JP6045116B2 - 低分子量モリブデンスクシンイミド錯体の改良された調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は一般に低分子量モリブデンスクシンイミド錯体の改良された調製方法に関する。
一般に、有機モリブデン化合物はエンジン油の潤滑特性を改良することが知られている。例えば、モリブデンジチオカーバメートは摩擦の減少に典型的に使用される。しかし、モリブデンジチオカーバメートはイオウを含んでおり、潤滑油に代替的なイオウ源が存在しなければ摩擦を減少させる能力をゆっくりと喪失する。有機モリブデン化合物の他の例は、硫化モリブデンポリイソブテニルスクシンイミド錯体であり、これは磨耗を仲介し、摩擦を減少させ、及び/又は酸化を抑制するために用いられる。例えば、米国特許第4,259,194号;第4,265,773号;第4,283,295号;第4,285,822号;及び第6,962,896号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0209111号明細書参照。潤滑油中のイオウの使用に関連した問題は、イオウが排出制御装置と相容れない可能性があり、腐食の問題をもたらすことがあるということである。
米国特許第4,357,149号及び第4,500,439号明細書は、モリブデン化C15−C20アルケニルスクシンイミドを開示している。これら両方の特許の実施例XIには、モリブデン化スクシンイミドが、C15−C20アルケニルコハク酸無水物をトリエチレンテトラミンと反応させ、次いでモリブデン酸溶液で処理することにより調製される。
ロシア特許第2201433号明細書は、内燃エンジンに用いられるモーターオイルの添加剤としてマレイン酸無水物で後処理されたモリブデン化スクシンイミドを開示している。ロシア特許第2201433号明細書はさらに、その添加剤がポリエチレンポリアミンのアルケニルスクシンイミドを、プロモーターとして水の存在下で、モリブデン酸アンモニウムと反応させ、得られた生成物を次いで、ポリエチレンポリアミンのアルケニルスクシンイミド1モルあたり0.2〜1.0モルの量のマレイン酸無水物と反応させることにより調製されることを開示している。ロシア特許第2201433号明細書に開示された実施例のすべてにおいて、高分子量ポリイソブテニル(950M.W.)コハク酸無水物(PIBSA)が、ポリエチレンポリアミンのアルケニルスクシンイミドの調製に使用されている。
モリブデンスクシンイミド錯体は米国特許出願公開第2009/0325832号明細書にも記載されている。これらの錯体は、(a)ポリアミンのアルキル又はアルケニルスクシンイミドを、エチレン性の不飽和カルボン酸又はその無水物と反応させ、(b)工程(a)の生成物を酸性モリブデン化合物と反応させることを含む方法により調製される。また、(a)主要量の潤滑粘度の基油、及び(b)少量のモリブデン化スクシンイミド錯体を少なくとも含む潤滑油組成物も開示されている。
特定の応用(例えば、摩耗防止、酸化抑制、及び摩擦性能)においては、添加剤は、色強度がより低いというような他の物理特性及び取り扱い特性に加えて、高濃度のモリブデンと塩基性窒素を含むことが望ましい。また、最終生成物中に粒子状物質をもたらさない方法が望ましい。
本発明の一つの態様によれば、
(a)式I又は式IIのポリアミンのアルキル又はアルケニルスクシンイミド又はその混合物
Figure 0006045116

式I
Figure 0006045116

式II
(式中、Rは約C12〜C30アルキル又はアルケニル基であり、R’は2〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、xは1〜11であり、yは1〜10である。)
を、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルと、該α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルの該式I又は式IIのスクシンイミド又はその混合物に対する添加モル比を約0.1:1〜約6:1として反応させる工程であって、反応温度を約135℃を超えないようにした上記工程、
(b)工程(a)のスクシンイミド生成物を酸性モリブデン化合物と反応させる工程であって、調製されたモリブデン化スクシンイミド錯体が室温で液体である上記工程
を含む、
モリブデン化スクシンイミド錯体を調製する方法が提供される。
他の要素のなかでも、本発明はモリブデン化スクシンイミド錯体の調製のための改良された方法という驚くべき発見に基づいている。分子のアミン部分がα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルで後処理された、低分子量アルキル又はアルケニルスクシンイミド由来のモリブデンスクシンイミド錯体は、室温で液体の生成物となり、粒子状物質の視認されない生成物となることが見出されている。
本発明の方法の他の利点は、ポリアミンのアルキル又はアルケニルスクシンイミドとα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルとの反応が約135℃を超えない温度で行われるということである。
約135℃を超えない温度でのα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルによる後処理は、有利なことに、160℃ほどの高温でマレイン無水物を使用した場合と比べて、モリブデンの量が増大し、全塩基性窒素(TBN)が改良され、摩耗性能が改良され、より望ましい物理特性と取り扱い特性(例えば、より低い流動点)を有する生成物を与える。得られた生成物はまた有利なことに、内部燃焼機関に用いるための潤滑油組成物に導入したときに、高い摩擦減少をもたらし、摩耗を抑制する。
一般に、本明細書において提供されるのは、モリブデン化スクシンイミド錯体を調製する方法であって、
(a)式I又は式IIのポリアミンのアルキル又はアルケニルスクシンイミド又はその混合物
Figure 0006045116

式I
Figure 0006045116

式II
(式中、Rは約C12〜C30アルキル又はアルケニル基であり、R’は2〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、xは1〜11であり、yは1〜10である。)
を、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルと、該α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルの該式I又は式IIのスクシンイミド又はその混合物に対する添加モル比を約0.1:1〜約6:1として反応させる工程であって、反応温度を約135℃を超えないようにした上記工程、
(b)工程(a)のスクシンイミド生成物を酸性モリブデン化合物と反応させる工程であって、調製されたモリブデン化スクシンイミド錯体が室温で液体である上記工程
を含む、
上記方法である。
一つの態様では、この方法における工程(a)の反応温度は135℃を超えない。他の態様では、この方法における工程(a)の反応温度は100℃を超えない。他の態様では、この方法における工程(a)の反応温度は80℃を超えない。
一つの態様では、R置換基は約167から約419までの、好ましくは約223から約279までの範囲に亘る数平均分子量を有する。他の態様では、Rは約C12〜約C24のアルキル又はアルケニル基であり、R’は2であり、xは2〜5である。
工程(a)では、式I又は式IIのスクシンイミド又はその混合物
Figure 0006045116

式I
Figure 0006045116

式II
(式中、R、R’、x、及びyは上述の意味を有する。)を、アクリル酸のようなα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルと反応させる。式I又は式IIの出発物質スクシンイミド又はその混合物は式IIIの無水物(Rは前述の意味を有する。)をポリアミンと反応させることにより得ることができる。
Figure 0006045116

式(III)
式IIIの無水物は、例えばSigma Aldrich Corporation(St.Louis,Mo.,U.S.A.)のような供給元から購入することができるか、当業界で周知の方法により調製することができる。一つの態様では、ポリアミンの式IIIの無水物に対する添加モル比は0.5:1〜1:1である。他の態様では、ポリアミンの式IIIの無水物に対する添加モル比は0.8:1〜1:1である。他の態様では、ポリアミンの式IIIの無水物に対する添加モル比は0.9:1である。
一つの態様では、工程(a)のアルキル又はアルケニルモノ−又はビス−スクシンイミドは式I又は式IIのスクシンイミドの混合物である。他の態様では、スクシンイミド混合物中、式Iのモノスクシンイミドの式IIのビススクシンイミドに対する比は約1:1から10:1までである。他の態様では、スクシンイミド混合物中、式Iのモノスクシンイミドの式IIのビススクシンイミドに対する比は少なくとも約4:1である。他の態様では、スクシンイミド混合物中、式Iのモノスクシンイミドの式IIのビススクシンイミドに対する比は9:1である。他の態様では、スクシンイミド混合物中、式Iのモノスクシンイミドの式IIのビススクシンイミドに対する比は1:1である。
式I若しくは式IIのスクシンイミド又はその混合物の調製に用いるために適したポリアミンはポリアルキレンポリアミン又はポリアルキレンポリアミンの混合物であり、これらはポリアルキレンジアミンを包含する。このようなポリアルキレンポリアミンは典型的には約2〜約12個の窒素原子と約2〜24個の炭素原子を含むであろう。特に適したポリアルキレンポリアミンは、式:HN−(RNH)−H(式中、Rは2又は3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、xは1〜11である。)を有するものである。適したポリアルキレンポリアミンの代表例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、及びその混合物のようなポリエチレンポリアミンが挙げられる。一つの態様では、ポリアルキレンポリアミンはテトラエチレンペンタアミンである。
本発明で使用するために適したポリアミンの多くは市販されており、そうでないものは当業界で周知の方法により調製することができる。例えば、アミンを調製する方法とその反応は、Sidgewick’s”The Organic Chemistry of Nitrogen”(窒素の有機化学),Clarendon Press,Oxford,1966;Noller’s”Chemistry of Organic Compounds”(有機化合物の化学),Saunders,Philadelphia,2nd Ed.,1957;及びKirk−Othmer’s”Encyclopedia of Chemical Technology”(化学技術の百科事典),2nd Ed.,特にVolume 2,pp.99116.に詳細に記されている。
一つの態様では、式IIIの無水物を約130℃〜約220℃の温度でポリアミンと反応させる。他の態様では、式IIIの無水物を約145℃〜約175℃の温度でポリアミンと反応させる。反応は窒素やアルゴンのような不活性雰囲気の下で実施することができる。一つの態様では、反応に使用する式IIIの無水物の量は約30から約95重量%までの範囲に亘ることができる。他の態様では、反応混合物の全重量に基づいて、反応に使用する式IIIの無水物の量は約40から約60重量%までの範囲に亘ることができる。反応混合物は希釈油とともに、又は希釈油なしで混合することができる。ポリアミン:式IIIの無水物の添加モル比(CMR)は、例えば0.5:1から1:1まで変化させられる。他の態様では、この比は0.8:1〜1:1である。他の態様では、この比は0.9:1である。
適したα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸及びメタクリル酸メチルの両者のメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、及びイソブチルエステル等、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらには限定されない。好ましいα,β−不飽和モノカルボン酸はアクリル酸である。α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステルは、スクシンイミド出発化合物のアミン部分に結合してカルボン酸又はエステル官能基を提供する。式Iのスクシンイミドのα,β−不飽和モノカルボン酸による処理によれば有利なことに、十分な量のモリブデン化合物がモリブデン化コハク酸錯体と高い全塩基価(TBN)を持った生成物中に導入することができる。
一般に、α,β−不飽和モノカルボン酸は室温で液体であり、式I又は式IIのスクシンイミド又はその混合物と混合する前に加熱することを要しない。α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボン酸エステル(例えばアクリル酸)の、式I又は式IIのスクシンイミド又はその混合物に対するモル比は、例えば、約0.1:1から約6:1まで広く変えることができる。他の態様では、このモル比は1:1から6:1までである。他の態様では、このモル比は1:1から2:1までである。他の態様では、このモル比は1:1である。
本発明のモリブデン化スクシンイミド錯体を調製するために用いるモリブデン化合物は、酸性モリブデン化合物又は酸性モリブデン化合物の塩である。一般に、これらのモリブデン化合物は6価である。適したモリブデン化合物の代表例としては、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及び他のモリブデン酸アルカリ金属塩、及び他のモリブデン塩、例えば水素塩、例えばモリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl、MoOBr、MoCl、又は同様の酸性モリブデン化合物が挙げられるが、これらには限定されない。一つの態様では、酸性モリブデン化合物は、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸アルカリ金属塩である。他の態様では、酸性モリブデン化合物は、三酸化モリブデンである。
工程(b)では、工程(a)のスクシンイミド生成物と酸性モリブデン化合物の混合物が希釈剤ありで又はなしで調製される。希釈剤は、容易な攪拌に適した粘度を提供するために必要に応じて用いる。適した希釈剤は潤滑油及び炭素と水素のみを含む液体化合物である。必要であれば、水酸化アンモニウムを反応混合物に添加してモリブデン酸アンモニウムの溶液を提供してもよい。
一般に、反応混合物を約100℃以下、好ましくは約80℃から約100℃の温度で、モリブデンが十分に反応するまで加熱する。この工程の反応時間は典型的には約15分から約5時間、好ましくは約1時間から約2時間までの範囲である。モリブデン化合物の工程(a)のスクシンイミド生成物に対するモル比は約0.1:1〜約2:1である。他の態様では、モリブデン化合物の工程(a)のスクシンイミド生成物に対するモル比は約0.5:1〜約1.5:1である。モリブデン化合物の工程(a)のスクシンイミド生成物に対するモル比は約1:1である。モリブデン化合物と工程(a)のスクシンイミド生成物の反応後に存在する水があれば、反応混合物を約100℃より高い温度に加熱することにより除去する。他の態様では、モリブデン化合物と工程(a)のスクシンイミド生成物の反応後に存在する水があれば、反応混合物を約120℃から約160℃までの温度に加熱することにより、又は反応混合物を減圧下で適切な温度に加熱することにより除去する。
本発明のモリブデン化スクシンイミド錯体は一般的に室温で液体である。本発明のモリブデン化スクシンイミド錯体の流動点は典型的には120℃未満である。他の態様では、本発明のモリブデン化スクシンイミド錯体の流動点は115℃を超えない。
潤滑粘度の油
本発明の潤滑油組成物に使用するための潤滑粘度の基油は典型的には、組成物の合計重量に対し、主要量で、例えば50重量%より多い、好ましくは約70重量%より多い、より好ましくは約80から約99.5重量%、最も好ましくは約85から約98重量%の量で存在する。本明細書で用いる「基油」という表現は、単一の製造者により同じスペック(供給原料や製造者の所在地とは無関係に)で製造され、同じ製造者のスペックに適合し、且つ単一の配合、製造ID番号又はその両方により同定される潤滑成分であるベースストック又はベースストックのブレンドを意味するものと理解されるべきである。本発明で用いるための基油は、例えばエンジン油、舶用シリンダー油、油圧オイル、ギア油、トランスミッション油等のような機能性流体のようないかなる及び全ての応用のための潤滑油組成物を配合する際に用いられる、現在知られている又は後に発見される潤滑粘度の油とすることができる。また、本発明で用いるための基油は任意に、粘度指数向上剤、例えばポリマー性アルキルメタクリレート、オレフィン性コポリマー、例えばエチレン−プロピレンコポリマー又はスチレン−ブタジエンコポリマー等、及びこれらの混合物を含むことができる。
当業者なら容易に理解するように、基油の粘度は用途に依る。従って、本発明で使用するための基油の粘度は通常は摂氏100度(℃)で約2から約2000センチストークス(cSt)の範囲に亘る。一般に、エンジン油として使用される基油は個々に100℃で約2cStから約30cSt、好ましくは約3cStから約16cSt、最も好ましくは約4cStから約12cStに亘る動粘度を有し、所望の最終目的及びエンジン油の所望のグレードを与える完成油中の添加剤により選択されるかブレンドされる。例えば、0W、0W−20、0W−30、0W−40、0W−50、0W−60、5W、5W−20、5W−30、5W−40、5W−50、5W−60、10W、10W−20、10W−30、10W−40、10W−50、15W、15W−20、15W−30又は15W−40のSAE粘度グレードを有する潤滑油組成物である。ギア油として使用される油は,100℃で約2cStから約2000cStに亘る粘度を有することができる。
ベースストックは様々な異なる方法で製造することができ、その方法には蒸留、溶媒精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、及び再精製が挙げられるが、これらには限定されない。再精製されたストックは実質的に、製造、汚染、又は先の使用によって導入された材料を含んではならない。本発明の潤滑油組成物の基油は天然の潤滑基油であっても合成の潤滑基油であってもよい。適した炭化水素合成油としては、エチレンの重合から調製された油やポリα−オレフィンやPAO油のようなポリマーを提供する1−オレフィンの重合から調製された油、又はフィッシャー−トロプシュプロセスのような一酸化炭素と水素ガスを用いる炭化水素合成手順から調製された油が挙げられるが、これらには限定されない。例えば、適した基油は、重質画分をあったとしてもほとんど含まないもの、例えば、100℃で20cSt以上の粘度の潤滑油画分をあったとしてもほとんど含まないものである。
基油は天然潤滑油、合成潤滑油又はそれらの混合物由来であってもよい。適した基油としては、合成ワックスやスラックワックスの異性化により得られるベースストックだけでなく、粗原料の芳香族及び極性成分の(溶媒抽出よりもむしろ)水素分解法により製造された水素化分解ベースストックが挙げられる。適した基油としては、API規格1509、14版、付録I、1998年12月で定義されている全APIカテゴリーI、II、III、IV、及びVのものが挙げられる。グループIV基油はポリα−オレフィン(PAO)である。グループV基油はグループI、II、III又はIVに包含されない他のすべての基油を包含する。グループII、III及びIV基油は本発明で使用することが好ましいが、これらの基油はグループI、II、III、IV及びVベースストック又は基油の1種以上を組み合わせることにより調製することができる。
有用な天然油としては、例えば、液体石油、パラフィン、ナフテン若しくは混合パラフィン−ナフテンタイプの溶媒処理又は酸処理鉱物潤滑油、石炭又はシェール由来の油、動物油、植物油(例えば、菜種油、ヒマシ油、ラード油)等のような鉱物潤滑油が挙げられる。
有用な合成潤滑油としては、重合したオレフィン及び内部重合されたオレフィン、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)等及びそれらの混合物のような炭化水素油及びハロゲン置換炭化水素油;ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン等のようなアルキルベンゼン;ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル等のようなポリフェニル;アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド並びにその誘導体、アナログ及びホモログなどが挙げられるが、これらには限定されない。
他の有用な合成潤滑油としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブテン、ペンテン、及びその混合物のような、5未満の炭素原子のオレフィンを重合して作られた油が挙げられるが、これには限定されない。このようなポリマー油を調製する方法は当業者に周知である。
追加の有用な合成炭化水素油としては、適切な粘度を有するα−オレフィンの液体ポリマーが挙げられる。特に有用な合成炭化水素油は、例えば1−デセントリマーのようなC〜C12α−オレフィンの水素化液体オリゴマーである。
有用な合成潤滑油の他のクラスとしては、アルキレンオキシドポリマー、即ちホモポリマー、内部ポリマー、及び末端水酸基が例えばエステル化やエーテル化により修飾されているその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。これらの油を例示するものとして、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの重合により調製される油、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びフェニルエーテル(例えば、1000の平均分子量を有するメチルポリプロプレングリコール、500〜1000の分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、1000〜1500の分子量を有するポリプロピレングリコールのジエチルエーテル等)又はそのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えば、酢酸エステル、混合C−C脂肪酸エステル、若しくはテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステルが挙げられる。
有用な合成潤滑油のさらに他のクラスとしては、ジカルボン酸、例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸等と、様々なアルコール、例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール等とのエステルが挙げられるが、これらには限定されない。これらのエステルの具体的な例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールと2モルの2−エチルヘキサン酸を反応させることにより形成される複合エステル等が挙げられる。
合成油として有用なエステルは、約5個から約12個の炭素原子を有するカルボン酸とアルコール、例えば、メタノール、エタノール等、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール等のようなポリオール及びポリオールエーテルから得られるもの等が挙げられるが、これらには限定されない。
シリコン系油、例えば、ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−、又はポリアリールオキシ−シロキサン油、及びケイ酸エステル油等は、他の有用なクラスの合成潤滑油を含む。これらの具体的な例としては、ケイ酸テトラエチル、ケイ酸テトライソプロピル、ケイ酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ケイ酸テトラ−(4−メチルヘキシル)、ケイ酸テトラ−(p−tert−ブチルフェニル)、ヘキシル−(4−メチル−2−ペントキシ)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサン等が挙げられるが、これらには限定されない。さらに他の有用な合成潤滑油としては、リン含有酸の液体エステル、例えばトリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デカンホスホン酸のジエチルエステル等、ポリマー性テトラヒドロフラン等が挙げられるが、これらには限定されない。
潤滑油は、非精製、精製、及び再精製の油、天然、合成又は上記で開示したタイプの油のいずれか2種以上の混合物由来のものであってもよい。非精製油は天然又は合成源(例えば、石炭、シェール、又はタールサンド瀝青)から更なる精製や処理をすることなしに直接得られるものである。非精製油の例としては、レトルト採収操作から直接得られるシェールオイル、蒸留から直接得られる石油、又はエステル化プロセスから直接得られるエステル油が挙げられるが、これらに限定されず、その各々は次いで更なる処理をすることなく用いられる。精製油は、更に一つ以上の精製工程で処理して一つ以上の特性を改良することを除いては、非精製油に類似している。これらの精製テクニックは当業者に知られており、例えば、溶媒抽出、二次蒸留、酸若しくは塩基抽出、ろ過、浸出、水素処理、脱ろう等が挙げられる。再精製油は精製油を得るために用いる方法に類似した方法で使用済みの油を処理することにより得られる。このような再精製油はまた、再製油又は再処理油としても知られ、しばしば消費した添加剤や油分解産物の除去に向けたテクニックにより追加的に処理される。
ワックスの水素異性化由来の潤滑油ベースストックもまた、単独で又は前述の天然及び/又は合成のベースストックと組み合わせて用いることができる。このようなワックス異性化油は水素異性化触媒上で天然若しくは合成ワックス又はその混合物の水素異性化によりより製造される。
天然ワックスは典型的には、鉱油の溶媒脱ろうにより回収されたスラックワックス(軟ろう)である。合成ワックスは典型的にはフィッシャー−トロプシュプロセスにより製造されたワックスである。
追加潤滑油添加剤
本発明の方法により調製されたモリブデン化スクシンイミド錯体を含む潤滑油組成物は、予備的な機能を付与するための他の従来の添加剤を含んでもよく、これらの添加剤を分散させ又は溶解させた最終的な潤滑油組成物を与える。例えば、潤滑油組成物は酸化防止剤、摩耗防止剤、無灰分散剤、洗浄剤、防錆剤、霞防止剤、解乳化剤、金属不活化剤、摩擦調整剤、消泡剤、流動点降下剤、共溶媒、パッケージ相溶剤、腐食防止剤、染料、極圧剤等、及びそれらの組み合わせとブレンドすることができる。様々な添加剤が知られ市販されている。これらの添加剤又はその類似化合物は通常のブレンド手順により本発明の潤滑油組成物の調製に用いることができる。
酸化防止剤の例として、アミンタイプ、例えばジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチル−アミン、N,N−ジ(アルキルフェニル)アミン;アルキル化フェニレン−ジアミン;フェノール類、例えばBHT、立体障害アルキルフェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2−オクチル−3−プロパノイック)フェノール;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらには限定されない。
摩耗防止剤の例として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、例えば、Bornら、題名”Relationship between Chemical Structure and Effectiveness of some Metallic Dialkyl− and Diaryl−dithiophosphates in Different Lubricated Mechanisms”(様々な潤滑機構における幾つかのジアルキル−及びジアリール−ジチオリン酸金属塩の化学構造と有効性の間の関係)、Lubrication Science 4−2 January 1992、例えば97−100頁参照、による記事に記載のもの;リン酸アリール及び亜リン酸アリール、イオウ含有エステル、リンイオウ化合物、金属又は無灰のジチオカルバメート、キサンテート、硫化アルキル等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらには限定されない。
無灰分散剤の代表的な例として、アミン、アルコール、アミド、又は架橋基を介してポリマー骨格に結合したエステル極性部分が挙げられるが、これらには限定されない。本発明の無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換されたモノ及びジカルボン酸の油溶性塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド、及びオキサゾリン又はその無水物;長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体、ポリアミンを直接結合させた長鎖脂肪族炭化水素;及び長鎖置換フェノールをホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンで縮合することにより形成されたマンニッヒ縮合生成物から選択してもよい。
カルボキシル基含有分散剤は、少なくとも約34個、好ましくは少なくとも約54個の炭素原子を含むカルボキシル基含有アシル化剤(酸、無水物、エステル等)と、窒素含有化合物(例えばアミン)、有機ヒドロキシ化合物(例えば一価及び多価アルコールを包含する脂肪族化合物、又はフェノール及びナフトールを包含する芳香族化合物)、及び/又は塩基性無機材料との反応生成物である。これらの反応生成物にはイミド、アミド、エステル、及び塩が包含される。
スクシンイミド分散剤はカルボキシル基含有分散剤の一種である。これらは、ヒドロカルビル置換コハク酸アシル化剤と、有機ヒドロキシ化合物とを、又は窒素原子に結合した少なくとも1個の水素原子を含むアミンとを、又はヒドロキシ化合物及びアミンの混合物とを反応させることにより製造される。「コハク酸アシル化剤」という用語は炭化水素置換コハク酸又はコハク酸生成化合物を指し、後者はその酸自体をも包含する。このような材料は典型的にはヒドロカルビル置換コハク酸、無水物、エステル(ハーフエステルを含む)及びハロゲン化物を包含する。
コハク酸ベースの分散剤は非常に様々な化学構造を有している。一つのクラスのコハク酸ベースの分散剤は式IVで表すことができる:
Figure 0006045116

式(IV)

(式中、各Rは独立にヒドロカルビル基、例えばポリオレフィン由来の基である。)
典型的には、ヒドロカルビル基はアルケニル基、例えばポリイソブテニル基である。別の表現をすれば、R基は約40個〜約500個の炭素原子を含むことができ、これらの原子は脂肪族形態で存在してもよい。Rはアルキレン基であり、通常はエチレン(C)基である。zは1〜11である。スクシンイミド分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,172,892号、第4,234,435号、及び第6,165,235号明細書に記載されたものが挙げられる。
置換基の由来となるポリアルケンは、典型的には、2個〜約16個の炭素原子、通常は2〜6個の炭素原子の重合性オレフィンモノマーのホモポリマー及びインターポリマーである。コハク酸アシル化剤と反応してカルボキシル基含有分散剤組成物を形成するアミンはモノアミン又はポリアミンであることができる。
スクシンイミド分散剤は、通常は窒素を主としてイミド官能基の形態で含んでいるのでそのように称されるが、窒素官能基がアミン、アミン塩、アミド、イミダゾリン、及びそれらの混合物の形態で存在してもよい。スクシンイミド分散剤を調製するために、1種以上のコハク酸生成化合物及び1種以上のアミンを加熱し、典型的に水を、場合によっては実質的に不活性な有機液体溶媒/希釈剤の存在下で除去する。反応温度は約80℃から混合物又は生成物の分解温度までの範囲にまで亘り、これは典型的には約100℃から約300℃の間である。本発明のスクシンイミド分散剤を調製するための手順のさらなる詳細と例示としては、例えば、米国特許第3,172,892号、第3,219,666号、第3,272,746号、第4,234,435号、第6,165,235号、及び第6,440,905号明細書に記載のものが挙げられる。
適切な無灰分散剤としてアミン分散剤を挙げることもでき、これは比較的高分子量の脂肪族ハライドとアミン、好ましくはポリアルキレンポリアミンの反応生成物である。このようなアミン分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,275,554号、第3,438,757号、第3,454,555号、及び第3,565,804号明細書に記載のものが挙げられる。
適切な無灰分散剤としてさらに、「マンニッヒ分散剤」を挙げることもでき、これはアルキル基が少なくとも約30個の炭素原子を含むアルキルフェノールと、アルデヒド(特にホルムアルデヒド)とアミン(特にポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。このようなアミン分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,036,003号、第3,586,629号、第3,591,598号、及び第3,980,569号明細書に記載のものが挙げられる。
適切な無灰分散剤はまた、後処理したスクシンイミドのような後処理した無灰分散剤であってもよく、例えば、後処理方法としては、例えば米国特許第4,612,132号、及び第4,746,446号明細書に開示されたボレート又はエチレンカーボネートが関与するもの等、並びに他の後処理方法が挙げられる。カーボネート処理したアルケニルスクシンイミドは、約450〜約3000の、好ましくは約900〜約2500の、より好ましくは約1300〜約2400の、最も好ましくは約2000〜約2400の分子量、並びにこれらの分子量の混合を有するポリブテン由来のポリブテンスクシンイミドである。
好ましい無灰分散剤は、反応性条件下で、ポリブテンコハク酸誘導体、不飽和酸性試薬とオレフィンとの不飽和酸性試薬コポリマー、及びポリアミン、例えば米国特許第5,716,912号明細書(この内容は参照することにより本明細書中に取り込まれるものとする)に開示されたようなものの混合物を反応させることにより調製される。
適切な無灰分散剤はまた、ポリマー性であってもよく、それはデシルメタクリレート、ビニルデシルエーテル、及び高分子量オレフィンのような油溶解性モノマーの、極性置換基を含むモノマーとのインターポリマーである。ポリマー性分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,329,658号、第3,449,250号、及び第3,666,730号明細書に記載のものが挙げられる。
本発明の一つの好ましい態様では、潤滑油組成物に用いるための無灰分散剤は、約700〜約2300の数平均分子量を有するポリイソブテニル基由来のビススクシンイミドである。本発明の潤滑油組成物に用いるための分散剤は、好ましくは非ポリマー性(例えば、モノ−又はビス−スクシンイミド)である。
一般に、1種以上の無灰分散剤は潤滑油組成物中に、潤滑油組成物の合計重量に対して約0.01重量%から約10重量%の範囲の量で存在する。
金属洗浄剤の代表的な例として、スルホネート、アルキルフェネート、硫化アルキルフェネート、カルボキシレート、サリシレート、ホスホネート、及びホスフィネートが挙げられる。市販の製品は一般的に中性又は過塩基性(overbased)のものとして称される。過塩基性の金属洗浄剤は一般的には、炭化水素、洗浄剤酸、例えば:スルホン酸、アルキルフェノール、カルボキシレート等、金属酸化物又は水酸化物(例えば、酸化カルシウム又は水酸化カルシウム)及びキシレン、メタノール及び水のようなプロモーター、の混合物を炭酸塩化することにより製造される。例えば、過塩基性スルホン酸カルシウムを炭酸塩化で調製するために、酸化又は水酸化カルシウムを気体の二酸化炭素と反応させて炭酸カルシウムを形成する。スルホン酸を過剰のCaO又はCa(OH)で中和してスルホン酸塩を形成する。
適切な洗浄剤の他の例としては、ホウ素化スルホネートが挙げられる。一般に、本発明で使用するためのホウ素化スルホネートは、当業界で知られているいかなるホウ素化スルホネートであることができる。本発明で使用するためのホウ素化スルホネートは、約10から約500までの全塩基価(TBN)を有することができる。一つの態様では、ホウ素化スルホネートは、約10から約100までのTBNを有する。一つの態様では、ホウ素化スルホネートは、約100から約250までのTBNを有する。一つの態様では、ホウ素化スルホネートは、約250から約500までのTBNを有する。
ホウ素化アルカリ土類金属スルホネートは当業界で知られた方法、例えば、米国特許出願公報第20070123437号明細書(その内容は参照することにより本明細書に取り込まれるものとする)に開示されているような方法で調製することができる。例えば、ホウ素化アルカリ土類金属スルホネートは、以下のようにして調製される:(a)(i)少なくとも1種の油溶性スルホン酸又はアルカリ土類スルホネート又はこれらの混合物;(ii)少なくとも1種のアルカリ土類金属源;及び(iii)少なくとも1種のホウ素源を、(iv)少なくとも1種の炭化水素溶媒;及び(v)ホウ素源に対して0から10モル%未満の、ホウ素源以外の過塩基性酸の存在下で反応させ;そして(b)工程(a)の反応生成物を(iv)の蒸留温度より高い温度に加熱して(iv)と反応水を蒸留する方法。
金属含有又は灰形成洗浄剤は、堆積物を減少又は除去するための洗浄剤として、及び酸中和剤又は防錆剤として機能し、それにより摩耗及び腐食を減少させ、エンジン寿命を延長する。洗浄剤は一般的に長鎖の疎水性の尾(テイル)を有する極性の頭(ヘッド)を含んでなる。極性の頭は酸性有機化合物の金属塩を含む。塩は実質的に化学量論的な量の金属を含んでもよく、この場合は塩は通常は、普通の又は中性の塩として記載され、典型的には0から約80の全塩基価、即ちTBN(ASTM D2896により測定され得るものとして)を有する。過剰の金属化合物(例えば酸化物又は水酸化物)を酸性ガス(例えば二酸化炭素)と反応させるにより大量の金属塩基を導入してもよい。得られる過塩基性の洗浄剤は、中性洗浄剤を金属塩基(例えばカーボネート)ミセルの外層として含んでいる。このような過塩基性の洗浄剤は約150以上のTBNを有することができ、典型的には約250から約450以上のTBNを有しているであろう。
用いることのできる洗浄剤としては、金属、特にアルカリ又はアルカリ土類金属(例えば、バリウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、及びマグネシウム)の、油溶性の中性及び過塩基性のスルホネート、フェネート、硫化フェネート、チオホスホネート、サリシレート、及びナフテネート、並びに他の油溶性カルボキシレートが挙げられる。最も通常使われる金属は、カルシウムとマグネシウム(これらは潤滑剤で使用される洗浄剤中に両方とも存在させてもよい)、及びカルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムとの混合物である。特に好都合な金属洗浄剤は、約20から約450のTBNを有する中性及び過塩基性のカルシウムスルホネート、約50から約450のTBNを有する中性及び過塩基性のカルシウムフェネート及び硫化フェネート、及び約20から約450のTBNを有する中性及び過塩基性のマグネシウム又はカルシウムサリシレートである。洗浄剤の組み合わせは、過塩基性でも、中性でも、その両方でも、使用することができる。
一つの態様では、洗浄剤はアルキル置換されたヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩の1種以上であることができる。適切なヒドロキシ芳香族化合物としては、1〜4個の、好ましくは1〜3個の水酸基を有する単核のモノヒドロキシ及びポリヒドロキシ芳香族炭化水素が挙げられる。適切なヒドロキシ芳香族化合物としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、クレゾール等が挙げられる。好ましいヒドロキシ芳香族化合物はフェノールである。
アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩のアルキル置換部分は、約10個から約80個の炭素原子を有するα−オレフィン由来である。使用されるオレフィンは直鎖又は分岐鎖であってもよい。オレフィンは直鎖オレフィンの混合物、異性体化された直鎖オレフィンの混合物、分岐オレフィンの混合物、部分的に分岐した直鎖の混合物、又は上述のいずれの混合物であってもよい。
一つの態様では、使用することのできる直鎖オレフィンの混合物は、分子あたり約12個から約30個の炭素原子を有するオレフィンから選択される直鎖α−オレフィンの混合物である。一つの態様では、直鎖α−オレフィンは少なくとも1種の固体又は液体触媒を用いて異性体化される。
一つの態様では、オレフィンは、約20個から約80個の炭素原子を有する分岐したオレフィン性のプロピレンオリゴマー又はその混合物、即ちプロピレンの重合に由来する分岐鎖オレフィンである。オレフィンはまた、他の官能基、例えば水酸基、カルボン酸基、ヘテロ原子等により置換されてもよい。一つの態様では、分岐オレフィン性プロピレンオリゴマー又はその混合物は、約20個から約60個までの炭素原子を有する。一つの態様では、分岐オレフィン性プロピレンオリゴマー又はその混合物は、約20個から約40個までの炭素原子を有する。
一つの態様では、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸洗浄剤のアルカリ土類金属塩のアルキル基のような、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩内に含まれるアルキル基の少なくとも約75モル%(例えば、少なくとも約80モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、又は少なくとも約99モル%)は、C20以上である。他の態様では、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩は、アルキル基が少なくとも75モル%のC20以上の直鎖α−オレフィンを含む直鎖α−オレフィンの残基であるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸由来のアルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩である。
他の態様では、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩のアルキル基のような、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩内に含まれるアルキル基の少なくとも約50モル%(例えば、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、又は少なくとも約99モル%)は、約C14〜約C18である。
得られたアルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩は、オルトとパラの異性体の混合物となるであろう。一つの態様では、生成物は約1〜99%のオルト異性体及び99〜1%のパラ異性体を含むであろう。他の態様では、生成物は約5〜70%のオルトと95〜30%のパラ異性体を含むであろう。
アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩は中性又は過塩基性であることができる。一般に、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸の過塩基性のアルカリ又はアルカリ土類金属塩は、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩のTBNを塩基源(例えば石灰)及び酸性過塩基性化合物(例えば二酸化炭素)の添加のような方法により増大させたものである。
過塩基性の塩は低過塩基性、例えば約100未満のTBNを有する過塩基性塩であることができる。一つの態様では、低過塩基性塩のTBNは約5から約50であることができる。他の態様では、低過塩基性塩のTBNは約10から約30であることができる。さらに他の態様では、低過塩基性塩のTBNは約15から約20であることができる。
過塩基性の洗浄剤は中程度に過塩基性、例えば、約100から約250のTBNを有する過塩基性塩であることができる。一つの態様では、中程度に過塩基性の塩のTBNは約100から約200である。他の態様では、中程度に過塩基性の塩のTBNは約125から約175である。
過塩基性の洗浄剤は高度に過塩基性、例えば、約250超のTBNを有する過塩基性塩であってもよい。一つの態様では、高度に過塩基性の塩のTBNは約250から約450であることができる。
スルホネートは、石油の分画から、又は芳香族炭化水素のアルキル化により得られるような、アルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化により典型的に得られるスルホン酸から調製される。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル、又はそれらのハロゲン誘導体をアルキル化することにより得られるものが挙げられる。アルキル化は、約3個から70個超の炭素原子を有するアルキル化剤により触媒の存在下で実施することができる。アルカリールスルホネートはアルキル置換芳香族部分あたり通常は約9個から約80個以上の炭素原子を、好ましくは約16個から約60個の炭素原子を含む。
油溶性スルホネート又はアルカリールスルホン酸は、酸化物、水酸化物、アルコキシド、カーボネート(炭酸塩又は炭酸エステル)、カルボキシレート(カルボン酸塩又はカルボン酸エステル)、スルフィド、ヒドロスルフィド、ニトレート(硝酸塩又は硝酸エステル)、及びボレート(ホウ酸塩又はホウ酸エステル)で中和することができる。金属化合物の量は最終生成物の所望のTBNに関して選択されるが、典型的には化学量論的に必要とされる量の約100から約220重量%(好ましくは少なくとも約125重量%)の範囲に亘る。
フェノール及び硫化フェノールの金属塩は、酸化物や水酸化物のような適切な金属化合物との反応により調製され、中性又は過塩基性の生成物は当業界で周知の方法により得ることができる。硫化フェノールはフェノールをイオウ、又は硫化水素、一ハロゲン化イオウ、若しくは二ハロゲン化イオウのようなイオウ含有化合物と反応させて、一般的に2以上のフェノールがイオウ含有ブリッジにより架橋された化合物の混合物である生成物を形成することにより調製することができる。
一般に、一種以上の洗浄剤は潤滑油組成物中に、潤滑油組成物の合計重量に対して約0.01重量%から約10重量%までの範囲の量で存在する。
防錆剤の例としては、非イオン性ポリオキシアルキレン剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、及びポリエチレングリコールモノオレエート;ステアリン酸及び他の脂肪酸;ジカルボン酸;金属石鹸;脂肪酸アミン塩;重質スルホン酸の金属塩;多価アルコールの部分カルボン酸エステル;リン酸エステル;(短鎖)アルケニルコハク酸;その部分エステル及びその窒素含有誘導体;合成アルカリールスルホネート、例えば金属ジノニルナフタレンスルホネート;等、並びにその混合物が挙げられるが、これらには限定されない。
摩擦調整剤の例としては、アルコキシル化脂肪族アミン;ホウ酸化脂肪族エポキシド;脂肪族ホスファイト、脂肪族エポキシド、脂肪族アミン、ホウ酸化アルコシル化脂肪族アミン、脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、ホウ酸化グリセロールエステル;及び米国特許第6,372,696号明細書(その内容は参照することにより本明細書に加入されるものとする。)に開示された脂肪族イミダゾリン;C〜C75、好ましくはC〜C24、及び最も好ましくはC〜C20の脂肪酸エステルと、アンモニア、及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる窒素含有化合物の反応生成物から得られる摩擦調整剤等及びそれらの混合物が挙げられるが、これらには限定されない。
消泡剤の例としては、アルキルメタクリレートのポリマー;ジメチルシリコーンのポリマー等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらには限定されない。
流動点降下剤の例としては、ポリメタクリレート、アルキルアクリレートポリマー、アルキルメタクリレートポリマー、ジ(テトラパラフィンフェノール)フタレート、テトラパラフィンフェノールの縮合物、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、及びその混合物が挙げられるが、これらには限定されない。一つの態様では、流動点降下剤はエチレン−酢酸ビニルコポリマー、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、ポリアルキルスチレン等、及びそれらの混合物を含む。流動点降下剤の量は約0.01重量%から約10重量%にまで変化させることができる。
解乳化剤の例としては、アニオン性界面活性剤(例えば、アルキル−ナフタレンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート等)、非イオン性アルコキシル化アルキルフェノール樹脂、アルキレンオキシドのポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のブロックコポリマー)、油溶性酸のエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル等、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。解乳化剤の量は約0.01重量%から約10重量%まで変化させることができる。
腐食防止剤の例としては、ドデシルコハク酸のハーフエステル又はアミド、ホスフェートエステル、チオホスフェート、アルキルイミダゾリン、ザルコシン等、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。腐食防止剤の量は約0.01重量%から約5重量%まで変化させることができる。
極圧剤の例としては、硫化動物又は植物油脂、硫化動物又は植物脂肪酸エステル、リンの三価又は五価の酸の完全又は部分エステル化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリスルフィド、硫化ジールス−アルダー付加物、硫化ジシクロペンタジエン、脂肪酸エステルとモノ不飽和オレフィンの硫化又は共硫化混合物、脂肪酸、脂肪酸エステル及びα−オレフィンの共硫化ブレンド、官能基置換ジヒドロカルビルポリスルフィド、チアアルデヒド、チアケトン、エピチオ化合物、イオウ含有アセタール誘導体、テルペン及び非環式オレフィンの共硫化ブレンド、及びポリスルフィドオレフィン生成物、リン酸エステル又はチオリン酸エステルのアミン塩等、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。極圧剤の量は約0.01重量%から約5重量%まで変化させることができる。
上述の添加剤の各々は、使用するときは、潤滑剤に所望の特性を付与するのに機能的に有効な量で使用される。従って、例えば、添加剤が摩擦調整剤である場合は、この摩擦調整剤の機能的に有効な量とは、潤滑剤に所望の摩擦調整特性を付与するのに十分な量である。一般には、これらの添加剤の各々の濃度は、使用する場合、他に特定がなければ、潤滑油組成物の合計重量に対して、約0.001重量%から約20重量%の範囲であり、一つの態様では、約0.01重量%から約10重量%の範囲である。
本発明の方法により調製されたモリブデン化スクシンイミド錯体を含む潤滑油組成物の最終的な応用は、例えば、クロスヘッドディーゼルエンジンの舶用シリンダー潤滑剤、自動車、鉄道等のクランクケース潤滑剤、スチールミルのような重機械用潤滑剤等、又はベアリング用のグリース等であってもよい。潤滑油組成物が液体であるか固体であるかは通常は増粘剤が存在するかどうかに依る。典型的な増粘剤としては、ポリウレアアセテート、リチウムステアレート等が挙げられる。
本発明の他の態様では、本発明の方法により調製されたモリブデン化スクシンイミド錯体は、添加剤が実質的に不活性な、通常は例えば、鉱油、ナフサ、ベンゼン、トルエン又はキシレンのような液体有機希釈剤中に導入されて添加剤濃縮物を形成する添加剤パッケージ又は濃縮物として提供することができる。これらの濃縮物は通常は約20重量%から約80重量%のこのような希釈剤を含む。典型的には、100℃で約4から約8.5cStまでの、好ましくは100℃で約4から約6cStまでの粘度を有する中性油が希釈剤として用いられるが、合成油もまた、添加剤と最終潤滑油と相溶性のある他の有機液体と同様に使用することができる。添加剤パッケージはまた典型的には、必要な量の基油との直接的な組み合わせを容易にするための所望の量と比率で、上述した様々な他の添加剤の1種以上を含むであろう。
実施例
以下の非制限的な実施例は本発明を説明するためのものである。
実施例1
アクリル酸から製造したモリブデン後処理低分子量スクシンイミド錯体
オーバーヘッドメカニカルスターラー、窒素ライン及びディーンスタークトラップ付き水濃縮器、添加漏斗、温度調節器、加熱マントル、及び熱電対を備えた丸底フラスコに、70.00gのオクタデセニルコハク酸無水物(ODSA)(Sigma Aldrich Corporation,St.Louis,Mo.,U.S.A.から購入可)及び39.57gのシェブロン100中性油を添加した。混合物を127℃にまで加熱し、33.63gのテトラエチレンペンタミン(TEPA;ODSAに対し0.9モル当量)を添加漏斗により混合物に滴下して添加した。添加の初期段階でわずかな発泡が起こった。TEPAを添加した後、温度を165℃にまで上げ、次いでIRスペクトルで反応の完了を示すまで165℃に保った。
材料を室温まで冷却し、41.03gを丸底フラスコに移した。フラスコをアクリル酸の添加のために110℃に加熱した。次に、3.10gのアクリル酸(TEPAに対して1モル当量)を滴下して添加し、温度を110℃に維持した。アクリル酸の添加後、反応温度を135℃にまで上げ、次いで反応の完了までこの温度に保った(約3〜5時間)。
次に、9.501gのアクリル酸処理スクシンイミドを、マグネチックスターラープレートと、凝縮器及び窒素ライン付きディーンスタークトラップを備えた250mL三口丸底フラスコに添加した。40gのトルエンを添加し、混合物を溶解するまで攪拌した。次に、1.628gの三酸化モリブデン(TEPAに対して1モル当量)、8.7gの蒸留水、及び2滴の消泡剤を添加した。混合物を攪拌し、89℃で終夜加熱した。次いで水とトルエンを114℃で除去した。得られた生成物には視認できるほどの粒子状物質は含まれていなかった。
生成物を冷却し、次いでCelite512と無水硫酸マグネシウムでブフナー漏斗を用いて濾過した。濾液を集め、ロータリーエバポレーター(77℃の最大温度でポンプで最大限まで減圧)で濃縮し、トルエンと残留水を除いた。生成物は室温で透明な褐色の液体で、以下の特性を有していた:
Mo=9.189重量%
全塩基価=114mgKOH/g
比較例A
マレイン酸無水物から製造したモリブデン後処理低分子量スクシンイミド錯体
オーバーヘッドメカニカルスターラー、窒素ライン及びディーンスタークトラップ付き水濃縮器、温度調節器、加熱マントル、及び熱電対を備えた1L、三口丸底フラスコに、245gのオクタデセニルコハク酸無水物(ODSA)(Sigma Aldrich Corporation,St.Louis,Mo.,U.S.A.から購入可)、242gのエクソン150中性油、及び2滴の消泡剤(200〜350cSt;ダウコーニングから購入可)を添加した。混合物を100℃にまで加熱し、132.64gのテトラエチレンペンタミン(TEPA;ODSAに対し1.0モル当量)を添加漏斗により混合物に滴下した。添加の初期段階でわずかな発泡が起こった。TEPAを添加した後、約60分に亘り温度を160℃にまで上げ、次いで160℃で終夜保った。
材料を100℃にまで冷却し、3Lの丸底フラスコに移した。フラスコをマレイン酸無水物の添加のために80℃に加熱した。次に、67gのマレイン酸無水物(TEPAに対して1モル当量)をビーカー内で加熱して固形物を融解した。液化したマレイン酸無水物を予め暖めたガラス栓付き添加漏斗に移した。次いでマレイン酸無水物を滴下して加え、過剰な発泡を抑制し、温度を80〜110℃に保った。暖かいエアガンを添加漏斗上に用いてマレイン酸無水物が添加中に固化するのを防いだ。無水マレイン酸を添加した後、ディーンスタークトラップを丸底フラスコに取り付けた。反応温度を1時間で160℃にまで上げ、次いでこの温度に終夜保った。
混合物を80℃に冷却し、次い100gを、マグネチックスターラープレートと、凝縮器及び窒素ライン付きディーンスタークトラップを備えた250mL三口丸底フラスコに移した。次に、17.34gの三酸化モリブデン(TEPAに対して1モル当量)、50gのトルエン、17gの蒸留水、及び2滴の消泡剤を添加した。混合物を攪拌し、100℃で終夜加熱した。得られた生成物は視認できる粒子状物質を含んでいた。次いで生成物をCelite512でブフナー漏斗を用いて80℃〜140℃で減圧下濾過した。濾液を集め、ロータリーエバポレーター(140℃の最大温度でポンプで最大限まで減圧)で濃縮し、トルエンと残留水を除いた。得られた生成物は、室温で極めて粘度の高いほとんど固体の褐色の油で、以下の特性を有していた:
Mo=8.16重量%
全塩基価=74.5mgKOH/g
実施例2
アクリル酸から製造したモリブデン後処理低分子量スクシンイミド錯体
アクリル酸処理工程の温度をアクリル酸の添加のために100℃未満に保ち、次いで75℃の反応温度を3時間維持した以外は実施例1に概略されたのと同様の一般的手順と成分を用いてモリブデン化スクシンイミド錯体を調製した。モリブデン化スクシンイミド錯体は室温で液体で、視認し得る粒子状物質を含まず、以下の特性を有していた:
Mo=9.342重量%
全塩基価=123.4mgKOH/g
比較例B
マレイン酸無水物から製造したモリブデン後処理低分子量スクシンイミド錯体
マレイン酸無水物処理工程の温度をマレイン酸無水物の添加のために75℃とし、次いで終夜約100℃とした以外は比較例Aに概略されたのと同様の一般的手順と成分を用いてモリブデン化スクシンイミド錯体を調製した。また、マレイン酸無水物とスクシンイミド混合物の攪拌を容易にするためにトルエンが必要であった。生成物は濾過に先立って視認し得る粒子状物質を含んでいた。溶媒を取り除くと、モリブデン化スクシンイミド錯体は室温で固体で、以下の特性を有していた:
全塩基価=64.1mgKOH/g
実施例3
アクリル酸から製造したモリブデン後処理低分子量ビススクシンイミド錯体
ODSAに対して0.5モル当量のTEPAを用いた以外は実施例1に概略されたのと同様の一般的手順と成分を用いてモリブデン化スクシンイミド錯体を調製した。モリブデン化スクシンイミド錯体は室温で液体で、視認し得る粒子状物質を含まず、以下の特性を有していた:
Mo=5.7重量%
全塩基価=57.8mgKOH/g
実施例4
CHEVRON100中性油に実施例1の潤滑油添加剤の1重量%を添加することにより潤滑油組成物を形成した。
実施例5
CHEVRON100中性油に実施例2の潤滑油添加剤の1重量%を添加することにより潤滑油組成物を形成した。
実施例6
CHEVRON100中性油に実施例3の潤滑油添加剤の1重量%を添加することにより潤滑油組成物を形成した。
比較例C
CHEVRON100中性油に比較例Aの潤滑油添加剤の1重量%を添加することにより潤滑油組成物を形成した。
実施例7
摩耗性能
小型牽引機械(MTM)評価
実施例3、実施例4、及び比較例Cの潤滑油添加剤を小型牽引機械(MTM)摩擦計(PCS Instruments Ltd., London UK)を用いて評価した。MTM摩擦計をPCS Instrumentsからの52100スチールの研磨ディスクを用いたディスクモード上のピンで、及びピンの代わりに同様にFalex Corporationからの52100スチールの0.25インチ固定ボールベアリングで走らせるように設定した。試験は、2000mm/sの摺動速度で0.1ニュートンで5分のならし時間の後、200mm/sの摺動速度で7ニュートンの荷重で40分間100℃で行った。ボール上の摩耗による傷を光学顕微鏡でマニュアル的に測定し記録した。MTM摩耗性能データを表1に提示する。
Figure 0006045116
表1に示した結果が示すように、アクリル酸から製造されたモリブデンスクシンイミド化合物(実施例4、5及び6)はマレイン酸無水物から製造されたモリブデンスクシンイミド化合物(比較例C)よりも優れた抗摩耗性能を示す。
アクリル酸をポリアルキレンポリアミンの反応性アミノ基と反応させるために使用した温度を100℃を超えない温度に維持して、本発明の方法により製造されたモリブデン化合物により摩耗性能はさらに改良される(実施例5)。
実施例8
5重量%のスクシンイミド分散剤、3重量%のホウ酸化スクシンイミド分散剤、(4mM/kg)低過塩基性カルシウムスルホネート、(58mM/kg)カルボキシレート分散剤、(8mM/kg)ジチオリン酸亜鉛、0.5重量%のジフェニルアミン抗酸化剤、0.5重量%のヒンダードフェノール抗酸化剤、0.3重量%の流動点降下剤、9.85重量%のオレフィンコポリマー粘度指数向上剤、及び5ppm消泡剤をグループII基油に含ませたベースライン潤滑油配合物を形成した。
実施例9
実施例8と同じ添加剤、基油及び処理比率を含むベースライン潤滑油配合物を形成した。実施例1の潤滑油添加剤をこのベースライン潤滑油中に配合し、配合物中の合計モリブデン含量が500ppmとなるようにした。
比較例D
実施例8と同じ添加剤、基油及び処理比率を含むベースライン潤滑油配合物を形成した。比較例Aの潤滑油添加剤をこのベースライン潤滑油中に配合し、配合物中の合計モリブデン含量が500ppmとなるようにした。
実施例10
摩擦性能
高振動往復式リグ(HFRR)評価
実施例6の潤滑油組成物と実施例1の潤滑油添加剤を含む実施例7の潤滑油組成物の摩擦性能を、高振動往復式リグ(HFRR)を用いて評価し、実施例6の潤滑油組成物と比較例Aの潤滑油添加剤を含む比較例Dの潤滑油組成物の摩擦性能と比較した。
HFRR試験リグは潤滑性能を決定するための業界で認知された摩擦計である。PCS instrument社は、試料(ボール)を固定試料(平板のディスク)に押し付けながら小さい振幅で試料(ボール)を振動させる電磁バイブレーターを用いている。振動の振幅と振動数及び荷重は可変である。ボールと平板との間の摩擦力と電気接触抵抗(ECR)を測定する。平板の固定試料を潤滑油を添加したバスに保持し、加熱することができる。この試験のために、摩擦計を、52100スチールの平板試料上の6mmボールを用いて20分間20Hzで動かすように設定した。荷重は1kgとし、温度は116℃であった。潤滑油を潤滑油の合計重量に対して約6重量%の、ディーゼルエンジン排気から集めたディーゼルエンジン煤煙で前処理した。煤煙を油中に攪拌して湿潤させ、次いで試験に先立って15分間ホモジナイズした。この試験では、摩擦係数がより小さいほどより効率的な潤滑摩擦向上添加剤に対応する。HFRR摩擦性能データを表2に示す。
Figure 0006045116
表2のデータが示すように、アクリル酸に由来する本発明のモリブデンスクシンイミド錯体はマレイン酸無水物由来のモリブデンスクシンイミド錯体よりも有意に優れた抗摩擦特性を示す。
実施例11
物理的及び化学的特性
ASTM D2896を用いて全塩基性窒素(TBN)を、誘導結合プラズマ(ICP)原子発光分光法を用いてモリブデン含量(Mo重量%)を、ASTM D1500(ガードナー色度計(Gardner Colorimeter)使用)を用いて色を、比較例A、実施例1及び実施例2のモリブデンスクシンイミド錯体について決定した。流動点を、試料の流動が容易になるまで5℃ずつ上昇させて試料を徐々に加熱することにより測定した。各試料の物理的外観を比較した。物理的及び化学的データを表3に示す。
Figure 0006045116
表3の結果が示すように、アクリル酸から製造されたモリブデンスクシンイミド錯体(実施例1及び2)はマレイン酸無水物由来のモリブデンスクシンイミド錯体(比較例A及びB)よりも高い塩基性窒素を含み、より望ましい物理的及び取り扱い特性を有する。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシレート化合物を低分子量アルキルアミンの反応性アミノ基と反応させるための温度を約100℃以下に維持して、本発明の方法により製造された錯体について物理的及び化学的特性がさらに改良される。
本明細書に開示された実施態様には様々な変更を行うことができることは理解されるであろう。それ故、上記の記載は制限的に解釈されるべきではなく、好ましい態様の単なる例示として解釈されるべきである。例えば、本発明を実施するための最良の形態として上述され実施された機能は説明目的のためだけのものである。他の配置及び方法を本発明の範囲と精神から乖離することなく当業者により実施することができる。さらに、当業者であれば本願に添付した特許請求の範囲の範囲と精神の範囲内で他の変更を予期するであろう。

Claims (15)

  1. (a)式I又は式IIのポリアミンのアルキル又はアルケニルスクシンイミド又はその混合物
    Figure 0006045116

    式I
    Figure 0006045116

    式II
    (式中、RはC12〜C30アルキル又はアルケニル基であり、R’は2〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、xは1〜11であり、yは1〜10である。)
    を、α,β−不飽和モノカルボン酸と、該α,β−不飽和モノカルボン酸の該式I又は式IIのスクシンイミド又はその混合物に対する添加モル比を0.1:1〜6:1として反応させる工程であって、反応温度を135℃を超えないようにした上記工程、
    (b)工程(a)のスクシンイミド生成物を酸性モリブデン化合物と反応させてモリブデン化スクシンイミド錯体を提供する工程であって、調製されたモリブデン化スクシンイミド錯体が室温で液体である上記工程
    を含む、
    モリブデン化スクシンイミド錯体を調製する方法。
  2. RはC12〜C24アルキル又はアルケニル基であり、R’は2であり、xは2〜5であり、yは1〜4である、請求項1記載の方法。
  3. α,β−不飽和モノカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
  4. 酸性モリブデン化合物は、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl、MoOBr、MoCl、三酸化モリブデン、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
  5. α,β−不飽和モノカルボン酸はアクリル酸であり、酸性モリブデン化合物は三酸化モリブデンである、請求項1記載の方法。
  6. α,β−不飽和モノカルボン酸はアクリル酸であり、酸性モリブデン化合物は三酸化モリブデンである、請求項2記載の方法。
  7. α,β−不飽和モノカルボン酸の式Iのスクシンイミドに対するモル比が1:1〜6:1である、請求項1記載の方法。
  8. α,β−不飽和モノカルボン酸の式Iのスクシンイミドに対するモル比が1:1〜2:1である、請求項1記載の方法。
  9. モリブデン化合物の工程(a)のスクシンイミド生成物に対するモル比が0.1:1〜2:1である、請求項1記載の方法。
  10. 工程(a)のアルキル又はアルケニルスクシンイミドが式I及び式IIのスクシンイミドの混合物である、請求項1記載の方法。
  11. スクシンイミド混合物中、式Iのスクシンイミドの式IIのスクシンイミドに対する比は1:1から10:1までである、請求項記載の方法。
  12. モリブデン化スクシンイミド錯体生成物中、粒子状物質が視認されない、請求項1記載の方法。
  13. 工程(a)の反応温度が100℃を超えない、請求項1記載の方法。
  14. 工程(a)の反応温度が80℃を超えない、請求項1記載の方法。
  15. モリブデン化スクシンイミド錯体生成物が120℃未満の流動点を有する、請求項1記載の方法。
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