JP6038345B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
特許文献1の誘導加熱調理器は、加熱コイルの出力電流に基づいて、被加熱物の材質が、アルミニウム、ステンレス、又は鉄の何れであるかを判定している。
特許文献2の誘導加熱調理器は、インバータの入力電流が一定となるようにインバータを制御する制御手段を有し、所定時間以内に所定以上の制御量の変化があった場合に被加熱物の温度変化が大と判断してインバータの出力を抑制している。また、所定の時間の間に所定の制御量変化以下になった場合に湯沸し完了と判断し、インバータの出力を低減すべく駆動周波数を低下させることが開示されている。
特許文献3には、入力電流の変化量を検出する入力電流変化量検出手段と、入力電流変化量検出手段により検出された入力電流の変化量から被加熱物の温度を判定する温度判定処理手段とを備えた誘導加熱調理器が提案されている。温度判定手段において被加熱物が吹き上がり温度になったと判定した場合、停止信号を出力して加熱が停止することが開示されている。
(構成)
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器を示す分解斜視図である。
図1に示すように、誘導加熱調理器100の上部には、鍋などの被加熱物5が載置される天板4を有している。天板4には、被加熱物5を誘導加熱するための加熱口として、第一の加熱口1、第二の加熱口2、第三の加熱口3とを備え、各加熱口に対応して、第一の加熱手段11、第二の加熱手段12、第三の加熱手段13を備えており、それぞれの加熱口に対して被加熱物5を載置して誘導加熱を行うことができるものである。
本実施の形態1では、本体の手前側に左右に並べて第一の加熱手段11と第二の加熱手段12が設けられ、本体の奥側ほぼ中央に第三の加熱手段13が設けられている。
なお、各加熱口の配置はこれに限るものではない。例えば、3つの加熱口を略直線状に横に並べて配置しても良い。また、第一の加熱手段11の中心と第二の加熱手段12の中心との奥行き方向の位置が異なるように配置しても良い。
制御部45は、マイコン又はDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)等からなる誘導加熱調理器100の動作を制御するものであって、駆動制御手段31、負荷判定手段32、駆動周波数設定手段33、電流変化検出手段34、電力調整手段35、入出力制御手段36を備えている。
次に、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の動作例について説明する。
まず、天板4の加熱口に載置された被加熱物5を、操作部40により設定された火力により誘導加熱する場合の動作について説明する。
負荷となる被加熱物5(鍋)の材質は、磁性特性とインピーダンス特性とにより、磁性材、高抵抗非磁性材、及び、低抵抗非磁性材に大別される。磁性材としては、例えば鉄、フェライト系ステンレス(例えば、18Cr:日本工業規格SUS430)等がある。高抵抗非磁性材としては、オーステナイト系ステンレス(例えば、18Cr-8Ni:日本工業規格SUS304)等がある。低抵抗非磁性材としては、アルミニウム、銅等がある。
図4に示すように、天板4に載置された被加熱物5(鍋)の材質によってコイル電流と入力電流の関係が異なる。負荷判定手段32は、図4に示すコイル電流と入力電流との関係をテーブル化した負荷判定テーブルを予め内部に記憶している。負荷判定テーブルを内部に記憶することで安価な構成で負荷判定手段32を構成することができる。
負荷判定結果が、無負荷であった場合、制御部45は、加熱不可能であることを報知手段42に報知させて、使用者に鍋の載置を促す。この際、駆動回路50から加熱コイル11aには高周波電力を供給しない。
負荷判定結果が、磁性材、高抵抗非磁性材、または低抵抗非磁性材の何れかであった場合、これらの鍋は本実施の形態1の誘導加熱調理器100で加熱可能な材質であるため、制御部45は、判定した材質に応じた駆動周波数を決定する。この駆動周波数は、入力電流が過大とならないよう共振周波数よりも高い周波数とする。この駆動周波数の決定は、例えば被加熱物5の材質と設定火力とに応じた周波数のテーブル等を参照することで決定することができる。
制御部45は、決定した駆動周波数を固定した状態にしてインバータ回路23を駆動し、誘導加熱動作を開始する。なお、駆動周波数を固定した状態においては、インバータ回路23のスイッチング素子のオンデューティ(オンオフ比)も固定した状態とする。
図5は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の被加熱物の温度変化時の駆動周波数に対する電流の相間図である。
図5において、細線は被加熱物5(鍋)が低温のときの特性であり、太線は被加熱物5が高温のときの特性である。
図5に示すように、被加熱物5の温度によって特性が変化するのは、温度上昇によって被加熱物5の電気抵抗率が増加し、また透磁率が低下することで、加熱コイル11aと被加熱物5の磁気結合が変化するためである。
制御部45は、インバータ回路23の駆動周波数を固定した状態にして、加熱コイル11aへの電力供給を行うことで被加熱物5の加熱を実施する。この際、図6に示すように、被加熱物5が低温から高温になるにつれて、当該駆動周波数における電流値(動作点)が、点Aから点Bに変化し、被加熱物5の温度上昇に伴い、電流が徐々に低下していく。
図4に示すように、◆印でプロットした被加熱物5(電流変化“大”鍋)と、■印でプロットした被加熱物5(電流変化“小”鍋)は、加熱初期の低温時においては、入力電流と出力電流の値がほぼ同じである。上述した加熱開始時の負荷判定処理において、これらの被加熱物5の材質は、共に磁性材であると判定される。
このようなことから、負荷判定手段32は、加熱動作中の負荷判定処理において、加熱コイル11aへの電力供給開始から第1加熱期間を経過するまでの、入力電流およびコイル電流の少なくとも一方の電流の変化量I1を求める。そして、電流の変化量I1に基づき、被加熱物5の材質を細別して判定する。つまり、上述した加熱開始時の負荷判定処理において大別した区分に属する複数の材質のうち、何れの材質であるか判定する。
そして、負荷判定手段32は、入力電流検出手段25aによって検出された入力電流、および、コイル電流検出手段25bによって検出されたコイル電流の少なくとも一方に基づき、予め記憶した電流の変化量I1と材質の種類との関係の情報を参照することで、当該被加熱物5の材質の種類を細別して判定する。
これにより、例えば磁性材の区分に属する鉄、フェライト系ステンレス等のうち、被加熱物5の材質が何れの材質であるかを細別して判定することができる。
駆動周波数を固定した状態においては、被加熱物5の温度に応じて電流(入力電流およびコイル電流)が低下する。図6に示したように、被加熱物5が低温から高温になるにつれて、当該駆動周波数における電流値(動作点)が、点Aから点Bに変化し、被加熱物5の温度上昇に伴い、電流が徐々に低下していく。
このことから、制御部45は、インバータ回路23の駆動周波数を固定した状態で、電流(入力電流又はコイル電流)の所定時間当たりの変化量(電流変化量ΔI)を求め、この電流変化量ΔIに基づき、被加熱物5の温度変化を検出する。
次に、操作部40により調理メニュー(動作モード)として、被加熱物5に投入された水の湯沸し動作を行う湯沸しモードが選択された場合の動作について説明する。
図7においては、被加熱物5内に水が投入され、湯沸しモードで動作させた時の経過時間と各特性の変化を示している。図7(a)は駆動周波数、図7(b)は温度(水温)、図7(c)は電流(入力電流又はコイル電流)を示す。なお、図7(c)の■印などの表示は、図4の■印などのプロットに対応する。
なお、図7(c)に示すように、被加熱物5が、電流変化“大”鍋と、電流変化“小”鍋との何れの場合であっても、電流は徐々に低下していき、水が沸騰して温度が一定となると、入力電流も一定となる。
このような湯沸かしモードの詳細を図8に基づき説明する。
まず、使用者により天板4の加熱口に被加熱物5が載置され、加熱開始(火力投入)の指示が操作部40に行われる。すると、負荷判定手段32は、加熱開始時の負荷判定処理を実施する。加熱開始時の負荷判定処理においては、入力電流とコイル電流との関係を示す負荷判定テーブルを用いて、載置された被加熱物(鍋)5の材質の区分が大別して判定する(ステップST1)。なお、無負荷であると判定された場合、制御部45は、その旨を報知手段42から報知させ、駆動回路50から加熱コイル11aに高周波電力が供給されないように制御する。
このように、加熱コイル11aに供給される高周波電力が最大値となるようにすることで、被加熱物5の温度の変化速度が速くなり、加熱動作中の負荷判定処理における電流の変化量I1が大きくなる。よって、被加熱物5の材質の判定の精度を更に向上することができる。
この閾値(Iref)は、負荷判定手段32が判定した被加熱物5の材質の、第1加熱期間t1における電流の変化量I1が大きい程、大きく設定する。つまり、被加熱物5の材質が、電流の変化量I1の小さい材質の場合には、沸騰の判定条件を厳しく(閾値を小さく)して、所定時間当たりの電流変化量ΔIが、電流検出の際のノイズ等に埋もれにくくする。また、被加熱物5の材質が、電流の変化量I1の大きい材質の場合には、沸騰の判定条件を緩く(閾値を大きく)することで、被加熱物5の材質に応じて精度よく沸騰検知が可能となる。
被加熱物5が低温から高温になるにつれて、電流変化量ΔIが小さくなっていく(図7(c))。水が沸騰して温度が一定となると、電流も一定となる(図7(c))。これにより、第1加熱期間t1において、制御部45は、電流の電流変化量ΔIが閾値(Iref)以下となったと判定する。
このため、水の湯沸かし完了を速やかに報知することができ、使い勝手の良い誘導加熱調理器を得ることができる。
次に、加熱動作中の負荷判定処理の変形例について説明する。
加熱開始から第1加熱期間t1を経過するまでの電流の変化量I1は、被加熱物5の温度変化量に依存するため、被加熱物5の加熱初期の温度の影響を受ける。このため、加熱開始時における被加熱物5の温度を考慮して材質判定を行うことで、更に精度良く材質を判定できる。
図9において、◆印でプロットした被加熱物5(電流変化“大”鍋)と、■印でプロットした被加熱物5(電流変化“小”鍋)は、加熱初期の温度が中温の場合を示している。
上述した図4における、加熱初期の温度が低温の場合と比較して、プロット位置が異なり、また、温度が高温となるまでの電流の変化量が少なくなる。
例えば、予め実験データなどにより、加熱初期の温度に対応して、電流の変化量I1と材質の種類との関係を記憶しておく。そして、負荷判定手段32は、加熱開始時における被加熱物5の温度と、電流の変化量I1とに基づき、予め記憶した電流の変化量I1と材質の種類との関係の情報を参照することで、当該被加熱物5の材質の種類を細別して判定する。
これにより、被加熱物5の材質を更に精度良く判定することができる。
被加熱物5の温度変化の速度は、加熱コイル11aに供給される高周波電力(火力)に依存し、加熱開始から第1加熱期間t1を経過するまでの電流の変化量I1は、高周波電力の影響を受ける。このため、加熱開始から第1加熱期間t1を経過するまでの高周波電力(駆動周波数)を考慮して材質判定を行うことで、更に精度良く材質を判定できる。
図10においては、上記図7の例と比較して、駆動周波数を高く(高周波電力を低く)した場合の経過時間と各特性の変化を示している。図10(a)は駆動周波数、図10(b)は温度(水温)、図10(c)は電流(入力電流又はコイル電流)を示す。
図10(b)に示すように、加熱コイル11aに投入される高周波電力が低い場合には、沸騰までの温度上昇が緩やかになる。また、図10(c)に示すように、被加熱物5が、電流変化“大”鍋と、電流変化“小”鍋との何れの場合であっても、電流は緩やかに下降し、第1加熱期間t1における電流の変化量I1は、図7の例と比較して小さくなる。
例えば、予め実験データなどにより、高周波電力に対応して、電流の変化量I1と材質の種類との関係を記憶しておく。そして、負荷判定手段32は、第1加熱期間t1における高周波電力と電流の変化量I1とに基づき、予め記憶した電流の変化量I1と材質の種類との関係の情報を参照することで、当該被加熱物5の材質の種類を細別して判定する。
これにより、被加熱物5の材質を更に精度良く判定することができる。
上述した湯沸かしモードにおける負荷判定処理では、加熱開始して沸騰を検知する前に負荷判定を行う。つまり、第1加熱期間t1は、沸騰する時間の前であることが望ましい。
図11においては、上記図7の例と比較して、被加熱物5内の水の量を少なくした場合の経過時間と各特性の変化を示している。図11(a)は駆動周波数、図11(b)は温度(水温)、図11(c)は電流(入力電流又はコイル電流)を示す。
図11(b)に示すように、被加熱物5内の水の量が少ない場合には、沸騰までの加熱時間が短くなる。また、図11(c)に示すように、被加熱物5が、電流変化“大”鍋と、電流変化“小”鍋との何れの場合であっても、電流は急激に下降する。
逆に、被加熱物5内の水の量が多い場合又は高周波電力が小さい場合など、電流の変化量I2が小さい場合には、第1加熱期間t1を長く設定する。
例えば、予め実験データなどにより、電流の変化量I2と第1加熱期間t1との関係を記憶しておく。そして、負荷判定手段32は、第2加熱期間t2における電流の変化量I2に基づき、予め記憶した情報を参照することで、第1加熱期間t1を設定する。
これにより、被加熱物5の材質を更に精度良く判定することができる。
上述した加熱動作中の負荷判定処理の変形例は、それぞれ任意に組み合わせることも可能である。例えば、加熱動作中の負荷判定処理において、負荷判定手段32は、加熱開始時に温度検出手段30が検出した被加熱物5の温度と、加熱開始から第1加熱期間t1を経過するまでの、駆動回路50の駆動周波数と、電流の変化量I1と、に基づき、被加熱物5の材質が、大別した区分に属する複数の材質のうち何れの材質であるか細別しても良い。
これにより、被加熱物5の材質を更に精度良く判定することができる。
続いて別の駆動回路を使用した例について説明する。
図12は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の別の駆動回路を示す図である。
図12に示す駆動回路50は、図2に示した構成に、共振コンデンサ24bを付加したものである。なお、その他の構成は図2と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
本実施の形態2では、上記実施の形態1における駆動回路50の詳細について説明する。
図13に示すように、インバータ回路23は、正負母線間に直列に接続された2個のスイッチング素子(IGBT23a、23b)と、そのスイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続されたダイオード23c、23dとによって構成されるアームを1組備えている。
制御部45は、IGBT23aをオンさせている間はIGBT23bをオフ状態にし、IGBT23aをオフさせている間はIGBT23bをオン状態にし、交互にオンオフする駆動信号を出力する。
これにより、IGBT23aとIGBT23bとにより、加熱コイル11aを駆動するハーフブリッジインバータを構成する。
制御部45は、インバータ回路23のIGBT23aおよびIGBT23bに、負荷回路の共振周波数よりも高い高周波の駆動信号を出力する。
この駆動信号の周波数を可変することにより、インバータ回路23の出力が増減する。
また、図14(b)に示すように、駆動周波数を上昇させると、加熱コイル11aに供給される高周波電流の周波数が、負荷回路の共振周波数から離れ、加熱コイル11aへの投入電力が減少する。
火力を増加させる場合には、駆動信号の1周期におけるIGBT23aのオン時間(IGBT23bのオフ時間)の比率(オンデューティ比)を大きくして、1周期における電圧印加時間幅を増加させる。
また、火力を低下させる場合には、駆動信号の1周期におけるIGBT23aのオン時間(IGBT23bのオフ時間)の比率(オンデューティ比)を小さくして、1周期における電圧印加時間幅を減少させる。
また、図14(b)の例では、駆動信号の1周期T12におけるIGBT23aのオン時間T12a(IGBT23bのオフ時間)と、IGBT23aのオフ時間T12b(IGBT23bのオン時間)との比率が同じ場合(オンデューティ比が50%)の場合を図示している。
これにより、加熱コイル11aへの投入電力が一定の状態で、入力電流(又はコイル電流)の所定時間当たりの電流変化量ΔIを求めることができる。
本実施の形態3においては、フルブリッジ回路を用いたインバータ回路23について説明を行う。
図15は、実施の形態3に係る誘導加熱調理器の駆動回路の一部を示す図である。なお、図15においては、上記実施の形態1の駆動回路50との相違点のみを図示している。
本実施の形態3では、1つの加熱口に対して2つの加熱コイルが設けられている。2つの加熱コイルは、例えば、それぞれ直径が異なり、同心円状に配置されている。ここでは、直径の小さい加熱コイルを内コイル11bと称し、直径の大きい加熱コイルを外コイル11cと称する。
なお、加熱コイルの数及び配置は、これに限定されない。例えば、加熱口の中央に配置した加熱コイルの周囲に複数の加熱コイルを配置する構成でも良い。
内コイル用アームは、内コイル11bが接続されたアームで、IGBT231a、IGBT231b、ダイオード231c、及びダイオード231dで構成されている。
外コイル用アームは、外コイル11cが接続されたアームで、IGBT233a、IGBT233b、ダイオード233c、及びダイオード233dで構成されている。
同様に、制御部45は、内コイル用アームのIGBT231aとIGBT231b、外コイル用アームのIGBT233aとIGBT233bを交互にオンオフする駆動信号を出力する。
これにより、共通アームと内コイル用アームとにより、内コイル11bを駆動するフルブリッジインバータを構成する。また、共通アームと外コイル用アームとにより、外コイル11cを駆動するフルブリッジインバータを構成する。
外コイル11cおよび共振コンデンサ24dにより構成される負荷回路は、共通アームの出力点と、外コイル用アームの出力点(IGBT233aとIGBT233bの接続点)との間に接続されている。
内コイル11bに流れるコイル電流は、コイル電流検出手段25cにより検出する。コイル電流検出手段25cは、例えば、内コイル11bに流れる電流のピークを検出し、加熱コイル電流のピーク値に相当する電圧信号を制御部45に出力する。
外コイル11cに流れるコイル電流は、コイル電流検出手段25dにより検出する。コイル電流検出手段25dは、例えば、外コイル11cに流れる電流のピークを検出し、加熱コイル電流のピーク値に相当する電圧信号を制御部45に出力する。
共通アーム及び内コイル用アームのスイッチング素子に出力される駆動信号は、内コイル11bおよび共振コンデンサ24cにより構成される負荷回路の共振周波数よりも高い駆動周波数の範囲で可変して、負荷回路に流れる電流が負荷回路に印加される電圧と比較して遅れ位相で流れるように制御する。
また、共通アーム及び外コイル用アームのスイッチング素子に出力される駆動信号は、外コイル11cおよび共振コンデンサ24dにより構成される負荷回路の共振周波数よりも高い駆動周波数の範囲で可変して、負荷回路に流れる電流が負荷回路に印加される電圧と比較して遅れ位相で流れるように制御する。
図16(a)は高火力状態における各スイッチの駆動信号と各加熱コイルの通電タイミングの例である。
図16(b)は低火力状態における各スイッチの駆動信号と各加熱コイルの通電タイミングの例である。
なお、図16(a)及び(b)に示す通電タイミングは、各アームの出力点(IGBTとIGBTの接続点)の電位差に関係するものであり、内コイル用アームの出力点および外コイル用アームの出力点に対して共通アームの出力点が低い状態を「ON」で示している。また、内コイル用アームの出力点および外コイル用アームの出力点に対して共通アームの出力点が高い状態および同電位の状態を「OFF」で示している。
また、制御部45は、共通アームの駆動信号より位相の進んだ駆動信号を、内コイル用アームのIGBT231aとIGBT231b、外コイル用アームのIGBT233aとIGBT233bに出力する。なお、各アームの駆動信号の周波数は同一周波数であり、オンデューティ比も同一である。
したがって、共通アームへの駆動信号と、内コイル用アームおよび外コイル用アームへの駆動信号との位相差を増減することにより、内コイル11bおよび外コイル11cに印加する高周波電圧を調整することができ、内コイル11bと外コイル11cに流れる高周波出力電流と入力電流を制御することができる。
図16(a)の例では、アーム間の位相αが180°の場合を図示している。また、各アームの駆動信号のオンデューティ比が50%の場合、つまり、1周期T13におけるオン時間T13aとオフ時間T13bとの比率が同じ場合を図示している。
この場合、駆動信号の1周期T14における、内コイル11b、外コイル11cの通電オン時間幅T14aと、通電オフ時間幅T14bとが同じ比率となる。
図16(b)の例では、アーム間の位相αを図16(a)と比較して小さくした場合を図示している。なお、各アームの駆動信号の周波数及びオンデューティ比は、図16(a)と同じである。
この場合、駆動信号の1周期T14における、内コイル11b、外コイル11cの通電オン時間幅T14aは、アーム間の位相αに応じた時間となる。
このように、アーム相互間の位相差によって、内コイル11b、外コイル11cへの投入電力(火力)を制御することができる。
これにより、内コイル11b、外コイル11cへの投入電力が一定の状態で、入力電流(又はコイル電流)の所定時間当たりの電流変化量ΔIを求めることができる。
このため、内コイル11bおよび外コイル11cを共に加熱動作させた場合において、コイル電流検出手段25c又はコイル電流検出手段25dの何れか一方が、故障などでコイル電流値が検出できない場合であっても、他方の検出値によって、コイル電流の所定時間当たり電流変化量ΔIを検出することが可能となる。
また、制御部45は、コイル電流検出手段25cで検出されたコイル電流の所定時間当たりの電流変化量ΔIと、コイル電流検出手段25dで検出されたコイル電流の所定時間当たりの電流変化量ΔIとをそれぞれ求め、それぞれ電流変化量ΔIのうち大きい方を用いて、上記実施の形態1で説明した各判断動作を行うようにしても良い。また、それぞれの電流変化量ΔIの平均値を用いて、上記実施の形態1で説明した各判断動作を行うようにしても良い。
このような制御を行うことで、コイル電流検出手段25c又はコイル電流検出手段25dの何れか検出精度が低い場合であっても、コイル電流の所定時間当たりの電流変化量ΔIを、より精度良く求めることができる。
Claims (15)
- 被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電力を供給する駆動回路と、
前記被加熱物の材質が、磁性材、高抵抗非磁性材、および低抵抗非磁性材の少なくとも2つのうち、何れの区分であるかを大別する処理を含む前記被加熱物の負荷判定処理を行う負荷判定手段と、
前記駆動回路の駆動を制御し、前記加熱コイルに供給される高周波電力を制御する制御部と、
前記駆動回路への入力電流を検出する入力電流検出手段と、
前記加熱コイルに流れるコイル電流を検出するコイル電流検出手段とを備え、
前記負荷判定手段は、
前記加熱コイルへの電力供給開始から第1加熱期間を経過するまでの、前記入力電流および前記コイル電流の少なくとも一方の電流の変化量(I1)に基づき、前記被加熱物の材質が、前記大別した区分に属する複数の材質のうち何れの材質であるか細別し、
前記制御部は、
前記負荷判定手段の判定結果に応じて、前記駆動回路の駆動を制御する
ことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記加熱コイルへの電力供給開始から第1加熱期間を経過するまでの間、前記駆動回路の駆動周波数を固定した状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。 - 前記負荷判定手段は、
前記入力電流と前記コイル電流との相関に基づいて、前記被加熱物の材質が、磁性材、高抵抗非磁性材、および低抵抗非磁性材の少なくとも2つのうち、何れの区分であるかを大別する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記加熱コイルに供給される高周波電力が、前記負荷判定手段によって大別された区分に応じた最大値となるように、前記駆動回路を駆動させ、
前記加熱コイルへの電力供給開始から第1加熱期間を経過するまでの間、前記駆動回路の駆動周波数を固定した状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。 - 前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記負荷判定手段は、
前記加熱コイルへの電力供給開始時に前記温度検出手段が検出した前記被加熱物の温度と、
前記加熱コイルへの電力供給開始から前記第1加熱期間を経過するまでの前記電流の変化量(I1)と、に基づき、
前記被加熱物の材質が、前記大別した区分に属する複数の材質のうち何れの材質であるか細別する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記加熱コイルへの電力供給開始から前記第1加熱期間を経過するまでの間、前記駆動回路の駆動周波数を固定した状態とし、
前記負荷判定手段は、
前記加熱コイルへの電力供給開始から前記第1加熱期間を経過するまでの、前記駆動回路の駆動周波数と、前記電流の変化量(I1)と、に基づき、
前記被加熱物の材質が、前記大別した区分に属する複数の材質のうち何れの材質であるか細別する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記負荷判定手段は、
前記入力電流と前記コイル電流との相関に基づいて、前記被加熱物の材質が、磁性材、高抵抗非磁性材、および低抵抗非磁性材の少なくとも2つのうち、何れの区分であるかを大別し、
前記制御部は、
前記負荷判定手段によって大別された区分に応じて、前記駆動回路を駆動させ、前記駆動回路の駆動周波数を固定した状態とし、
前記負荷判定手段は、
前記加熱コイルへの電力供給開始時に前記温度検出手段が検出した前記被加熱物の温度と、
前記加熱コイルへの電力供給開始から前記第1加熱期間を経過するまでの、前記駆動回路の駆動周波数と、前記電流の変化量(I1)と、に基づき、
前記被加熱物の材質が、前記大別した区分に属する複数の材質のうち何れの材質であるか細別する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記加熱コイルへの電力供給を開始する際、および前記第1加熱期間を経過した時、前記駆動回路を、予め設定した負荷判定用の駆動周波数で判定時間の間駆動させ、
前記負荷判定手段は、
前記加熱コイルへの電力供給を開始した時の電流と、前記第1加熱期間を経過した時の電流との差分を、前記電流の変化量(I1)として前記被加熱物の材質を判定する
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記負荷判定手段は、
前記加熱コイルへの電力供給開始から、前記第1加熱期間より短い第2加熱期間を経過するまでの、前記入力電流および前記コイル電流の少なくとも一方の変化量または変化率に応じて、前記第1加熱期間を設定する
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記駆動回路の駆動周波数を固定した状態における、前記入力電流および前記コイル電流の少なくとも一方の時間当たりの変化量(ΔI)が、前記被加熱物の材質に応じて設定した閾値以下となった場合、
前記駆動回路の駆動を制御して、前記加熱コイルに供給される高周波電力を可変させる
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 動作モードの選択操作を行う操作部と、
報知手段とを備え、
前記制御部は、
前記動作モードとして、水の湯沸し動作を設定する湯沸しモードが選択された場合、前記駆動回路を駆動させ、
前記駆動回路の駆動周波数を固定した状態における、前記入力電流および前記コイル電流の少なくとも一方の時間当たりの変化量(ΔI)が、前記被加熱物の材質に応じて設定した閾値以下となったとき、湯沸しが完了した旨を前記報知手段により報知させる
ことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記負荷判定手段が判定した前記被加熱物の材質の、前記電流の変化量(I1)が大きい程、前記閾値を大きく設定する
ことを特徴とする請求項10または11に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記駆動回路の駆動周波数を固定した状態において、前記駆動回路のスイッチング素子のオンデューティ比を固定した状態にする
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記駆動回路は、
2つのスイッチング素子を直列に接続したアームを少なくとも2つ有するフルブリッジインバータ回路により構成され、
前記制御部は、
前記フルブリッジインバータ回路の、前記スイッチング素子の駆動周波数を固定した状態において、前記2つのアームの相互間の前記スイッチング素子の駆動位相差と、前記スイッチング素子のオンデューティ比とを固定した状態にする
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記駆動回路は、
2つのスイッチング素子を直列に接続したアームを有するハーフブリッジインバータ回路により構成され、
前記制御部は、
前記ハーフブリッジインバータ回路の、前記スイッチング素子の駆動周波数を固定した状態において、前記スイッチング素子のオンデューティ比を固定した状態にする
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。
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