JP6038752B2 - 差動符号化信号の復調装置及び復調方法 - Google Patents

差動符号化信号の復調装置及び復調方法 Download PDF

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Description

本発明は、光情報伝送技術に関し、特に差動符号化されて伝送される光信号の復調装置及び復調方法に関する。
本技術分野の背景技術として、差動符号化(位相予積算)を行った信号を送信し、受信側で遅延検波を行って受信信号を復調する技術が古くから知られている。差動符号化及び遅延検波を行う通信方式においては、送信側で二つの送信シンボルの位相の差分に情報を載せて送信するため、受信側では、連続する二つの受信シンボル間の位相の差分に基づいて復調を行うことができ、受信側で復調の基準となる信号位相を再生するいわゆるキャリア再生が不要となる利点がある。反面、位相の差分を算出するために用いる二つの受信シンボルに重畳される両方の雑音の影響を受けるため、受信側でキャリア再生を行うコヒーレント通信に比べて耐雑音特性が劣ると言う欠点がある。
これに対して、非特許文献1では、過去の複数の受信信号を用いて復調のための基準位相を算出するMSPE(Multi Symbol Phase Estimation)と呼ぶ技術を開示している。この技術によれば、既に復調済みの受信データを使って過去の複数の受信信号の位相を補正し、過去の送信データに依存する位相変動を除去した上で、これらの位相を平均することで雑音の影響を軽減し、精度の良い基準位相を得ている。この結果、位相差分を計算するに当たり、基準となる側の位相精度が良くなるため、耐雑音特性が改善される。また、特許文献1にも同様の技術について記載されている。
国際公開第2010/100763号
N. Kikuchi and S. Sasaki, "Highly Sensitive Optical Multilevel Transmission of Arbitrary Quadrature-Amplitude Modulation (QAM) Signals with Direct Detection," IEEE Journal of Lightwave Technology, Vol. 28, No. 1, pp. 123-130, Jan. 2010.
非特許文献1に記載される従来の技術においては、直前の受信信号の復調結果を現在の受信信号の復調に用いる必要があるため、復調処理を一シンボル時間以内に行う必要がある。然るに、近年の通信速度の高速化に伴い、一シンボル時間以内に復調処理結果を得ることが困難になりつつある。
また、高速通信に対応するために処理を並列化して行うことも一般的であるが、並列化した場合、一つ前のシンボルの復調結果を次のシンボルの復調に使うという数珠繋ぎの構造となり、全並列処理分の復調処理に掛かる時間は並列化によって高速化されないという問題がある。
例えば、4並列化された復調処理1〜4について、復調処理2を行うためには復調処理1の処理結果が、復調処理3を行うためには復調処理2の処理結果が、復調処理4を行うためには復調処理3の処理結果が必要となる。更に、復調処理1の処理を行うためには、復調処理4の一つ前の処理結果が必要となる。通常、4並列化を行う場合、並列化されたそれぞれの回路は4シンボル時間内に1シンボルの処理を行えば、全体として、4シンボル時間に4シンボルの処理が行われるため、4倍の処理能力が期待される。しかしながら、先に述べたMSPE方式については、4シンボル時間に復調処理1〜4を(並列にではなく)順次行わなければならないため、一つの復調処理に許される処理時間は、1シンボル時間となり、並列化の効果が得られない。
処理の高速化の他の手法としてパイプライン化があるが、パイプライン化によるとスループット(時間当たりの入出力数)は向上するものの、レイテンシー(入力から出力までの時間)は減少しない。従って、直前のシンボルの復調結果を次のシンボルの復調処理に必要とするMSPEにおいては、レイテンシーが一シンボル時間以内であることが必要とされるので、パイプライン化による高速化も効果が得られない。
本発明の目的は、並列化やパイプライン化が可能で、かつ、耐雑音特性に優れた差動符号化信号の復調装置及び復調方法を提供することにある。
上記課題を解決する為に、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例をあげるならば、送信データを差動符号化して送信する通信方法における受信信号の復調方法が提供される。当該復調方法は、i−1番目、i番目、及びi+1番目の送信データが、それぞれ、信号bi−2と信号bi−1、信号bi−1と信号b、信号bと信号bi+1に差動符号化された信号を少なくとも受信する受信ステップと、前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する少なくとも第1及び第2の復調ステップと、を含む。前記第2の復調ステップは、前記第1の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2、bi−1、b、bi+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第1のステップ、または、前記第1の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第2のステップを含む。
また、他の例によれば、送信データを差動符号化して送信する送信装置からの受信信号の復調する復調装置が提供される。当該復調装置は、i−1番目、i番目、及びi+1番目の送信データが、それぞれ、信号bi−2と信号bi−1、信号bi−1と信号b、信号bと信号bi+1に差動符号化された信号を少なくとも受信する復調回路を備える。前記復調回路は、前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する少なくとも第1及び第2の復調部を備える。前記第2の復調部は、前記第1の復調部におけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2、bi−1、b、bi+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第1の回路、または、前記第1の復調部におけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第2の回路を備える。
本発明によれば、並列化やパイプライン化が可能で、かつ、耐雑音特性に優れた差動符号化信号の復調装置及び復調方法を提供できる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
受信信号位相と遅延検波によって得られる信号位相の関係を示す図である。 遅延検波の動作を示す図である。 過去の受信信号の例を示す図である。 過去の受信信号の例を示す図である。 過去の受信信号の例を示す図である。 復調結果によって補正した過去の複数受信信号の例を示す図である。 未来の受信信号の例を示す図である。 未来の受信信号の例を示す図である。 未来の受信信号の例を示す図である。 復調結果によって補正した未来の複数受信信号の例を示す図である。 本発明の復調方法の動作を示す図である。 光伝送システムの構成を示す図である。 本発明の光送信機の構成を示す図である。 本発明の光受信機の第1の構成例を示す図である。 16QAM変調における信号点配置の例を示す図である。 本発明における16QAM変調時の変調器の動作を示す図である。 16APSK変調における信号点配置の例を示す図である。 本発明における16APSK変調時の変調器の動作を示す図である。 本発明の光受信機の第2の構成例を示す図である。 本発明の復調回路の第1の構成例を示す図である。 本発明の16QAM変調時の多値判定回路の出力を示す図である。 本発明の16APSK変調時の多値判定回路の出力を示す図である。 本発明の位相補正量算出部の第1の構成例を示す図である。 本発明の復調回路の第2の構成例を示す図である。 本発明の並列構成による復調回路の構成例を示す図である。 本発明の並列構成による位相誤差算出部の構成例を示す図である。 本発明の並列構成による位相補正回路の構成例を示す図である。 本発明の並列構成による多値判定回路の構成例を示す図である。 本発明の位相誤差算出部の構成例を示す図である。 本発明の位相補正部の構成例を示す図である。 本発明の位相補正量算出部の第2の構成例を示す図である。 本発明の光受信機の第3の構成例を示す図である。 本発明の復調回路の第3の構成例を示す図である。 本発明の位相差算出部の構成例を示す図である。 本発明の補正位相差算出部の構成例を示す図である。 本発明の耐雑音特性を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。なお、本実施例の形態を説明するための全図において同一機構を有するものは原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
本発明に係る送信データを差動符号化して送信する通信方法における受信信号の復調方法について説明する。本発明では、送信装置から、少なくとも、i−1番目、i番目、及びi+1番目の送信データを、それぞれ、信号bi−2と信号bi−1、信号bi−1と信号b、信号bと信号bi+1に差動符号化した信号が送信される。受信した信号の復調方法は、受信信号を用いて送信データを判定する少なくとも第1及び第2の復調ステップを含む。第2の復調ステップにおいてi番目の送信データを判定する際に、第1の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、信号bi−2、bi−1、b、bi+1とを用いて、信号bi−1と信号bとの間の位相差を補正して復調を行う。あるいは、第2の復調ステップにおいてi番目の送信データを判定する際に、第1の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、信号bi−2と信号bi−1との間の位相差と、信号bと信号bi+1との間の位相差とを用いて、信号bi−1と信号bとの間の位相差を補正して復調を行う。
具体的な例を用いて説明する。例えば、図1に示すような信号を考える。即ち、i−2番目、i−1番目、i番目、i+1番目、i+2番目の5つの送信データを、それぞれ、信号bi−3と信号bi−2の位相差、信号bi−2と信号bi−1の位相差、信号bi−1と信号bの位相差、信号bと信号bi+1の位相差、及び、信号bi+1と信号bi+2の位相差に載せて伝送を行ったとする。
本発明において、第1の復調ステップでは、例えば、従来の遅延検波によって復調を行う。即ち、信号bi−3と信号bi−2の位相差ai−2からi−2番目のデータの第1の復調結果、信号bi−2と信号bi−1の位相差ai−1からi−1番目のデータの第1の復調結果、信号bi−1と信号bの位相差aからi番目のデータの第1の復調結果、信号bと信号bi+1の位相差ai+1からi+1番目のデータの第1の復調結果、信号bi+2と信号bi+2の位相差ai+2からi+2番目のデータの第1の復調結果をそれぞれ算出する。図2は、上記のi番目のデータについて説明する図である。図2には、信号bi−1と信号bとの間の位相差aが示されている。
ここで、i−2番目のデータの第1の復調結果のデータ位相をAi−2、i−1番目のデータの第1の復調結果のデータ位相をAi−1、i番目のデータの第1の復調結果のデータ位相をA、i+1番目のデータの第1の復調結果のデータ位相をAi+1、i+2番目のデータの第1の復調結果のデータ位相をAi+2と置く。この時、信号bi−2と信号bi−1の位相差は、i−1番目のデータによって発生したものであるから、信号bi−2をi−1番目のデータによって補正することで、信号bi−1と同じ位相の信号とすることが出来る。
即ち、bi−2+Ai−1は第1の復調結果に誤りがなければ信号bi−1と同じ位相となる。同様に、bi−3+Ai−2は第1の復調結果に誤りがなければ信号bi−2と同じ位相となる。従って、更にbi−3+Ai−2+Ai−1は第1の復調結果に誤りがなければ信号bi−1と同じ位相となる。この様子を図3A〜図3C及び図4に示す。
一方、信号bと信号bi+1の位相差は、i+1番目のデータによって発生したものであるから、信号bi+1をi+1番目のデータによって補正することで、信号bと同じ位相の信号とすることが出来る。即ち、bi+1−Ai+1は第1の復調結果に誤りがなければ信号bと同じ位相となる。同様に、bi+2−Ai+2は第1の復調結果に誤りがなければ信号bi+1と同じ位相となる。従って、更にbi+2−Ai+2−Ai+1は第1の復調結果に誤りがなければ信号bと同じ位相となる。この様子を図5A〜5C及び図6に示す。
実際には受信信号には雑音が重畳されるため、全く同じ位相とならずに図4及び図6に示すように雑音によるばらつきを持つ。そこで、bi−1、bi−2+Ai−1、bi−3+Ai−2+Ai−1を平均して補正位相b’i−1を求め、さらに、b、bi+1−Ai+1、bi+2−Ai+2−Ai+1を平均して補正位相b’を求める。そして、補正位相(補正基準位相)b’i−1と補正位相(補正遷移後位相)b’の補正位相差a’を求め、第2の復調ステップでは補正位相差(補正位相遷移量)a’に基づきi番目のデータの復調を行う。この様子を図7に示す。
以上の内容を、数式を用いて説明する。上記、補正位相(補正基準位相)b’i−1は、(数1)のように算出される。
Figure 0006038752
ここで、wは平均を算出する際の重みである。bi−2+Ai−1は誤りの可能性のあるAi−1を含んでいるため、bi−1の重みw−1に比べて小さな重みw−2で平均するのが好ましい。さらにbi−3+Ai−2+Ai−1は誤りの可能性のある2つのデータAi−1及びAi−2を含んでいるため、更に小さな重みw−3で平均するのが好ましい。
同様に、補正位相(補正遷移後位相)b’は、(数2)のように算出される。
Figure 0006038752
ここで、(数3)及び(数4)の関係を用いて(数1)を変形し、更に(数5)に示す位相誤差信号eを用いた変数置換を行う。
Figure 0006038752
Figure 0006038752
Figure 0006038752
この変数置換により、補正位相(補正基準位相)b’i−1は(数6)のように表すことが出来る。
Figure 0006038752
同様に、(数7)及び(数8)の関係を用いて(数2)を変形し、更に(数5)に示す位相誤差信号eを用いた変数置換を行う。
Figure 0006038752
Figure 0006038752
この変数置換により、補正位相(補正遷移後位相)b’は(数9)のように表すことが出来る。
Figure 0006038752
従って、補正位相差(補正位相遷移量)a’は、(数10)のように表すことが出来る(補正位相遷移量=補正遷移後位相−補正基準位相)。
Figure 0006038752
即ち、補正位相差(補正位相遷移量)a’は、補正前の位相差aに(数11)に示す位相補正量を加えたものとして表すことが出来る。
Figure 0006038752
以上の数式を、位相差aを用いずに表すと、補正位相(補正基準位相)b’i−1は(数12)のように表すことができる。
Figure 0006038752
また、補正位相(補正遷移後位相)b’は(数13)のように表すことができる。
Figure 0006038752
補正遷移後位相b’と補正基準位相b’i−1の差としての補正位相差(補正位相遷移量)a’は(数14)のように表すことが出来る。
Figure 0006038752
本願発明における補正位相差(補正位相遷移量)a’の算出に当たっては、(数10)、または、(数14)のいずれに基づいて算出してもよい。また、数学的に等価な他のいかなる演算、更にはそれらを近似する他のいかなる演算によっても、それに基づいて本願発明を実施できる。
以上説明した方法によれば、補正位相差(補正位相遷移量)a’を算出するのに必要な復調結果(A)は第1の復調ステップの復調結果を用いており、補正位相差(補正位相遷移量)a’を用いた復調処理は異なる復調ステップ、即ち、第2の復調ステップで行っているため、処理の構造が非再帰的になっている。このため、直前の処理結果を次の処理に用いる再帰的な処理構造を持つ従来のMSPE処理では不可能だった並列化やパイプライン化による高速化が可能となる。
なお、少なくとも、過去の2シンボル(bi−1,bi−2)、及び、未来(及び現在)の2シンボル(b,bi+1)を用いて、それぞれ、補正位相(補正基準位相)b’i−1、及び、補正位相(補正遷移後位相)b’を求めれば良い。上記説明においては過去の3シンボル(bi−1,bi−2,bi−3)、及び、未来(及び現在)の3シンボル(b,bi+1,bi+2)を用いて、それぞれ、補正位相(補正基準位相)b’i−1、及び、補正位相(補正遷移後位相)b’を求めているが、より多くの受信シンボルを用いて求めるようにしても良い。補正位相(補正基準位相)b’i−1、または、補正位相(補正遷移後位相)b’の何れかでも複数受信シンボルを用いて算出するようにすれば、旧来の遅延検波よりは耐雑音特性が改善される。
[第1実施例]
以下、第1実施例を図面を用いて説明する。図8は、第1実施例のシステム構成図である。当該システムは、光送信機1と、光受信機3と、光送信機1と光受信機3とを接続する光ファイバ伝送路2とから構成される。
光送信機1は、入力された送信データを光信号に変換し、光ファイバ伝送路2を介して、光受信機3に送信する。光受信機3は、光ファイバ伝送路2を介して受信された光信号を受信データに変換して出力する。
図9は、光送信機1の構成例である。光送信機1は、符号化器10と、変調器11と、差動符号化器12と、直交座標変換器13と、光直交変調器14とを備える。入力された送信データは、符号化器10にて誤り訂正符号化されて出力される。誤り訂正符号化された信号は、変調器11にて変調され、送信信号の位相及び振幅が出力される。変調器11より出力された送信信号位相は、差動符号化器12によって差動符号化され、出力される。差動符号化は、図中に示すように入力された位相を積算することで実施できる。差動符号化された位相及び振幅は、直交座標変換器13において直交信号座標信号I,Qに変換され、I,Q信号が出力される。出力されたI,Q信号は、光直交変調器14にて変調され、光信号として送出される。
図10は、光受信機3の第1の構成例である。光受信機3は、検波器15と、位相検出器16と、平方根演算器17と、復調回路18と、復号化器19とを備える。
光受信機3によって受信された光信号は、検波器15によって遅延検波されて出力される。一方、検波器15は、光強度検出を行う。検波器15における遅延検波は、光受信信号を一シンボル時間の遅延と位相差が互いにπ/2だけ異なるようにされた二種類の信号をそれぞれ光検波に遅延されない光受信信号とともに入力することで実施される。これは、図10に示すように光信号を複素数で表した場合に一シンボル時間遅延した信号の複素共役と遅延しない光信号を乗算する処理に相当する。一方、光強度検出は、図10に示すように複素表現された光信号を、その複素共役と乗算する処理に相当する。
検波器15において遅延検波された信号の信号位相は、位相検出器16によって検出され、信号位相値として出力される。一方、検波器15において検出された光強度は、平方根演算器17によって強度の平方根に変換され、振幅値として出力される。上記信号位相値及び振幅値は、復調回路18に入力され復調される。復調回路18において復調された信号は、復号化器19に入力され、その後、誤り訂正処理されて受信データとして出力される。
変調器11は、例えば図11に示すような16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)による変調を行う。4bitの送信データを16点の異なる座標を持った16の変調点に変換する。図9に示す変調器11は、極座標(位相、振幅)を出力するので、図12に示す表に従って、位相(Phase)、振幅(Amplitude)を出力する。16QAM変調は、正方格子状の信号点を用いるのが通常であるが、本実施例では、信号点の位相がπ/8の整数倍になるように量子化している。復調回路18は、逆に受信信号の極座標(位相、振幅)を入力して4bitのデータに変換する。本発明において、変調方式は他の方式としても良い。例えば、図13及び図14に示す16APSK(Amplitude Phase Shift Keying)による変調、復調を行うことも好適である。
図15は、光受信機3の第2の構成例を示す。光受信機3に受信された光信号は、直交検波器20によって直交検波され、直交信号座標信号I,Qが出力される。出力された直交信号座標信号I,Qは、極座標変換器21によって極座標信号(位相、振幅)に変換されて、極座標信号が出力される。出力された位相は遅延検波器22にて遅延検波されて出力される。遅延検波は、図中に示されるように一シンボル前の信号位相と現在の信号位相の差分をとることで実施することが出来る。遅延検波された位相、及び、振幅は、復調回路18及び復号化器19を介して受信データとして出力される。復調回路18及び復号化器19の動作は図10に示した光受信機と同様である。また、直交検波器20は、例えば、受信光信号を局発光でホモダイン検波することで同相成分(I)、直交成分(Q)を得る構成とすれば良い。
図16は、復調回路18の構成例を示す。復調回路18に入力される信号は、光受信機3が図10の構成の場合も図15の構成の場合も遅延検波をされているので、図1に示した位相差信号aとなっている。このため、前述の(数10)に基づいて復調を行う。
入力された位相値及び振幅値は、多値判定回路A100−1に入力される。多値判定回路A100−1は、入力された位相値、及び、振幅値に基づいて、複数の変調信号点のうちどの変調信号点が送られたかを判定する。この判定には、例えば、特許文献1に開示されている非ユークリッド距離に基づく受信シンボルの判定を用いることが出来る。多値判定回路A100−1は、更に判定に基づき、判定された変調信号点に対応する位相値Aを判定結果として出力する。
一方、位相値、及び、振幅値は、多値判定回路A100−1の処理遅延に相当する時間だけ遅延させるために、それぞれ、遅延器(101−1,102−1)に入力される。遅延器101−1にて遅延された位相値は、多値判定回路A100−1が出力した位相値Aを加算器103−1において差し引かれて、(数5)に示す位相誤差信号eが算出される。位相誤差信号eは、位相補正量算出部104−1に入力され、(数11)に示す位相補正量が算出されて出力される。
一方、遅延器(101−1,102−1)にて遅延された位相値及び振幅値は、更に、位相補正量算出部104−1の処理遅延に相当する時間だけ遅延させるために、それぞれ、遅延器(105−1,106−1)に入力される。位相補正量算出部104−1にて算出された位相補正量は、加算器107−1にて、遅延器105−1にて遅延された位相値と加算され、(数10)に示す補正位相遷移量a’が出力される。
多値判定回路A100−2は、補正位相遷移量a’、及び、遅延器106−1にて遅延された振幅値に基づき、複数の変調信号点のうちどの変調信号点が送られたかを判定する。多値判定回路100−1が補正前の位相値aが入力されているのに対し、多値判定回路A100−2は補正後の位相値(補正位相遷移量a’)が入力されるため、多値判定回路A100−1よりも精度の良い(誤りの少ない)判定を行うことが出来る。
多値判定回路A100−2は、その判定結果に基づき、やはり判定された変調信号点に対応する位相値A’を判定結果として出力する。更にこの新しい判定結果に基づいて位相補正量算出、位相補正、多値判定を行うことで更に誤りの少ない判定を行うことが出来るようになる。図16では、途中の図示を省略しているが、復調回路18は、受信された信号を用いて送信データを判定するn個の復調部を備える。復調回路18では、判定処理及び位相補正処理をn段繰り返して、繰り返すごとに判定の精度を向上させ、最終的な補正位相遷移量a’’’を得ている。なお、図16では、判定処理及び位相補正処理をn段繰り返しているが、復調回路18は、受信された信号を用いて送信データを判定する少なくとも第1の復調部及び第2の復調部を備えていればよい。
多値判定回路B108は、入力された補正位相遷移量a’’’、及び、振幅値を用いて信号点の最終的な判定を行う。多値判定回路A(100−1,100−2,…)は、判定出力として、信号点の位相値、即ち、図17(16QAM)あるいは図18(16APSK)に示す表の右側(Phase)の値を出力するが、最終的な判定を行う多値判定回路B108は、図17(16QAM)、図18(16APSK)に示す表の左側(Decision)の値を出力する。これにより、図11及び図12、または、図13及び図14に基づいて変調され送出された送信データが復元される。
図19は、位相補正量算出部の第1の構成例を示す。位相補正量算出部(104−1,…,104−n)は、(数11)に示す位相補正量を、例えば図19のような構成にて算出する。図中、201−1〜201−4は一シンボル遅延器、202−1〜202−4は係数乗算器、203は加算器を表す。係数乗算器202−1〜202−4の係数kはそれぞれ、(数15)、(数16)、(数17)、(数18)のように設定すればよい。
Figure 0006038752
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図19の構成による位相補正量算出部は、復調対象の受信シンボルに対して時間的に未来の信号((数10)のei+1,ei+2)が入力された時点で演算結果が出力されるので、原理的に2シンボルの遅延を持っている。従って、この場合、前述の遅延器(105−1,…,105−n)、及び、遅延器(106−1,…106−n)の遅延時間は2シンボルとなる。ハードウェアの設計上、図19の構成に中に追加のレジスタ(フリップフロップ)を挿入する場合(パイプライン化する場合)は、更に、その分の遅延を遅延器(105−1,…,105−n)、及び、遅延器(106−1,…106−n)に追加して構成することになる。
以上の構成による第1実施例は、多値判定回路(100−1,100−2,…)が一シンボル時間を越えるレイテンシーを持っている場合であっても、遅延器(101−1,101−2,…)及び遅延器(102−1,102−2,…)の遅延をそれに合わせて設計することにより、処理の破綻なく構成可能である。したがって、第1実施例によれば、高速通信のために高速の処理が必要な場合であっても実施することが出来る。位相補正量算出部(104−1,…,104−n)が一シンボル時間を越えるレイテンシーを持っている場合も同様である。これにより、MSPEで問題であった復調処理のレイテンシーが大きくなると実現できないと言う課題が解消できる。
以上の本実施例による復調方法の耐雑音特性を評価した結果を図32に示す。実線(マーク無し)が、旧来の遅延検波による特性を示し、破線が従来のMSPEを用いた場合の特性を示し、実線(+マーク付き)が、本実施例による復調処理(処理段数は4段)の特性を示している。本発明によれば、従来のMSPEと同等以上の耐雑音特性が得られていることが確認される。
[第2実施例]
以下、第2実施例を図面を用いて説明する。システム構成、並びに、光送信機1及び光受信機3の構成は、第1実施例と同じである。第2実施例においては、復調回路18の構成が第1実施例とは異なっている。図20は、第2実施例における復調回路18の構成を示す。
第1実施例では、判定処理及び位相補正処理を複数段で構成した場合も、後段に供給する位相値は、復調回路18に入力された位相値を遅延したのみであった。これに対し、図20に示す第2実施例においては、前段の処理で補正された位相値(補正位相遷移量a’)を後段の処理に用いている。例えば、図20に示すように、位相補正量算出部104によって出力された補正位相遷移量a’が遅延器101−2に入力され、後段の処理に用いられる。
第2実施例によれば、前段の処理で改善された位相値を後段で用いるため、より良い精度が期待できる。一方、前段の判定結果が間違っていた場合、後段の判定結果で修正されても、前段の判定誤りの影響が位相値によって継承されてしまう場合もある。どちらが良い特性となるかは各種条件によって異なると考えられるが、AWGN(Additive White Gaussian Noise)環境下で評価した結果、16QAMについても、及び、16APSKについても、第1実施例の構成とほぼ同等の特性が得られることを確認した。
[第3実施例]
以下、第3実施例を図面を用いて説明する。第3実施例は、高速処理のために処理を4並列化した構成例である。図21は、4並列化した復調回路18の構成例を示す。図21では、並列化のために必要となるシリアル・パラレル変換処理及びパラレル・シリアル変換処理を省略しているが、並列化の前段にシリアル・パラレル変換処理、後段にパラレル・シリアル変換処理が必要なのは通例のとおりである。
図21の復調回路18には、第1実施例及び第2実施例と同様に、位相値及び振幅値が入力されるが、4並列化されているため、4対の位相値及び振幅値が入力される。入力された位相値及び振幅値は、4並列位相誤差算出部300−1に入力される。4並列位相誤差算出部300−1は、位相1〜4、補正後位相1〜4、振幅1〜4の入力を持つが、初段において補正された位相は得られないので、補正されていない位相値をそのまま入力している。
4並列位相誤差算出部300−1は、(数5)に示す位相誤差eを算出して出力する。この際、入力された位相値及び振幅値は、遅延を調整されて出力される。4並列位相誤差算出部300−1が出力した位相値、位相誤差、及び振幅値は、4並列位相補正部301−1に入力される。
4並列位相補正部301−1は、入力された位相値及び位相誤差に従って、(数10)に示す補正位相遷移量a’を算出し、補正後位相1〜4として出力する。また、同時に、4並列位相補正部301−1は、遅延を調整した位相値1〜4及び振幅値1〜4を出力する。出力された補正後位相1〜4(補正位相遷移量a’)は、位相値1〜4及び振幅値1〜4とともに4並列位相誤差算出部300−2に入力される。
4並列位相誤差算出部300−2の構成は、前段の4並列位相誤差算出部300−1と同一であるが、補正により位相精度の改善した補正後位相1〜4が入力されるので、初段の4並列位相誤差算出部300−1に比べて精度の良い位相誤差情報(位相誤差1〜4)を出力することが出来る。
4並列位相誤差算出部300−2により出力された位相誤差1〜4は、4並列位相補正部301−2に入力される。4並列位相誤差算出部300−2によって補正位相遷移量a’’が算出され、補正後位相1〜4として出力される。4並列位相補正部301−2より出力された補正後位相1〜4は、4並列多値判定回路302に入力され、複数の変調信号点のどの信号点が送られたのかを判定し、判定結果として最終的な復調結果1〜4を出力する。
図22は、4並列位相誤差算出部の構成例を示す。4並列位相誤差算出部(300−1,300−2)は、図22に示すように、4つの位相誤差算出部(400−1〜400−4)から構成される。各位相誤差算出部(400−1〜400−4)は、図25に示す構成である。位相誤差算出部(400−1〜400−4)は、多値判定回路A100と、遅延器(101,102)と、加算器103とから構成される。多値判定回路A100と、遅延器(101,102)と、加算器103の動作及び作用は第1実施例と同様であるので説明を省略する。
図23は、4並列位相補正部の構成例を示す。4並列位相補正部(301−1,301−2)は、図23に示すように、4つの位相補正部(401−1〜401−4)によって構成される。各位相補正部(401−1〜401−4)は、復調対象のシンボルに対して、(数10)に示したように、時間的に過去のシンボルの位相誤差、及び、未来のシンボルの位相誤差を用いて、補正後位相(補正位相遷移量a’, a’’)を算出する。したがって、各位相補正部(401−1〜401−4)には、隣接する並列回路の位相誤差の値、及び、その次に隣接する並列回路の位相誤差の値が入力されるように、並列回路のそれぞれの回路が互いに接続されている。具体的には、各位相補正部(401−1〜401−4)に、過去の位相誤差(ei−2,ei−1)、及び、未来の位相誤差(ei+1,ei+2)が入力されるように、隣接する回路及びその次に隣接する回路からの信号線が接続されている。
図26は、位相補正部の構成例を示す。各位相補正部(401−1〜401−4)は、位相補正量算出部109と、遅延器(110,111)と、加算器107とから構成される。入力された過去の位相誤差(ei−2,ei−1)、及び、未来の位相誤差(ei+1,ei+2)は、位相補正量算出部109に入力され、(数11)に基づいて位相補正量が算出される。
一方、入力された位相値と振幅値は、位相補正量算出部109の処理遅延に合わせて遅延器(100,111)により遅延が調整される。位相補正量算出部109より出力された位相補正量は、遅延を調整された位相値と加算器107で加算され、補正後位相(補正位相遷移量a’,a’’)として出力される。
図27は、位相補正量算出部の構成例を示す。位相補正量算出部109は、係数乗算器202−1〜202−4と加算器203とから構成される。位相補正量算出部109は、(数11)に従って位相補正量を算出する。図27において、係数kはそれぞれ、(数15)、(数16)、(数17)、(数18)のように設定すればよい。第1実施例においては、復調対象の受信シンボルに対して未来の受信信号が入力されるのを待つため、原理的に遅延を発生していたが、本実施例においては、過去の受信信号及び未来の受信信号は並列に同時に入力されるため、原理的には遅延は発生しない。従って、遅延器110,111の遅延量は、ハードウェア設計上、図27の構成に追加されたレジスタ(フリップフロップ)による遅延だけによって決まる点が第1実施例と異なっている。
図24は、4並列多値判定回路の構成例を示す。4並列多値判定回路302は、4つの多値判定回路108−1〜108−4によって構成される。多値判定回路108−1〜108−4の動作は、第1実施例の多値判定回路B108と同様であるので説明を省略する。
本実施例によれば、高速化のために並列化した復調方法が得られる。再帰的構造をもつ従来のMSPEのように、他の並列回路の処理結果を待たないと処理を行えないと言う課題がなく、前段の処理が終われば後段の処理を行うことが出来るため、並列化による高速化が可能となっている。本実施例では4並列の場合を説明したが、より多くの数の(または少ない数の)並列数とする場合も、全く同様に行うことが出来ることは言うまでもない。
また、本実施例で行っている演算自体は、第1実施例のものと全く同じであるので、特性も第1実施例と同じであり、耐雑音特性は旧来の遅延検波に比べて大きく改善され、従来のMSPEと同等以上の特性が得られるのは明らかである。
[第4実施例]
以下、第4実施例を図面を用いて説明する。第1実施例、第2実施例、及び第3実施例はいずれも遅延検波を行った後の位相差信号aを用いて復調を行っていた。本実施例については、復調回路は遅延検波前の位相bを用いて復調を行う方法について述べる。
遅延検波前の位相値bを用いて復調を行う場合、(数1)の補正基準位相b’i−1は(数12)のように表すことが出来、また、(数2)の補正遷移後位相b’は(数13)のように表すことが出来る。従って、補正位相遷移量(a’)は、(数14)のように表すことが出来る。このため、第4実施例では(数14)を用いた復調処理を行う。
図28は、光受信機3の構成例を示す。受信された光信号は、直交検波器20にて直交検波され、極座標変換器21にて極座標(位相、振幅)に変換される。直交検波器20及び極座標変換器21の動作については、第1実施例の光受信機の第2の構成例(図15)で述べたのと同様である。極座標変換器21より出力された極座標信号(位相、振幅)は、復調回路23に入力され復調される。復調回路23にて復調された信号は、復号化器19に入力され、誤り訂正処理をされて受信データとして出力される。
図29は、復調回路23の構成例を示す。入力された信号位相bは、位相差算出部112にて遅延検波され、位相差算出部112によって位相差信号aが出力される。図30は、位相差算出部112の構成例を示す。位相差算出部112の構成は、図30に示すように、第1実施例の光受信機の第2の構成例における遅延検波器22と同一である。
位相差算出部112から出力された位相差信号aは、多値判定回路A100−1に入力される。多値判定回路A100−1、遅延器101−1、遅延器101−2の動作及び作用は第1実施例における復調回路と同一である。多値判定回路A100−1が出力した位相値Aは、補正位相差算出部113−1に入力され、(数14)に示す補正位相差(補正位相遷移量a’)が出力される。遅延器114−1及び遅延器115−1は、それぞれ、位相値及び振幅値を補正位相差算出部113−1の処理遅延に相当する時間だけ遅延させる。
補正位相遷移量a’、及び、遅延器115−1にて遅延された振幅値に基づき、多値判定回路A100−2は、複数の変調信号点のうちどの変調信号点が送られたかを判定する。多値判定回路A100−1が補正前の位相値aが入力されているのに対し、多値判定回路A100−2は補正後の位相値(補正位相遷移量a’)が入力されるため、多値判定回路A100−2は、多値判定回路A100−1よりも精度の良い(誤りの少ない)判定を行うことが出来る。多値判定回路A100−2は、その判定結果に基づき、やはり判定された変調信号点に対応する位相値A’を判定結果として出力する。
これ以降、第1実施例の復調回路18と同様に、復調回路23は、複数段の処理を行う。後段において、新しい判定結果に基づいて位相補正量算出、位相補正、及び、多値判定を行うことで更に誤りの少ない判定を行うことが出来るようになる。
図29では、途中の図示を省略しているが、判定処理及び位相補正処理をn段繰り返して、繰り返すごとに判定の精度を向上させ、最終的な補正位相遷移量a’’’を得ている。多値判定回路B108は、入力された補正位相遷移量a’’’、及び、振幅値を用いて信号点の最終的な判定を行う。多値判定回路B108の動作及び作用は、第1実施例の復調回路18における多値判定回路B108と同様である。
図31は、補正位相差算出部の構成例を示す。補正位相差算出部(113−1,…,113−n)は、図31のように構成できる。図31において、204−1〜204−5、及び、205−1〜205−4は一シンボル遅延器、206−1〜206−6、及び、207−1〜207−4は係数乗算器、208は加算器である。
補正位相差算出部(113−1,…,113−n)では、入力された位相値b及び位相値Aに基づき、(数14)に従って、補正位相遷移量a’が算出される。係数kは(数15)、(数16)、(数17)、(数18)のように設定すればよく、係数hは(数19)、(数20)、(数21)、(数22)、(数23)、(数24)のように設定すればよい。
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以上、第1実施例から第4実施例について説明を行った。処理の多くを極座標系の信号を用いて行ったが、直交座標系を用いて同一、または類似の処理を行うことも出来る。
また、それぞれの実施例において、平均する過去の受信シンボル数及び平均する未来の受信シンボル数は、それぞれ、3としていたが、それより多くても少なくても構わない。一般には多い方が特性は良くなるが、回路規模は増大する。
また、判定処理及び位相補正処理を行う段数は、第1実施例、第2実施例、及び第4実施例については、n段とし、第3実施例については2段としたが、それより多くてもあるいは少なくても構わない。一般にはやはり多い方が特性は良くなるが、回路規模、及び、処理遅延は増大する。平均数や処理段数は、何れも極端に多くしても特性は飽和する傾向にあるので、あまり段数を多くしても意味はない。平均数3、処理段数2程度で実用上問題ない特性が得られることを確認しており、従来の復調処理に比較して極端に多くの処理を行わなくとも、本発明の効果を発揮できる。
なお、本発明は、光情報伝送システムについて記載したが、無線通信システムなどの他の通信システムにおいてもほぼ同様に実施できる。
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることがあり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上述の実施例において制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1: 光送信機
2: 光ファイバ伝送路
3: 光受信機
10: 符号化器
11: 変調器
12: 差動符号化器
13: 直交座標変換器
14: 直交変調器
15: 検波器
16: 位相検出器
17: 平方根演算器
18、23: 復調回路
19: 復号化器
20: 直交検波器
21: 極座標変換器
22: 遅延検波器
100、108: 多値判定回路
101、102、105、106、110、111、114、115: 遅延器
103、107、203、208: 加算器
104、109: 位相補正量算出部
112: 位相差算出部
113: 補正位相差算出部
201、204、205: 一シンボル遅延器
202、206、207: 係数乗算器
300: 4並列位相誤差算出部
301: 4並列位相補正部
302: 4並列多値判定回路
400: 位相誤差算出部
401: 位相補正部

Claims (13)

  1. 送信データを差動符号化して送信する通信方法における受信信号の復調方法であって、
    i−1番目、i番目、及びi+1番目の送信データが、それぞれ、信号bi−2と信号bi−1、信号bi−1と信号b、信号bと信号bi+1に差動符号化された信号を少なくとも受信する受信ステップと、
    前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する少なくとも第1及び第2の復調ステップと、を含み、
    前記第2の復調ステップは、
    前記第1の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2、bi−1、b、bi+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第1のステップ、または、
    前記第1の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第2のステップ
    を含むことを特徴とする復調方法。
  2. 請求項1に記載の復調方法において、
    前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する第3の復調ステップを更に含み、
    前記第3の復調ステップは、
    前記第2の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、前記信号bi−2、bi−1、b、bi+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差を更に補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第3のステップ、または、
    前記第2の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差を補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第4のステップ
    を含むことを特徴とする復調方法。
  3. 請求項1に記載の復調方法において、
    前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する第3の復調ステップを更に含み、
    前記第3の復調ステップは、
    前記第2の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、前記第2の復調ステップにおいて補正された前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差及び前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差とを用いて、前記第2の復調ステップにおいて補正された前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差を更に補正することにより、前記i番目の送信データを判定することを特徴とする復調方法。
  4. 請求項1に記載の復調方法において、
    前記第2の復調ステップの前記第1のステップは、
    前記信号bi−1と、前記信号bi−2と前記i−1番目の送信データの判定結果Ai−1の加算(bi−2+Ai−1)の第1の重み付き平均と、
    前記信号bと、前記信号bi+1と前記i+1番目の送信データの判定結果Ai+1の差分(bi+1−Ai+1)の第2の重み付き平均と、
    に基づいて前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aの補正値を出力することを特徴とする復調方法。
  5. 請求項1に記載の復調方法において、
    前記第2の復調ステップの前記第2のステップは、
    前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aと、
    前記i−1番目の送信データの判定結果Ai−1と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1とから求めた第1の位相誤差であって、第1の重み係数が乗算される第1の位相誤差と、
    前記i+1番目の送信データの判定結果Ai+1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とから求めた第2の位相誤差であって、第2の重み係数が乗算される第2の位相誤差と、
    に基づいて前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aの補正値を出力することを特徴とする復調方法。
  6. 請求項1に記載の復調方法において、
    前記受信ステップは、i−2番目、i−1番目、i番目、i+1番目、及びi+2番目の送信データが、それぞれ、信号bi−3と信号bi−2、信号bi−2と信号bi−1、信号bi−1と信号b、信号bと信号bi+1、信号bi+1と信号bi+2に差動符号化された信号を受信し、
    前記第2の復調ステップは、
    前記第1の復調ステップにおけるi−2番目、i−1番目、i+1番目、及びi+2番目の送信データの判定結果Ai−2、Ai−1、Ai+1、Ai+2と、前記信号bi−3、bi−2、bi−1、b、bi+1、bi+2とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第5のステップ、または、
    前記第1の復調ステップにおけるi−2番目、i−1番目、i+1番目、及びi+2番目の送信データの判定結果Ai−2、Ai−1、Ai+1、Ai+2と、前記信号bi−3と前記信号bi−2との間の位相差ai−2と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1と、前記信号bi+1と前記信号bi+2との間の位相差ai+2とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第6のステップ
    を含むことを特徴とする復調方法。
  7. 送信データを差動符号化して送信する送信装置からの受信信号の復調する復調装置であって、
    i−1番目、i番目、及びi+1番目の送信データが、それぞれ、信号bi−2と信号bi−1、信号bi−1と信号b、信号bと信号bi+1に差動符号化された信号を少なくとも受信する復調回路を備え、
    前記復調回路は、前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する少なくとも第1及び第2の復調部を備え、
    前記第2の復調部は、
    前記第1の復調部におけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2、bi−1、b、bi+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第1の回路、または、
    前記第1の復調部におけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果Ai−1、Ai+1と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第2の回路
    を備えることを特徴とする復調装置。
  8. 請求項7に記載の復調装置において、
    前記復調回路が、前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する第3の復調部を更に備え、
    前記第3の復調部は、
    前記第2の復調部におけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、前記信号bi−2、bi−1、b、bi+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差を更に補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第3の回路、または、
    前記第2の復調ステップにおけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差を補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第4の回路
    を備えることを特徴とする復調装置。
  9. 請求項7に記載の復調装置において、
    前記復調回路が、前記受信された信号を用いて前記送信するデータを判定する第3の復調部を更に備え、
    前記第3の復調部は、
    前記第2の復調部におけるi−1番目の送信データおよびi+1番目の送信データの判定結果と、前記第2の復調部において補正された前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差及び前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差とを用いて、前記第2の復調部において補正された前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差を更に補正することにより、前記i番目の送信データを判定する回路を備えることを特徴とする復調装置。
  10. 請求項7に記載の復調装置において、
    前記第2の復調部の前記第1の回路は、
    前記信号bi−1と、前記信号bi−2と前記i−1番目の送信データの判定結果Ai−1の加算(bi−2+Ai−1)の第1の重み付き平均と、
    前記信号bと、前記信号bi+1と前記i+1番目の送信データの判定結果Ai+1の差分(bi+1−Ai+1)の第2の重み付き平均と、
    に基づいて前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aの補正値を出力することを特徴とする復調装置。
  11. 請求項7に記載の復調装置において、
    前記第2の復調部の前記第2の回路は、
    前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aと、
    前記i−1番目の送信データの判定結果Ai−1と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1とから求めた第1の位相誤差であって、第1の重み係数が乗算される第1の位相誤差と、
    前記i+1番目の送信データの判定結果Ai+1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1とから求めた第2の位相誤差であって、第2の重み係数が乗算される第2の位相誤差と、
    に基づいて前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aの補正値を出力することを特徴とする復調装置。
  12. 請求項7に記載の復調装置において、
    前記復調回路は、前記第1及び第2の復調部の複数のセットが並列化された並列化回路を備え、
    前記並列化回路の各セットには、隣接する前記並列化回路のセットから、前記受信された信号の時間的に過去の信号あるいは該過去の信号の位相誤差、及び、時間的に未来の信号あるいは該未来の信号の位相誤差が入力されることを特徴とする復調装置。
  13. 請求項7に記載の復調装置において、
    前記復調回路は、i−2番目、i−1番目、i番目、i+1番目、及びi+2番目の送信データが、それぞれ、信号bi−3と信号bi−2、信号bi−2と信号bi−1、信号bi−1と信号b、信号bと信号bi+1、信号bi+1と信号bi+2に差動符号化された信号を受信し、
    前記第2の復調部は、
    前記第1の復調ステップにおけるi−2番目、i−1番目、i+1番目、及びi+2番目の送信データの判定結果Ai−2、Ai−1、Ai+1、Ai+2と、前記信号bi−3、bi−2、bi−1、b、bi+1、bi+2とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第5の回路、または、
    前記第1の復調ステップにおけるi−2番目、i−1番目、i+1番目、及びi+2番目の送信データの判定結果Ai−2、Ai−1、Ai+1、Ai+2と、前記信号bi−3と前記信号bi−2との間の位相差ai−2と、前記信号bi−2と前記信号bi−1との間の位相差ai−1と、前記信号bと前記信号bi+1との間の位相差ai+1と、前記信号bi+1と前記信号bi+2との間の位相差ai+2とを用いて、前記信号bi−1と前記信号bとの間の位相差aを補正することにより、前記i番目の送信データを判定する第6の回路
    を備えることを特徴とする復調装置。
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