JP6043165B2 - 地下水位上昇システム、地下水位上昇方法 - Google Patents

地下水位上昇システム、地下水位上昇方法 Download PDF

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Description

本発明は地下水位を上昇させるための地下水位上昇システム、および地下水位上昇方法に関する。
トンネル等の地下躯体の構築時には、地面から躯体構築箇所の掘削を行う場合がある。掘削の際は、掘削部の両側で土留壁を地盤に根入れして側方の地盤からの土圧を支持させたり、掘削部の地下水位を低下させるためディープウェルを設けて揚水を行ったりする。
しかしながら、このような工事を行うと、掘削部近くでの地下水位が低下する場合がある。例えば、土留壁の下端が地盤の深い位置にある不透水層に達するまで根入れすると、上方にある透水層の地下水の流れが妨げられ、土留壁から地下水流れ方向の下流側(以下、地下水下流側という)の地下水位が低下することがある。また、ディープウェルによる揚水を行うと、掘削部の周囲でも地下水位が低下する。
このように掘削部の周囲の地盤の地下水位が低下すると地盤沈下等の問題が生じる恐れがある。これを防ぐための一般的な方策として、地盤に注水を行うことにより、地下水位を上昇させる方法がある。
例えば、特許文献1では、難透水層が存在しない地下水位低下領域に、揚水井と注水井とを、注水井の注水口が揚水井の揚水口よりも深層側に位置するように設ける。そして、揚水井から揚水した地下水の一部を注水井を通じて地下水位低下領域へ戻し、その残りを放流する。
また、特許文献2には、揚水井から地下水を汲み上げることにより所要部位の地下水を低下させ、汲み上げた地下水を復水井を通して地中に注水して返送するリチャージ工法が記載されている。この際、復水井として、注水部が浅層部に位置する浅層部復水井と、注水部が深層部に位置する深層部復水井を設置し、浅層部復水井からは低圧で、深層部復水井からは高圧で、それぞれ加圧注水することにより、地下水を返送する。
また、特許文献3では、ディープウェル内の地下水を揚水して深井戸内に注水し、地下帯水層へ自然透水させて復水する。また、深井戸内にはフィルターを設け、深井戸内からの復水及び揚水をそのフィルターを介して行う。揚水時には、ひとりでにフィルターの逆洗を行いながら、地下水を工事現場内へ給水する。併せて工事現場内の釜場の不要水を揚水して沈砂後、深井戸内へ注水する。
特開2012−092514号公報 特開2006−077567号公報 特開平09−078563号公報
ところで、前記したような掘削工事の場合には、土留壁に沿った比較的広い範囲で、地盤の浅層部の地下水位が低下することがある。例えば地表面付近に軟弱な粘性土層が分布している場合、直下にある砂質土層等の透水層の地下水位低下が、地盤の圧密沈下に直結する恐れがある。
このような場合、従来の方法では、注水の効果が発現するまでに時間がかかり、注水の効率が悪い場合があるので、より速効性のある方法が求められていた。また、従来の方法では、深井戸や注水用のポンプが必要であるなど、注水のための設備が大掛かりになりがちであり、施工に時間やコストがかかる問題もあった。以上のような点から、より効率よく地下水位を回復する手法が求められていた。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、地下水位を効率よく回復できる地下水位上昇システム等を提供することを目的とする。
前述した目的を達するための第1の発明は、地盤の複数箇所で形成された孔のそれぞれに配置される、下部にウェルポイントを有する複数の注水管と、自然水頭を利用して前記ウェルポイントから前記地盤へ注水を行うための水を貯蔵するとともに、水位を一定に調整する水位調整部を設けた注水タンクと、複数の前記ウェルポイントからの注水量を調整するための水量調整手段と、前記ウェルポイントから揚水を行うための揚水部と、を備えたことを特徴とする地下水位上昇システムである。
本発明によれば、複数のウェルポイントから自然水頭を利用した注水を行うので、従来の方法に比べ設備も簡易で人力で施工でき、狭い場所でも施工可能であるなど工事が容易である。従って、施工期間が短く地下水位の低下に対して迅速な対応が可能となる。ウェルポイントの数や間隔等も柔軟に変更可能である。また、複数のウェルポイントにより平面上連続的な注水が可能で、前記のような広範囲での浅層部の地下水位の低下現象に対して速効性を有する。また、注水圧や注水量も所望の値に調整することができる。さらに、注水は無電源で行うことができ、省エネルギーでありかつ電源装置等も必要としない。以上より、本発明の地下水位上昇システムでは効率よく地下水位を回復できる。
前記孔が、地盤内の地下水の流れを遮断する遮水壁の、地下水流れ方向の下流側の近傍に形成されることが望ましい。
このような箇所では、広い範囲で地盤の浅層部の地下水位が低下することが多いので、複数のウェルポイントを配置し、自然水頭を利用した注水を行う本発明を適用するのに特に適している。
前記注水管は、上部にエア抜きバルブを有することが望ましい。
本発明のウェルポイントでは、通常のウェルポイントと同様、揚水を行うことも可能であり、これにより注水管の洗浄効果が見込まれ、注水効率が高まる。ただし、ウェルポイントから揚水を行った際には注水管に空気が溜まり、本発明のように注水を行う際に妨げになることがある。そこで、本発明では、エア抜きバルブを設け、注水管を外部に開放可能として空気が溜まるのを防ぐことができる。
第2の発明は、地盤の複数箇所で孔を形成し、下部にウェルポイントを有する複数の注水管を、複数の前記孔のそれぞれに配置する工程と、水を貯蔵するとともに、水位を一定に調整する水位調整部を設けた注水タンクの自然水頭を利用して、前記ウェルポイントから注水を行う工程と、揚水部を利用して、前記ウェルポイントから揚水を行う工程と、を備え、前記ウェルポイントから注水を行う際に、水量調整手段を用いて複数の前記ウェルポイントからの注水量を調整することが可能であることを特徴とする地下水位上昇方法である。
このようにして、複数のウェルポイントから自然水頭を利用した注水を行うことで、前記したように、効率よく地下水位を回復できるようになる。
前記孔は、地盤内の地下水の流れを遮断する遮水壁の、地下水流れ方向の下流側の近傍に形成されることが望ましい。
前記したように、このような箇所は、複数のウェルポイントから自然水頭を利用した注水を行う本発明を適用するのに特に適している。
前記ウェルポイントから注水を行う前に、少なくとも1つの前記ウェルポイントから試験注水を行って、その他の前記ウェルポイントが配置された孔における地下水位の変化を観測する注水試験を行うことにより、地盤の透水係数を求める工程を更に備えることが望ましい。
こうして地盤の透水係数を把握することで、地盤の透水係数に合わせてウェルポイントの増設を行ったり、注水量や注水圧の調整を行ったりすることが可能になる。
地盤に設けた観測孔で観測される地下水位が所定の管理値となった場合に、前記ウェルポイントからの注水を行うことが望ましい。
こうして地下水位を観測しつつ所定の管理値に達せば注水を行うことで、必要に応じた効果的な注水が可能になる。
前記注水管は、上部にエア抜きバルブを有することが望ましい。
これにより、ウェルポイントから揚水を行った際に注水管に溜まった空気が注水を妨げるのを防ぐことができる。
本発明により、地下水位を効率よく回復できる地下水位上昇システム等を提供することができる。
地下水位上昇システム1を示す図 注水管10を示す図 注水タンク20を示す図 地盤100の掘削工事を示す図 地下水位上昇システム1の構築について示す図 注水管10の設置について示す図 注水試験を示す図 地下水位の変動について示す図 ウェルポイント10bからの注水について示す図 ウェルポイント10bでの注水と揚水を示す図 地下水位上昇システム1による地下水位の上昇について示す図 本発明の別の例について示す図
以下、図面を参照しながら、本発明の地下水位上昇システム等の実施形態について説明する。
(地下水位上昇システム1)
まず、図1を参照して本実施形態の地下水位上昇システム1について説明する。図1の上図は地下水位上昇システム1の鉛直方向の構成を示す図であり、下図の線A−Aにおける断面を示す。下図は地下水位上昇システム1の平面構成を示す図である。以下図4、図5、図11において同様である。
図1に示すように、本実施形態では、トンネル等の地下躯体を構築する際に、地表面から地盤100を掘削して掘削部100aが形成されている。掘削部100aの両側には、それぞれ、側方の地盤100からの土圧を支持するための土留壁101a、101bが連続して設けられている。
なお、本実施形態では、図1上図に示すように、地表面近くに、Ap層など軟弱な粘性土層である不透水層210があり、その直下には、最上部の透水層である浅部透水層220として、As層などの砂質土層があるものとする。さらにその下には、不透水層230として、Dc層などの粘性土層が存在する。土留壁101a、101bの下端部は、これらの層からさらに下方の深層部まで達するように根入れされており、浅部透水層220の地下水の流れを遮断する遮水壁となっている。地下水の流れ方向は、図1下図の矢印Cに示すように、右下から左上へ向かう方向であるものとする。
また、掘削部100aの位置では、地下水位を低下させるために地盤100の深層部までディープウェル110が設けられ、これにより地下水が揚水されている(図1上図参照)。さらに、掘削部100aの周囲の地下水位を観測するために、掘削部100aの両側の土留壁101a、101bの側方に、それぞれ観測孔120が設けられる(図1下図参照)。
本実施形態の地下水位上昇システム1は、このような掘削工事が行われている箇所において、地下水下流側の土留壁101aに沿って設けられる(図1下図参照)。地下水位上昇システム1は、大きく、注水管10、ヘッダー管11、注水タンク20、揚水部30から構成される(図1下図参照)。
注水管10は、土留壁101aの地下水下流側の近傍に、土留壁101aに沿って直線状に並ぶように複数設けられる(図1下図参照)。注水管10は、例えば1.5mと狭い間隔で設けられる。
図2は、注水管10について示す図である。図2に示すように、注水管10は、地盤100に孔40を形成し、その中に配置される。注水管10の下端部は、浅部透水層220の下部に位置している。
注水管10は、鋼製の管体であるライザーパイプ10aの下端にウェルポイント10bを設け、上端にエア抜きバルブ10cを設けたものである。ウェルポイント10bには、通水用の孔が設けられる。
本実施形態では、孔40の深さを6.5m程度、注水管10の全長を7.2m程度とするが、これに限ることはなく、地盤100の層構成等に応じて適宜定めることができる。また、ウェルポイント10bの長さは0.7m程度であるが、これも必要な注水量等に応じて適宜定めることができる。例えば、注水量を増やすために、1.0m程度の長尺のものを使用してもよい。
孔40にはケイ砂41とセメントベントナイト42が充填される。ケイ砂41はフィルターとしての役割を有し、孔40の底部から浅部透水層220の上端部に対応する高さまで充填される。セメントベントナイト42は、ケイ砂41の上から地表面の間に充填される。セメントベントナイト42は、注水した水が地表に溢れるのを防ぐシールとしての役割を有する。
注水管10の上部には、スイングホース11bの一端が取り付けられる。ヘッダー管11には、各注水管10と対応するコック11aが設けられ、スイングホース11bの他端がコック11aに接続される。
コック11aは、その開閉により、地下水位上昇システム1における複数の注水管10のウェルポイント10bから注水される注水量を調整するための水量調整手段である。例えば、必要な注水量に応じた数のコック11aを開とすることで、注水量の調整が可能である。なお、コック11aは、例えば注水管10に設けるなどしてもよい。また、開度の調整が可能なものであってもよい。
こうして各注水管10がヘッダー管11と接続される。なお、本実施形態ではヘッダー管11に鋼管を用いるが、塩化ビニル等、樹脂製のものでもよい。この場合、ヘッダー管11の錆等によるウェルポイント10bの目詰まりを防ぐことができる。一方、ヘッダー管11を鋼管とする場合、破損等しにくく丈夫である利点がある。
図1の説明に戻る。注水タンク20は、ヘッダー管11を介して各注水管10のウェルポイント10bから注水を行うためのものである(図1下図参照)。
図3は、注水タンク20について示す図である。図3に示すように、注水タンク20には、水道水供給パイプ23と地下水供給パイプ24が接続される。地下水供給パイプ24からは、ディープウェル110を用いて揚水した地下水が、一旦ノッチタンク(不図示)を経由して注水タンク20に供給される。水道水供給パイプ23からは水道水が供給される。
本実施形態では、通常時には地下水を注水タンク20に供給し、不足が生じる場合には水道水で補う。しかし、地下水あるいは水道水の供給方法はこれに限らない。なお、水道水供給パイプ23には水道メーター23aが取り付けられ、水道水の使用量が計測される。
また、注水タンク20の内部の水位は、水位調整手段であるボールタップ20aによって一定に調整される。
すなわち、注水タンク20内の水が所定水位に達すると、ボールタップ20aの浮き上がりにより水道水供給パイプ23や地下水供給パイプ24の先端が閉じられ、水の供給が停止される。一方、注水タンク20内の水位が上記の所定水位より低くなると、ボールタップ20aが下がり水道水供給パイプ23や地下水供給パイプ24の先端が開いて水が供給される。ただし、水位調整手段はこれに限らず、水位センサなどを利用して水道水供給パイプ23や地下水供給パイプ24からの水の供給を自動制御することも可能である。
注水タンク20は架台21の上に配置されており、注水タンク20内の水位の高さ(自然水頭50)による注水圧によって、注水管10のウェルポイント10bから注水されるようになっている。自然水頭50の高さは、必要な注水圧等に応じて注水タンク20内の水位や注水タンク20自体の高さを調整し適宜定めることができ、例えば1m程度とする。
注水タンク20は管体22を介してヘッダー管11と接続される。管体22の途中には、バルブ22aと流量計22bが設けられている。バルブ22aは、注水を行う際に開とし、注水を行わない時には閉としておく。流量計22bは、総注水量を計測するために設けられる。
図1の説明に戻る。揚水部30は、注水管10のウェルポイント10bから揚水を行うためのものである。図1下図に示すように、揚水部30は、ヒューガルポンプ31、バキュームポンプ32、ノッチタンク33等を有する。
ヒューガルポンプ31内にはタンク(不図示)が設けられ、タンクとヘッダー管11とがパイプ35により接続される。揚水を行う際には、パイプ35に設けたバルブ34を開とし、タンク内の空気をバキュームポンプ32によって排気する。すると吸引力が発生し、これにより地下水が各注水管10のウェルポイント10bを介してタンク内へと揚水される。タンク内の水は、ヒューガルポンプ31内のポンプ機構によりノッチタンク33に排水される。
(地下水位上昇システム1による地下水位の上昇)
次に、図4〜11を参照して、地下水位上昇システム1により地下水位を上昇させる手順について説明する。
本実施形態では、掘削工事として、まず図4(a)に示すように、地盤100の掘削部100a(図4(b)等参照)となる箇所の両側で、前記した通り土留壁101a、101bの根入れが行われる。また、両土留壁101a、101bの側方で、地下水位を観測するための観測孔120が設けられる。さらに、図4(b)に示すように、掘削部100aの掘削時には、掘削部100aにディープウェル110が設けられ、地下水の揚水が行われる。
土留壁101a、101bを根入れすることで、前記した浅部透水層220において、図4(a)の下図矢印Cで示す地下水の流れが阻害され、土留壁101aの地下水下流側で地下水位が低下する(なお、土留壁101bの地下水上流側では地下水位が上昇する)。また、掘削部100aのディープウェル110から揚水を行うこと等により掘削部100aの地下水位を低下させることで、掘削部100aの周囲の地下水位が低下する。以上により、土留壁101aの地下水下流側での浅部透水層220の地下水位は、図4(b)の上図矢印Dに示すように低下する。
本実施形態では観測孔120で地下水位を観測しており、土留壁101a側の観測孔120で観測した浅部透水層220の地下水位が所定値を下回るなど、前記したような掘削工事の影響により浅部透水層220の地下水位の低下が認められる場合に、地下水位上昇システム1を構築する。
地下水位上昇システム1を構築するには、まず、図5(a)に示すように、図1等で説明したように複数の注水管10を地盤100に設置する。
注水管10を地盤100に設置するには、まず図6(a)、(b)に示すように、ウォータージェット工法等により、各注水管10に対応する位置で地盤100に孔40を掘削するとともに、孔40の内部に注水管10を配置する。その後、図6(c)に示すように、前記の通りケイ砂41とセメントベントナイト42を孔40に充填する。
こうして各注水管10を地盤100に設置した後、図5(b)に示すように、注水タンク20や揚水部30、ヘッダー管11等を前記した通り設ける。また、ヘッダー管11と注水管10とをスイングホース11b(図2参照)で接続する。
その後、本実施形態では、注水試験を行って地盤の透水係数等を把握する。図7を参照して、この注水試験について説明する。
注水試験を行う際は、まず図7(a)に示すように、ヘッダー管11の一方の端部側にある注水管10のウェルポイント10bから、試験注水を所定時間(例えば48時間)行う。その他の注水管10の内部には水位計測器を設けておき、各孔40の位置における水位の継時的な変化(図の矢印Eに示す)などを測定する。
図8は、このようにして注水管10から試験注水を行った際に、該注水管10から6m程度離れた別の注水管10内の水位計測器で水位を計測した結果より、地下水位の変動を求めた例を示すグラフである。グラフの横軸は時刻であり、縦軸は標高(TP)で表した地下水位である。
図8に示すように、注水管10から試験注水を行うと、地盤の透水係数等に応じて、試験注水開始(図8の例では15:00過ぎ)からの時間経過とともに、別の注水管10の孔40の位置での地下水位が変動する。なお、図からは注水による水位上昇効果が1時間足らずですぐに現れることも読み取れる。
このような測定結果より水理解析を行い、地盤100の浅部透水層220の透水係数kや、注水箇所で注水を行った場合に地下水位上昇効果がみられる範囲を示す影響圏半径Rなどを算出する。
透水係数kや影響圏半径Rの算出については公知の手法を用いることができるので詳細な説明は省略するが、例えば透水係数kについては、上記の測定結果から、ヤコブの直線解析法、タイスの標準解析法、回復法、あるいはティームの図解法などで透水量係数Tを求め、これを透水層(浅部透水層220)の厚さで除して求めることができる。
例えば直線解析法の場合、注水時間の対数値を横軸、水位の上昇量を縦軸にとって水位の継時的な変化に関してプロットを行い、近似線の傾きから透水量係数Tを求め、これを透水層の厚さで除して透水係数kを求めることができる。
また、影響圏半径Rは、上記の透水係数kや、試験注水による水位上昇量を用いて求めることができ、その方法としては、例えばティームの図解法や、シーハルトの式などがある。
本実施形態では、ヘッダー管11の一方の端部の注水管10での試験注水を行った後、図7(b)に示すように、他方の端部側の注水管10でも試験注水を行い、前記と同様、その他の注水管10の内部に設けた水位計測器で水位の継時的な変化などを測定する。そして、前記と同様にして測定結果より透水係数kや影響圏半径Rを求める。これにより、透水性の異方性が確認できる。
こうして把握した透水係数kや影響圏半径Rから、注水管10の本数あるいはピッチなど、既存の注水管10の配置状態で良いかを検討することができる。例えば注水管10が不足であれば、新たな注水管10を上記と同様にして設け、ヘッダー管11に接続すればよい。これにより注水量を増加させることができる。このようにして、地下水位上昇システム1が構築される。
なお、上記のようにして構築した地下水位上昇システム1において、更に全ての注水管10から試験注水を行い、所望の地下水位上昇効果が得られるかを確認してもよい。その結果によって、十分な効果が得られなければ、注水管10の本数を増やすなどすればよい。
その後は、前記の図5(b)に示した状態から、土留壁101a側の観測孔120で観測した地盤100の浅部透水層220の地下水位が所定の管理値を下回ったときに、適宜、地下水位上昇システム1によって地下水位を上昇させる手順となる。
本実施形態では、図9、図10(a)に示すように、注水タンク20内の自然水頭50から得られる注水圧を利用し、注水管10のウェルポイント10bから注水を行う。注水量や注水圧は、前記で確認した透水係数kに応じて定めることができ、所望の注水量および注水圧で浅部透水層220に浸透させることができる。
前記したように、注水量は各コック11aの開閉により調節することができ、注水圧は、注水タンク20内の水位や注水タンク20自体の高さを調節して定めることができる。
このようにして注水を行うと、図11に示すように、浅部透水層220の地下水位が上昇する。こうして地下水位が管理値以上の所望の値に達せば、注水を終了する。
なお、本実施形態では、通常のウェルポイントと同様、揚水部30を利用して、適宜図10(b)に示すようにウェルポイント10bから揚水を行う。これは、注水を続けるとウェルポイント10b回りの地盤内の粒子が側方へと押し固められ目詰まりを起こし、注水の効率が低下するためである。従って、本実施形態では適宜揚水を行うことにより逆方向に水を流し、粒子の目詰まりを防いで注水効率を上昇させる。また、揚水を行うことにより注水管10内の洗浄を行い、ウェルポイント10bの目詰まりを防ぐこともできる。
ただし、揚水される地下水には空気が混入しているので、揚水後は、注水管10の上部に空気が溜まることがある。すると、本実施形態のようにウェルポイント10bからの注水を行う場合では、その妨げになる。前記したエア抜きバルブ10cはこれを防ぐために設けられる。すなわち、本実施形態では、揚水を行った後、エア抜きバルブ10cを開として管内を外部に開放し、エア抜きするようにしておく(図10参照)。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のウェルポイント10bから自然水頭50を利用した注水を行うので、従来の方法に比べ設備も簡易で人力で施工でき、狭い箇所でも施工できるなど工事が容易である。従って、施工期間が短く地下水位の低下に対して迅速な対応が可能となる。ウェルポイント10bの数や間隔等も柔軟に変更可能である。
また、複数のウェルポイント10bにより平面上連続的な注水が可能で、前記のような広範囲での浅層部の地下水位の低下現象に対して速効性を有する。また、注水圧や注水量も所望の値に調整することができる。さらに、注水は無電源で行うことができ、省エネルギーでありかつ電源装置等も必要としない。このように、本実施形態の地下水位上昇システム1では、効率よく地下水位を回復できる。
また、本実施形態の地下水位上昇システム1では、土留壁101aの地下水下流側の近傍において、各注水管10に対応する位置で複数の孔40を形成し、その中に注水管10を配置している。地下水位上昇システム1はこれ以外の箇所でも適用可能であるが、上記のような箇所では、広い範囲で浅部透水層220の地下水位が低下することが多いので、本実施形態の地下水位上昇システム1を適用するのに特に適している。
また、本実施形態では、あるウェルポイント10bから試験注水を行い、その他のウェルポイント10bが配置された各孔40での地下水位の変化を観測する注水試験を予め行うことで、地盤100の浅部透水層220の透水係数kを把握する。これにより、透水係数kに合わせてウェルポイント10bの増設を行ったり、注水量や注水圧の調整を行ったりすることが可能になる。
また、地下水位上昇システム1では、観測孔120で観測される地盤100の浅部透水層220の地下水位が所定の管理値になった場合にウェルポイント10bからの注水を行う。こうして地下水位を観測しつつ所定の管理値に達せば注水を行うことで、必要に応じた効果的な注水が可能になる。
また、注水管10は上部にエア抜きバルブ10cを有するので、前記したように、ウェルポイント10bから揚水を行った際に注水管10に溜まった空気が、注水を妨げるのを防ぐことができる。
なお、本発明はこれに限ることはない。例えば、注水管10は直線状に配置するものに限らず、図12(a)に示すように、直線状に配置した注水管10を複数列に並べ、面的に配置することも可能である。
また、注水タンク20とヘッダー管11の端部までの流路が長ければ、注水圧の圧力損失が大きくなりウェルポイント10bでの注水がうまくいかない恐れがある。このような場合には、ポンプを用いてヘッダー管11内の水を圧送するとともに、図12(b)に示すように、ヘッダー管11の端部にオーバーフロー管11dを設けておくとよい。この場合では、オーバーフロー管11dの頂部も自然水頭50aとして機能し、これにより注水圧を確保して注水を行うことができる。なお、図12(b)のノッチタンク15は、オーバーフロー管11dから溢れた水を集めるために設けられる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1:地下水位上昇システム
10:注水管
10a:ライザーパイプ
10b:ウェルポイント
10c:エア抜きバルブ
11:ヘッダー管
11a:コック
20:注水タンク
20a:ボールタップ
30:揚水部
40:孔
50、50a:自然水頭
100:地盤
101a、101b:土留壁
110:ディープウェル
120:観測孔

Claims (8)

  1. 地盤の複数箇所で形成された孔のそれぞれに配置される、下部にウェルポイントを有する複数の注水管と、
    自然水頭を利用して前記ウェルポイントから前記地盤へ注水を行うための水を貯蔵するとともに、水位を一定に調整する水位調整部を設けた注水タンクと、
    複数の前記ウェルポイントからの注水量を調整するための水量調整手段と、
    前記ウェルポイントから揚水を行うための揚水部と、
    を備えたことを特徴とする地下水位上昇システム。
  2. 前記孔が、地盤内の地下水の流れを遮断する遮水壁の、地下水流れ方向の下流側の近傍に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の地下水位上昇システム。
  3. 前記注水管は、上部にエア抜きバルブを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地下水位上昇システム。
  4. 地盤の複数箇所で孔を形成し、下部にウェルポイントを有する複数の注水管を、複数の前記孔のそれぞれに配置する工程と、
    水を貯蔵するとともに、水位を一定に調整する水位調整部を設けた注水タンクの自然水頭を利用して、前記ウェルポイントから注水を行う工程と、
    揚水部を利用して、前記ウェルポイントから揚水を行う工程と、
    を備え、
    前記ウェルポイントから注水を行う際に、水量調整手段を用いて複数の前記ウェルポイントからの注水量を調整することが可能であることを特徴とする地下水位上昇方法。
  5. 前記孔は、地盤内の地下水の流れを遮断する遮水壁の、地下水流れ方向の下流側の近傍に形成されることを特徴とする請求項4に記載の地下水位上昇方法。
  6. 前記ウェルポイントから注水を行う前に、少なくとも1つの前記ウェルポイントから試験注水を行って、その他の前記ウェルポイントが配置された孔における地下水位の変化を観測する注水試験を行うことにより、地盤の透水係数を求める工程を更に備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の地下水位上昇方法。
  7. 地盤に設けた観測孔で観測される地下水位が所定の管理値となった場合に、前記ウェルポイントからの注水を行うことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の地下水位上昇方法。
  8. 前記注水管は、上部にエア抜きバルブを有することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかに記載の地下水位上昇方法。
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