JP6040563B2 - 穿刺針、微量体液採取用冶具および微量薬液投与用冶具 - Google Patents

穿刺針、微量体液採取用冶具および微量薬液投与用冶具 Download PDF

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Description

本発明は、微量の体液を採取するときや微量の薬液を投与するときに使用される穿刺針とそれを用いた微量体液採取用冶具および微量薬液投与用冶具に関する。
現在、生活習慣病の一つである糖尿病の患者数は年々増加傾向にある。糖尿病患者は1日に数回インスリン製剤の注射をおこない、血糖コントロールを行うことが必要である。しかし、採血あるいはインスリン製剤投与の際の注射針の穿刺時の痛みは、患者にとって大きな負担となっている。
一般に、人体に刺して用いる穿刺針には、注射針と鍼灸針がある。採血や薬液の投与に用いる注射針は通常、直径0.4〜1.2mmの中空針であり、いずれも注射の際に痛みを伴う。また鍼灸針は、直径が0.14〜0.34mmの中実針であって刺激を目的にすることから穿刺時に痛みを伴うものである。
そのため、患者の心理的負担を軽減するために、穿刺時の痛みが少ない低侵襲性の穿刺針の開発が望まれていた。
無痛性に優れた微細な注射針としては、テルモ社から販売されているマイクロテーパー針(商品名;ナノパス33)が知られている。これは、針の先端を直径200μm、内径80μmにまで細くしたものであり、ステンレス板を筒状に折り曲げて製造されている(特許文献1)。この針は、従来の注射針に比べて痛みは軽減されるものの、直径200μmであっても、痛みの軽減という点においては必ずしも十分なものとは言えなかった。
また、従来は血液の成分を分析するためには、0.1ml程度の血液量が必要とされていた。そのため、微細な注射針といえども、体内から血液を吸入することが必要であり、中空の管状の針とすることが必要とされていた。ところが、近年の微量分析技術の進歩により、血液量が1μl未満であっても、血液成分の分析が可能となってきた。
特許文献2や特許文献3には、中空ではない中実の鍼灸針であって、採血や薬液の投与が可能な針の開示がある。また、特許文献4あるいは特許文献5には、中空ではない中実の採血用針についての開示がある。
特開2003−136142号公報 特開2003−116960号公報 特開2003−116962号公報 特開2004−208949号公報 国際公開第2005/058162号
井上毅彦、槌谷和義、木村穣、梶原景正、精密工学会大会学術講演会講演論文集、Vol.2008秋季、P.393-394
しかし、特許文献2や特許文献3に開示がある鍼灸針は、直径が0.1〜0.5mmと細いものではあるが、所定量の血液を採取する上で、溝の形状が必ずしも適切なものであるとは言えないものであった。
また、特許文献4には、直径10〜60μmの中実針であって、軸方向に沿った溝やらせん状の溝を有した穿刺針についての開示がある。しかし、針の長さが2mm未満と短く、溝部も極微細であり、採血量に限界があるものであった。さらに、特許文献5には、針の軸と直角方向に溝が形成された医療用針が開示されている。しかし、針の外周部全面に広幅の溝が成形されたものであり、体細胞との接触面積が大きくなることから、痛みの軽減効果には限界があるものと推定された。
一方、本発明者らは先に、痛みを定量化する方法を開発することに成功した。即ち、マウスに対する注射針の穿刺時に生じる痛みによるストレスに起因して、マウスの唾液中のα−アミラーゼ量が増加するという現象が存在することから、唾液中のα−アミラーゼ量を定量することによって、マウスに対する注射針の穿刺時に生じる痛みを客観的に定量化する方法を開発した(非特許文献1)。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、皮膚に穿刺することができ、穿刺時の無痛性に優れた体液の採取あるいは薬液の投与が可能な穿刺針およびそれを用いた微量体液採取用冶具および微量薬液投与用冶具を提供することを課題とする。
本発明者らは、非特許文献1に記載の痛みを定量化する方法を用いて、種々の形状の穿刺針を作成して検討を進めた。そして、従来の中空の管状の針ではなく中実の針とし、針の直径を小さくし、採取可能な血液量を確保し、穿刺時の痛みを極力小さくするために、針の形状等を鋭意検討した。
その結果、穿刺時の痛みを軽減させるためには、皮膚の細胞と穿刺針とが接触する表面積を極力小さくするような特定の形状を有した穿刺針が有効であることを見出し、本発明に到達することができた。
即ち、本発明は、先端から200μm以下の長さの先細状の針先部と、前記針先部に連続して形成された、直径が50〜100μmの中実円柱状の針基幹部とを備え、前記針基幹部は、その外周に複数のリング状の外周溝を有し、前記外周溝の軸方向における溝幅が、10〜60μmであり、前記針基幹部の前記外周溝のない部分の軸方向における長さの前記溝幅に対する比率Kが0.6以上であり、前記針先部および前記針基幹部が、親水化処理あるいは粗面化処理によって表面処理されていること、を特徴とする穿刺針である。前記針先部を有することにより皮膚への穿刺が可能となり、前記直径の針基幹部を有することにより痛みを軽減することができ、前記外周溝を有することにより体液の採取や薬液の投与が可能となる。針先部および針基幹部が、親水化処理あるいは粗面化処理によって表面処理されていることが、穿刺針を用いた体液の採取や薬液の投与がより確実となり好ましい。
また、本発明に係る穿刺針において、針先部および針基幹部を形成する材料の室温における許容圧縮応力が、100MPa以上であることが皮膚への穿刺がより確実となり好ましい。
本発明の穿刺針の針先部および針基幹部は、金属で形成されていることが、剛性や加工性の面から好ましい。さらに、前記金属が、鉄合金、チタン合金、銅合金およびアルミニウム合金から選ばれるいずれかであると、さらなる剛性向上の面から好ましい。
針基幹部の形状においては、外周溝の数が、前記針基幹部の軸方向の長さあたり10〜40本/mmであることが、穿刺針を用いた体液の採取や薬液の投与がより容易となり好ましい。
面処理としては、プラズマ処理が、種々の加工がし易くなり望ましい。
針基幹部において、外周溝のない部分の外周面積の合計が、外周溝がないとしたときの針基幹部の外周面積に対して、40〜90%の比率であることが、外周溝が体細胞と接触して損傷することが少なくなり好ましい。
外周溝の深さが、5〜20μmであることが、穿刺針を用いた体液の採取や薬液の投与のし易さや剛性の面で好ましい。
外周溝の先端側溝壁と軸方向とがなす角度をθαとし、外周溝の後端側溝壁と軸方向とがなす角度をθβとしたとき、θα≧θβ、120°≧θα≧70°および70°≧θβ≧30°を満足する穿刺針は、体液の採取がし易くなり好ましい。さらに、このような穿刺針と支持部とガイド部とを組み合わせることにより、微量体液採取用冶具を構成することができる。
外周溝の先端側溝壁と軸方向とがなす角度をθαとし、外周溝の後端側溝壁と軸方向とがなす角度をθβとしたとき、θα≦θβ、120°≧θβ≧70°および70°≧θα≧30°を満足する穿刺針は、薬液の投与がし易くなり好ましい。さらに、このような穿刺針と支持部とガイド部とを組み合わせることにより、微量薬液投与用冶具を構成することができる。
本発明に係る穿刺針は、皮膚に穿刺することができ、穿刺時の無痛性に優れ、微量体液を採取したり、微量薬液を投与することができる。
また、本発明に係る微量体液採取用冶具は、前記穿刺針、支持部およびガイド部を備えることにより、簡便に微量体液を採取することができる。本発明に係る微量薬液投与用冶具は、前記穿刺針、支持部およびガイド部を備えることにより、簡便に微量薬液を投与することができる。
種々の直径・外周面積を有した円柱型針とマウスの唾液中のα−アミラーゼ活性値との関係を示す図である。 本発明の実施形態の穿刺針の(a)見取図と(b)側面図である。 本発明の実施形態の穿刺針の針先部の形状を示す側面図(a)〜(e)である。 本発明の実施形態の穿刺針の外周溝の形状を示す側面図(a)〜(f)である。 本発明の実施形態の穿刺針の外周溝の形状を示す側面図(a)〜(h)である。 本発明の実施形態の穿刺針の外周溝の溝壁の角度の測定位置を示す図である。 本発明の実施形態の微量体液採取用冶具の見取図である。 本発明の実施形態の微量薬液投与用冶具の見取図である。 本発明の実施形態の微量体液採取用冶具の操作手順を示す模式図である。 本発明の実施形態の微量薬液投与用冶具の操作手順を示す模式図である。 本発明の実施形態の穿刺針のプラズマ処理装置の模式図である。 本発明の実施形態の(a)外周溝の内側の溝壁を側面から見たときの形状が対称的な台形の穿刺針の側面図と、(b)外周溝の内側の溝壁を側面から見たときの形状が非対称的な台形の穿刺針の側面図である。 (a)コントロール、(b)参考例1および(c)比較例1の穿刺針による痛みの評価結果を示すグラフである。 本発明の実施形態の微量体液採取用冶具を用いたときの血液の採取の状況を示す写真である。
以下、本発明に係る穿刺針、微量体液採取用冶具および微量薬液投与用冶具の実施形態を、例を挙げつつ図面を参照しながら説明する。
図2(a)に示すように、本発明に係る穿刺針Nは、先細状の針先部1と前記針先部1に連続して形成された中実円柱状の針基幹部2とを備えたものである。
針先部1と針基幹部2とは連続しているものであり、製造の容易さからも、同一素材で構成されていることが望ましい。
針基幹部2は、穿刺時の応力に耐えて針としての形状を保持し、体液を採取したり、薬液を投与するという役割を果たすものであるため、その形状、特に外周溝3の形状が重要となる。図2(a)の見取図において、3は針基幹部2に存在する外周溝、4は針基幹部2における外周溝3のない部分、5は外周溝3の軸方向における溝幅、6は外周溝3のない部分の軸方向における長さを示す。また、図2(b)の側面図には、本発明の実施形態の穿刺針の寸法の一例を示した。数字はμm単位での数値である。
ここで、体液とは、身体の診断等のための分析に用いられる体内に存在する液体であって、血液、リンパ液等をいう。また、薬液とは、体内に投与されることによって何らかの薬効を発揮する薬液をいう。採取された体液は、その後分析に供されて、種々の診断に利用される。例えば、糖尿病患者の血液中の血糖値を測定したりする。分析するために必要とされる体液の量は、近年の分析技術の進歩により、微量であっても精度よく分析することが可能となっている。
本発明の穿刺針Nは、直径が50〜100μmの中実円柱状の針基幹部2を備えていることが必要である。針基幹部2が50〜100μmの直径を有していることが必要であることは以下に記載する検討から得られたものである。
本発明者らは、穿刺針Nの針基幹部2の直径と痛みとの関係について検討を進めた。種々の直径を有した金属製の針を用い、マウスの皮膚に突き刺したときの痛みの指標として、唾液中のα−アミラーゼ活性値を測定した。その結果を図1に示した。
具体的な評価方法は下記のとおりである。
マウス;ICR(Institute of Cancer Research)マウス
注射針;直径35μm、70μm、95μm、100μm、150μm、200μmの溝のない中実円柱型針。先端は12°の角度の円錐状にカットしてある。材質は、直径35μmと70μmのものはレニウム・タングステン合金製、他はステンレス(SUS304)製である。
評価方法;注射針をマウスの大腿部外側に3mmの深さで3秒間穿刺した。その後マウスの唾液をマイクロピペットで直接マウス口腔内より1μl採取した。採取した唾液をリン酸緩衝生理食塩水を用いて100倍に希釈した。得られた試料中のα−アミラーゼ活性値(IU/L)を吸光光度計を用いて測定した。コントロールとして、注射針を穿刺しなかったマウスについても測定した。測定は10検体について行い、その平均値を求めた。
図1において、縦軸は、マウスの唾液(Salivary)中のα−アミラーゼ活性値(IU/L)を、横軸は、円柱型の針の長さ3mmのときの外周面積(mm)を示す。
この結果から、α−アミラーゼ活性値は、円柱型針の直径が35〜100μmまでは、コントロールと比べて同等の数値であったが、円柱型針の直径が100μmを超えてからは増大していくことが判明した。このことから、痛みを軽減し得る穿刺針の針基幹部の直径としては、100μm以下であることが必要となる。このときの穿刺針の針基幹部の外周面積は、0.9mmであることから、皮膚の体細胞との接触面積は、0.9mm以下にすることが目安となる。
また、穿刺時に折れたり曲がったりしないことおよび体液を採取できることを満足するために、針基幹部2の直径は、50μm以上であることが必要である。
血液等の体液を採取をするときには、穿刺針Nは、皮膚を構成する表皮、真皮を貫通し、その下の皮下組織に存在する毛細血管にまで到達することとなる。そのため、穿刺針Nは、皮膚組織に穿刺した時の応力に耐え得るだけの十分な剛性を有していることが望ましい。本発明者らの検討によると、先端が平面で、直径100μmの円柱型ステンレス針をマウス大腿部の皮膚に突き刺したときの荷重は、0.7〜0.8Nであった。このことからすると、90〜100MPaの応力が負荷されることとなる。従って、室温において穿刺針Nが皮膚組織を貫通することを確実なものとするためには、針先部1および針基幹部2を形成する材料の室温における許容圧縮応力は、100MPa以上であることが望ましい。一方、加工性とのバランスから、室温における許容圧縮応力は、250MPa以下の材料であることが望ましい。
針先部1および針基幹部2を形成する材料としては、上記の穿刺時の応力に耐え得る剛性を有した材料であれば特に制限はない。しかし、加工のし易さ、剛性の高さを考慮すると、金属で形成されていることが望ましい。
金属としては、剛性が高いことから、鉄合金、チタン合金、銅合金あるいはアルミニウム合金から選ばれるいずれかの材料が好ましい。
鉄合金としては、ステンレス合金、炭素合金、等がある。銅合金としては、真鍮、等がある。アルミニウム合金としては、5000番、6000番、7000番等がある。
これらの合金の中では、耐食性や加工性に優れていることから、ステンレス合金とチタン合金が好ましい。ステンレス合金の中でも、剛性が高く、加工性にも優れていることから、SUS303、SUS304、SUS316等が好ましく、SUS303F、SUS316F等がより好ましい。
本発明の穿刺針Nは、その先端から200μm以下の長さの先細状の針先部1を備えている。これは、穿刺時に発生する針内部の応力を軽減して、穿刺針Nを皮膚の下部組織まで貫通させるためには、針の先端を先細状にすることが有効だからである。針先部1の形状は種々のものが考えられる。針先部1の外面部が膨らんでいたり、へこんでいたりしてもよいが、加工のし易さから、円錐形状であるものが望ましい。
穿刺時の内部応力を軽減し、穿刺針Nの主たる機能に係る針基幹部2の長さを確保するためには、針先部1の長さは、200μm以下であることが必要である。好ましくは150μm以下である。
また、本発明の穿刺針Nは、針基幹部2の外周に複数のリング状の外周溝3を有していることが必要である。この外周溝3が複数存在することにより、体液をその外周溝3に取り込んで、採取量を増大させたり、薬液をその外周溝3に含ませて投薬量を増大させることが可能となる。
一般に体細胞の大きさは、50〜60μm程度のものが多い。特に皮膚付近の細胞は、寸法の小さい細胞にあっては20〜30μmの大きさである。穿刺時に、こうした細胞が外周溝の中に入り込んで、体液の採取が困難となったり、痛みを発生させる要因となったりすることがないようにすることが望まれる。そのため、外周溝3の軸方向における溝幅5は、10〜60μmであることが必要である。60μm以下であれば、皮膚付近の細胞がこの溝に入り込むことがある程度抑制され、痛みにつながることも抑制される。溝幅5を10μmより小さくすることは、加工する上で難易度が高いものであり、大量に製造することが困難である。
本発明の穿刺針Nの針基幹部2は、上記したように、外周溝3には原則として体細胞が入り込まない設計となっている。つまり、穿刺針Nの針基幹部2の外周部のうちの外周溝3のない部分4が、穿刺時に体細胞と接触しつつ体内に貫入される。そのため、本発明では、上記した痛みに係る体細胞との接触面積は、穿刺針Nの針先部の外面の面積と針基幹部2の外周部のうちの外周溝3のない部分4の面積との総和に相当すると考えることができる。
穿刺針Nの針基幹部2の外周溝3のない部分4が、専ら体細胞と接触するようにするために、針基幹部2の外周溝のない部分の軸方向における長さ6の溝幅5に対する比率をKとすると、Kは、0.6以上であることが必要である。
また、針基幹部2の外周溝のない部分の軸方向における長さ6は、加工のし易さから、20〜200μmであることが好ましい。
さらに、針基幹部2において、外周溝3のない部分4の外周面積の合計が、外周溝3がないとしたときの針基幹部2の外周面積に対して、40〜90%の比率であることが望ましい。この範囲にあるときに、穿刺針Nの針基幹部2の外周溝3が体細胞に接触することを抑制して体内に貫入することが可能である。ここで、針基幹部2において、外周溝3のない部分の外周面積の合計の、外周溝3がないとしたときの針基幹部2の外周面積に対する比率を求めるにあたって、下記の先細状の針先部1に連続する針基幹部2の針先に近い部分であって、外周溝3が存在しない部分の外周面積は、上記合計に含めないものとする。
こうした針基幹部2の複数の外周溝3は、針基幹部2の軸方向に規則的に存在していてもよいし、針基幹部2の先端方向においてより密に存在してもよいし、針基幹部2の先端と逆方向においてより密に存在していてもよい。加工のし易さからは、規則的に存在しているものが望ましい。また、加工の制約上あるいは剛性を保つ上で、先細状の針先部1に連続する針基幹部2の針先に近い部分には、外周溝3が存在しない部分があってもよい。
以下、本発明の穿刺針Nを用いて、微量体液を採取する場合の好ましい穿刺針Nの構成について説明する。
微量体液を採取する場合の穿刺針Nの構成は、体液をその外周溝3に取り込ませるためには、外周溝3の数は、針基幹部2の軸方向の長さあたり10〜40本/mmであることが望ましい。
また、体液をその外周溝3に取り込み、剛性を保持するためには、外周溝3の深さは、5〜20μmであることが望ましい。
本発明において、体液の採取量としては、0.01〜1μlであることが望ましい。より好ましくは0.1〜0.8μlである。
体液の粘度や体液と穿刺針Nとの親和性などが関係するため、外周溝3の容積の合計が、体液の採取量と同等となるわけではないが、外周溝3の容積の合計は、針基幹部2の軸方向の長さ当たり0.002〜0.3μl/mmであることが望ましい。
本発明の微量体液採取用の穿刺針Nは、図6に示すように、穿刺針Nの外周溝3の先端側(針先部側)溝壁と軸方向とがなす角度をθαとし、前記外周溝3の後端側(針先部と反対側)溝壁と軸方向とがなす角度をθβとしたときに、
θα≧θβ、
120°≧θα≧70°および
70°≧θβ≧30°
を満足するような外周溝3を有していることが望ましい。これらの式を満足するときに、外周溝3の溝壁の角度の関係から、体液を保持した状態で穿刺針Nを抜き出すことが可能であり、所定量の体液の皮膚下からの採取がより容易となる。
本発明の微量体液採取用の穿刺針Nは、針基幹部2の長さが、3〜10mmであることが好ましい。穿刺針Nは、皮膚の表皮、真皮を貫通して、その皮下にある毛細血管にまで到達させることを想定すると、3mm以上の長さが好ましい。さらに、所定の量の体液を採取することを可能とするためにも、ある程度の長さを有していることが好ましい。一方、取扱性を考えると、10mm以下の長さが好ましい。
本発明において、微量体液採取用の穿刺針Nの針先部1および針基幹部2が、親水化処理あるいは粗面化処理によって表面処理されていることは、体液との親和性を高めて、体液の採取量をより高めることができるため、好ましい。
表面処理としては、サンドペーパー等による粗面化処理、プラズマ、レーザー、スパッタリング、CVD等による処理、酸・アルカリ・界面活性剤等の化学薬品による処理、電解処理、メッキ処理、加熱処理、コーティング処理、等の種々の処理が可能である。これらの処理により針先部1および針基幹部2が、親水化されたり、粗面化されることが望ましい。
中でも、プラズマ処理は、種々の雰囲気下で行うことが可能であり、微細な針であっても、針先部1および針基幹部2を粗面化したり、親水性の官能基を生成させたりすることが容易であり、望ましい。プラズマ処理は、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性雰囲気下や、酸素等の酸化性雰囲気下で行われる。プラズマの高エネルギーにより、処理される金属の表面からは、金属元素が弾き飛ばされて、表面の平滑性が失われて、粗面化されたり、活性基が生成したりする。そのため、金属面と体液や薬液間で相互作用が生じて、親和性が高まるものと考えられる。
以上、説明したように、本発明の微量体液採取用の穿刺針Nは、その外観形状を特定することにより、痛みも少なく、また採取する体液量を十分確保することができる。
この穿刺針Nは、実際に使用する場合は、支持部およびガイド部を有した微量体液採取用冶具として使用することができる。
図7Aに示すように、本発明に係る微量体液採取用冶具D1は、前記穿刺針Nと支持部11およびガイド部12を有したものである。以下、本発明に係る微量体液採取用冶具D1について図7Aを参照して説明する。
本発明の微量体液採取用の穿刺針Nは、支持部11とガイド部12を取り付けることにより、微量体液採取用冶具D1として使用することができる。穿刺針N自体は、極細であり、外部からの力等により容易に曲がったり、折れたりする。そのため、支持部11は、穿刺針Nの変形を防ぎ、取扱性を向上させるためのものである。また、ガイド部12は、取扱性を向上させ、採取した体液を内部に保持するためのものである。
図7A(a)には、穿刺針Nをガイド部12内に取り込んだ使用前あるいは使用後の状態を示した。図7A(b)には、穿刺針Nをガイド部12から取り出した使用中の状態と、併せて、穿刺針Nの先端部分の拡大図も示した。
図8Aに、この微量体液採取用冶具D1を用いるときの操作手順を示した。ここで、皮膚31は、表皮32と真皮33とその下部の皮下組織34とからなっている。
(a)微量体液採取用冶具D1のガイド部12と支持部11とを持ち、体液を採取したい皮膚の部分の上部で準備する。
(b)ガイド部12の先を皮膚に垂直となるように支えて、支持部11を押して、ガイド部12内の穿刺針Nを皮膚へ突き刺していく。
(c)穿刺針Nを所定の深さまで皮膚に貫入させたあと、徐々に抜いていく。皮膚から抜き出した穿刺針Nには体液が付着しているので、それをガイド部12内に取り込むようにする。
以上のように、本発明の微量体液採取用の穿刺針Nは、支持部11とガイド部12を取り付けて、微量体液採取用冶具D1としたときには、痛みも少なく、簡便に微量体液を採取することができる。
次に、本発明の穿刺針Nを用いて、微量薬液を投与する場合の好ましい穿刺針の構成について説明する。
微量薬液を投与する場合の穿刺針Nの構成は、薬液をその外周溝3に保持するためには、外周溝3の数は、針基幹部2の軸方向の長さあたり10〜40本/mmであることが望ましい。
また、薬液をその外周溝3に保持し、剛性を保持するためには、外周溝3の深さは、5〜20μmであることが望ましい。
薬液の粘度や薬液と穿刺針との親和性などが関係するため、外周溝3の容積の合計が、薬液の投与量と同等となるわけではないが、外周溝3の容積の合計は、針基幹部2の軸方向の長さ当たり0.002〜0.3μl/mmであることが望ましい。
本発明の微量薬液投与用の穿刺針Nは、図6に示すように、穿刺針Nの外周溝3の先端側(針先部側)溝壁と軸方向とがなす角度をθαとし、前記外周溝3の後端側(針先部と反対側)溝壁と軸方向とがなす角度をθβとしたときに、
θα≦θβ、
120°≧θβ≧70°および
70°≧θα≧30°
を満足するような外周溝3を有していることが望ましい。これらの式を満足するときに、外周溝3の溝壁の角度の関係から、薬液を投入した状態で穿刺針Nを抜き出すことが可能であり、所定量の薬液の皮膚下への投与がより容易となる。
本発明の微量薬液投与用の穿刺針Nは、針基幹部2の長さが、3〜10mmであることが好ましい。穿刺針Nは、皮膚の表皮、真皮を貫通して、その皮下にある毛細血管にまで到達させることを想定すると、3mm以上の長さが好ましい。さらに、所定の量の薬液を投与することを考えると、ある程度の長さを有していることが好ましい。一方、取扱性を考えると、10mm以下の長さが好ましい。
本発明において、微量薬液投与用の穿刺針Nの針先部1および針基幹部2が、親水化処理あるいは粗面化処理によって表面処理されていることは、薬液との親和性を高めて、薬液の投与量をより高めることができるため、好ましい。
表面処理の方法は、上記の微量体液採取用の穿刺針Nの場合と同様である。
以上、説明したように、本発明の微量薬液投与用の穿刺針Nは、その外観形状を特定することにより、痛みも少なく、また投与する薬液量を十分確保することができる。
この穿刺針Nは、実際に使用する場合は、支持部およびガイド部を有した微量薬液投与用冶具として使用することができる。
図7Bに示すように、本発明に係る微量薬液投与用冶具D2は、前記穿刺針Nと支持部21およびガイド部22を有したものである。以下、本発明に係る微量薬液投与用冶具D2について図7Bを参照して説明する。
本発明の微量薬液投与用の穿刺針Nは、支持部21とガイド部22を取り付けることにより、微量薬液投与用冶具D2として使用することができる。穿刺針N自体は、極細であり、外部からの力等により容易に曲がったり、折れたりする。そのため、支持部21は、穿刺針Nの変形を防ぎ、取扱性を向上させるためのものである。また、ガイド部22は、取扱性を向上させ、投与するべき薬液を内部に保持するためのものである。
図7B(a)には、穿刺針Nをガイド部22内に取り込んだ使用前あるいは使用後の状態を示した。図7B(b)には、穿刺針Nをガイド部22から取り出した使用中の状態と、併せて、穿刺針Nの先端部分の拡大図も示した。
図8Bに、この微量薬液投与用冶具D2を用いるときの操作手順を示した。ここで、皮膚41は、表皮42と真皮43とその下部の皮下組織44とからなるものである。
(a)微量薬液投与用冶具D2のガイド部22と支持部21とを持ち、薬液を投与したい皮膚の部分の上部で準備する。ここで、穿刺針Nはその外周溝部に投与用の薬液を保持している。
(b)ガイド部22の先を皮膚に垂直となるように支えて、支持部21を押して、ガイド部22内の穿刺針Nを皮膚へ突き刺していく。
(c)穿刺針Nを所定の深さまで皮膚に貫入させたあと、徐々に抜いていく。皮膚から抜き出した穿刺針Nをガイド部22内に取り込むようにする。皮膚から抜き出した穿刺針Nには体液が付着している。
以上のように、本発明の微量薬液投与用の穿刺針Nは、支持部21とガイド部22を取り付けて、微量薬液投与用冶具D2としたときには、痛みも少なく、簡便に微量薬液を投与することができる。
次に、本発明の穿刺針Nを製造するための方法について、図2を参照して説明する。
本発明の穿刺針Nを製造するための一般的な製造方法としては、円柱状の材料の表面に外周溝3および針先部1を作成するための加工を行う。代表的な材料である金属を例に挙げて以下に説明する。
金属製の長尺円柱状のロッドをまず製造する。
外周溝3あるいは針先部1をこのロッド上に作成するための方法としては、切削刃による切削法やレーザー光線によるレーザー加工法などがある。
切削法の場合は、ロッドの端を把持して、ロッドを高速で回転させ、軸方向に沿って、間隔をおいてロッドの外周面を切削刃で切削することによって、外周溝3ないしは針先部1を作成していく。この場合、ロッドの両端を把持する方法と、片方の端のみをぶれることなく把持する方法の2つの方法がある。両方の端を把持する方法は、ロッドが切削刃によって曲がったりすることを防止できるので、外周溝3をより精密に作成していくことが可能である。
一方、ロッドの片方の端のみをぶれることなく把持する方法では、切削刃によってロッドがしなうため、外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときに、軸方向に対して角度を持つように加工することができる。この角度が生まれることにより、外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状が特殊な穿刺針Nを形成することが可能となる。
レーザー法の場合は、ロッドの両端を把持する方法で行われる。レーザー光の当て方を変えることで種々の形状の外周溝3を形成することが可能であるが、レーザー光の焦点を厳密に合わせることが困難であるため、外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状の精度を上げることには限界が存在し、切削法の方が加工の精度は高い。
以上、図2に記載の実施形態を示しながら説明をしてきたが、本発明は、他にも種々の実施形態を取ることができる。
図3に、針先部1の形状が異なる実施形態の具体例を示した。(a)は針先部1の外面部が円錐形状のもの、(b)は針先部1の外面部が凸状に膨らんだ円錐形状のもの、(c)は針先部1の外面部が凹状にへこんだ円錐形状のものを示した。
また、針先部1の先端は、球面状にすることが、内部応力の低下のためには望ましい。具体例を図3に示した。(d)は先端が平坦なもの、(e)は先端が球面状のものを示した。
図4〜図5に、本発明の穿刺針Nの外周溝3の形状が異なる実施形態の変形例を側面図により示した。図4には、外周溝3の数、溝幅、深さ、内壁の角度、規則性における実施形態の変形例を示した。(a)は基準となる外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状を示した。(b−1)は外周溝数が少ないもの、(b−2)は外周溝数が多いもの、(c−1)は溝幅が大きいもの、(c−2)は溝幅が小さいもの、(d)は外周溝の深さが浅いものを示した。(e−1)は外周溝の内壁の角度において、先端側溝壁より後端側溝壁の角度が大きいものであり、(a)の基準形状とは逆の関係にあるものを示している。(e−2)は外周溝の内壁の角度において、先端側溝壁と後端側溝壁の角度が同等のものを示した。(f)は外周溝の軸方向での分布の規則性において、先端の方が後端の方よりも外周溝の数が多いものを示した。
図5には、外周溝3を側面から見たときの側面図において、外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状における実施形態の変形例を示した。それぞれ、(a)は非対称な台形、(b)は対称な台形、(c)は(a)とは内壁の角度が逆である非対称な台形、(d)は長方形、(e)は二等辺三角形、(f)は直角三角形、(g)は半円形、(h)はU字形の例を示した。
次に、本発明について実施例を用いて、詳細に説明する。
(1)穿刺針の製造方法
市販の直径95μmのSUS303(室温における許容圧縮応力205MPa)製のワイヤーを用いて、切削法にて、外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状が、対称的な台形と非対称的な台形の2種類の穿刺針を作成した。ここで、切削加工は、外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状が対称的な台形のときは、ワイヤーの両端を把持する方法によって作成し、外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状が非対称的な台形のときは、ワイヤーの片方の端のみを把持する方法によって作成した。
作成した外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状が対称的な台形と非対称的な台形の2種類の穿刺針の寸法をそれぞれ図10の(a)と(b)に示した。各数値の単位はμmである。
作成された穿刺針は、長さ10mmであるが、外周溝があるのは、そのうち先端から5mmの長さまでであった。
(2)プラズマ処理
穿刺針の表面を以下の条件にてプラズマ処理した。プラズマ処理装置で穿刺針を処理する状況を図9に示した。
プラズマ処理装置50は、カソード電極51とアノード電極52とを有し、アノード定電圧・定電流源53とバイアス定電圧・定電流源54によって、両電極間に定電圧・定電流を掛けることができる。穿刺針Nは、銅線からなる支持体56に取り付けて、両電極を備えたプラズマ処理装置の末端から5mmの位置に置いて、以下の条件で処理を行った。
処理条件:放電ガス種;アルゴン、ガス圧;1.8×10−3Torr、アノード電圧;0.6kV、アノード電流;1mA、バイアス電圧;3kV、バイアス電流;0.4mA、放電時間;10分
(3)痛みの評価方法
穿刺針をマウスの大腿部外側に3mmの深さまで3秒間穿刺した。その後マウスの唾液をマイクロピペットで直接マウス口腔内より1μl採取した。採取した唾液をリン酸緩衝生理食塩水を用いて100倍に希釈した。得られた試料中のα−アミラーゼ活性値(IU/L)を吸光光度計を用いて測定した。コントロールとして、穿刺針を穿刺しなかったマウスについても測定した。測定は10検体について行い、その平均値を求めた。
(4)採血方法
図7Aに示してあるように、穿刺針Nにポリプロピレン製の支持部11とガイド部12を取り付けて、微量体液採取用冶具D1を作成して、図8Aに示されている操作手順に則って、以下の操作を行った。
マウスにネンブタールによる麻酔をかけた。つぎに、マウスの後右足部の皮膚をメスにて切開した。露出した太い血管に穿刺針を、深さ1mmで3秒間、垂直方向に穿刺した。その後、血液が付着した穿刺針の質量を測定した。3回の試験を行い、穿刺前後の穿刺針の質量の差について平均値を求め、採血量の数値(μg)とした。図12は、本発明の実施形態の微量体液採取用冶具D1を用いたときの血液の採取の状況を示した写真であり、図10(b)の穿刺針Nを用いて、採血を3回行ったときの写真である(No.1〜No.3)。
[比較例1]
外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状が対称的な台形の穿刺針(図10(a))であって、プラズマ処理を施していない穿刺針を用いて、痛みの評価を行った。その結果を表1および図11に示した。
参考例1]
外周溝3の内側の溝壁を側面から見たときの形状が非対称的な台形の穿刺針(図10(b))であって、プラズマ処理を施していない穿刺針を用いて、痛みの評価および採血試験を行った。その結果を表1および図11に示した。
図11は表1のα−アミラーゼ活性値(IU/L)の各数値をグラフとして示したものである。(a)はコントロール、(b)は参考例1、(c)は比較例1の数値を示す。
[実施例
参考例1に記載の穿刺針(図10(b))にプラズマ処理を施した。プラズマ処理を施した穿刺針を用いて、痛みの評価および採血試験を行った。その結果を表1に示した。
参考例1および実施例に用いた穿刺針N(図10(b))は、先端から140μmの長さの先細状の針先部1と、針先部に連続して形成された長さ100μmの外周溝3のない針基幹部2を有している。この外周溝3のない針基幹部2に連続して、針基幹部2には、100μmのピッチで複数の外周溝3が形成されている。針基幹部2の外周溝3は、軸方向における溝幅5が60μm、深さが20μmである。外周溝のない針基幹部2の直径は95μmであり、外周溝の底の部分における針基幹部2の直径は55μmである。針基幹部の外周溝のない部分の軸方向における長さ6は40μmであるので(図2参照)、外周溝のない部分の軸方向における長さ6の溝幅5に対する比率Kは、40/60=0.66となる。
一方、比較例1に用いた穿刺針N(図10(a))は、先端から140μmの長さの先細状の針先部1と、針先部に連続して形成された長さ100μmの外周溝3のない針基幹部2を有している。この外周溝3のない針基幹部2に連続して、針基幹部2には、40μmのピッチで複数の外周溝3が形成されている。針基幹部2の外周溝3は、軸方向における溝幅5が40μm、深さが20μmである。外周溝のない針基幹部2の直径は95μmであり、外周溝の底の部分における針基幹部2の直径は55μmである。針基幹部2には外周溝のない部分4は存在しないので(図2参照)、外周溝のない部分の軸方向における長さ6の溝幅5に対する比率Kは、0/60=0となる。
表1によると、外周溝3のない部分4の外周面積の合計の外周溝3がないとしたときの針基幹部2の外周面積に対する比率は、参考例1および実施例に用いた穿刺針Nでは、40%であり、40〜90%の範囲に入るが、比較例1に用いた穿刺針Nでは、0%であり上記範囲外である。
また、針基幹部2の軸方向の1mm長さ当たりの外周溝3の容積については、参考例1および実施例1に用いた穿刺針Nでは、0.0022μl/mmとなり、体液の採取に好適な0.002〜0.3μl/mmの範囲に入るが、比較例1に用いた穿刺針Nでは、0.0014μl/mmとなり、上記範囲外であった。
α−アミラーゼ活性値については、比較例1の場合(図11(c))は、穿刺をしていないコントロールの場合(図11(a))と比較して、統計的には明確に差異がある大きな数値となり(マン・ホイットニー検定におけるP値<0.01)、痛みが大きい結果となった。この結果については、以下のように考えている。比較例1の穿刺針N(図10(a))の外周溝の溝幅5は40μmであるが、針基幹部2に外周溝のない部分4が存在しない(図2参照)。そのため、外周溝3の内壁が皮膚の体細胞と接触すると考えられる。そのため、外周溝3の内壁の表面積は皮膚の体細胞との接触面積と見なされる。実際に、比較例1の穿刺針Nの内壁の表面積を計算してみると、表1にあるように、穿刺針の先端から長さ3mmまでの合計の表面積は、1.86mmであり、皮膚の体細胞との接触面積が大きいものであった。
一方、α−アミラーゼ活性値について、参考例1の場合(図11(b))は、穿刺をしていないコントロールの場合(図11(a))と比較して、統計的には大きな差異がない結果となり(マン・ホイットニー検定におけるP値=0.38)、痛みが小さい結果となった。この結果については、以下のように考えている。参考例1の穿刺針N(図10(b))の外周溝の溝幅5は60μmであり、かつ、針基幹部2に外周溝のない部分4が存在するので、外周溝3の内壁は皮膚の体細胞と接触し難いので、外周溝3の内壁は皮膚の体細胞との接触面積とは見なされない(図2参照)。実際に、参考例1の外周部の外周溝のない部分4の面積のみを計算してみると、表1にあるように、穿刺針の先端から長さ3mmまでの合計の表面積は、0.39mmであり、皮膚の体細胞との接触面積が比較的小さいものであった。
採血量については、穿刺針表面にプラズマ処理を施していない参考例1の穿刺針Nの場合は、採血量は、0.01μgであった。しかし、穿刺針表面にプラズマ処理を施した実施例の穿刺針Nの場合は、0.1μgの血液を採取することができた。穿刺針に表面処理を施すことが採血量の増大に大きく寄与することを確認することができた。
N;穿刺針
1;針先部
2;針基幹部
3;外周溝
4;外周溝のない部分
5;外周溝の軸方向における溝幅
6;外周溝のない部分の軸方向における長さ
D1;微量体液採取用冶具
11、21;支持部
12、22;ガイド部
D2;微量薬液投与用冶具
50;プラズマ処理装置

Claims (12)

  1. 先端から200μm以下の長さの先細状の針先部と、
    前記針先部に連続して形成された、直径が50〜100μmの中実円柱状の針基幹部とを備え、
    前記針基幹部は、その外周に複数のリング状の外周溝を有し、
    前記外周溝の軸方向における溝幅が、10〜60μmであり、
    前記針基幹部の前記外周溝のない部分の軸方向における長さの前記溝幅に対する比率Kが0.6以上であり、
    前記針先部および前記針基幹部が、親水化処理あるいは粗面化処理によって表面処理されていること、
    を特徴とする穿刺針。
  2. 前記針先部および前記針基幹部を形成する材料の室温における許容圧縮応力が、100MPa以上である請求項1に記載の穿刺針。
  3. 前記針先部および前記針基幹部が、金属で形成されている請求項1または2に記載の穿刺針。
  4. 前記金属が、鉄合金、チタン合金、銅合金およびアルミニウム合金から選ばれるいずれかである請求項3に記載の穿刺針。
  5. 前記外周溝の数が、前記針基幹部の軸方向の長さあたり10〜40本/mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の穿刺針。
  6. 前記表面処理が、プラズマ処理である請求項1〜5のいずれか1項に記載の穿刺針。
  7. 前記針基幹部において、前記外周溝のない部分の外周面積の合計が、前記外周溝がないとしたときの前記針基幹部の外周面積に対して、40〜90%の比率である請求項1〜のいずれか1項に記載の穿刺針。
  8. 前記外周溝の深さが、5〜20μmである請求項1〜のいずれか1項に記載の穿刺針。
  9. 前記外周溝の先端側溝壁と軸方向との角度をθαとし、前記外周溝の後端側溝壁と軸方向との角度をθβとしたとき、
    θα≧θβ、
    120°≧θα≧70°および
    70°≧θβ≧30°
    を満足する請求項1〜のいずれか1項に記載の穿刺針。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の穿刺針、支持部およびガイド部を有する微量体液採取用冶具。
  11. 前記外周溝の先端側溝壁と軸方向との角度をθαとし、前記外周溝の後端側溝壁と軸方向との角度をθβとしたとき、
    θα≦θβ、
    120°≧θβ≧70°および
    70°≧θα≧30°
    を満足する請求項1〜のいずれか1項に記載の穿刺針。
  12. 請求項1〜および11のいずれか1項に記載の穿刺針、支持部およびガイド部を有する微量薬液投与用冶具。
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