JP6038103B2 - 吸収体の製造方法 - Google Patents
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Description
前記吸収体は、通常、パルプ等のセルロース系吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを予め定めた割合で含有させたウェブをそれぞれ形成し、それらのウェブをさらに開繊して所定の形状に積層、成形することにより形成される。
この特許文献1に記載の技術は、熱可塑性樹脂繊維を定量フィダーに貯留し、該定量フィダーの下端に設けたロールによって、一定の厚さの熱可塑性樹脂繊維のウェブとしながら、フィダードラムで開繊して定量ずつ切り出して、第1の吸収体材料としてパルプ用の開繊機に向けて搬送する。一方、パルプのウェブ(シート)を、該パルプ用の開繊機で開繊して第2の吸収体材料として、前記第1の吸収体材料と混合させた後、これらの第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料を、吸収体成形用のサクションドラムにより吸引し、該サクションドラムの外周面に積層させ、吸収体を成形するようになっている。
前記第2の吸収体材料の場合は、事前に別の場所で形成されてロール状に巻かれたウェブを用いるため、巻き出し速等によって供給量の調整を比較的容易に行うことができる。
しかしながら、前記第1の吸収体材料については、前記熱可塑性樹脂繊維のウェブが、様々な工程を経て形成されている関係上、供給量の調整が容易ではない。即ち、前記熱可塑性樹脂繊維のウェブについては、開繊前のウェブの厚さ方向の坪量を、該ウェブの長さ方向にわたって一定に保つ必要があり、この坪量の調整がうまくいかなければ、第2の吸収体材料に対する第1の吸収体材料の混合比率が予め定めた割合とならない。
即ち、前記特許文献1のような製造方法の場合、通常、前記定量フィダーから前記フィダーロールにウェブを供給するに際しては、一定の坪量のウェブがフィダーロールに送られるように、前記定量フィダー内に貯留される熱可塑性樹脂繊維の貯留速度や、該定量フィダーからフィダーロールに送られるウェブの速度等が事前に定められている。
したがって、仮に吸収体の製造量を増加させるために、第1の吸収体材料の供給量を増やすべく、仮に定量フィダーからフィダーロールに送られるウェブの速度を変更したとしても、そのウェブについては坪量が変わってしまい、成形される吸収体中の第1の吸収体材料の混合比率が、当初予定した割合と異なってしまうという問題がある。
(1)第1の繊維群からなり、長さ方向に連続し且つ予め定めた幅及び厚さを有する第1のウェブを形成する工程と、前記第1のウェブを開繊する開繊工程と、前記開繊工程において第1のウェブを開繊することにより形成された第1の吸収体材料、及び前記第1の繊維群とは異なる第2の繊維群からなる第2のウェブを開繊することにより形成された第2の吸収体材料を相互に混合した状態で積層させ、予め定めた成形速度で吸収性物品用の吸収体の成形を行う成形工程とを有する、吸収体の製造方法であって、前記第1のウェブを形成する工程は、前記第1の繊維群の繊維を搬送して、該繊維を積繊用の収容空間内において積繊することにより、予め定めた積繊速度で、長さ方向及び幅方向、厚さ方向を有する積繊体を形成する積繊工程と、前記積繊体の前記厚さ方向の坪量を、前記収容空間内において、予め定めた速度で予め定めた大きさに均一化する均一化工程と、前記均一化工程において前記厚さ方向の坪量を均一化させた積繊体を、該積繊体の前記厚さ方向を厚さ方向とした、前記予め定めた幅及び厚さを有する前記第1のウェブとして前記収容空間から連続的に導出し、前記開繊工程に向けて予め定めた搬送速度で搬送するウェブ搬送工程とを有し、前記ウェブ搬送工程は、前記成形工程の成形速度の増減に追随して、前記第1のウェブの搬送速度を増減すると共に、前記積繊工程は、前記ウェブ搬送工程における第1のウェブの搬送速度の増減に追随して、前記第1の繊維群の繊維の積繊速度を増減し、前記均一化工程は、前記積繊工程における前記積繊体の積繊速度の増減に追随するように、該積繊体に対する均一化の速度を増減する、吸収体の製造方法。
(4)前記均一化工程は、前記収容空間内において前記積繊体の前記厚さ方向に向けて予め定めた速度で繰り返し加圧しながら該収容空間内を下降させることにより、予め定めた坪量に均一化すると共に、前記積繊工程において前記収容空間内の前記積繊体の長さが一定になるように、該積繊体を繰り返し加圧する速度を増減してその積繊体の下降速度を増減する、前記(3)に記載の吸収体の製造方法。
(5)前記均一化工程は、前記積繊体を繰り返し加圧する速度を連続的に増減することにより、該積繊体の下降速度を連続的に増減する、前記(4)に記載の吸収体の製造方法。
(6)前記積繊工程は、センサによって前記収容空間内の前記積繊体の上下方向長さを監視する、前記(4)又は(5)に記載の吸収体の製造方法。
これにより、吸収体の製造量の増減を行うに際して、吸収体の成形速度を増減させたとしても、第1のウェブの坪量を一定に保った状態で、該第1のウェブを開繊工程に搬送することができる。したがって、吸収体を構成する繊維の混合割合を所望の割合に安定的且つ確実にコントロールすることができるため、予定していた吸収体として性能を安定的に得ることが可能である。
図1〜図3は、本発明に係る吸収体の製造方法を実施するための製造装置の一実施形態を示すもので、この実施形態においては、セルロース系吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む複数の繊維を予め定めた割合で混合した吸収体を製造する構成となっている。
さらに、第1の開繊装置3により開繊された第1の吸収体材料13と、第2の開繊装置4により開繊された第2の吸収体材料14とを内部に流入させて、上流側から下流側に向かって流れるエアによってこれらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14をエア搬送する搬送管5を有している。また、搬送管5の最下流の位置に配設されて、搬送管5の上流側から搬送された第1の吸収体材料13と第2の吸収体材料14とを積層させて吸収体を成形する成形装置6を備えている。
また、本発明において使用されるセルロース系吸水性繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿等の非木材パルプが挙げられるが、工業的に安価に得られ且つ安全性が高いクラフトパルプが好ましい。
この第1の開繊装置3は、水平方向に延びる回転軸31と、この回転軸31の軸線回りに回転自在に設けられた略円柱状の開繊シリンダ33、及び開繊シリンダ33の外周側に配設されてその開繊シリンダ33と共に回転する複数の開繊用の刃34とを備えた回転刃部32とを有している。
なお、図1中の符号36〜40は、回転刃部32の外周面に沿うように設けられて、回転刃部32と共に第1のウェブ11の開繊を行うウォーカロールである。
さらに、このケーシング部材35自体は、内部が気密に形成されている訳ではなく、開繊した繊維が搬送管5以外に漏れ出ることを防ぎ、且つ安全のために回転刃部32やウォーカロール36〜40を直接的に触れることができないようにする程度のもので、外気をケーシング部材35内、延いては第1の開繊装置3内に自由に流通させることができるようになっている。
この第2の開繊装置4は、第1の開繊装置3の回転軸31と同じ方向に水平に延びる回転軸41と、この回転軸41の軸線回りに回転自在に設けられた略円柱状の開繊シリンダ43、及び開繊シリンダ43の外周側に配設されてその開繊シリンダ43と共に回転する複数の開繊用の刃44とを備えた回転刃部42とを備えている。
さらに、このケーシング部材45は、装入口45aを除き、第2の開繊装置4が搬送管5と連結される位置まで、回転刃部42の外周面、さらには回転刃部42の幅方向(軸線方向)の両端側を気密に覆っていて、ケーシング部材45の内部と搬送管5との内部とが気密に連通した状態となっている。
この搬送管5は、最上流側に第1の開繊装置3、より具体的には、第1の開繊装置3のケーシング部材35が気密に連結され、この搬送管5における、第1の開繊装置3よりも下流側に第2の開繊装置4、より具体的には、第2の開繊装置4のケーシング部材45が気密に連結されている。
さらに、搬送管5は、この第1の混合空間部52よりも下流に、上流側の直近部分の流通面積よりも小さい第2の絞り部53と、第2の絞り部53の下流側に連結され、且つその第2の絞り部53よりも流通面積が大きく形成された、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を第2の絞り部53の部分との圧力差を利用して混合させる第2の混合空間部54とを備えている。
したがって、搬送管5は、これらの第1の絞り部51、第1の混合空間部52、さらに第2の絞り部53、第2の混合空間部54を通して、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を混合させながら、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を成形装置6に供給する構成となっている。
また、カバー部材63の内部には、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14とは別の第3の吸収体材料16を供給する供給装置63aが設けられている。本発明における第3の吸収性材料としては、高吸水性材料として、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性材料を用いることができ、特に吸水性に優れた、例えば高吸水性樹脂(Super absorbent Polymer:SAP)等の吸水性ポリマーを用いることが好ましい。なお、供給装置63aとしては、第2の混合空間部54内に第3の吸収体材料16をノズル等によって噴射する構成を用いることができる。
さらに、この実施形態においては、サクションドラム62は、このサクションドラム62の外周面における幅方向の中央部分が、その外周面の周方向に延びる溝状に形成されている。そして、サクションドラム62の内方側から吸引力を加えることにより、外周面の幅方向の中央部分に第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を吸着させて予め定めた厚さや坪量まで積層させることが可能となっている。これにより、単一の吸収性物品に用いられる単一の吸収体が、長さ方向に連続的に連なった吸収体連続体7が形成されるようになっている。
図1に示すものの場合、サクションドラム62の外周面に吸収体連続体7は、このサクションドラム62の下方側に配設された、生理用ナプキンや紙オムツ等の製品の製造工程のライン上を流れている液透過性の不織布等により形成されたキャリアシート64の上面に、接着剤を介して載置され、次工程に搬送される。そして、吸収体連続体7は、後工程において、キャリアシート64と共に所定の長さや形状を有した単一の吸収体にカットされることとなる。
また、本発明においては、吸収体連続体(吸収体)の厚さについては、特に制限はなく、用途によって任意に設定可能であるが、一般的には約0.1〜約15mm程度、好ましくは約1〜約10mm程度、より好ましくは約2〜約5mmの厚さとすることができる。
また、収容空間23内の積繊体15の厚さ方向の坪量を均一化する均一化装置24と、坪量を均一化させた積繊体15を予め定めた幅及び厚さの第1のウェブ11として収容空間23の外部に連続的に導出させる導出装置25を有している。
さらに、導出装置25から導出された第1のウェブ11を第1の開繊装置3に向けて予め定めた搬送速度で搬送するウェブ搬送装置26を備えている。
繊維搬送装置22は、この実施形態においては、第1の開繊機3の方向に一定角度傾斜した斜め上方に向けて繊維8を搬送する構成となっていて、上方及び下方に設けられた一対のローラ22a,22bと、これらの一対のローラ22a,22bに架け渡された、表面に繊維8を引っかけるピン22dを有する無端ベルト22cとを備えたコンベア装置(いわゆるスパイクドラチス)となっている。この繊維搬送装置22は、繊維8の搬送速度を、搬送を停止させることなく連続的に増減させることが可能となっていて、必要に応じて予め定めた搬送速度に自在に変更することができるようになっている。
なお、ピン22dは、無端ベルト22cの外周面に、その設置面に対してほぼ垂直な方向に突出した状態に配設されていて、無端ベルト22cにおいて上方向けに移動する部分については繊維8を引っかけ易く、無端ベルト21cにおいて下方向けに移動する部分については繊維8を離脱させ易くなっている。
なお、図中の符号22eは、無端ベルト21cのピン22dに引っかけて上方に搬送している繊維8の量を調整する調整用ロール(いわゆるイブナーロール)であり、必要以上の量が上方に搬送されている場合には、このロール22eによりはたき落すことが可能である。また図1中の符号22fは、無端ベルト22dのピン22dに引っかかっている繊維8を効率よく離脱させて、落下を促進させるロール(いわゆるビーターロール)である。
この収容空間23は、水平方向の断面が略矩形状となっていて、形成される第1のウェブ11を幅と同じ幅(この実施形態の場合、図中の紙面方向(奥行方向)の大きさ)を有していて、第1のウェブ11と同じ幅の積繊体15を形成するようになっている。
また、この収容空間23の四方の周壁のうち、積繊体15の厚さ方向に位置する一対の周壁23a,23bのうちの一方の周壁23aは、均一化装置24の一部を構成するもので、相対する側に位置する周壁23bに近づき、また離れる方向に移動することが可能となっている。
この実施形態においては、積繊体15の幅方向の高さを監視するようになっている。
このセンサ27としては、収容空間23内の積繊体15の上下方向長さを監視できればどのような構成のものを用いてもよいが、レーザセンサであることが好ましい。
図2及び図3に示すように、この均一化装置24は、周壁23aの上端部をその周壁23aが、周壁23b方向に揺動自在となるように保持されていて、周壁23aの下方側に連結された揺動装置24aによって、周壁23aの上端部を中心として、その周壁23aが一定の範囲内において周壁23bに近づき、また離れる方向に揺動する構成となっている。そして、周壁23aが周壁23bに近づけた際に積繊体15を加圧してその積繊体15の坪量の均一化を行うことが可能となっている。
一方で、後述のように、積繊体15は導出装置25によって第1のウェブ11として収容空間23から常時導出されている関係で、周壁23aを周壁23bから離れる方向に移動させた場合には積繊体15への加圧が緩んで、積繊体15における上方側に位置する部分が、収容空間23から導出された分だけ下方に移動(下降)することとなる。
また、この均一化装置24は、収容空間23内の積繊体15における単位当たり長さに対して、ほぼ一定の回数だけ繰り返し加圧することができるようになっている。したがって、積繊体15の長さ方向(収容空間23の上下方向)への移動速度を増加させる場合には、周壁23aの揺動速度を増加させて、積繊体15の単位当たり長さ加圧の回数を一定に保ちながら、移動速度を増加させることが可能となっている。一方で、積繊体15の長さ方向への移動速度を減少させる場合には、周壁23aの揺動速度を減少させて、積繊体15の長さ方向の単位長さ当たりの加圧回数を一定に保ちながら、移動速度を減少させることが可能となっている。
したがって、収容空間23内の積繊体15は、この導出装置25により第1のウェブ11として下方から常時導出されることとなる。ここで、第1のウェブ11の厚さ方向及び幅方向は、収容空間23内の積繊体15の厚さ方向及び幅方向と一致した状態で導出される。
また、この導出装置25は、ウェブ搬送装置26の第1のウェブ11の搬送速度に連動して駆動するようになっていて、ウェブ搬送装置26の第1のウェブ11の搬送速度が増減した場合には、その搬送速度に応じて、積繊体15(第1のウェブ11)の導出速度も同期して増減するようになっている。
この実施形態においては、導出装置25は、一対のロール部材25a,25bにより構成されていて、これらの一対のロール部材25a,25bの間のギャップによって積繊体15の厚さが予め定められた大きさの範囲に調整されながら、第1のウェブ11として導出される構成となっている。
この実施形態においては、ウェブ搬送装置26は、略水平方向に配設された一対のロール26a,26bと、これらの一対のロール26a,26bに架け渡された無端ベルト26cとを備えたコンベア装置となっていて、無端ベルト26cにおける上方に位置する部分の上面に第1のウェブ11が載せられ、第1の開繊装置3に向けて搬送される。
この実施形態の製造方法は、基本的に、第1のウェブ11を形成する工程と、第1のウェブ11を開繊する開繊工程と、開繊工程において第1のウェブ11の開繊することにより形成された第1の吸収体材料13、及び第2のウェブ12を開繊することにより形成された第2の吸収体材料14を相互に混合した状態で積層させる成形工程とを含んでいる。
この第1のウェブを形成する工程は、積繊用の収容空間23内に第1の繊維群8を積繊して積繊体15を形成する積繊工程と、積繊体15の坪量を均一化する均一化工程と、均一化した積繊体15を第1のウェブ11として導出して第1の開繊装置3に搬送するウェブ搬送工程とを有している。
具体的に、この積繊工程では、貯留空間21内の繊維8を、繊維搬送装置22によって、予め定めた搬送速度で上方に搬送して、上下方向に長く形成された収容空間23内に向けて上方から順次落下させることにより、収容空間23内に繊維8を積繊し、上下方向に長く、且つ予め定めた幅(第1のウェブ11と同幅)の積繊体15を形成する。
このとき、収容空間23内の積繊体15は、センサ27により積繊高さ、延いては上下方向長さが監視され、必要以上の長さになった場合には、センサ27は上位の制御装置にその旨を出力し、上位の制御装置は繊維搬送装置22による繊維8の搬送速度を調整して、繊維8の収容空間23への供給量を調整する。
この均一化工程は、均一化装置24により行い、収容空間23の周壁23aを揺動して、繰り返し加圧して積繊体15を厚さ方向に順次圧縮することにより行う。
これにより、ウェブ搬送工程により導出する積繊体15の速さに応じて、収容空間23内の積繊体15の下降速度を調整しながら、積繊体15の坪量の均一化も、収容空間23から導出されるまでに確実且つ安定的に行うことができるようにしている。
この実施形態においては、均一化装置24による周壁23aの揺動速度を増加させることにより、周壁23aと周壁23bとの間で拘束される時間が実質的に短くなるため、積繊体15の収容空間23からの導出速度にもよるが、収容空間23内を下降する積繊体15の下降速度は増加する。逆に、均一化装置24による周壁23aの揺動速度を減少させることにより、周壁23aと周壁23bとの間で拘束される時間が実質的に長くなるため、収容空間23内の積繊体15の下降速度は減少する。しかしながら、積繊体15の長さ方向の単位長さに対する加圧回数は、下降速度にかかわらず、ほぼ一定であり、これにより、収容空間23の積繊体15については、下降してから導出されるまで常時一定の回数だけ加圧が繰り返されて圧縮される。したがって、積繊体15は、収容空間23の下端において外部に導出される前には、予め定めた坪量に均一化されることとなる。
なお、この導出装置25によって導出されてこのウェブ搬送工程により搬送される第1のウェブ11の厚さは、厚さ方向の坪量が均一であれば、第1の開繊機3における開繊に支障がない範囲内において、若干のばらつきがあってよい。したがって、第1のウェブ11の上面や下面は必ずしも平坦な面でなくてもよい。
また、この実施形態では、測定装置26dによって、搬送している第1のウェブ11の搬送方向の単位長さあたりの質量を常時測定していて、この測定結果を上位の制御装置に出力していて、その制御装置は測定結果に基づいて第1のウェブ11の坪量が予め定めた大きさであるか否かを判断している。このとき、必要に応じて、積繊体15の坪量調整のために、均一化装置24における周壁23aの揺動量等を調整するようにしてもよい。
即ち、まず、ウェブ搬送工程は、成形工程の成形速度の増減に追随して、前記第1のウェブ11の搬送速度を増減する。
具体的には、ウェブ搬送工程においては、成形工程における成形速度が増加した場合には、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度は増加し、成形工程における成形速度が減少した場合には、第1のウェブ11の搬送速度は減少する。
具体的には、この実施形態の積繊工程においては、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度が増加した場合には、繊維搬送装置22による繊維8の搬送速度を増加して、繊維8が収容空間23内に落下、積繊する速度(即ち、実質的には単位時間当たりの積繊量)を増加させて、実質的に収容空間23内に形成される積繊体15の形成速度を増加させる。なお、この場合においては、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度の増加に伴って、収容空間23から導出される積繊体15の単位時間当たりの長さも増加しているため、積繊体15の形成速度が増加しても、収容空間23内の積繊体15の長さはほぼ一定に保たれる。
逆に、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度が減少した場合には、繊維搬送装置22による繊維8の搬送速度を減少して、繊維8が収容空間23内に積繊する速度を減少させて、実質的に収容空間23内に形成される積繊体15の形成速度を減少させる。なお、この場合であっても、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度の低下に伴って、収容空間23から導出される積繊体15の単位時間当たりの長さも減少しているため、積繊体15の形成速度が減少しても、収容空間23内の積繊体15の長さはほぼ一定に保たれる。
これにより、収容空間24内への積繊速度を増減する場合であっても、収容空間24への繊維8の積繊を止めることなく、また積繊速度の増加と減少とをスムーズに行うことができるため、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度に応じた積繊速度で、所定の長さの積繊体15を収容空間24内に安定的に形成することができる。
具体的には、均一化装置24における収容空間23の周壁23aの揺動速度を増減して、積繊体15に対して繰り返し加圧する速度を増減する。即ち、積繊工程において積繊体15の積繊速度が増加した場合には、均一化装置24における収容空間23の周壁23aの揺動速度は増加して、単位時間当たりの加圧回数が増加する。なお、この際、ウェブ搬送工程の搬送速度の増加に伴って、収容空間23からの導出される積繊体15の単位時間当たりの長さが増加しているため、収容空間23内の積繊体15の下降速度も増加していることから、積繊体15の長さ方向の単位長さあたりの加圧回数は、積繊体15の均一化の速度増加前とほとんど変わらない。
逆に、積繊工程において積繊体15の積繊速度が減少した場合には、均一化装置24における収容空間23の周壁23aの揺動速度は減少して、単位時間当たりの加圧回数が減少する。なお、この際、ウェブ搬送工程の搬送速度の増加に伴って、収容空間23から導出される積繊体15の単位時間当たりの長さは減少しているため、収容空間23内の積繊体15の下降速度も減少していることから、この場合であっても積繊体15の長さ方向の単位長さあたりの加圧回数は、積繊体15の均一化の速度減少前とほとんど変わらない。
これにより、積繊体15の坪量の均一化の速度を増減する際であっても、坪量の均一化を滞らせることなく、また、坪量を変化させることなく、均一化の速度の増減にスムーズに対応しながら、予め定めた坪量の第1のウェブ11を常時安定的に形成することができる。
即ち、例えば、成形工程における吸収体の成形速度が増加した場合には、吸収体を構成する第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料の成形工程への供給速度を増加させる必要があるが、第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料の混合割合が変化すると、吸収体が所望の性能を確保できない可能性がある。
特に、熱可塑性樹脂繊維を含む第1の繊維からなる第1のウェブについては、第1の開繊装置による開繊工程の直前に形成するのが通常であるが、第1のウエブの形成工程において、単に第1のウェブの第1の開繊装置への搬送速度を増加させただけでは、開繊工程に搬送される第1のウェブの坪量を、搬送速度の増加前後において一定に維持することは難しい。また、成形工程における吸収体の成形速度が減少した場合であっても同様であり、単に第1のウェブの第1の開繊装置への搬送速度を減少させただけでは、開繊工程に搬送される第1のウェブの坪量を、搬送速度の増加前後において一定に維持することは難しい。
これにより、第1のウェブを形成する工程中の、ウェブ搬送工程、積繊工程、均一化工程が連動して、開繊工程に搬送する第1のウェブの坪量が、成形工程の成形速度の増減に関わらず予め定めた大きさに安定的に維持することができる。したがって、第1の吸収体材料13として成形工程において成形される吸収体に、第2の吸収体材料14との関係で、予め定めた混合割合で安定的且つ確実に混合することができ、吸収体の所望の性能を安定的に確保することができる。
この開繊工程は、第1の開繊装置3において行い、第1のウェブを形成する工程において形成された第1のウェブ11を、長さ方向に向けて装入口35aから第1の開繊装置3内に順次装入し、その第1のウェブ11を回転刃部32やウォーカロール36〜40によりその第1のウェブ11の開繊を行う。この開繊工程により形成された第1の吸収体材料13は、回転刃部32の遠心力や、搬送管5の上流から下流に向けてのエアの流れによって、搬送管5内に供給されることとなる。
具体的に、この成形工程は、第1の吸収体材料13と、第2のウェブ12を開繊することにより形成した第2の吸収体材料14とを混合した後、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を、成形装置6のサクションドラム62の外周面に吸引、積層させて、一定の幅を有し且つ長さ方向に連続する吸収体連続体7を形成する。
なお、第2のウェブ12の開繊は、第2の開繊装置4によって行い、この実施形態に場合、第2のウェブ12を、装入口35aを通じて第2の開繊装置4内に装入させ、その第2のウェブ12を回転刃部42によって開繊することにより行う。また、第2のウェブ12が第2の開繊装置4に開繊されることにより形成された第2の吸収体材料14は、回転刃部42の遠心力や、搬送管5の上流から下流に向けてのエアの流れによって、搬送路5内に供給されることとなる。
さらに、搬送管5における第1の混合空間部52よりも下流に設けられた第2の絞り部53との圧力差を利用して、第2の混合空間部54において、第2の絞り部53を通過した第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を再度拡散させることにより、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14をさらに混合する。
これにより、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14が、均一且つバランスよく混合した状態で、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を成形装置6のサクションドラム61の外周面に吸引させることができ、所望の性能を有する吸収体(この場合は吸収体連続体7)を安定的に且つ確実に形成することができる。
さらには、積繊工程における繊維8の積繊速度の増減に追随し、均一化工程における積繊体15の坪量の均一化速度が増減する。
これにより、吸収体連続体7の成形速度の増減に伴って、第1のウェブを形成する工程中の、ウェブ搬送工程、積繊工程、均一化工程がそれぞれ連動して機能し、厚さ方向の坪量が予め定めたほぼ一定の大きさの第1のウェブ11を安定的に形成して、開繊工程に搬送することができる。
したがって、吸収体連続体7を構成する繊維の混合割合を所望の割合に安定的且つ確実にコントロールすることができるため、最終的には、予定していた吸収体として性能を安定的に得ることが可能である。
しかしながら、製造装置の設置スペースについて、平面視において十分なスペースが確保できるようであれば、積繊工程は、必ずしも上方に搬送して、上下方向に長く形成された収容空間内に向けて落下させることによって積繊体を形成しなくてもよい。
さらに、前記実施形態においては、成形工程においては、複数の吸収体が長さ方向に連続的に連なった長尺の吸収体連続体7を形成する構成となっていたが、成形工程では、単一の吸収性物品に使用する単一の吸収体を成形してもよい。
2 ウェブ形成装置
3 第1の開繊装置
4 第2の開繊装置
5 成形装置
7 吸収体連続体
8 第1の繊維群の繊維
11 第1のウェブ
12 第2のウェブ
15 積繊体
21 貯留空間
22 繊維搬送装置
23 収容空間
24 均一化装置
26 ウェブ搬送装置
Claims (6)
- 第1の繊維群からなり、長さ方向に連続し且つ予め定めた幅及び厚さを有する第1のウェブを形成する工程と、前記第1のウェブを開繊する開繊工程と、前記開繊工程において第1のウェブを開繊することにより形成された第1の吸収体材料、及び前記第1の繊維群とは異なる第2の繊維群からなる第2のウェブを開繊することにより形成された第2の吸収体材料を相互に混合した状態で積層させ、予め定めた成形速度で吸収性物品用の吸収体の成形を行う成形工程とを有する、吸収体の製造方法であって、
前記第1のウェブを形成する工程は、
前記第1の繊維群の繊維を搬送して、該繊維を積繊用の収容空間内において積繊することにより、予め定めた積繊速度で、長さ方向及び幅方向、厚さ方向を有する積繊体を形成する積繊工程と、
前記積繊体の前記厚さ方向の坪量を、前記収容空間内において、予め定めた速度で予め定めた大きさに均一化する均一化工程と、
前記均一化工程において前記厚さ方向の坪量を均一化させた積繊体を、該積繊体の前記厚さ方向を厚さ方向とした、前記予め定めた幅及び厚さを有する前記第1のウェブとして前記収容空間から連続的に導出し、前記開繊工程に向けて予め定めた搬送速度で搬送するウェブ搬送工程とを有し、
前記ウェブ搬送工程は、前記成形工程の成形速度の増減に追随して、前記第1のウェブの搬送速度を増減すると共に、前記積繊工程は、前記ウェブ搬送工程における第1のウェブの搬送速度の増減に追随して、前記第1の繊維群の繊維の積繊速度を増減し、前記均一化工程は、前記積繊工程における前記積繊体の積繊速度の増減に追随するように、該積繊体に対する均一化の速度を増減し、
前記均一化工程は、前記収容空間内において前記積繊体の前記厚さ方向に向けて予め定めた速度で繰り返し加圧しながら該収容空間内を下降させることにより、予め定めた坪量に均一化すると共に、前記積繊工程において前記収容空間内の前記積繊体の長さが一定になるように、該積繊体を繰り返し加圧する速度を増減してその積繊体の下降速度を増減する、吸収体の製造方法。 - 前記ウェブ搬送工程は、搬送している第1のウェブの搬送方向の単位長さあたりの質量を測定する、請求項1に記載の吸収体の製造方法。
- 前記積繊工程は、前記第1の繊維群の繊維を、予め定めた搬送速度で上方に搬送して、上下方向に長く形成された前記収容空間内に向けて落下させ、上下方向に長い前記積繊体を形成する、請求項1又は請求項2に記載の吸収体の製造方法。
- 前記均一化工程は、前記積繊体を繰り返し加圧する速度を連続的に増減することにより、該積繊体の下降速度を連続的に増減する、請求項3に記載の吸収体の製造方法。
- 前記積繊工程は、センサによって前記収容空間内の前記積繊体の上下方向長さを監視する、請求項3又は請求項4に記載の吸収体の製造方法。
- 前記積繊工程は、前記繊維の搬送速度を連続的に増減することにより前記積繊速度を連続的に増減する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収体の製造方法。
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