以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。図1に示す内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡に対して、再生処理を施す装置である。ここでいう再生処理とは特に限定されるものではなく、水によるすすぎ処理、有機物等の汚れを落とす洗浄処理、所定の微生物を無効化する消毒処理、全ての微生物を排除もしくは死滅させる滅菌処理、またはこれらの組み合わせ、のいずれであってもよい。
なお、以下の説明において、上方とは比較対象に対してより地面から遠ざかった位置のことを指し、下方とは比較対象に対してより地面に近づいた位置のことを指す。また、以下の説明における高低とは、重力方向に沿った高さ関係を示すものとする。
内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡リプロセッサ1は、制御部5、電源部6、処理槽2、タンク20、濃度計80、第1調整部91、および第2調整部92を備える。
制御部5は、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、補助記憶装置、入出力装置および電力制御装置等を具備して構成することができ、内視鏡リプロセッサ1を構成する各部位の動作を、所定のプログラムに基づいて制御する構成を有している。制御部5は、後述する判定処理を実行する判定部5aおよび維持部5bを含む。以下の説明における内視鏡リプロセッサ1に含まれる各構成の動作は、特に記載がない場合であっても制御部5によって制御される。
電源部6は、内視鏡リプロセッサ1の各部位に電力を供給する。電源部6は、商用電源等の外部から得た電力を各部位に分配する。なお、電源部6は、発電装置やバッテリーを備えていてもよい。
処理槽2は、開口部を有する凹形状であり、内部に液体を貯留することが可能である。処理槽2内には、図示しない内視鏡を配置することができる。本実施形態では一例として、処理槽2の上部には、処理槽2の開口部を開閉する蓋3が設けられている。処理槽2内において内視鏡に再生処理を施す場合には、処理槽2の開口部は蓋3によって閉じられる。
処理槽2には、測定対象液ノズル12、排液口11、循環口13、循環ノズル14、洗浄液ノズル15、内視鏡接続部16および付属品ケース17が設けられている。
測定対象液ノズル12は、測定対象液管路26を介してタンク20に連通する開口部である。タンク20は、測定対象液を貯留する。
測定対象液管路26には、測定対象液ポンプ27が設けられている。測定対象液ポンプ27を運転することにより、タンク20内の測定対象液が、測定対象液管路26および測定対象液ノズル12を経由して、処理槽2内に移送される。
タンク20内には、測定対象液20の濃度を測定する濃度計80が保持部20bによって着脱可能に保持される。タンク20が貯留する測定対象液の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、測定対象液は消毒処理に用いられる例えば過酢酸等の消毒液である。ただし、本発明はこれに限定されず、測定対象液として、洗浄処理に用いられる洗浄液、乾燥に用いられる高揮発性溶液等を目的に応じて適宜選択することができる。
また、本実施形態では一例として、測定対象液は、測定対象液ボトル18から供給された測定対象液の原液を、水によって所定の比率で希釈したものである。本実施形態のタンク20は、測定対象液ボトル18から供給された測定対象液の原液をタンク20内に導入するボトル接続部19、および希釈用の水をタンク20内に導入する希釈管路48に連通している。測定対象液ボトル18がボトル接続部19に接続されることにより、測定対象液の原液がタンク20内に導入される。希釈管路48からタンク20内に水を導入する構成については後述する。
なお、内視鏡リプロセッサ1は、測定対象液を水等によって希釈する構成を有していなくともよい。また、測定対象液が複数種類の原液を混合して使用されるものである場合には、ボトル接続部19は複数の測定対象液ボトル18に接続可能である。
また、本実施形態では一例として、測定対象液は、濃度が薬効を有する所定の範囲内である場合には、再使用可能である。タンク20は、タンク20内から処理槽2内に移送された測定対象液を回収して再び貯留する測定対象液回収部29を兼ねる。以下の説明において、タンク20と測定対象液回収部29とを区別しない場合には、単にタンク20と称する。
なお、タンク20は、測定対象液回収部29とは別に設けられていてもよい。タンク20が測定対象液回収部29とは異なる構成である場合には、タンク20の容積は、測定対象液回収部29よりも小さくてもよい。
また、タンク20には、排液部28を配設してもよい。排液部28は、タンク20内から測定対象液または水等の液体を排出する。排液部28は、重力によってタンク20内から液体を排出する構成であってもよいし、ポンプによって強制的にタンク20内から液体を排出する構成であってもよい。なお、後述するように、タンク20内の液体を測定対象液管路26等の他の経路を経由して排出する場合には、タンク20には排液部28が設けられていなくてもよい。
本実施形態では一例として、排液部28は、タンク20の底面または底面付近に設けられた排液口20aに連通するドレーン管路28aと、ドレーン管路28aを開閉するドレーンバルブ28bと、を含む。ドレーンバルブ28bは、制御部5によって開閉の制御がなされる電磁開閉弁であってもよいし、使用者の手動操作によって開閉が行われるコックであってもよい。
なお、タンク20内から液体を排出する経路は、ドレーン管路のみに限られない。例えば、測定対象液ポンプ27の運転を開始することによって、測定対象液管路26および測定対象液ノズル12を経由して、タンク20内から液体を処理槽2内に排出することも可能である。
タンク20には、前述した構成の他に、水位センサ55、第1圧力部91および第2圧力部92が配設されているが、これらの構成については後述する。
排液口11は、処理槽2内の最も低い箇所に設けられた開口部である。排液口11は、排出管路21に接続されている。排出管路21は、排液口11と切替バルブ22とを連通している。切替バルブ22には、回収管路23および廃棄管路25が接続されている。切替バルブ22は、排出管路21を閉塞した状態、排出管路21と回収管路23とを連通した状態、または排出管路21と廃棄管路25とを連通した状態、に切り替え可能である。
回収管路23は、タンク20と切替バルブ22とを連通している。また、廃棄管路25には排出ポンプ24が設けられている。廃棄管路25は、内視鏡リプロセッサ1から排出される液体を受け入れるための排液設備に接続される。
切替バルブ22を閉状態とすれば、処理槽2内に液体を貯留することができる。また、処理槽2内に測定対象液が貯留されている時に、切替バルブ22を排出管路21と回収管路23とが連通した状態とすれば、測定対象液が処理槽2からタンク20に移送される。また、切替バルブ22を排出管路21と廃棄管路25とが連通した状態とし、排出ポンプ24の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が廃棄管路25を経由して排液設備に送出される。
循環口13は、処理槽2の底面付近に設けられた開口部である。循環口13は、循環管路13aに連通している。循環管路13aは、内視鏡循環管路30および処理槽循環管路40の二つの管路に分岐している。
内視鏡循環管路30は、循環管路13aと後述するチャンネルバルブ32とを連通している。内視鏡循環管路30には、循環ポンプ33が設けられている。循環ポンプ33は、稼働することにより内視鏡循環管路30内の流体をチャンネルバルブ32に向かって移送する。
チャンネルバルブ32には、前述の内視鏡循環管路30の他に、吸気管路34、アルコール管路38および送出管路31が接続されている。チャンネルバルブ32は、送出管路31に、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38のうちのいずれか1つの管路を選択的に連通させる。
吸気管路34は、一方の端部が大気に開放されており、他方の端部がチャンネルバルブ32に接続されている。なお、図示しないが、吸気管路34の一方の端部には、通過する気体を濾過するフィルタが設けられている。エアポンプ35は、吸気管路34に設けられており、稼働することにより吸気管路34内の気体をチャンネルバルブ32に向かって移送する。
アルコール管路38は、アルコールを貯留するアルコールタンク37とチャンネルバルブ32とを連通している。アルコールタンク37内に貯留されるアルコールは、例えばエタノールが挙げられる。アルコール濃度については、適宜に選択することができる。アルコールポンプ39は、アルコール管路38に設けられており、稼働することによりアルコールタンク37内のアルコールをチャンネルバルブ32に向かって移送する。
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、チャンネルバルブ32を送出管路31と内視鏡循環管路30とが連通した状態とし、循環ポンプ33の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび内視鏡循環管路30を経由して、送出管路31に送り込まれる。
また、チャンネルバルブ32を送出管路31と吸気管路34とが連通した状態とし、エアポンプ35の運転を開始すれば、空気が送出管路31に送り込まれる。また、チャンネルバルブ32を送出管路31とアルコール管路38とが連通した状態とし、アルコールポンプ39の運転を開始すれば、アルコールタンク37内のアルコールが送出管路31に送り込まれる。
送出管路31は、内視鏡接続管路31bおよびケース接続管路31cに分岐している。内視鏡接続管路31bは、内視鏡接続部16に接続されている。また、ケース接続管路31cは、付属品ケース17に接続されている。
また、送出管路31には、流路切替部31aが設けられている。流路切替部31aは、チャンネルバルブ32から送出管路31に送り込まれた流体を、内視鏡接続管路31bおよびケース接続管路31cのいずれに流すかを切り替え可能である。なお、切り替え時に内視鏡接続管路31b側の圧力が一定となるように制御してもよい。
内視鏡接続部16は、図示しない内視鏡チューブを介して、内視鏡に設けられた口金に接続される。また、付属品ケース17は、内視鏡の図示しない付属品を収容するかご状の部材である。したがって、チャンネルバルブ32から送出管路31に送り込まれた流体は、内視鏡の口金内または付属品ケース17内に導入される。
処理槽循環管路40は、循環管路13aと循環ノズル14とを連通している。循環ノズル14は、処理槽2内に設けられた開口部である。処理槽循環管路40には、流液ポンプ41が設けられている。
また、処理槽循環管路40の流液ポンプ41と循環ノズル14との間には、三方弁42が設けられている。三方弁42には、給水管路43が接続されている。三方弁42は、循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態、または循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態、に切り替え可能である。
給水管路43は、三方弁42と水供給源接続部46とを連通している。給水管路43には、給水管路43を開閉する水導入バルブ45および水を濾過する水フィルタ44が設けられている。水供給源接続部46は、例えばホース等を介して、水を送出する水道設備等の水供給源49に接続される。
給水管路43の、水フィルタ44と三方弁42との間の区間には、希釈バルブ47が設けられている。希釈バルブ47には、希釈バルブ47とタンク20とを連通する希釈管路48が接続されている。希釈バルブ47は、水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態、または水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態、に切り替え可能である。
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、三方弁42を循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、流液ポンプ41の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび処理槽循環管路40を経由して、循環ノズル14から吐出される。
また、三方弁42を、循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が循環ノズル14から吐出される。循環ノズル14から吐出された液体は、処理槽2内に導入される。
また、希釈バルブ47を水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態とし、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水がタンク20内に導入される。
洗浄液ノズル15は、洗浄液管路51を介して、洗浄液を貯留する洗浄液タンク50に連通する開口部である。洗浄液は、洗浄処理に用いられる。洗浄液管路51には、洗浄液ポンプ52が設けられている。洗浄液ポンプ52を運転することにより、洗浄液タンク50内の洗浄液が、処理槽2内に移送される。
また、内視鏡リプロセッサ1は、使用者との間の情報の授受を行うユーザインターフェースを構成する、操作部7および出力部8を備える。操作部7および出力部8は、制御部5に電気的に接続されている。
操作部7は、例えばプッシュスイッチやタッチセンサ等の操作部材を含む。また、出力部8は、例えば画像や文字を表示する表示装置、光を発する発光装置、音を発するスピーカ、またはこれらの組み合わせ、を含む。なお、操作部7および出力部8は、制御部5との間で無線通信を行う電子機器に備えられる形態であってもよい。
次に、タンク20の構成について説明する。図2に示すように、タンク20には、濃度計80、水位センサ55、第1調整部91、第2調整部92が配設されている。また、図示しないが、タンク20内には、液体を撹拌する撹拌機構が設けられていてもよい。
タンク20は、所定の第1水位L1よりも高い第2水位L2水位まで測定対象液を貯留可能である。タンク20は、後述する濃度計80を着脱可能に保持する保持部20aを有している。
濃度計80は、測定面82に接している測定対象液中の測定対象である特定の物質の濃度を測定する。濃度計80は、内視鏡リプロセッサ1に含まれており制御部5に電気的に接続される形態であってもよいし、内視鏡リプロセッサ1には含まれずに単体で動作する形態であってもよい。本実施形態では一例として、濃度計80は制御部5に電気的に接続されており、濃度計80が測定した測定対象液の濃度の測定結果の情報は、制御部5に入力される。
濃度計80は、ハウジング81、電極84、浸透膜86および内部液83を含む。ハウジング81は、くぼみ81aが設けられた容器状の部材である。
くぼみ81aの内部には、複数の電極84が離間して配置されている。複数の電極84は、電気ケーブル87を介して図示しない濃度計80の制御装置に接続される。なお、濃度計80の制御装置は、ハウジング81と一体に構成されていてもよい。前述のように、本実施形態では、濃度計80の制御装置は制御部5に含まれている。
くぼみ81aの開口部は、浸透膜86によって覆われている。また、くぼみ81aの内部には、内部液83が貯留されている。浸透膜86のくぼみ81aの内側に露出した内面86aは、内部液83に接触している。また、くぼみ81a内において、複数の電極84は、内部液83中に浸漬される。
濃度計80の測定面82とは、浸透膜86の、内面86aとは反対側の面である。浸透膜86は、測定対象液中の測定対象である物質を透過する。したがって、内部液83中の測定対象物質の濃度は、測定面82に接している測定対象液の当該測定対象物質の濃度に応じて変化する。
図3は、浸透膜86を測定対象物質が透過する様子を模式的に示した図である。図3は、測定対象液100が測定面82に接触しており、かつ浸透膜86の測定面82側が湿潤状態にある場合を示している。また、図3に示す状態では、測定対象液100中の測定対象物質の濃度が、内部液83中の測定対象物質の濃度よりも高い。
浸透膜86は、液体分子は通さないが気体分子を通す多孔質の膜である。内部液83と測定対象液100とを隔てるように配置された状態の浸透膜86の断面には、内部液83が浸透した第1領域86b、測定対象液100が浸透した第2領域86c、および第1領域86bと第2領域86cとの間の乾燥している乾燥領域86d、が存在する。浸透膜86の第2領域86cにおいて蒸発した測定対象液100の気体は、乾燥領域86dを透過して第1領域86bにおいて内部液83中に溶け込む。
くぼみ81a内には常に内部液83が貯留されていることから、浸透膜86の内面86aに内部液83が接触し続けるため、第1領域86bの厚さは常に略一定である。第1領域86bの厚さとは、内面86aから浸透膜86内に内部液83が浸透する深さである。一方、タンク20内から測定対象液100が排出されることがあるため、浸透膜86の測定面82は常に液体と接しているわけではない。このため、測定面82が空気中に露出し続ければ、第2領域86cの水分量は徐々に減少する。そして、測定面82が空気中に露出し続ければ、最終的には第2領域86cは消失し、乾燥領域86dが測定面82まで達する。
以上に説明したように、濃度計80のハウジング81のくぼみ81aの内部では、電極84と浸透膜86との間に内部液83が配置されており、電極84と浸透膜86とは内部液83によってつながった状態となっている。ここで言う「つなぐ」とは、浸透膜86を透過して内部液83中に到達した測定対象物質が、内部液83を媒体として電極84に到達できる状態を指す。
濃度計80は、内部液83中に浸漬している複数の電極84間に生じる電位差の変化、又は一対の電極84間に流れる電流値の変化を計測し、この計測値に基づいて測定面82に接している測定対象液の特定の物質の濃度を測定する。このような濃度計80における濃度測定の原理や構成は周知のものであるため、詳細な説明は省略するものとする。
タンク20が有する保持部20bは、タンク20の内部において、濃度計80の浸透膜86の測定面82が測定対象液100に接触するように、濃度計80を保持する。濃度計80は、保持部20bによって、タンク20に対して着脱可能に保持されている。
具体的には、保持部20bによって保持された濃度計80の測定面82は、タンク20内の、所定の第1水位L1に配置される。なお、保持部20bによって保持された状態の濃度計80の一部は、タンク20の外に露出していてもよい。
水位センサ55は、タンク20内に貯留されている液面の高さを検出する。水位センサ55は、制御部5に電気的に接続されており、検出結果の情報を制御部5に出力する。本実施形態では一例として、水位センサ55は、少なくとも、タンク20内の液面が第1水位L1に達しているか否か、を検出する。
なお、水位センサ55は、測定対象液ボトル18から供給される測定対象液の原液と、希釈管路から供給される水とをタンク20内において混合する場合において、両者の体積比を所定の値とするために用いられてもよい。
水位センサ55の構成は特に限定されるものではない。水位センサ55は、例えば離間して配設された複数の電極を備え、複数の電極が液体中に没しているか否かによって変化する複数の電極間の電気的な導通の有無に基づいて、液面が所定の水位に達しているか否かを検出する、いわゆる電極式水位センサであってもよい。また例えば、水位センサ55は、測定対象液に浮くフロートの上下動に応じて開閉するスイッチの動作状態に基づいて、測定対象液の液面が所定の水位に達しているか否かを検出する、いわゆるフロート式水位センサであってもよい。
第1調整部91は、濃度計80の内部液83の圧力Piを調整する。内部液83の圧力Piを調整するための第1調整部91の構成は特に限定されるものではない。例えば、第1調整部91は、ハウジング81のくぼみ81a内の気体を排出する、またはくぼみ81a内に空気を送り込むことによって、内部液83の圧力Piを調整する形態であってもよい。また例えば、第1調整部91は、くぼみ81aの容積を変化させることによって、内部液83の圧力Piを調整する形態であってもよい。
第2調整部92は、タンク20内に貯留されている測定対象液100の圧力Poを調整する。測定対象液100の圧力Poを調整するための第2調整部92の構成は特に限定されるものではない。例えば、第2調整部92は、タンク20内の気体を排出する、またはタンク20内に空気を送り込むことによって、測定対象液100の圧力Poを調整する形態であってもよい。また例えば、第2調整部92は、タンク20の容積を変化させることによって、測定対象液100の圧力Poを調整する形態であってもよい。
また、第1調整部91および第2調整部92の一方は、他方の動作に応じて受動的に内部液83または測定対象液100の圧力を調整する構成であってもよい。例えば、くぼみ81a内とタンク20内との間で気体が往来する通気部を設ければ、くぼみ81aおよびタンク20のうちの一方の気圧を変化させることによって、内部液83および測定対象液100の双方の圧力PiおよびPoを調整することができる。
ここで、内部液83の圧力Piとは、より詳細には、浸透膜86の内面86aに接する部分の内部液83の圧力である。また、測定対象液100の圧力Poとは、浸透膜86の測定面82に接する部分の測定対象液100の圧力である。
本実施形態では一例として、第1調整部91は、くぼみ81a内とタンク20内との間で気体を往来させる通気部91aを備える。具体的には、通気部91aは、ハウジング81を貫通する孔である。通気部91aは、濃度計80が保持部20bによって保持された状態において、くぼみ81a内の内部液83の液面よりも上方と、タンク20の第2水位L2よりも上方と、を連通する。なお、通気部91aには、気体は通すが液体を通さない多孔質の膜が設けられていてもよい。通気部91aにより、くぼみ81a内の気圧は、タンク20内の気圧と等しくなる。
本実施形態の第2調整部92は、タンク20内の気圧を調整する。第2調整部92は、タンク20内からの気体の排出およびタンク20内への気体の送出の少なくとも一方が可能なポンプ92aを備える。ポンプ92aは、タンク20内の、第2水位L2よりも上方に設けられた通気孔20cに接続されている。
本実施形態では一例として、ポンプ92aは、稼働することによりタンク20内の空気を、通気孔20cを経由してタンク20外に排出する。第2調整部92は、ポンプ92aによってタンク20内の空気を排出することにより、タンク20内に貯留されている測定対象液100の圧力Poを変化させる。そして、本実施形態の第1調整部91は、濃度計80のくぼみ81a内の気圧をタンク20内の気圧と等しくする構成を有していることから、第1調整部91は、第2調整部92の動作に応じて受動的に内部液83の圧力Piを調整する。
なお、本実施形態とは逆に、第1調整部91が、くぼみ81a内の気体を排出するポンプを備えており、第2調整部92が、タンク20内の気圧をくぼみ81a内の気圧と等しくする構成を備える形態であってもよい。
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、濃度計80の内部液83の圧力Piと、濃度計80が配置されるタンク20内に貯留された測定対象液100の圧力Poと、を変化させる第1調整部91および第2調整部92を備える。
第1調整部91および第2調整部92による内部液83および測定対象液100の圧力の調整動作は、制御部5によって制御される。
制御部5は、内視鏡リプロセッサ1において、内部液83の圧力Piが第1圧力P1であり、測定対象液100の圧力Poが第2圧力P2である第1状態、および内部液83の圧力Piが前記第1圧力P1よりも低い第3圧力P3であり、測定対象液100の圧力Poが前記第2圧力P2よりも低い第4圧力P4である第2状態、が生じるように、第1調整部91および第2調整部92を制御する。また、制御部5は、内部液83の圧力Piと測定対象液100の圧力Poとが、ほぼ等しくなるように、第1調整部91および第2調整部92を制御する。
前述のように本実施形態では第1調整部91は受動的な動作を行うのみであるから、本実施形態の制御部5は、第2調整部92の動作を制御し、タンク20内の測定対象液100の圧力Poを、第2圧力P2または第4圧力P4に変化させる。そして本実施形態では、第2調整部92によって、測定対象液100の圧力Poが第2圧力P2に調整された場合に、内部液83の圧力Piが第1圧力P1に調整される。また、第2調整部92によって、測定対象液100の圧力Poが第2圧力P2に調整された場合に、内部液83の圧力Piが第1圧力P1に調整される。
そして、本実施形態では、内部液83の圧力Piと測定対象液100の圧力Poとは略等しい。内部液83の圧力Piと測定対象液100の圧力Poとを等しくすることにより、内部液83の圧力Piおよびと測定対象液100の圧力Poの変化によって浸透膜86が変形すること起因する浸透膜86の劣化を防止できる。
具体的に本実施形態では、制御部5は、第2調整部92のポンプ92aを停止状態とすることにより、第1状態を生成する。すなわち、本実施形態の第1状態では、タンク20およびくぼみ81a内の気圧が大気圧であり、内部液83の圧力Piおよび測定対象液100の圧力Poは、大気圧に応じた第1圧力P1および第2圧力P3となる。
また、本実施形態では、制御部5は、第2調整部92のポンプ92aを稼働させることにより、第2状態を生成する。すなわち、本実施形態の第2状態では、タンク20およびくぼみ81a内の気圧は大気圧よりも低い所定の値となり、内部液83の圧力Piおよび測定対象液100の圧力Poは、前記値に応じた第3圧力P3および第4圧力P4となる。
そして、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第2状態を所定時間維持する維持部5bを備える。維持部5bは図1の様に制御部5に含まれていてもよいし、制御部5とは別体であり制御部5が第2状態を維持するよう前記第1調整部、前記第2調整部、または制御部5に作用するものであってもよい。
ここでいう所定時間としては、特に限定されず、浸透膜86に所定物質が浸透して濃度の測定が可能となる時間であればよく、好ましくは5秒以上である。なお、維持部5bは、前記所定時間内に断続的に気圧を調整してもよいし、間欠的に気圧を調整してもよい。
一般的に1秒未満で生じる「電源のオンオフ動作時」または「ポンプの脈動」といった、瞬間的に生じる減圧状態は、本発明において第2状態を維持する場合に含まれない。
次に、内視鏡リプロセッサ1の動作について説明する。
制御部5は、水位センサ55によって、タンク20内の第1水位L1よりも上方まで測定対象液100が貯留されていることが検出されている場合に、濃度計80による測定対象液100の濃度測定を実行する。すなわち、濃度測定動作は、濃度計80の浸透膜86の測定面82に、測定対象液100が接触している場合に実行される。
図4は、内視鏡リプロセッサ1の濃度測定動作のフローチャートを示している。図4に示すように、濃度測定動作では、まずステップS10において、制御部5は、判定部5aにより、浸透膜86が乾燥状態であるか否かを判定する。ここで、乾燥状態とは、浸透膜86の断面の第2領域86c中の水分量が所定の値以下である場合、または浸透膜86の断面に第2領域86cが存在せず、乾燥領域86dが測定面82まで達している場合のことを指す。
また、ここで言う判定部5aによる「判定」とは、制御部5が実行するプログラム上において何らかの変数の値に基づき行われる処理であって、内視鏡リプロセッサが備えるセンサ類によって直接的に浸透膜86の乾燥状態を認識する形態に限られない。例えばステップS10においては、制御部5は、記憶している内視鏡リプロセッサの過去の動作日時の情報に基づいて、浸透膜86が乾燥状態であるか否かを推定し、これを判定結果としてもよい。また例えば、ステップS10においては、制御部5は、使用者によって操作部7に入力された情報に基づいて、浸透膜86が乾燥状態であるか否かを判定してもよい。
本実施形態では一例として、ステップS10において、制御部5は、タンク20内において測定対象液100の希釈動作を実行した後に初めて実行される濃度測定動作である場合に、浸透膜86が乾燥状態であると判定する。測定対象液100の希釈動作は、内視鏡リプロセッサ1内の使用済みの測定対象液100を装置外に排出した後に、タンク20内において未使用の測定対象液の原液と水を所定の比率で混合する動作である。
なお、ステップS10には、制御部5により、実行中の濃度測定動作が、濃度計80の測定面82が、空気中に所定の時間以上連続して露出した後に初めて実行されるものである場合に、浸透膜86が乾燥状態であると判定する処理が加えられてもよい。測定面82が空気中に露出する期間は、内視鏡リプロセッサ1内の使用済みの測定対象液100を装置外に排出した状態である期間を含む。この場合、水位センサ55により、タンク20内の液面が第1水位L1より低い状態が所定時間以上継続したことを検出した場合に、制御部5は浸透膜86が乾燥状態であると判定する。
ステップS10において、浸透膜86が乾燥状態ではないと判定した場合(ステップS20のNO)には、ステップS30に移行する。すなわち、浸透膜86の第2領域86cの水分量が所定の値を超えており、測定面82が湿潤状態であると判定した場合には、ステップS30に移行する。
ステップS30では、制御部5は、第1調整部91および第2調整部92を制御して、内部液83の圧力Piが第1圧力P1であり、測定対象液100の圧力Poが第2圧力P2である第1状態を生成する。前述のように、本実施形態では、制御部5は、第2調整部92のポンプ92aを停止状態とすることにより、第1状態を生成する。
そして、ステップS40において、制御部5は、濃度計80を制御し、測定対象液100の濃度測定を実行する。
一方、ステップS10において、浸透膜86が乾燥状態であると判定した場合(ステップS20のYES)には、ステップS50に移行する。すなわち、浸透膜86の第2領域86c中の水分量が所定の値以下であると判定した場合には、ステップS50に移行する。
ステップS50では、制御部5は、第1調整部91および第2調整部92を制御して、内部液83の圧力Piが第3圧力P3であり、測定対象液100の圧力Poが第4圧力P4である第2状態を生成する。前述のように、本実施形態では、制御部5は、第2調整部92のポンプ92aを稼働させるとすることにより、第2状態を生成する。また、前述のとおり、第2状態は、維持部5bにより所定時間維持される。
そして、ステップS60において、制御部5は、濃度計80を制御し、測定対象液100の濃度測定を実行する。
以上に説明した濃度測定動作において、第2状態の測定対象液100の圧力(P4)は、第1状態の測定対象液100の圧力(P3)よりも低い。したがって、第2状態の測定対象液100は、第1状態の測定対象液100に対して、より蒸発しやすい状態である。このため、第2状態であれば、浸透膜86の第2領域86cにおける測定対象液100の蒸発量が、第1状態である場合よりも増加する。
浸透膜86の第2領域86cにおける測定対象液100の蒸発量が増加することにより、測定面82に接触している測定対象液100から、浸透膜86を透過して内部液83に到達する測定対象物質の量が増加する。
また、本実施形態では、第2状態において、測定対象液100の圧力Poだけでなく、内部液83の圧力Piも、第1状態よりも低くする。これにより、測定対象液100の蒸気が、浸透膜86の乾燥領域86dを透過して第1領域86bにおいて内部液83中に溶け込むことを促進させる。
このように、第2状態においては、測定面82に接触している測定対象液100から、浸透膜86を透過して内部液83に到達する測定対象物質の量を、第1状態に比して増加させることができる。浸透膜86を透過する測定対象物質の量が増加すれば、測定対象液100の特定の測定対象物質の濃度に応じて変化する内部液83中の物質濃度の応答速度を上げることができる。
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、濃度計80の浸透膜86が乾燥状態である場合に濃度測定動作を実行する際には、第2状態を生成して第2状態を所定時間維持することで浸透膜86を透過する測定対象物質の量を増加させることにより、浸透膜86が乾燥状態であっても、濃度計80による測定対象液100の濃度測定を遅滞無く実行することができる。
したがって、例えば週末にタンク20内から測定対象液100を排出し、平日に未使用の新たな測定対象液をタンク20内に供給する場合のように、タンク20内に測定対象液100が存在せずに浸透膜86が乾燥状態となる場合においても、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1であれば、測定対象液100をタンク20内に供給した後に濃度計80による測定対象液100の濃度測定を遅滞無く実行し、続く再生処理を開始することができる。
なお、本実施形態では、第1状態において、タンク20およびくぼみ81a内の気圧が大気圧とし、第2状態においてタンク20およびくぼみ81a内の気圧を大気圧より低くしているが、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、ポンプ92aを稼働時にタンク20内に空気を送り込む構成とし、第1状態において、ポンプ92aを稼働させることによりタンク20およびくぼみ81a内の気圧を大気圧よりも高くし、第2状態において、ポンプ92aを停止してタンク20およびくぼみ81a内の気圧を大気圧とする場合も、本発明に含まれる。このような変形例においても、第2状態における浸透膜86を透過する測定対象物質量が、第1状態よりも増加するため、前述の実施形態と同様に、浸透膜86が乾燥状態であっても、濃度計80による測定対象液100の濃度測定を遅滞無く実行することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
図5は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の構成を示す図である。本実施形態は、タンク20に貯留された測定対象液100の圧力Poを調整する第2調整部92の構成が、第1の実施形態と異なる。
図5に示すように、本実施形態の第2調整部92のポンプ92aは、エアポンプ35を兼ねる。ポンプ92aは、吸い出し管路92bを介してタンク20の通気孔20cに接続されている。吸い出し管路92bには、電磁バルブである開放バルブ92cが設けられている。開放バルブ92cは、開状態である場合に、吸い出し管路92b内を大気圧に開放する。
本実施形態において、タンク20内から空気を排出する場合には、開放バルブ92cを閉状態とし、チャンネルバルブ32を送出管路31と吸気管路34とが連通した状態とした後に、ポンプ92aの運転を開始する。この場合、ポンプ92aの稼働により、タンク20内の空気がタンク20外に排出される。
また、本実施形態において、再生処理の実行時に、内視鏡接続管路31bまたはケース接続管路31cに空気を送り込む場合には、開放バルブ92cを開状態とし、チャンネルバルブ32を送出管路31と吸気管路34とが連通した状態とした後に、ポンプ92aの運転を開始する。この場合、ポンプ92aの稼働により、開放バルブ92cから吸い込み管路92bに流入した空気が、内視鏡接続管路31bまたはケース接続管路31cに送り込まれる。
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1による濃度測定動作は、第1の実施形態と同様である。したがって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1の実施形態と同様に、濃度計80の浸透膜86が乾燥状態である場合に濃度測定動作を実行する際には、第2状態を生成することで浸透膜86を透過する測定対象物質量を増加させることにより、浸透膜86が乾燥状態であっても、濃度計80による測定対象液100の濃度測定を遅滞無く実行することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。以下では第1および第2の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1および第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
図6は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の構成を示す図である。本実施形態は、濃度計80が配置されるタンク20と、測定対象液回収部29とが、異なる容器として設けられている点が第1および第2の実施形態と異なる。
測定対象液回収部29は、内視鏡リプロセッサ1による再生処理の実行に最低限必要な量より多い測定対象液100を貯留する。測定対象液回収部29は、ボトル接続部19、回収管路23、薬液管路26、希釈管路48およびドレーン管路28aに連通している。ドレーン管路28aは、測定対象液回収部29の底面または底面付近に設けられた排液口20aに連通している。これらの管路は、前述の第1および第2の実施形態と同様の構成である。
本実施形態のタンク20は、供給管路20dを介して測定対象液回収部29に連通している。供給管路20dには、供給管路20dを開閉する電磁バルブである開閉バルブ20eが設けられている。
第1の実施形態と同様に、タンク20には、濃度計80、水位センサ55、第1調整部91、第2調整部92が配設されている。これらの構成は、第1および第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態では、開閉バルブ20eを開状態とすれば、測定対象液回収部29内に貯留される測定対象液100の水位の変化に応じて、タンク20内に貯留される測定対象液100の水位が変化する。
本実施形態において、タンク20内の気圧を変化させる場合には、開閉バルブ20eを閉状態とした後に、ポンプ92aの運転を開始する。
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1による濃度測定動作は、第1の実施形態とほぼ同様であるが、前述のように、第2調整部92を制御してタンク20内の気圧を変化させる場合に、開閉バルブ20eを閉状態とする点が第1の実施形態と異なる。
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1および第2の実施形態と同様に、濃度計80の浸透膜86が乾燥状態である場合に濃度測定動作を実行する際には、第2状態を生成することで浸透膜86を透過する測定対象物質量を増加させることにより、浸透膜86が乾燥状態であっても、濃度計80による測定対象液100の濃度測定を遅滞無く実行することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。以下では第1から第3の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1から第3の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1調整部91および第2調整部92の構成が、第1から第3の実施形態と異なる。図7は、本実施形態の第1調整部91および第2調整部92の構成を示す図である。
図7に示すように、本実施形態の第1調整部91は、濃度計80のくぼみ81a内からの気体の排出およびくぼみ81a内への気体の送出の少なくとも一方が可能なポンプ91cを備える。ポンプ91cは、くぼみ81a内に設けられた通気孔91cに接続されている。通気孔91cは、くぼみ81a内に貯留された内部液83の液面よりも上方に設けられている。
また、第1調整部91は、くぼみ81a内の気圧を測定する第1気圧測定部91dを備える。第1気圧測定部91dは、制御部5に接続されている。第1気圧測定部91dによって測定されたくぼみ81a内の気圧の情報は、制御部5に入力される。
第1調整部91の動作は制御部5によって制御される。本実施形態では一例として、ポンプ91cは、稼働することによりくぼみ81a内の空気を、通気孔91bを経由してくぼみ81aおよびタンク20の外に排出する。第1調整部91は、ポンプ91cによってくぼみ81a内の空気を排出することにより、くぼみ81a内に貯留されている内部液83の圧力Piを変化させる。
本実施形態の第2調整部92は、タンク20内の気圧を調整する。第2調整部92は、タンク20内からの気体の排出およびタンク20内への気体の送出の少なくとも一方が可能なポンプ92aを備える。ポンプ92aは、タンク20内の、第2水位L2よりも上方に設けられた通気孔20cに接続されている。
また、第2調整部92は、タンク20内の気圧を測定する第2気圧測定部92dを備える。第2気圧測定部92dは、制御部5に接続されている。第2気圧測定部92dによって測定されたタンク20内の気圧の情報は、制御部5に入力される。
第2調整部92の動作は制御部5によって制御される。本実施形態では一例として、ポンプ92aは、稼働することによりタンク20内の空気を、通気孔20cを経由してタンク20外に排出する。第2調整部92は、ポンプ92aによってタンク20内の空気を排出することにより、タンク20内に貯留されている測定対象液100の圧力Poを変化させる。
本実施形態では、図4に示す濃度測定動作のステップS30における第1状態の生成は、制御部5が第1調整部91のポンプ91cと第2調整部92のポンプ92aを停止状態とすることにより行われる。第1調整部91のポンプ91cと第2調整部92のポンプ92aを停止状態とすることにより、くぼみ81a内の気圧およびタンク10内の気圧が大気圧となり、内部液83の圧力Piが第1圧力P1となり、測定対象液100の圧力Poが第2圧力P2となる。
また、図4に示す濃度測定動作のステップS50では、制御部5は、くぼみ81a内の気圧およびタンク10内の気圧が、等しく大気圧よりも低い所定の気圧となるように、第1気圧測定部91dおよび第2気圧測定部92dによる測定結果に基づいてポンプ91cおよびポンプ92aを運転する。これにより、内部液83の圧力Piが第3圧力P3となり、測定対象液100の圧力Poが第4圧力P4となる。
内視鏡リプロセッサ1のその他の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。したがって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1の実施形態で説明したように、濃度計80の浸透膜86が乾燥状態である場合に濃度測定動作を実行する際には、第2状態を生成することで浸透膜86を透過する測定対象物質量を増加させることにより、浸透膜86が乾燥状態であっても、濃度計80による測定対象液100の濃度測定を遅滞無く実行することができる。
なお、第2の実施形態のように、本実施形態の第1調整部91のポンプ91cおよび第2調整部92のポンプ92aのうちのいずれかは、エアポンプ35を兼ねていてもよい。また、第3の実施形態のように、タンク20は、測定対象液回収部29と異なる容器として設けられていてもよい。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。以下では第1から第4の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1から第4の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
前述した第1から第4の実施形態では、第1調整部91および第2調整部92は、ポンプによりくぼみ81aおよびタンク20内の気圧を変化させることで、内部液83の圧力Piおよび測定対象液100の圧力Poを調整する構成を備える。一方、本実施形態の第1調整部91および第2調整部92は、くぼみ81aおよびタンク20の容積を変化させることで、内部液83の圧力Piおよび測定対象液100の圧力Poを調整する。
図8は、本実施形態の第1調整部91および第2調整部92の構成を示す図である。図8に示すように、第1調整部91は、濃度計80のくぼみ81a内に連通する第1シリンダ91gと、第1シリンダ91g内において摺動する第1ピストン91hと、第1ピストン91hを駆動するアクチュエータ91iと、を備える。
第1シリンダ91gは、くぼみ81a内に開口する連通孔91fを経由して、くぼみ81a内に連通している。すなわち、くぼみ81aの容積は、第1シリンダ91gの容積を含んでいる。
第1シリンダ91g内の容積は、第1ピストン91hの移動によって変化する。したがって、本実施形態の第1調整部91は、アクチュエータ91iによって第1ピストン91hを移動させることにより、くぼみ81aの容積を変化させて内部液83の圧力Piを調整する。
第2調整部92は、タンク20内に開口する連通孔20fに連通する第2シリンダ92gと、第2シリンダ92g内において摺動する第2ピストン92hと、を備える。本実施形態では一例として、第2シリンダ92gは、アクチュエータ91iによって第1シリンダ91hと同一のストローク量で移動するように駆動される。
第2シリンダ92gは、タンク20内に連通していることから、タンク20の容積は、第2シリンダ92gの容積を含んでいる。第2シリンダ92gの容積は、第2ピストン92hの移動によって変化する。したがって、本実施形態の第2調整部92は、アクチュエータ91iによって第2ピストン92hを移動させることにより、タンク20の容積を変化させて測定対象液100の圧力Poを調整する。
本実施形態では、第1ピストン91hの面積に対する第2ピストン92hの面積の比率は、くぼみ81aの容積に対するタンク20の容積の比率に比例している。したがって、第1ピストン91hおよび第2ピストン92hを同一のストローク量で移動させた場合には、内部液83の圧力Piと測定対象液100の圧力Poとは等しい関係を保ったまま上下する。
本実施形態では、図4に示す濃度測定動作のステップS30における第1状態の生成は、アクチュエータ91iによって第1ピストン91hおよび第2ピストン92hを駆動して、第1シリンダ91gおよび第2シリンダ92gの容積を所定の第1容積および第2容積にすることによって行われる。これにより、内部液83の圧力Piが第1圧力P1となり、測定対象液100の圧力Poが第2圧力P2となる。
また、図4に示す濃度測定動作のステップS50における第2状態の生成は、アクチュエータ91iによって第1ピストン91hおよび第2ピストン92hを駆動して、第1シリンダ91gおよび第2シリンダ92gの容積を、所定の第3容積および第4容積にすることによって行われる。ここで、第3容積および第4容積は、前述の第1容積および第2容積よりも大きい。これにより、内部液83の圧力Piが第3圧力P3となり、測定対象液100の圧力Poが第4圧力P4となる。
内視鏡リプロセッサ1のその他の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。したがって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1の実施形態で説明したように、濃度計80の浸透膜86が乾燥状態である場合に濃度測定動作を実行する際には、第2状態を生成することで浸透膜86を透過する測定対象物質量を増加させることにより、浸透膜86が乾燥状態であっても、濃度計80による測定対象液100の濃度測定を遅滞無く実行することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡リプロセッサもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明によれば、濃度計の浸透膜が乾燥した状態であっても、遅滞なく濃度測定の実行が可能な内視鏡リプロセッサを実現できる。
本出願は、2015年8月24日に日本国に出願された特願2015−164872号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。