JP6047150B2 - 血小板感受性に関係する方法と組成物 - Google Patents

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Description

本発明は血小板感受性を決定する方法および組成物に関する。具体的に、しかし排他的にではないが、本発明は、抗血小板剤、例えば、アスピリン(アセチルサリチル酸)に耐性の血小板において、かかる薬剤に感受性の血小板と比較して差別的に発現されるタンパク質を同定しかつ記載する。本発明はさらに、抗血小板剤に対する重要な分子マーカーまたは標的を提供することができる差別的に発現されるタンパク質を定量する方法を提供する。本発明はさらに、投与前に抗血小板剤、例えばアスピリンに対する個人の感受性を確認する方法を提供する。
血小板凝集は、動脈血栓性障害の主因であり、前記障害には心筋梗塞(心発作)、卒中、およびその他の閉塞性動脈疾患が含まれる。かかる事例において、血栓は血小板凝集経路の活性化により始まる。この経路の初期ステップはアラキドン酸のシクロオキシゲナーゼ(COX)-1酵素によるプロスタグランジンG1/G2への転化である。それ故に、COX-1活性のアスピリンによるCOX-1の阻害は、このリスクの高い患者における血栓性疾患に対する予防のために臨床的に広く用いられる。
かかる患者のアスピリン治療は成功率が高くかつ経済的である一方、アスピリンによったにも関わらず再発性動脈血栓が存在することから判断すると、この治療が部分的または完全に不成功である患者数は依然として相当残っている。現在のところ、抗血小板剤(アスピリンを含む)治療に対する個人の真の反応を予測する客観的な試験はわずかしかない。アスピリン治療に対する血小板耐性の出現率の評価は5〜75%の範囲であり(Kranzhofer & Ruef, 2006. Platelets 17(3): 163-169)、この範囲の広さは生化学または機能的試験と研究によるアスピリン耐性の究極の判断基準が存在しないことと共に、これを規定しようとする研究に使われる試験の範囲の広さにより十分説明される。現在、血小板機能とアスピリンに対する反応を試験するいくつかの方法が開示されている。これらの試験はある程度のアスピリン反応性の客観的評価を与えるものの、いずれも臨床環境における日常使用のためには十分に標準化されていない(Haubelt et al., 2005. Seminars in Thrombosis and Hemostasis 31(4): 404-410)。同様な考察は、色々な経路を介して作用する他の抗血小板治療、例えば、COX-1経路に影響しないでP2Y12プリン作動性受容体のブロッキングにより血小板機能を阻害するクロピドグレルにも当てはまる。
臨床で規定されたリスク因子および/または動脈血栓症の病歴を持つ患者を、彼らの血小板機能およびアスピリン反応性の先行試験なしにアスピリン治療に付することが通常行われる。アスピリン治療は安価かつ非侵襲性であるものの、相当なリスクが無いわけではなく、その最も重要な副作用の1つは消化管出血を伴うまたは伴わない胃潰瘍である。
アスピリンはその抗血小板効果の故に、アテローム血栓性心血管疾患の一次および二次両方の予防で用いられる。アスピリンは低価格およびその使用の長期経験、ならびに数多くの心血管試験における堅牢な成果確証によって、この目的に対して抜きん出て最も広く使われる抗血小板剤である。アスピリンは極めて有効な血小板凝集阻止を提供するものの、相当な数の個人がその抗血小板効果に耐性があり、良くても治療は無効であり最悪の場合は胃障害を含む重篤な副作用をもたらす。
アスピリン耐性の問題に対処するために、数多くの血小板機能試験が適用されてきた。しかし現在適用可能な試験は耐性の原因について何ら示唆を与えるものではない。さらに、それぞれの試験は、高度な治療システムにおける専門化された試験センター内での使用については十分堅牢であるものの、その結果は一般に、同じ試験を行う他のセンターからまたは他の試験システムからのものと比較しうるものではない。
Kranzhofer & Ruef, 2006. Platelets 17(3): 163-169 Haubelt et al., 2005. Seminars in Thrombosis and Hemostasis 31(4): 404-410
本発明者らは、抗血小板剤、例えばアスピリンに対する血小板感受性を決定して、利益を受けると思われる患者に前記抗血小板剤を投与し、その結果、その血小板レベルの耐性に応じて受ける利益が小さいかまたは全く無いと思われる患者をリスクに曝さないようにする堅牢な方法の必要性を求めてきた。
従ってかつ最も一般的な意味で、本発明は抗血小板剤、特にアスピリンに対する血小板感受性に関連するバイオマーカー、ならびにこれらバイオマーカーの血小板感受性の診断または予後判定に対する使用を提供する。また、さらなるバイオマーカーを決定する方法;治療前に抗血小板剤反応性を診断する方法;およびかかる方法を行うためのキットも提供する。
本発明はさらに、血小板感受性に関係する1以上のバイオマーカーの診断および治療の標的としての使用に関する。
本発明者らは、アスピリンの治療用量の経口投与後1か月に、耐性のあることが既知のまたは感受性であることが既知のそれぞれのサンプルから得た血小板抽出物の比較プロテオーム研究を実施した。この研究によっていくつもの血小板耐性候補マーカーを同定した。
驚いたことに、アスピリン耐性被験者から得た血小板においてアスピリン治療はほとんどのペプチド/タンパク質発現のダウンレギュレーションをもたらし、アスピリン感受性の個人から得た血小板におけるペプチド/タンパク質発現(ここではアスピリン治療後に発現が広く同じのままであるかまたは増加した)とは対照的であった。差別的に発現されたタンパク質を示す表3および4(図6)を掲げる。この最初の発見実験において同定したリーディングタンパク質マーカー(バイオマーカー)は次の通りであった:
アスピリン治療後の耐性血小板で減少するもの
1. 細胞質アクチン-1(SPAN P60709)
2. クラスリン重鎖1(SPAN Q00610)
3. 78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5)(SPAN P11021)
4. ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(SPAN P14618)
5. RAB GDP解離インヒビターα(SPAN P31150)
アスピリン治療後の耐性血小板で増加するもの
6. インテグリンβ3(糖タンパク質IIIaおよびCD61としても知られる)(Swiss Prot受託番号(SPAN P05106);(SPAN P23219)。
従って、本発明はこれらの同定したバイオマーカーを用いる、抗血小板剤、例えばアスピリンに対する血小板耐性の(例えば、診断の目的での)決定に関する。バイオマーカーの使用には、タンパク質またはそれらの断片、前記タンパク質をコードする核酸またはその相補体、および前記タンパク質と結合する抗体の使用または検出が含まれる。
本発明者らは表3、4、5および6に与えたおよび上に掲げたバイオマーカーを同定したが、本明細書に記載の方法を用いてさらなるバイオマーカーを同定することができ、そして本明細書に具体的に与えたものの代わりにまたはそれらと一緒に、これらのバイオマーカーを使用できると解釈しうる。
本発明は、抗血小板剤に対する血小板耐性を決定するためのマーカーとして、表3、4、5および6に与えたもの、またはより好ましくは、細胞質アクチン-1;クラスリン重鎖1;78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5としても知られる);ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2;RAB GDP解離インヒビターα;およびインテグリンβ3、好ましくはアイソフォームAから選択されるタンパク質またはそれらの断片、または前記タンパク質に対する抗体、または前記タンパク質またはそれらの断片をコードする核酸の存在、非存在または量の使用を提供する。
また、抗血小板剤に対する血小板耐性を決定する方法において、表3、4、5および6に与えたもの、またはより好ましくは、細胞質アクチン-1;クラスリン重鎖1;78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5としても知られる);ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2;RAB GDP解離インヒビターα;およびインテグリンβ3、好ましくはアイソフォームAから選択されるタンパク質またはそれらの断片、または前記タンパク質またはそれらの断片をコードする核酸、または前記タンパク質またはそれらの断片をコードする核酸の相補体である核酸、または前記タンパク質またはそれらの断片に対する抗体の使用を提供する。
従って、第1の態様においては、抗血小板剤に対する血小板感受性を決定する方法であって、
前記抗血小板剤を用いて治療する患者から血小板を含有するサンプルを得るステップ;
血小板耐性に関連する1以上のマーカータンパク質の前記サンプル中のタンパク質発現レベルを決定するステップ;
前記タンパク質発現レベルを対応する参照レベルと比較するステップ;および
前記参照レベルと比較した前記1以上のマーカータンパク質の発現レベルの差異に基づいて抗血小板剤に対する血小板感受性を決定するステップ
を含むものである前記方法を提供する。
好ましくは、1以上のタンパク質マーカーは表3、4、5または6から選択される。
対応する参照レベルまたは対照レベルは、同じ個人から得たサンプル中のそれぞれのマーカータンパク質の前記抗血小板剤による治療前の発現レベルの決定により得ることができる。あるいは、参照レベルは、複数のサンプルまたはin vitro研究からそれぞれ得た抗血小板剤治療の前および後の血小板サンプル中の前記マーカータンパク質の発現レベルからあらかじめ決定した一式の標準参照レベルであってもよい。
一実施形態において、本方法は
個人から得た血小板を含有するサンプルを抗血小板剤と接触させるステップ;
表3、表4、表5および表6から選択される血小板耐性に関連する1以上のマーカータンパク質のタンパク質発現レベルを決定するステップ;
前記タンパク質発現レベルを抗血小板剤を用いる治療前に前記サンプルから得た前記タンパク質レベルと比較するステップ;および
前記1以上のマーカータンパク質の発現の変化に基づいて抗血小板剤に対する血小板感受性を決定するステップ
を提供してもよい。
本発明のさらなる態様においては、抗血小板剤に対する血小板感受性を決定する方法であって、
抗血小板剤を用いて治療中の個人から得た血小板を含有するサンプル中の表3、表4、表5および表6から選択される血小板耐性に関連する1以上のマーカータンパク質のタンパク質発現レベルを決定するステップ;
前記タンパク質発現レベルを同じ1以上のマーカータンパク質に対する1以上の参照発現レベルと比較するステップ;および
前記対応する参照レベルと比較した前記1以上のマーカータンパク質の発現レベルの変化に基づいて抗血小板剤に対する血小板感受性を決定するステップ
を含むものである前記方法を提供する。
上記の様に、参照発現レベルは抗血小板剤による治療前に個人から得た先のサンプルから与えることができる。あるいは、参照発現レベルは抗血小板剤耐性または抗-血小板感受性を表す他の個人および/またはin vitro研究から得た複数のサンプルからそれぞれのマーカータンパク質に対してあらかじめ決定した平均発現レベルであってもよい。
一実施形態においては、本方法は血小板を含有するサンプルを、1以上のマーカータンパク質、抗体または核酸が結合剤と結合する条件のもとで、1以上のマーカータンパク質、抗体または核酸と特異的に結合しうる結合部位を有する1以上の結合剤をその上に固定した固体支持体と接触させるステップ;および結合剤と結合した1以上のマーカータンパク質、抗体または核酸の存在または量を決定するステップを含むものである。
本発明のこの態様は抗血小板剤で治療中の個人から得た血小板を含有するサンプルを用いる。これは本発明の好ましい実施形態であって、臨床医が最もよく行うものであろう。しかしまた、抗血小板感受性の決定は、個人から得た血小板を含有するサンプルを次いでin vitroで抗血小板剤で処理して行うことも可能である。1以上のマーカータンパク質の発現レベルの変化を次いで、抗血小板治療の前および後のサンプルから得たレベルを比較することにより決定することもできる。
いくつかの実施形態において、結合剤はマーカータンパク質またはその部分と結合することができる抗体またはその断片である。他の実施形態において、結合剤は検出すべき核酸の配列と結合することができる(すなわち、相補性がある)核酸分子であってもよい。
本方法はさらに、固体支持体を、占有結合部位、非占有の結合部位または1以上のマーカータンパク質、抗体または核酸と結合することができる現像剤と接触させるステップを含んでもよい。
現像剤は標識を含んでもよく、そして本方法はサンプル中の1以上のマーカータンパク質、抗体または核酸の存在または量を表す値を得る標識を検出するステップを含んでもよい。
標識は、例えば、放射性標識、蛍光色素分子、蛍光体、レーザー染料、発色染料、高分子コロイド粒子、着色した磁性または常磁性ラテックス床、検出可能な結果を生じる反応を触媒する酵素であってもよくまたは標識はタグである。
好ましくは、1以上のタンパク質マーカーは細胞質アクチン-1;クラスリン重鎖1;78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5としても知られる);ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2;RAB GDP解離インヒビターα;およびインテグリンβ3、好ましくはアイソフォームA、またはそれらの断片から成る群より選択される。
好ましい実施形態において、本方法は複数、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上または6以上のマーカータンパク質またはそれらの断片を用いる。好ましくは、複数のマーカータンパク質にはインテグリンβ3アイソフォームAまたはそれらの断片が含まれる。一実施形態において、断片はインテグリンβ3アイソフォームAのC-末端断片であり、好ましくは配列AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)もしくはAKWDTANNPLYKEATSTFTNITYRGT(配列番号2)を含むものである。
サンプル中のタンパク質、抗体または核酸分子の存在または量を決定するための多数のアッセイが当技術分野では公知である。これらのいくつかを以下の詳細な説明において考察する。
従って、本方法は単一サンプル中の抗血小板剤に対する耐性に関係するマーカータンパク質または核酸の存在または量を決定するステップを含みうる。例えば、複数の結合剤を固体支持体上の予め規定した位置に固定してもよい。
本発明はまた、抗血小板剤、例えば薬物または医薬に対する血小板感受性のプロテオーム分析に用いることができるさらなるマーカータンパク質を決定する方法に関する。本方法は抗血小板剤、例えばアスピリンに耐性であることが既知の第1の血小板サンプルを得るステップおよび抗血小板剤、例えばアスピリンに感受性であることが既知の第2の血小板サンプルを得るステップを含むものである。本方法は次いで、第1と第2の血小板サンプルに発現されたタンパク質のレベルを比較するステップおよび耐性の血小板に差別的に発現されるタンパク質を決定するステップを含む。
この方法により決定されたさらなるマーカータンパク質を本発明の任意の態様に用いることができる。本発明はまた、1以上のマーカータンパク質の存在、発現の増加または減少を決定する上で使用するための1以上のタンパク質マーカーに特異的である結合剤も提供する。
結合剤はタンパク質マーカーまたはその部分に特異的な抗体であってもよく、またはタンパク質マーカーの存在または発現の増加または減少を表す核酸分子、例えばmRNA配列と結合する核酸分子であってもよい。
本発明者らはいくつものタンパク質マーカー(表3、4、5および6を参照)を確認し、これらから細胞質アクチン-1;クラスリン重鎖1;78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5としても知られる);ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2;RAB GDP解離インヒビターα;およびアイソフォームA、BおよびCを含むインテグリンβ3を含むものであるリーディンググループを同定した。
驚いたことに本発明者らは、インテグリンβ3に対する発現レベルの定量的変化がアイソフォームAのC-末端に現れるインテグリンβ3の1つのプロトタイプペプチドに対してだけ観察されることを発見した。本発明者らは、インテグリンβ3のC-末端に特異的な抗体は(N-末端に特異的な抗体とは反対に)アスピリン耐性被験者から得た血小板の治療後抽出物において有意に上昇した発現レベルを示す一方、アスピリン感受性の個人から得た血小板において比較的一定であることを見出した。
従って、好ましい実施形態において、本発明は本発明の方法において使用するためのインテグリンβ3アイソフォームAのC-末端と特異的に結合できる結合剤を提供する。この結合剤は抗体またはその部分であってもよい。
本発明者らはアスピリン耐性血小板においてインテグリンβ3アイソフォームAの選好的濃縮が存在することを示した。しかし、本発明者らはまた、インテグリンβ3アイソフォーム全般の対応する増加は存在しないことも示した。このことは全ての3アイソフォームに共通であるN-末端ドメインを検出することにより確認した。従って、この確認から説明されるように、アイソフォームAの増加はアイソフォームBおよび/またはアイソフォームCの発現の減少を随伴すると思われる。いずれの理論にも束縛されることなく、本発明者らは、インテグリンβ-3アイソフォーム分布の相違が、少なくとも部分的に、抗血小板剤に対する血小板の耐性機構を説明しうると仮定する。
それ故に、本発明はまた、本発明の方法に使用するためのインテグリンβ3アイソフォームBおよび/またはCを指向する結合メンバーも含む。一実施形態において、本発明はインテグリンβ3アイソフォームA、BおよびCのお互いの相対的な発現レベルの変化を確認するステップを含みうる。従って、本方法はインテグリンβ3アイソフォームA、BおよびCのC-末端のそれぞれに対して独立して特異的な結合メンバーの使用を必要としうる。各アイソフォームの相対的な発現レベルを次いで確認し、比較することができる。
一実施形態においては、結合剤が核酸配列である場合、
インテグリンβ3アイソフォームA(IGB3A)AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)もしくはAKWDTANNPLYKEATSTFTNITYRGT(配列番号2);
インテグリンβ3アイソフォームB(IGB3B)AKWDTVRDGAGRFLKSLV(配列番号3);および
インテグリンβ3アイソフォームC(IGB3C)AKWDTHYAQSLRKWNQPV(配列番号4)
から成る群より選択されるアミノ酸配列をコードする配列を含む核酸分子とハイブリダイズできることが好ましい。
結合メンバーが抗体である場合、その抗体は上に掲げたアミノ酸配列を含むタンパク質のいずれかの部分に特異的であってもよい。
特異的なマーカータンパク質に対して生じる抗体は前記タンパク質のいずれかの生物学的に関連する状態に対して生じる抗体であってもよい。従って、例えば、それらは体内にグリコシル化型で存在するタンパク質の非グリコシル化型に対して、前記タンパク質の前駆体型に対して、または前駆体タンパク質のより成熟した、例えば、そのシグナル配列を差し引いた型に対して、または前記マーカータンパク質の関連するエピトープを運ぶペプチドに対して生じる抗体であってもよい。
本発明による結合剤は好ましくは固体支持体と結合している。これは抗体アレイまたは核酸マイクロアレイの形態であってもよい。このようなアレイは当技術分野で周知である。好ましい実施形態において、アレイ型に含有される本発明の結合剤はアレイ上の結合剤の総数の20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以上を形成する。
本発明の好ましい実施形態において、本方法は表2ならびに図7および8に掲げた対応する遷移体の1以上を用いる選択反応モニタリング(Selected Reaction Monitoring)により、抗血小板剤を用いて治療した個人から得たサンプル中の配列番号5〜42および配列番号43および44から選択されるペプチドの1以上の発現レベルを決定するステップ;
前記ペプチドレベルを、前記抗血小板剤に対して血小板耐性を表すことを予め確認したペプチドレベルと比較するステップ;および前記1以上のペプチドの発現の変化に基づいて抗血小板剤に対する血小板感受性を決定するステップを含むものである。前記比較ステップは既知量の対応する合成ペプチドを用いて治療した個人からのペプチドの量を決定するステップを含んでもよい。合成ペプチドは個人からのペプチドと配列が同一であるが、同重体タグまたは重同位体などの標識により識別することができる。
あるいは、本方法は最初に、表2ならびに図7および8に掲げた対応する遷移体の1以上を用いる選択反応モニタリング(Selected Reaction Monitoring)により個人から得た血小板を含有するサンプル中の配列番号5〜42および配列番号43および44から選択されるペプチドの1以上の発現レベルを決定するステップ;サンプルを抗血小板剤を用いて処理するステップ;第二に、表2ならびに図7および8に掲げた対応する遷移体の1以上を用いる選択反応モニタリング(Selected Reaction Monitoring)により抗血小板剤を用いて処理したサンプル中の配列番号5〜42および配列番号43および44から選択されるペプチドの1以上の発現レベルを決定するステップ;個人から得たサンプルと抗血小板剤で処理したサンプルとの間のペプチドレベルを比較するステップ;および前記1以上のペプチドの発現の変化に基づいて抗血小板剤に対する血小板感受性を決定するステップを含むものであってもよい。
好ましくは、1以上のペプチドは次のペプチド:
ミオシン LK*K*ANLQIDQINTDLNLER 配列番号5
EK*QLAAENR 配列番号6
DELADEIANSSGK*GALALEEK*R 配列番号7
INFDVNGYIVGANIETYLLEK*SR 配列番号8
タリン-1 ALEATTEHIR 配列番号9
DPPSWSVLAGHSR 配列番号10
VSEK*VSHVLAALQAGNR 配列番号11
LAQVAK*AVTQALNR 配列番号12
K*FFYSDQNVDSR 配列番号13
ビンキュリン EAEAASIK*IR 配列番号14
GILSGTSDLLLTFDEAEVR 配列番号15
SLGEISALTSK*LADLR 配列番号16
DPSASPGDAGEQAIR 配列番号17
ITGB3 K*LTSNLR 配列番号18
VLEDRPLSDK*THIALDGR 配列番号19
ITGB3A WDTANNPLYK 配列番号38
EATSTFTNITYR 配列番号39
DTANNPLYKEATSTFTNITYRGT 配列番号40
AK*WDTANNPLYK*EATSTFTNITYR 配列番号20
ITGB3B DTVRDGAGRFLKSLV 配列番号41
ITGB3C DTHYAQSLRKWNQPVSI 配列番号42
共用ITGB3 DASHLLVFTT 配列番号43
DGRLAGIVQPN 配列番号44
COX-1 VCDLLK*AEHPTWGDEQLFQTTR 配列番号21
VPDASQDDGPAVER 配列番号22
VPDASQDDGPAVERSTEL 配列番号23
WFWEFVNATFIR 配列番号24
LQPFNEYR 配列番号25
ピルビン酸キナーゼ
LDIDSPPITAR 配列番号26
LNFSHGTHEYHAETIK*NVR 配列番号27
GIFPVLCK*DPVQEAWAEDVDLR 配列番号28
TATESFASDPILYRPVAVALDTK*GPEIR 配列番号29
EAEAAIYHIQLFEELR 配列番号30
クラスリン LK*LLLPWLEAR 配列番号31
K*DPELWGSVLLESNPYR 配列番号32
NLQNLLILTAIK*ADR 配列番号33
RAB GDP K*FDLGQDVIDFTGHALALYR 配列番号34
YGK*SPYLYPLYGLGELPQGFAR 配列番号35
NPYYGGESSSITPLEELYK*R 配列番号36
K*QNDVFGEAEQ 配列番号37
[記号K*は同位体タグまたは同重体タグを保持する改変されたリシン残基を表す]から選択される。
より好ましくは、ペプチドは次のペプチドのいずれか1つから選択される:
ミオシン LK*K*ANLQIDQINTDLNLER 配列番号5
タリン-1 ALEATTEHIR 配列番号9
DPPSWSVLAGHSR 配列番号10
VSEK*VSHVLAALQAGNR 配列番号11
ビンキュリン EAEAASIK*IR 配列番号14
GILSGTSDLLLTFDEAEVR 配列番号15
ITGB3 K*LTSNLR 配列番号18
VLEDRPLSDK*THIALDGR 配列番号19
ITGB3A WDTANNPLYK 配列番号38
EATSTFTNITYR 配列番号39
DTANNPLYKEATSTFTNITYRGT 配列番号40
AK*WDTANNPLYK*EATSTFTNITYR 配列番号20
ITGB3B DTVRDGAGRFLKSLV 配列番号41
ITGB3C DTHYAQSLRKWNQPVSI 配列番号42
共用ITGB3 DASHLLVFTT 配列番号43
DGRLAGIVQPN 配列番号44
RAB GDP K*FDLGQDVIDFTGHALALYR 配列番号34
[記号K*は同位体タグまたは同重体タグを保持する改変されたリシン残基を表す]ならびに表2に見出されるそれらのそれぞれの遷移体のいずれかの1以上から選択される。
さらにより好ましくは、ペプチドとそれらのそれぞれの遷移体は次のペプチド:
ITGB3 K*LTSNLR 配列番号18
VLEDRPLSDK*THIALDGR 配列番号19
ITGB3A WDTANNPLYK 配列番号38
EATSTFTNITYR 配列番号39
DTANNPLYKEATSTFTNITYRGT 配列番号40
AK*WDTANNPLYK*EATSTFTNITYR 配列番号20
ITGB3B DTVRDGAGRFLKSLV 配列番号41
ITGB3C DTHYAQSLRKWNQPVSI 配列番号42
共用ITGB3 DASHLLVFTT 配列番号 43
DGRLAGIVQPN 配列番号 44
[記号K*は同位体タグまたは同重体タグを保持する改変されたリシン残基を表す]から選択される1、2または3つである。
本発明の方法は一個人から得た血小板を含有するサンプルからタンパク質を抽出するステップを含んでもよい。抽出したタンパク質をタグ、例えば同位体タグを用いて標識してもよい。前記方法は、標識したタンパク質を消化する酵素(例えばトリプシン、ArgCまたはAspN)を用いてタンパク質を断片化し、表2に記載のペプチドに対応するペプチドの集団を作製するステップを含んでもよい。前記方法は次いで好ましくは、既知の対照合成ペプチドの存在量と比較した1以上の表2に掲げた関係遷移体の選択反応モニタリング(SRM)を用いて1以上の前記ペプチドの相対的存在量を測定するステップを含む。当業者は、表2に掲げた遷移体が同位体タンデム質量タグで標識されるとペプチドに対して特異的であることを理解しうるであろう。無標識ペプチド、または他標識を持つペプチドに対する等価遷移体はすぐ計算することができる。
本発明はさらに、表2(配列番号5〜37)および配列番号38〜42および配列番号43および44に与えられたグループから選択される1以上の合成ペプチドを含むものである調製物を提供する。
より好ましくは、本調製物は次のペプチド:
ミオシン LK*K*ANLQIDQINTDLNLER 配列番号5
タリン-1 ALEATTEHIR 配列番号9
DPPSWSVLAGHSR 配列番号10
VSEK*VSHVLAALQAGNR 配列番号11
ビンキュリン EAEAASIK*IR 配列番号14
GILSGTSDLLLTFDEAEVR 配列番号15
ITGB3 K*LTSNLR 配列番号18
VLEDRPLSDK*THIALDGR 配列番号19
AK*WDTANNPLYK*EATSTFTNITYR 配列番号20
RAB GDP K*FDLGQDVIDFTGHALALYR 配列番号34
から選択される合成ペプチドを含むものである。
さらにより好ましくは、本調製物は次のペプチド:
ITGB3 K*LTSNLR 配列番号18
VLEDRPLSDK*THIALDGR 配列番号19
ITGB3A WDTANNPLYK 配列番号38
EATSTFTNITYR 配列番号39
DTANNPLYKEATSTFTNITYRGT 配列番号40
AK*WDTANNPLYK*EATSTFTNITYR 配列番号20
ITGB3B DTVRDGAGRFLKSLV 配列番号41
ITGB3C DTHYAQSLRKWNQPVSI 配列番号42
共用ITGB3 DASHLLVFTT 配列番号 43
DGRLAGIVQPN 配列番号 44
から選択される1、2または3つの合成ペプチドを含むものである。
1以上のこれらの合成ペプチドが本発明の方法をやり遂げるキットには含まれうる。合成ペプチドを標識してこれらを内因性ペプチドと比較しうるようにし、また相対的存在量を定量することができる。
本発明のさらなる態様においては、個人における抗血小板剤に対する血小板感受性を決定するために用いるキットを提供する。前記キットによって、使用者は前記個人から得たサンプル中の、1以上のマーカータンパク質またはそれらの断片、前記マーカータンパク質に対する1以上の抗体、および前記マーカータンパク質またはそれらの断片をコードする核酸分子から選択される分析物質の存在または量を決定することができ、前記キットは
(a)分析物質と結合できる結合剤がその上に固定された固体支持体;
(b)標識を含む現像剤;および
(c)洗浄液、希釈剤およびバッファーから成る群より選択される1以上の成分
を含むものである。
結合剤は先に記載した通りでありうる。特に、マーカータンパク質またはその断片を検出するために、結合タンパク質は細胞質アクチン-1;クラスリン重鎖1;78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5としても知られる);ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2;RAB GDP解離インヒビターα;およびインテグリンβ3アイソフォームA、BまたはC、またはそれらの断片から成る群より選択されるマーカータンパク質の1以上と結合できる抗体であってもよい。
核酸分子を検出するために、結合剤は検出すべき核酸の配列に相補的である核酸であってもよい。
一実施形態において、キットはアッセイに適合しうるフォーマットの分析物質を提供しうる。上述のように、サンプル中のタンパク質、抗体または核酸分子の存在または量を決定するための様々なアッセイが当技術分野で公知である。様々な好適なアッセイを以下にさらに詳しく記載するが、これらはそれぞれ本発明の実施形態を形成する。
本キットは抗血小板剤、例えばアスピリンに対する血小板感受性を決定する方法に用いることができる。この方法を複数サンプルの全般的なスクリーニングの一部として実施してもよいし、または個人から得た単一サンプルで実施してもよい。
キットはさらに定量的な基準を与える標準を提供し、これによって1以上のマーカータンパク質の発現レベルの定量値を比較することができる。標準は抗血小板剤、例えばアスピリンに対する血小板耐性を示すマーカータンパク質発現のレベルを示してもよい。
キットはまた、本方法を実施するための印刷された取扱説明書を含んでもよい。
一実施形態において、抗血小板剤耐性または感受性を決定するためのキットは、1以上のマーカータンパク質と結合できる1以上の抗体調製物のセット、前記抗体を血小板サンプルまたは個人から得た抽出物と共にインキュベートする手段、および前記タンパク質の前記抗体との結合を定量的に検出する手段を含む。キットはまた、さらなる試薬およびバッファーおよび印刷した取扱説明書を含み、前記取扱説明書は本方法を実施する方法および任意に抗血小板剤耐性または感受性を示す定量結果を解釈する方法を詳述する。
さらなる実施形態において、本キットは質量分析試験を行うものであってもよく、1セットの参照ペプチドを含んでもよく(ここで、前記セット中のそれぞれのペプチドは上記1以上のマーカータンパク質のそれぞれを一意的に表す)、1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つのかかる一意的なペプチドがキットを設計した各タンパク質に対して用いられる(ここで、一意的なペプチドのそれぞれのセットは抗血小板剤、例えばアスピリンに感受性がある血小板および前記抗血小板剤に耐性がある血小板の標準調製物中のかかるタンパク質のレベルを反映する既知の量で与えられる)。任意に、キットはまた、血液サンプルから血小板を単離および抽出するためのプロトコルおよび試薬、タンパク質分解酵素、例えばトリプシンの精製調製物、ならびに、モニタリングすべき前駆体質量および特異的遷移体の詳細を含む前記方法の詳細なプロトコルを提供する。
本発明のさらなる態様においては、抗血小板剤耐性が薬剤(例えばアスピリン)に先天的耐性をもつ血小板集団に因るのか、または、そうでなくて、共投与された抗血小板剤以外の非ステロイド抗炎症性薬物(NSAID)により生じた一過的な耐性の形態であるのかを決定する方法であって、1以上のマーカータンパク質のレベルを、本発明の方法のいずれかを用いて、抗血小板剤およびNSAID両方の治療を受けた個人からの血小板の調製物において決定し、そして前記1以上のマーカータンパク質の検出した存在またはレベルを抗血小板剤耐性を示すレベルと比較する前記方法を提供する。もし検出した存在またはレベルが抗血小板剤耐性と一致すれば、その患者は先天的耐性を有する確証であるが、もし1以上のマーカータンパク質の存在またはレベルが正常であれば、耐性は共投与したNSAIDによるCOX-1の競合的結合、または他の因子、例えば療法に対する非接着、乏しい薬物吸着および薬物代謝の加速に因るものである。
さらなる実施形態において、本発明は個人の抗血小板剤治療を最適化する方法であって、
(a)抗血小板剤治療の短期コース(例えば、アスピリンなどの薬剤投与)を個人に施すステップ;
(b)抗血小板剤誘導フェーズの終わりに前記個人から得た血小板を含有するサンプル中のインテグリンβ、好ましくはインテグリンβ-3A、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2、クラスリン重鎖、RAB GDP解離インヒビターα、プロスタグランジンG/Hシンターゼ1(COX1)、アクチン-1および熱ショックタンパク質A5から成る群より選択される1以上のマーカータンパク質のレベルを測定するステップ:
(c)個人の血小板サンプル中に検出される1以上の前記マーカータンパク質のレベルを抗血小板剤耐性を表すことが既知の参照発現レベルと比較するステップ;および
(d)血小板耐性の存在または非存在に応じて適当な抗血小板療法を選択するステップを含むものである前記方法を提供する。
本発明の方法は好ましくは、個人から得た血小板を含有するサンプルで実施するin vitroの方法である。本方法に用いるサンプルは、好ましくは、生体サンプル、例えば、血液または血液産物、例えば、血清または血漿である。
サンプルを処理して血小板数を濃縮してもよいし、および/または、欲しない物質、例えば、非血小板細胞またはタンパク質を枯渇させてもよい。好ましい方法は低速遠心分離をして大きい細胞、特に赤血球をペレット化することである。遠心分離後、血小板の豊かな血漿を含有する上清を取り出し、本発明の方法により分析する。
抗血小板剤は好ましくは血小板凝集を阻害する薬物または医薬品である。より好ましくは、薬剤はCOX-1経路のインヒビターまたはCOX-1酵素自体のインヒビターである。好ましい実施形態において、抗血小板剤はアスピリンである。
本発明の材料と方法を用いて、抗血小板剤により治療を受ける個人において心血管または脳血管疾患の予後モニタリングの一部としての抗血小板感受性を確認することができる。心血管疾患には虚血性心臓病、例えば安定なアンギナ、および急性冠状動脈の症候、例えば心筋梗塞が含まれる。脳血管疾患は一過性虚血性発作または虚血性脳卒中であってもよい。
本発明の実施形態をここで、例を用いて、かつ、限定されるものでないが、以下の添付図を参照して説明する。本明細書に記載の全ての文書は参照により本明細書に組み込まれる。
発見および評価の両方の研究に対するサンプルを作製する作業フローである。図1A:この作業フローはどのようにして同じ無処理の標識したサンプルセットをTMT六重体発見および評価両方の実験に使用しうるかを示す。発見フェーズはGeLC-MS/MSを使用し、評価フェーズはLC-MS-SRMを使用する。アスピリン耐性に対する候補マーカーのさらなる評価は無標識の被験者サンプルの新鮮なアリコートを用いるウェスタンブロットにより行った。図1B:タンデム質量タグ(登録商標)である。TMT六重体(229Da)は5つの同位体置換を持つ6つの質量タグの同重体セットである;発見研究において、例えば、時間経過、用量-応答およびレプリカ分析に応用する。 アスピリンによる治療前:後のタンパク質レベル変化のモニタリングによる、アスピリン耐性の候補タンパク質の同定である。図2A:発見フェーズ実験において同定した血小板タンパク質の機能である。同定したタンパク質の総数は565であった。図2B:TMT発見フェーズデータのOPLS分析である。アスピリン治療前後に差別的に変化するレベルを示すペプチドが観察された。 表1は発見フェーズ実験に対するTMT標識化計画である。全部で12サンプル(2名のアスピリン耐性および4名のアスピリン感受性)被験者を2つのTMT六重体実験において標識した。それぞれのTMT六重体実験は1名のアスピリン耐性および2名のアスピリン感受性被験者を含んだ。 表2は候補タンパク質のそれぞれからのSRM定量化に対して選択したペプチドの総括表である。それぞれのペプチドに対するQ1前駆体m/zを、それぞれのQ3遷移体と共に与えた(ペプチド当たり6つまで)。太字で強調したペプチドとSRM遷移体を、被験者サンプル中の候補タンパク質の定量化に進めた。下線を引いたテキストにより強調したペプチドは患者サンプルの最終数値化から除去された、その理由は、時間的に並んだSRMが全被験者サンプルにおいて検出に再現性がなかったからである。イタリックで強調したペプチドは最終SRM法に含まれなかったが、その理由は、SRM法開発段階に時間的に並んだSRMが検出されなかったからである。 (図3−1の続き) (図3−2の続き) SRMにより分析した、選択したペプチドの総イオンクロマトグラムである。最終SRM法は64遷移体を測定し、これらは8種のタンパク質(5種の候補タンパク質と3種の正規化タンパク質)からの16ペプチドを表した。 ITGB3の分析である。図5a:C-末端だけが変化するITGB3の3つの異なるアイソフォームを示す。図5b:SRMにより分析したインテグリンβ3ペプチドの後:前比のプロットである。SRM用に選択したペプチドは図5aにて下線を引きかつ太字で示した。ペプチド1(AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR-配列番号1)はITGB3のアイソフォームAに特異的であるが、ペプチド2〜5はITGB3の3つのアイソフォーム全てに対してコンセンサスな配列を表す。図5c;ITGB3のN-およびC-末端に対する抗体を用いるウェスタンブロットにより分析したITGB3ペプチドの後:前比のプロットである。N-末端抗体はITGB3の3つのアイソフォーム全てを測定するが、C-末端抗体はアイソフォームAに特異的な配列に対して生じる。 (図5−1の続き) 表3はアスピリン耐性血小板において、感受性被験者と比較して減少することが見出されたペプチドのトップ20である。表4はアスピリン耐性血小板において、感受性被験者と比較して増加することが見出されたペプチドのトップ20である。 (図6−1の続き) ヒト血小板配列中のITGB3アイソフォームAのSRMに好適な潜在的遷移体WDTANNPLYK(配列番号38)およびEATSTFTNITYR(配列番号39)を示す。 (図7−1の続き) ヒト血小板中のITGB3アイソフォームA、BおよびCのSRMに好適な潜在的遷移体を示す。ITGB3A:DTANNPLYKEATSTFTNITYRGT 配列番号40;ITGB3B:DTVRDGAGRFLKSLV 配列番号41;ITGB3C:DTHYAQSLRKWNQPVSI 配列番号42。 (図8−1の続き) (図8−2の続き) タンパク質マーカーのFASTA配列である。 (図9−1の続き) (図9−2の続き) (図9−3の続き) (図9−4の続き) (図9−5の続き) (図9−6の続き) (図9−7の続き) (図9−8の続き) (図9−9の続き) (図9−10の続き) (図9−11の続き) (図9−12の続き) 表5は、インテグリンβ3アイソタイプ決定アッセイに用いたペプチド、遷移体質量およびTSQ Vantage(Thermo Scientific)に対する質量分析設定の表である。表6は、アスピリン耐性バイオマーカーSRMアッセイに用いたペプチド、遷移体質量およびTSQ Vantage(Thermo Scientific)に対する質量分析計設定の表である。表7は、6つのアスピリン耐性のバイオマーカーを表す16個のペプチドに対するタンパク質発現レベルとアッセイ変動係数である。 (図10−1の続き) (図10−2の続き) (図10−3の続き) インテグリンβ3を表すAspNペプチドに対する標準曲線である。パネルA−アイソフォームA;パネルB−アイソフォーム B;パネルC−アイソフォームC;パネルDおよびE−総インテグリンβ3。結果は、同じ日に行った3つの複製測定値の平均である。誤差バーは全サンプルに対してプロットされている。 アスピリン曝露1か月後のインテグリンβ3のアイソフォームA(黒色バー)および総量(明および暗の網掛けバー)の発現比である。水平線は比1を示す。直線を超えるバーはアスピリンに対する応答の増加をまた下側のバーは減少を示す。サンプル59および85は血小板 from アスピリン耐性患者から得た血小板である。サンプル6、13、22、29、30、31、34、35、39および99はアスピリン感受性の個人から得た血小板である。 アスピリン耐性の6つのバイオマーカーを表すトリプシンペプチドの標準曲線である。結果は、同じ日に行った3つの複製測定の平均である。誤差バーを全サンプルに対してプロットされている。 (図13−1の続き) (図13−2の続き) (図13−3の続き) アスピリン耐性の6つの血小板タンパク質バイオマーカー、すなわち、インテグリンβ3(総)およびインテグリンβ3アイソフォームA、熱ショックタンパク質A5、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2、RAB GDP1αおよびプロスタグランジンG/Hシンターゼの発現の比である。水平線は1の比を示す。線上のバーはアスピリンに対する応答の増加であり、下側のバーは減少である。サンプル59および85はアスピリン耐性患者から得た血小板である。サンプル6、13、22、29、30、31、34、35、39および99はアスピリン感受性の個人から得た血小板である。 (図14−1の続き) (図14−2の続き) (図14−3の続き) (図14−4の続き)
詳細な発明
用語「抗血小板剤」は血小板凝集を阻害する抗血小板剤または医薬品を含む。抗血小板剤はCOX-1経路のインヒビターまたはCOX-1酵素自体のインヒビターを含む。好ましい実施形態において、抗血小板剤はアスピリンである。
用語「抗体」はポリクローナル抗血清、モノクローナル抗体、抗体の断片、例えば、一本鎖およびFab断片、および遺伝子操作で作られた抗体を含む。抗体はキメラでもまたは単一種でもよい。
抗血小板剤に対する「耐性」、特に「アスピリン耐性」は治療用量/濃度の薬剤、例えばアスピリンの存在のもとで、凝集能力を保持する血小板の特性を意味し、その最も広い文脈で解釈されるものとする。
「質量分析アッセイ」は質量分光分析のいずれかの定量的方法を意味し、限定されるものでないが、選択反応モニタリング(SRM)、複数反応モニタリング(MRM)、同位体ドープしたペプチド、タンデム質量タグならびにSRM(TMT-SRM)およびTMTキャリブレーターを用いる絶対定量(AQUA)を含む。
用語「マーカータンパク質」または「バイオマーカー」は同定したタンパク質の翻訳後の改変を含む全ての生物学的に関係する形態を含むものである。例えば、マーカータンパク質はグリコシル化、ホスホリル化、多量体または前駆体の形態で血小板中に存在してもよい。
用語「対照」は、それから得た血小板が抗血小板剤による治療に感受性であるヒト被験者またはそれから得た血小板サンプルを意味する。
本明細書で使用する「差別的な発現」は、タンパク質または核酸発現における少なくとも1つの認識可能な差別を意味し、それは定量的に測定可能な、半定量的に評価可能なまたは定性的に検出可能な組織または体液発現の差別であってもよい。従って差別的に発現されたタンパク質または核酸は、第一の状態(例えば、感受性状態)で組織または体液中で強く発現され、第二の状態(例えば、耐性状態)で少ししかまたは全く発現されなくてもよい。逆に、それは第二の状態(例えば、耐性状態)で組織または体液中で強く発現され、第一の状態(例えば、感受性状態)で少ししかまたは全く発現されなくてもよい。さらに、タンパク質または核酸が比較する二つの状態の間でなんらかの認識可能な変化を受ければ、発現は差別的であると考えることができる。
表現「対照サンプルと比較した濃度の増加/減少」は比較のステップを実際に行うことを意味しない、何故なら、多くの場合、当業者には、濃度が異常に高いかまたは低いことは明らかでありうるからである。さらに、行われる前記比較は、予め同じ被験者において治療の初期段階にまたは治療開始前に見られた濃度についてであってもよい。
本明細書で使用する用語「診断」は、血小板が抗血小板剤治療に耐性があるかどうかを決定するステップを含む。診断は患者に対する将来の結果についての予後判定の基礎となりうる。
本明細書で使用する用語「サンプル」は、生体サンプル、例えば、血液または血液産物、例えば血清または血漿を含む。サンプルを処理して血小板の数を濃縮するおよび/または望ましくない物質、例えば、非血小板細胞またはタンパク質を枯渇させてもよい。
用語「抗体アレイ」または「抗体マイクロアレイ」は連続固体表面上の一意的な位置指定可能なエレメントのアレイを意味し、それぞれの一意的な位置指定可能エレメントには抗原に対する規定した特異性を持つ抗体が固定され、その後の標的抗原の捕獲とその後のかかる結合の程度の検出を可能にするようになっている。それぞれの一意的な位置指定可能なエレメントは、固体表面上の全ての他の一意的な位置指定可能なエレメントから間隔をおいて配置され、その結果、特定の抗原の結合と検出はいずれの隣接するかかる一意的な位置指定可能なエレメントとも干渉することがない。
用語「ビーズ懸濁液アレイ」は1以上の同定可能な異なる粒子の水性懸濁液を意味し、ここで、各粒子はそのサイズと着色または蛍光サインに関係するコード特性を有し、かかるコード特性の特別な組み合わせのビーズは全て一抗原に対する規定した特異性をもつ抗体でコーティングされ、その後の標的抗原の捕獲とその後のかかる結合の程度の検出を可能にするようになっている。かかるアレイの例は、www.luminexcorp.comに見出すことができ、ここにはLuminex(登録商標)100TMシステムのxMAP(登録商標)ビーズ懸濁液アレイの応用が記載されている。
用語「SPAN」はSwiss Prot受託番号(http://expasy.org/sprot/で利用可能なSwiss Protデータベース中のそれぞれ特定のタンパク質に関する一意的な参照番号)を意味する。当業者はSPANが2011年5月1日付けのSwiss Protバージョンに関わることを理解しうる。SPANに対するいずれかの改変は個々のSwiss Prot記録により追跡することができる。
アッセイ
次に、本発明を実施する手段として行うことができる様々なアッセイを記載する。本発明は最も一般的には抗血小板剤に対する血小板感受性の決定に関するが、抗血小板剤がアスピリンである実施形態が好ましい。従って、単純化のために、以下の記載はアスピリンだけを参照している。しかし、他の抗血小板剤、とりわけ、アスピリンと同じまたは同等の作用機構を有する抗血小板剤をアスピリンの代わりに用いることができる。
アスピリンに対する血小板感受性を決定する好ましい方法は1以上のマーカータンパク質に対する結合アッセイを実施するステップを含むものである。合理的に特異的ないずれの結合パートナーを用いてもよい。好ましくは、結合パートナーは標識される。好ましくは、アッセイはマーカーとそのタンパク質を認識する抗体、好ましくは標識した抗体の間のイムノアッセイである。抗体はマーカータンパク質タンパク質の部分または全てに対して生起する抗体であってもよい。最も好ましくは、抗体はマーカータンパク質に対して高特異性のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗ヒト抗血清である。
従って、上記マーカータンパク質は、診断サンプル中に存在するマーカータンパク質の存在、濃度の増加または減少を検出するために利用できる抗体を生起させる目的で有用である。かかる抗体は免疫診断の技術分野で周知の方法のいずれかにより生起させることができる。
サンプルは、哺乳動物または非哺乳動物の被験者の任意の健康な身体組織、とりわけ体液から採取できるが、好ましくは全血、そしてほとんどの場合、特に精製した血小板調製物である。より好ましくは、被験者は哺乳動物種、例えば、マウス、ラット、モルモット、イヌまたは霊長類である。最も好ましくは、被験者または個人はヒトである。
好ましくはイムノアッセイはタンパク質/抗体相互作用の程度を測定することにより行う。イムノアッセイのいずれの方法を用いても良い。サンドイッチアッセイが好ましい。この方法では、マーカータンパク質に対する第1の抗体を固相、例えばプラスチックのマイクロタイタープレートのウエルと結合させ、そしてサンプルと共にインキュベートし、次いで試験するタンパク質に特異的な標識した第2の抗体とインキュベートする。あるいは抗体捕獲アッセイを用いてもよい。この場合、試験サンプルを固相と結合させ、次いで抗マーカータンパク質抗体を加えて結合させる。無結合の物質を洗浄除去した後、固相と結合した抗体の量を、標識した第2の抗体、すなわち、第1の抗体に対する抗体を用いて定量する。
他の実施形態においては、サンプルと、標識したマーカータンパク質またはそれ由来のペプチドとの間で競合アッセイを実施する。サンプル中のマーカータンパク質の存在は、サンプルが、固体支持体と結合した抗マーカータンパク質抗体の限られた量に対する標識したマーカータンパク質と競合することを意味しうる。標識したマーカータンパク質またはそのペプチドを固相上の抗体と予めインキュベートしてもよく、それにより、サンプル中のマーカータンパク質は、もし存在すれば、抗体と結合したマーカータンパク質またはそのペプチドの部分と置き換わる。
さらに他の実施形態においては、2つの抗原(前記第1の抗原は試験下のサンプル中に存在しそして第2の抗原は標識したマーカータンパク質またはその断片により与えられる)を抗体との1回の共インキュベーションで競合させる。無結合の抗原を支持体から洗浄により除去した後、支持体に付着した標識の量を決定し、そしてサンプル中のタンパク質の量を予め作製した標準滴定曲線を参照して測定する。
標識は好ましくは酵素である。酵素の基質は、例えば、発色、蛍光または化学発光体であってもよい。
結合アッセイの結合パートナーは好ましくは標識した特異的結合パートナーであるが、必ずしも抗体ではない。結合パートナーは通常それ自体が標識されるが、あるいは、シグナルが例えば、他の標識した物質から作られる二次反応により検出されてもよい。
好ましい実施形態においては増幅型のアッセイが提供され、その場合には、比較的低いレベルの検出すべきタンパク質から増強された「シグナル」が作製される。増幅型イムノアッセイの1つの特定型は増強化学発光アッセイである。好都合なやり方では、抗体を、例えば、ルミノール、過酸化物基質および放出光の強度と持続時間を増強する化合物、典型的には4-ヨードフェノールまたは4-ヒドロキシ桂皮酸との化学発光反応に関わる西洋わさびペルオキシダーゼにより標識する。
増幅型イムノアッセイの他の好ましい型はイムノ-PCRである。この技法においては、抗体をPCRプライマーを含む任意のDNAの分子と共有結合し、それによりDNAはそれに結合した抗体と共にポリメラーゼ連鎖反応により増幅される。E. R. Hendrickson et al., Nucleic Acids Research 23: 522-529 (1995)を参照されたい。そのシグナルを前記のように読み出す。
微小粒子増強型比濁イムノアッセイ、例えば、M.Robersら(M. Robers et al., "Development of a rapid microparticle-enhanced turbidimetric immunoassay for plasma fatty acid-binding protein, an early marker of acute myocardial infarction", Clin. Chem. 1998; 44:1564-1567)に記載の型のアッセイは、アッセイの時間を有意に短縮する。従って、広く用いられる臨床化学分析器、例えば、M.Robersら(前掲)が記載したCOBASTM MIRA Plusシステム(Hoffmann-La Roche)、またはAxSYMTMシステム(Abbott Laboratories)が意図するいずれかのイムノアッセイの全自動化は可能であり、血小板耐性の日常定量に応用されるに違いない。
あるいは、試験対象の血小板を含有するサンプルを二次元ゲル電気泳動で処理して染色ゲルを得てもよく、この場合、タンパク質濃度の増減は染色ゲル上のタンパク質含有スポットの強度の増減により検出することができる。これを次いで対応する対照または比較しうるゲルと比較することができる。本発明は、かかる方法を、上記のマーカータンパク質同定とは関係なく含むものである。
さらに他の実施形態においては、血小板を含有するサンプルを表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析(SELDI-TOF)で処理してもよい。この方法において、サンプルは典型的には体液であり、SELDI-TOFプロテインチップの表面上に加えた後にSELDI-TOF質量分析計で分析する。ヒト組織サンプルのSELDI-TOF分析の一般的な方法は国際特許出願WO 01/25791に提供されている。
なおさらなる実施形態においては、診断サンプルを三連四重極(QQQ)質量分析計または四重極イオントラップ(QTRAP)質量分析計の選択反応モニタリング(SRM)による分析で処理してもよい。下記のマーカータンパク質の質量分析プロファイルに基づいて、良いイオン化特性を持つ特定の既知の質量およびアミノ酸配列の単一トリプシンペプチドが同定される。質量分析計を次いで特定の質量と配列のペプチドを特異的に調査しかつそれらの相対的シグナル強度を報じるようにプログラムする。SRMを用いると、1回のLC-MS試験で2、5、10、15、20、25、30、40、50または100までの異なるマーカータンパク質を調査することができる。診断サンプル中のマーカータンパク質の一意的なペプチドに関係するSRM遷移体の強度を、関係する対照被験者から得たサンプル中に見出されるこれらと比較する。
本発明のさらなる実施形態においては、マーカータンパク質のSRMペプチドに対応する合成絶対定量(AQUA)ペプチドから成る内部参照標準の使用により、SRMアッセイをより厳密に定量的に行うことができ、その場合、1以上の原子が安定な同位体、例えば炭素-14または窒素-15で置換されており、かかる置換が診断サンプル由来の未変性のSRMペプチドと規定された質量差を有するAQUAペプチドを生じる。未変性のSRMとAQUAペプチドの相対的イオン強度を比較することにより診断サンプルの親タンパク質の真濃度を決定することができる。絶対定量化の一般的方法は、参照により本明細書に組み込まれるGerber、Scott A,ら(Gerber, Scott A, et al. "Absolute quantification of proteins and phosphoproteins from cell lysates by tandem MS" PNAS, June 10, 2003. Vol 100. No 12. p 6940-6945)に記載されている。
アスピリン耐性およびアスピリン感受性の血小板のプロテオーム分析
アスピリン耐性に感受性のロバストでかつ信頼しうるマーカーの不足を解決するために、本発明者らはアスピリンの治療用量(毎日300mg)を1か月間、経口投与した後に、耐性および感受性が既知であるサンプル由来の血小板抽出物の比較プロテオーム研究を行った。
概略を述べると、機能的に文書化された耐性(n=2)または感受性(n=4)の個人から採取した血液より血小板を精製した。それぞれの事例において、整合したサンプルをアスピリ治療前および後に採取した。タンパク質を抽出し、還元しかつアルキル化した後、同重体質量タグの六重体セット(TMT六重体、Proteome Sciences plc;図1bを参照)を用いて標識した。標識した後、6サンプルのセットを無作為化スケジュールに従ってプールし、1次元SDS-PAGEで処理した。各ゲルレーンを17バンドに切断し、各バンドをトリプシンを用いてゲル消化した後、LC-MS/MSにより分析してタンパク質同定を可能にした。各タンパク質の相対的定量は、アスピリン耐性と感受性血小板の間のレベルの差を示す6つのTMTレポーターイオンとタンパク質のそれぞれに対するイオン強度と曲線下面積を比較することにより達成した。
総数565の標識したペプチドを分析し、血小板耐性のいくつもの候補マーカーを同定した。驚いたことに、アスピリン耐性被験者ではアスピリン治療がほとんどペプチド/タンパク質発現のダウンレギュレーションをもたらし、アスピリン感受性個人から得た同じペプチド/タンパク質がアスピリン治療のもとで発現が広く同様であるかままかまたは増加したのと対象的であった。
この最初の発見実験で同定したリーディングタンパク質マーカーは次の通りであった:
アスピリン治療後の耐性血小板中で減少するもの
1. 細胞質アクチン-1(SPAN P60709)
2. クラスリン重鎖1(SPAN Q00610)
3. 78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5(SPAN P11021)としても公知)
4. ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(SPAN P14618)
5. RAB GDP解離インヒビターα(SPAN P31150)
[ここで、この発見結果は、本発明者らが観察したように、このタンパク質の複数の型、増加するいくつかのペプチド、例えばC-末端領域、および減少する他のペプチドが存在することを示す。これは、このタンパク質の翻訳後改変における変化がアスピリン耐性と連結しうることを示唆するのであろう]
アスピリン治療後の耐性血小板中で増加するもの
6. インテグリンβ3(Swiss Prot受託番号(SPAN P05106);(SPAN P23219)アイソフォームA。
さらにハウスキーピングタンパク質タリン-1(SPAN Q97490)、ミオシン(SPAN P35579)およびビンキュリン(SPAN P18206)が正規化のためのSRM実証方法に含まれる。
血小板-耐性マーカー候補に対する質量分析アッセイの開発
アスピリン耐性の候補マーカーを立証するために、発見実験で調製したTMT標識したトリプシンペプチドの選択反応モニタリング(SRM)を用いる質量分析アッセイを開発した。質量分析においてSRMは最高負荷サイクルによる走査型であり、三連四重極(QQQ)質量分析計において高感度で1以上の特異的イオン遷移体のモニタリングに用いられる。ここで、Q1は特定の親イオン質量対電荷比(m/z)(Q1はスキャンされない)に設定され、選んだペプチド前駆体がQ2中に通過するようにする。Q2でペプチドは断片化され、SRM法のそれぞれのペプチドに対して、衝突エネルギーがその親イオンの最適な診断電荷断片(遷移体)を生じるように設定され、そして親イオンはQ3中に通過する。最後に、Q3が続いて、診断断片の特異的m/zに設定され、その結果、この正確な遷移体をもつイオンだけが検出されうる。歴史的に、薬物代謝物などの小分子を定量するために使われていて、同じ原理をペプチド、あるいは内因性部分またはタンパク質の酵素消化物から産生されるものに応用することができる。再び歴史的に、実験を三連四重極質量分析計を用いて行ったが、四重極をイオントラップと組み合わせする最近のハイブリッド計器設計の導入により類似したおよび改善された実験を行うことが可能である。現代的な設備、例えばABI 4000 QTRAP(ハイブリッドイオントラップ/四重極)およびTSQ Vantage(三連四重極質量分析計)では、多数の個々のSRMスキャンを1つの実験中に一緒にループさせて複雑な混合物中の多数の特異的イオン(100までの異なるイオン)の存在を検出することができるそれ故に、現在では1回のクロマトグラフィ分離で多数のタンパク質からの複数ペプチドを測定しかつ定量することが実行可能である。SRM LCピーク下の面積を用いて存在する分析物質の量を定量する。典型的な実験では、標準濃度曲線を目的の分析物質に対して作製する。未知サンプルを次いで同一条件下で試験し、未知サンプル中の分析物質の濃度をピーク面積と標準濃度曲線を用いて決定することができる。
いくつかの血小板耐性の候補マーカーを上記のアスピリン耐性およびアスピリン感受性血小板のプロテオーム分析の結果に基づいて選んだ。タンパク質プロスタグランジンG/Hシンターゼ1(COX1)もその既知の役割に基づいて、アスピリンおよび他の非ステロイド抗炎症性医薬に対する標的として含ませた。さらに、ハウスキーピングタンパク質タリン-1(SPAN Q97490)、ミオシン(SPAN P35579)およびビンキュリン(SPAN P18206)が正規化の目的でSRMの立証方法に含ませた。
本発明に対して、1セットのプロテオタイプのペプチド(標的タンパク質中に一意的に存在するペプチド)をアスピリン耐性マーカー(インテグリンβ3;COX1;ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2;クラスリン重鎖1;RAB GDP解離インヒビターα)から検出した全てのペプチドから選択し、3種のハウスキーピングタンパク質(ミオシン;タリン-1;ビンキュリン)をアッセイ正規化に用いた。同じサンプルをSRMアッセイ開発に利用できたことは、用いた発見方法の特に有利な特徴であった。しかし、無処置タンパク質のTMT標識の使用は標識したリシン残基におけるトリプシン切断を阻止することに注意すべきである。それ故に、トリプシン消化はC-末端アルギニンを持つ、より長いペプチド(ARG-c様パターン)をもたらす。リシンで切断された小さいトリプシンペプチドも使用しうることは本発明の一態様である。インテグリンβ3(糖タンパク質IIIa)のアイソフォームβ3Aを決定するために好適なペプチドの一例を図7に示す。他のアスピリン耐性マーカーに対する通常のトリプシンペプチドの類似した選択は、利用しうるコンピューターツール、例えばPinpointTM(Thermo Scientific)を用いて、本明細書に開示した配列から容易に決定することができる。
SRMアッセイデータは、発見の過程で見られたインテグリンβ3に対する定量的変化を立証した。インテグリンβ3はβ3A、β3Bおよびβ3Cと名付けられた3つの明確なアイソフォームを有する。図5Aはこれらのヒトインテグリンβ3(糖タンパク質IIIa)のアイソフォームに対するアミノ酸配列および定量的SRM法を開発するために用いた5つのタンパク質分解性ペプチドの部位を示す。驚いたことに、アスピリン耐性に関連する診断の定量的変化は、「A」アイソフォームのC-末端に一意的であるインテグリンβ3のプロトタイプペプチドの1つについてだけ観察された。本研究で作製したその他のITGB3トリプシンペプチドはインテグリンβ3の全ての3つのアイソフォームに共通であり(図5A)、アスピリン感受性およびアスピリン耐性被験者から得た血小板の間で差異を示さなかった(図5パネルAおよびB)。
この驚くべき発見を立証するために、アスピリン感受性およびアスピリン耐性を持つ前記個人から得た血小板の新鮮な抽出物を、ITGB3アイソフォームAのN-末端およびC-末端のいずれかに特異性を持つ抗体を用いてウェスタンブロットで処理した。タンパク質N-末端を認識する抗体を用いた場合、インテグリンβ3の染色強度は、アスピリン治療前および後で、血小板の反応性に関わらず一致し、血小板中のインテグリンβ3の全体の変化は無いことを示唆した。しかし、C-末端選択的抗体を用いると、検出したインテグリンβ3の発現は、アスピリン耐性被験者から得た血小板の治療後の抽出物において有意に上昇する一方、アスピリン感受性の個人から得た血小板では相対的に一定のままであった(図5C)。
SRMとウェスタンブロットデータの間の相関に基づくと、アスピリン耐性血小板においてITGB3アイソフォームAの選好的濃縮が存在すると結論するのが合理的である。
上述の通り、アスピリン治療に対する血小板耐性の機構は完全に理解されてないが、本発明者らはITG3Bアイソフォーム分布の差異が耐性の機構を少なくとも部分的に説明しうると仮定する。
それ故に、血小板中のITGB3アイソフォームプロファイルの分析を実施することは、本発明の望ましい実施形態である。これはITGB3 mRNA発現プロファイルのゲノム分析、ITGB3アイソフォーム特異的遺伝子密度の分析により、または、より好ましくは、3つのアイソフォームのレベルを全ITGB3負荷のパーセントとして測定することにより行うことができる。本発明者らは、SRMアッセイにおいてC-末端ペプチドを用いてβ3Aアイソフォームを識別できることを示した。アイソフォーム特異的SRM法を作製するために、本発明者らは、アスパラギン酸残基のN-末端サイドで切断するタンパク質分解酵素Asp-Nの使用に基づいて、それぞれのヒトITGB3アイソフォームに対して特異的なペプチドを設計した。それぞれのアイソフォームに対する特異的ペプチドおよび遷移体を図8に与える。これらのペプチドはそれぞれ本発明の一態様を形成する。
実施例1 差別的に発現されるアスピリン耐性のタンパク質マーカーの発見
アスピリン耐性被験者の決定
94名の健常な被験者から、2名の被験者を血小板凝集測定の測定値(アゴニストのアラキドン酸およびADP)および尿中の11-デヒドロTXB2を用いてアスピリン耐性と決定した。真アスピリン耐性被験者と規定するには、被験者が両方の基準について異常な応答を有しなければならない。被験者は毎日300gアスピリンを1か月間摂取した。
血小板サンプルの調製
被験者から60mlの全血液を肘前静脈から蝶型(登録商標)19-ゲージニードルを用いて採取し、NaClクエン酸三ナトリウム(最終濃度0.38%)中に採集した。血液を遠心分離(10分間、210 x g、室温)し、血小板の濃厚な血漿(PRP)を作製し、これを新しく洗浄したセファロースTM CL-2Bゲルカラムに適用した。血小板をカラムからNa-Tyrode液(0.82% NaCl、0.022% KCl、0.022% KH2PO4、0.1% グルコース、0.052% HEPES(Na塩)、0.068% HEPES(酸)、0.008% MgCl2.H2O、0.38% クエン酸三ナトリウム)を用いて溶出し、ゲル濾過した血小板(GFP)を得た(Fine et al., 1976, Am J Pathol 84:11-24, 197)。GFPを次いで5ml体積に分割し、1660 xg、20分間、4℃にて遠心分離して血小板ペレットを得た。ペレットを100μl血小板溶解バッファー(0.88% NaCl、0.21% NaF、0.018% オルトバナジン酸Na、0.39% Tris塩基)に氷上で30分間溶解し、氷上でさらに5分間超音波処理した。溶解したサンプルを6500 xgにて1分間4℃で遠心分離し、エッペンドルフに移し、そして-80℃にてプロテオーム実験が必要とするまで貯蔵した。
BCAタンパク質アッセイ
血小板タンパク質濃度はBCA(ビシンコニン酸)による比色アッセイを用いて「ビウレット」反応に基づいて定量した(Smith et al., 1985, Circulation 99, 620-625)。この反応では、タンパク質をCu2+を含有するアルカリ溶液に加えると、Cu1+への還元が起こって着色複合体が形成される。この複合体は1分子のCu1+による2分子のBCAのキレート化により形成され、562nmにて強い吸収を示し、これがタンパク質濃度の増加と直線関係にある。1:1希釈の溶解液をddH2Oを用いて作り、このプロセスを各血小板サンプルに対して繰り返した。濃度0.6、0.9、1.2、1.5、1.8、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)をタンパク質標準として調製した。各BSA標準を同じ溶解バッファーに1:1で希釈し、血小板溶解液を作るのに用いた。ddH2Oブランクも、光吸収のバックグランドレベルに対する全ての吸収値を補正するために作った。次に、10μlの標準、ブランクまたは血小板溶解液(三重で)を96ウエルプレート中のウエルに加えた。BCA試薬A(BCA-Na2、2% Na2CO3.H2O、0.16% 酒石酸Na2、0.4% NaOH、および0.95% NaHCO3)と試薬B(ddH2O中の4% CuSO4.5H2O)を50:1の比で混合し、200μlをプレートの各ウエルに加え、30分間、37℃にてインキュベートした。各ウエルの吸収を、96-ウエルプレート分光光度計(Spectra Max 190)を用いて562nmで測定した。血小板溶解液中のタンパク質濃度を、吸収-対-標準BSA濃度の標準曲線から決定した。得た平均タンパク質血小板濃度は3.6μg/μlであった。
血小板サンプルの無処理タンパク質標識化
各被験者サンプル(アスピリン治療の前後)のアリコート(100μg)を、無処理タンパク質レベルでTMT六重体を用いて個々に標識した(図1)。全てのサンプルを製造業者プロトコルに従って標識した。2名のアスピリン耐性および4名のアスピリン感受性被験者(全部で12サンプル)から得たアスピリン治療前後のサンプルを選択して発見フェーズ実験を行った。TMT六重体による標識化については、12サンプルを2セット標識化した(表1)。発見フェーズ実験については、30μgアリコートの各標識サンプルをTMT六重体実験で組み合わせた。残りの70μgは別に保存して立証段階に備えた。
GeLC-MS/MSを用いる発見実験
GeLC-MS/MSによる分析に先立って、30μgの各サンプルをTMT六重体実験で1:1:1:1:1:1で混合した。組み合わせたサンプルをGeLC-MS/MSにより分析し、全ゲルレーンを15セクションに切除した。各セクションを75μM C18 PepMap カラム上のRP-クロマトグラフィにより2時間LC勾配(1-40% ACN;0.05% FA、200nl/min)にわたって分離した。ペプチドをESIによりQ-Tof micro(Waters)に付属したZスプレー源を用いてイオン化した。データに応じて取得することにより、その強度に基づく前駆体イオンの選択が可能になり、CID断片化による配列決定を行った。衝突エネルギープロファイルをTMT標識したペプチドの分析用に最適化した。無処理タンパク質標識化とその後のトリプシン消化によりArg-Cペプチドを作製した。
血小板タンパク質を同定するために、スペクトルデータをヒトIPIデータベースに対してMascot(v2.1)を用いて、固定した改変TMT六重体(リシン)および可変の改変カルバミドメチル(C)、酸化(M)で検索した。タンパク質同定を足場2およびマニュアル確証を用いて確証した。定量のためにTMTレポーターイオン強度をMascotから抽出し、全レポーターイオン強度値の合計に対して基準化し、サンプル調製の結果の実験変動を説明した。それぞれのペプチドに対するアスピリン治療前後の比を多変量解析、OPLSを用いて解析し、アスピリン耐性被験者とアスピリン感受性被験者の間にアスピリン治療前後に差別的なレベルを有するペプチドを同定した。
実施例2 血小板中のアスピリン耐性のタンパク質マーカーに対する選択反応モニタリング(SRM)の開発
TMT発見結果に基づく標的タンパク質/ペプチドの選択
候補タンパク質から発見研究で同定したペプチドがプロテオタイプでありかつロバストなSRM定量に好適な特徴を有すれば、すなわち、完全に加水分解され、既知の改変を含有せず(in vivoまたは実験での)かつQ3選択に好適なMS/MS断片を有すれば、それを採りあげた。1つのタンパク質当たり6つ迄のペプチド(表2)を選択して標的化定量を行った。
選択したペプチドに対するQ1およびQ3遷移体のm/zを、発見研究におけるデータに応じる配列決定からまたはPinpoint(ThermoFisher)を用いるシリコ分析から計算した。各遷移体に対する最適な衝突エネルギーも、発見データおよびPinpoint(ThermoFisher)を用いて計算した。ペプチド検出と定量は1ペプチド当たりの複数遷移体(1ペプチド当たり6つの遷移体迄)の時間−アラインメントに基づいた。全被験者サンプル中の複数の時間-アラインメント遷移体のうちで一貫して検出されたペプチドだけを最終の定量に用いた。その最終のSRM法を次いで実験サンプルセットの定量分析に適用した。
SRM分析
TMT標識した被験者サンプル(70/90μg、チェック)を還元し、アルキル化し、溶液で消化し、そしてRPおよびSCXクロマトグラフィにより精製した。SRM分析の前に、個々の被験者サンプルをRP-クロマトグラフィにより、9分間、ACN勾配(5〜30%)、0.2%蟻酸中、100μl/min(カラム上の全タンパク質負荷20μg)の条件で分離した。洗浄およびカラム平衡化時間を含む本方法の全試験時間は30分であった。SRMをPinpointTM ソフトウエアを介して可視化し、全てのピークを可視的に立証した。ピーク面積をMicrosoft ExcelTMに出力した。遷移体を合計してそれぞれのペプチドに対する全遷移体の総強度を得た。各アスピリン前サンプルに対するSRMピーク面積を各アスピリン後サンプルに対するSRMピーク面積と相対的に測定した。規準化はハウスキーピングタンパク質、タリンおよびビンキュリンとの比較により達成した。次いでITGB3(タンパク質の特定のアイソフォームを表すペプチドは別の測定値と考えられる)を除いて、特別なタンパク質に関係する全ペプチドの比を平均化した。最後に、アスピリン治療後:前の比をアスピリン耐性と感受性被験者の間で比較した。
糖タンパク質IIIaのウェスタンブロットによる分析
被験者から得た血小板溶解液(各10μg)を等体積のLaemmliサンプルバッファー(2x)(125mM Tris塩基、4%SDS、20%グリセリン、4%β-メルカプトエタノール、0.04%ブロモフェノールブルー)と混合し、続いて12.5% SDS-PAGEゲルに負荷した。タンパク質をPVDF膜に移し、特異的抗体を用いて次の通り検出した。対のブロットを、抗-GP111a C-末端特異的抗体(Santa Cruz Biotechnology, Item code sc-6626, C-20)または抗GP111a N-末端特異的抗体(Santa Cruz Biotechnology, Item code sc-6627, N-20)とそれぞれインキュベートした。バンドをスキャンし、濃度測定分析をImage J システム(the National Institutes of Health, Bethesda, USAが開発してJava系の画像処理プログラム)を用いて実施した。
実施例3 インテグリンβ3アイソタイプ決定のためのSRMアッセイ
インテグリンβ3およびその3つの既知アイソフォームを測定するさらに目的に適った方法を得るために、本発明者らは選択反応モニタリング(SRM)質量分析アッセイを開発した。インテグリンβ3の全てのアイソフォームに見出される共有領域を表すが、その他はヒトプロテオーム内で一意的である特異的ペプチド(DASHLLVFTT(配列番号43)およびDGRLAGIVQPN(配列番号44))を、総インテグリンβ3レベルを測定するために選択した。配列番号40、41および42に対応する3つの追加のペプチドを用いてA、BおよびC型それぞれに対するアイソタイプ特異的な定量を得た。
絶対的定量を得るために、いくつかの重同位体を運ぶそれぞれのペプチドの合成バージョンを市販業者(Thermo Scientific, Belgium)から得た。
血小板の単離と洗浄
50mlの全血液を被験者より、肘前静脈から蝶型(登録商標)19-ゲージニードルを用いてクエン酸三ナトリウム(最終濃度0.32%)中に採取した。血液を遠心分離(20分間、200 x g、室温)して血小板の濃厚な血漿(PRP)を得て、これに0.3Mクエン酸(目標値pH 6.5)を加えて酸性にした。さらに遠心分離(15分間、1200xg、室温)して血小板ペレットを作り、これを直ぐにクエン酸洗浄バッファー(組成については付表1を参照されたい)に再懸濁し、プロスタグランジンE1(Sigma)を最終濃度10nMまで加えた。残留赤血球および単球の除去をさらなる遠心分離(3分間、200xg、室温)にて行い、血小板の濃厚な上清をデカントして得た。最終の遠心分離(15分間、1200xg、室温)は洗浄した血小板ペレットを生じ、これを-80℃にて貯蔵した。
血小板溶解液の調製
洗浄した血小板ペレットを、プロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma Aldrich, UK)を含有する溶解バッファー[NaCl 150mM、Tris塩基32mM、NaF 50mM、オルトバナジン酸Na 1mM、これに1mlエチレンジアミン四酢酸(EDTA;0.1Mストック溶液)および1ml Triton-X 100を加えた後、濃HCLでpH 7.6におよび体積100mlに調節した]に再懸濁し、30分間氷上に置いた後、氷上でさらに5分間撹拌した。サンプルを遠心分離(5分間、9000xg、4℃)して細胞のデブリスを除去した。この上清を-80℃にて貯蔵した。
タンパク質濃度の測定
ビシンコニン酸アッセイ(BCA)を96ウエルプレートの分光光度計(SpectraMAX 190、Molecular Devices)用に三重で準備した。濃度10、8、6、4、2、1および0.5mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)標準を連続希釈して調製した。BCA試薬AおよびB(Pierce)を50:1希釈で調製し、200μlを各ウエルに加えた。10μLのBSA標準または血小板溶解液をこれらの指定したウエルに加えた。溶解液を含有するウエルが対照を与えた。調製したプレートを次いでインキュベートし(30分間、37℃)、そして光吸収を562nmにて測定した。標準曲線をBSA標準を用いてプロットし、血小板溶解液内のタンパク質の濃度を標準化グラフから計算した。健常な被験者から得た血小板溶解液のタンパク質濃度は21.4+/-5.96ug/uLであった。
アスピリン感受性のアセスメント
二次予防のためにアスピリンを処方された個人におけるアスピリン感受性を、機能性と生化学アッセイの組み合わせを用いて試験した。虚血性心臓病集団において、光透過率凝集測定をある範囲のアゴニストに応答するPRPについて実施し、機能的血小板活性を評価した。アスピリン療法の結果として血小板活性化の予想される阻害を示さない個人は機能的にアスピリン耐性であるとみなした。ELISAを全血液について実施し、トロンボキサンA2レベルを測定した。トロンボキサンA2レベルを抑制できない個人は生化学的にアスピリン耐性であるとみなした。
インテグリンβ3アイソタイプ決定SRMアッセイ
血小板サンプル(100μgまで)をLaemmli(2×濃縮サンプル)バッファーに1:1で希釈し、スタッキングゲル中に仕込んで全サンプルを1つのバンドに濃縮した。
ゲルバンドをImperialTM Protein Stain(Pierce)を用いて可視化し、そして全バンドを切除し、1:100に希釈してAspNでイン・ゲル消化した(Roche)。ゲル抽出したAspNペプチドを完全に乾燥した後に、インテグリンβ3アイソタイプ決定アッセイを用いて分析した。
分析に先立って、サンプルを5fmol/μLのそれぞれの重AQUAペプチド(表1参照)および200μg/mLグルカゴンを含有する溶液に再懸濁した。SRMに先立って、サンプルをRP-クロマトグラフィにより9分間にわたり0.2%蟻酸中のACN勾配(5-30%)で100μl/minにて再分離した。インテグリンβ3アイソタイプ決定アッセイは38のSRM遷移体を含有し、5つのペプチド(総インテグリンβを測定する2つのペプチドおよび各1つが3つの公知のアイソフォームA、BおよびCを測定する3つのペプチド)を網羅する。SRM遷移体を表5(図10)に掲げた。SRMサイクルタイムは2秒であり、各SRM遷移体に与えられたスキャン時間を最大化するために使われる保持時間ウインドウを伴った。洗浄および平衡化する時間を含むこの方法の全試験時間は30分であった。
データ解析
SRMをPinpoint(ThermoFisher)を介して可視化し、全てのピーク整合を可視的に立証した。ピーク面積をMicrosoft Excelに出力した。遷移体を合計してそれぞれのペプチドに対する全遷移体の合計強度を得た。内因性ペプチドの合計量(明の網掛けバー)を、100fmolスパイクした重ペプチドに対する相対的ピーク面積に基づいて計算した。アスピリンによる治療前後のサンプルを利用し得た個人については、前後の比を計算してペプチドレベルの変化を評価した。アスピリン治療前後の比をアスピリン耐性と感受性被験者の間で比較した。健常な正常コホートについて、アスピリン前後のサンプルは利用できなかったので、合計タンパク質1μg当たりの基礎pgで測定されたペプチドレベルを報じた。
結果
バッファーマトリックス中の全ペプチドは、低fmol領域で検出限界(LOD)および定量化限界(LOQ)で良い直線性を示した(図11)。次いでこれらの外部標準曲線を用いて血小板タンパク質抽出物中のインテグリンβ3(合計および各アイソタイプ)の量を定量した。予備的な用量発見研究において10μgの合計タンパク質負荷は外部標準曲線の中範囲内にインテグリンβ3レベルを与えることを見出した。プールした参照サンプルにおいて、合計インテグリンβ3の濃度は25pg/μg血小板タンパク質と計算され、アイソフォームAについてはこのレベルは55pg/μg血小板タンパク質と同等であった。合計インテグリンβ3レベルとアイソフォームAとの間の隔絶は標的タンパク質内の様々な部位における消化効率の差異を反映しうる。合計インテグリンβ3とアイソフォームの測定値に対する全体的な精度と再現性は良く、両方のアッセイについてCVは10%未満である。血小板サンプル中のアイソフォームBおよびCに対する内因性ペプチドを検出することはできなかった。アイソフォームBペプチド(配列番号41)については、これは除去できなかった有意なマトリックス妨害効果に因るものであった。アイソフォームCについては、これは、弱いシグナルは検出可能であるが、定量限界未満である内因性レベルによると思われる。
本アッセイをアスピリン耐性またはアスピリン感受性の個人から得た血小板サンプルに適用した場合(図12)、アスピリンによる治療の1か月後におけるインテグリンβ3アイソフォームAの予想される増加は2名の耐性患者において見られた。10名のアスピリン感受性患者において、大部分は、合計インテグリンβ3と比較してアイソフォームAのアスピリン誘導性の増加を示さなかったが、いくつかの事例では小さい増加が観察された。有意なこととして、アスピリン感受性患者の大部分において、アスピリンへの曝露後にインテグリンβ3アイソフォームAのレベルはレベルを保留するかまたは減少する一方、合計インテグリンβ3レベルは比較的変化がないままであった。
最後に、本アッセイを用いて29名の健康な個人におけるインテグリンβ3レベルを測定し、通常の健康な集団におけるインテグリンβのレベルを評価した。測定結果は合計インテグリンβが6.84+/-8.6pg/μgであり、そしてインテグリンβ3アイソフォームAが6.797+/-2.469pg/μgであった。これは、健常な集団内では、血小板中に見出される全てのインテグリンβ3はアイソフォームAであることを示唆した。
実施例4 アスピリン耐性の6つのバイオマーカーを同時に測定するSRM法
血小板中のインテグリンβ3のアイソタイプを決定する質量分析法の開発に加えて、本発明者らはまたアスピリン治療に応答してその発現が変わることが示された6つのバイオマーカーを測定する補完的な方法を開発した。6つのマーカーはインテグリンβ3(合計)およびインテグリンβ3アイソフォームA、熱ショックタンパク質A5、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2、RAB GDP1αおよびプロスタグランジンG/Hシンターゼである。各マーカーに対して2つもしくは3つのプロテオタイプのトリプシンペプチドを選択し、重同位体標準合成ペプチドを商業供給者(Thermo Scientific, Belgium)から購入した。
材料と方法
実施例3から得た血小板調製物をアスピリン耐性の6つのバイオマーカーを同時測定するSRM法にも用いた。
アスピリン耐性バイオマーカーSRM法
血小板アスピリン耐性アッセイバージョン2.0を用いる分析の前に、サンプルを5fmol/μLのその方法の各重AQUAペプチド(表2参照)および200μg/mLグルカゴンを含有する溶液に再懸濁した。SRMの前にサンプルをRP-クロマトグラフィにより9分間にわたり0.2%蟻酸中のACN勾配(5〜30%)で100μl/minにて分離した。血小板アスピリン耐性アッセイバージョン2は、5つのタンパク質からの17種のペプチドを網羅する96種のSRM遷移体を含有する。SRMサイクルタイムは2秒であり、各SRM遷移体に与えられたスキャン時間を最大化するために使われる保持時間ウインドウを伴った。SRM遷移体を表6(図10)に掲げた。洗浄および平衡化する時間を含むこの方法の全試験時間は30分間であった。
結果
バッファーマトリックス中の全てのペプチドは、低fmol領域で検出限界(LOD)および定量化限界(LOQ)で良い直線性を示した(図13)。次いでこれらの外部標準曲線を用いて血小板タンパク質抽出物中の6つのバイオマーカーの量を定量した。予備的な用量発見研究において20μgの合計タンパク質負荷はRAB GDP1αを除く全てのタンパク質に対する外部標準曲線の中範囲内に、レベルを与えることを見出した。合計タンパク質量を増加する試験はまた、このアッセイの全てのペプチドの測定において直線応答を示し、いずれのペプチドについてもマトリックス干渉はなかった。
このアッセイにおいて、本発明者らは標的タンパク質1つ当たり3つのペプチドを用いて測定濃度間に良い一致を見たので、将来は単一のペプチドだけ必要とすることが示唆された。プールした標準血小板消化物を測定すると、合計インテグリンβ3は約3pg/μgおよびインテグリンβ3アイソフォームAは約2.3pg/μgであった。これらの数値はインテグリンβ3アイソタイプ決定法を用いて見出した数値と異なる。しかし、これらのレベルはこの段階では比較しうるものであるべきだとは考えていない、何故なら、これらは異なるタンパク質分解酵素とペプチドを使っているからである。プールした血小板タンパク質消化物中の6つのバイオマーカーに対するそれぞれのペプチドの結果を表7(図10)に示す。
この方法を2つのアスピリン耐性と10のアスピリン感受性血小板消化物に適用して、本発明者らはインテグリンβ3アイソフォームAならびに4つの他の標的タンパク質のうちの3つ(熱ショックタンパク質A5、RABGDP1αおよびプロスタグランジンG/Hシンターゼ)の一致したアスピリン依存性発現の変化を見た。ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2については、アスピリン依存性発現のパターンはもっと可変性であった(図14)。
これらの全体の結果はアスピリン感受性と耐性の間を区別できる一式の血小板タンパク質バイオマーカーを提供するものである。
結果と考察
ここに提示した結果は、アスピリン治療前後のタンパク質発現変化のモニタリングによりアスピリン耐性を決定するための、選択したバイオマーカー候補の発見と立証を示すものである。TMT技術を適用すると、発見と評価の両方の段階に同じサンプルセットを用いることが可能であった。サンプルを無処置のタンパク質レベルで標識して、ペプチドレベルで標識する場合のサンプルプロセシングおよび消化の結果としてしばしば見られる技術的変動を低減した。
サンプルの複雑さを低減しかつ発見フェーズに同定するタンパク質の数を最大化するために、標識したサンプルを混合してGeLC-MS/MSにより分析した。大まかに言えば、血小板溶解液の分離をSDS-PAGEと17画分の各レーンカットにより実施した。各画分を次いでトリプシンによるゲル消化で処理し、続いて逆相クロマトグラフィ分離してタンデム質量分析計に直接供給した。この二次元分離手法は血小板プロテオーム中の多数のタンパク質の同定と定量を可能にする(図2AおよびB)。
発見データから、4つのタンパク質(クラスリン-重鎖-1、インテグリンβ3、Rab GDIおよびピルビン酸キナーゼ)がアスピリン耐性では差別的に発現され、アスピリンによる治療後のアスピリン感受性被験者とは対照的であることが見出された。
これらの4つのタンパク質ならびにCOX1を、SRMによる標的化分析に向けて進めることにした。COX1ペプチドおよび断片イオンをSRM分析用に選んだのは、PinpointTMソフトウエア(Thermo Scientific)を用いるsilico分析に基づくものであった。ビンキュリン、ミオシンおよびタリンはアスピリン治療の影響を受けないので一定の参照として含ませて、実験間のデータの規準化を可能にした。
重ドーピングした標準合成ペプチドの不在のもとでは、SRM法を時間アラインド遷移体の存在に基づいて設計した。SRM遷移体を発見データからおよび/またはPinpointTMソフトウエアを用いるシリコ予測により選択した。最初に、各タンパク質に対して別々にSRM法を行った(ミオシン〜21遷移体、5ペプチド;タリン-1〜21遷移体、5ペプチド;ビンキュリン〜6ペプチド、21遷移体;ITGB3〜5ペプチド、20遷移体;Cox-1〜7ペプチド、29遷移体;ピルビン酸キナーゼ〜5ペプチド、18遷移体;クラスリン〜3ペプチド、12遷移体;RAB GDP〜4ペプチドおよび19遷移体、表2)。SRM展開中に一致した時間アラインド遷移体を示さないまたは全被験者サンプル中に検出可能でないペプチドは最終の方法に含まれなかった。
最終の方法は8種のタンパク質を表す16ペプチド(64遷移体を伴う)を含有した(表2および図4)。選択したタンパク質のSRMにより標的化分析をアスピリンによる治療前後の6名の被験者サンプルにおいて行い、2つの候補タンパク質:ITGB3(4つのペプチド、18の遷移体)およびRAB GDP(1つのペプチド、4つの遷移体)および2つの標準化タンパク質;ビンキュリン(2つのペプチド、7つの遷移体)およびタリン-1(3つのペプチド、12の遷移体)の定量を得た。SRM分析後、驚いたことに、アイソフォームβ3Aに特異的な1つのITGB3ペプチド(AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR-配列番号1)だけがアスピリン感受性被験者と比較してアスピリン耐性の有意な変化を一貫して示した。タンパク質のC-末端における配列が変化するITGB3の3つのアイソフォームが存在する(図5aを参照)。3つのアイソフォーム全てに共通するITGB3ペプチドのSRM分析はアスピリンによる治療後にタンパク質レベルの差異を示さなかった。
これらの発見をさらに評価するために、同じ被験者サンプルの新しいアリコートをタンパク質のC-末端およびN-末端に対して生じた2つの抗体調製物を用いて、ウェスタンブロットにより分析した。抗体をITGB3のN-末端およびC-末端20アミノ酸に対して生じさせた。N-末端においてこの配列はITGB3の全3つのアイソフォーム間と同一であり、それ故に、全アイソフォームの合計測定値の役割を果たすが、C-末端域はアイソフォームAに高度に一意的でありアイソフォームAとアイソフォームBおよびCとの間の識別を可能にする。これが、耐性被験者においてはアスピリン感受性被験者と比較してアスピリン治療後にITGB3アイソフォームAのレベルが増加することを示すSRM結果を確証した(図5)。
ITGB3アイソフォームAに対するC-末端の定量的な差異の同定は驚くべきことであった。従来、血小板耐性は血小板糖タンパク質IIIa(ITGB3)遺伝子の遺伝性多形に付随することが示されている。特に、Macchiら(2003. JACC, 42: 1115-1119)は、ITGB3のN-末端領域に影響するA1多形はアスピリン治療後の血小板耐性に関係することを示した。逆に、Pamuckuら(2005. Am. Heart J., 149: 675-680)は、アスピリン治療に感受性のままである血小板を有する類似のグループと比較して、患者のアスピリン耐性の冠状動脈ステントを備えた患者においてかかるA1対立遺伝子の濃縮を見出せなかった。それ故に、血小板耐性におけるITGB3の役割は不明瞭なままであり、血小板耐性の正確な決定に好適なC-末端ペプチド断片の発見はこの臨床上、挑戦的な現象を管理するための新規手法を提供することは明らかである。
この結果は、アスピリン治療前後のタンパク質発現変化のモニタリングによりアスピリン耐性に対して選択された候補の決定と評価を示すことを表した。さらに、提示した実験は、新しいサンプルセットを作る必要なしに、発見に基づくおよび評価に基づく両方の実験に対するTMTの効用を実証する(図1)。
アスピリン耐性と感受性被験者を比較する、アスピリン治療前後の差別的に発現されるタンパク質の同定を適用して、アスピリン治療後の耐性血小板を伴う患者において制御されているいくつかのタンパク質が見出された。これらのタンパク質の1つ、ITGB3アイソフォームAについては、特異的なC-末端断片がアスピリン耐性被験者でアップレギュレーションされることが見られた。

Claims (40)

  1. アスピリンに対する血小板感受性を決定する方法であって、
    血小板サンプル中のインテグリンβ3のタンパク質発現レベルを決定するステップ[ここで、前記サンプルは(i)アスピリンで先に治療された個人から得たか、または(ii)個人から得て次いでin vitroでアスピリンと接触させたものである];
    前記インテグリンβ3の発現レベルを1以上の参照レベルと比較するステップ;および
    1以上の参照レベルと比較したインテグリンβ3の発現レベルの差異に基づいて、前記サンプルについてのアスピリンに対する血小板感受性を決定するステップ
    を含む前記方法。
  2. インテグリンβ3がインテグリンβ3アイソフォームAである、請求項記載の方法。
  3. インテグリンβ3のタンパク質発現レベルを決定するステップがインテグリンβ3アイソフォームA、インテグリンβ3アイソフォームBおよび/またはインテグリンβ3アイソフォームCのタンパク質発現レベルをそれぞれ決定するステップを含む、請求項または請求項記載の方法。
  4. タンパク質発現レベルを決定するステップがお互いに対する相対的なインテグリンβ3アイソフォームA、Bおよび/またはCの発現レベルの変化を決定するステップを含む、請求項記載の方法。
  5. インテグリンβ3アイソフォームA、Bおよび/またはCの発現レベルをそれぞれのアイソフォームに特異的な結合メンバーを用いて決定する、請求項記載の方法。
  6. インテグリンβ3アイソフォームAに対する前記結合メンバーがアミノ酸配列AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)に、またはアミノ酸配列AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)をコードする核酸配列を含む核酸分子に、特異的に結合しうる、請求項記載の方法。
  7. 前記結合メンバーが
    インテグリンβ3アイソフォームA(IGB3A)
    AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)もしくは
    AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYRGT(配列番号2);
    インテグリンβ3アイソフォームB(IGB3B)
    AKWDTVRDGAGRFLKSLV(配列番号3);および/または
    インテグリンβ3アイソフォームC(IGB3C)
    AKWDTHYAQSLRKWNQPV(配列番号4)
    から成る群より選択されるアミノ酸配列をコードする配列を含む核酸分子とハイブリダイズしうる核酸配列である、請求項記載の方法。
  8. 前記アイソフォーム特異的結合メンバーが抗体である、請求項記載の方法。
  9. 前記1以上の参照発現レベルが、前記個人からアスピリンによる治療前に得たサンプルで得たものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記1以上の参照発現レベルは、アスピリン耐性またはアスピリン感受性を表す他の個人および/またはin vitro研究からの複数のサンプルからの予めインテグリンβ3について決定した平均発現レベルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記血小板サンプル中のインテグリンβ3のタンパク質発現レベルを決定するステップが、
    サンプル中のタンパク質を消化してペプチドの集団を作製するステップ;および
    表2に掲げた1以上の遷移体の選択反応モニタリングを用いてインテグリンβ3から誘導される前記ペプチドの1以上の存在量を決定するステップ;
    を含
    前記比較するステップは前記1以上のペプチドの存在量を予め決定した抗血小板耐性に関係するペプチド存在量参照レベルと比較するステップを含み;
    前記血小板感受性を決定するステップは前記1以上のペプチドの存在量の差異に基づく、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記1以上のペプチドがインテグリンβ3から誘導され、そして配列番号18〜20から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 予め決定したペプチド存在量が表2から選択される対応する合成ペプチドの既知量を用いて決定される、請求項11または12に記載の方法。
  14. 予め決定したペプチド存在量が、アスピリン治療後の前記個人から得たペプチド集団を用いて決定される、請求項1113のいずれか1項に記載の方法。
  15. 表3、表4、表5および表6に提供されるものから選択される1以上のさらなるマーカータンパク質の発現レベルを決定することをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記1以上のさらなるマーカータンパク質が、細胞質アクチン-1;クラスリン重鎖1;78kDaグルコース関係タンパク質(GRP-78)(熱ショックタンパク質A5としても知られる);ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2;およびRAB GDP解離インヒビターαから成る群より選択される、請求項15記載の方法。
  17. 生体サンプル中のインテグリンβ3またはその断片のレベルを決定するために、請求項1に記載の方法において使用する結合剤。
  18. インテグリンβ3がインテグリンβ3アイソフォームAまたはその断片である、請求項17記載の結合剤。
  19. インテグリンβ3アイソフォームAのレベルをインテグリンβ3アイソフォームBおよび/またはインテグリンβ3アイソフォームCのレベルに対して相対的に決定する、請求項18記載の結合剤。
  20. 前記その断片はインテグリンβ3アイソフォームAのC-末端配列を含む、請求項18または請求項19記載の結合剤。
  21. アミノ酸配列AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)もしくはAKWDTANNPLYKEATSTFTNITYRGT(配列番号2);またはAKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)もしくはAKWDTANNPLYKEATSTFTNITYRGT(配列番号2)をコードする核酸配列を含む核酸分子特異的に結合することができる、請求項20記載の結合剤。
  22. 前記結合剤が抗体、核酸分子またはペプチドである、請求項17〜21のいずれか1項に記載の結合剤。
  23. 固体支持体に固定された、請求項17〜22のいずれか1項に記載の結合剤。
  24. さらに標識を含む、請求項17〜22のいずれか1項に記載の結合剤。
  25. 個人におけるアスピリンに対する血小板感受性決定において使用するためのキットであって、
    (a)その上に固定された、分析物質と結合することができる結合剤を有する固体支持体;
    (b)標識を含む現像剤;および
    (c)洗浄液、希釈剤およびバッファーから成る群より選択される1以上の成分
    を含
    前記分析物質が、インテグリンβ3またはその断片、インテグリンβ3またはその断片に対する1以上の抗体、およびインテグリンβ3またはその断片を発現する核酸分子から選択される前記キット。
  26. 前記インテグリンβ3がインテグリンβ3アイソフォームAである、請求項25記載のキット。
  27. 前記結合剤がインテグリンβ3アイソフォームAと特異的に結合することができる、請求項26記載のキット。
  28. インテグリンβ3アイソフォームBおよび/またはインテグリンβ3アイソフォームCとそれぞれ結合することができる結合剤をさらに含む、請求項26記載のキット。
  29. 前記結合剤が
    インテグリンβ3アイソフォームA(IGB3A)
    AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)もしくは
    AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYRGT(配列番号2);
    インテグリンβ3アイソフォームB(IGB3B)
    AKWDTVRDGAGRFLKSLV(配列番号3);および/または
    インテグリンβ3アイソフォームC(IGB3C)
    AKWDTHYAQSLRKWNQPV(配列番号4)
    から成る群より選択されるアミノ酸配列をコードする配列を含む核酸分子とハイブリダイズすることができる核酸配列である、請求項28記載のキット。
  30. 前記結合メンバーが
    インテグリンβ3アイソフォームA(IGB3A)
    AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYR(配列番号1)もしくは
    AKWDTANNPLYKEATSTFTNITYRGT(配列番号2);
    インテグリンβ3アイソフォームB(IGB3B)
    AKWDTVRDGAGRFLKSLV(配列番号3);および/または
    インテグリンβ3アイソフォームC(IGB3C)
    AKWDTHYAQSLRKWNQPV(配列番号4)
    から成る群より選択されるアミノ酸配列と特異的に結合することができる抗体である、請求項27または28記載のキット。
  31. 生体サンプルにおいてアスピリンに対する血小板感受性を決定するための調製物であって、配列番号18〜20および38〜44から成る群より選択される1以上の合成ペプチドを含む前記調製物。
  32. 配列番号5〜17および21〜37から成る群より選択される合成ペプチドをさらに含む、請求項31記載の調製物。
  33. 前記1以上のさらなる合成ペプチドが
    ミオシン LK*K*ANLQIDQINTDLNLER 配列番号5
    タリン-1 ALEATTEHIR 配列番号9
    DPPSWSVLAGHSR 配列番号10
    VSEK*VSHVLAALQAGNR 配列番号11
    ビンキュリン EAEAASIK*IR 配列番号14
    GILSGTSDLLLTFDEAEVR 配列番号15
    RAB GDP K*FDLGQDVIDFTGHALALYR 配列番号34
    から選択される、請求項31または32記載の調製物。
  34. それぞれのペプチドが水素、炭素、酸素、窒素または硫黄から選択される1以上の安定な重同位体を含有する、請求項3133のいずれか1項に記載の調製物。
  35. 前記合成ペプチドが同重体タグで標識されている、請求項3133のいずれか1項に記載の調製物。
  36. アスピリンに対する耐性の個人のリスクを評価するための、請求項3133のいずれか1項に記載の調製物。
  37. アスピリンによる治療を受ける個人において心血管の疾患または脳血管の疾患をモニタリングする方法であって、インテグリンβ3アイソフォームA、Bおよび/またはCの血小板サンプルにおける発現プロファイルを決定するステップを含む前記方法。
  38. 表2に掲げた遷移体の1以上を用いる選択反応モニタリングアッセイに配列番号18、19または20を用いる、請求項37記載の方法。
  39. 心血管の疾患が虚血性の心臓病である、請求項37または38記載の方法。
  40. 脳血管の疾患が一過性虚血性の発作または虚血性の脳卒中である、請求項37記載の方法。
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