JP6036587B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板 - Google Patents

方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を安価に得ることができる磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法およびかような方向性電磁鋼板の製造に適した方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板に関するものである。
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料で、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有するものである。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、二次再結晶焼鈍の際にいわゆるゴス(Goss)方位と称される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる、二次再結晶を通じて形成される。
従来、このような方向性電磁鋼板は、4.5mass%以下程度のSiと、MnS,MnSe,AlNなどのインヒビター成分を含有するスラブを、1300℃以上に加熱して、インヒビター成分を一旦固溶させたのち、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、ついで湿潤水素雰囲気中で一次再結晶焼鈍を施して、一次再結晶および脱炭を行い、ついでマグネシア(MgO)を主剤とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶およびインヒビター成分の純化のために1200℃で5h程度の最終仕上焼鈍を行うことによって製造されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
上述したとおり、従来の方向性電磁鋼板の製造に際しては、MnS,MnSe,AlNなどの析出物(インヒビター成分)をスラブ段階で含有させ、1300℃を超える高温のスラブ加熱により、これらのインヒビター成分を一旦固溶させ、後工程で微細析出させることにより、二次再結晶を発現させるという工程が採用されてきた。このように、従来の方向性電磁鋼板の製造工程では、1300℃を超える高温でのスラブ加熱が必要であったため、その製造コストは極めて高いものとならざるを得ず、近年の製造コスト低減の要求に応えることができないというところに問題を残していた。
上記の問題を解決するために、例えば特許文献4では、酸可溶性Al(sol.Al)を0.010〜0.060%含有させ、スラブ加熱を低温に抑え、脱炭焼鈍工程で適正な窒化雰囲気下で窒化を行うことにより、二次再結晶時にAlNあるいは(Al,Si)Nを析出させてインヒビターとして用いる方法が提案されている。AlNや(Al,Si)Nは鋼中に微細分散して有効なインヒビターとして機能するが、Alの含有量によってインヒビター強度が決まるため、製鋼でのAl量的中精度が十分ではない場合は、十分な粒成長抑制力が得られない場合があった。このような途中工程で窒化処理を行い、(Al,Si)NあるいはAlNをインヒビターとして利用する方法が数多く提案されており、最近ではスラブ加熱温度も1300℃を超える製造方法等も開示されている。
また、窒化を利用する技術は、二次再結晶焼鈍時(仕上げ焼鈍時)に窒化物を析出させる場合が多く、例えば特許文献5では、700〜800℃間で4時間以上滞留させることによって、Al含有窒化物を形成している。
一方、そもそもスラブにインヒビター成分を含有させずに二次再結晶を発現させる技術についても検討が進められ、例えば特許文献6では、インヒビター成分を含有させなくとも二次再結晶ができる技術、いわゆるインヒビターレス法が開発された。このインヒビターレス法は、より高純度化した鋼を利用し、テクスチャー(集合組織の制御)によって二次再結晶を発現させる技術である。
このインヒビターレス法では、高温のスラブ加熱が不要であり、低コストでの方向性電磁鋼板の製造が可能ではあるが、インヒビターを有しないが故に製造時に、途中工程での温度のバラツキ等の影響を受け、製品の磁気特性もバラツキやすいという特徴があった。なお、集合組織の制御は、本技術においては重要な要素であり、集合組織制御のため温間圧延などの多くの技術が提案されている。
集合組織を改質する手段としては、上述した温間圧延の他に、例えば特許文献7〜11等において、最終冷間圧延板を脱炭焼鈍時に急速加熱する方法や脱炭焼鈍直前に急速加熱を施して一次再結晶集合組織を改善する方法が提案されている。このような手法を用いることによって、一次再結晶集合組織のゴス方位{110}<001>の存在頻度を高めることができる。例えば、特許文献8では、圧延中に温間圧延を実施した鋼板に対して、一次再結晶焼鈍の昇温速度を50℃/s以上として、700℃まで加熱する手法が提案されている。
しかしながら、こうした集合組織制御が十分に行えない場合は、インヒビターを用いる技術に比べて二次再結晶後のゴス方位((110)〔001〕)への集積度は低く、磁束密度も低くなる傾向にあった。
米国特許第1965559号公報 特公昭40-15644号公報 特公昭51-13469号公報 特許第2782086号公報 特開平04-235222号公報 特開2000-129356号公報 特開平07-62436号公報 特開平07-62437号公報 特開平10-298653号公報 特開2003-27194号公報 特開2000-204450号公報
Sai Ramudu Meka et al.: Philos Mag vol.92, No.11, 11 April 2012, 1435-1455
上述したとおり、これまで提案されてきたインヒビターレス法を用いた方向性電磁鋼板の製造方法では、良好な磁気特性を安定的に実現することは必ずしも容易ではなかった。
本発明は、Alを100ppm未満に抑制したインヒビターレス成分に準じた成分を用い、高温スラブ加熱を回避しつつ、窒化を利用することで、AlNではなく窒化珪素(Si3N4)を析出させ、この窒化珪素を正常粒成長の抑制力として機能させることにより、磁気特性のバラつきを大幅に低減して、工業的に安定して良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板の製造を可能にしたものである。
発明者らは、スラブ加熱温度を抑えつつ、磁気特性のバラツキを低減した方向性電磁鋼板を得るために、インヒビターレス法を用いて一次再結晶集合組織の作り込みを行い、これに途中工程で窒化を利用して窒化珪素を析出させ、これをインヒビターとして利用する検討を行った。
すなわち、発明者らは、方向性電磁鋼板で一般に数%程度含有される珪素を窒化珪素として析出させ、これをインヒビターとして利用することが可能であれば、窒化処理時の窒化量を制御することにより、窒化物形成元素(Al,Ti,Cr,V等)の多寡によらず同等の粒成長抑制力が得られるのではないかと考えた。
一方で純粋な窒化珪素は、AlN中にSiが固溶した(Al,Si)Nとは異なり、鋼の結晶格子との整合性が悪く、また共有結合性の複雑な結晶構造を有するため、粒内に微細に析出させることは極めて困難であることが知られている。したがって、従来法のように窒化後に、粒内に微細に析出させることは困難であると考えられる。
しかしながら、これを逆に利用すれば、窒化珪素を粒界に選択的に析出させることができる可能性が考えられる。そして、仮に粒界に選択的に析出させることが可能であれば、析出物が粗大となっていても十分な抑制力が得られると考えられる。
そこで、発明者らは、上記の考えに立脚し、素材の成分組成をはじめとして、窒化処理における窒素増量や窒素を粒界に拡散させて窒化珪素を形成するための熱処理条件等について鋭意検討を重ねた末に、窒化珪素の有用性を新たに見出した。
また、窒化珪素(Si3N4)を粒界に選択的に析出させ、粗大ながらもインヒビターとして有効に機能させるために好適な一次再結晶組織についても解明した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有すると共に、S,SeおよびOをそれぞれ50ppm未満、sol.Alを100ppm未満に抑制し、さらにNを80ppm以下で、かつsol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppmを満足する範囲に制御し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、再加熱することなくまたは再加熱後、熱間圧延により熱延板としたのち、焼鈍および圧延を施して最終板厚の冷間圧延板とし、ついで一次再結晶焼鈍の途中あるいは焼鈍後に、650℃未満では5分以下、650℃以上900℃未満の範囲では2分以下、900℃以上では1分以下の条件で窒素増量が50ppm以上1000ppm以下となる窒化処理を施したのち、焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造工程において、
一次再結晶焼鈍の最高温度を780〜1000℃の範囲のいずれかの温度で、かつ最高温度での均熱時間を10秒以上200秒以下とし、さらに一次再結晶焼鈍と窒化処理を含めた熱処理において700℃以上の温度域での総滞留時間を600秒以下とすることにより、二次再結晶焼鈍前、鋼板の表層近傍に窒素濃化層を有する一次再結晶組織の結晶粒径を円相当径で8μm以上30μm以下とすると共に、二次再結晶焼鈍の昇温過程における300〜800℃の温度域における滞留時間を5時間以上150時間以下とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記一次再結晶焼鈍に際し、500℃から700℃までの温度域における平均昇温速度を50℃/s以上とすることを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記鋼スラブが、さらに質量%で、
Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記1または2のいずれかに記載の方向性電磁鋼板製造方法における中間素材である一次再結晶鋼板であって、その組成が、質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有し、S,SeおよびOがそれぞれ50ppm未満、sol.Alが100ppm未満、Nが50ppm以上1080ppm以下で、残部はFeおよび不可避的不純物の範囲を満足し、かつ鋼板の表層近傍に窒素濃化層を有する一次再結晶組織の結晶粒径が円相当径で8μm以上30μm以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板。
5.前記一次再結晶鋼板が、さらに質量%で、
Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記4に記載の方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板。
本発明によれば、高温スラブ加熱の必要なしに、磁気特性のバラツキを大幅に低減して、良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板を、工業的に安定して製造することができる。
また、本発明では、Alとの複合析出ではない純粋な窒化珪素を利用するので、純化に際しては、比較的拡散の早い窒素のみを純化するだけで鋼の純化を達成することができる。
さらに、析出物として、従来のようなAlやTiを利用する場合には、最終的な純化と確実なインヒビター効果という観点から、ppmオーダーでの制御が必要であったが、本発明のように析出物としてSiを利用する場合には、製鋼時にそのような制御は一切不要である。
脱炭焼鈍後、窒素増量が100ppm(同図a)、500ppm(同図b)となるような窒化処理を行い、所定の昇温速度で800℃まで昇温したのち、直ちに水冷した組織の電子顕微鏡写真、また同図(c)は、上記した組織中の析出物のEDX(エネルギー分散型X線分光法)による同定結果を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶集合組織を改善する上で有用な元素であるが、含有量が0.08%を超えるとかえって一次再結晶集合組織の劣化を招くので、C量は0.08%以下に限定した。磁気特性の観点から望ましい含有量は0.01〜0.06%の範囲である。なお、要求される磁気特性のレベルがさほど高くない場合には、一次再結晶焼鈍における脱炭を省略あるいは簡略化するために、C量を0.01%以下としてもよい。
Si:2.0〜4.5%
Siは、電気抵抗を高めることによって鉄損を改善する有用元素であるが、含有量が4.5 %を超えると冷間圧延性が著しく劣化するので、Si量は4.5%以下に限定した。一方、Siは窒化物形成元素として機能させる必要があるため、2.0%以上含有させることが必要である。また鉄損の観点からも望ましい含有量は2.0〜4.5%の範囲である。
Mn:0.5%以下
Mnは、製造時における熱間加工性を向上させる効果があるので0.01%以上含有させることが好ましいが、含有量が0.5%を超えた場合には、一次再結晶集合組織が悪化して磁気特性の劣化を招くので、Mn量は0.5%以下に限定した。
S,SeおよびO:それぞれ50ppm未満
S,SeおよびO量がそれぞれ50ppm以上になると、二次再結晶が困難となる。この理由は、粗大な酸化物や、スラブ加熱によって粗大化したMnS,MnSeが一次再結晶組織を不均一にするためである。従って、S,SeおよびOはいずれも50ppm未満に抑制するものとした。
sol.Al:100ppm未満
Alは、表面に緻密な酸化膜を形成し、窒化の際にその窒化量の制御を困難にしたり、脱炭を阻害することもあるため、Alはsol.Al量で100ppm未満に抑制する。但し、酸素親和力の高いAlは、製鋼工程で微量添加することにより鋼中の溶存酸素量を低減し、特性劣化につながる酸化物系介在物の低減などを見込めるため、100ppm未満の範囲で添加することにより磁性劣化を抑制することができる。
N:80ppm以下で、かつsol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppm
本発明では、インヒビターレスの製造方法を適用して集合組織の作り込みまでを行うため、Nは80ppm以下に抑制する必要がある。Nが80ppmを超えると粒界偏析の影響や微量窒化物の形成により、集合組織が劣化するといった弊害が生じる。また、スラブ加熱時にフクレなどの欠陥の原因となることもあるため、N量は80ppm以下に抑制する必要がある。好ましくは60ppm以下である。
本発明では、N量を単に80ppm以下に抑制するだけでは不十分で、sol.Al量との関係で、sol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppmの範囲に制御する必要がある。
本発明では、窒化処理により、窒化珪素を析出させることが特徴であるが、過剰なAlが残存した場合には、窒化処理後に熱力学的により安定なAlNがSiに固溶した(Al,Si)Nの形で析出することが多く、純粋な窒化珪素を析出をさせることができない。
しかしながら、N量をsol.Al量との関係でsol.Al−N×(26.98/14.00)≦0の範囲に制御しておく、換言すれば、含有するAl量に対してAlNとして析出する以上のNが含有されていれば、窒化処理以前にAlをAlNとして析出固定しておくことが可能であり、窒化処理によって鋼中に追加したN(ΔN)は窒化珪素の形成のみに使用される。ここに、ΔNとは、窒化処理によって鋼中に増量される窒素を意味する。そして、sol.Al−N×(26.98/14.00)≦0の範囲では、概ね50ppm以上の窒素増量によって窒化珪素を形成させることができる。
一方、sol.Al−N×(26.98/14.00)の値が0を超え30以下の範囲では、窒化処理後に純粋な窒化珪素を形成するには、より過剰の窒素増量(ΔN)が必要となるが、残留するAlの量は微量であるため、純粋な窒化珪素を析出させることができる。
しかしながら、sol.Al−N×(26.98/14.00)の値が30を超えた場合には、窒化処理の際に追加されるNに起因して微細析出するAlNや(Al,Si)Nの影響が大きくなり、二次再結晶温度が過剰に高くなって二次再結晶不良が生じるため、sol.Al−N×(26.98/14.00)の値は30ppm以下に抑制する必要がある。
以上、基本成分について説明したが、本発明では、工業的により安定して磁気特性を改善する成分として、以下の元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.005〜1.50%
Niは、熱延板組織の均一性を高めることにより、磁気特性を改善する働きがあり、そのためには0.005%以上含有させることが好ましいが、一方で含有量が1.50%を超えると二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するので、Niは0.005〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Sn:0.01〜0.50%
Snは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を向上させる有用元素であり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、一方で0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するので、Snは0.01〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Sb:0.005〜0.50%
Sbは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる有用元素であり、その目的のためには0.005%以上含有させることが好ましいが、一方で0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するので、Sbは0.005〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Cu:0.01〜0.50%
Cuは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、一方で0.50%を超えて含有されると熱間圧延性の劣化を招くので、Cuは0.01〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Cr:0.01〜1.50%
Crは、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、一方で含有量が1.50%を超えると二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するので、Crは0.01〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
P:0.0050〜0.50%
Pは、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.0050%以上含有させることが好ましいが、一方で含有量が0.50%を超えると冷間圧延性が劣化するので、Pは0.0050〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Mo:0.01〜0.50%、Nb:0.0005〜0.0100%
MoおよびNbはいずれも、スラブ加熱時の温度変化による割れの抑制等を介して、熱延後のヘゲを抑制する効果を有している。これらはそれぞれ、Moは0.01%以上、Nbは0.0005%以上含有させなければヘゲ抑制の効果は小さく、一方Moは0.50%を超えると、Nbは0.0100%を超えると炭化物、窒化物を形成するなどして最終製品まで残留した際、鉄損の劣化を引き起こすため、それぞれ上述の範囲とすることが望ましい。
次に、本発明の製造方法について説明する。
上記の好適成分組成範囲に調整した鋼スラブを、再加熱することなくまたは再加熱したのち、熱間圧延に供する。なお、スラブを再加熱する場合には、再加熱温度は1000℃以上、1300℃以下程度とすることが望ましい。というのは、1300℃を超えるスラブ加熱は、スラブの段階で鋼中にインヒビターをほとんど含まない本発明では無意味であって、コストアップとなるだけであり、一方1000℃未満では、圧延荷重が高くなり、圧延が困難となるからである。
ついで、熱延板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、最終冷延板とする。この冷間圧延は、常温で行ってもよいし、常温より高い温度たとえば250℃程度に鋼板温度を上げて圧延する温間圧延としてもよい。
ついで、最終冷間圧延板に一次再結晶焼鈍を施す。
この一次再結晶焼鈍の最も重要な目的は、圧延組織を有する冷間圧延板を一次再結晶させて、二次再結晶に最適な一次再結晶粒径に調整することである。
発明者らの検討によれば、最適な一次再結晶粒径は円相当径で8μm以上30μm以下であることが判明した。
従来利用されている窒化によってAlNを結晶粒内に微細析出させる方法では、粒界密度が高い場合も低い場合も、粒成長のために粒界が移動すると粒内の析出物に干渉するので、粒成長抑制効果が得られる。これに対し、本発明で利用する窒化珪素は、窒素の粒界拡散を利用して粒界に析出させることで、粗大析出物であるにもかかわらず高い粒成長抑制力を発揮させるものである。このため、結晶粒径が8μmを下回るほど小さくなると、粒界の総延長が大きくなるため、これらを全てピンニングするために必要なSi3N4の量も増加することになる。その結果、それに見合うように過剰な窒化を行った場合には純化が困難になるばかりか、Si3N4の溶解度積([Si][N])が高まり、熱力学的に高温まで安定となるため、粒成長抑制効果が弱まらず、二次再結晶まで抑制されることになる。従って、一次再結晶の結晶粒径は8μm以上とする必要がある。一方、上限については、Si3N4の析出とは関係なく、結晶粒径が30μmを超えると二次再結晶の駆動力が低下して二次再結晶が生じ難くなるので、結晶粒径は30μm 以下とする必要がある。
一次再結晶組織の結晶粒径を上記した適正な粒径に制御するためには、一次再結晶焼鈍の最高温度は780℃以上、1000℃以下の温度とし、さらに一次再結晶焼鈍と窒化処理を含めた熱処理における700℃以上の温度域での総滞留時間を600秒以下、最高温度での均熱時間を10秒以上200秒以下に制限する必要がある。特にAl≦60ppm、N≦50ppm、かつMn≦0.2%、S≦30ppmを満たす成分系では、焼鈍最高温度は950℃以下の範囲とし、最高温度での均熱時間を5秒以上180秒以下に制限することでより安定的に最適結晶粒径に制御することができる。
なお、本発明の成分系では窒化処理を行う前は、そもそも鋼中にインヒビター成分をほとんど含有していないため、この再結晶後の粒成長は進行し易く、粒径制御には注意が必要である。この時の焼鈍雰囲気は、湿水素窒素あるいは湿水素アルゴン雰囲気とすることで脱炭焼鈍を兼ねても良い。
この一次再結晶焼鈍中、あるいは焼鈍後に窒化処理を施す。窒化の手法は窒化量を制御出来れば、特に限定しない。過去に実施されている、コイル形態のままNH3雰囲気ガスを用いてガス窒化を行なってもよいし、走行するストリップに対して連続的に窒化を行ってもよい。ガス窒化に比べて窒化能の高い塩浴窒化等を利用することも可能である。ここに、塩浴窒化を利用する場合の塩浴としては、シアン酸塩を主成分とする塩浴が好適である。
この際重要な点は、表層に窒化物層を得ることと、粒成長を助長しないということである。一次再結晶焼鈍と窒化処理を連続的に行う場合も、または一次再結晶焼鈍後にバッチ処理で窒化処理を行う場合も、粒成長抑制の観点から、鋼帯に対して700℃以上の温度域での総滞留時間を600秒以下とする必要がある。一次再結晶焼鈍後にバッチ処理で窒化処理を行う場合も積算時間として管理が必要である。したがってバッチ処理で行う場合は、700℃以下の低温での窒化処理が適している。また表層に窒化層を形成させ、鋼中への拡散を抑制する観点から短時間処理が有効である。一般的な窒化処理の特徴から、より高温ほど窒化能が高いが適正窒素増量が得られる範囲で、650℃未満で実施する場合は5分以下、650℃以上900℃未満の範囲では2分以下、900℃以上では1分以下で実施することが望ましい。
そして、窒化による窒素増量(ΔN)が概ね50ppmを超えると、窒化珪素を確認することができる。
しかしながら、0≦sol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppmの範囲では、窒化処理により増加したNは、窒化珪素に比べ熱力学的により安定なAlNあるいはSiに固溶した(Al,Si)Nとして析出するため、純粋な窒化珪素を析出させるためには、より過剰の窒素が必要となる。いずれの条件であっても50ppm以上のNを窒化により増量することによって窒化珪素の析出は達成される。この点、窒素増量が50ppmに満たないとその効果は充分に得られず、一方1000ppmを超えると窒化珪素の析出量が過多となって二次再結晶が生じ難くなったり、二次再結晶後の純化が困難になるといった問題が生じる。好ましい窒素増量は80ppm以上である。
なお、非特許文献1では、圧延後、再結晶前に窒化処理を行うことにより粒内に窒化珪素を析出させているが、圧延後に窒化処理を行うと転位上で窒素拡散が生じるため、本発明で意図した選択的な粒界析出を達成することができない。したがって、少なくとも再結晶が終わった一次再結晶焼鈍中、または焼鈍後のいずれかのタイミングで窒化処理を行うことが肝要である。
上記の一次再結晶焼鈍および窒化処理を施したのち、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布する。二次再結晶焼鈍後の鋼板表面にフォルステライト被膜を形成するためには、焼鈍分離剤の主剤をマグネシア(MgO)とする必要があるが、フォルステライト被膜の形成が必要ない場合には、焼鈍分離剤主剤として、アルミナ(Al2O3)やカルシア(CaO)など、二次再結晶焼鈍温度より高い融点を有する適当な酸化物を用いることができる。
これに引き続き二次再結晶焼鈍を行う。この二次再結晶焼鈍では、昇温過程における300〜800℃の温度域における滞留時間を5時間以上150時間以下とすることが好ましい。
二次再結晶焼鈍の昇温過程において、表層の窒化物層は分解し、Nが鋼中へ拡散する。本発明の成分系では、AlNを形成することができるAlが残存しないため、粒界偏析元素であるNは粒界を拡散経路として鋼中へ拡散する。
窒化珪素は、鋼の結晶格子との整合性が悪い(misfit率が大きい)ため、析出速度は極めて遅い。とはいえ、窒化珪素の析出は、正常粒成長の抑制が目的であるため、正常粒成長が進行する800℃の段階では十分な量を粒界上に選択的に析出させておく必要がある。このためには、300〜800℃の温度域における滞留時間を5時間以上とすることが好ましい。滞留時間が5時間未満では充分に窒化珪素の析出が進行しない。滞留時間の上限については必ずしも設ける必要はないが、150時間を超える焼鈍を行っても効果の向上は望めないので、150時間以下とすることが好ましい。なお、焼鈍雰囲気は、N2,Ar,H2あるいはこれらの混合ガスのいずれもが適合する。
上記したように、鋼中のAl量が抑制され、窒化処理によるAlN,(Al,Si)Nの析出を抑え、さらにMnSやMnSe等に代表されるインヒビター成分をほとんど含有しないスラブに対して、上述の工程を経て製造される方向性電磁鋼板では、二次再結晶焼鈍の昇温過程中、二次再結晶開始までの段階において、従来インヒビターに比べて粗大なサイズ(100nm以上)の窒化珪素を粒界に選択的に析出させることができる。
図1(a),(b)はそれぞれ、脱炭焼鈍後、100ppm、500ppmの窒素増量となるような窒化処理を行い、300〜800℃の温度域における滞留時間が8時間となる昇温速度で800℃まで昇温したのち、直ちに水冷した組織を、電子顕微鏡により観察、同定したものである。
同図から明らかなように、従来利用されてきた微細析出物(<100nm)とは異なり、最小のものであっても100nmを超える粗大な窒化珪素が粒界上に析出している様子が確認される。
本発明の特徴であるAlとの複合析出ではない純粋な窒化珪素を利用するという点は、鋼中に数%というオーダーで存在し、鉄損改善に効果を有するSiを有効に活用するという点において、極めて高い安定性を有している。すなわち、これまでの技術で利用されてきたAlやTiといった成分は、窒素との親和力が高く、高温まで安定な析出物であることから、最終的に鋼中に残留しやすく、また残留することにより磁気特性を劣化させる要因となるおそれがある。
しかしながら、窒化珪素を利用した場合、比較的拡散の早い窒素のみを純化するだけで磁気特性に有害となる析出物の純化を達成することができる。また、AlやTiについては、最終的に純化しなければならないという観点と、インヒビター効果を確実に得なければならないという観点から、ppmオーダーでの制御が必要であるが、Siを利用する場合には、製鋼時にそのような制御が不要であることも、本発明の重要な特徴である。
なお、製造上、窒化珪素の析出には二次再結晶昇温過程を利用するのがエネルギー効率上、最も有効であることは明白であるが、同様のヒートサイクルを利用すれば窒化珪素の粒界選択析出は可能となるため、長時間の二次再結晶焼鈍の前に、窒化珪素分散焼鈍として実施することによっても製造することはできる。
ついで、850℃前後の温度で二次再結晶焼鈍後、鋼板表面に、さらに絶縁被膜を塗布、焼き付けることもできる。かかる絶縁被膜の種類については、特に限定されることはなく、従来公知のあらゆる絶縁被膜が適合する。たとえば、特開昭50−79442号公報や特開昭48−39338号公報に記載されているリン酸塩−クロム酸塩−コロイダルシリカを含有する塗布液を鋼板に塗布し、800℃程度で焼き付ける方法が好適である。
また、平坦化焼鈍によって鋼板の形状を整えることも可能であり、さらにこの平坦化焼鈍を絶縁被膜の焼き付け処理と兼備させることもできる。
(実施例1)
C:0.06%、Si:3.0%、Mn:0.04%、S:0.004%およびCu:0.01%を含有し、かつAlとNを表1に示す割合で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、1150℃で60分加熱後、熱間圧延により2.4mm厚の熱延板とし、1030℃,100秒間の焼鈍を施した後、冷間圧延により0.27mmの最終板厚とし、ついで得られた冷間圧延コイルの中央部から100mm×400mmサイズの試料を採取し、ラボにて500〜700℃間の昇温速度を30℃/sとする一次再結晶と脱炭を兼ねた焼鈍を行った。一部の試料については一次再結晶焼鈍と脱炭と窒化(連続窒化処理:NH3とN2,H2の混合ガスを利用した窒化処理)を兼ねた焼鈍を行った。その後、窒化を施していない試料に対しては、バッチ処理による窒化処理(バッチ処理:シアン酸塩を主成分とする塩を利用した塩浴による窒化処理、およびNH3とN2の混合ガスを利用した窒化処理)を行った。一次再結晶焼鈍の条件と、窒化処理の条件は表1に示す条件とし、鋼中窒素量を増加させた。窒素量は全厚を対象としたものと、表層(両面)各3μmをサンドペーパーで削り、表層を除いた試料を対象としたものについて、それぞれを化学分析によって定量した。
同一条件の鋼板は一条件につき21枚作製し、MgOを主成分としTiO2を8%含有する焼鈍分離剤を水スラリ状にしてから塗布乾燥し、鋼板上に焼き付けた。そのうち20枚に対しては、300〜800℃間を20時間で昇温し、その後1200℃まで昇温する最終仕上げ焼鈍を行い、続いてリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布焼付けて製品とした。
得られた製品について、磁化力:800A/mでの磁束密度B8(T)を評価した。磁気特性は、各条件20枚の平均値で評価した。また残る1枚については、最終仕上げ焼鈍と同じヒートパターンで800℃まで昇温したのち、試料を取り出し、そのまま水焼入れした後、鋼板組織中の窒化珪素を電子顕微鏡により観察し、窒化珪素50個当たりの平均粒径を測定した。
表1に示したとおり、発明例はインヒビターレスの製造工程で製造されたものに比べ、磁気特性が改善していることは明らかである。
(実施例2)
表1中の条件1、条件3で得た冷間圧延コイル、および条件7、条件10で得た冷間圧延コイルから、実施例1と同様の試料を採取し、それぞれの試料に対して500℃から700℃間の昇温速度を30℃/sに加えて100℃/sの水準を追加し、他の条件は実施例1の条件に揃えた。窒化処理後は300〜800℃間を20時間で昇温し、その後1200℃まで昇温する最終仕上げ焼鈍を行い、続いてリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布焼付けて製品とした。
得られた製品について、磁化力:800A/mでの磁束密度B8(T)と1.7Tまで励磁した場合の鉄損W17/50(W/kg)を評価した。
各条件20枚の平均値で評価した磁気特性を表2に示す。
昇温速度を100℃/sまで向上させることにより、磁束密度の改善に加えて鉄損の改善効果が認められることが分かる。
(実施例3)
表3に示す成分を含有する鋼スラブを、1200℃で20分加熱後、熱間圧延により2.0mm厚の熱延板とし、1000℃,1分間の焼鈍後、冷間圧延により板厚:1.5mmまでの冷間圧延したのち、1100℃,2分間の中間焼鈍を施し、ついで冷間圧延により0.27mmの最終板厚としてから、P(H2O)/P(H2)=0.3の雰囲気下で焼鈍温度:820℃となる条件で2分間保持する脱炭焼鈍を行った。その後、一部コイルに対してバッチ処理で窒化処理(520℃,1分、N2、NH3混合雰囲気下)を行い、鋼中N量を550ppm増量させた。なお、脱炭焼鈍と窒化処理を含めた700℃以上の滞留時間は3分間とした。
その後、Mg Oを主成分とし、TiO2を10%添加した焼鈍分離剤を水と混ぜてスラリ状としたものを塗布してから、コイルに巻き取り、300〜800℃間の滞留時間が30時間となる昇温速度で最終仕上げ焼鈍を行い、続いてリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
かくして得られた製品コイルからエプスタイン試験片を採取し、磁束密度B8を測定した結果を、表3に示す。
同表から明らかなように、本発明に従い得られた発明例はいずれも、高い磁束密度が得られていることが分かる。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有すると共に、S,SeおよびOをそれぞれ50ppm未満、sol.Alを100ppm未満に抑制し、さらにNを80ppm以下で、かつsol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppmを満足する範囲に制御し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、再加熱することなくまたは再加熱後、熱間圧延により熱延板としたのち、焼鈍および圧延を施して最終板厚の冷間圧延板とし、ついで一次再結晶焼鈍の途中あるいは焼鈍後に、650℃未満では5分以下、650℃以上900℃未満の範囲では2分以下、900℃以上では1分以下の条件で窒素増量が50ppm以上1000ppm以下となる窒化処理を施したのち、焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造工程において、
    一次再結晶焼鈍の最高温度を780〜1000℃の範囲のいずれかの温度で、かつ最高温度での均熱時間を10秒以上200秒以下とし、さらに一次再結晶焼鈍と窒化処理を含めた熱処理において700℃以上の温度域での総滞留時間を600秒以下とすることにより、二次再結晶焼鈍前、鋼板の表層近傍に窒素濃化層を有する一次再結晶組織の結晶粒径を円相当径で8μm以上30μm以下とすると共に、二次再結晶焼鈍の昇温過程における300〜800℃の温度域における滞留時間を5時間以上150時間以下とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記一次再結晶焼鈍に際し、500℃から700℃までの間の平均昇温速度を50℃/s以上とすることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
    Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
    Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
    Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
    Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 請求項1または2のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法における中間素材である一次再結晶鋼板であって、その組成が、質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有し、S,SeおよびOがそれぞれ50ppm未満、sol.Alが100ppm未満、Nが50ppm以上1080ppm以下で、残部はFeおよび不可避的不純物の範囲を満足し、かつ鋼板の表層近傍に窒素濃化層を有する一次再結晶組織の結晶粒径が円相当径で8μm以上30μm以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板。
  5. 前記一次再結晶鋼板が、さらに質量%で、
    Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
    Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
    Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
    Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板。
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