JP6037319B1 - 縦型濾過濃縮装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】下水汚泥のような被処理液を連続して濾過濃縮する場合でも、固形分による濾過スクリーンの目詰まりを長期に亙って防いで効率的な濃縮濾過性を維持する。【解決手段】縦方向に延びる中心軸線Oを有して内部に被処理液Aが供給される円筒状の濾過スクリーン2と、この濾過スクリーン2の内部に収容されて中心軸線O回りに回転させられるスクリュー3と、濾過スクリーン2の少なくとも外周部および底部を覆うように設けられて濾過スクリーン2との間に被処理液Aから濾過された濾液Bを保持する濾液空間Sを形成する濾過容器4とを備え、スクリュー3の外周部には、このスクリュー3の外周側に付勢されて濾過スクリーン2の内周面に摺接可能とされた複数の掻き取りチップ11が取り付けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、下水汚泥のような被処理液を濾過濃縮するための縦型濾過濃縮装置に関するものである。
このような縦型濾過濃縮装置として、例えば特許文献1、2には、円筒状の濾過スクリーンが、その中心軸線を略鉛直方向に向けて処理タンク内に設置されるとともに、この濾過スクリーンの内部には、回転駆動されるスクリューが、濾過スクリーンの内周面に接近して旋回するように配置されたものが提案されている。このような縦型濾過濃縮装置においては、濾過スクリーンが被処理液と被処理液から濾過されて濾過容器内の濾液空間に保持された濾液に浸漬されるので、濾過面積を広く確保することができて効率的な濃縮濾過を行うことができる。
特開平9−75613号公報 特開2005−125138号公報
ところで、このような縦型濾過濃縮装置により被処理液として例えば上述のような下水汚泥を濾過濃縮する場合、特に連続して濾過濃縮運転を行うときには、濾過された固形分が濾過スクリーンの内周面に付着して目詰まりを起こし、濾過効率を低下させるとともにスクリューへの抵抗が増大してスクリューを回転駆動することができなくなり、運転不能に陥るおそれがある。
この点、特許文献1に記載された縦型濾過濃縮装置では、スクリューの外周部に突起部を形成して、この突起部に被処理液中の繊維などを付着堆積させることにより、この付着堆積した繊維によってブラシのように濾過スクリーンの内周面を擦って固形分を除去するようにしている。また、特許文献2に記載された縦型濾過濃縮装置では、スクリューの外周部にブラシそのものを取り付けて固形分を除去するようにしている。
しかしながら、このようなブラシや、ブラシのように突起部に付着堆積した繊維には、さらに被処理液中の繊維が絡まって堆積することになり、こうしてさらに絡まった繊維によってやはりスクリューへの抵抗が増大してしまうため、スクリューを回転駆動することができなくなって運転不能に陥ることが避けられない。また、このようなブラシや、被処理液中の繊維によってブラシを形成する突起部に代えて、例えばスクリューの外周部に固形分掻き取り用のチップやスクレーパを固定したとしても、固形分や濾過スクリーンとの接触によって短期間で摩耗を生じ、掻き取り能力が失われて目詰まりを防ぐことができなくなってしまう。
本発明は、このような背景の下になされたもので、下水汚泥のような被処理液を連続して濾過濃縮する場合でも、固形分による濾過スクリーンの目詰まりを長期に亙って防いで効率的な濃縮濾過性を維持することが可能な縦型濾過濃縮装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、縦方向に延びる中心軸線を有して内部に被処理液が供給される円筒状の濾過スクリーンと、この濾過スクリーンの内部に収容されて上記中心軸線回りに回転させられるスクリューと、上記濾過スクリーンの少なくとも外周部および底部を覆うように設けられて該濾過スクリーンとの間に上記被処理液から濾過された濾液を保持する濾液空間を形成する濾過容器とを備え、上記スクリューの外周部には、該スクリューの外周部におけるスクリュー羽根の外周縁に長方形板状の取付座が接合され、この取付座と、長方形板状の押さえ板との間に挟み込まれるようにして複数の掻き取りチップがスクリューの内外周に進退可能に取り付けられて弾性を有する部材により上記濾過スクリーンの内周面に摺接可能とされていることを特徴とする。
従って、このような縦型濾過濃縮装置では、スクリューの外周部に取り付けられる複数の掻き取りチップが、上述のようにスクリューに固定されているのではなく、スクリュー羽根の外周縁に接合された長方形板状の取付座と、長方形板状の押さえ板との間に挟み込まれるようにしてスクリューの内外周に進退可能に取り付けられ、弾性を有する部材によって濾過スクリーンの内周面に摺接可能とされているので、濾過スクリーンの内周面に付着した固形分を掻き取りチップに与えられる弾性力によって掻き取ることができる。しかも、こうして濾過スクリーンの内周面に掻き取りチップを摺接させて固形分を掻き取るので、被処理液中の繊維が付着堆積したり絡まったりすることもない。
さらに、掻き取りチップに摩耗が生じても、掻き取りチップに与えられる上記弾性力によって掻き取りチップが濾過スクリーンの内周面に追従させて摺接した状態を維持することができる。このため、長期に亙って連続運転しても確実に固形分の除去を図ることができ、濾過スクリーンの目詰まりによる濾過効率の低下やスクリューの抵抗増大を防ぐことができる。
ここで、上記掻き取りチップを上記濾過スクリーンの内周面に摺接させる弾性を有する部材としては、金属製のコイルバネ等を用いることも可能ではあるが、濾過スクリーンとともにスクリューが被処理液と濾液に浸漬される縦型濾過濃縮装置では、金属製の部材を用いると錆等の腐食が生じるおそれがあるので、例えばゴムチューブ等の弾性を有する樹脂材料により形成された管状部材を用いることが望ましい。また、掻き取りチップの上記濾過スクリーンの内周面に摺接する部分の上記中心軸線方向に沿った断面を方形に形成すれば、掻き取りチップに摩耗が生じても濾過スクリーンの内周面との摺接状態は一定に維持することができる。
以上説明したように、本発明によれば、長期に亙る連続運転でも濾過スクリーンの内周面に付着した固形分を確実に除去して目詰まりを防止することができ、高い濾過効率を維持するとともにスクリューの回転駆動力を軽減し、安定した被処理液の濾過濃縮を図ることができる。
本発明の一実施形態を示す側断面図である。 図1に示す実施形態のスクリューを斜め上側から見た斜視図である。 図1に示す実施形態のスクリューを斜め下側から見た斜視図である。 図1に示す実施形態のスクリューの外周部を、(a)スクリューの螺旋に沿って見た側面図、(b)下側から見た部分底面図である。 (a)掻き取りチップが付勢されていない状態の図4(b)におけるZZ拡大断面図、(b)掻き取りチップが付勢された状態の図4(b)におけるZZ拡大断面図である。
図1ないし図5は、本発明の一実施形態を示すものである。なお、本実施形態において後述する「付勢部材」とは、上述のように掻き取りチップを濾過スクリーンの内周面に摺接させる弾性を有する部材を言うものとし、「付勢」とは、掻き取りチップがこの付勢部材によってスクリューの外周側に勢い付けられることにより、濾過スクリーンの内周面に摺接可能とされている状態を言うものとする。本実施形態の縦型濾過濃縮装置1は、縦方向に延びる中心軸線Oを有して内部に下水汚泥等の被処理液Aが供給される円筒状の濾過スクリーン2と、この濾過スクリーン2の内部に収容されて上記中心軸線O回りに回転させられるスクリュー3と、濾過スクリーン2の少なくとも外周部および底部を覆うように設けられて濾過スクリーン2との間に被処理液Aから濾過された濾液Bを保持する濾液空間Sを形成する濾過容器4とを備えている。
濾過スクリーン2は、パンチングメタルやウェッジワイヤ等の濾過材により形成されていて、被処理液A中の液分である濾液Bは通過可能とされるとともに、被処理液A中のある程度の大きさの固形分は通過不可能とされている。また、スクリュー3においては、中心軸線Oに沿って延びる回転軸3Aの外周に螺旋状のスクリュー羽根3Bが取り付けられており、このスクリュー羽根3Bの外径は濾過スクリーン2の内径よりも僅かに小さくされている。
さらに、濾過容器4は、上記中心軸線Oを中心とした内接円の内径が濾過スクリーン2の外径よりも長い断面正方形等の有底の角筒状、または内径が濾過スクリーン2の外径よりも大きな有底の中心軸線Oを中心とした円筒状をなしていて、濾過スクリーン2の外周部と底部を覆い、この濾過容器4の内周面と濾過スクリーン2の外周面との間に上記濾液空間Sが形成される。これら濾過スクリーン2やスクリュー3、濾過容器4を始め、縦型濾過濃縮装置1の主な構成部材はステンレス鋼等の鋼材により形成されている。
なお、濾過容器4の底部は、本実施形態では濾液空間Sの底に位置する部分が中心軸線Oに垂直な平面上に延びる円環状とされる一方、濾過スクリーン2内の底部を覆う中央部4Aは下方に突出して中心軸線Oを中心とした凹円錐状の漏斗形に形成されており、内周側に向かうに従い下方に向かうように傾斜が付けられている。さらに、この中央部4Aの傾斜した部分には、被処理液Aから濾過スクリーン2によって濾液Bが濾過されて濃縮された濃縮汚泥等の固形分濃度の高い濃縮液Cの排出管4Bが接続されている。
また、濾過容器4の上部には、濾過スクリーン2の外径よりも僅かに大きな内径の中心軸線Oを中心とした円形孔5Aを有する水平な板状の隔壁5を介して、濾過容器4と同形同大の断面を有する筒状のケーシング6がシールされて設けられており、濾過スクリーン2も、その上下の端部が隔壁5の上記円形孔5Aと濾過容器4の底面にそれぞれシールされた状態で、濾過容器4内に中心軸線O回りに回転可能に支持されている。さらにまた、このケーシング6の胴周部の中心軸線O方向略中央部には、上記被処理液Aの供給管6Aが接続されている。
さらに、ケーシング6の上部は蓋部6Bによって覆われていて、この蓋部6Bには、上記スクリュー3を中心軸線O回りに回転駆動するスクリュー回転手段7と、このスクリュー回転手段7とは独立して濾過スクリーン2を中心軸線O回りに回転駆動するスクリーン回転手段8とが備えられている。このうち、スクリュー回転手段7は、蓋部6B上に設けられたモータや減速器等を備えた駆動装置7Aを有しており、この駆動装置7Aがスクリュー3の中心軸線Oに沿って延びる回転軸3Aに連結されて、この回転軸3Aの外周に設けられて濾過スクリーン2内に収容された螺旋状のスクリュー羽根3Bごとスクリュー3を中心軸線O回りに回転させる。
また、スクリーン回転手段8は、ケーシング6内に収容されて下端部が濾過スクリーン2の上端部に接続されるとともに上端部外周にはフランジ状の従動歯車が取り付けられた中心軸線Oを中心とする円筒状の連結部材8Aと、この連結部材8Aの上記従動歯車に噛合する駆動歯車を備えたモータ等の駆動装置8Bとを有しており、この駆動装置8Bにより駆動歯車および従動歯車を介して連結部材8Aごと濾過スクリーン2を回転させる。連結部材8Aには、供給管6Aからケーシング6内に供給された被処理液Aを濾過スクリーン2内に導入する窓部8Cが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
一方、濾過スクリーン2と濾過容器4との間の濾液空間Sには、被処理液Aの濾過濃縮時に該濾過空間S内に洗浄液(洗浄水)を供給する洗浄液供給手段9が接続されている。本実施形態における洗浄液供給手段9は、濾過容器4の底面から中心軸線Oに平行に隔壁5の近くにまで延びるように立設された洗浄管であって、1本の洗浄管が濾過スクリーン2の外周面と間隔をあけて設けられていて、図示されない洗浄液(洗浄水)の供給管に接続されるとともに、この洗浄管の濾過スクリーン2に対向する部分には、濾過スクリーン2の外周面に向けて開口する複数(多数)のノズル9Aが中心軸線O方向に間隔をあけて並ぶように設けられている。
また、濾過容器4の上部外周には、濾液空間Sに連通する濾液導入管10Aを介して濾液排出ボックス10が取り付けられている。この濾液排出ボックス10内は、濾液排出ボックス10の底面から上方に延びる高さ調整可能な堰板10Bによって、濾液空間S側の導入室10Cと濾液空間Sの反対側の排出室10Dとの2室に仕切られており、濾液導入管10Aは導入室10Cの底部に接続されるとともに、排出室10Dの底面には濾液排出管10Eが接続されている。
このような本実施形態の縦型濾過濃縮装置1において、被処理液Aは、濾過容器4の上部のケーシング6に接続された上記供給管6Aからケーシング6内に供給され、さらにケーシング6内に収容された連結部材8Aの上記窓部8Cから濾過スクリーン2内に供給されて、濾過スクリーン2内を重力落下およびスクリュー3の回転によって下方に移送されつつ、濾過スクリーン2によって濾液Bが固形分から分離して濾液空間Sに排出される。すなわち、本実施形態におけるスクリュー3の回転方向は、濾過スクリーン2内の被処理液Aを下方に押し下げる方向となる。そして、このように下方に移送された被処理液Aから濾液Bが分離した固形分濃度の高い濃縮液Cは、濾過容器4の底部中央部に接続された上記排出管4Bから抜き出されて排出される。
ここで、上記供給管6Aからケーシング6内を介して濾過スクリーン2内に供給される被処理液Aの液位は、濾過容器4の上端(濾液空間Sの上端)および濾液排出ボックス10内の堰板10Bの上端よりも高くなるように設定されていて、本実施形態ではケーシング6内の連結部材8Aに形成された窓部8Cの下端縁よりも高い位置を維持するように設定されている。従って、濾過スクリーン2の内部は被処理液Aにより、外部の濾液空間Sは濾液Bによりそれぞれ浸漬され、濾液Bは被処理液Aとの液位差による圧力差によって濾過スクリーン2を通過して上述のように濾液空間Sに排出され、次いで濾液導入管10Aを通して濾液排出ボックス10の導入室10Cに導入されて、堰板10Bを乗り越えて排出室10Dにオーバーフローし、濾液排出管10Eから排出される。
このようにして被処理液Aの濾過濃縮を行ううちに、濾過スクリーン2の内周面には、被処理液A中の汚泥等の固形分が付着して目詰まりを生じる。通常の濾過時における被処理液Aと濾液Bとの圧力差は2.5kPa以下であるが、この圧力差が5〜10kPa、あるいはそれ以上となると目詰まりが生じ易くなり、これは例えば15〜50kPa程度のスクリュープレスの圧入圧などと比べて低い。そして、このような目詰まりが生じると、濾過効率が低下するのは勿論、スクリュー3を回転駆動する際の抵抗が増大して、場合によってはスクリュー回転手段7によるスクリュー3の回転駆動が不可能となり、縦型濾過濃縮装置1を運転することができなくなるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、スクリュー3の外周部に、このスクリュー3の外周側に弾性的に付勢されて濾過スクリーン2の内周面に摺接可能とされた複数の掻き取りチップ11が取り付けられている。そして、これらの掻き取りチップ11が、スクリュー3の回転に伴い、上述のように濾過スクリーン2の内周面に付着した固形分を常時掻き取って目詰まりの発生を防止する。
ここで、本実施形態では、図4に示すように、スクリュー3の外周部におけるスクリュー羽根3Bの下面の外周縁に、複数の長方形板状の取付座12が、その長手方向をスクリュー羽根3Bの外周縁がなす螺旋に略沿わせるようにして、この螺旋の捩れ方向に等間隔に接合されている。そして、この取付座12と、取付座12のネジ孔12Aにねじ込まれる取付ボルト13によって装着される長方形板状の押さえ板14との間に挟み込まれるようにして、上記掻き取りチップ11がスクリュー3の内外周に進退可能に取り付けられている。
取付座12には、2つの上記ネジ孔12Aが、取付座12の下面の長手方向両端部にそれぞれ形成されるとともに、押さえ板14の長手方向両端部にも、取付ボルト13のネジ部が挿通可能な大きさの2つの貫通孔14Aが、取付座12の2つのネジ孔12Aの間隔と等間隔にそれぞれ形成されている。また、ネジ孔12Aにねじ込まれる取付ボルト13の取付座12と押さえ板14との間のネジ部外周には、ステンレス鋼等からなる円筒状のバックアップパイプ15が嵌め込まれている。
一方、掻き取りチップ11は、ポリエチレン等の樹脂材料により形成され、図4(a)および図5に示すように断面が長方形状で、図4(b)に示すように平面視には円弧形の板状をなしており、この掻き取りチップ11がなす円弧の外周部の半径は、濾過スクリーン2の内周面の半径と略等しく設定されている。また、この掻き取りチップ11には、上記バックアップパイプ15が挿入可能な幅と、このバックアップパイプ15の直径よりも大きな互いに等しい長さを有する4つの長孔11Aが、それぞれ図4(b)に示す上記円弧の中心角の二等分線Lに平行に延びるように、この円弧が湾曲する方向に間隔をあけて形成されている。
このうち、掻き取りチップ11の中央部の2つの長孔11Aの間隔は、1つの取付座12(図4(b)における中央の取付座12)の2つのネジ孔12Aの間隔と等間隔とされている。また、これら中央部の2つの長孔11Aと、その両外側に形成された長孔11Aとのそれぞれの間隔は、上記1つの取付座12の両端部のネジ孔12Aと、この1つの取付座12の両端部側に隣接する他のそれぞれ1つの取付座12(図4(b)における上下の取付座12)における該1つの取付座12側のネジ孔12Aとの間の、1つの取付座12の上記長手方向の間隔と等しく設定されている。
従って、このような掻き取りチップ11は、上記中央部の2つの長孔11Aを上記1つの取付座12の2つのネジ孔12Aと重ね合わせるとともに、両外側の2つの長孔11Aを上記1つの取付座12の両側の他の1つずつの取付座12の1つの取付座12側のネジ孔12Aに重ね合わせて、これら合計3つの取付座12の下面に配設することができる。なお、この状態で、スクリュー羽根3Bのねじれの方向に隣接する掻き取りチップ11同士の間には、互いの干渉を避けるために小さな間隔があけられており、すなわち掻き取りチップ11は、該掻き取りチップ11がなす円弧の周方向(スクリュー羽根3Bのねじれの方向)に適宜分割されて形成されている。
そして、この状態から、ネジ部を押さえ板14の貫通孔14Aとバックアップパイプ15に挿入した2本の取付ボルト13を各取付座12の2つのネジ孔12Aにねじ込むことにより、掻き取りチップ11は、バックアップパイプ15が長孔11Aに挿入されるとともに取付座12と押さえ板14の間に挟み込まれて、スクリュー3外周部のスクリュー羽根3Bに取り付けられる。このとき、各掻き取りチップ11は、長孔11Aが延びる範囲で上記二等分線L方向にスライドして、上述のようにスクリュー3の内外周に進退可能とされる。
さらに、こうして取り付けられる際に、掻き取りチップ11の長孔11Aのスクリュー3における外周側の内縁部と上記バックアップパイプ15との間には、掻き取りチップ11をこのスクリュー3の外周側に付勢する付勢部材16が介装される。この付勢部材16は、本実施形態では弾性を有する樹脂材料により形成された管状部材であって、例えばゴムチューブである。
このような付勢部材16は、長孔11Aのスクリュー3における内周側の内縁部をバックアップパイプ15に当接させた状態で、管状部材の管の中心線が上記二等分線L方向と直交する方向に向けられて、外周側の内縁部とバックアップパイプ15とに接するように介装される。この状態で、付勢部材16は、図5(a)に示すように弾性変形せずに円管状を維持するか、あるいは僅かに上記二等分線L方向(図5(a)、(b)における左右方向)に潰れた形状となる。
このように付勢部材16が介装された掻き取りチップ11をスクリュー3の内周側に押し込むと、図5(b)に示すように付勢部材16は上記二等分線L方向に短軸を有する断面楕円状または長円状に潰れて、その弾性力により掻き取りチップ11をスクリュー3の外周側に付勢する。従って、スクリュー3を濾過スクリーン2の内部に収容する際には、図5(a)に示した状態でスクリュー3の中心軸線Oから掻き取りチップ11の外周部までの半径が、濾過スクリーン2の中心軸線Oから内周面までの半径よりも例えば2mm程度大きくなるように設定しておいて、掻き取りチップ11をスクリュー3の内周側に押し込みながら収容することにより、図5(b)に示したように掻き取りチップ11が外周側に付勢されて濾過スクリーン2の内周面に摺接した状態とすることができる。
このように構成された縦型濾過濃縮装置1においては、スクリュー3の外周部に取り付けられた複数の掻き取りチップ11が、スクリュー3の外周側に付勢されて濾過スクリーン2の内周面に摺接可能とされているので、この濾過スクリーン2の内周面に被処理液A中の固形分が付着しても、これを掻き取りチップ11によって常時掻き取って除去することができ、濾過スクリーン2に目詰まりが生じるのを防ぐことができる。また、このように濾過スクリーン2に摺接する掻き取りチップ11によって固形分を掻き取るので、被処理液Aが下水汚泥などであっても被処理液A中の繊維が掻き取りチップ11に絡まるようなこともない。
従って、上記構成の縦型濾過濃縮装置1によれば、固形分の目詰まりによって濾過スクリーン2の濾過面積が減少するのを防いで、このような縦型濾過濃縮装置1において濾過スクリーン2が被処理液Aおよび濾液Bに浸漬されることによる高い濾過効率を維持することができる。さらに、固形分の濾過スクリーン2内周面への付着によってスクリュー3の回転抵抗が増大するのも抑えることができ、スクリュー回転手段7における駆動力の軽減を図って効率的かつ経済的な縦型濾過濃縮装置1の運転を行うことができる。
また、掻き取りチップ11は、濾過スクリーン2を形成するステンレス鋼等の鋼材よりも軟質なポリエチレン等の樹脂材料より形成されていて、摺接により濾過スクリーン2を損傷することがない一方で自身は摩耗することになるが、上述のようにスクリュー3の外周側に付勢されているので、摩耗しても濾過スクリーン2の内周面への摺接は確実に維持することができる。このため、上記構成の縦型濾過濃縮装置1によれば、長期に亙る連続運転を行っても、掻き取りチップ11による固形分の除去性能が損なわれることがなく、確実に効率的な被処理液Aの濾過濃縮を行うことができる。
しかも、本実施形態では、掻き取りチップ11が断面長方形状をなしていて、濾過スクリーン2の内周面に摺接する部分の中心軸線Oに沿った断面も方形に形成されており、この濾過スクリーン2の内周面に摺接する部分が摩耗しても摺接面積が変動するようなことがなく、一定の摺接状態を維持することができる。このため、長期に亙る連続運転でも、安定的に付着した固形分を除去して、目詰まりによる濾過効率の低下やスクリューの抵抗増大を防ぐことができる。
さらに、本実施形態では、このように掻き取りチップ11をスクリュー3の外周側に付勢して濾過スクリーン2の内周面に摺接させる付勢部材16として、金属製のコイルバネなどではなく、ゴムチューブのような弾性を有する樹脂材料により形成された管状部材を用いている。このため、濾過スクリーン2とともにスクリュー3が常に被処理液Aや濾液Bに浸漬されていても腐食による劣化が生じることが少なく、長期に亙って付勢力を維持して一層安定した連続運転を可能とすることができる。
さらにまた、本実施形態では、濾過スクリーン2と濾過容器4との間に形成される濾液空間Sに洗浄液供給手段9が接続されており、濾過スクリーン2が被処理液Aに浸漬された運転状態で洗浄液供給手段9から洗浄液を濾液空間S内に供給することにより、この濾液空間S内の濾液Bの撹拌と濾液Bの希釈または洗浄液との置換を行って、濾液空間S内に浮遊する固形分を濾液導入管10Aから濾液排出ボックス10を介して濾液排出管10Eより速やかに排出することができる。
また、本実施形態における洗浄液供給手段9は濾液空間S内に立設された洗浄管であって、そのノズル9Aが濾過スクリーン2の外周面に向けられており、運転中にノズル9Aから洗浄液を噴出しつつ、スクリーン回転手段8によって濾過スクリーン2を中心軸線O回りに回転させて洗浄液供給手段(洗浄管)9と濾過スクリーン2を相対的に移動させることにより、掻き取りチップ11による固形分の除去とも相俟って濾過スクリーン2の目詰まりを防止することもできる。なお、このような洗浄液供給手段9による洗浄液の供給は、例えば1時間に1回などタイマー制御によって定期的に一定時間ずつ行ってもよく、また被処理液Aと濾液Bの圧力差を測定してこの圧力差が例えば上述した通常濾過時の圧力差2.5kPaに対して3.0kPaを超えて上昇したときに自動的に洗浄液を供給するようにしてもよい。
さらに、例えば洗浄管の中心軸線O方向の上下いずれか一方の側のノズル9Aからの洗浄液の供給量を他方の側よりも多くしたり、いずれか一方の側のノズル9Aからのみ洗浄液を供給したりするようにして、この一方の側から他方の側に向けて濾液空間S中の固形分を効率的に排出するようにしてもよい。勿論、この洗浄液供給手段9を、運転停止時に濾過容器4内から被処理液Aおよび濾液Bを排出した状態で濾過スクリーン2の洗浄を行うのに用いてもよい。
なお、本実施形態のような縦型濾過濃縮装置1によって濾過濃縮される被処理液Aとしては、固形分濃度が4.0wt%以下のものが望ましい。これよりも固形分濃度が高いと、濾過スクリーン2の内周面に付着した固形分を掻き取りチップ11によって掻き取っても、直ぐに固形分が再び付着して濾過効率が低減するとともに、掻き取りチップ11の摩耗も顕著となって頻繁に交換を余儀なくされるおそれがあり、さらには掻き取りチップ11がスムーズに進退せずに適切な付勢力を維持できなくなるおそれもある。
1 縦型濾過濃縮装置
2 濾過スクリーン
3 スクリュー
3A 回転軸
3B スクリュー羽根
4 濾過容器
7 スクリュー回転手段
8 スクリーン回転手段
9 洗浄液供給手段
10 濾液排出ボックス
11 掻き取りチップ
12 取付座
13 取付ボルト
14 押さえ板
15 バックアップパイプ
16 付勢部材
O 濾過スクリーン2の中心軸線
A 被処理液
B 濾液
C 濃縮液
S 濾液空間

Claims (3)

  1. 縦方向に延びる中心軸線を有して内部に被処理液が供給される円筒状の濾過スクリーンと、この濾過スクリーンの内部に収容されて上記中心軸線回りに回転させられるスクリューと、上記濾過スクリーンの少なくとも外周部および底部を覆うように設けられて該濾過スクリーンとの間に上記被処理液から濾過された濾液を保持する濾液空間を形成する濾過容器とを備え、
    上記スクリューの外周部には、該スクリューの外周部におけるスクリュー羽根の外周縁に長方形板状の取付座が接合され、この取付座と、長方形板状の押さえ板との間に挟み込まれるようにして複数の掻き取りチップがスクリューの内外周に進退可能に取り付けられて弾性を有する部材により上記濾過スクリーンの内周面に摺接可能とされていることを特徴とする縦型濾過濃縮装置。
  2. 上記弾性を有する部材が、弾性を有する樹脂材料により形成された管状部材であることを特徴とする請求項1に記載の縦型濾過濃縮装置。
  3. 上記掻き取りチップは、上記濾過スクリーンの内周面に摺接する部分の上記中心軸線方向に沿った断面が方形をなしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の縦型濾過濃縮装置。
JP2015113980A 2015-06-04 2015-06-04 縦型濾過濃縮装置 Active JP6037319B1 (ja)

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