よりも十分に大きいことから、試験体50の浸漬電位は、電位調整金属体58の浸漬電位に支配される。
電位調整金属体58は、例えば、矩形状等で形成されている。試験体50の浸漬電位は、電位調整金属体58の材質を変えることにより調整可能である。電位調整金属体58は、例えば、アルミニウム材、亜鉛材、マグネシウム材または鉄材等で形成される。電位調整金属体58には、例えば、電気防食用流電陽極を用いることができる。
次に、試験体50の応力腐食割れ試験方法について説明する。
試験体50をチタン材で形成した後、試験体50にピン54とボルト56とを取り付けて、亀裂先端部に一定の変位を与えて引張応力を付与する。
次に、電位調整金属体58を用意する。電位調整金属体58は、試験体18を試験する試験電位を有するものが用意される。例えば、試験温度80℃、アルカリ水溶液中で試験体50の試験電位を―0.8V vs SHEからー0.75V vs SHEとする場合には、炭素鋼で形成した電位調整金属体58が用意される。そして、ボルト56等を取り付けた試験体50と電位調整金属体58とを、リード線60等で電気的に接続する。
なお、ボルト56等を取り付けた試験体50の通電電気量を測定する場合には、ボルト56等を取り付けた試験体50と電位調整金属体58とを電流計を介して接続する。また、ボルト56等を取り付けた試験体50の浸漬電位を測定する場合には、参照電極42と、ボルト56等を取り付けた試験体50とを電位計測器44を介してリード線46等で接続する。そして、試験容器14内にボルト56等を取り付けた試験体50と電位調整金属体58とを試験水溶液と緩衝材とを混合した混合物12で埋めて配置し、応力腐食割れ試験装置10を用いた応力腐食割れ試験方法と同様に、試験容器14を静置することで応力腐食割れ試験を行うことができる。
上記構成によれば、試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷するボルト等の荷重負荷手段と、を備え、試験体とボルト等の荷重負荷手段とが混合物で埋められているので、試験体に荷重を負荷した状態で、試験体の周りに還元性雰囲気を形成すると共に、試験体と試験水溶液とを接触させて、試験体の表面からカソード反応により水素ガスを発生させることができる。
そして、試験容器内に混合物で埋められ、試験体の浸漬電位を試験電位とするために、試験体と電気的に接続されており、試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、試験電位と同じ浸漬電位を有する電位調整金属体を有しているので、外部電源を用いなくても試験体の浸漬電位を試験電位とすることができる。
このように上記構成によれば、外部電源を用いる必要がなく、例えば、停電等が発生した場合でも、試験体に荷重を負荷した状態で試験体を水素雰囲気に曝すことができるので、応力腐食割れ性試験の信頼性が向上する。
チタン製試験片の応力腐食割れ試験を実施した。
チタン製試験片には、Ti−Gr.17で矩形状に形成した平板を使用した。チタン製試験片の寸法は、長さ50mm×幅10mm×厚み2mmとした。
曲げ治具には、CBB試験用の曲げ治具(上記の図2に示す曲げ治具の構成と同じ構成であり、寸法Aが110mm、寸法B、C、Dが25mmのもの)を使用した。CBB試験用の曲げ治具によれば、チタン製試験片の表面に約1%の曲げひずみが付与される。
そして、応力腐食割れ試験を、アルカリ水溶液中(60℃でのpH値が10.8)、試験温度80℃、試験電位―0.8V vs SHEからー0.75V vs SHEで行うために、治具本体を炭素鋼で形成した曲げ治具を使用した。図5は、チタン製試験片を曲げ治具にセットした状態を示す写真である。曲げ治具の上治具部とチタン製試験片(引張応力側)との間には、グラファイトファイバウールを挟んだ。
また、電位調整金属部材を取り付けた曲げ治具の浸漬電位の変化についても合わせて検討した。電位調整金属部材には、ナカボーテック社製のAl流電陽極ALAPと、Zn流電陽極ZAPを使用した。Al流電陽極及びZn流電陽極の寸法は、いずれも75mm×70mm×20mmとした。
図6は、Al流電陽極を曲げ治具に接続した状態を示す写真である。治具本体の下治具部とAl流電陽極とをリード線で接続した。なお、曲げ治具とZn流電陽極とについても、Al流電陽極と同様の方法で接続した。
次に、フッ素樹脂を被覆したステンレス製試験容器内にチタン製試験片を取り付けた曲げ治具を配置した。そして、チタン製試験片を取り付けた曲げ治具をアルカリ水溶液(0.6mol/L〔Cl〕+0.01mol/L〔OH〕)と、けい砂(東北けい砂4号)との混合物で埋設した後に、ヒータで試験温度80℃まで加熱して保持した。また、参照電極(Ag/AgCl電極)と曲げ治具とをエレクトロメータを介してリード線で接続し、チタン製試験片を取り付けた曲げ治具の浸漬電位を測定した。なお、リード線については、治具本体の下治具部に半田接続した。
図7は、試験経過時間に対するチタン製試験片を取り付けた曲げ治具の浸漬電位を示すグラフである。図7のグラフでは、横軸は試験経過時間を示し、縦軸はチタン製試験片を取り付けた曲げ治具の浸漬電位を示している。流電陽極が設けられていない曲げ治具の浸漬電位を実線で表し、Al流電陽極を設けた曲げ治具の浸漬電位を白四角形で表し、Zn流電陽極を設けた曲げ治具の浸漬電位を白菱形で表している。なお、参考としてチタン電極の浸漬電位を黒丸で表している。
流電陽極が設けられていない曲げ治具の浸漬電位は、保持時間500時間経過後においても、―0.8V vs SHEからー0.75V vs SHEで安定していた。このことから、外部電源を用いなくても、チタン製試験片の浸漬電位を―0.8V vs SHEからー0.75V vs SHEにし、チタン製試験片に曲げ荷重を負荷した状態でチタン製試験片を水素雰囲気に曝して応力腐食割れ試験できることがわかった。
Al流電陽極を設けた曲げ治具の浸漬電位は、―0.85V vs SHEとなり、流電陽極を設けていない曲げ治具の浸漬電位よりも卑な浸漬電位となった。また、Zn流電陽極を設けた曲げ治具の浸漬電位は、―0.43V vs SHEとなり、流電陽極を設けていない曲げ治具の浸漬電位よりも貴な浸漬電位となった。これは、高温下で鉄の電位と亜鉛の電位の逆転が生じたものと考えられる。
このことから、Al流電陽極やZn流電陽極で形成された電位調整金属部材を炭素鋼製の曲げ治具に設けることにより、チタン製試験片の試験電位を変化させて応力腐食割れ試験を行うことができることがわかった。
10 応力腐食割れ試験装置、12 混合物、14 試験容器、16 曲げ治具、18、50 試験体、20 治具本体、22 上治具部、24 下治具部、28 締結部材、30 隙間形成部材、32 電位調整金属部材、34 穴、36 導電性締結部材、40 ヒータ、42 参照電極、44 電位計測器、46、60 リード線、48 制御手段、52 疲労予亀裂、54 ピン、56 ボルト、58 電位調整金属体。

Claims (11)

  1. 放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験装置であって、
    試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、
    前記試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷すると共に金属材料で形成された荷重負荷手段と、
    を備え、
    前記試験体と前記荷重負荷手段とは、前記混合物で埋められており、
    前記荷重負荷手段は、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、前記試験体と電気的に接続されており、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有することを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  2. 放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験装置であって、
    試験水溶液と緩衝材との混合物を入れた試験容器と、
    前記試験容器内に配置されており、チタン材で形成された試験体に荷重を負荷する荷重負荷手段と、
    を備え、
    前記試験体と前記荷重負荷手段とは、前記混合物で埋められており、
    前記試験容器内に前記混合物で埋められ、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、前記試験体と電気的に接続されており、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有する電位調整金属体を有していることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  3. 請求項1に記載の応力腐食割れ試験装置であって、
    前記荷重負荷手段は、前記試験体に曲げ荷重を負荷する曲げ治具で構成されていることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  4. 請求項3に記載の応力腐食割れ試験装置であって、
    前記曲げ治具は、第1金属で形成され、前記試験体を挟む治具本体と、前記治具本体と電気的に接続されると共に、前記第1金属とは浸漬電位の異なる第2金属で形成され、前記曲げ治具の浸漬電位を調整する電位調整金属部材と、を有していることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  5. 請求項4に記載の応力腐食割れ試験装置であって、
    前記電位調整金属部材は、電気防食用流電陽極で形成されていることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  6. 請求項4または5に記載の応力腐食割れ試験装置であって、
    前記電位調整金属部材は、アルミニウム材、亜鉛材、マグネシウム材または鉄材で形成されていることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  7. 請求項4から6のいずれか1つに記載の応力腐食割れ試験装置であって、
    前記治具本体は、炭素鋼で形成されていることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の応力腐食割れ試験装置であって、
    前記試験容器内に配置され、前記混合物に先端が埋められた参照電極と、
    前記試験体と前記参照電極との間の浸漬電位差を計測する浸漬電位計測器と、
    を備えることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1つに記載の応力腐食割れ試験装置であって、
    前記試験水溶液は、中性水溶液またはアルカリ性水溶液であり、前記緩衝材は、けい砂であることを特徴とする応力腐食割れ試験装置。
  10. 放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験方法であって、
    チタン材で形成された試験体に、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、前記試験体と電気的に接続されており、金属材料で形成され、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有する荷重負荷手段で荷重を負荷し、試験容器内に前記試験体と前記荷重負荷手段とを試験水溶液と緩衝材との混合物で埋めて配置することを特徴とする応力腐食割れ試験方法。
  11. 放射性廃棄物処分容器の表面に設けられるチタン層の応力腐食割れを評価する応力腐食割れ試験方法であって、
    チタン材で形成された試験体に荷重負荷手段で荷重を負荷し、前記試験体と、前記試験体の浸漬電位を試験電位とするために、金属材料で形成され、前記試験体の接液面積よりも大きい接液面積を備え、前記試験電位と同じ浸漬電位を有する電位調整金属体とを電気的に接続し、試験容器内に前記試験体と前記荷重負荷手段と前記電位調整金属体とを試験水溶液と緩衝材との混合物で埋めて配置することを特徴とする応力腐食割れ試験方法。
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