JP6036175B2 - 石炭装入方法 - Google Patents
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ここで、コークス炉の上部に石炭塔が配置されていて、その石炭塔に石炭が貯炭される。また、コークス炉の上面には、上記石炭塔配置の位置から各炭化室の上に向けて移動可能な装炭車を有する。該装炭車には通常、各炭化室上面に沿って並ぶ複数の装入孔(一般に4〜5個程度)に対応した、複数の装入ホッパーが設置されている。
ここで、上記石炭塔から装入ホッパーへの受炭は、通常、石炭塔に貯炭した石炭を装入ホッパーに落下させることで実施される。また、上記装入ホッパーの下部には、炭化室の装入孔に石炭を切り出すための切出装置が設置されている。通常、装炭車は、ひとつの炭化室に装入する分の量の石炭を各装入ホッパーに受炭したら、対象とする炭化室に移動して、各装入ホッパーから炭化室に石炭を装入し、その後、再び石炭塔位置まで戻って次に装入する石炭を受炭する、という操作を繰り返す。
ここで、炭化室に装入する石炭の質量を一定に設定しても、炭化室内の石炭装入高さは一定とはならない。これは、石炭の水分含有量や粒度によって、充填嵩密度が異なるからである。さらに、装入する石炭中に成型炭を含む場合には、その成型炭含有率のバラツキによっても嵩密度に影響が出る。
従って、炭化室に装入された石炭の高さはなるべく適正な一定高さとなるように操業することが好ましい。
以上のことから、装入ホッパーから炭化室への石炭の装入量は、装入された石炭の質量で制御することが一般的である。
そこで、特許文献1では、嵩密度の値を推定して装入すべき体積を質量に換算して装入制御を行なう方法が提案されている。この特許文献1に記載の方法は、石炭の水分および粒度に基づいて、装入時の石炭嵩密度を予測し、その予測した嵩密度を用いて、窯内装入炭が目標レベルになるように目標装入質量を求め、その求めた質量の石炭を装入しようとするものである。
(1)石炭の水分および粒度に基づいて、装入時の石炭嵩密度を予測するため、嵩密度のバラツキに対応できない。嵩密度のバラツキを考慮しようとすると、水分および粒度の分析頻度を高める必要があり、通常6〜10分程度に1回ずつ装入している各装入時ごとに嵩密度を考慮することは不可能である。
(2)嵩密度の予測は、実験に基づいて決定された予測式によって行なうため、その推定精度の制約がある。
(3)水分および粒度以外の嵩密度への影響因子が考慮されていない。例えば、成型炭を装入する場合や、嵩密度を向上させる添加剤(油状物質、界面活性剤など)を添加する場合、廃プラスチックなどの石炭以外の原料を添加する場合などには嵩密度を精度よく予測することができない。
a:石炭塔に送られる石炭性状(水分、粒度など)のバラツキ
b:石炭塔内での偏析
上記偏析について補足説明すると、例えば、粒子状物質を山状に積む場合、大きい粒子が山裾の部分に偏析する。石炭塔内の石炭は、一般に石炭塔の下部に設けられた複数(通常、装炭車に搭載された装入ホッパーの数に合わせて4〜5ヶ所の切り出し口を有する)の切り出し口から装炭車に供給するため、山裾の部分から多く切り出す位置では粒度が粗くなる傾向となる。このような傾向は、例えば40mm程度の大きさの成型炭を石炭に混合する場合に影響が大きくなる。このような偏析により、装炭車に設置された装入ホッパーの位置毎に嵩密度が異なることも起こりうる。
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたもので、コークス炉炭化室内の石炭装入高さを精度よく制御しうる技術を提供することを目的とする。
上記装入ホッパー内の石炭の嵩密度を測定し、その測定した嵩密度の値に基づき、予め設定した石炭の目標装入体積に応じた石炭の質量を算出し、その算出した質量の石炭を上記装入ホッパーから上記炭化室に装入することを特徴とする石炭装入方法を提供する。
このとき、装入ホッパー内の石炭の嵩密度に対する、その装入ホッパーから炭化室に装入した際の炭化室内での石炭の嵩密度の比である補正係数を予め推定しておき、
上記測定した嵩密度の値、若しくは上記算出する石炭の質量を、上記補正係数で補正するようにしても良い。
上記装入ホッパー毎に、上記嵩密度の測定及び上記石炭の質量の算出を個別に実施し、上記算出した装入ホッパー毎の石炭の質量に応じて、複数の装入ホッパーから炭化室に石炭を装入することが好ましい。
また、上記石炭の目標装入体積は、今回の石炭装入よりも前に測定された石炭装入後の炭化室内石炭高さに基づいて決定しても良い。
また、上記石炭の目標装入体積は、今回の石炭装入よりも前に測定された、戻り炭の量及び装入ホッパーからの石炭装入量に基づいて決定しても良い。
上記装入ホッパーに受け入れた石炭の積付け形状を予め設定した一定形状とした状態で、当該装入ホッパーに受け入れた石炭の質量を測定し、
上記装入ホッパー内の石炭質量とその石炭を炭化室に装入した際の石炭高さとの予め求めた関係に基づいて、炭化室に装入した石炭が目標石炭高さとなる石炭質量を算出し、
上記算出した質量の石炭を上記装入ホッパーから上記炭化室に装入することを特徴とする石炭装入方法を提供する。
このとき、上記装炭車には複数の装入ホッパーが設置され、
上記装入ホッパー毎に個別に、石炭の積付け形状、及び対象とする装入ホッパー内の石炭質量とその石炭を炭化室に装入した際の該装入ホッパーから石炭を装入する装入孔下方位置での石炭高さとの関係を求めておき、
上記設定された関係に基づき各装入ホッパーから装入する石炭の質量を算出して、各装入ホッパーから炭化室に石炭を装入することが好ましい。
また、上記目標石炭高さは、今回の石炭装入よりも前に測定された戻り炭の量と、当該装入よりも前の石炭装入量に基づき設定しても良い。
図1は、本実施形態の石炭装入方法を説明するための側面からみた模式図である。図1中の炭化室10と石炭塔1は、平面視で見た場合、通常別位置に設定されている。なお、本願発明は、石炭塔1から装入ホッパー3に受炭し、その装入ホッパー3から炭化室10に向けて石炭6を落下して装炭する構成となっていれば、下記のコークス炉構成に特に限定されない。
コークス炉は、例えば次のような構成となっている。すなわち、コークス炉は蓄熱室の上部に炭化室10と燃焼室が交互に並んで炉団を構成し、石炭6を乾留する炭化室10、燃料ガスを燃焼させる燃焼室、燃焼廃ガスの余熱を利用するための蓄熱室等を備える。コークス炉の上部に石炭塔1が配置されていて、その石炭塔1に適宜、石炭6が貯炭される。また、コークス炉の上面には、上記石炭塔1配置の位置から各炭化室10の上に向けて移動可能な装炭車2を有する。図1の例では、レール7が、石炭塔1の位置から、炭化室10と燃焼室との並び方向に延びるようにレール7が敷設されていて、そのレール7に沿って上記装炭車2が移動するようになっている。その装炭車2には通常、各炭化室10上面に沿って並ぶ複数の装入孔10aに対応した、複数の装入ホッパー3(図1では、5個を例示)が設置されている。
装炭車2を石炭塔1位置に移動し、上記ゲート1aを開いて石炭塔1から装炭車2の各装入ホッパー3に石炭6を落下して当該装入ホッパー3に受炭する。
このとき、装入ホッパー3毎に、装入ホッパー3内の石炭6の嵩密度Bを求める。その嵩密度Bは、装入ホッパー3に受け入れた石炭6の体積Vと質量Mとを測定することで実測定することが出来る。
また装入ホッパー3に受け入れた石炭6の質量Mは、上記荷重検出装置5で検出すればよい。
そして、ホッパー内の嵩密度Bを下記式によって算出する。
B = M÷V
なお、上記のように装入ホッパー3への石炭6の積み付け形状が一定つまり体積Vが一定の場合には、嵩密度Bの算出を行なう代わりに、装入ホッパー3への受け入れ質量M(=V×B:V=一定値)をもって嵩密度Bの代わりの指標として利用することもできる。
装炭車2を対象とする炭化室10まで移動したら、装炭車2に設置された蓋取機構(図示せず)により炭化室10上部に設置された各装入孔10aの蓋8を取って当該装入孔10aを開け、各装入ホッパー3の切出装置4を作動して下方に装入口を通じて石炭6を炭化室10内に装入する。
Mt = Vt ×B
ここで、装入ホッパー3内の嵩密度Bと、その装入ホッパー3から炭化室10に装入した際の炭化室10内での石炭6の嵩密度Bcとは厳密には一致しないが、両者B、Bcは近似した値となっている。両嵩密度が一致しない理由の一つは、炭化室10が高温状態のためである。
Mt = Vt×Bc =h× Vt ×B
なお、装炭車2は、装入が完了すると再び石炭塔1位置まで戻って次に装入する石炭6を受炭する。また、上記のように装入ホッパー3から炭化室10に石炭6を装入した直後は、炭化室10内の石炭6は、装入孔10a直下で山状に堆積していることから、通常は、押出機側から石炭6層の上部にレベラーを通し、石炭6層の上部を均す操作を行なう。
ここで、炭化室10には4〜5ヶ所の装入孔10aがあり、そのそれぞれに装入するために装炭車2にも4〜5個の装入ホッパー3を有していることが一般的である。装入孔10aの位置は、必ずしも各装入孔10aからの装入量が一定になるように設計されているわけではなく、装入孔10aにより石炭切り出し速度を変更することもある。このため、各装入ホッパー3の装入体積を同じにしたのでは、適正な石炭高さで装入できるとは限らない。従って、それぞれの装入ホッパー3について装入すべき目標装入体積Vtを個別に設定して、その各目標装入体積Vtに対応した量を装入することが好ましい。
例えば、前回使用した目標装入体積Vtに対し、目標高さに対する実際の高さ位置の偏差ΔH(目標高さよりも実際値が高い場合を正値とする)に基づき、次式によって、次回の目標装入体積Vtを調整する。なお、各装入ホッパー3毎に実施する。G1は予め設定したゲインである。G1は、例えば炭化室10の幅などに基づき設定する
Vt ← Vt −G1×ΔH
例えば、予め設定した基準の戻り炭量と今回の実際の戻り炭量の偏差をΔMb(基準の戻り炭量よりも多い場合を正値とする)とした場合、次回の目標装入体積Vtを下記式に基づき変更する。G2は予め設定したゲインである。
Vt ← Vt −G2×ΔMb
同じコークス炉を用いて、目標とする石炭6の装入体積を定める代わりに、前日の装入体積から、前日の1窯あたりの平均戻り炭量を前日の平均嵩密度により体積換算した量を減じて翌日の装入体積の目標値として設定した。この方法により戻り炭量が減少するとともに、過剰装入による装入孔10a詰まりを防止することもできた。
1a ゲート
2 装炭車
3 装入ホッパー
4 切出装置
5 荷重検出装置
6 石炭
10 炭化室
10a 装入孔
B 嵩密度
h 比
M 石炭質量
V 体積
Vt 目標装入体積
Claims (8)
- 装炭車の装入ホッパーに石炭を受け入れ、上記装入ホッパー内の石炭をコークス炉の炭化室に装入する石炭装入方法であって、
上記装入ホッパー内の石炭の嵩密度を測定し、その測定した嵩密度の値に基づき、予め設定した石炭の目標装入体積に応じた石炭の質量を算出し、その算出した質量の石炭を上記装入ホッパーから上記炭化室に装入し、
その際、装入ホッパー内の石炭の嵩密度に対する、その装入ホッパーから炭化室に装入した際の炭化室内での石炭の嵩密度の比である補正係数を予め推定しておき、
上記測定した嵩密度の値、若しくは上記算出する石炭の質量を、上記補正係数で補正することを特徴とする石炭装入方法。 - 上記装炭車には複数の装入ホッパーが設置され、
上記装入ホッパー毎に、上記嵩密度の測定及び上記石炭の質量の算出を個別に実施し、上記算出した装入ホッパー毎の石炭の質量に応じて、複数の装入ホッパーから炭化室に石炭を装入することを特徴とする請求項1に記載した石炭装入方法。 - 上記石炭の目標装入体積は、今回の石炭装入よりも前に測定された石炭装入後の炭化室内石炭高さに基づいて決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した石炭装入方法。
- 上記石炭の目標装入体積は、今回の石炭装入よりも前に測定された、戻り炭の量及び装入ホッパーからの石炭装入量に基づいて決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した石炭装入方法。
- 装炭車の装入ホッパーに石炭を受け入れ、上記装入ホッパー内の石炭をコークス炉の炭化室に装入する石炭装入方法であって、
上記装入ホッパーに受け入れた石炭の積付け形状を予め設定した一定形状とした状態で、当該装入ホッパーに受け入れた石炭の質量を測定し、
上記装入ホッパー内の石炭質量とその石炭を炭化室に装入した際の石炭高さとの予め求めた関係に基づいて、炭化室に装入した石炭が目標石炭高さとなる石炭質量を算出し、
上記算出した質量の石炭を上記装入ホッパーから上記炭化室に装入することを特徴とする石炭装入方法。 - 上記装炭車には複数の装入ホッパーが設置され、
上記装入ホッパー毎に個別に、石炭の積付け形状、及び対象とする装入ホッパー内の石炭質量とその石炭を炭化室に装入した際の該装入ホッパーから石炭を装入する装入孔下方位置での石炭高さとの関係を求めておき、
上記設定された関係に基づき各装入ホッパーから装入する石炭の質量を算出して、各装入ホッパーから炭化室に石炭を装入することを特徴とする請求項5に記載した石炭装入方法。 - 上記目標石炭高さは、今回の石炭装入よりも前に測定された石炭装入後の炭化室内の石炭高さに基づき設定することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載した石炭装入方法。
- 上記目標石炭高さは、今回の石炭装入よりも前に測定された戻り炭の量と、当該装入よりも前の石炭装入量に基づき設定することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載した石炭装入方法。
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