JP6030051B2 - ヒートシンク及びヒートシンクの使用方法 - Google Patents

ヒートシンク及びヒートシンクの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、CPU、集積回路、半導体素子等の電子機器を始めとする各種機種などの冷却対象を冷却するのに用いられるヒートシンク及びヒートシンクの使用方法に関する。
CPU、集積回路、半導体素子などの電子機器を始めとする各種機器において放熱のためにヒートシンクが用いられる。近年、例えば電子機器の高密度化などに伴いこれらの機器の発熱量、発熱密度が増大する傾向にあることから、より冷却性能に優れた高性能のヒートシンクが求められるようになってきた。
更に、特にこれらの機器が自動車に搭載されて用いられる場合等には軽量化に対する要望も極めて強い。そのためには、冷却ファンを用いることなく、自然空冷のみによっても所望の性能を実現し得るようなヒートシンクが好ましい。
また、近年の各種機器は小型化が進み、そのために、例えば発熱体であるCPU、集積回路、半導体素子などの電子機器にヒートシンクを装着することができても、冷却ファンを装着する空間的な余裕を確保することは困難な場合も少なくない。この観点からも、自然空冷のみによって所望の性能を実現し得るようなヒートシンクが望まれる。
そして、冷却ファンを用いなくても所望の性能を示すようなヒートシンクが実現出来るならば、製造コストが低減される点からも好ましいことはいうまでもない。上記したような理由から、冷却ファンを用いることなく自然空冷のみによっても所望の性能を実現し得るようなより高性能なヒートシンクが強く求められている。
自然空冷のみによるヒートシンクとしては、これまでに特許文献1〜特許文献4のようなヒートシンクが提案されている。
また、必ずしも自然空冷に適したものとはいえないが、特許文献5のようなヒートシンクが提案されている。
特開平08―88301号公報 特開平06―104583号公報 特開2010―251730号公報 特開平05−102357号公報 特開2008−205421号公報
これまでの自然空冷用のヒートシンクは、特許文献1〜特許文献4に示されるように板状フィンを用いるものが多かった。なお、「ピン型ヒートシンク」と銘打たれている特許文献4は、冷却対象からの熱が伝わる受熱板上に多数の放熱フィンが配設されているが、各々のピンはその横断面形状が厚さの薄い広幅の平角形状か又はリボン形状の平形ピンであり(特許文献4の段落0008参照)、板状フィンが用いられているといえる。
板状フィンは、放熱面積が大きいので、冷却性能が良いのであるが、しかしながら、板状であることから相応の重量となってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、軽量で且つ冷却性能の優れたヒートシンクを得ることを目的とする。
本発明は、軽量なヒートシンクを得るために板状フィンでなくピンフィンを用いる。一般的に、ピンフィンを用いると板状フィンに比べて放熱面積が減少するので、冷却性能は低下する。かと言って、板状フィンと同じ放熱面積になる程に高密度にピンフィンを配置することは、そもそもの目的である軽量化を果たせないばかりでなく、冷却用空気の流れに対する抵抗が大きくなり過ぎて反って冷却性能が低下してしまうので、全く現実的でない。
本発明の目的に適うよう、ピンフィンを用いても板状フィンに比べて遜色ない程度の放熱性能を持たせるようにするためには、冷却用空気の流れがより加速・増進されるように工夫することと、空気とフィンとの熱交換効率がより高まるようにフィンの機能をより向上させることが重要である。
この観点から鋭意検討した結果としてなされた本発明は、具体的には次の通りである。
即ち、本発明の第1の観点に係るヒートシンクは、
冷却対象を冷却するのに用いられるヒートシンクであって、
前記冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が板面に沿って流れるように立設されるベースプレートと、
前記ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群と、
を備え、
前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように水平方向に対向して配設され
前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い楕円形である、
ことを特徴とする。
本発明の第2の観点に係るヒートシンクは、
冷却対象を冷却するのに用いられるヒートシンクであって、
前記冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が板面に沿って流れるように立設されるベースプレートと、
前記ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群と、
を備え、
前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように水平方向に対向して配設され、
前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い流線形、木の葉状、または卵型である、
ことを特徴とする。
また、前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の楕円形であってもよい。
また、前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の流線形、木の葉状、または卵型であってもよい。
前記ピンフィン群では、前記一対のピンフィン列が水平方向に二対以上繰り返して設けられていてもよい。
前記一対のピンフィン列は、各々のピンフィン列におけるピンフィンの配列方向同士の成す角度が40°以下であってもよい。
本発明の第の観点に係るヒートシンクの使用方法は、
ベースプレートと、ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群とを備え、前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が徐々に広がるように対向して配設され、前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い楕円形であるヒートシンクの使用方法であって、
冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が前記ベースプレートの板面に沿って流れるとともに、前記一対のピンフィン列が、水平方向に対向して、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように、前記ヒートシンクを配設して自然空冷に用いる、
ことを特徴とする。
本発明の第4の観点に係るヒートシンクの使用方法は、
ベースプレートと、ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群とを備え、前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が徐々に広がるように対向して配設され、前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い流線形、木の葉状、または卵型であるヒートシンクの使用方法であって、
冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が前記ベースプレートの板面に沿って流れるとともに、前記一対のピンフィン列が、水平方向に対向して、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように、前記ヒートシンクを配設して自然空冷に用いる、
ことを特徴とする。
前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の楕円形であってもよい。
前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の流線形、木の葉状、または卵型であってもよい。
前記ピンフィン群では、前記一対のピンフィン列が二対以上設けられており、
前記一対のピンフィン列が、水平方向に二対以上繰り返して配設されるように前記ヒートシンクを配設してもよい。
前記一対のピンフィン列は、各々のピンフィン列におけるピンフィンの配列方向同士の成す角度が40°以下であってもよい。
ここで、「冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が板面に沿って流れるようにベースプレートが立設される」や「冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流がベースプレートの板面に沿って流れる」とは、「ベースプレートが実質的に鉛直に立設される」ということであり、具体的にはベースプレート面の傾きが鉛直方向から+45°から−45°の範囲内であればよく、+30°から−30°の範囲内であれば良好な冷却性能が得られる。さらに+10°から−10°の範囲内であれば特に良好な冷却性能が得られる。
また、「前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように水平方向に対向して配設される」とは、端的に言えば、前記ピンフィン列の対が上方に向けて開く略Vの字形を構成するように、前記ベースプレート上に立設されている構造である。
ここで、「略Vの字形」と記したのは、必ずしも「V」の字形そのままの如くにVの字形の先端部が完全に閉じたものである必要はなくて、例えば製造の便宜上その他の理由からVの字形の先端部が適宜空いたものであっても良いとの意である。そのために「略」なる語を頭に冠した。
本発明のヒートシンク及びヒートシンクの使用方法によれば、軽量でかつ冷却性能が高いヒートシンク、特に自然空冷によっても冷却性能の優れたヒートシンクを得ることができる。
本発明の第3実施形態のヒートシンクを示す斜視図である。 第3実施形態のヒートシンクを示す正面図である。 比較例のヒートシンクを示す斜視図である。 比較例のヒートシンクを示す正面図である。 シミュレーション計算に用いた計算モデルを説明する斜視図である。 比較例のヒートシンクについてシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 第3実施形態のヒートシンクについてシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 シミュレーション計算で得られた、略Vの字形の開き角αとベースプレートの最高温度上昇値ΔTとの関係を示す図である。 開き角αが10°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが15°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが20°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが25°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが30°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが40°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが50°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 シミュレーション計算で得られた、ピンフィン間隙とベースプレートの最高温度上昇値ΔTとの関係を示す図である。 間隙が1.25mmのときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 間隙が2.5mmのときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 間隙が3.5mmのときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 シミュレーション計算で得られた、アスペクト比とベースプレートの最高温度上昇値ΔTとの関係を示す図である。 アスペクト比3.26のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 アスペクト比4.82のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 本発明の第4実施形態のヒートシンクを示す正面図である。 本発明の第5実施形態のヒートシンクを示す正面図である。 本発明の第6実施形態のヒートシンクを示す正面図である。 本発明の第1実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが2°である例を示す。 第1実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが3°である例を示す。 第1実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが5°である例を示す。 第1実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが10°である例を示す。 開き角αが0°である比較例のヒートシンクを示す概略正面図である。 開き角αが10°のときの第1実施形態のヒートシンクを示す斜視図である。 シミュレーション計算に用いた計算モデルを説明する斜視図である。 開き角αが2°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが3°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが5°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが10°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが0°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 第2実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが2°である例を示す。 第2実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが3°である例を示す。 第2実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが5°である例を示す。 第2実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが10°である例を示す。 比較例のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが0°である例を示す。 開き角αが2°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが3°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが5°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが10°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが0°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 本発明の第3実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが10°である例を示す。 比較例のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが0°である例を示す。 比較のヒートシンクを示す概略正面図であり、ピンフィン列が一様に迎え角βが5°で設けられている例を示す。 開き角αが10°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが0°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 迎え角βが5°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 本発明の第4実施形態のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが10°である例を示す。 比較例のヒートシンクを示す概略正面図であり、開き角αが0°である例を示す。 比較のヒートシンクを示す概略正面図であり、ピンフィン列が一様に迎え角βが5°で設けられている例を示す。 開き角αが10°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 開き角αが0°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。 迎え角βが5°のときのシミュレーション計算で得られた空気速度分布を示す図である。
この発明を実施するための形態の例を、以下に図面を参照しながら説明する。
なお、以下の各例に示す本発明のヒートシンクは、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金など熱伝導性が良好な材料を用いて作製することが望ましい。
また、冷却性能向上のために本発明のヒートシンクの表面に、熱放射を高める表面処理を施しても良い。特に、ヒートシンクを自然空冷に用いる場合、必然的に対流熱伝達率が比較的小さく止まりがちであることから放射熱伝達率の寄与が相対的に大きいといえるので、熱放射を高める表面処理を施して放射熱伝達率を高めることは特に有効と考えられる。例えば、ヒートシンクの材料がアルミニウムまたはアルミニウム合金の場合には、放射熱伝達率を高めることができる方法として、黒色アルマイト処理をはじめとするアルマイト処理が簡便であると共に複雑形状に対しても可能な方法であり好適である。
(第1実施形態)
図20A〜図20Dに、本発明の第1実施形態のヒートシンクの概略正面図を示し、図20Eに比較例のヒートシンクの概略正面図を示す。
また、図21に、図20Dに対応する本発明の第1実施形態のヒートシンクの斜視図を示す。
第1実施形態のヒートシンク10は、実質的に鉛直に置かれたベースプレート1(幅61mm、長さ(高さ)70mm、板厚3mm)の板面に冷却用空気への伝熱を行なうための複数のピンフィン2(直径2.5mm、高さ25mmの円柱状)が立設されており、前記複数のピンフィン2は、所定の間隔(1.8mm)を空けて直線状に配置されてなる列(ピンフィン列)の対(一対のピンフィン列)が上方に向けて開く略Vの字形を構成するように、即ち、それぞれに対となっているピンフィン列の鉛直下方の列端部のピンフィン同士の距離に比して鉛直上方の列端部のピンフィン同士の距離が大きくなるように、前記ベースプレート1の板面に複数のピンフィン2が立設されている。更に換言すれば、ヒートシンク10では、一対のピンフィン列が、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように対向してベースプレート1に配設されている。この実施形態では、略Vの字形を構成する対となるピンフィン列が水平方向に並んで三対(つまり、ピンフィン列が6列)設けられている。
略Vの字形の開き角(略Vの字形の先端における頂角を指すものとする。)αを少しずつ増して0〜10°に変化させた。但し、図1Eの開き角αが0°の例は、比較のために示しおり、本発明の実施形態には属さない。なお、開き角αは、ピンフィン列におけるピンフィンの配列方向同士が成す角度に相当する。
図20A〜図20Eにおいて開き角αを増すやり方は、3組(三対)のピンフィン列の各々2つのピンフィン列が互いに平行に鉛直方向に沿って配置された状態から(図20E参照)、各々のピンフィン列を互いに反対向きに僅かずつ回転させることにより行なっている。ここで、開き角αを変化させてもベースプレート1に配置されるピンフィン2の総数が変わらないようにするために、ピンフィン列の鉛直方向の中央の位置を中心として各々のピンフィン列を回転させるようにした。この実施形態では、一対のピンフィン列は、鉛直方向の中央同士の距離が8.3mm離れているものとした。
なお、発熱部品3は、図20A〜図20Eには図示されていないが、ベースプレート1の裏側(ピンフィン2が立設されている側の反対側)の全面に渡り接続されている。
図20Eに示す比較例のピンフィン型ヒートシンク(α=0°)では、ピンフィン列が互いに平行に鉛直方向に並んでいるので、暖められた空気の上昇気流はそのまま上方に流れる。
それに対して、開き角αが0°より大となって或る開き角を有している図20A〜図20Dに示す例では、ピンフィン列が鉛直方向に対して斜め(α/2)の方向に延在している。この斜めに配設されたピンフィン列は、鉛直方向に上昇する上昇気流にとっては開き角の半分(α/2)の迎え角となるので、暖められた空気の上昇気流は前記ピンフィン列に衝突し、そして、一部はそのピンフィン列を通り抜けて反対側(一対のピンフィン列の内側)に到ることが考えられる。ここでは、これを仮に“迎え角衝突効果”と呼んでおく。しかしながら、図20A〜図20Dに示すように開き角αが小さい場合、この効果は微々たるものであると予想される。
ところが、以下に詳しく説明する通り、上記“迎え角衝突効果”とは別の理由が存在して、開き角αが小さくとも、一対のピンフィン列が鉛直上方に0°より大きい開き角αを有するようにすると(図20A〜図20D参照)、ピンフィン列が鉛直方向に並べられているときに比して(図20E参照)、予想より多量の空気がピンフィン列を通り抜けて反対側に到ることが分った。
第1実施形態のヒートシンクの冷却性能が優れていることを確認するために、シミュレーション計算を行なった。
シミュレーション計算に用いた計算モデルを説明する斜視図を、図22に示す。シミュレーション計算は、ヒートシンク10に風洞3を取り付けた状態について行った。風洞3は、鉛直方向が貫通する直方体状であって、前後左右の4面が壁からなり、上下の2面は開口面になっている。この風洞3をヒートシンク10の上下端から各々15mm(図22中、a,b=15mm)、ピンフィン2の先端部から5mm((図22中、c=5mm)となる位置に取り付けた状態とした。
また、ヒートシンク10は鏡映対称(図20A〜図20E中、左右対称)をなしているので、計算時間を短縮するためにシミュレーション計算は鏡映対称面から片側半分について行なった。このため、図22についても、ヒートシンク10の片側半分を示している。
図20A〜図20Eの各構造についてシミュレーション計算によって求めた空気速度分布の結果を、図23A〜図23Eに示す。空気速度分布の結果としては、ピンフィン2の高さの1/2の位置の鉛直平面(この実施形態では、ベースプレート1から12.5mm離れた位置)における空気速度分布を示した。図23において、空気速度が大であるほど濃い黒色で示されている。また、同図に、各場合のベースプレート最高温度上昇値ΔTをも示す。
なお、シミュレーション計算条件は、発熱部の発熱量10W、風洞材料は樹脂、ヒートシンク材料はアルミニウム合金とし、風洞下部の境界条件は大気圧25℃とした。
図23A〜図23Eから分かるように、各ピンフィン列に挟まれた領域のいずれにおいても、上方に行くほど速度が大きくなっているが、これは、上昇気流として移動する間にも空気は暖められ続けて一層大きな浮力を受けることにより次第に加速されるためであると考えられる。なお、各ピンフィン列に挟まれた領域はいずれも、左右両側をピンフィン列によりガードされていることから、其処にはいわば一種の“煙突効果”が生じていると考えられる。
そして、注意深く観察すると、図23Eから図23A〜図23Dへと開き角αが0°から次第に増すに従って、上方に向けて開く略Vの字形(即ち、上に行くほど広くなる。)の内側の空間の空気速度は次第に大となり、逆に、上方に向けて開く略Vの字形の外側の空間である、下方に向けて開く略Vの字形(即ち、上に行くほど狭くなる。)の内側の空間の空気速度は次第に小となっていることが分かる。
即ち、開き角αが0°でない場合、上方に向けて開く略Vの字形の内側と外側とで空気速度が異なる。一般に空気が高速で流れると圧力低下が生じる(ベルヌーイの定理)。従って、空気が高速で流れることに基づく圧力低下の度合いも異なって、上方に向けて開く略Vの字形の内側の方がその外側よりも圧力低下が著しくなる。この結果、略Vの字形の内外で圧力差が生じて、外側から内側に向かって空気が引き込まれるような力が作用する。
この効果は、上記の説明から明らかなように、開き角αが0°のときは生じることがなく、開き角αが0°より大となってはじめて生じるものなので、これを、“開き角圧力差効果”と呼ぶことにする。
なお、上に記した通り、上方に向けて開く略Vの字形の内側の空間部分において上方に行くほど空気がより高速で流れるようになるのは、煙突効果に加えて、上方に行くほど末広がり状に流路が広くなることから空気が上昇するに従って流体摩擦抵抗が小となるためであると考えられる。しかも、その末広がりの程度は開き角αの大きさに比例する。その結果、図23A〜図23Dに示すように、開き角αが増すに従って空気速度が大になっているものと考えられる。
一方、上方に向けて開く略Vの字形の外側部分(即ち、下方に向けて開く略Vの字形の内側部分)において、上記とは全く逆に上方に行くほど空気がより低速で流れるようになるのは、上方に行くほど先すぼまり状に流路が狭くなることから空気が上昇するに従って流体摩擦抵抗が大となるためであると考えられる。しかも、その先すぼまりの程度は開き角αの大きさに比例する。その結果、図23A〜図23Dに示すように、開き角αが増すに従って空気速度が次第に小になっているものと考えられる。
第1実施形態においては、上方に向けて開く略Vの字形を構成するピンフィン列の対が水平方向に三対設けられている場合を示したが、上記の説明から理解出来るように、“開き角圧力差効果”は、上方に向けて開く略Vの字形を構成するピンフィン列の対が1組のみの場合であっても生じる。即ち、上方に向けて開く略Vの字形の内側の空間部分では、上記の通り上方に行くほど末広がり状に流路が広くなり空気がより高速で流れるようになるのに対して、前記略Vの字形の外側の空間部分ではそのような効果が特には無いので、略Vの字形の外側に比較して内側の方が空気速度がより大きくなる。
なお、開き角αが0°であっても、いわゆる“煙突効果”は生じると考えられる。簡単に説明すると、“煙突効果”は主として鉛直方向(ピンフィン列に沿った方向)への空気移動に関するが、“開き角圧力差効果”は主として水平方向(ピンフィン列を横切る方向)への空気移動に関するといえる。
この“開き角圧力差効果”が存在することにより、前記ピンフィン列を構成しているピンフィン同士間の狭い間隔であっても、空気が予想以上により良く通過する。そのためピンフィンと空気との間で効率良く熱交換されて冷却性能が優れることとなる。
図23A〜図23Eに示した空気速度分布から、この“開き角圧力差効果”は、開き角αが0°から僅かに増しただけでもその兆候が現われ始め、開き角αが増すに従って次第に顕著な効果となることが分かる。
また、図23A〜図23Eに示したベースプレート1の最高温度上昇値ΔTの結果から、図20に示すピンフィン2の配置では、α=2°になると明らかにΔTに変化が見られ、そして、α=5°になるとΔTの変化が歴然とすることが分かる。
(第2実施形態)
図24A〜図24Dに、本発明の第2実施形態のヒートシンクの概略正面図を示し、図24Eに、比較例のヒートシンクの概略正面図を示す。
第2実施形態のヒートシンクは、第1実施形態よりもピンフィン列におけるピンフィン同士の間隔が大きい。ただし、その他の点に関しては第1実施形態のヒートシンクにほぼ準じる。
第2実施形態のヒートシンクは、実質的に鉛直に置かれたベースプレート1(幅85mm、長さ(高さ)70mm、板厚3mm)の板面に冷却用空気への伝熱を行なうための複数のピンフィン2(直径4.2mm、高さ25mmの円柱状)が立設されており、前記複数のピンフィンは、所定の間隔(9mm)ずつを空けてピンフィンが直線状に配置されてなる列(ピンフィン列)の対(一対のピンフィン列)が上方に向けて開く略Vの字形を構成するように、即ち、それぞれの対となっているピンフィン列の鉛直下方の列端部のピンフィン同士の距離に比して鉛直上方の列端部のピンフィン同士の距離が大きくなるように、前記ベースプレート1上に複数のピンフィン2が立設されている。第2実施形態では、第1実施形態と同様に、略Vの字形を構成する対となるピンフィン列が水平方向に並んで三対(つまり、ピンフィン列が6列)設けられている。
図24A〜図24Eにおいて開き角αを増すやり方も、第1実施形態と同様に、ピンフィン列の中央の位置を中心として各々のピンフィン列を回転させるようにした。この実施形態では、一対のピンフィン列は、鉛直方向の中央同士の距離が10mm離れているものとした。
図24A〜図24Eの各構造についてシミュレーション計算によって求めた空気速度分布の結果を、図25A〜図25Eに示す。また、同図に、各場合のベースプレート最高温度上昇値ΔTをも示す。なお、シミュレーション計算条件は、第1実施形態のときに準じる。
図25A〜図25Eから分かるように、第2実施形態のヒートシンクでは、図23A〜図23Eを用いて説明した第1実施形態のヒートシンクと同様に、各ピンフィン列に挟まれた領域のいずれにおいても上方に行くほど速度が大きくなり、そして、開き角αが0°から次第に増すに従って、上方に向けて開く略Vの字形(即ち、上に行くほど広くなる。)の内側の空間の空気速度は次第に大となり、逆に、下方に向けて開く略Vの字形(即ち、上に行くほど狭くなる。)の内側の空間(上方に向けて開く略Vの字形の外側の空間)の空気速度は次第に小となっている。
図25A〜図25Eに示した空気速度分布の遷移状況から、“開き角圧力差効果”は、開き角αが0°から僅かに増しただけでもその兆候が現われ始め、開き角αが増すに従って次第に顕著な効果となることが分かる。
また、図25A〜図25Eに示したベースプレート1の最高温度上昇値ΔTの結果から、図24に示すピンフィン2の配置の場合で言えば、α=5°になると明らかにΔTに変化が見られ、そして、α=10°になるとΔTの変化が歴然とすることが分かる。
以上述べたように、第1実施形態でも第2実施形態でも、開き角αが0°から僅かに増しただけでも“開き角圧力差効果”が生じている。
そして、第1実施形態では既にα=2°でも明らかにベースプレート1の最高温度上昇値ΔTに変化が見られ、α=5°になるとΔTの変化が歴然とし、第2実施形態ではα=5°で明らかにΔTに変化が見られ、α=10°になるとΔTの変化が歴然とする。
上記した図20A〜図20Eに示すヒートシンク10と、図24A〜図24Eに示すヒートシンク10からも分かる通り、ΔTの変化が歴然とする開き角αの値は、各々の具体的なヒートシンク(即ち、ピンフィン列)の構造に依存して変わり得る。但し、上記した結果から、少なくとも、α=2°でヒートシンクの性能向上が見られ、α=5°では一層向上し、α=10°では更に向上しているといえる。
なお、上に説明して来た通り、“開き角圧力差効果”はピンフィン列が「開き角」を有するからこそ生じる点に留意する必要が有る。従って、例えば、各々のピンフィン列が鉛直方向に対して角度(以下、「迎え角」という)βを以って斜め方向に配置されていようとも、隣のピンフィン列も同様に迎え角βを以って斜め方向に配置されて、両ピンフィン列が互いに平行(即ち、開き角α=0°)であれば、“開き角圧力差効果”は生じないものと予想される。
このことを確認した結果を、以下に示す。
図26A及び図26Bは、上記した図20D及び図20Eと同一であり、開き角αが各々10°及び0°である。図26Aは、見方を変えれば、迎え角β=5°とβ=−5°のピンフィン列が交互に配置されていると見ることも出来る。
これに対して、図26Cは、図26Aにおけるβ=−5°のピンフィン列を+β側に10°回転させてβ=5°側に配置したものである。つまり、全てのピンフィン列が迎え角β=5°を以って互いに平行に配置されたものに該当する。
図26A〜図26Cの各構造についてシミュレーション計算によって求めた空気速度分布の結果を、図27A〜図27Cに示す。また、同図に、各場合のベースプレート最高温度上昇値ΔTをも示す。なお、シミュレーション計算条件は、第1実施形態に準ずる。
図27A〜図27Cから分かるように、図27Cに示す全てのピンフィン列の迎え角βが5°のものでは、空気速度もΔTも、図27Bに示すピンフィン列が鉛直方向に沿っているもの(α=0°)と殆んど等しい。即ち、上述したように、このような場合には“開き角圧力差効果”は生じないことが分かる。
また、図27Cに示す全てのピンフィン列の迎え角βが5°のものと、図27Bに示すピンフィン列が鉛直方向に沿っているものとが殆んど等しいということは、前記した“迎え角衝突効果”は、大して影響していない、又は、影響していたとしても極めて微々たるものであることを意味している。
また第2実施形態のヒートシンクに対して同様に検討したものを、図28A〜図28C及び図29A〜図29Cに示す。図29A〜図29Cに示すように、第2実施形態のヒートシンクについても、図27A〜図27Cで示す上記した第1実施形態のヒートシンクに対して検討したものと全く同様の結果が得られ、全てのピンフィン列が迎え角β=5°を以って互いに平行に配置された図29Cでは“開き角圧力差効果”は認められないことが確認された。
(第3実施形態)
図1A、図1Bは、本発明の第3実施形態のヒートシンクを表わす斜視図、正面図である。
本発明の第3実施形態のヒートシンクは、実質的に鉛直に置かれたベースプレート1(幅35mm、長さ(=高さ)70mm、板厚3mm)の板面に冷却用空気への伝熱を行なうための複数のピンフィン2(直径2.5mm、高さ25mmの円柱状)が立設されており、前記複数のピンフィンは、所定の間隔1.8mmずつを空けてピンフィンが直線状に配置されてなる列の対が上方に向けて開く略Vの字形を構成するように前記ベースプレート1の板面に立設されている。
ここで、複数のピンフィン2は、Vの字形の先端が閉じた完全なVの字形に設けられてもよい。しかし、例えばピンフィン2をベースプレート1上に立設する方法としてダイカスト法を用いるには、ピンフィン2同士の間隔が2mm程度空いている必要があり、図1に示すように2つのピンフィン列の下端同士が少し(例えば2mmなど)空いている方が製造しやすくなる場合がある。また、このように2つのピンフィン列の下端同士が離れていると、対称線を境に片側の領域についてシミュレーションを行うことができ、ヒートシンクの設計が容易になる。このため、この実施形態では、2つのピンフィン列の下端同士が少し離れているものとした。また、ピンフィン列の対が構成する略Vの字形の開き角度αは、20°とした。
なお、発熱部品3(幅20mm、長さ(=高さ)20mm)は、図1A及び図1Bには図示されていないが、ベースプレート1の裏側(ピンフィン2が立設されている側の反対側)のほぼ中央部に接続されている。
第3実施形態のヒートシンクの冷却性能が優れていることをシミュレーション計算により確認した。その結果について具体的に説明する。
比較のために、図2A、図2Bに斜視図、正面図を示すようにピンフィンを均一に分散させて立設したヒートシンクについてもシミュレーション計算を行った。比較のために、これらのヒートシンクには同一の断面形状で同一のフィン高さのピンフィンを同じ総本数だけ立設するようにして、重量が等しくなるようにした。
シミュレーション計算に用いた計算モデルを説明する斜視図を、図3に示す。シミュレーション計算は、ヒートシンク10に風洞3を取り付けた状態について行なった。風洞3は、直方体状ではあるが、前後左右の4面のみが壁からなり、上下の2面は筒抜け状になっている。この風洞3をヒートシンク10の上下端から各々15mm(図3のa,b)、ピンフィン先端部から5mm(図3のc)となる位置に取り付けた状態とした。
また、ヒートシンク10は鏡映対称をなしているので、計算時間を短縮するためにシミュレーション計算は鏡映対称面から片側半分について行なったので、図3もヒートシンクの片側半分を示している。
シミュレーション計算の条件は、発熱部の発熱量10W、風洞材料は樹脂、ヒートシンク材料はアルミニウム合金とし、風洞下部の境界条件は大気圧25℃とした。
シミュレーション計算結果は、次の通りである。ベースプレートの最高温度上昇値ΔTが、比較例のヒートシンクでは75.3℃であるのに対して、本発明の第3実施形態のヒートシンクでは72.4℃となり、本発明の第3実施形態の方が冷却性能が優れていることが分る。
この理由を考察する。図4A及び図4Bに、ピンフィン高さの1/2の位置の鉛直平面における空気速度分布を示す。図4A及び図4Bにおいて、空気速度が大であるほど濃い黒色で示されている。図4Aから、比較例のピンフィン配置では、空気の流れは縦横に林立散在するピンフィンに遮られてしまって抵抗が大きく、速度が上がらないことが分かる。
それに対して、図4Bから、本発明第3実施形態のヒートシンクにおいては、前記略Vの字形の内側を速い速度で空気が流れていることが分る。これは、次のようなことに起因していると考えられる。即ち、裏側に発熱部品が接続されている辺りのベースプレート1から熱が放出されることにより、ベースプレート1の周りの空気が暖められて上昇気流が発生する。この上昇気流はまず前記ピンフィン2に衝突し、次いでピンフィン2同士の間隙を通過した後、略Vの字形の内側へと到り、其処の空間を上昇する。上昇気流は浮力を受けて次第に速度が上がる。更に、前記略Vの字形の内側は自由なスペースとなっているので、比較例のようにピンフィンが縦横に林立散在することによる流れ抵抗が無い。更にそれのみに止まらず、前記略Vの字形の内側は、その上方は自由なスペースとして開放されていると共に、左右両側は前記略Vの字形を構成する線状配置ピンフィンによりガードされていることから、いわば一種の“煙突効果”が生じて、浮力を受けて上昇する空気の流れは一段と加速されて高速で上方に流れるところとなるものと考えられる。
そして、其処の空間(前記略Vの字形の内側)の空気が高速で上方に流れると圧力が低下するので、略Vの字形の外側の空気は、略Vの字形の内側に向かって引き込まれることとなる。ここで、このヒートシンクはVの字形の先端がほぼ閉じていることから、空気は主として前記ピンフィン同士の間隙を通過して流れ込む。略Vの字形の内側の方が外側よりも空気速度がより大きいことから、前記した“開き角圧力差効果”も作用することはもちろんである。即ち、略Vの字形を構成するように線状に配置されたピンフィン同士の間隙を通過する空気の勢いが一段と強くなる。これらの効果が存在することにより、狭いピンフィン同士間隔であっても空気がより良く通過し得るところとなり、そのため、本発明第3実施形態ではピンフィンと空気との間で効率良く熱交換されて冷却性能が優れることとなるものと考えられる。
さて、前記略Vの字形の内側には上記したような線状配置ピンフィンのガード効果に基づいて“煙突効果”が生じているとすれば、そのガード効果の有効性を決定付けると考えられる前記略Vの字形の開き角αの大きさは、本発明のヒートシンクの冷却性能に対して大きな影響を及ぼすと考えられる。
そこで、略Vの字形の開き角αの影響を調べるために、αを10°→15°→20°→25°→30°→40°→50°と変化させた場合を、シミュレーション計算により検討した。シミュレーション計算の所与条件は、前記図1〜図4の場合に準じた。但し、略Vの字形の開き角αを大きくしたときでもピンフィン配置がベースプレートからはみ出してしまわないように、ベースプレート寸法は、幅70mm、長さ(=高さ)70mm、板厚3mmとした。
得られた結果を、開き角αとベースプレートの最高温度上昇値ΔTとの関係として、図5に示す。また、各々の開き角αのときの空気速度分布の様子を、図6〜図12に示す。
図6〜図8を見ると明らかなように、αが10°→15°→20°と増すに従って、略Vの字形を構成するように線状に配置されたピンフィン同士の間隙を通過する空気の勢いが逐次強くなっていることが極めて顕著である。これは、“煙突効果”の生じる略Vの字形の内側領域の幅が次第に広くなり空気が流れ易くなって“煙突効果”自体がより強くなり、上昇気流がより高速で上方に流れてその領域の圧力が低下するので、略Vの字形の外側の空気がV字形の内側に向かって引き込まれる勢いがより強くなることを意味しているものと考えられる。それに対応して、図5から分かる通り、αが10°→15°→20°と増すに従って、ΔTが顕著に低下して冷却性能が向上している。
一方、図5から、開き角αが20°を超えると、逆にΔTが次第に上昇して冷却性能が低下してくることが分かる。これに対応する図9〜図12を見ると、αが25°以上では、略Vの字形の内側の上方に空気速度の遅い領域(これらの図で白っぽい部分。)が出現して来ていることが分かる。そして、25°→30°→40°→50°と増すに従って、この領域は着実に拡大し、α=50°では、略Vの字形の内側のほぼ全体を空気速度の遅い領域が占めてしまう。これは、開き角αが開き過ぎるともはや“煙突”的ではなくなり、“煙突効果”が弱まってしまうためであると考えられる。従って、αは40°以下であることが必要である。以上から、Vの字形の先端が閉じたこの実施形態では、略Vの字形の開き角αは、10°<α≦40°が好適であるといえる。
そして、開き角αを15°≦α≦30°に選べば、空気速度も全般に速くてΔTを低く抑え得ていて、好ましいことが分かる。
なお、αが小さい場合に、前記略Vの字形をベースプレートの例えば中央部に配置したときにはベースプレートの両側にはピンフィンが全く存在しない領域が生じてしまう。そのようなときには、冷却性能を一層高めるために略Vの字形をその両側領域にも並べて配置して、前記略Vの字形のピンフィン配置が水平方向に2回以上繰り返して設けられるようにするのが好ましい。
ところで、前にも説明した通り、本発明のヒートシンクにおいては前記略Vの字形を構成するように線状に配置されたピンフィン同士の間隙を通過する空気の流れが重要である。そこで、次に、本発明の第3実施形態においてピンフィン同士の間隙の大きさを変えたときに冷却性能がどう変化するかをシミュレーション計算により具体的に調べた。
ベースプレート寸法は、上の検討と同じく幅70mm、長さ(=高さ)70mm、板厚3mmとした。開き角αは、上の検討で最も冷却性能が優れていた20°とした。そして、開き角αを20°とすると、前記寸法のベースプレートにおいてピンフィンが全く存在しない領域が生じてしまうので、略Vの字形のピンフィン配置を水平方向に2つ並べた形状で検討を行なった。なお、所定寸法のベースプレート上においてピンフィン同士の間隙を変えるので、ピンフィンの本数は間隙の大きさに対応して変化させた。
図13及び図14A〜図14Cに、その検討結果を示す。図13は、ピンフィン間隙とベースプレートの最高温度上昇値ΔTとの関係であるが、これから、ピンフィン同士の間隙には適切な大きさが存在し、それが大き過ぎても小さ過ぎても冷却性能が劣ることが分かる。ここでは、間隙2.5mmのときに、ΔTが46.8℃であり最高特性となっている。
図14A〜図14Cに示した空気速度分布のシミュレーション結果を見ると、図14Aに示す間隙1.25mmのものは、ピンフィン間隙においてもV字形の内側においても空気速度が明らかに遅くなっていることが分かる。このようにピンフィン同士の間隙が小さくなってくると、その間隙を空気が通り抜けにくくなり、そのために冷却性能が劣るようになるものと思われる。
一方、図14B及び図14Cに示すように、ピンフィン間隔が大きくなった方で冷却性能が劣るようになる理由は、所定寸法のベースプレート上に立設できるピンフィンの総本数が減ってしまい放熱総面積が減少することによるものと考えられる。
上に述べたピンフィン間隙が冷却性能に及ぼす影響についての考察から、次のようなことが言える。即ち、所定寸法のベースプレート上に立設できるピンフィンの総本数という点から言えば、ピンフィン間隙は小さいほど良い。ところが、ピンフィン間隙が小さくなるほど、空気が通り抜けにくくなることから冷却性能が劣るようになるという問題が有る。そこで、所定寸法のベースプレート上に立設するピンフィンの総本数、例えばピンフィン立設位置、は保ったままにした上で、空気の通り抜けにくさを改善することがもし出来るならば、冷却性能をより高めることが可能となる。
このことを実現する一つの手段としては、例えば、前記各ピンフィンの断面形状(長手方向に対して垂直となる断面の形状)を円形とすれば、それが四角形である場合に比較して、前記ピンフィン同士の間隙を空気がより滑らかに通過しやすくなる。こうすれば、各ピンフィンの配置位置及び各ピンフィンの断面積の大きさを同一、即ちピンフィン全体としての総数と総重量を同一としても、冷却性能が一層優れる。
更に、ピンフィンの立設位置は保ったまま、各ピンフィンの断面形状を、円形から、空気の流れ方向に沿って伸長したような楕円形へと変える方法が考えられる。即ち、前記略Vの字形の外側と内側を結ぶ方向を長軸とし、前記略Vの字形ピンフィン列に沿う方向を短軸とするような楕円形に変えるものである。そうすれば、それが円形である場合に比較して、ピンフィン同士の間隙がより拡がって空気がより通過しやすくなると共に、空気がピンフィン同士の間隙を通過する際の空気とピンフィンとの接触距離、即ち接触面積が大きくなるため、冷却性能が更に優れるものとなる。
ただし、上記した長軸及び短軸の方向は、必ずしも厳密に「略Vの字形の外側と内側を結ぶ方向」及び「略Vの字形ピンフィン列に沿う方向」に一致させる必要はなくて、むしろ空気(上昇気流)が略Vの字形ピンフィン列をスムーズに通過し易いように、むしろ長軸が「略Vの字形ピンフィン列に沿う方向」を斜めに横切る状態で、即ち、略Vの字形の外側の鉛直下方から内側の鉛直上方に向かって傾けられて配置される方がより好ましいといえる。
そこで、次に、ピンフィンの断面形状を円形から次第に細長い楕円形へと変えて、アスペクト比を変化させた場合をシミュレーション計算により調べた。このとき、楕円化に伴う変化だけを出来るだけ純粋に把握し得るように、各ピンフィンの立設位置(断面中心位置)は保ち、且つ各ピンフィンの断面形状を円形から次第に細長い楕円形へと変える際に断面積の大きさ自体は同一に保つようにして、ピンフィン全体としての総本数と総重量を同一に保つようにした。
また、出発点とする円形ピンフィンとしては、図13の検討において最高特性の得られた間隙2.5mm(ΔT=46.8℃)よりも狭い側である隙間1.8mm(ΔT=47.4℃)を選んだ。
上記のシミュレーション計算で得られた結果を、アスペクト比とベースプレートの最高温度上昇値ΔTとの関係として、図15に示す。また、アスペクト比3.26と同4.82のときの空気速度分布の様子を、図16に示す。
図15から、円形(アスペクト比1.00)から出発して、アスペクト比を高めて次第に楕円化するのに伴い、ΔTが顕著に低下して行き、冷却性能が着実に向上していることが分る。これは、アスペクト比を大きくするのに伴いピンフィン同士の間隙が拡がり空気がより通りやすくなると共に、空気がピンフィン同士の間隙を通過する際の空気とピンフィンとの接触面積が大きくなったためと考えられる。
アスペクト比を1.44(長軸3.0mm、短軸2.1mm)にしただけでも、ΔT=45.6℃となり、図13で得られた最高特性(ΔT=46.8℃)を既に大きく超えていることは驚異的である。
しかし、特性向上度合いは徐々に緩やかとなり、そして、アスペクト比3.26(長軸4.5mm、短軸1.4mm)で得られるΔT=43.5℃を最高特性として、以降は徐々に特性が低下する。
図16Aと図16Bにアスペクト比3.26と同4.82のときの空気速度分布の様子を示したが、後者(アスペクト比4.82)では、前者(アスペクト比3.26)に比べてフィン近傍に色の淡い部分が多くなっている、即ち空気速度がより遅くなっていることが分かる。このように、アスペクト比が大きくなって来ると、ピンフィンから次第に板状フィン的になって来て、空気がピンフィン同士の間隙を通過する際の空気とピンフィンとの接触距離が長くなり過ぎて冷却用空気の流速が落ちてしまい、そのために冷却性能が低下してくるものと考えられる。
なお、上記の検討ではピンフィンの断面形状を楕円形としたが、楕円形以外にも、ピンフィン同士の間隙が拡がり空気がより通過しやすくなると共に、空気がピンフィン同士の間隙を通過する際のピンフィンと空気との接触面積が大きくなると期待される形状、例えば流線形、木の葉状、卵型などにしてもよいことはいうまでもない。
さて、本発明の第3実施形態のヒートシンクにおいて冷却性能が優れる理由を上に説明したが、ここで、その要諦となっているキーポイントを吟味・考察すると共に、先に掲げた各先行技術文献との相違点を整理しておく。
自然空冷のヒートシンクにおいては冷却用空気の流れがより加速・増進されるように工夫することが最も重要であるが、この実施形態では、そのことを、
・ベースプレート上に(1)『略Vの字形』を構成するような配置に(2)『ピンフィン』を立設する、
・及び、該ベースプレートを(3)『実質的に鉛直』に置く、
という2つの命題によって言わば一種の“煙突効果”を生ぜしめることにより、空気に上昇気流の勢いを生み出して実現している。そして、その中で要諦となっているキーポイントは、上に(1)(2)(3)と記した3つである。
上記(1)(2)(3)がキーポイントである理由は、次の通りである。
まず、上記(1)『略Vの字形配置』については、この配置こそが前記した“煙突効果”を引き起こす根源である。
次に、上記(2)『ピンフィン』については、『自然空冷』において『板状フィン』では次のような問題点が有るからである。前記した通り“煙突効果”によりピンフィン同士の間隙を通過する空気の勢いが強くなるとは言っても、『自然空冷』においては所詮それは暖められた空気の上昇気流のみに由来するものであるから、自ずから限界が有る。従って、例えばフィンが板状のものであったりすれば、ファンを用いる『強制空冷』とは異なり、フィン同士の間隙を通過する時の流路抵抗が大き過ぎて空気の勢いは負けてしまう。『自然空冷』であっても前記“煙突効果”を享受し得るのは、フィンが『ピンフィン』であればこそなのである。
また、上記(3)『鉛直』については、対流による『自然空冷』を期待しようとすればベースプレートを『鉛直』に置かなければならないことの必要性については説明するまでもない。
逆に、ベースプレートを『水平』に置くようなヒートシンクにおいては、ファン等の『強制空冷』装置を必要とするものが多く、そして、その場合にはフィンとして『ピンフィン』を用いたのでは空気流の強さに比してフィン密度が疎ら過ぎて効率が悪いので、むしろ『板状フィン』を用いる方が好適であるといえる。
以上の通り、本発明の第3実施形態において効果的な自然空冷を生み出すことが出来たのは、上記(1)(2)(3)の3つの要因を満たしたからこそ初めて可能になったものであることを銘記しておく必要が有る。
ここで、本発明の実施形態のヒートシンクと前記した特許文献1〜特許文献5に示されているヒートシンクとの相違を説明しておく。
特許文献1は、まず、板状フィンを用いている点で、ピンフィンを用いる本発明とは異なる。
また、特許文献1の図4には上方に向けて開く略Vの字形のような形状が示されており、一見したところでは恰も本発明の実施形態に類似するものであるかの如くに見紛う。しかし、特許文献1に示された略Vの字形は、実は一つ一つの個々の板状フィンの向き方に係るものであって、本発明の実施形態のようにフィンの集合体としての配置に係るものではなく、そもそも両者は全く異なるのである。また、特許文献1がそのようなフィンの向き方を採択する目的は、上昇する空気がフィンに衝突し、そこで乱流が発生するようにと企図する点にあり、この点も、フィンの集合体を略Vの字形とすることにより “開き角圧力差効果”や“煙突効果”を生み出すようにと企図する本発明の実施形態とは根本的に異なるのである。
また、特許文献2〜特許文献4は、まず、板状フィンを用いている点で、ピンフィンを用いる本発明の実施形態とは異なる。更に、特許文献2〜特許文献4には、フィンの集合体としての配置を本発明の実施形態のように上方に向けて開く略Vの字形とするような記載も示唆も全く無くて、本発明の実施形態とは根本的に異なる。
なお、特許文献4のヒートシンクは、フィン群の配設が上方に向けて閉じるように傾斜角を有するのに対して、本発明の実施形態に係るヒートシンクは、フィン群の配設が上方に向けて開くように開き角を有するものであって、両者は互いに全く逆の思想及び構造である。
次に、特許文献5には、その図8にベースプレート部の上に複数の板状フィンが縦方向に所定の間隔でハの字形に配置されている熱交換器(ヒートシンク)が示されている。
しかし、特許文献5も板状フィンを用いている点で、ピンフィンを用いる本発明の実施形態とは異なる。即ち、特許文献5は、その各請求項に記載されたところから分かる通り『フィン部』を必須の構成要件とするものであるが、この『フィン部』とは、その段落0027に「『フィン部』とは図1に示すように『板状フィン』3が縦方向に複数個並んで一列に配置されたものの全体を言う。」と明記されている通り『板状フィン』に係るものであり、特許文献5は『板状フィン』に係る。
また、特許文献5は、各請求項及び「課題を解決するための手段」に記載されたところから明白なように、煎じ詰めれば、「放熱効率を高めるためには、板状フィンの間隔、板状フィンの長さ、板状フィン間を流れる冷却空気の流速の関係を適切に律することが必要である」(段落0008)として、「板状フィンの間を流れる冷却空気の流速を下げて、温度境界層・・・・が重なり合うようにする」(段落0007)ことを達成すべく、板状フィンにつき「各フィン間を冷却用空気が『減速』して概ね『均一』に流れるように」(各請求項)した発明である。
即ち、特許文献5は、『板状フィン』の間を流れる『冷却空気の流速を下げる』ものであり、各フィン間を冷却用空気が『減速』して概ね『均一』に流れるようにしたヒートシンクである。実際、記載されている各実施態様や「発明を実施するための最良の形態」として掲げられたところも、全て『板状フィン』について述べられたものばかりであり、且つ、各フィン間を冷却用空気が『減速』して概ね『均一』に流れるようにしたものばかりである。
然るに、『自然空冷』のヒートシンクにおいては、往々にして、むしろ冷却用空気の流速が低いことこそが問題点である場合が多いのである。そこで、『自然空冷』のヒートシンクにおいては、特許文献5に示されたヒートシンクとは逆に、いかにしてその流速を上げるかということにこそ腐心しているのが実情であり、本発明の実施形態もまさにそのような目標に向かって検討を進める中から生まれたものである。即ち、本発明の実施形態と特許文献5とではそもそも目指す方向が全く逆であって、両者は本質的に異なるのである。
付言すれば、特許文献5のヒートシンクにおいては、上記のようにフィン間を流れる冷却用空気の流速を敢えて下げるとする以上、フィンに入って来た冷却用空気の流速は元々かなり速いことを意味する。このことは、各請求項に書かれた「『冷却用空気を送り込む』入口部」という記載とも相俟って、特許文献5の発明ではファン等を用いた強制冷却ヒートシンクが想定されていることが強く示唆されるのである。
なお、特許文献5の段落0057には「この発明の熱交換器は『自然空冷』、水冷のいずれの熱交換器にも応用することができる。」と一応記載されてはいるものの、上記した通りであって、また、特許文献5に示された熱交換器(ヒートシンク)は『自然空冷』用のヒートシンクが目指すべき方向とは全く逆を向いていることもあって、実際には、この技術の分野における通常の知識を有する者としては、特許文献5に示された熱交換器(ヒートシンク)を『自然空冷』用のそれとして用いることには大いに懐疑的になるところである。
また、特許文献5の中で示されるハの字形ヒートシンクの場合には、その請求項4や図9から分かるように、入口部から排出口に向かって漸次狭くなるように配置されたハの字形である。これは、その図9から明らかなように、冷却用空気を送り込むことに対応した構造となっている。
これに対して、本発明の実施形態のヒートシンクにおいては、それとは全く逆に、上方(即ち、上記の「排出口」に相当。)に向けて開く略Vの字形である。これは、先に本発明の実施形態の冷却メカニズムのところで説明したように略Vの字形の内側における上昇気流と“煙突効果”を利用することに対応した構造となっている。
このように、特許文献5と本発明の実施形態とでは、一見同じように見えるフィン配置(ハの字形、略Vの字形)であっても、その機能・作用は大いに異なるのである。
即ち、上に詳しく検討してきた通り、特許文献5と本発明の実施形態とでは、一見したところではともすると同等であるかの如くに見紛う面が有るものの、多くの点においてそれらの本質は全く異なっており、両者の向かう方向がむしろ全く逆となっている側面さえも有るのである。
(第4実施形態)
図17は、本発明の第4実施形態のヒートシンクを表わす正面図である。上方に向けて開く略Vの字形が、左右の外側に向かって凸の曲線状にピンフィンが配置されてなる列の対から構成されるものである点が本発明の第3実施形態と比べて異なる。このように前記略Vの字形を成すピンフィンの線状配列は、必ずしも直線状でなければならない訳ではなくて、湾曲していてもよい。特に、図17のように左右の外側に向かって凸の曲線状をなしている場合は、略Vの字形の内側が“煙突効果”にマッチしたものとなり、好適である。
なお、ここでは、ピンフィンの断面形状は円形としている。
(第5実施形態)
図18は、本発明の第5実施形態のヒートシンクを表わす正面図である。上方に向けて開く略Vの字形が、Vの字の内側に向かって凸の曲線状にピンフィンが配置されてなる列の対から構成されるものである点が本発明の第3実施形態と比べて異なる。なお、ピンフィンの断面形状は、ここでも円形としている。
(第6実施形態)
図19は、本発明の第6実施形態のヒートシンクを表わす正面図であり、第3実施形態の略Vの字形のピンフィン配置を水平方向に2回繰り返して配置したものである。なお、ピンフィンの断面形状は、ここでは楕円形としている。
前記した図5の結果から、略Vの字形の開き角αは10°<α≦40°、好ましくは15°≦α≦30°であることが良いと判明しているが、例えばベースプレートの横幅が大きい場合などには、このように鋭角な略Vの字形配置ではベースプレートの全体をカバーすることが出来ない。そのときには、第6実施形態のように略Vの字形のピンフィン配置を水平方向に繰り返して複数配置するようにすれば、開き角αが上記の範囲に入るような鋭角の略Vの字形配置を用いてベースプレートの全体をカバーすることが出来る。
なお、例えば第1実施形態並びに第2実施形態及び第6実施形態のように、上方に向けて開く略Vの字形のピンフィン配置を水平方向に繰り返して配置するやり方としては、必ずしも同じ略Vの字形のピンフィン配置を直ぐ隣り同士に隣接するものではなくて、お互いに異なる略Vの字形のピンフィン配置を隣接させても良いし、また、一つの略Vの字形のピンフィン配置と他の略Vの字形のピンフィン配置との間に平行なピンフィン列(即ち、略Vの字形の開き角α=0°に相当。)が挟まれる配置でも良い。
また、上方に向けて開く略Vの字形のピンフィン配置を、鉛直方向に2回以上繰り返して設けるようにしてもよい。
本発明に係るヒートシンクは、電子機器を始めとする各種機器の発熱体を自然空冷によって冷却するために利用することができる。冷却ファンを用いることなく自然空冷のみによって高い冷却性能を実現し得るので、自動車搭載用など軽量化に対する要望が極めて強い用途への利用には特に最適である。
1 ベースプレート
2 ピンフィン
3 風洞
10 ヒートシンク

Claims (12)

  1. 冷却対象を冷却するのに用いられるヒートシンクであって、
    前記冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が板面に沿って流れるように立設されるベースプレートと、
    前記ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群と、
    を備え、
    前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように水平方向に対向して配設され
    前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い楕円形である、
    ことを特徴とするヒートシンク。
  2. 冷却対象を冷却するのに用いられるヒートシンクであって、
    前記冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が板面に沿って流れるように立設されるベースプレートと、
    前記ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群と、
    を備え、
    前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように水平方向に対向して配設され、
    前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い流線形、木の葉状、または卵型である
    とを特徴とするヒートシンク。
  3. 前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の楕円形であることを特徴とする請求項に記載のヒートシンク。
  4. 前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の流線形、木の葉状、または卵型であることを特徴とする請求項2に記載のヒートシンク。
  5. 前記ピンフィン群では、前記一対のピンフィン列が水平方向に二対以上繰り返して設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
  6. 前記一対のピンフィン列は、各々のピンフィン列におけるピンフィンの配列方向同士の成す角度が40°以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のヒートシンク。
  7. ベースプレートと、ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群とを備え、前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が徐々に広がるように対向して配設され、前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い楕円形であるヒートシンクの使用方法であって、
    冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が前記ベースプレートの板面に沿って流れるとともに、前記一対のピンフィン列が、水平方向に対向して、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように、前記ヒートシンクを配設して自然空冷に用いる、
    ことを特徴とするヒートシンクの使用方法。
  8. ベースプレートと、ベースプレートの板面に配設される複数のピンフィンからなるピンフィン群とを備え、前記ピンフィン群は、複数のピンフィンが互いに間隔を空けて各々に一列に並んだ一対のピンフィン列を有し、該一対のピンフィン列は、列同士の間が徐々に広がるように対向して配設され、前記複数のピンフィンの断面形状は、前記一対のピンフィン列の外側鉛直下方から内側鉛直上方に向けて長い流線形、木の葉状、または卵型であるヒートシンクの使用方法であって、
    冷却対象から発せられる熱によって生じる上昇気流が前記ベースプレートの板面に沿って流れるとともに、前記一対のピンフィン列が、水平方向に対向して、列同士の間が鉛直上方に向けて徐々に広がるように、前記ヒートシンクを配設して自然空冷に用いる、
    ことを特徴とするヒートシンクの使用方法。
  9. 前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の楕円形であることを特徴とする請求項に記載のヒートシンクの使用方法。
  10. 前記複数のピンフィンの断面形状がアスペクト比5.0以下の流線形、木の葉状、または卵型であることを特徴とする請求項8に記載のヒートシンクの使用方法。
  11. 前記ピンフィン群では、前記一対のピンフィン列が二対以上設けられており、
    前記一対のピンフィン列が、水平方向に二対以上繰り返して配設されるように前記ヒートシンクを配設することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のヒートシンクの使用方法。
  12. 前記一対のピンフィン列は、各々のピンフィン列におけるピンフィンの配列方向同士の成す角度が40°以下であることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載のヒートシンクの使用方法。
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