上述したように、遊技機の一種としてパチンコ機がある。パチンコ機には、遊技球を検出するための各種球検出手段が設けられている。
例えば、発射された遊技球が案内される遊技領域には、当該遊技球が入球可能な各種入球手段が設けられ、これら入球手段に対応して当該入球手段へ入球した遊技球の検出を行う入球検出スイッチが設けられている。
入球検出スイッチから出力される検出信号が主制御装置に入力されると、主制御装置は、これらの検出信号に基づいて遊技に関する各種制御を行うこととなる。例えば、所定の入球手段に遊技球が入球した場合には、主制御装置は、検出結果に応じた払出指令を払出制御装置に送信する。また、始動用の入球手段に遊技球が入球した場合には大当たり状態を発生させるか否かの当落抽選を行い、当選結果が得られると遊技者に有利な大当たり状態を発生させる。大当たり状態が発生すると、遊技者は、大当たり用の入球手段に遊技球を入球させることにより、多くの賞球を獲得することができる。
一方、払出制御装置は、主制御装置からの払出指令に対応した数の賞球を払出すべく、払出装置を駆動制御する。当該払出装置は、払出された賞球を検出する賞球検出スイッチを備えており、払出制御装置は、当該賞球検出スイッチにて検出された検出情報に基づき、賞球が予定通り払い出されたか否かを把握する。
一般的な球検出スイッチとしては、非接触式で耐久性などに優れた近接スイッチが数多く採用されている。
近接スイッチは、例えば遊技球の通過に伴う磁束の変化を検出することにより当該遊技球の通過を検出する。
より詳しく説明すると、近接スイッチは、遊技球を通過させる通過孔と、その通過孔の回りに配設された検出コイルと、当該検出コイルに接続された高周波発振回路とを有している。そして、遊技球が通過孔を通過した場合には、電磁誘導作用によって、金属である遊技球内に誘導電流が流れる。この際の検出コイルのインダクタンスや損失の変化により、高周波発振回路では発振振幅や発振周波数等が変化する。これを検出回路により検出することにより、遊技球の通過を非接触で検出できる。検出回路により検出される信号は、コンパレータ等からなる出力回路を介して外部に出力される。
上記構成の下、遊技球が通過孔を通過してない通常時には、近接スイッチの出力端子からはローレベル信号が出力される一方、遊技球が通過孔を通過している際中にはハイレベル信号が出力される。主制御装置は、この信号レベルの変化を検知することにより、遊技球の通過があった旨を検出することができる(例えば、特許文献1参照)。
ところが、一般に、近接スイッチが取付けられる球通路の大きさは、遊技球の流下を阻害しないよう、近接スイッチの通過孔の大きさよりも大きく形成されている。そのため、球通路内に露出した近接スイッチの通過孔周縁に対し、流下する遊技球が衝突し、近接スイッチが破損したり故障するおそれがあった。
本発明は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、その目的は、故障等の発生を抑制することのできる遊技機を提供することにある。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図である。また、図3は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図3では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
図1乃至図3に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。
外枠11の左辺部には、上ヒンジ81及び下ヒンジ82が設けられている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能に支持される。また、便宜上、図示は省略するが、外枠11の右辺部には、施錠装置600の係止部材が係止される上下一対の受け金具が取付けられている。さらに、外枠11下部には、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には、前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段(電気抵抗の変化を検出することで操作量を検出できるようになっている)が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射ユニット(以下、単に発射ユニットという)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図16参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について図4,図5を参照して説明する。図4は、内枠及び遊技盤の構成を示す正面図であり、図5は、内枠及び遊技盤の構成を示す背面図である。
上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射ユニット70が取付けられている。
発射ユニット70は、膨出部40に固定される金属製のベース板70a上に、発射手段としての発射装置70bと、発射レール70cと、球送り機構70dとを備えた構成となっている。
発射レール70cは、発射装置70bにより発射される遊技球を案内するためのものであって、所定の発射角度となるよう直線的に延びている。そして、当該発射レール70cに沿って斜め上方に打ち出された遊技球は、その後、後述するレール50に沿って遊技領域に案内される。
球送り機構70dは、上皿19側から案内されてくる遊技球を1球ずつ、発射装置70bの発射動作に同期して、発射レール70cの基端部に案内するためのものである。
本実施形態では、発射装置70bとしてソレノイド式の発射装置を採用している。発射装置70bの動作は、発射制御装置312により制御される。発射制御装置312は、遊技者によるハンドル18の操作量に応じて、コイルへの印加電圧を可変させる。これにより、ソレノイドに発生する磁力を調整して、プランジャの変位速度を変化させ、遊技球の発射速度ひいては飛翔量を調整する。また、発射制御装置312が、コイルへの印加電圧をパルス状に制御することにより、所定周期でソレノイドの励磁・非励磁状態が交互に切替えられ、上記発射動作が間欠的に繰り返し行われることとなる。
また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射ユニット70の発射レール70cと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射ユニット70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。
また、内枠12の右側部背面側には施錠装置600が設けられている。施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14及び裏パックユニット203を解錠できるようになっている。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14及び裏パックユニット203は内枠12に対し施錠される。
次に、遊技盤30の構成について図4を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた後述する検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、入球手段としての各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
また、第1契機対応口33へ遊技球が入球したことを契機として大当たり抽選が行われ、当該大当たり抽選により当選結果が得られた場合には特別遊技状態としての大当たり状態が発生する。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は、液晶表示装置であって、後述するサブ制御装置560によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置560によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。センターフレーム47内には、各種LED等の発光手段や、当該LED等を駆動するLED制御基板なども配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射ユニット70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
次に、パチンコ機10の背面構成について図5,図6を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されている。さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主制御基板としての主基板だけを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。
可変表示装置ユニット35の後部には、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。但し、本実施形態では、センターフレーム47が遊技盤30の前面側に固定され、フレームカバー213が遊技盤30の裏面に固定されることによって、可変表示装置ユニット35として一体化される構成となっている。そして、このフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ね合わされ一体化(ユニット化)された状態で取付けられている。さらに、表示制御装置45の背面側にはサブ制御装置560が取付けられている。
サブ制御装置560は、後述するように主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス562に収容されて構成されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品である。また、裏枠セット215の下方には、各種入賞部に入賞した遊技球を回収するための球回収部材216が取付けられている。球回収部材216は、樹脂材料により一体形成された部材であって、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33へ入賞した遊技球を下流側へ案内する球通路231,232,233を備えている(図7参照)。球回収部材216が本実施形態における球通路構成部材を構成する。
また、第2制御基板ユニット202には、球回収部材216の下方位置において排出通路部217が形成されており、該排出通路部217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている(図6参照)。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも球回収部材216を介して排出通路部217へ案内され、さらに排出通路部217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏側には、入球手段としての一般入賞口31等の各種入賞口に対応して、当該各種入賞口へ入球した遊技球を検出する入球検出スイッチ(入球検出手段)が設けられている。
具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応して入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32に対応してカウントスイッチ223が設けられている。カウントスイッチ223は可変入賞装置32に入賞した遊技球をカウントするスイッチである。また、第1契機対応口33に対応する位置には第1契機対応口(始動口)スイッチ224が設けられ、第2契機対応口34に対応する位置には第2契機対応口(ゲート)スイッチ225が設けられている。
このうち、入賞口スイッチ221は球回収部材216に取付けられている。一方、カウントスイッチ223、第1契機対応口スイッチ224及び第2契機対応口スイッチ225は、それぞれ可変入賞装置32、第1契機対応口33及び第2契機対応口34に取付けられている。
ここで、各種入球検出スイッチの構成について説明する。本実施形態では、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、第1契機対応口スイッチ224、第2契機対応口スイッチ225として、従来一般に使用される貫通型の近接スイッチを採用している。
貫通型の近接スイッチは、薄板状の略直方体形状をなし、遊技球を通過させる通過孔を有している(図11等参照)。その通過孔の回りには高周波発振回路に接続された検出コイルが配設されている。そして、遊技球が通過孔を通過した場合には、電磁誘導作用によって、金属である遊技球内に誘導電流が流れる。この際の検出コイルのインダクタンスや損失の変化により、高周波発振回路では発振振幅や発振周波数等が変化する。これを検出回路により検出することにより、遊技球の通過を非接触で検出できる。検出回路により検出される信号は、コンパレータ等からなる出力回路を介して外部に出力される。
次に、入賞口スイッチ221の球回収部材216への取付構造について図7〜15を参照して説明する。図7は、球回収部材216の背面図である。図8は、球回収部材216の背面視左部を背面側から見た部分斜視図であり、図9は、それを前面側から見た部分斜視図である。図10は、図7のA−A線断面図であり、図11は、そのA−A線で切断した球回収部材216の背面視左部を背面側から見た部分斜視図であり、図12は、それを前面側から見た部分斜視図である。図13は、入賞口スイッチ221を取外した状態の図7のA−A線断面図であり、図14は、そのA−A線で切断した球回収部材216の背面視左部を背面側から見た部分斜視図であり、図15は、それを前面側から見た部分斜視図である。
左右の各球通路231は、それぞれ2箇所の入賞口スイッチ221に対応した2本の上流部231a,231bと、当該上流部231a,231bが合流して1本となった下流部231cとから構成されている。
球通路231は、球回収部材216の背壁部401、当該背壁部401から前方向へ突出形成された各種リブ、及び、球回収部材216が取着される遊技盤30の背面部により画定される。そのうち、下流部231cの大部分は、上下方向へ並行して延びるリブ402,403により、その左右の側壁部が構成される。
球通路231の内部は、その大部分において、そこを通過する遊技球の直径が11mmであるのに対し、少し余裕を持って一辺が12mmの断面略正方形状に形成されている。勿論、遊技球の直径や球通路231の寸法は、これに限定されるものではない。
下流部231cの所定位置には、背壁部401において、通路内側から外側に向けて膨出した膨出部405が形成されている。
膨出部405の上下方向略中央部には、入賞口スイッチ221を球通路231内へ挿し込み可能なように貫通形成された取付孔406が形成されている。
取付孔406は、上下方向(通路方向)に沿った開口幅Y1が、入賞口スイッチ221の上下幅(通過孔221dの貫通方向の幅)と略同一幅に形成されている。また、左右方向(通路方向の直交方向)に沿った開口幅Y2は、入賞口スイッチ221の左右幅と略同一幅に形成されている。これにより、入賞口スイッチ221が取付孔406に取付けられた際には、両者間に隙間が形成されないようになっている。
膨出部405には、取付孔406の上縁部及び下縁部からそれぞれ通路内側に向けて延出した延出片407,408が設けられている。これにより、入賞口スイッチ221の取付状態においては、当該入賞口スイッチ221の上面部221f及び下面部221gに各延出片407,408がそれぞれ当接した状態となる。
延出片407,408の端縁部407a,408aは、リブ402からリブ403にかけて、略U字状に形成されており、入賞口スイッチ221の取付状態において通過孔221dを塞がないように構成されている。
具体的には、端縁部407a,408aのうち、入賞口スイッチ221の通過孔221dの中心から後側(膨出部405側)に位置する部分は、通過孔221dの周縁形状に沿って略円弧状に形成されている。一方、通過孔221dの中心から前側(遊技盤30側)部分においては、リブ402,403からの突出量が一定となるように直線状に形成されている。
但し、本実施形態においては、膨出部405とリブ402,403との各コーナー部及びその近傍を除いて、膨出部405及びリブ402,403からの突出量が極めて少なく設定されている。例えば、通過孔221dの中心から前側(遊技盤30側)部分に関しては、上述したように球通路231の一辺が12mmに設定されるとともに、後述するように入賞口スイッチ221の通過孔221dの直径が11.4mmに設定されていることから、リブ402,403からの端縁部407a,408aの突出量が0.3mmに設定されている。これは、球通路231と、入賞口スイッチ221の通過孔221dとの大きさを考慮したものであり、勿論、このような構成に限定されるものではなく、端縁部407a,408aの突出量は、入賞口スイッチ221の通過孔221dを塞がない範囲で適宜変更可能である。
一方、膨出部405の背面側には、取付孔406の左右側縁部からそれぞれ後方に向けて延出した左右一対の支持部411,412が設けられている。両支持部411,412は、その上縁及び下縁がそれぞれ相対向する向きに屈曲しており、断面略コ字状をなしている。これにより、支持部411,412の相対向する側には、それぞれ溝部413,414が形成される。
そして、この溝部413,414は、取付孔406を介して、延出片407,408間におけるリブ402,403の壁面にまで連続して形成されており、支持部411,412側より取付孔406を通じて延出片407,408間へ前後方向に沿って入賞口スイッチ221を挿し込むことができるように構成されている。
溝部413,414の前端部には、リブ402からリブ403に架け渡されるようにして規制片415が設けられている。規制片415の上下幅は、溝部413,414の上下幅と略同一幅となっている。つまり、規制片415は延出片407,408間に設けられている。
また、支持部412の後端部には、そこからさらに後方へ突出したアーム部417が形成されている。アーム部417の後端部には、支持部411側向きに突出した係止爪418が形成されている。
次に、入賞口スイッチ221の取付手順及び取付状態について説明する。
まず、アーム部417を弾性変形させつつ、入賞口スイッチ221の前側(通過孔221d側)から支持部411,412に沿って取付孔406内へ挿し込んでいく。
そして、溝部413,414に沿って入賞口スイッチ221を挿し込んでいき、入賞口スイッチ221の前端部が規制片415に達したところで、入賞口スイッチ221の後端部が係止爪418を通過し、アーム部417が復元する。これにより、入賞口スイッチ221の後端部が係止爪418に係止され、入賞口スイッチ221の取付けが完了する。
入賞口スイッチ221の取付状態においては、規制片415及び係止爪418によって入賞口スイッチ221の前後方向への動きが規制され、延出片407,408及び支持部411,412等により上下方向への動きが規制される。
そして、延出片407,408の端縁部407a,408aの円弧部分が、通過孔221dの周縁部に沿って配置され、遊技球が通過孔221dを通過可能となる。これにより、入賞口スイッチ221の上面部221f及び下面部221gのうち、少なくとも通過孔221dの中心から後側に位置する部分は、延出片407,408により被覆された状態となる。
さて、その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放するための大入賞口ソレノイドが設けられ、第1契機対応口33には、電動役物を開放するための第1契機対応口(始動口)ソレノイドが設けられている。
上記入球検出スイッチにて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出しが実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出しが直ちに行われる。
さて、第1制御基板ユニット201に設けられた主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。
なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖されかつ前面及び下面が開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、主制御装置261の一部も合わせて覆う構成となっている。保護カバー部354により、後述する上部のタンク355等から落下してくる遊技球等から可変表示装置ユニット35が保護される。また、保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
勿論、払出機構部352には、払出装置358から払い出される遊技球を検出するための払出カウントスイッチ(払出球検出手段)が所定位置(例えば払出装置358内)に取付けられている。本実施形態では、払出カウントスイッチとして、遊技球の通過可能な通過孔が設けられた貫通型の近接スイッチを採用している。つまり、払出カウントスイッチの構成は、上記入賞口スイッチ221等の各入球検出スイッチと同様の構成となっている。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図16は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。
入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置560、特別表示装置43、普通図柄表示装置41が接続されている。但し、普通図柄表示装置41及び特別表示装置43とは、サブ制御装置560の入出力ポート554を中継手段として接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置560を介して制御される。
その他、便宜上、図示は省略するが、入出力ポート505には、上記入賞口スイッチ221等の各種入球検出スイッチが接続されている。
サブ制御装置560(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されている。さらに、入出力ポート554には、表示制御装置45、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104等が接続されている。
サブ制御装置560のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。さらに、サブ制御装置560は、音声やランプ表示の制御を司る。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置560が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。その他、便宜上、図示は省略するが、入出力ポート515には、払出カウントスイッチ等も接続されている。これにより、払出制御装置311は、払出カウントスイッチにて検出された検出情報に基づき、賞球が予定通り払い出されたか否かを把握することができる。
発射制御装置312は、発射装置70bによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70bは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、上述したように発射装置70bが駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で1球ずつ遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置560からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置560の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、VDP526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置560から送信される表示コマンドを入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行なう。
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に上記入球検出スイッチと主制御装置261とに関わる電気的構成について、図17の模式的なブロック図に示す入賞口スイッチ221との関係を例にして説明する。
上述したような貫通型の近接スイッチよりなる入賞口スイッチ221は、入力端子221a、出力端子221b及びアース端子221cを備えている。
入賞口スイッチ221の入力端子221aは、ケーブルコネクタや中継基板などにより構成される所定の電気経路226を介して、主制御装置261の電源供給端子227に接続されている。これにより、入賞口スイッチ221には、電源装置313によって生成される+12V電源が動作電源として供給される。
入賞口スイッチ221の出力端子221bは、ケーブルコネクタや中継基板などにより構成される所定の電気経路228を介して、主制御装置261の反転回路229に接続されている。主制御装置261の反転回路229は、CPU501に接続されている。これにより、入賞口スイッチ221からの出力信号は、主制御装置261の反転回路229にて論理反転されて、CPU501へ入力される。
入賞口スイッチ221のアース端子221cは、ケーブルコネクタや中継基板などにより構成される所定の電気経路230を介して主制御装置261のグランドレベルに電気的に接続(接地)されている。図示は省略するが、CPU501(アース端子)も当然グランドレベルに接続されている。なお、ここでいうグランドレベルとは、主制御装置261において基準電位0Vのレベルとなる電気経路全般を指す。
上記構成により、遊技球が入賞口スイッチ221の通過孔221d(検出範囲L)を通過してない通常時には、出力端子221bから+12Vのハイレベル信号が出力される。
但し、本実施形態における入賞口スイッチ221は、図18に示すように、通過孔221dの貫通方向(図18の上下方向)に対し、その上面部221fから下面部221g側へ所定長離れた位置x1から、さらに所定長離れた位置x2までの区間が検出範囲Lとして設定されている。つまり、遊技球Bが入賞口スイッチ221の通過孔221dを通過しつつ、その下端Baが検出範囲Lに達したところで、当該遊技球Bが検出され始め、その上端Bbが検出範囲Lを通過し終わったところで、当該遊技球Bの検出が終了することとなる。本実施形態では、正規の遊技球Bの直径が11mmであるのに対し、例えば入賞口スイッチ221の通過孔221dの直径W1は11.4mmに設定され、上面部221fから下面部221gまでの厚みW2が6.0mmに設定され、上面部221fから位置x1までの距離W3が8.6mmに設定され、検出範囲Lの区間が2.7mmに設定されている。勿論、入賞口スイッチ221及びその検出範囲Lの寸法はこれに限定されるものではなく、適宜、変更可能である。
一方、遊技球が通過孔221d(検出範囲L)を通過している際には、基準電位0Vのローレベル信号が出力される。従って、主制御装置261のCPU501には、反転回路229を介すことにより、通常時にはローレベル信号が入力され、遊技球の通過を検出した場合にはハイレベル信号が入力されることとなる。
例えば、入賞口スイッチ221の通過孔221dを遊技球が通過すると、図19(a)に示すように、遊技球の通過中(時間TS1〜TS2)は、高周波発振回路の発振振幅や発振周波数等が変化し、図19(b)に示すように、主制御装置261の入力レベルがローレベル(L)からハイレベル(H)に切換わる。
なお、入賞口スイッチ221が通常時にハイレベル信号を出力し、遊技球検出時にローレベル信号を出力する構成とした理由は、主制御装置261のCPU501による誤検知を抑制するためである。
従来のように通常時にはローレベル信号を出力し、遊技球検出時にはハイレベル信号を出力する構成では、入賞口スイッチ221と主制御装置261との間の電気経路228にノイズが乗り、このノイズがあたかもハイレベル信号として主制御装置261に入力されてしまい、実際には入賞口スイッチ221ヘの遊技球の通過がないにもかかわらず、CPU501が遊技球の通過があったと誤認してしまうおそれがあった。ノイズの原因としては、各種電子機器により生じる静電気や、遊技者がパチンコ機10を揺らしたり叩いたりして生じる振動等が挙げられる。
なお、詳細は省略するが、他の入球検出スイッチ(カウントスイッチ223、第1契機対応ユニットスイッチ224、第2契機対応口スイッチ225)と主制御装置261との関係についても、入賞口スイッチ221と同様の構成となっている。
続いて、主制御装置261のCPU501により定期的に行われるスイッチ読み込み処理について詳しく説明する。なお、このスイッチ読み込み処理では、各入球検出スイッチ(入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、第1契機対応ユニットスイッチ224、第2契機対応口スイッチ225)を個々に監視して、個別に同様の処理が行われる。従って、ここでは入賞口スイッチ221に係るスイッチ読み込み処理を一例に図20を参照して詳しく説明するが、他の入球検出スイッチに関しても図20に示す処理と同様の処理が行われる。
先ずステップS6001では、入賞口スイッチ221からの入力信号の信号レベルをチェックする。この処理の機能が本実施形態における信号監視手段を構成する。
例えば遊技球が入賞口スイッチ221の通過孔221d(検出範囲L)を通過してない通常時には、入賞口スイッチ221からは+12Vのハイレベル信号(H)が出力され〔図21(a)のタイミングt1参照〕、主制御装置261側では反転回路229を経てCPU501に基準電位0Vのローレベル信号(L)が入力される〔図21(b)のタイミングt1参照〕。図21(a)は、入賞口スイッチ221からの出力信号を説明するためのタイミングチャートであり、図21(b)は、CPU501への入力信号を説明するためのタイミングチャートである。
一方、一般入賞口31へ遊技球が入球して、遊技球が入賞口スイッチ221の通過孔221d(検出範囲L)を通過している最中には、入賞口スイッチ221からローレベル信号(L)が出力され〔図21(a)のタイミングt2,t3参照〕、主制御装置261側では反転回路229を経てCPU501にハイレベル信号(H)が入力される〔図21(b)のタイミングt2,t3参照〕。
続くステップS6002では、ステップS6001にてチェックした信号レベルを、RAM503の作業エリアに設けられた入賞口スイッチ221用の信号レベルバッファに記憶する。
なお、信号レベルバッファは、各入球検出スイッチ(入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、第1契機対応ユニットスイッチ224、第2契機対応口スイッチ225)に対応して設けられており、各入球検出スイッチ毎の信号レベルがそれぞれ記憶される。信号レベルバッファが本実施形態におけるレベル記憶手段に相当する。
信号レベルバッファは、リングバッファにより構成されている。リングバッファとは、概念上、バッファ領域内の先頭アドレスと最終アドレスとがリング状に繋がり、ライトポインタとリードポインタの2つのアドレスポインタを用いて先頭アドレスから順に書き込んで行き、最終アドレスまで到達すると再び先頭アドレスに戻って書き込めるように制御されるバッファである。そして、ライトポインタの示す所定アドレス位置にデータの書込みが行われた後、当該ライトポインタの値が次のアドレスを示す値に更新される。同様に、リードポインタの示す所定アドレス位置からデータの読出しが行われた後、当該リードポインタの値が次のアドレスを示す値に更新される。
また、本実施形態の各信号レベルバッファを構成するリングバッファには、最も新しい過去200msec分すなわち100周期分のデータが記憶されるとともに、これを越えた古いデータから順に消去される構成となっている。また、リードポインタの位置は最新のデータの記憶された所定アドレス位置を示すようになっており、後述するように当該リードポインタの位置を基準に過去複数回分のデータが読み出される構成となっている。
ステップS6002の説明に戻り、入賞口スイッチ221用の信号レベルバッファには、2msec周期で信号レベルをチェックする毎に、当該信号レベルに対応した論理値が順にライトポインタの示す所定アドレス位置に書き込まれていく。ここで、CPU501への入力信号の信号レベルが「H(ハイ)」の場合には、これを示すレベル情報としての論理値「1」が記憶され、信号レベルが「L(ロー)」の場合には、これを示すレベル情報としての論理値「0」が記憶される。
その後、ステップS6003において、一般入賞口31へ遊技球の入球の有無を判定するための前処理である演算処理を行う。
より詳しくは、信号レベルバッファに記憶された最近の過去3回分のデータのうちの最先のデータ(最も古いデータ)の論理反転処理を行うとともに、当該論理反転された最先のデータ及び残り2回分のデータすべての論理積を算出する。そして、この値を、RAM503の作業エリアにて一旦記憶する。この処理の機能が本実施形態における論理反転手段や論理積算出手段を構成する。
例えば、図21(b)に示すように、タイミングt1,t2,t3において記憶された信号レベルの論理値が「0」,「1」,「1」である場合、最先のデータの論理反転処理を行うと、最先のデータは「1」となる。従って、このデータと他の2回分のデータの論理積は「1」となる。
続くステップS6004では、ステップS6003にて算出された論理積の値が「1」であるか否かを判別する。ここで論理積の値が「1」となった場合には、信号レベルが「L」から「H」に切り替わったことを意味するため、これをもって一般入賞口31への入球有りと判断し、ステップS6005において入賞口スイッチ221(一般入賞口31)用の入球判別フラグの値に「1」を設定し、本処理を終了する。なお、入球判別フラグは、入球の有無を判別するための判別子であり、各入球検出スイッチに対応してそれぞれ設けられている。そして、主制御装置261は以後の処理において、これを基に入球の有無を判断している。
一方、論理積の値が「0」の場合には、過去4msecの間、信号レベルが「L」のままか若しくは「H」のまま切り替わらなかった、又は信号レベルが「H」から「L」に切り替わったこと等を意味するため、これをもって一般入賞口31への入球無しと判断し、ステップS6006において入賞口スイッチ221用の入球判別フラグの値に「0」を設定し、本処理を終了する。上述したステップS6003〜S6006の一連の処理(入球判定処理)の機能が本実施形態における入球判定手段を構成する。
さて、入賞口スイッチ221等の近接スイッチは、従来より様々な不正行為の対象となってきた。
例えば、従来では、図24(a),(b)に示すように、近接スイッチ900を球通路901内へ挿し込んで固定する取付構造として、近接スイッチ900を挿し込む取付孔902と対向する位置に、近接スイッチ900の挿込み側先端部900aを保持する凹型保持部903を形成したものが知られている。しかし、本願の球回収部材216と同様、一般に球通路構成部材905は樹脂材料により一体形成されているため、従来の構成では、球通路構成部材905を金型成形する際、凹型保持部903の凹型形状(一対の突出部分903a,903b)を形成するための金型Hを型抜きする都合上、取付孔902の上流側縁部902aと近接スイッチ900の上面部900bとの間、及び、取付孔902の下流側縁部902bと近接スイッチ900の下面部900cとの間に隙間K1,K2が形成されていた。そのため、かかる隙間K1,K2から球通路901内へ針金等を侵入させ、近接スイッチ900の通過孔900dへ針金等を挿通し、近接スイッチ900を誤作動させるといった不正行為が行われるおそれがあった。
これに対し、本実施形態における取付孔406は、上下方向に沿った開口幅Y1が、入賞口スイッチ221の上下幅と略同一幅に形成され、左右方向に沿った開口幅Y2が、入賞口スイッチ221の左右幅と略同一幅に形成されている。これにより、入賞口スイッチ221が取付孔406に取付けられた際には、両者間に隙間が形成されないようになっている。結果として、上述したような不正行為を抑制することができる。
上述したとおり、取付孔406と入賞口スイッチ221との間に隙間が形成されないように、球回収部材216を成形する場合には、入賞口スイッチ221の前端部を保持する凹型保持部を形成することができなくなるため、入賞口スイッチ221の取付状態を不安定にするおそれがある。
これに対し、本実施形態では、膨出部405背面側の支持部411,412や、リブ402,403壁面の溝部413,414に加え、膨出部405において、取付孔406の上縁部及び下縁部からそれぞれ通路内側に向けて延出した延出片407,408が設けられている。これにより、入賞口スイッチ221の取付状態においては、各延出片407,408が、入賞口スイッチ221の上面部221f及び下面部221gにそれぞれ面当接してこれを支持するため、十分な保持量を確保することができ、入賞口スイッチ221を安定して保持することができる。
尚、単に入賞口スイッチ221の上面部221f及び下面部221gに面当接し、比較的大きな当接面積を確保するだけであれば、膨出部405を設けることなく、取付孔406から通路外方に向けて延出片を延出形成する構成も考えられるが、かかる構成では、取付孔406の上縁部及び下縁部から通路外方に向け突出した延出片が邪魔となり、取付孔406への入賞口スイッチ221の取付作業が行いにくくなるおそれがある。
この点、本実施形態では、球通路231の内側から外側に向けて膨出した膨出部405を設けるとともに、ここに形成した取付孔406の上縁部及び下縁部からそれぞれ球通路231の内側に向けて延出片407,408を延出形成することにより、入賞口スイッチ221との当接面積を比較的大きく確保しつつも、入賞口スイッチ221の取付作業の邪魔となることがない。
本実施形態におけるパチンコ機10は、適正に遊技球を流下させる等するため、遊技ホール等において、遊技盤30の上部がより後方に位置するように傾斜して設置される。つまり、球通路231においては、遊技球が球回収部材216の背壁部401に沿って流下する。このため、本実施形態では、球通路231内側に突出した延出片407,408は、遊技球の流下勢を弱める規制手段として機能することとなる。通常の通路区間に規制部(図10等の規制部450参照)を設ける場合、球通路231と遊技球との大きさの関係上、規制部の突出量をそれほど大きくすることができないが、本実施形態のように通路外方へ膨出した膨出部405から通路内方へ向けて延出片407,408を突出させることにより、当該延出片407,408の突出量を比較的大きくすることができるため、規制手段としてより大きな作用効果を得ることができる。
また、膨出部405を備えることにより、球回収部材216の背壁部401の背面側に沿わせて針金等を侵入させてきたとしても、当該膨出部405によって針金等が通路外方に向きを変えられるため、球通路231内へ針金等を侵入させることがさらに困難となる。
加えて、本実施形態では、延出片407,408の端縁部407a,408aのうち、入賞口スイッチ221の通過孔221dの中心から後側(膨出部405側)に位置する部分は、通過孔221dの周縁形状に沿って略円弧状に形成されている。結果として、延出片407,408の端縁部407a,408aを通過孔221dの周縁部に達する限界位置まで延出することができるため、保持されない入賞口スイッチ221の前端部により近い位置まで支持することができるとともに、入賞口スイッチ221との当接面積をより大きく確保することができる。仮に延出片407,408の端縁部407a,408aを左右方向に沿って直線状とした場合、当該延出片407,408により通過孔221dを塞がないようにする関係上、入賞口スイッチ221との当接面積を比較的大きく確保することが難しくなる。
また、本実施形態では、延出片407,408によって、入賞口スイッチ221の側辺部をも支持し、断面略矩形状の球通路231の3辺を保持した状態となるため、球通路231内における入賞口スイッチ221の取付状態を安定させることができる。
さらに、本実施形態では、延出片407,408を備えることにより、入賞口スイッチ221の通過孔221d周縁に対し遊技球が直接、勢い良く衝突するのを抑制することができ、入賞口スイッチ221における破損や故障の発生を抑制することができる。
さて、上述した入賞口スイッチ221等のような近接スイッチを用いた場合、外部からの電波の影響を受けて検出コイル周りの磁界が変化してしまうことがある。このため、従来では、電波を発信する機器を使用して、故意に近接スイッチを誤作動させる不正行為、いわゆる「電波ゴト」が行われるおそれがあった。
例えば、一般入賞口31等への入球個数を擬似的に増やす入賞口スイッチ221等の入球検出スイッチに対する不正行為について説明する。入球検出スイッチに対して、図22(a)に示すように、遊技球の通過中(時間TS1〜TS2)に、それよりも発信時間(時間TK1〜TK2)の短い電波を挿し込むことで、図22(b)に示すように、主制御装置261の入力レベルは、時間TK1〜TK2の間がローレベル(L)となる。つまり、遊技球の通過中(時間TS1〜TS2)に信号レベルが2度切換わることとなり、実際には一般入賞口31等へ入球した遊技球が1個であるにもかかわらず、2個分の入球があったと誤検知させることができる。このようにして、例えば第1契機対応口33の第1契機対応口スイッチ224に対して不正行為を行えば、第1契機対応口33へ遊技球が入球していないにも拘らず、大当たり抽選の契機を余分に得られることとなる。
この他、正規の遊技球(直径11.0mm)及び入賞口スイッチ221の通過孔221d(直径11.4mm)よりも直径の大きい遊技球(以下、「不正大球」という。例えば直径11.8mm)を用いる方法も考えられる。かかる場合、まず不正大球を一般入賞口31へ入賞させる等して、予め球通路231内へ入れる。そうすると、当該不正大球は、入賞口スイッチ221の通過孔221dを通過できずに、当該通過孔221dに引っ掛った状態となる。これにより、入賞口スイッチ221は、常時、不正大球を検出した状態(オン状態)となる。この状態で、入賞口スイッチ221を非検知状態(オフ状態)とする不正な電波〔図22(a)参照〕を適宜発信することにより、オンオフ状態を切換え、遊技球が通過していないにもかかわらず、遊技球が通過したと誤検知させることができる。但し、かかる不正行為の対象は、入賞口スイッチ221のように、遊技者が視認できないパチンコ機10の背面側等に配置される入球検出スイッチに限られる。第1契機対応口スイッチ224等のように、パチンコ機10の前面側から遊技者が視認可能な入球検出スイッチに対しては、不正大球を予めセットしておくことは考えにくいからである。
前段の入球個数を擬似的に増やす方法は、実際に遊技球を一般入賞口31等へ入賞させ、入賞口スイッチ221を通過するタイミングを合わせて、不正な電波を挿し込まなければならず、現実的に行うことは困難である。これに対し、後段の不正大球を用いる方法は、実行するのが比較的容易であるため、このような不正行為を効果的に防止する手段が必要となる。
この点、本実施形態における入賞口スイッチ221は、上下方向に対し、その上面部221fから下面部221g側へ所定長離れた位置x1から、さらに所定長離れた位置x2までの区間が検出範囲Lとして設定されたものである。つまり、遊技球を検出可能な検出範囲Lが、通過孔221dを通過不能な不正大球が当該通過孔221dに上流側から嵌った状態においても届かない位置に設定されている。結果として、上述したような不正大球を用いた不正行為を抑制することができる。
但し、不正大球が楕円形状等、歪な形状に形成されている場合においては、入賞口スイッチ221の検出範囲Lを上記のように設定するだけでは、不正大球の一部が入賞口スイッチ221の検出範囲Lに届いてしまい、効果が不十分となるおそれがある。
この点、本実施形態では、入賞口スイッチ221の上流側に延出片407を備えることにより、さらに上流位置で不正大球を留めておくことが可能となるため、上述したような不正大球を用いた不正行為の抑制効果をさらに高めることができる。
次に、遊技球の通過時間TS1〜TS2よりも長い時間、電波を発信することで、遊技球の通過検出を打ち消す払出カウントスイッチ等に対する不正行為について説明する。払出カウントスイッチに対して、図23(a)に示すように、遊技球の通過時間TS1〜TS2よりも長い時間、電波を発信することで、図23(b)に示すように、払出制御装置311の入力レベルは、ハイレベル(H)に切換わることなく、ローレベル(L)に維持される。つまり、実際には賞球が払い出され、当該賞球が払出カウントスイッチを通過しているにもかかわらず、その通過が検出されないこととなる。この結果、払出制御装置311が再度、払出処理を実行することとなり、不正行為者は、予め設定された個数以上の賞球を過剰に獲得することができる。
但し、このような方法は、実際に遊技球を一般入賞口31等へ入賞させる必要があるとともに、払出制御装置311によって所定時間経過後には払出しエラーとして処理されてしまうため、効率が悪く、現実的ではない。これに対し、仮に払出カウントスイッチとその取付孔との間に上記隙間K1,K2(図24参照)と同様の隙間が形成されている場合には、当該隙間から球通路内へ針金等を侵入させ、払出装置358内において遊技球の流下を規制しているスプロケット等の規制部材を不正操作して遊技球を流下させつつ、上述したような遊技球の通過検出を打ち消す不正な電波を発信することで、不正に大量の遊技球を獲得することが可能となる。
このような不正行為に対しては、本実施形態における入賞口スイッチ221の取付構造を払出カウントスイッチの取付構造に採用することにより、十分に対処することができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、入球判定処理を行うに際して、信号レベルバッファに記憶された最近の過去3回分のデータのうちの最先のデータの論理反転処理を行うとともに、当該論理反転されたデータ及び残り2回分のデータすべての論理積を算出し、この演算結果に基づき判定処理を行う構成となっている。これに限らず、信号レベルバッファに記憶された少なくとも2回分のデータを基に同様の処理を行う構成としてもよい。また、最先のデータの論理反転処理を省略して、単に複数回分のデータの論理積を算出する構成としてもよい。
(b)カウントスイッチ223や第1契機対応口スイッチ224など他の球出検出スイッチが球回収部材216に取付けられる構成においては、当該球検出スイッチに関しても、上記実施形態における入賞口スイッチ221の取付構造と同様の取付構造を採用してもよい。
(c)球検出スイッチが取付けられる球通路構成部材は、球回収部材216に限定されるものではなく、遊技球が通過する球通路が形成された部材であれば、例えば可変入賞装置や払出装置など他の部材であってもよい。
(d)膨出部405の形状や大きさ等、その構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、膨出部405が入賞口スイッチ221の後端部と略同一位置まで膨出した構成としてもよい。
また、膨出部405の背面側において、取付孔406の周縁部に、例えば湾曲等した面取り部を形成した構成としてもよい。これにより、入賞口スイッチ221の取付作業を行いやすくなる。
(e)延出片407,408の形状や大きさ等、その構成は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、入賞口スイッチ221の通過孔221dの中心から前側(遊技盤30側)部分を省略した構成としてもよい。上述したような不正大球を用いた不正行為を抑制する効果や、規制手段としての効果を高める場合には、入賞口スイッチ221の通過孔221dの全周囲において延出片407,408のような被覆部を形成することが好ましいが、かかる構成とすると、球通路が狭くなり、遊技球が円滑に流下しなくなってしまうおそれがある。この点、少なくとも入賞口スイッチ221の通過孔221dの中心から後側(膨出部405側)に位置する箇所において延出片407,408が設けられていれば、このような不具合の発生を抑制しつつも、不正大球を用いた不正行為を抑制する効果や、規制手段としての効果をより効果的に発揮させることができる。勿論、入賞口スイッチ221への遊技球の衝突を回避する観点から見れば、入賞口スイッチ221の通過孔221dの全周囲において延出片(防護片)が形成されていることが好ましい。
また、上記実施形態では、延出片407,408の端縁部407a,408aのうち、入賞口スイッチ221の通過孔221dの中心から後側(膨出部405側)に位置する部分に関しては、通過孔221dの周縁形状に沿って略円弧状に形成されている。これに限らず、入賞口スイッチ221への遊技球の衝突を回避する観点から見れば、入賞口スイッチ221の通過孔221dの中心から前側(遊技盤30側)に位置する部分に関しても、通過孔221dの周縁形状に沿って略円弧状に形成されていることが好ましい。
また、上記実施形態では、各延出片407,408がリブ402,403をつなぐように、左右方向に沿って取付孔406の上縁部及び下縁部の略全域に設けられている。これに限らず、例えばリブ402と膨出部405とが接するコーナー部、及び、リブ403と膨出部405とが接するコーナー部において、それぞれ別々に延出片(防護片)が形成された構成としてもよい。
(f)膨出部405や延出片407,408の構成によっては、支持部411,412、溝部413,414、規制片415などを省略した構成としてもよい。
(g)上記実施形態では、入賞口スイッチ221の検出範囲Lが、その下面部221gよりもさらに下方へ離れた位置に設定されているが、検出範囲Lは、上記実施形態の範囲に限定されるものではない。例えば、検出範囲Lの上限位置が下面部221gの位置であってもよい。また、従来同様、検出範囲Lを通過孔221d内の区間に設定してもよい。但し、上述したような不正大球を用いた不正行為を抑制する観点では、少なくとも検出範囲Lが、入賞口スイッチ221の上面部221fから通過孔221dの半径(通過孔221dを通過可能な最大径の球の半径)以上離れていることが好ましい。つまり、検出範囲Lが、通過孔221dを通過不能な不正大球が当該通過孔221dに上流側から嵌った状態においても届かない位置に設定されていることが好ましい。
(h)上記実施形態では、入賞口スイッチ221が自身の長手方向を前後方向に沿わせた状態で球回収部材216に取付けられている。これに限らず、入賞口スイッチ221が自身の長手方向を左右方向に沿わせた状態で球回収部材216に取付けられる構成としてもよい。かかる場合には、例えば支持部411等を省略し、取付孔406と連通するスリットを膨出部405やリブ402等に形成しておき、入賞口スイッチ221の長手方向を左右方向に沿わせた状態で、当該入賞口スイッチ221を球通路231の背面側から前方向に向けて当該球通路231内へ挿し込むような取付構造などを採用することができる。
(i)上記実施形態では、上下方向に沿って延びる通路区間において、入賞口スイッチ221が取付けられる構成となっているが、これに限らず、例えば通路が斜めに傾斜した区間において入賞口スイッチ221を取付ける構成としてもよい。
(j)上記実施形態では、球検出手段として、遊技球の通過に伴う磁束の変化を検出することにより当該遊技球の通過を検出する近接スイッチを採用している。これに限らず、遊技球の通過を光センサにより検知するスイッチなど他の構成のものを採用してもよい。
(k)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機などとして実施してもよい。
(l)上記実施形態では、製造工程の複雑化や生産コストの増大を抑制する観点から、球回収部材216が樹脂材料により一体形成された構成となっているが、これに限らず、例えば、入賞口スイッチ221への遊技球の衝突を回避する観点から、入賞口スイッチ221の通過孔221dの全周囲に延出片(防護片)を形成するため、球回収部材216が複数部材を組み合わせてなる構成や、前後左右など多方向へ金型を型抜きするような複雑な動作を行う金型装置を用いて形成される構成としてもよい。
(m)入賞口スイッチ221への遊技球の衝突を回避する観点から延出片407等を形成するだけであれば、膨出部405を省略した構成としてもよい。
(n)入賞口スイッチ221への遊技球の衝突を回避する観点から延出片407等を形成するだけであれば、延出片407等が入賞口スイッチ221に当接しない構成としてもよい。
以下、特許請求の範囲の請求項に記載されないものであって、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
手段1.遊技球が流下可能な球通路を有した球通路構成部材と、
遊技球が通過可能な通過孔を有し、当該通過孔を通過する遊技球を検出可能な球検出手段とを備え、
前記通過孔が前記球通路内に臨むように前記球検出手段が前記球通路構成部材に取付けられる遊技機において、
前記球通路構成部材は、
前記球検出手段の上面部に沿って前記球通路の内壁面から当該球通路の内側に向けて延出し、その端縁部の少なくとも一部が前記球検出手段の通過孔の周縁形状に沿って形成された延出片(防護片)を備えていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段1によれば、上記延出片を備えることにより、球検出手段の通過孔周縁に対し遊技球が直接、勢い良く衝突するのを防止し、当該球検出手段に破損や故障等が発生するおそれを低減することができる。
手段2.前記球検出手段の取付状態において、少なくとも当該球検出手段の上面部に対し前記延出片が当接した状態となることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段2によれば、延出片と球検出手段の上面部との間に隙間が生じず、上記手段1の作用効果をより確実なものとすることができる。
手段3.前記球通路のうち、所定壁部(例えば背壁部)に沿って遊技球が流下するよう構成され、
少なくとも前記球検出手段の通過孔の中心位置より前記所定壁部側の範囲に前記延出片を形成したことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
上述したような遊技球の衝突を抑制する規制手段としての効果を高める場合には、球検出手段の通過孔の全周囲において上記延出片を形成することが好ましいが、かかる構成とすると、球通路が狭くなり、遊技球が円滑に流下しなくなってしまうおそれがある。この点、上記手段3によれば、このような不具合の発生を抑制しつつも、規制手段としての効果をより効果的に発揮させることができる。
手段4.前記所定壁部の一部において、当該球通路の内側から外側に向けて膨出した膨出部を備え、
前記膨出部に前記延出片を設けたことを特徴とする手段3に記載の遊技機。
通常の通路区間に延出片を設ける場合、通路と遊技球との大きさの関係上、延出片の突出量をそれほど大きくすることができないが、本手段4のように通路外方へ膨出した膨出部から通路内方へ向けて延出片を突出させることにより、当該延出片の突出量を比較的大きくすることができるため、規制手段としてより大きな作用効果を得ることができる。
手段5.前記膨出部において、遊技球の流下方向に沿った開口幅が、前記通過孔の貫通方向に沿った前記球検出手段の上下幅と略同一幅に形成され、当該球検出手段を前記球通路内へ挿し込み可能に構成された取付孔を備え、
前記取付孔の上流側縁部及び下流側縁部から前記延出片がそれぞれ前記球通路の内側に向けて延出し、
前記球検出手段の取付状態においては、前記両延出片が前記球検出手段の上面部及び下面部に当接した状態となることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
球検出手段を球通路内へ挿し込んで固定する取付構造として、球検出手段を挿し込む取付孔と対向する位置に、球検出手段の挿込み側先端部を保持する凹型の保持部を形成したものが従来より知られている。しかし、一般に球通路構成部材は樹脂材料等により一体形成されているため、従来の構成では、球通路構成部材を金型成形する際、凹型保持部のうちの一対の突出部分を形成するための金型を型抜きする都合上、取付孔の上流側縁部と球検出手段の上面部との間、及び、取付孔の下流側縁部と球検出手段の下面部との間に隙間が形成されていた。そのため、かかる隙間から球通路内へ針金等を侵入させ、球検出手段の通過孔へ針金等を挿通し、球検出手段を誤作動させるといった不正行為が行われるおそれがあった。勿論、前後左右など多方向へ金型を型抜きするような複雑な動作を行う金型装置を用いれば、上記隙間を生じさせることなく、上記凹型保持部を形成することも不可能ではないが、かかる場合には、製造工程の複雑化や生産コストの増大といった不具合を生じさせることとなる
この点、上記手段5では、遊技球の流下方向(通路方向)に沿った取付孔の開口幅を球検出手段の上下幅と略同一幅に形成することで、取付孔の上流側縁部と球検出手段の上面部との間、及び、取付孔の下流側縁部と球検出手段の下面部との間に隙間が形成されないようになる。これにより、上述したような不正行為を抑制することができる。
上述したとおり、取付孔の上流側縁部と球検出手段の上面部との間、及び、取付孔の下流側縁部と球検出手段の下面部との間に隙間が形成されないように、球通路構成部材を成形する場合には、球検出手段の挿込み側先端部を保持する凹型保持部を形成することができなくなるため、球検出手段の取付状態を不安定にするおそれがある。
これに対し、球通路の内壁面に球検出手段の挿込み方向に沿って、当該球検出手段の側辺部が嵌り込む溝部を形成することにより、取付状態の安定化を図ることも考えられるが、球検出手段の側辺部と通過孔の周縁部と距離は比較的短く、これだけでは十分な保持量を確保することが難しい。
この点、本手段5では、取付孔の上流側縁部及び下流側縁部からそれぞれ球通路の内側に向けて延出形成された延出片が、球検出手段の上面部及び下面部に面当接してこれを支持するため、球検出手段を安定して保持することができる。
尚、単に球検出手段の上面部及び下面部に面当接し、比較的大きな当接面積を確保するだけであれば、膨出部を設けることなく、取付孔から通路外方側に向けて保持用の延出片を延出形成する構成も考えられるが、かかる構成では、取付孔の上流側縁部及び下流側縁部から通路外方に向け突出した保持用の延出片が邪魔となり、取付孔への球検出手段の取付作業が行いにくくなるおそれがある。
この点、本手段5では、球通路の内側から外側に向けて膨出した膨出部を設けるとともに、ここに形成した取付孔の上流側縁部及び下流側縁部からそれぞれ球通路の内側に向けて延出形成された規制用の延出片を利用することにより、球検出手段との当接面積を比較的大きく確保しつつも、球検出手段の取付作業の邪魔となることがない。
この際、延出片の端縁部を直線状とした場合、当該延出片により通過孔を塞がないようにする関係上、球検出手段との当接面積を比較的大きく確保することが難しくなる。また、仮に球検出手段の側辺部が嵌り込む溝部を有しない構成においては、断面略矩形状の球通路の1辺側(膨出部側)のみで球検出手段を保持することとなるため、球通路内における球検出手段の取付状態が不安定となるおそれがある。
この点、上述したように、延出片の端縁部の少なくとも一部が前記球検出手段の通過孔の周縁形状に沿って形成されることにより、延出片の端縁部を通過孔の周縁部に達する限界位置まで延出することができるため、保持されない球検出手段の挿込み側先端部により近い位置まで支持することができるとともに、球検出手段との当接面積をより大きく確保することができる。また、球検出手段の側辺部の少なくとも一部を支持し、断面略矩形状の球通路の3辺(少なくとも1辺及びこれと接する2辺とのコーナー部)を保持した状態となるため、球通路内における球検出手段の取付状態を安定させることができる。
手段6.遊技球を発射する発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域を前面側に有した遊技盤と、
前記遊技領域内に配置された入球手段とを備えた遊技機において、
前記流路構成部材は、前記遊技盤の背面側に取付けられる部材であって、
前記球検出手段は、前記入球手段へ入球した遊技球を検出する入球検出手段であることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
上記手段6のような構成の遊技機は、適正に遊技球を流下させる等するため、遊技ホール等において、遊技盤の上部がより後方に位置するように傾斜して設置される。このため、流路構成部材(球通路)の背面側に少なくとも上記延出片を設けることにより、上述したように規制手段として機能させることができる。
手段7.前記球検出手段は、遊技球の通過に伴う磁束の変化を検出することにより当該遊技球の通過を検出する近接スイッチであることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
本手段のような近接スイッチを球検出手段として用いた場合、外部からの電波の影響を受けて検出コイル周りの磁界が変化してしまうことがある。このため、従来では、電波を発信する機器を使用して、故意に近接スイッチを誤作動させる不正行為、いわゆる「電波ゴト」が行われるおそれがあった。
かかる電波ゴトの方法の一つとして、例えば正規の遊技球よりも直径の大きい遊技球(以下、「不正大球」という)を用いる方法が考えられる。かかる場合、まず不正大球を予め球通路内へ入れる。そうすると、当該不正大球は、球検出手段の通過孔を通過できずに、当該通過孔に引っ掛った状態となる。これにより、球検出手段は、常時、不正大球を検出した状態(オン状態)となる。この状態で、球検出手段を非検知状態(オフ状態)とする不正な電波を適宜発信することにより、オンオフ状態を切換え、遊技球が通過していないにもかかわらず、遊技球が通過したと誤検知させることができる。
この点、球検出手段の上流側に上記延出片を備えることにより、球検出手段の検出範囲に届かない位置で不正大球を留めておくことも可能となるため、上述したような不正行為を抑制することができる。
手段8.前記球検出手段は、前記通過孔を通過する遊技球を検出可能なその検出範囲が、前記通過孔を通過不能な遊技球(通過孔の直径よりも大きな直径を有する球)が当該通過孔に上流側から嵌った状態においても届かない位置に設定されていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
例えば、通過孔の貫通方向に対し、検出範囲が、球検出手段の上面部から通過孔の半径(通過孔を通過可能な最大径の球の半径)以上離れているもの等が一例として挙げられる。
上記手段8によれば、上述したような不正大球を用いた不正行為の抑制効果をさらに高めることができる。例えば、不正大球が楕円形状等、歪な形状に形成されている場合においては、球検出手段の上流側に上記延出片を備えるだけでは、不正大球の一部が球検出手段の検出範囲に届いてしまい、効果が不十分となるおそれがある。
手段9.前記遊技機は弾球遊技機(例えば、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機)であることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の遊技機。
例えば、弾球遊技機では、所定の入球手段への遊技球の入球に基づき、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段を備えている。ここで、遊技価値を付与することには、例えば賞球の払出しを行うこと、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか否かの抽選を行うこと、識別情報を変動表示することなどが含まれる。