JP6042005B1 - 塗布具及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内圧上昇や衝撃によって貯留室から溢れ出た液体を一時的に保持するリザーバ領域から、液体を残存させることなく確実に抜き取れるようにすること。【解決手段】貯留室131が貯留する液体(例えばインクIK)を中継部材151の介在によって塗布体111に導く構造中に、第1の気液交換領域EA1とリザーバ領域RAとを設ける。第1の気液交換領域EA1は、貯留室131から供給されたインクIKを中継部材151よりも弱い力の毛管現象で吸引して保持し、中継部材151に導く。リザーバ領域RAは、第1の気液交換領域EA1と連絡する位置で隙間(第1の拡大隙間G1b)を開けて中継部材151を囲繞し、貯留室131から押し出されて第1の気液交換領域EA1を通過したインクIKを一時的に保持する。貯留室131はさらに、中継部材151との間に第2の気液交換領域EA2を形成する第2の隔壁121bによって複数領域に区画されている。【選択図】図1

Description

本発明は、アイライナーなどの化粧用具、サインペンやマーキングペンなどの筆記具、スタンプ、薬剤塗布容器などに適用され、インク、化粧水、香水、薬剤などの各種の液体を生のままの状態で貯留し、塗布できるようにした塗布具及びその製造方法に関する。
≪液体を生のままの状態で貯留する種類の塗布具≫
従来、紙や人の肌などの塗布対象物に塗布するインクや化粧水などの液体を中綿などの吸蔵体に吸収させた状態で貯蔵するのではなく、生のままの状態で貯留し、適宜塗布できるようにした塗布具が実用化されている。
この種の塗布具は、吸蔵体に吸収させた状態で保存することができない種類の液体、例えば顔料インクの使用が可能であり、これが大きな利点となっている。
顔料系のインクの優位性は、その発色性の良さにある。例えばアイライナーに顔料系のインクを使用した場合、はっきりした深みのある色彩表現が可能となり、使用者に満足感をもたらす。もちろんアイライナーに限らず、ペンなどの筆記具であっても、顔料系のインクの使用によって鮮やかな発色を楽しむことができることは言うまでもない。
特許文献1、2はいずれも、インクを生のままの状態で貯留し、適宜塗布できるようにした塗布具を開示している。
いずれの文献に記載された塗布具も、筒形のハウジングの内周面に沿って形成した貯留室にインクを貯留しておき、貯留したインクをハウジングの一端に取り付けた塗布体に供給する点で共通性を有している。
相違するのは、貯留室から塗布体にインクを導くための構造である。
特許文献1に記載された塗布具は、「インク流出制御部材18(親水性不織布20b、インク流出孔19、親水性不織布20a)」「超親水性インク流動用繊維束8、12、16」「親水性不織布5」を介して、貯留室(インク室23)に貯留したインクを塗布体(ペン体2)に導く(特許文献1の段落[0021]、図1参照)。
特許文献2に記載された塗布具は、「インキ吸蔵体5」と一体化された「インキ連通部4」を介して、貯留室(インキ収容部1)に貯留したインクを塗布体(塗布体3)に導く(特許文献2の段落[0015]、図1参照)。インキ連通部4(インキ吸蔵体5)は、「インキを吸収しやすく且つ吐き出しやすい、スポンジ又はポリエステルやアクリル、アセテート繊維を集束したいわゆる中綿などを適宜使えばよい」とされている(特許文献2の段落[0014]参照)。
≪液体のボタ落ち防止≫
インクなどの液体を生のままの状態で貯留するようにした塗布具が克服しなければならない課題の一つは、塗布体からの液体の漏洩、いわゆるボタ落ちの防止である。
例えば気温の上昇や筆記時の体温の伝達などを原因として貯留室の内圧が高まった場合、貯留室から液体が溢れ出し、溢れ出した液体が過剰に塗布部に送られてその保持容量を超え、塗布部からボタ落ちしてしまうことがある。
あるいは塗布具に衝撃が加わった場合にも、やはり貯留室から液体が漏れ出し、塗布部に過剰に送られてボタ落ちしてしまうことがある。
そこで液体を生のままの状態で貯留するようにした塗布具では、このような塗布体からの液体の漏洩、いわゆるボタ落ちを防止するための対策が必要になる。
この点、先に紹介した二つの文献には、内圧上昇や衝撃によって貯留室から溢れ出たインクを一時的に保持し、塗布体からの液体の漏洩(ボタ落ち)を防止するようにした発明が記載されている。
特許文献1に記載された発明は、超親水性インク流動用繊維束8、12、16の周囲に中綿7、11、15を設けている。
したがって内圧上昇や衝撃による貯留室(インク室23)からの変則的なインクの漏れ出しが発生すると、中綿7、11、15が漏れ出したインクを吸収して保持し、塗布体(ペン体2)からのインクのボタ落ちを防止する(特許文献1の段落[0023]参照)。
特許文献2に記載された発明の場合、貯留室(インキ収容部1)から溢れ出したインクを吸収して保持する役割を、インキ連通部4と一体化されたインキ吸蔵体5が果たす(特許文献2の段落[0016]参照)。
つまりインキ吸蔵体5はインキ連通部4よりも密度(又は毛管力)が低く設定され、通常時にはインクの吸収が抑制されている。これによりインキ吸蔵体5はインクが空の状態を保つため、貯留室から溢れ出したインクを吸収して一時的に保持するスペースとして機能することになる。
したがって内圧上昇や衝撃による貯留室からの変則的なインクの漏れ出しが発生すると、インキ吸蔵体5が漏れ出したインクを吸収して保持し、塗布体からのインクのボタ落ちを防止する(特許文献2の段落[0016]参照)。
≪一時的に保持した液体の回収≫
このように上記二つの文献に記載された発明によれば、内圧上昇や衝撃によって貯留室からインクが溢れ出した場合、漏れ出たインクを吸収体(特許文献1の「中綿7、11、15」、特許文献2の「インキ吸蔵体5」)に吸収させて一時的に保持するようにしている。
このため吸収体に一時的に保持させたインクを回収する必要性が生ずる。
この点、特許文献1に記載された発明では、中綿7、11、15をテーパー付きのインク保持用部材6、10、14で保持し、塗布体(ペン体2)よりも貯留室(インク室23)側の密度勾配を高く設定している。
したがって一旦は高まった貯留室の内圧が元の状態に戻るに際して、中綿7、11、15に保持されているインクはより密度勾配が高い貯留室の側に引き込まれ、貯留室に回収される(特許文献1の段落[0015]〜[0016]、[0024]参照)。
特許文献2に記載された発明では、一旦は高まった貯留室の内圧が元の状態に戻るに際して、インキ吸蔵体5に吸収されて保持されていたインクは、相対的に密度の高いインキ連通部4に吸引され、貯留室に回収される(特許文献2の段落[0016]参照)。
特開平11−020373号公報 特開2003−226091号公報 特開2001−315483号公報
特許文献1、2に記載された発明によれば、内圧上昇や衝撃によって貯留室からインクが溢れ出した場合、溢れ出たインクを一時的に保持して塗布体からの漏洩、いわゆるボタ落ちを防止するようにしている。そして一旦は高まった貯留室の内圧が元の状態に戻るに際して、一時的に保持していたインクを貯留室に回収するようにしている。
つまり貯留室から溢れ出したインクを一時的に保持するいわばリザーバ領域とでも呼ぶべき領域を設けておき、毛管現象の強弱を利用して、溢れ出たインクの一時的な保持と回収とを上手く制御しているわけである。
しかしながら特許文献1、2に記載された塗布具では、リザーバ領域を形成するために、繊維束や多孔質材料からなるインキ吸蔵体を用いている。つまり、
・特許文献1は「中綿7、11、15」
・特許文献2は「インキを吸収しやすく且つ吐き出しやすい、スポンジ又はポリエステルやアクリル、アセテート繊維を集束したいわゆる中綿」
をインキ収蔵体として用い、これによってリザーバ領域を形成しているわけである(特許文献1の段落[0023]、特許文献2の段落[0014]参照)。
このためリザーバ領域には、一時的に吸引して保持するインクなどの液体が残存しやすいという問題が発生する。特許文献1、2が紹介する中綿などのインキ吸蔵体は、その構造上、繊維密度(中綿)や孔径(スポンジ)が場所によって一定せず、液体に吸引作用を及ぼす毛管現象の強さが場所ごとに異なるからである。
こうしてリザーバ領域に液体が残存すると、リザーバ領域における液体の保持容量が減少するという望ましくない結果を招来する。
とりわけ顔料インクが用いられる場合には、問題はより一層深刻である。顔料インクは時間の経過と共に溶液から顔料が分離するので、溶液から分離した固体状の顔料がリザーバ領域に残存してしまうからである。こうなるとリザーバ領域を形成するインキ吸蔵体の性能、例えば前述した液体の保持容量や液体に対する毛管現象の作用力が変化してしまう可能性があり、はなはだ不都合である。
この点、特許文献3には、特許文献1、2に記載された発明とは異なる原理でインクのボタ落ちを防止するようにした塗布具が記載されている。
この塗布具は、塗布体(水性インク用のボールチップ5、フェルトチップ部5a、5b、5c)を先端に備える本体1の内部を複数枚の隔壁14で区画し、後端側を複数室に分割された貯留室(インク貯留室2)、先端側をリザーバ室(リザーバ室10)としたもので、隔壁14に形成した通孔15に中継芯(インク供給体16)を貫通させ、中継芯を介して貯留室から塗布体にインクを導くようにしている。通孔15と中継芯との間の隙間Gは気液交換領域となり、ここには通常、貯留室の内部を大気と隔絶するインク膜が形成されている。このインク膜は塗布体でのインクの消費に伴い破れ、消費されたインクの分だけ空気を貯留室に送り込む気液交換の役割を担う。
このような構造の塗布具は、貯留室を複数室に分割することでその容量を小さくし、これによって熱膨張する空気の量を減らして一回ごとのインクの漏れ出し量の減少を図っている。その上で、貯留室から漏れ出たインクを塗布体の近傍に配置したインキ吸蔵体に吸収させて保持し、塗布体からのインクのボタ落ちを防止するようにしている。
しかしながら、貯留室から漏れ出たインクをインキ吸蔵体に吸収させて保持する点では特許文献1、2に記載された発明と変わることがない。このため特許文献3に記載された発明も、インク吸蔵体にインクなどの液体が残存しやすいという問題を何ら解決するものではない。しかもインク吸蔵体に保持されたインクはその後の筆記動作によって消費されるのみで、筆記動作が行われなければそのまま残存してしまう。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、内圧上昇や衝撃によって貯留室から溢れ出た液体を一時的に保持するリザーバ領域から、液体を残存させることなく確実に抜き取れるようにすることを目的とする。
本発明の塗布具は、液体を貯留する貯留室を内部に備えるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、供給された液体を毛管現象によって吸引して一面に導く塗布体と、前記ハウジングに内蔵され、前記塗布体よりも弱い力の毛管現象の作用で当該塗布体に液体を導く棒状の中継部材と、前記ハウジングの内部空間を前記中継部材の軸方向に区画し、前記塗布体に隣接しない方の前記内部空間に貯留室を形成する第1の隔壁と、前記貯留室を前記中継部材の軸方向に区画する少なくとも一つ以上の第2の隔壁と、前記第1の隔壁に設けられ、前記塗布体を下向きにした状態で前記貯留室に貯留された液体に下方から接触し、接触する液体を前記中継部材よりも弱い力の毛管現象で吸引して保持する気液交換用の第1の隙間を開けて前記中継部材を囲繞する第1の気液交換領域と、前記第2の隔壁に設けられ、接触する液体を前記中継部材よりも弱い力の毛管現象で吸引して保持する気液交換用の第2の隙間を開けて前記中継部材を囲繞する第2の気液交換領域と、前記第1の気液交換領域と連絡する位置で前記第1の隙間よりも断面積が大きな第1の拡大隙間を開けて前記中継部材を囲繞し、前記貯留室から押し出されて前記第1の気液交換領域を通過した液体を毛管現象の作用で一時的に保持するリザーバ領域と、前記リザーバ領域を介して前記貯留室を大気に連絡させる吸気通路と、を備えることによって上記課題を解決する。
本発明は、上記塗布具の製造方法であって、前記塗布体の取り付けるために前記ハウジングに形成された開口部を上に向けて前記ハウジングを設置する工程と、上に向けられた前記開口部から前記ハウジング内に液体を注入する工程と、液体の注入後、前記開口部から前記ハウジング内に前記中継部材を挿入する工程と、前記中継部材の挿入後、前記開口部に前記塗布体を取り付ける工程と、を備えることによって上記課題を解決する。
本発明は、前記貯留室のうち、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁との間の領域を第1貯留室、その他の領域を第2貯留室とした場合、前記第2貯留室には液体が満充填されており、前記第1貯留室には液体が充填されていない上記塗布具の製造方法であって、前記塗布体の取り付けるために前記ハウジングに形成された開口部を上に向けて前記ハウジングを設置する工程と、上に向けられた前記開口部から、前記第2貯留室を満充填する量に前記中継部材及び前記塗布体に吸引される量を加えた量を総量とする液体を前記ハウジング内に注入する工程と、前記液体の注入後、前記開口部から前記ハウジング内に前記中継部材を挿入する工程と、前記中継部材の挿入後、前記開口部に前記塗布体を取り付ける工程と、を備えることによって上記課題を解決する。
本発明によれば、第1の気液交換領域をなす第1の隙間よりも断面積が大きい第2の隙間によって形成されるが故に通常は液体が回り込まず、貯留室から漏れ出した場合にのみ液体を一時的に保持するリザーバ領域を、毛管現象が作用する中継部材との間の隙間によって形成したので、リザーバ領域に一時的な保持されている液体が吸引されて抜き取られるに際して、液体を残存させずに確実に抜き取らせることができ、したがって、液体の保持容量や毛管現象の作用力などのリザーバ領域の性能に変動を生じさせないようにすることができる。
第1の実施の形態を示す塗布具(アイライナー)の縦断正面図。 図1中における(a)はA−A線断面図、(b)はB−B線断面図、(c)はC−C線断面図。 塗布具の製造工程を示し、(a)はハウジングを設置する工程、(b)は設置したハウジングにインク(液体)を注入する工程、(c)はインクを注入したハウジングに中継部材を挿入する工程、(d)は中継部材を挿入したハウジングに塗布体を取り付ける工程、(e)は完成した塗布具、をそれぞれ示す縦断正面図。 第2の実施の形態を示す塗布具(アイライナー)の縦断正面図。 第3の実施の形態を示す塗布具(アイライナー)の縦断正面図。 第4の実施の形態を示す塗布具(アイライナー)の縦断正面図。
本実施の形態の塗布具は、液体としてのインクIK(図1等参照)を生のままの状態で貯留し、適宜アイラインに塗布できるようにしたアイライナー101への各種適用例である。
以下、次の項目に沿って、第1から第4までの実施の形態を順に紹介する。
≪第1の実施の形態≫
1.概要
2.各部の構造の詳細
(1)ハウジングとホルダ
(2)第1の隔壁
(3)第2の隔壁
(4)中継部材
(5)気液交換のための構造
(イ)第1の気液交換領域とリザーバ領域
(ロ)第2の気液交換領域
(ハ)各部に生ずる毛管力の強弱関係
(ニ)貯留室におけるインクの貯留状態
(ホ)吸気通路
3.作用効果
(1)アイライナーの使用
(2)インクのボタ落ち防止
(イ)液体シール
(a)温度上昇時における液体シールの作用
(b)衝撃付加時における液体シールの作用
(ロ)複合シール
(a)温度上昇時における複合シールの作用
(b)衝撃付加時における複合シールの作用
(ハ)リザーバ領域シール
(a)インクの保持
(b)インクの回収
(ニ)リザーバ室シール
(a)インクの保持
(b)インクの回収
(3)その他
4.製造方法
(1)ハウジングの設置工程
(2)インクの注入工程
(3)中継部材の挿入工程
(4)塗布体の取り付け工程
(5)アイライナーの完成
≪第2の実施の形態≫
≪第3の実施の形態≫
≪第4の実施の形態≫
≪第1の実施の形態≫
第1の実施の形態を図1ないし図3(a)〜(e)に基づいて説明する。
1.概要
図1に示すように、本実施の形態のアイライナー101は、細長い筒状のハウジング102の一端側に塗布体111を取り付け、インクIKを封入する他端側を閉じた構造を有している。
塗布体111は複数本の繊維を集束して圧縮したもので、繊維束の長手方向を軸方向とする断面が真円の棒形状に形成されている。したがって個々の繊維の間に毛管現象を生じさせ、長手方向に液体を移動させる。
このような塗布体111は、後端部分が切り落とされて平坦な連結面111aとされ、先端部分は丸みを帯びた形状に加工されて塗布面111bとされている。塗布面111bは、人の皮膚であるアイライン上にインクIKを塗布する役割を担う。
ハウジング102は、その内部空間を二つの隔壁によって区画されている。隔壁の一つは第1の隔壁121aであり、もう一つは第2の隔壁121bである。
第1の隔壁121aは、塗布体111に近い側、つまりハウジング102の先端側に配置され、ハウジング102の内部を二つの部屋に区画している。こうして区画された部屋のうち、後端側の部屋はインクIKを貯留する貯留室131となり、先端側の部屋はリザーバ室141となる。
第2の隔壁121bは、貯留室131をさらに二つの部屋に区画している。
アイライナー101は、貯留室131に貯留されたインクIKを塗布体111に導く。そのための構造として、中継部材151が設けられている。
中継部材151は、塗布体111と同様に、複数本の繊維を集束して圧縮し、繊維束の長手方向を軸方向とする断面が真円の棒形状に形成したものである。したがって個々の繊維の間に毛管現象を生じさせ、長手方向に液体を移動させる。このような中継部材151は、その後端側を平坦な形状の突当部151aとし、先端側を尖った形状の連結部151bとしている。
そこで本実施の形態では、中継部材151の突当部151aを貯留室131に貯めたインクIKに浸し、連結部151bを塗布体111の連結面111aに食い込ませて接触させることで、中継部材151に働く毛管現象の作用を利用して、貯留室131から塗布体111にインクIKを誘導している。
この場合、毛管現象が作用する力(以下「毛管力」と呼ぶ)は、中継部材151よりも塗布体111の方が強く設定されている。それ故にインクIKは、貯留室131から中継部材151を経由して塗布体111に至る方向に流れる。液体は毛管力が弱い側から強い側に吸引されるからである。
このようなアイライナー101は、その先端部に着脱自在のキャップ(図示せず)を備え、塗布体111を覆って空気に触れさせないようにしている。
2.各部の構造の詳細
各部の構造をより詳細に説明する。
(1)ハウジングとホルダ
ハウジング102は、例えば樹脂成形品であり、先端部を開口させて開口部102aとし、この開口部102aに塗布体111を取り付けたホルダ112を着脱自在に取り付けている。ハウジング102の開口部102aに対するホルダ112の着脱構造は、例えば圧入による。
ホルダ112は、先端部を先窄まりの段状に形成した例えば樹脂成形品であり、ハウジング102と同軸上になる位置に、円筒状の大径部112aと小径部112bとを備えている。大径部112aは小径部112bよりもハウジング102の先端側に配置され、塗布体111を圧入状態で嵌合させる。小径部112bは中継部材151を圧入状態で嵌合させる。
もっとも大径部112aと小径部112bとは内部で連絡しており、大径部112aに保持された塗布体111の連結面111aと小径部112bに保持された中継部材151の連結部151bとは、互いに接触可能になっている。
(2)第1の隔壁
ハウジング102の内部空間を二分割する第1の隔壁121aは、ハウジング102の内周面に圧接する円柱形状に形成された例えば樹脂成形品であり、軸方向に沿って第1の貫通孔122aを有している。この第1の貫通孔122aは、第1の隔壁121aがハウジング102に圧入されて固定された状態で、ハウジング102と同軸上に位置付けられている。
第1の隔壁121aに形成された第1の貫通孔122aは、貯留室131に面する端部から奥に向けて少しだけストレート形状に形成され、その後はリザーバ室141に面する端部に向けてリニアに拡がるテーパー形状を有している。したがって第1の貫通孔122aの孔の大きさは、リザーバ室141に面する部分が最も大きく、貯留室131に面する部分が最も小さく形成されている。
また図2(a)(b)に示すように、第1の貫通孔122aはその断面形状が真円状に形成されているわけではなく、第1の隔壁121aの軸方向のどの部分においても正六角形形状に形成されている。
(3)第2の隔壁
貯留室131を二分割する第2の隔壁121bは、ハウジング102の内周面に圧接する円板形状に形成された例えば樹脂成形品であり、軸方向に沿って第2の貫通孔122bを有している。この第2の貫通孔122bは、第2の隔壁121bがハウジング102に圧入されて固定された状態で、ハウジング102と同軸上に位置付けられている。
図2(c)に示すように、第2の貫通孔122bはその断面形状が真円状に形成されているわけではなく、正六角形形状に形成されている。より詳しくは、第1の貫通孔122aのうち、貯留室131に面する端部から奥に向けて少しだけストレート形状に形成された断面積が最小の部分と同一形状で同一の大きさに形成されている。
第2の隔壁121bによって二分割された貯留室131は、第1の隔壁121aと第2の隔壁121bとの間の領域を第1貯留室131a、それ以外の領域、つまり第2の隔壁121bよりもハウジング102の後端側の領域を第2貯留室131bとする。
(4)中継部材
ホルダ112の小径部112bに保持された中継部材151は、第1の貫通孔122a及び第2の貫通孔122bを共に貫通し、その突当部151aをハウジング102の内部底面に形成したボス102bに突き当てて嵌合させることで、ハウジング102内に保持されている。
先に説明したとおり、ホルダ112はハウジング102と同軸上に成形され、第1の隔壁121aに設けた第1の貫通孔122a及び第2の隔壁121bに設けた第2の貫通孔122bも、ハウジング102と同軸上に位置付けられている。したがってホルダ112と第1の隔壁121aと第2の隔壁121bとを介してハウジング102に装着された塗布体111及び中継部材151は、ハウジング102と同軸上に位置付けられることになる。
(5)気液交換のための構造
(イ)第1の気液交換領域とリザーバ領域
第1の隔壁121aは、第1の貫通孔122aとこれを貫通する中継部材151との間に、第1の気液交換領域EA1とリザーバ領域RAとを形成する。
つまり第1の貫通孔122aにおいて貯留室131に接する側の最も狭いストレート形状の部分は、中継部材151が接触状態で嵌合する寸法に設定されている(図2(a)参照)。したがって中継部材151は、正六角形形状をした第1の貫通孔122aの六辺に接触し、第1の貫通孔122aとの間に六条に分割された第1の隙間G1aを形成する。
次に第1の貫通孔122aにおいて第1の隙間G1aをなす部分から徐々に断面積を拡大してリザーバ室141に至るテーパー状の部分は、中継部材151が非接触状態で嵌合する寸法に設定されている(図2(b)参照)。このため第1の貫通孔122aと中継部材151との間には、六条には分割されていない単一の第1の拡大隙間G1bが形成される。
このように第1の貫通孔122aと中継部材151との間には、第1の隔壁121aの全長にわたって隙間G1が形成されることになる。この隙間G1は、貯留室131に面する位置では六条に分割され、リザーバ室141に面する位置では単一になる。つまり貯留室131に面する位置で六条に分割された第1の隙間G1aは、断面積を拡大し始める第1の貫通孔122aの途中で合流して単一の隙間に統合されて第1の拡大隙間G1bとなり、テーパー状に拡がってリザーバ室141に面する部分に至る。
こうして第1の隔壁121aの第1の貫通孔122aと中継部材151との間に形成された隙間G1は、インクIKに毛管現象を生じさせる。ただし六条に分割された第1の隙間G1aは単一の第1の拡大隙間G1bよりも断面積が小さいために比較的毛管力が強く、単一に統合された第1の拡大隙間G1bの領域は、貯留室131に面する部分からリザーバ室141に面する部分に向かってテーバー状に拡がり、断面積を拡大していくので、リザーバ室141に近づくほど毛管力を弱める。
そこで本実施の形態では、第1の隙間G1aを第1の気液交換領域EA1とし、第1の拡大隙間G1bをリザーバ領域RAとしている。
第1の気液交換領域EA1は、貯留室131から供給されたインクIKを中継部材151よりも弱い力の毛管現象で吸引して中継部材151に導く領域である。
このような第1の気液交換領域EA1は、例えば綿のような不定形のものではなく、樹脂成形品という形が定まった定形の部材を基礎として形成されるもので、この意味で、どの部分においても均一な毛管力を生み出す安定した構造のものであるといえる。
リザーバ領域RAは、第1の気液交換領域EA1に連絡させて設けられ、第1の隙間G1aよりも弱い力の毛管現象を生じさせる領域である。
このようなリザーバ領域RAは、例えば綿のような不定形のものではなく、樹脂成形品という形が定まった定形の部材を基礎として形成されるもので、この意味で、どの部分においても均一な毛管力を生み出す安定した構造のものであるといえる。
もっともリザーバ領域RAはテーパー形状に形成されているので、ここでいう「均一な毛管力」というのは、中継部材151の軸方向の各位置において、周方向のどの部分においても均一であるという意味である。毛管力の強さは、断面積が大きくなるにしたがい弱くなっていくことは前述したとおりである。
こうしてリザーバ領域RAは、第1の気液交換領域EA1よりも毛管力が弱まるので、貯留室131から第1の隙間G1a(第1の気液交換領域EA1)に毛管現象によって吸引されたインクIKはその場に留まり、リザーバ領域RAにまで達しない。
その一方で、リザーバ領域RAは、何らかの原因、例えば内圧の高まりなどによって貯留室131からインクIKが押し出された場合、押し出されて第1の気液交換領域EA1を通過したインクIKを一時的に保持する役割を担う。
(ロ)第2の気液交換領域
第2の隔壁121bは、第2の貫通孔122bとこれを貫通する中継部材151との間に、第2の気液交換領域EA2を形成する。
つまり第2の貫通孔122bは、中継部材151が接触状態で嵌合する寸法に設定されている(図2(c)参照)。したがって中継部材151は、正六角形形状をした第2の貫通孔122bの六辺に接触し、第2の貫通孔122bとの間に六条に分割された第2の隙間G2を形成する。この第2の隙間G2は、その全長に渡ってインクIKに毛管現象を生じさせる第2の気液交換領域EA2となる。
第2の気液交換領域EA2は、貯留室131から供給されたインクIKを中継部材151よりも弱い力の毛管現象で吸引して中継部材151に導く領域である。
このような第2の気液交換領域EA2は、例えば綿のような不定形のものではなく、樹脂成形品という形が定まった定形の部材を基礎として形成されるもので、この意味で、どの部分においても均一な毛管力を生み出す安定した構造のものであるといえる。
(ハ)各部に生ずる毛管力の強弱関係
したがってアイライナー101は、塗布体111、中継部材151、第1の気液交換領域EA1、第2の気液交換領域EA2、そしてリザーバ領域RAの五箇所において毛管現象を生じさせる。
これらの各部における毛管力の強弱関係は、塗布体111に生ずる毛管力をCP1、中継部材151に生ずる毛管力をCP2、第1の気液交換領域EA1に生ずる毛管力をCP3、第2の気液交換領域EA2に生ずる毛管力をCP4、リザーバ領域RAに生ずる毛管力をCP5とすると、
CP1>CP2>CP3=CP4>CP5 ・・・・・式1
の関係になる。
なおリザーバ領域RAは、テーパー形状を有するが故に、毛管力が一定ではない。CP5は、リザーバ領域RAのうち、最も毛管力が強い部分における毛管力を意味している。
(ニ)貯留室におけるインクの貯留状態
前述したとおり、貯留室131は第1貯留室131aと第2貯留室131bとに区画されている。
本実施の形態では、インクIKは第1貯留室131aには充填されておらず、第2貯留室131bにのみ貯留されている。しかも第2貯留室131bは、インクIKを満充填した状態になっている。
(ホ)吸気通路
貯留室131は、塗布体111においてインクIKが消費されるにしたがい負圧になる。このため負圧になった貯留室131に空気を供給するための仕組みが必要になる。この仕組みが気液交換である。
気液交換は、第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2において実行される。このときに必要になるのが、リザーバ領域RAを介して貯留室131を大気に連絡させる吸気通路161である。
吸気通路161について説明する。
塗布体111においてインクIKが消費されると、まずは第1の隙間G1aと第2の隙間G2に保持されているインクIKが中継部材151を介して塗布体111に供給され、第1の気液交換領域EA1と第2の気液交換領域EA2とに保持されていたインクIKが消滅する。毛管現象の作用で液体が移動する場合、液体は最も毛管力が弱い部分から強い部分に移動するからである(上記式1参照)。
そこで本実施の形態は、第1の気液交換領域EA1において発生するインクIKの消滅という現象を利用して、第1の気液交換領域EA1とこれに連なるリザーバ領域RA及びリザーバ室141とを吸気通路161の一部として利用する。
吸気通路161の残りの一部は、ホルダ112に形成されている。
つまりホルダ112には、大径部112aの内壁の一部と小径部112bの内壁の一部とに、それぞれ塗布体111と中継部材151との間に隙間を生じさせる通気溝113が形成されている。これによってリザーバ室141がホルダ112の先端部から外部につながり、貯留室131を大気に連絡させる吸気通路161が生成されるわけである。
3.作用効果
作用効果について説明する。
(1)アイライナーの使用
貯留室131のうち、第2貯留室131bに貯留されているインクIKは、毛管現象の作用で中継部材151に吸引され、互いに接触する連結部151bから連結面111aを介して塗布体111に供給される。塗布体111は中継部材151よりも毛管力が強いため(上記式1参照)、供給されたインクIKを塗布面111bに導く。このとき中継部材151と塗布体111とは、インクIKを含浸して保持した状態になっている。
この際、第1の気液交換領域EA1と第2の気液交換領域EA2とにも、インクIKが吸引されて膜状に保持された状態になっている。
つまり貯留室131のうち、第2貯留室131bにはインクIKが充填されているので、第2貯留室131bに貯留されているインクIKは、第2の隔壁121bの第2の貫通孔122bと中継部材151との間の第2の隙間G2にも吸引され、第2の気液交換領域EA2を満たしているわけである。
その一方で、貯留室131のうち、第1貯留室131aにはインクIKが充填されていない。このため第1の隔壁121aの第1の貫通孔122aと中継部材151との間の第1の隙間G1aにはインクIKが吸引されず、したがって第1の気液交換領域EA1にはインクIKが回り込まないのではないかとの疑念を持つ向きもあることだろう。
しかしながら、第1の気液交換領域EA1は、中継部材151に生ずる毛管力CP2よりは弱いとはいえ、上記毛管力CP3の毛管現象を生じさせる。このため第1の気液交換領域EA1は、中継部材151が保持するインクIKを毛管現象によって吸引し、インクIKを満たした状態になっている。
したがって第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2にはインクIKが満たされていることから、吸気通路161は閉じられた状態になっている。
この状態でアイライナー101の使用者が塗布体111の塗布面111bをアイラインに当ててインクIKを塗布すると、塗布体111に含浸されていたインクIKが消費され、塗布体111は中継部材151を介して貯留室131からインクIKを吸引する。
これによって第2貯留室131bが負圧になる。
この際、インクIKは最も毛管力が弱い部分から消費される。このため塗布体111が貯留室131からインクIKを吸引すると、最も毛管力が弱い第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2のインクIKが塗布体111に向けて移送され、これらの第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2に保持されていたインクIKの膜が消滅する。すると吸気通路161が開通し、負圧になっている第2貯留室131bが大気を吸引して負圧状態を解消する。
そして塗布体111でのインクIKの消費が停止すると、第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2に再びインクIKが満たされる。
このような作用が繰り返されることで、塗布対象物であるアイラインへのインクIKの塗布が行われる。
(2)インクのボタ落ち防止
本実施の形態のように、インクを生の状態のまま貯留し、適宜塗布するようにしたアイライナーにおいては、塗布体からのインクの漏洩、いわゆるボタ落ちの防止が長年の課題になっている。このようなインクのボタ落ちは、温度上昇に伴うインクを貯留する貯留室の内圧の高まりや、アイライナーに加えられる衝撃を原因として発生する。
本実施の形態のアイライナー101は、このようなインクIKのボタ落ちという現象に対して、塗布体111に至る前の段階でインクIKを塞き止める四種類のシールによる防止策を施している。
四種類のシールの一つ目は、第2貯留室131bに満充填されたインクIKによって生成されるシール(以下「液体シール」と呼ぶ)、
二つ目は、第1貯留室131aに形成される空気層によるシール(以下「空気シール」と呼ぶ)と、リザーバ領域RAでのインクIKの一時的な保持(以下「第1のリザーバ領域シール」と呼ぶ)との組み合わせによるシール(以下「複合シール」と呼ぶ)、
三つ目は、リザーバ領域RAでのインクIKの一時的な保持によるシール(以下「第2のリザーバ領域シール」と呼ぶ)、
そして四つ目は、リザーバ室141でのインクIKの保持によるシール(以下「リザーバ室シール」と呼ぶ)
である。
第1のリザーバ領域シールと第2のリザーバ領域シールとは、リザーバ領域RAが毛管現象の作用でインクIKを吸引して保持し、塗布体111に回り込んでしまうことを防止する点で共通する。両者の違いは、中継部材151の内部を通るインクIKをリザーバ領域RAで吸引して塞き止めるのか(第1のリザーバ領域シール)、第1の気液交換領域EA1をなす第1の隙間G1aを通ってきたインクIKをリザーバ領域RAで吸引して塞き止めるのか(第2のリザーバ領域シール)という点である。
以下、塗布体111からのインクIKのボタ落ちを生じさせる二種類の要因、つまり温度上昇に伴う貯留室131(本実施の形態では第2貯留室131b)の内圧上昇という要因と、アイライナー101に加えられる衝撃という要因とに分けて、四種類のシールがいかに作用するのかについて説明する。
(イ)液体シール
(a)温度上昇時における液体シールの作用
本実施の形態のアイライナー101は、貯留室131、より詳しくは第2貯留室131bにインクIKを満充填している。
このためアイライナー101の製造、出荷、流通、販売時のいかなる時点においても、温度上昇に伴う第2貯留室131bの内圧上昇を生じさせることがない。インクIKが満充填されているために空気の混入がなく、温度が上昇したとしても、第2貯留室131bの内圧の上昇という現象がそもそも発生しないからである。
したがってアイライナー101の姿勢にかかわらず、つまり塗布体111を真下や真上に向けた姿勢、ハウジング102を真横に寝かせた姿勢、あるいはハウジング102を斜めに傾けた姿勢など、アイライナー101をいかなる姿勢にしたとしても、温度上昇に伴う第2貯留室131bの内圧上昇が生じず、これを原因とするインクIKの漏洩を確実に防止することができる。
もっともインクIKの主成分がアルコール等の溶剤である場合には、温度上昇時に少量のガスが発生し、第2の気液交換領域EA2の内圧をいくぶん上昇させることが考えられる。しかしながらこれを原因とする内圧の上昇は、インクIKの漏洩という現象を考慮したとき、無視できる程度のものでしかない。
(b)衝撃付加時における液体シールの作用
第2貯留室131bにインクIKが満充填されていれば、アイライナー101に衝撃が加えられたとしても、第2貯留室131bの内部においてインクIKの移動がない。アイライナー101がいかなる姿勢をとっていようとも、同様である。
このためアイライナー101の製造、出荷、流通、販売のいかなる時点においても、またアイライナー101の姿勢にかかわらず、衝撃が加えられることによる第2貯留室131bからのインクIKの漏れ出しを確実に防止することができる。
特に出荷後、販売に供されるまでの流通時には製品の搬送が行われるため、頻繁に衝撃が付加されることになるわけであるが、こうした場面においても、インクIKの漏洩を確実に防止することが可能である。
(ロ)複合シール
(a)温度上昇時における複合シールの作用
販売後のアイライナー101が使用されるにしたがい、第2貯留室131bに貯留されているインクIKは徐々に消費されていく。これに伴い第2貯留室131bには空気が混入するため、上記液体シールの作用が失われる。その結果、気温の上昇や使用者の体温の伝導などによって第2貯留室131bの内部温度が上昇すると、混入した空気が膨張して第2貯留室131bの内圧を高め、インクIKを第2の気液交換領域EA2から押し出そうとする力が働く。
これに対して本実施の形態では、第2の気液交換領域EA2と第1の気液交換領域EA1とにインクIKが膜状に保持されているので、第1貯留室131aに空気が閉じ込められ、閉じ込められた空気が空気層を生成する。このため第2貯留室131bに貯留されたインクIKは、第2の気液交換領域EA2から漏れ出そうとしても、空気層があるお陰で第1貯留室131aに入り難くなる。
これが空気シールである。
ところで第2貯留室131bの内部温度が上昇してその内圧が高まった場合、第2貯留室131bに貯留されているインクIKには、第2の気液交換領域EA2から押し出されようとする力のみならず、中継部材151の内部を移動して塗布体111に向かう力も働く。こうしたインクIKを移動させる力に対しては、空気シールは無力である。
このため第2貯留室131bに貯留されているインクIKは、第2貯留室131bの内圧上昇に伴い、中継部材151の内部を移動して塗布体111に向かう。こうして移動したインクIKは、第1貯留室131aを通り抜け、その第1の気液交換領域EA1に連なるリザーバ領域RAにまで至ると、毛管現象の作用で吸引されて保持される。
これが第1のリザーバ領域シールである。
したがって満充填されていたインクIKが消費されて第2貯留室131bの内部に空気が混入しはじめた場合、塗布体111に向かって移動しようとする(あるいは移動する)インクIKは、空気シールと第1のリザーバ領域シールとの組み合わせによる複合シールによってその移動を阻止される。
もっとも複合シールのうち空気シールは、アイライナー101の姿勢によっては作用しないことがある。そこでアイライナー101がとる姿勢ごとに、複合シールの作用を補足説明する。
(ペン先を真下に向けた姿勢のとき)
この場合には、空気シールと第1のリザーバ領域シールとの組み合わせによる複合シールが正常に機能する。
このときのリザーバ領域RAでのインクIKの保持は、一時的である。
第2貯留室131bからはインクIKが漏れ出しているので、上昇した内部温度が低下して元に戻るにしたがい第2貯留室131bは負圧になり、リザーバ領域RAに保持されているインクIKを引き戻すからである。
ただし第2貯留室131bにはインクIKの水頭圧が作用するので、リザーバ領域RAに保持されたインクIKの全量が第2貯留室131bに戻りきらないことがある。この場合、インクIKは、リザーバ領域RAの毛管力CP5よりも強い力の毛管力CP3を生じる第1の気液交換領域EA1に吸引され、第1貯留室131aに回収される。
いずれにしても、第2貯留室131bの負圧状態が解消されればリザーバ領域RAからインクIKが抜き取られ、リザーバ領域RAは初期状態に復帰する。
(傾斜姿勢のとき)
塗布体111を真下に向けた状態からアイライナー101を傾斜させると、第2貯留室131bに貯留されているインクIKは、リザーバ領域RAと第1貯留室131aとに分散して流れる。
第1貯留室131aにも流れるのは、第1貯留室131a内における第2の隙間G2のエッジ部分におけるインク保持力が、アイライナー101の傾斜角度が大きくなるにつれて弱くなるからである。
つまりこの部分においては、第2の隙間G2によって形成される第2の気液交換領域EA2に生ずる毛管力CP4と、中継部材151に生ずる毛管力CP2との相互作用によってインクIKが保持されている。これに対してアイライナー101の傾斜角度が大きくなると、第2の隙間G2のエッジ部分から第1貯留室131aに漏れ出そうとするインクIKと中継部材151との間の距離が大きくなり、この部分に作用するインクIKを吸引する中継部材151の毛管力CP2が弱まる。これによって第2貯留室131bに貯留されているインクIKは、リザーバ領域RAと第1貯留室131aとに分散して流れるようになるわけである。
リザーバ領域RAに一時的に保持されたインクIKは、前述したように、上昇した温度が元に戻るにしたがい第2貯留室131bに戻され、水頭圧の作用で戻りきらない分は第1貯留室131aに回収される。この場合、アイライナー101の傾斜角度が大きくなるほど、つまり真横に寝かせた姿勢に近づくほど水頭圧の影響が軽微となるため、第2貯留室131bに戻されるインクIKの量が多くなる。
いずれにしても、第2貯留室131bの負圧状態が解消されればリザーバ領域RAからインクIKが抜き取られ、リザーバ領域RAは初期状態に復帰する。
第1貯留室131aに流れ込んだインクIKは、そのまま第1貯留室131aに貯留され、第2貯留室131bには戻らない。
(真横に寝かせた姿勢のとき)
アイライナー101を真横に寝かせた場合、傾斜させた場合と同様に、第2貯留室131bに貯留されているインクIKは、リザーバ領域RAと第1貯留室131aとに分散して流れる。
その理由及び温度が元に戻ったときに生ずる現象については、上記アイライナー101を傾斜させた場合と同様である。
(ペン先を真上に向けた姿勢のとき)
塗布体111を真上に向けた場合、インクIKの漏れ出しは生じない。
(b)衝撃付加時における複合シールの作用
塗布体111でのインクIKの消費に伴い第2貯留室131bの内部に空気が混入している状態では、アイライナー101に衝撃が加わると、第2貯留室131bの内部でインクIKが移動し、第2の気液交換領域EA2に保持されているインクIKの膜を破って漏れ出そうとする。
これに対して本実施の形態では、第1貯留室131aに閉じ込められた空気による空気シールが生成されているので、第2貯留室131bからのインクIKの漏れ出しが抑制される。
この場合には、中継部材151の内部を通ってインクIKが塗布体111に向けて進行するという現象も生じない。
したがって複合シールのうち、空気シールの作用のみによってインクIKが塞き止められるわけである。
ただしペン先を真下に向けた姿勢のとき、つまり塗布体111を真下に向けている場合には、第2貯留室131bに混入している空気の量が増えるにしたがいインクIKの移動が激しくなるので、第2貯留室131bからの若干のインクIKの漏れ出しが発生する。こうして漏れ出したインクIKは第1貯留室131aに流れ込み、そのまま貯留される。
(ハ)第2のリザーバ領域シール
(a)インクの保持
本実施の形態のアイライナー101は、その製造時、第2貯留室131bにのみインクIKを充填し、第1貯留室131aにはインクIKを充填していない。この状態は、上記「(イ)液体シール」の項目で述べたとおり、製造後の出荷、流通、販売のどの時点をとらえても変わることがない。
もっとも、第1貯留室131aにはインクIKを充填、つまり一杯に詰め込んではいないものの、アイライナー101の製造上、若干量のインクIKが入り込んで溜まった状態になっていることがある。このことについては、後述する「4.製造方法」の項目を参照されたい。
またアイライナー101が使用されて塗布体111からインクIKが消費され始めると、リザーバ領域RAから第2貯留室131bに戻りきらなかったインクIKが回り込んだり、第2貯留室131bから直接流れ込んだりして、第1貯留室131aにインクIKが溜まっていくこともある(上記「(ロ)複合シール」参照)。
こうして第1貯留室131aにインクIKが溜まると、このインクIKは塗布体111での塗布動作にしたがい真っ先に消費される。第1貯留室131aにインクIKが貯留されている場合、第1の気液交換領域EA1での気液交換が行われ、第2貯留室131bから塗布体111に向けてインクIKが引かれないからである。
ところで第1貯留室131aにインクIKが貯留されている場合、温度上昇などによって第1貯留室131aの内圧が高まったり、アイライナー101に衝撃が加わったりすると、第1貯留室131aからもインクIKが押し出され、第1の気液交換領域EA1を通って外部に流れ出そうとする。
これに対して本実施の形態では、貯留室131からインクIKが溢れ出して第1の気液交換領域EA1に流れ込んだ場合、リザーバ領域RAがインクIKを一時的に保持する。そしてアイライナー101がどのような角度に傾けられた場合であっても、リザーバ領域RAは毛管現象の作用でインクIKの保持状態を維持する。
(b)インクの回収
リザーバ領域RAに保持されているインクIKは、一旦は高まった貯留室131の内圧が元に戻れば、より毛管力が強い第1の気液交換領域EA1に吸引され(上記式1参照)、第1貯留室131aに回収される。あるいは塗布体111での塗布動作が行われれば、より毛管力が強い中継部材151に吸引され(上記式1参照)、塗布体111で消費される。
これによってリザーバ領域RAからインクIKが抜き取られ、リザーバ領域RAは初期状態に復帰する。
(ニ)リザーバ室シール
(a)インクの保持
リザーバ領域RAにその容量を超えるインクIKが流れ込めば、インクIKはリザーバ領域RAから溢れ出してしまう。
これに対して、本実施の形態では、こうしてリザーバ領域RAからインクIKが溢れ出したとしても、漏れ出たインクIKをリザーバ室141に保持することができる。
リザーバ室141に保持されたインクIKは、塗布体111が上方を向くようにアイライナー101が傾けられると、リザーバ領域RAの出口に向けて集められる。すると毛管現象の作用でリザーバ領域RAに吸引されていく。
インクIKがリザーバ領域RAに吸引されれば、先に説明したように、第1貯留室131aに回収されるか、あるいは塗布体111に回収される。
(ホ)まとめ
したがって本実施の形態によれば、温度上昇に伴う内圧変動や衝撃など、塗布体111からインクIKをボタ落ちさせてしまうような事象が発生したとしても、「液体シール」「空気シール」「リザーバ領域シール」「リザーバ室シール」という四種類のシールによってインクIKを塞き止めることができ、したがってインクIKのボタ落ちを確実に防止することができる。
ここで「空気シール」「リザーバ領域シール」「リザーバ室シール」という三種類のシールが作用する際には、インクIKがリザーバ領域RAに一時的に保持されることがある。このときリザーバ領域RAが中綿などのインキ吸蔵体によって形成されている場合(特許文献1〜3参照)、インクIKが残存してしまうという問題が生ずる。これに対して本実施の形態のリザーバ領域RAは、中継部材151を囲繞する定形の第1の拡大隙間G1bによって形成されているので、インクIKを残存させることがない。
したがってリザーバ領域RAにインクIKが残存した場合の不都合、例えばインクIKの保持容量が減少したり、毛管現象の作用力に変動が生じたりという性能の変動をリザーバ領域RAに生じさせないようにすることができる。
(3)その他
本実施の形態によれば、第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2は、気液交換用の第1の隙間G1a及び第2の隙間G2を開けて中継部材151を囲繞する。このため毛管力の強さが安定し、リザーバ領域RAとの間の毛管力の強さの関係(上記式1参照)を安定した状態に保つことができる。また製品ごとのバラツキを極力少なくすることもできる。
この場合、第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2は、少なくとも二個以上のN個(本実施の形態では六個)に分割された気液交換用の第1の隙間G1a及び第2の隙間G2を形成するN箇所(本実施の形態では六箇所)の位置で中継部材151に接触し、中継部材151を位置決めする。
したがって第1の隙間G1a及び第2の隙間G2の大きさを正確に定めることができ、第1の気液交換領域EA1及び第2の気液交換領域EA2の毛管力のバラツキを極力少なくすることができる。
また第1の気液交換領域EA1もリザーバ領域RAも、中継部材151に各辺が接触する多角形形状に形成されているので、第1の気液交換領域EA1及びリザーバ領域RAを形成する第1の貫通孔122aの形状を単純にすることができ、その製造の容易化を図ることができる。
さらにリザーバ領域RAは、中継部材151を囲繞する内面形状を第1の気液交換領域EA1の側からテーパー状に広げて形成されているので、この面からも第1の気液交換領域EA1及びリザーバ領域RAを形成する第1の貫通孔122aの形状を単純にすることができ、その製造の容易化を図ることができる。
4.製造方法
本実施の形態のアイライナー101は、貯留室131のうち、第2貯留室131bにのみインクIKを満充填し、第1貯留室131aにはインクIKを充填していない。
このような特有な構造をした貯留室131を有するアイライナー101の製造方法を、図3(a)〜(e)に基づいて説明する。
(1)ハウジングの設置工程
図3(a)は、ハウジング102を設置する工程を示す縦断正面図である。
この工程では、ハウジング102を用意し、設置する。
前述したように、ハウジング102は開口部102aを一端側に備え、他端側の内部に、中継部材151を嵌合させて位置決めするためのボス102bを備えている。
このようなハウジング102を用意し、開口部102aを上に向けて鉛直に設置する。
(2)インクの注入工程
図3(b)は、設置したハウジング102にインクIKを注入する工程を示す縦断正面図である。
この工程では、上に向けられた開口部102aからハウジング102の内部にインクIKを注入する。
このときに重要なことは、注入するインクIKの量である。
つまり本実施の形態のアイライナー101は、第2貯留室131bにのみインクIKを満充填し、第1貯留室131aにはインクIKを充填していない。このような状態を実現できるかどうかは、本工程でハウジング102に注入するインクIKの量いかんにかかっている。
そこで本工程では、第2貯留室131bを満充填する量に、中継部材151及び塗布体111に吸引される量を加えた量を総量とするインクIKをハウジング102の内部に注入する。
ここで一つ問題が発生する。
ハウジング102において、第2貯留室131bはすべて形が定まった定形の部材によって形成されている。したがって第2貯留室131bを満充填するインクIKの量は、自ずと定まる。
これに対して、ハウジング102に中継部材151と塗布体111とを装着すると(後述する)、これらの中継部材151と塗布体111とにインクIKが吸収されるので、その分を加味して注入するインクIKの総量を決定しなければならない。
ところが中継部材151も塗布体111も、複数本の繊維を集束して圧縮した構造のものであるので、液体の吸収率に個体差が生ずる。ということはつまり、中継部材151と塗布体111とに吸収されるインクIKの量は、一意に定まらないわけである。
したがってアイライナー101の製造に際して、第2貯留室131bにのみインクIKを満充填し、第1貯留室131aにはインクIKをまったく回り込ませないようにすることは、偶発的に生ずる僥倖に期待するのであれば兎も角、事実上不可能である。
そこで貯留室131に貯留されるインクIKの量については、若干の誤差を許容せざるを得ない。
とは言っても、インクIKの量の不足は許されない。
つまり想定よりも多い量のインクIKが中継部材151及び塗布体111に吸収されるとインクIKの量が不足し、第2貯留室131bを満充填することができなくなってしまうわけであるが、このような事態の発生は厳に回避しなければならない。第2貯留室131bにインクIKが満充填されなければ、液体シールを生成することができなくなってしまうからである(上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止(イ)液体シール」参照)。
では貯留室131に貯留されるインクIKの量が過剰になったときはどうだろうか。
つまり中継部材151及び塗布体111に吸収されるインクIKの量が想定を下回り、第2貯留室131bを満充填したインクIKがさらに第1貯留室131aにまで回り込んでしまう状況である。
この場合、第2貯留室131bにインクIKが満充填されることによって生成される液体シールは、その作用効果に何ら影響を受けない。したがって液体シールの生成という面では、問題が生じない。
ところが第1貯留室131aにもインクIKが回り込んでしまった場合、塗布体111からのインクIKのボタ落ちが懸念される。つまり温度の上昇に伴い第1貯留室131aの内圧が高まったり、アイライナー101に衝撃が加わったりすると、第1の気液交換領域EA1となる第1の隙間G1aからインクIKが漏れ出し、塗布体111からインクIKをボタ落ちさせてしまわないだろうか、という懸念である。
これに対して、本実施の形態では、第1の気液交換領域EA1からインクIKが漏れ出したとしても、漏れ出たインクIKはリザーバ領域RAに一時的に保持される。そして温度上昇の場合には上昇した温度が元の温度に戻るに際して、衝撃付加の場合には直ちに、リザーバ領域RAに保持されているインクIKは第1の気液交換領域EA1に吸引され、第1貯留室131aに回収される(上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止(ハ)リザーバ領域シール」参照)。
したがって塗布体111からインクIKがボタ落ちするかもしれないという懸念は杞憂に終わり、第1貯留室131aにインクIKが回り込んだとしても、特段の不利益が生じることはない。
以上より、インクIKの注入工程において、第2貯留室131bを満充填する量に加えてハウジング102に注入する中継部材151及び塗布体111に吸引される量のインクIKは、これらの中継部材151及び塗布体111が吸収することであろう量の最大値以上の量に定めればよいことになる。
(3)中継部材の挿入工程
図3(c)は、インクIKを注入したハウジング102に、中継部材151を挿入する工程を示す縦断正面図である。
この工程では、インクIKを注入したハウジング102に、中継部材151を挿入する。この際、中継部材151は、その端部をハウジング102の内部底面に形成したボス102bに嵌合させて突き当て、位置決めする。
ハウジング102に注入されたインクIKの一部は、挿入された中継部材151に吸収されその水位を下げる。図3(b)と(c)とを比較参照されたい。
(4)塗布体の取り付け工程
図3(d)は、中継部材151を挿入したハウジング102に、塗布体111を取り付ける工程を示す縦断正面図である。
この工程では、大径部112aに塗布体111を圧入して取り付けたホルダ112を予め用意しておき、この塗布体111付きのホルダ112をハウジング102の開口部102aに装着する。装着は、開口部102aにホルダ112を圧入状態で嵌合させて行なう。
この際、ハウジング102にホルダ112が正しく装着されれば、塗布体111の連結面111aに中継部材151の突当部151aが付き当てられた状態で両者が連結され、中継部材151から塗布体111へのインクIKの移動が可能となる。
これによってインクIKは塗布体111にも吸引され、ハウジング102内に設けられた貯留室131での貯留量がさらに減少する(図3(e)参照)。
(5)アイライナーの完成
図3(e)は、完成したアイライナー101を示す縦断正面図である。
完成後のアイライナー101では、第2貯留室131bにインクIKを満充填した状態とすることが可能である。
この場合、中継部材151及び塗布体111でのインクIKの吸収度合いに応じて、第1貯留室131aにも若干の量のインクIKが回り込むことがあるが、前述したとおり、このような事象が発生しても特段の不都合が生じない。
また上記各工程はきわめて簡易であり、第2貯留室131bにインクIKを満充填したアイライナー101を容易に製造することが可能である。
≪第2の実施の形態≫
第2の実施の形態を図4に基づいて説明する。
第1の実施の形態と同一部分は同一の符号で示し、説明も省略する。
本実施の形態は、第2の隔壁121bを二枚設け(第2の隔壁A121b1と第2の隔壁B121b2)、第2貯留室131bを第2貯留室A131b1と第2貯留室B131b2との二つの領域に区画している。
第2貯留室A131b1は第1貯留室131aに隣接する領域、第2貯留室B131b2はアイライナー101の後端側の領域である。これによって第2貯留室131bは、個々の領域(第2貯留室A131b1と第2貯留室B131b2)の容積が縮小している。
そして本実施の形態では、第1貯留室131aにもインクIKを充填している。
つまりアイライナー101の製造時、インクIKの注入工程において、インクIKは貯留室131の全体、つまり第1貯留室131aと第2貯留室131b(第2貯留室A131b1と第2貯留室B131b2)とに満充填されているわけである。
図4は、製造直後の未使用のアイライナー101を示している。この図4中、第1貯留室131aにおいてインクIKが満充填されていないのは、インクIKを注入した後でハウジング102に装着された中継部材151と塗布体111とに吸収されたからである。
本実施の形態では、第1貯留室131aと第2貯留室A131b1とを区画する第2の隔壁A121b1に形成される各部の名称として、第2の貫通孔122bを第2の貫通孔A122b1、隙間G2を隙間G2−1、第2の気液交換領域EA2を第2の気液交換領域EA2−1と呼ぶ。
また第2貯留室A131b1と第2貯留室B131b2とを区画する第2の隔壁B121b2に形成される各部の名称として、第2の貫通孔122bを第2の貫通孔B122b2、隙間G2を隙間G2−2、第2の気液交換領域EA2を第2の気液交換領域EA2−2と呼ぶ。
このような構成において、アイライナー101の製造、出荷、流通、販売時には、
・第1貯留室131aにはインクIKが充填されている
・第2貯留室A131b1にはインクIKが満充填され、液体シールが生成される
・第2貯留室B131b2にはインクIKが満充填され、液体シールが生成される
という状態になっている。
したがって二つの第2貯留室131b、つまり第2貯留室A131b1と第2貯留室B131b2とについては、第1の実施の形態において第2貯留室131bにインクIKが満充填されているときと同一の作用効果が奏される(上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止」参照)。
その一方で、第1貯留室131aは第1の実施の形態と異なる様相を示している。第1の実施の形態では若干量のインクIKが回り込んでいるだけであるのに対して、本実施の形態ではインクIKが充填されているからである。つまり第1貯留室131aに対するインクIKの貯留量の違いである。
これに対して第1貯留室131aにおける第1の実施の形態と第2の実施の形態との差異は、塗布体111からのインクIKのボタ落ち防止という観点からすると、本質的な違いはない。つまり本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、第2のリザーバ領域シールの作用で、塗布体111へのインクIKの移動をリザーバ領域RAが阻止するわけである。
なお初期状態のアイライナー101では、インクIKのみならず空気も混入している第1貯留室131aには、空気シールも生成されている。ただしインクIKが満充填されている第2貯留室A131b1及び第2貯留室B131b2には液体シールが生成されているので、塗布体111からのインクIKのボタ落ち防止という観点からすると、初期状態で生成されている空気シールは意味を持たない。
販売後、使用者がアイライナー101を使用すると、塗布体111に保持されているインクIKが消費されるので、貯留室131から塗布体111にインクIKの供給が行なわれる。
この際、まずは第1貯留室131aに貯留されているインクIKから消費され、すべて消費され尽くすと、第2貯留室A131b1に貯留されているインクIKが消費されることになる。
このときには、
・第1貯留室131aは空になり、空気シールの作用を維持する
・第2貯留室A131b1に空気が混入し、液体シールの作用が消滅する
・第2貯留室B131b2はインク満充填状態を維持し、液体シールの作用を維持する
という状態になる。
空になっても第1貯留室131aに空気シールの作用が維持されるのは、第1の気液交換領域EA1が中継部材151から吸引したインクIKで第1の隙間G1aが満たされるからである。
第2貯留室A131b1に空気が混入するのは、塗布体111での塗布動作に伴い、第1の隙間G1aと第2の隙間G2−1とに保持されているインクIKが消費され、塗布動作が行われている間は、これらの第1の隙間G1a及び第2の隙間G2−1が大気に連絡する吸気通路161の一部となるからである。
塗布動作が終了すると、第1の隙間G1aと第2の隙間G2−1とには再びインクIKが満たされて保持され、第1貯留室131aに空気シールが生成される。
したがってそれぞれの部位に、上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止」で述べたとおりの作用効果が奏される。
なお液体シールの作用が消滅した第2貯留室A131b1は、空気が混入することで空気シールが生成される。ただしインクIKが満充填されている第2貯留室B131b2には液体シールが生成されているので、塗布体111からのインクIKのボタ落ち防止という観点からすると、こうして第2貯留室A131b1に生成される空気シールは意味を持たない。
その後第2貯留室A131b1に貯留されていたインクIKも消費され尽くすと、ここで初めて第2貯留室B131b2に貯留されているインクIKが消費されることになる。
このときには、
・第1貯留室131aは空の状態を維持し、空気シールの作用を維持する
・第2貯留室A131b1は空になり、空気シールの作用を維持する
・第2貯留室B131b2に空気が混入し、液体シールの作用が消滅する
という状態になる。
第1貯留室131aが空気シールの作用を維持する理由は、前述したとおりである。
空になっても第2貯留室A131b1に空気シールの作用が維持されるのは、第2の気液交換領域EA2−1が中継部材151から吸引したインクIKで第2の隙間G2−1が満たされるからである。
第2貯留室B131b2に空気が混入するのは、塗布体111での塗布動作に伴い、第1の隙間G1aと第2の隙間G2−1と第2の隙間G2−2とに保持されているインクIKが消費され、塗布動作が行われている間は、これらの第1の隙間G1a、第2の隙間G2−1、そして第2の隙間G2−2が大気に連絡する吸気通路161の一部となるからである。
塗布動作が終了すると、第1の隙間G1aと第2の隙間G2−1と第2の隙間G2−2とには再びインクIKが満たされて保持され、第1貯留室131aと第2貯留室A131b1とに空気シールが生成される。
したがってそれぞれの部位に、上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止」で述べたとおりの作用効果が奏される。
この際、第2貯留室A131b1は第1貯留室131aと同様に空気シールの作用を維持するので、空気シールの作用を生ずる領域が二つ連なることになる。
≪第3の実施の形態≫
第3の実施の形態を図5に基づいて説明する。
第1の実施の形態と同一部分は同一の符号で示し、説明も省略する。
本実施の形態は、第2の隔壁121bを第1の隔壁121aと同一の構造にした一例である。
したがって第2の隔壁121bに形成された第2の貫通孔122bは、第2貯留室131bに面する端部から奥に向けて少しだけストレート形状に形成され、その後は第1貯留室131aに面する端部に向けてリニアに拡がるテーパー形状を有している。したがって第2の貫通孔122bの孔の大きさは、第1貯留室131aに面する部分が最も大きく、第2貯留室131bに面する部分が最も小さく形成されている。
そこで第2の貫通孔122bにおいて第2貯留室131bに接する側の最も狭いストレート形状の部分は、中継部材151が接触状態で嵌合する寸法に設定されている。したがって中継部材151は、正六角形形状をした第2の貫通孔122bの六辺に接触し、第2の貫通孔122bとの間に六条に分割された第2の隙間G2aを形成する(図2(a)に示す第1の隙間G1aと同一)。
次に第2の貫通孔122bにおいて第2の隙間G2aをなす部分から徐々に断面積を拡大して第1貯留室131aに至るテーパー状の部分は、中継部材151が非接触状態で嵌合する寸法に設定されている。このため第2の貫通孔122bと中継部材151との間には、六条には分割されていない単一の第2の拡大隙間G2bが形成される(図2(b)に示す第1の拡大隙間G1bと同一)。
このように第2の貫通孔122bと中継部材151との間には、第2の隔壁121bの全長にわたって隙間G2が形成されることになる。この隙間G2は、第2貯留室131bに面する位置では六条に分割され、第1貯留室131aに面する位置では単一になる。つまり第2貯留室131bに面する位置で六条に分割された第2の隙間G2aは、断面積を拡大し始める第2の貫通孔122bの途中で合流して単一の隙間に統合されて第2の拡大隙間G2bとなり、テーパー状に拡がって第1貯留室131aに面する部分に至る。
こうして第2の隔壁121bの第2の貫通孔122bと中継部材151との間に形成された隙間G2は、その全長に渡ってインクIKに毛管現象を生じさせる。ただし六条に分割された第2の隙間G2aは単一の第2の拡大隙間G2bよりも断面積が小さいために比較的毛管力が強く、単一に統合された第2の拡大隙間G2bの領域は、第2貯留室131bに面する部分から第1貯留室131aに面する部分に向かってテーバー状に拡がり、断面積を拡大していくので、第1貯留室131aに近づくほど毛管力を弱める。
そこで本実施の形態では、第2の隙間G2aを第2の気液交換領域EA2とし、第2の拡大隙間G2bを第2リザーバ領域RA2としている。
このような構成において、本実施の形態のアイライナー101も、基本的には第1の実施の形態のアイライナー101と同様の作用効果を生ずる。
相違するのは、第2貯留室131bに貯留されているインクIKが消費され、第2貯留室131bに空気が混入し始めてからの振る舞いである。より詳細には、
・アイライナー101を斜めに傾けたり真横に寝かせたりした場合における温度上昇時のインクIKのシール作用
・ペン先を真下に向けた場合における衝撃付加時のインクIKのシール作用
が第1の実施の形態とは相違する。
つまり第1の実施の形態のアイライナー101では、第2貯留室131bの温度が上昇してその内圧が高まった際、アイライナー101を斜めに傾けたり真横に寝かせたりすると、第2の気液交換領域EA2を形成する第2の隙間G2からインクIKが漏れ出し、第1貯留室131aに流れ込む(上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止(ロ)複合シール(a)温度上昇時における複合シールの作用」参照)。
また第1の実施の形態のアイライナー101では、ペン先を真下に向けた姿勢のとき、つまり塗布体111を真下に向けている場合には、第2貯留室131bに混入している空気の量が増えるにしたがいインクIKの移動が激しくなるので、衝撃が付加されると、第2貯留室131bからの若干のインクIKの漏れ出しが発生する(上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止(ロ)複合シール(b)衝撃付加時における複合シールの作用」参照)。
これに対して本実施の形態では、上記状況下でも第2の気液交換領域EA2に連なる第2リザーバ領域RA2が漏れ出そうとするインクIKを一時的に保持する。つまり第2リザーバ領域RA2が第2のリザーバ領域シールの作用を奏し(上記「3.作用効果(2)インクのボタ落ち防止(ハ)第2のリザーバ領域シール(a)インクの保持」参照)、第2の拡大隙間G2bからのインクIKの漏れ出しを抑制するわけである。
そして第2貯留室131bの温度が低下してその内圧が下がると、第2リザーバ領域RA2に保持されていたインクIKを第2の気液交換領域EA2が毛管現象の作用で吸引し、第2貯留室131bに引き戻して回収する。
したがって本実施の形態によれば、第2貯留室131bから第1貯留室131aへのインクIKの流出を防止することができるわけである。
≪第4の実施の形態≫
第4の実施の形態を図6に基づいて説明する。
第1の実施の形態と同一部分は同一の符号で示し、説明も省略する。
本実施の形態は、ハウジング102の開口部102aをアイライナー101の先端側となる塗布体111の側ではなく後端側に設け、キャップ103で閉鎖するようにした。
したがってホルダ112はハウジング102と一体に形成されている。
このような構成において、第2貯留室131bに対するインクIKの注入は、キャップ103をハウジング102に取り付ける前、あるいは一旦取り付けたキャップ103を取り外し、開口部102aから行なう。この際、インクIKは、中継部材151及び塗布体111を装着した状態のハウジング102に対して注入する。
したがって第2貯留室131bにはインクIKを満充填することができず、液体シールを生成することができない。
このため本実施の形態のアイライナー101には、その製造当初から液体シールによるインクIKの封じ込め効果を期待することができない。温度上昇に伴う第2貯留室131bの内圧上昇や衝撃の付加という事象によって生ずる可能性がある塗布体111からのインクIKのボタ落ちに対しては、製造後の出荷、流通、販売、使用の各過程において、専ら複合シール、第2のリザーバ領域シール、リザーバ室シールの作用でこれを防止し、対処することになる。
≪変形例≫
以上説明した第1〜第4の実施の形態については、各種の変形や変更が可能である。
例えば第1の気液交換領域EA1及びリザーバ領域RAのいずれか一方又は両方については、第1の隔壁121aの第1の貫通孔122aを断面真円形状に形成したりしてもよく、また断面楕円形状に形成し、二個に分割された第1の隙間G1aを形成する二箇所の位置で中継部材151に接触し、中継部材151を位置決めするようにしてもよい。
あるいは第1の気液交換領域EA1を形成する第1の隙間G1aについては第1の実施の形態と同じ正六角形形状、あるいは別の多角形形状としながら、リザーバ領域RAを形成する第1の拡大隙間G1bを真円形状や楕円形状としてもよい。
つまり第1の貫通孔122aに関しては、第1の隙間G1aが第1の気液交換領域EA1としての機能を発揮し、第1の拡大隙間G1bがリザーバ領域RAとしての機能を奏する限りは、その形状を問わない。
この点に関しては、第2の気液交換領域EA2(第2の実施の形態の第2の気液交換領域EA2−1、EA2−2)に関しても、第3の実施の形態おいて第2の隔壁121bに形成される第2リザーバ領域RA2についても同様である。
第2の気液交換領域EA2(第2の実施の形態の第2の気液交換領域EA2−1、EA2−2)や第3の実施の形態おいて第2リザーバ領域RA2を形成する第2の貫通孔122b(第2の貫通孔A122b1、第2の貫通孔B122b2)は、正六角形形状に限らず他の多角形形状でも、真円や楕円などの形状でもよい。
また本実施の形態では、第1の気液交換領域EA1に生ずる毛管力CP3と第2の気液交換領域EA2に生ずる毛管力CP4とを等しく設定した一例を示したが(上記式1参照)、実施に際しては必ずしもこの関係に限定されるわけではない。
CP2>CP3>CP5
CP2>CP4>CP5
の関係を満たす限り、毛管力CP3を毛管力CP4よりも大きく設定したり、反対に毛管力CP4を毛管力CP3よりも大きく設定したりすることが可能である。
また塗布体111の連結面111aと中継部材151の連結部151bとの連結形状として、第1及び第2の実施の形態は連結部151bが連結面111aに食い込む形状(図1、図4)を、第3及び第4の実施の形態は平坦面同士が当接する形状(図5、図6)をそれぞれ例示したが、実施に際してはいずれの形状を採用してもよい。
実施に際しては、リザーバ室141に位置させて、中継部材151にインクIKを吸収する吸収体(図示せず)を取り付けるようにしてもよい。吸収体としては、一例として、複数本の繊維をからめた例えば綿によって形成されたものが用いられる。ただし吸収体は、第1の気液交換領域EA1よりも毛管力が弱く設定されていなければならない。
こうしてリザーバ室141に吸収体を配置しておけば、リザーバ領域RAの容量を超えるインクIKが第1の隙間G1aに流れ込み、リザーバ領域RAからインクIKが溢れ出してリザーバ室141に流出した場合であっても、流出したインクIKを吸収体に吸収させて保持することができる。
吸収体に保持されたインクIKは、次に塗布体111で塗布動作が行われた際、毛管力がより強い中継部材151に吸引され(上記式1参照)、塗布体111に供給される。
さらに上記第1〜第4の実施の形態はアイライナー101の各種の例を示したが、サインペンやマーキングペンなどの筆記具、スタンプ、薬剤塗布容器などに適用してもよいことは言うまでもない。
その他、あらゆる変形や変更が許容される。
102 ・・・ハウジング
111 ・・・塗布体
121a・・・第1の隔壁
121b・・・第2の隔壁
131 ・・・貯留室
131a・・・第1貯留室
131b・・・第2貯留室
151 ・・・中継部材
161 ・・・吸気通路
EA1・・・第1の気液交換領域
EA2・・・第2の気液交換領域
G1a・・・第1の隙間
G1b・・・第1の拡大隙間
G2 ・・・第2の隙間
G2b・・・第2の拡大隙間
IK ・・・インク(液体)
RA ・・・リザーバ領域
RA2・・・第2リザーバ領域

Claims (12)

  1. 液体を貯留する貯留室を内部に備えるハウジングと、
    前記ハウジングに設けられ、供給された液体を毛管現象によって吸引して一面に導く塗布体と、
    前記ハウジングに内蔵され、前記塗布体よりも弱い力の毛管現象の作用で当該塗布体に液体を導く棒状の中継部材と、
    前記ハウジングの内部空間を前記中継部材の軸方向に区画し、前記塗布体に隣接しない方の前記内部空間に貯留室を形成する第1の隔壁と、
    前記貯留室を前記中継部材の軸方向に区画する少なくとも一つ以上の第2の隔壁と、
    前記第1の隔壁に設けられ、前記塗布体を下向きにした状態で前記貯留室に貯留された液体に下方から接触し、接触する液体を前記中継部材よりも弱い力の毛管現象で吸引して保持する気液交換用の第1の隙間を開けて前記中継部材を囲繞する第1の気液交換領域と、
    前記第2の隔壁に設けられ、接触する液体を前記中継部材よりも弱い力の毛管現象で吸引して保持する気液交換用の第2の隙間を開けて前記中継部材を囲繞する第2の気液交換領域と、
    前記第1の気液交換領域と連絡する位置で前記第1の隙間よりも断面積が大きな第1の拡大隙間を開けて前記中継部材を囲繞し、前記貯留室から押し出されて前記第1の気液交換領域を通過した液体を毛管現象の作用で一時的に保持するリザーバ領域と、
    前記リザーバ領域を介して前記貯留室を大気に連絡させる吸気通路と、
    を備えることを特徴とする塗布具。
  2. 前記貯留室のうち、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁との間の領域第1貯留室、その他の領域第2貯留室であり、前記第2貯留室には液体が満充填されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
  3. 前記第1貯留室には、液体が充填されていない、
    ことを特徴とする請求項2に記載の塗布具。
  4. 前記第1の気液交換領域は、少なくとも二個以上のN個に分割された前記第1の隙間を形成するN箇所の位置で前記中継部材に接触し、当該中継部材を位置決めする、
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の塗布具。
  5. 前記第1の気液交換領域は、前記中継部材に各辺が接触する多角形形状に形成されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の塗布具。
  6. 前記第2の気液交換領域は、少なくとも二個以上のN個に分割された前記第2の隙間を形成するN箇所の位置で前記中継部材に接触し、当該中継部材を位置決めする、
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の塗布具。
  7. 前記第2の気液交換領域は、前記中継部材に各辺が接触する多角形形状に形成されている、
    ことを特徴とする請求項6に記載の塗布具。
  8. 前記リザーバ領域は、前記中継部材を囲繞する内面形状を前記第1の気液交換領域の側からテーパー状に拡げている、
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一に記載の塗布具。
  9. 前記第2の気液交換領域と連絡する位置で前記第2の隙間よりも断面積が大きな第2の拡大隙間を開けて前記中継部材を囲繞し、押し出されて前記第2の気液交換領域を通過した液体を毛管現象の作用で一時的に保持する第2リザーバ領域を備える、
    ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一に記載の塗布具。
  10. 請求項1ないしのいずれか一に記載の塗布具の製造方法であって、
    前記塗布体を取り付けるために前記ハウジングに形成された開口部を上に向けて前記ハウジングを設置する工程と、
    上に向けられた前記開口部から前記ハウジング内に液体を注入する工程と、
    液体の注入後、前記開口部から前記ハウジング内に前記中継部材を挿入する工程と、
    前記中継部材の挿入後、前記開口部に前記塗布体を取り付ける工程と、
    を備えることを特徴とする塗布体の製造方法。
  11. 請求項3に記載の塗布具の製造方法であって、
    前記塗布体の取り付けるために前記ハウジングに形成された開口部を上に向けて前記ハウジングを設置する工程と、
    上に向けられた前記開口部から、前記第2貯留室を満充填する量に前記中継部材及び前記塗布体に吸引される量を加えた量を総量とする液体を前記ハウジング内に注入する工程と、
    前記液体の注入後、前記開口部から前記ハウジング内に前記中継部材を挿入する工程と、
    前記中継部材の挿入後、前記開口部に前記塗布体を取り付ける工程と、
    を備えることを特徴とする塗布体の製造方法。
  12. 前記ハウジング内に挿入した前記中継部材が突き当たる位置を、前記中継部材の正規の取り付け位置とする、
    ことを特徴とする請求項10又は11に記載の塗布体の製造方法。
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