JP6036587B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板 - Google Patents
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Description
このインヒビターレス法では、高温のスラブ加熱が不要であり、低コストでの方向性電磁鋼板の製造が可能ではあるが、インヒビターを有しないが故に製造時に、途中工程での温度のバラツキ等の影響を受け、製品の磁気特性もバラツキやすいという特徴があった。なお、集合組織の制御は、本技術においては重要な要素であり、集合組織制御のため温間圧延などの多くの技術が提案されている。
また、窒化珪素(Si3N4)を粒界に選択的に析出させ、粗大ながらもインヒビターとして有効に機能させるために好適な一次再結晶組織についても解明した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
1.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有すると共に、S,SeおよびOをそれぞれ50ppm未満、sol.Alを100ppm未満に抑制し、さらにNを80ppm以下で、かつsol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppmを満足する範囲に制御し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、再加熱することなくまたは再加熱後、熱間圧延により熱延板としたのち、焼鈍および圧延を施して最終板厚の冷間圧延板とし、ついで一次再結晶焼鈍の途中あるいは焼鈍後に、650℃未満では5分以下、650℃以上900℃未満の範囲では2分以下、900℃以上では1分以下の条件で窒素増量が50ppm以上1000ppm以下となる窒化処理を施したのち、焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造工程において、
一次再結晶焼鈍の最高温度を780〜1000℃の範囲のいずれかの温度で、かつ最高温度での均熱時間を10秒以上200秒以下とし、さらに一次再結晶焼鈍と窒化処理を含めた熱処理において700℃以上の温度域での総滞留時間を600秒以下とすることにより、二次再結晶焼鈍前、鋼板の表層近傍に窒素濃化層を有する一次再結晶組織の結晶粒径を円相当径で8μm以上30μm以下とすると共に、二次再結晶焼鈍の昇温過程における300〜800℃の温度域における滞留時間を5時間以上150時間以下とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記4に記載の方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板。
また、本発明では、Alとの複合析出ではない純粋な窒化珪素を利用するので、純化に際しては、比較的拡散の早い窒素のみを純化するだけで鋼の純化を達成することができる。
さらに、析出物として、従来のようなAlやTiを利用する場合には、最終的な純化と確実なインヒビター効果という観点から、ppmオーダーでの制御が必要であったが、本発明のように析出物としてSiを利用する場合には、製鋼時にそのような制御は一切不要である。
まず、本発明において、鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶集合組織を改善する上で有用な元素であるが、含有量が0.08%を超えるとかえって一次再結晶集合組織の劣化を招くので、C量は0.08%以下に限定した。磁気特性の観点から望ましい含有量は0.01〜0.06%の範囲である。なお、要求される磁気特性のレベルがさほど高くない場合には、一次再結晶焼鈍における脱炭を省略あるいは簡略化するために、C量を0.01%以下としてもよい。
Siは、電気抵抗を高めることによって鉄損を改善する有用元素であるが、含有量が4.5 %を超えると冷間圧延性が著しく劣化するので、Si量は4.5%以下に限定した。一方、Siは窒化物形成元素として機能させる必要があるため、2.0%以上含有させることが必要である。また鉄損の観点からも望ましい含有量は2.0〜4.5%の範囲である。
Mnは、製造時における熱間加工性を向上させる効果があるので0.01%以上含有させることが好ましいが、含有量が0.5%を超えた場合には、一次再結晶集合組織が悪化して磁気特性の劣化を招くので、Mn量は0.5%以下に限定した。
S,SeおよびO量がそれぞれ50ppm以上になると、二次再結晶が困難となる。この理由は、粗大な酸化物や、スラブ加熱によって粗大化したMnS,MnSeが一次再結晶組織を不均一にするためである。従って、S,SeおよびOはいずれも50ppm未満に抑制するものとした。
Alは、表面に緻密な酸化膜を形成し、窒化の際にその窒化量の制御を困難にしたり、脱炭を阻害することもあるため、Alはsol.Al量で100ppm未満に抑制する。但し、酸素親和力の高いAlは、製鋼工程で微量添加することにより鋼中の溶存酸素量を低減し、特性劣化につながる酸化物系介在物の低減などを見込めるため、100ppm未満の範囲で添加することにより磁性劣化を抑制することができる。
本発明では、インヒビターレスの製造方法を適用して集合組織の作り込みまでを行うため、Nは80ppm以下に抑制する必要がある。Nが80ppmを超えると粒界偏析の影響や微量窒化物の形成により、集合組織が劣化するといった弊害が生じる。また、スラブ加熱時にフクレなどの欠陥の原因となることもあるため、N量は80ppm以下に抑制する必要がある。好ましくは60ppm以下である。
本発明では、窒化処理により、窒化珪素を析出させることが特徴であるが、過剰なAlが残存した場合には、窒化処理後に熱力学的により安定なAlNがSiに固溶した(Al,Si)Nの形で析出することが多く、純粋な窒化珪素を析出をさせることができない。
しかしながら、N量をsol.Al量との関係でsol.Al−N×(26.98/14.00)≦0の範囲に制御しておく、換言すれば、含有するAl量に対してAlNとして析出する以上のNが含有されていれば、窒化処理以前にAlをAlNとして析出固定しておくことが可能であり、窒化処理によって鋼中に追加したN(ΔN)は窒化珪素の形成のみに使用される。ここに、ΔNとは、窒化処理によって鋼中に増量される窒素を意味する。そして、sol.Al−N×(26.98/14.00)≦0の範囲では、概ね50ppm以上の窒素増量によって窒化珪素を形成させることができる。
一方、sol.Al−N×(26.98/14.00)の値が0を超え30以下の範囲では、窒化処理後に純粋な窒化珪素を形成するには、より過剰の窒素増量(ΔN)が必要となるが、残留するAlの量は微量であるため、純粋な窒化珪素を析出させることができる。
しかしながら、sol.Al−N×(26.98/14.00)の値が30を超えた場合には、窒化処理の際に追加されるNに起因して微細析出するAlNや(Al,Si)Nの影響が大きくなり、二次再結晶温度が過剰に高くなって二次再結晶不良が生じるため、sol.Al−N×(26.98/14.00)の値は30ppm以下に抑制する必要がある。
Ni:0.005〜1.50%
Niは、熱延板組織の均一性を高めることにより、磁気特性を改善する働きがあり、そのためには0.005%以上含有させることが好ましいが、一方で含有量が1.50%を超えると二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するので、Niは0.005〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Snは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を向上させる有用元素であり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、一方で0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するので、Snは0.01〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Sbは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる有用元素であり、その目的のためには0.005%以上含有させることが好ましいが、一方で0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するので、Sbは0.005〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Cuは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、一方で0.50%を超えて含有されると熱間圧延性の劣化を招くので、Cuは0.01〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Crは、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましいが、一方で含有量が1.50%を超えると二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するので、Crは0.01〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Pは、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.0050%以上含有させることが好ましいが、一方で含有量が0.50%を超えると冷間圧延性が劣化するので、Pは0.0050〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
MoおよびNbはいずれも、スラブ加熱時の温度変化による割れの抑制等を介して、熱延後のヘゲを抑制する効果を有している。これらはそれぞれ、Moは0.01%以上、Nbは0.0005%以上含有させなければヘゲ抑制の効果は小さく、一方Moは0.50%を超えると、Nbは0.0100%を超えると炭化物、窒化物を形成するなどして最終製品まで残留した際、鉄損の劣化を引き起こすため、それぞれ上述の範囲とすることが望ましい。
上記の好適成分組成範囲に調整した鋼スラブを、再加熱することなくまたは再加熱したのち、熱間圧延に供する。なお、スラブを再加熱する場合には、再加熱温度は1000℃以上、1300℃以下程度とすることが望ましい。というのは、1300℃を超えるスラブ加熱は、スラブの段階で鋼中にインヒビターをほとんど含まない本発明では無意味であって、コストアップとなるだけであり、一方1000℃未満では、圧延荷重が高くなり、圧延が困難となるからである。
この一次再結晶焼鈍の最も重要な目的は、圧延組織を有する冷間圧延板を一次再結晶させて、二次再結晶に最適な一次再結晶粒径に調整することである。
発明者らの検討によれば、最適な一次再結晶粒径は円相当径で8μm以上30μm以下であることが判明した。
なお、本発明の成分系では窒化処理を行う前は、そもそも鋼中にインヒビター成分をほとんど含有していないため、この再結晶後の粒成長は進行し易く、粒径制御には注意が必要である。この時の焼鈍雰囲気は、湿水素窒素あるいは湿水素アルゴン雰囲気とすることで脱炭焼鈍を兼ねても良い。
しかしながら、0≦sol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppmの範囲では、窒化処理により増加したNは、窒化珪素に比べ熱力学的により安定なAlNあるいはSiに固溶した(Al,Si)Nとして析出するため、純粋な窒化珪素を析出させるためには、より過剰の窒素が必要となる。いずれの条件であっても50ppm以上のNを窒化により増量することによって窒化珪素の析出は達成される。この点、窒素増量が50ppmに満たないとその効果は充分に得られず、一方1000ppmを超えると窒化珪素の析出量が過多となって二次再結晶が生じ難くなったり、二次再結晶後の純化が困難になるといった問題が生じる。好ましい窒素増量は80ppm以上である。
二次再結晶焼鈍の昇温過程において、表層の窒化物層は分解し、Nが鋼中へ拡散する。本発明の成分系では、AlNを形成することができるAlが残存しないため、粒界偏析元素であるNは粒界を拡散経路として鋼中へ拡散する。
窒化珪素は、鋼の結晶格子との整合性が悪い(misfit率が大きい)ため、析出速度は極めて遅い。とはいえ、窒化珪素の析出は、正常粒成長の抑制が目的であるため、正常粒成長が進行する800℃の段階では十分な量を粒界上に選択的に析出させておく必要がある。このためには、300〜800℃の温度域における滞留時間を5時間以上とすることが好ましい。滞留時間が5時間未満では充分に窒化珪素の析出が進行しない。滞留時間の上限については必ずしも設ける必要はないが、150時間を超える焼鈍を行っても効果の向上は望めないので、150時間以下とすることが好ましい。なお、焼鈍雰囲気は、N2,Ar,H2あるいはこれらの混合ガスのいずれもが適合する。
同図から明らかなように、従来利用されてきた微細析出物(<100nm)とは異なり、最小のものであっても100nmを超える粗大な窒化珪素が粒界上に析出している様子が確認される。
しかしながら、窒化珪素を利用した場合、比較的拡散の早い窒素のみを純化するだけで磁気特性に有害となる析出物の純化を達成することができる。また、AlやTiについては、最終的に純化しなければならないという観点と、インヒビター効果を確実に得なければならないという観点から、ppmオーダーでの制御が必要であるが、Siを利用する場合には、製鋼時にそのような制御が不要であることも、本発明の重要な特徴である。
また、平坦化焼鈍によって鋼板の形状を整えることも可能であり、さらにこの平坦化焼鈍を絶縁被膜の焼き付け処理と兼備させることもできる。
C:0.06%、Si:3.0%、Mn:0.04%、S:0.004%およびCu:0.01%を含有し、かつAlとNを表1に示す割合で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、1150℃で60分加熱後、熱間圧延により2.4mm厚の熱延板とし、1030℃,100秒間の焼鈍を施した後、冷間圧延により0.27mmの最終板厚とし、ついで得られた冷間圧延コイルの中央部から100mm×400mmサイズの試料を採取し、ラボにて500〜700℃間の昇温速度を30℃/sとする一次再結晶と脱炭を兼ねた焼鈍を行った。一部の試料については一次再結晶焼鈍と脱炭と窒化(連続窒化処理:NH3とN2,H2の混合ガスを利用した窒化処理)を兼ねた焼鈍を行った。その後、窒化を施していない試料に対しては、バッチ処理による窒化処理(バッチ処理:シアン酸塩を主成分とする塩を利用した塩浴による窒化処理、およびNH3とN2の混合ガスを利用した窒化処理)を行った。一次再結晶焼鈍の条件と、窒化処理の条件は表1に示す条件とし、鋼中窒素量を増加させた。窒素量は全厚を対象としたものと、表層(両面)各3μmをサンドペーパーで削り、表層を除いた試料を対象としたものについて、それぞれを化学分析によって定量した。
得られた製品について、磁化力:800A/mでの磁束密度B8(T)を評価した。磁気特性は、各条件20枚の平均値で評価した。また残る1枚については、最終仕上げ焼鈍と同じヒートパターンで800℃まで昇温したのち、試料を取り出し、そのまま水焼入れした後、鋼板組織中の窒化珪素を電子顕微鏡により観察し、窒化珪素50個当たりの平均粒径を測定した。
表1中の条件1、条件3で得た冷間圧延コイル、および条件7、条件10で得た冷間圧延コイルから、実施例1と同様の試料を採取し、それぞれの試料に対して500℃から700℃間の昇温速度を30℃/sに加えて100℃/sの水準を追加し、他の条件は実施例1の条件に揃えた。窒化処理後は300〜800℃間を20時間で昇温し、その後1200℃まで昇温する最終仕上げ焼鈍を行い、続いてリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布焼付けて製品とした。
得られた製品について、磁化力:800A/mでの磁束密度B8(T)と1.7Tまで励磁した場合の鉄損W17/50(W/kg)を評価した。
各条件20枚の平均値で評価した磁気特性を表2に示す。
表3に示す成分を含有する鋼スラブを、1200℃で20分加熱後、熱間圧延により2.0mm厚の熱延板とし、1000℃,1分間の焼鈍後、冷間圧延により板厚:1.5mmまでの冷間圧延したのち、1100℃,2分間の中間焼鈍を施し、ついで冷間圧延により0.27mmの最終板厚としてから、P(H2O)/P(H2)=0.3の雰囲気下で焼鈍温度:820℃となる条件で2分間保持する脱炭焼鈍を行った。その後、一部コイルに対してバッチ処理で窒化処理(520℃,1分、N2、NH3混合雰囲気下)を行い、鋼中N量を550ppm増量させた。なお、脱炭焼鈍と窒化処理を含めた700℃以上の滞留時間は3分間とした。
その後、Mg Oを主成分とし、TiO2を10%添加した焼鈍分離剤を水と混ぜてスラリ状としたものを塗布してから、コイルに巻き取り、300〜800℃間の滞留時間が30時間となる昇温速度で最終仕上げ焼鈍を行い、続いてリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
かくして得られた製品コイルからエプスタイン試験片を採取し、磁束密度B8を測定した結果を、表3に示す。
Claims (5)
- 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有すると共に、S,SeおよびOをそれぞれ50ppm未満、sol.Alを100ppm未満に抑制し、さらにNを80ppm以下で、かつsol.Al(ppm)−N(ppm)×(26.98/14.00)≦30ppmを満足する範囲に制御し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、再加熱することなくまたは再加熱後、熱間圧延により熱延板としたのち、焼鈍および圧延を施して最終板厚の冷間圧延板とし、ついで一次再結晶焼鈍の途中あるいは焼鈍後に、650℃未満では5分以下、650℃以上900℃未満の範囲では2分以下、900℃以上では1分以下の条件で窒素増量が50ppm以上1000ppm以下となる窒化処理を施したのち、焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造工程において、
一次再結晶焼鈍の最高温度を780〜1000℃の範囲のいずれかの温度で、かつ最高温度での均熱時間を10秒以上200秒以下とし、さらに一次再結晶焼鈍と窒化処理を含めた熱処理において700℃以上の温度域での総滞留時間を600秒以下とすることにより、二次再結晶焼鈍前、鋼板の表層近傍に窒素濃化層を有する一次再結晶組織の結晶粒径を円相当径で8μm以上30μm以下とすると共に、二次再結晶焼鈍の昇温過程における300〜800℃の温度域における滞留時間を5時間以上150時間以下とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。 - 前記一次再結晶焼鈍に際し、500℃から700℃までの間の平均昇温速度を50℃/s以上とすることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。 - 請求項1または2のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法における中間素材である一次再結晶鋼板であって、その組成が、質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜4.5%およびMn:0.5%以下を含有し、S,SeおよびOがそれぞれ50ppm未満、sol.Alが100ppm未満、Nが50ppm以上1080ppm以下で、残部はFeおよび不可避的不純物の範囲を満足し、かつ鋼板の表層近傍に窒素濃化層を有する一次再結晶組織の結晶粒径が円相当径で8μm以上30μm以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板。
- 前記一次再結晶鋼板が、さらに質量%で、
Ni:0.005〜1.50%、 Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.50%、 Cu:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜1.50%、 P:0.0050〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%およびNb:0.0005〜0.0100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板。
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