JP6023902B1 - 高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するための医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高齢の癌患者や末期の癌患者に対する、副作用の少ない新たな治療手段を提供することを目的とする。有効成分として(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸又はその薬理学的に許容される塩を含有する、高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するための医薬組成物。

Description

本発明は、有効成分として(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸又はその薬理学的に許容される塩を含有する、高齢の癌患者や末期の癌患者を治療又は寛解するための医薬組成物に関する。
近年、癌の増悪と炎症細胞、免疫細胞との関連が明らかにされている。
血液中を流れる癌細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)の転移について、その機構の一部が報告されている(非特許文献1)。それによれば、CTCは本来、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の攻撃を受け易いものであるが、数多くの血小板が付着することによってNK細胞の攻撃を回避できること、またそのような状態にあるCTCは血管内皮に接着し易く、接着したCTCの近傍に好中球が動員されると血管内皮が活性化され、それによってCTCは血管外に遊出・増殖し、最終的に癌の転移に至る。
また、癌患者の末梢血中の好中球数(N)とリンパ球数(L)の比(NLR)と、癌患者の予後との間には有為な相関があり、NLRが高い場合には予後が悪いことが報告されている(非特許文献2)。
ベスタチン(登録商標)は、(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸(一般名:ウベニメクス)を有効成分とし、免疫担当細胞表面に存在するアミノペプチダーゼに結合し、癌患者に対する免疫増強作用を示すことが知られており、成人急性非リンパ性白血病の寛解導入後の維持強化療法剤との併用による生存期間の延長の適応で日本の当局に認可され、臨床応用されている(非特許文献3)。また、適用外使用ではあるが、膀胱癌患者の手術後に、許認可範囲の用法用量ではあるが、高用量(30mg/day)のベスタチンの連日投与と高用量(400mg/day(1日2回分散投与))のUFTの連日投与の併用療法が試みられており、UFT単独投与群と較べて有用であったとの報告がある(非特許文献4)。さらに、ベスタチンが結合するアミノペプチダーゼNが、癌幹細胞の増殖に係る受容体(CD13)と同じであること、また、極めて高用量(20mg/kg)のベスタチンと高用量(30mg/kg)の5−FUを癌幹細胞を移植したマウスへ複数回投与することにより抗腫瘍効果が認められたことから、癌幹細胞が関与する癌の治療剤としてベスタチンが有用である点が示唆されている(特許文献1及び非特許文献5)。
WO2011/105551
Cancer Discovery 19巻、1091−1099頁、2012年 Journal of the National Cancer Institute Review 106巻6号、124−135頁、2014年 医薬品インタビューフォーム「処方せん医薬品 抗悪性腫瘍剤 ベスタチンカプセル10mg ベスタチンカプセル30mg」(日本化薬株式会社、2012年6月(改訂第5版)) International Journal of Clinical Pharmacology and Therapeutics 465−468頁、1995年 Aug;33(8) The Journal of Clinical Investigation 120巻9号、3326−3339頁、2010年
今日、様々な抗癌剤が開発され臨床応用されているものの、その中には重篤な副作用等を伴うものが多く、このような治療手段は高齢の癌患者や末期の癌患者に耐え難い重篤な副作用をもたらす場合が殆どであり、高齢の癌患者や末期の癌患者に対しては、重篤な副作用を伴う抗癌剤は最早有用でなく、QOL(Quality of Life)の向上・維持と延命を目的とする、副作用の少ない治療手段が求められている。
そこで本発明は、高齢の癌患者や末期の癌患者に相応しい新たな治療手段を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来、成人急性非リンパ性白血病の寛解導入後の維持強化療法剤との併用による生存期間の延長の適応で臨床応用されているのみであったベスタチンを、高齢の癌患者や末期癌の癌患者に常量(30〜60mg/body/day)より遥かに低い用量で、単独投与することによって、これら癌患者の治療・寛解に有用であることを見出した。また、常識的には効果が全く期待できないと考えられている常量(30〜60mg/body/day)より遥かに低い用量のベスタチンと共に常量より遥かに低い用量の抗癌剤や分子標的薬を投与することによって、当該癌患者の治療・寛解に効果的であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づく。
本発明は、以下のとおりである。
[1] 有効成分として(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸又はその薬理学的に許容される塩を含有する、高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するための医薬組成物。
[2] 前記癌患者が末梢血中の好中球数とリンパ球数の比が高いことを特徴とする、[1]の医薬組成物。
[3] 前記癌患者が末梢血中の血小板数とリンパ球数の比が高いことを特徴とする、[1]又は[2]の医薬組成物。
[4] 前記癌患者が末梢血中の好中球数が正常値の範囲にあることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかの医薬組成物。
[5] 前記癌患者が末梢血中の血小板数が正常値の範囲にあることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかの医薬組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれかの医薬組成物と、抗癌剤及び/又は分子標的薬とを含む、高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するための配合剤。
[7] [1]〜[5]のいずれかの医薬組成物と、抗癌剤及び/又は分子標的薬とを含む、高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するためのキット製剤。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2014-255403号の開示内容を包含する。
本発明によれば、高齢の癌患者や末期の癌患者に対する、副作用の少ない新たな治療手段を提供することができる。
図1は、61歳の大腸癌術後の肝転移症例に対する、ベスタチン単独投与の有無による、末梢血中のCEAレベル、血小板数、及びCA19−9レベルの変化を示すグラフ図である。 図2は、61歳の非小細胞肺癌術後の再発例に対する、ベスタチン単独投与による、末梢血中のCEAレベルの変化を示すグラフ図である。 図3は、82歳の非小細胞肺癌症例に対するベスタチンと抗がん剤(UFT)との併用投与による、末梢血中のNLRの変化を示すグラフ図である。 図4は、77歳の腎臓肉腫症例に対するベスタチンと分子標的薬(インライタ)との併用投与による、末梢血中の血小板数とリンパ球数との比(PLR)の変化を示すグラフ図である。 図5は、57歳の非小細胞肺癌の多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(イレッサ)との併用投与による、末梢血中のNLR及びCRPの変化を示すグラフ図である。 図6は、57歳の非小細胞肺癌の多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(イレッサ)との併用投与前(A)及び併用投与後(B)における病巣を示す写真図(PET診断像)である。 図7は、49歳の肺腺癌の多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与による、末梢血中のCEAの変化を示すグラフ図である。 図8は、49歳の肺腺癌の多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与前(A)及び併用投与後(B)における病巣を示す写真図(PET診断像)である。 図9は、71歳の十二指腸乳頭癌の多発肝転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与による、末梢血中のCA19−9とCRPの変化を示すグラフ図である。 図10は、71歳の十二指腸乳頭癌の多発肝転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与前(A)及び併用投与後(B)における病巣を示す写真図(CT診断像)である。四角は治療効果が顕著に認められた部位を示す。 図11は、30歳の肺癌の癌性胸膜炎及び癌性心外膜炎症例に対するベスタチンと分子標的薬(ザーコリ)との併用投与による、末梢血中のCEAの変化を示すグラフ図である。 図12は、30歳の肺癌の癌性胸膜炎及び癌性心外膜炎症例に対するベスタチンと分子標的薬(ザーコリ)との併用投与前(A)及び併用投与後(B)における病巣を示す写真図(胸部X線撮影像)である。 図13は、73歳の肺腺癌症例に対するベスタチンと分子標的薬(イレッサ)との併用投与による、末梢血中の白血球、好中球、リンパ球、及びNLRの変化を示すグラフ図である。 図14は、73歳の肺腺癌症例に対するベスタチンと分子標的薬(イレッサ)との併用投与前(A)及び併用投与後(B)における病巣を示す写真図(胸部X線撮影像)である。四角は治療効果が顕著に認められた部位を示す。 図15は、71歳の肺腺癌術後の再発例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与による、末梢血中のCEA及びSLX、ならび尿pHの変化を示すグラフ図である。 図16は、66歳の肺腺癌の多発脳転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与による、末梢血中のCA19−9とCEAの変化を示すグラフ図である。 図17は、66歳の肺腺癌の多発脳転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与前(A)及び併用投与後(B)における病巣を示す写真図(頭部MRI診断像)である。四角は治療効果が顕著に認められた部位を示す。 図18は、66歳の肺腺癌術後の再発、多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(ジオトリフ)との併用投与による、尿pHの変化を示すグラフ図である。 図19は、66歳の肺腺癌術後の再発、多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(ジオトリフ)との併用投与前(A)及び併用投与後(B)における病巣を示す写真図(PET診断像)である。 図20はゲフィチニブ及び/又はベスタチンを用いた各処置グループのマウスにおける腫瘍体積(mm)の変化を示すグラフ図である。
本発明は、高齢の癌患者や末期の癌患者を治療又は寛解するための、有効成分として(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸又はその薬理学的に許容される塩を含有する医薬組成物に関する。
(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸は、一般名をウベニメクスとし、抗悪性腫瘍剤の有効成分として利用できることが知られている。以下、本明細書においては、(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸を「ウベニメクス」と記載する。
本発明において、ウベニメクスは従来公知の一般的な手法に基づいて製造されたものであってよく、例えば化学的に合成されたものだけでなく、微生物の培養発酵産物として産生されたものを利用することができる。あるいは「ベスタチン(登録商標)」等の市販品を利用することができる。
ウベニメクスは塩フリーであるが、薬理学的に許容されるものとして、例えば塩酸、硫酸、リン酸等との塩であってもよい。
本発明において「高齢の癌患者」とは、70歳以上、75歳以上、80歳以上、又はそれ以上の年齢の癌患者を意味する。
また、本発明において「末期の癌患者」とは、医師より手術が不可能、及び/又は他に有効な標準的な癌化学療法がもはや可能でないと判断された癌患者を意味する。
さらに、前記高齢の又は末期の癌患者は、以下の(i)〜(iv)の一又は複数に該当する癌患者を挙げることができる。
(i)末梢血中の好中球数(N)とリンパ球数(L)の比(NLR)が高いこと。ここで「NLRが高い」とは、当該比が4以上、4を超える、5以上、5を超える、6以上、6を超える、又はそれ以上であることを意味する。
(ii)末梢血中の血小板数(P)とリンパ球数(L)の比(PLR)が高いこと。ここで「PLRが高い」とは、当該比が1を超える、1.5以上、1.5を超える、2以上、2を超える、又はそれ以上であることを意味する。
(iii)末梢血中の血小板数が一般的な正常値の範囲又は基準値の範囲であること。ここで当該範囲としては、およそ13万/μL〜35万/μLとすることができる。より好ましくは、直近の数か月間(例えば、0.5〜3か月間、好ましくは1〜2か月間)の末梢血中の血小板数が前記範囲内であって、かつプラトー又は減少していること。ここで「プラトー」とは、末梢血中の血小板数の増減が0〜10%の範囲内にあることを意味する。また、「減少している」とは、末梢血中の血小板数の減少が、およそ10%〜30%となる緩やかな減少を意味する。
(iv)末梢血中の好中球数が一般的な正常値の範囲又は基準値の範囲であること。ここで当該範囲としては、およそ2000〜6800/mmとすることができる。より好ましくは、直近の数か月間(例えば、0.5〜3か月間、好ましくは1〜2か月間)の末梢血中の好中球数が前記範囲内であって、かつプラトー又は減少していること。ここで「プラトー」とは、末梢血中の好中球数の増減が0〜10%の範囲内にあることを意味する。また、「減少している」とは、末梢血中の好中球数の減少が、10%〜30%となる緩やかな減少を意味する。
本発明において「癌」とは、固形癌を意味する。固形癌には白血病のような血液の癌を除く全ての癌が含まれ特に限定はされないが、好ましくは、肺癌、大腸癌、胃癌、乳癌、肝細胞癌、膵臓癌、胆嚢胆管癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮癌、甲状腺癌、十二指腸癌及びこれらの転移癌より選択される一又は複数の癌である。
本発明の医薬組成物は、有効成分であるウベニメクス又はその薬理学的に許容される塩と共に、医薬の製造において通常用いられている、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を含んでも良く、経口投与又は非経口投与(例えば、静脈内投与、動脈内投与、注射による局所投与、腹腔または胸腔内投与、経肺投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与、経皮吸収または直腸内投与等)に適した剤型とすることができる。例えば、本発明の医薬組成物は、溶液剤、乳剤、リポソーム製剤、注射剤、懸濁剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤等とすることができる(これらに限定されない)。これらはそれぞれ当該分野において慣用される方法に従い、調合、成形ないし調製することができる。また、本発明の医薬組成物は、凍結乾燥化し保存し得る状態にした後、用時、水や生埋的食塩水等を含む緩衝液等で溶解して適当な濃度に調製した後に使用することもできる。
本発明の医薬組成物の効果は、当該医薬組成物を投与していない又は投与前の患者と比べて当該医薬組成物を投与した患者において、以下の(i)〜(vii)の一又は複数を指標にして評価することができる。
(i)腫瘍が縮小又は消滅している、あるいは増大しないこと。
(ii)生存期間の延長(延命効果)が認められること。
(iii)癌に伴う症候(例えば、浮腫等)の改善が認められること。
(iv)末梢血中の腫瘍マーカーのレベルが低下していること。
(v)末梢血中のNLRが低下していること。
(vi)末梢血中のPLRが低下していること。
(vii)尿のpHが酸性側からアルカリ性側に変動していること。
本発明の医薬組成物はまた、既存の抗癌剤や分子標的薬と共に重篤な副作用を発現し難い低用量で使用することができる。抗癌剤としては、殺細胞性の抗癌剤が挙げられ、例えば代謝拮抗薬(テガフール、テガフール・ウラシル(商品名:UFT)、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、フルオロウラシル、ゲムシタビン、エノシタビン、カルモフール、ドキシフルリジン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、メルカプトプリン、フルダラビン、カペシタビン、メトトレキサート、クラドリビン、ペメトレキセド、ヒドロキシカルバミド等)、アルキル化薬(シクロホスファミド、チオテパ、イホスファミド、ブスルファン、ダカルバジン、メルファラン、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド等)、白金化合物(カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン等)、抗癌抗生物質(ドキソルビシン、アクラルビシン、イダルビシン、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ジノスタチンスチマラマー、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ピラルビシン、エピルビシン、ペプロマイシン、アムルビシン等)、微小管作用抗癌剤(ビンカアルカロイド、タキサン等)、トポイソメラーゼ阻害薬、が挙げられるが、これらに限定はされない。また、分子標的薬としては、ソラフェニブ、エルロチニブ(商品名:タルセバ)、アキシチニブ(商品名:インライタ)、エベロリムス、スニチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、リツキシマブ、ダサチニブ、ボルテゾミブ、タミバロテン、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)、イブリツモマブ、ニロチニブ、テムシロリムス、トラスツズマブ、パニツムマブ、トレチノイン、ゲムツズマブオゾガマイシン、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)、アファチニブ(商品名:ジオトリフ)等が挙げられるが、これらに限定はされない。既存の抗癌剤や分子標的薬としては、これらから選択される一または複数のものを用いることができる。
本発明の医薬組成物と、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬とは併用投与するための、組み合わせ物として提供することができる。
「組み合わせ物」は、本発明の医薬組成物と、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬とを有効成分として含む配合剤であっても良いし、あるいは、本発明の抗腫瘍剤と上記既存の癌化学療法剤を併用投与に適した単一のパッケージ(キット製剤)として製造・包装・流通されるものでもあっても良い。組み合わせ物には、本発明の医薬組成物と、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬とを一定の割合、例えば本発明の医薬組成物と、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬とを重量比にして1:0.01〜100、例えばおよそ1:0.1〜10、好ましくはおよそ1:0.3〜3(本発明の医薬組成物:上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬)の割合で含めることができる。
「併用投与」には、本発明の医薬組成物と、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬とを同時に投与する場合だけではなく、本発明の医薬組成物と、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬を、各有効成分が同時に作用し得る範囲において間隔をあけて投与する場合も含まれる。本発明の医薬組成物と、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬の投与経路及び投与手段は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の医薬組成物の投与量および投与回数は、患者の年齢、体重、疾患の重篤度などの要因によって変化し得るが、有効成分であるウベニメクス又はその薬理学的に許容される塩の量にして、1μg〜100mg/body/dayの範囲から適宜選択される量、好ましくは1〜20mg/body/day、より好ましくは1〜10mg/body/dayから適宜選択される量を、1日に1〜3回、毎日または1〜21日毎に投与することができる。
上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬の投与量は、有効成分の種類、患者の年齢、体重、疾患の重篤度などの要因によって変化し得るが、0.0001mg〜1000mg/body/dayの範囲から適宜選択される量を、1日に1〜3回、毎日または1〜14日毎に投与することができる。例えば、既存の抗癌剤がテガフール・ウラシル(商品名:UFT)である場合、50〜200mg/body/day、好ましくは70〜150mg/body/dayから適宜選択される量を、1日に1回、毎日投与することができる。また、例えば、既存の分子標的薬がエルロチニブ(商品名:タルセバ)である場合、10〜100mg/body/day、好ましくは20〜60mg/body/dayから適宜選択される量を、1日に1回、毎日投与することができる。また、例えば、既存の分子標的薬がアキシチニブ(商品名:インライタ)である場合、0.1〜5mg/body/day、好ましくは0.5〜3mg/body/dayから適宜選択される量を、1日に1回、毎日投与することができる。上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬はそれを単独で用いる場合と比べて、低用量かつ頻回投与することができる。これによって、上記既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬の投与により引き起こされ得る副作用(例えば、骨髄抑制、溶血性貧血、播種性血管内凝固症候群、劇症肝炎、脱水症状、腸炎、間質性肺炎、口内炎、消化管潰瘍、消化管出血、消化管穿孔、急性腎不全、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症、精神神経障害、急性膵炎、横紋筋融解症、嗅覚脱失など、これらに限定されない)の発症を抑制または遅延することができる。
本発明はさらに、上記本発明の医薬組成物を用いた高齢の癌患者や末期の癌患者を治療又は寛解する方法に関する。当該方法により治療又は寛解し得る癌患者としては、上に定義したような高齢の癌患者や末期の癌患者が含まれる。また、当該方法において上記本発明の医薬組成物ならびに既存の抗癌剤及び/又は分子標的薬の用法および用量は上記したとおりである。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
実施例1:61歳の大腸癌術後の肝転移症例に対するベスタチン単独投与
61歳の末期の大腸癌患者において、術後の肝転移が認められた。そのため、高用量の5−FU系経口抗がん剤のゼローダとEGFR抗体のベクテビックスを併用投与していたが、腫瘍マーカーであるCEAのレベルは低下することなく、上昇し続けていた。
そこで、2014年3月(Mar−14)より、ベスタチン(10mg/日)の連日単独投与を開始した。
その結果、血小板数が低下し始め、ベスタチンの単独投与開始から2ヶ月後の2014年5月(May−14)になると、腫瘍マーカーであるCEAとCA19−9のレベルが共に低下しはじめ、治療効果・患者の状態の改善効果が認められた。
しかしながら、当該患者の経済的な理由で2014年7月(Jul−14)にベスタチンの投与を止めたところ、再び血小板数及びCEAレベルにおいて速やかな上昇が認められ、それに伴い患者の状態が再度悪化し始めた。
当該患者における、末梢血中のCEAレベル、血小板数、及びCA19−9レベルの測定値を図1に示す。
実施例2:78歳の甲状腺癌術後の多発肺転移症例に対するベスタチン単独投与
78歳の甲状腺癌患者において多発肺転移が認められ、末梢血中の血小板数及び好中球数が共に増加した。2013年12月(Dec−13)には、末梢血中の好中球数とリンパ球数の比(NLR)は5を上回り、予後の不良が認められた。
そこで、2014年3月(Mar−14)より、ベスタチン(10mg/日)の連日単独投与を開始した。
その結果、末梢血中の血小板数及び好中球数の低下、ならびにNLRの値の低下・改善が認められた。
当該患者における、ベスタチン単独投与前後の、末梢血中の白血球数、好中球数、リンパ球数及びNLRの測定値を下記表1に示す。
Figure 0006023902
実施例3:61歳の非小細胞肺癌術後の再発例に対するベスタチン単独投与
61歳の非小細胞肺癌患者は右上葉切除後、免疫療法を受けていたが、右頚部リンパ節腫張が認められた(2012年9月(Sep−12))。その後、末梢血中のCEAレベルの上昇が認められた。
そこで、2014年1月(Jan−14)より、ベスタチン(10mg/日)の連日単独投与を開始した。
その結果、末梢血中のCEAレベルの低下が認められた。
当該患者における、末梢血中のCEAレベルの測定値を図2に示す。
実施例4:82歳の非小細胞肺癌症例に対するベスタチンと抗がん剤(UFT)との併用投与
82歳の非小細胞肺癌患者(十二指腸癌を5年前に完治)に対し、ベスタチン(10mg/日)及びUFT(100mg/日)を1日1回、2か月間にわたって連日投与した。ここで用いられるUFTの用量は、通常用いられる量のおよそ3〜6分の1量となる極低用量である。
その結果、投与開始からNLRの値の低下・改善が認められ(およそ5から2まで低下)、当該患者の予後の改善が見通せるに至った。
当該患者における、NLRの測定値を図3に示す。
実施例5:71歳の十二指腸乳頭癌の多発肝転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与
肝転移が認められた71歳の十二指腸乳頭癌患者に対し、ベスタチン(20mg/日)及びタルセバ(25mg/日)を1日1回、1か月間にわたって連日投与した。ここで用いられるタルセバの用量は、通常用いられる量のおよそ6分の1量となる極低用量である。
その結果、投与開始から末梢血中の腫瘍マーカーについて、CEAは不変であったが、CA72−4及びNCC−ST−439の低下が認められ、治療効果・当該患者の状態の改善効果が認められた。
当該患者における、ベスタチンとタルセバの併用投与前後の、末梢血中のCEA、CA72−4及びNCC−ST−439のレベルの測定値を下記表2に示す。
Figure 0006023902
さらに、当該患者における、ベスタチンとタルセバの併用投与前後の、末梢血中のCA19−9とCRPの測定値を図9に示す。投与開始後、腫瘍マーカーであるCA19−9とCRPの値が共に低下が認められた。さらに、肝臓における転移癌の大きさ及び数に減少が認められ(図10)、治療効果・患者の状態の改善効果が認められた。
実施例6:77歳の腎臓肉腫症例に対するベスタチンと分子標的薬(インライタ)との併用投与
77歳の腎臓肉腫患者に対し、ベスタチン(10mg/日)及びインライタ(2mg/日)を1日1回、連日投与を開始した(2014年7月25日)。ここで用いられるインライタの用量は、通常用いられる量のおよそ5分の1量となる極低用量である。その後(2014年8月18日)、口内炎が認められたため、インライタの用量を1mg/日に、ベスタチンの用量を20mg/日に変更した。
その結果、投与開始から血小板数とリンパ球数との比(PLR)の値の低下・改善が認められ(およそ2から1まで低下)、当該患者の予後の改善が認められた。また、両下肢の浮腫がひき始め(2014年8月23日)、終には消失した。
当該患者における、PLRの測定値を図4に示す。
実施例7:50歳の非小細胞肺癌症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与
末期で難治性の50歳の非小細胞肺癌患者(上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR)に変異を有する)に対し、ベスタチン(10mg/日)及びタルセバ(50mg/日)を1日1回、連日投与した。ここで用いられるタルセバの用量は、通常用いられる量のおよそ3分の1量となる極低用量である。
その結果、効果が得難い/期待できないとされるEGFRに変異を有する非小細胞肺癌患者において、腫瘍マーカー(CEA及びSLX)のレベルの劇的な低下が認められた。
当該患者における、ベスタチンとタルセバの併用投与前後の、CEA及びSLXの測定値を下記表3に示す。
Figure 0006023902
実施例8:57歳の非小細胞肺癌の多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(イレッサ)との併用投与
末期で難治性の57歳の非小細胞肺癌患者(EGFRに変異を有し、胸膜炎/胸水が認められ、背骨、骨盤等への転移が認められた)に対し、2013年10月よりベスタチン(10mg/日)及びイレッサ(250mg/日)を1日1回、連日投与を開始した。
その結果、効果が得難い/期待できないとされるEGFRに変異を有する非小細胞肺癌患者において、NLR及び炎症マーカーであるC反応性タンパク質量(CRP)の値の低下が認められた。
当該患者における、NLR及びCRPの測定値を図5に示す。
また、背骨、骨盤等を含む全ての転移癌の消失が認められた(図6:PET診断像)。
実施例9:49歳の肺腺癌の多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与
末期の49歳の肺腺癌患者(EGFRに変異を有し、背骨、骨盤等への転移が認められた)はシスプラチン・ペメトレキセド療法を受け末梢血中のCEAレベルの低下が続いていたが、上昇が認められたため(2014年6月16日)、ベスタチン(10mg/日)及びタルセバ(50mg/日)を1日1回、連日投与を開始した(2014年7月16日)。
その結果、当該患者において、腫瘍マーカーであるCEAのレベルが低下し、かつその後の上昇が認められなかった。また投与開始後から尿pH値の上昇が認められた。
当該患者における、末梢血中のCEAの測定値を図7に示す。
また、背骨、骨盤等を含む全ての転移癌の消失が認められた(図8:PET診断像)。
実施例10:30歳の肺癌の癌性胸膜炎及び癌性心外膜炎症例に対するベスタチンと分子標的薬(ザーコリ)との併用投与
末期で難治性の30歳の非小細胞肺癌患者(EGFRに変異を有し、癌性胸膜炎及び癌性心外膜炎、ならびに頚部リンパ節・脾臓・肋骨への転移が認められた)に対し、ベスタチン(10mg/日)及びザーコリ(250mg/日)を1日1回、連日投与した。投与期間は2013年9月から2014年11月まで14ヶ月間とした。
その結果、投与開始から腫瘍マーカーであるCEAの値の低下が認められた。当該患者における、CEAの測定値を図11に示す。
さらに、投与開始から9か月後(2014年5月)には癌性胸膜炎及び癌性心外膜炎の病巣の消失・縮小が認められた(図12:胸部X線撮影像)。
実施例11:73歳の肺腺癌に対するベスタチンと分子標的薬(イレッサ)との併用投与
73歳の肺腺癌患者(EGFRに変異を有し、頚部リンパ節への転移が認められた)に対し、ベスタチン(10mg/日)を1日1回、連日投与、ならびにイレッサ(250mg/日)1週間につき4日投与した(2014年4月末より投与開始)。
その結果、NLRの値の低下・改善及びリンパ球数の増大・改善が認められた。当該患者における、白血球、好中球、リンパ球、及びNLRの測定値を図13に示す。また、肺病巣部の消失・縮小が認められた(図14:胸部X線撮影像)
実施例12:71歳の肺腺癌術後の再発例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与
71歳の肺腺癌患者(EGFRに変異を有し、2009年8月に左下葉切除及びリンパ郭清術を受け、術後抗癌剤を2か月間服用した。その後、2013年8月に再発し、2014年5月には胸水が認められた)に対し、2015年1月初旬よりベスタチン(10mg/日)及びタルセバ(50mg/日)を1日1回、連日投与した。
その結果、投与開始から腫瘍マーカーであるCEA及びSLXの値の低下が認められ、また尿pH値の上昇が認められた。
当該患者における、末梢血中のCEA及びSLX、ならび尿pHの測定値を図15に示す。なお、尿pHは、癌患者の病状が悪化している場合は、酸性側に偏っているが、癌患者の病状の回復と共に、中性〜アルカリ性側に変動することが一般的に知られており、汎用されている腫瘍マーカーと同様に癌患者の病状を示すマーカーとして用いられる。
実施例13:66歳の肺腺癌の多発脳転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(タルセバ)との併用投与
末期の66歳の肺腺癌患者(脳、リンパ節、及び骨への転移が認められた)に対し、2014年12月に全脳放射線照射せず、3D放射線照射を行い、その後、ベスタチン(10mg/日)及びタルセバ(50mg/日)を1日1回、連日投与した(2015年1月投与開始)。
その結果、当該患者において腫瘍マーカーであるCA19−9とCEAの値の低下が認められた。当該患者における、末梢血中のCA19−9とCEAの測定値を図16に示す。また脳転移癌の大きさ及び数に減少が認められた(図17:頭部MRI診断像)。
実施例14:66歳の肺腺癌術後の再発、多発骨転移症例に対するベスタチンと分子標的薬(ジオトリフ)との併用投与
末期の66歳の肺腺癌患者(EGFRに変異を有し、外科手術の後に再発し、背骨等への転移が認められる)に対し、2014年8月よりベスタチン(10mg/日)及びジオトリフ(20mg/日)を1日1回、連日投与した。
その結果、当該患者において尿pH値の上昇(アルカリ性側への変動)が認められた。当該患者における、尿pHの測定値を図18に示す。また、背骨等の転移癌の消失が認められた(図19:PET診断像)。
実施例15:ベスタチンと分子標的薬との組合せによる抗腫瘍効果の評価
[1]担がんマウスの作製
BALB/c nu/nuマウス(雌)の皮下にA549ヒト肺癌細胞懸濁液(5×10細胞/100μL PBS)を接種した。細胞移植後、腫瘍体積がおよそ117mmに達したマウス(細胞移植後、15日)を以下のin vivoの実験に用いた。
[2]ベスタチンとゲフィチニブの組合せによる抗腫瘍効果の評価
上記A549担がんマウスに対し、以下の用量・投与経路・スケジュールにてベスタチンとゲフィチニブをそれぞれ投与した。
Figure 0006023902
抗腫瘍効果は、腫瘍体積変化と体重変化について検討した。
腫瘍体積は以下の式に基づいて算出した。
腫瘍体積(mm)=(腫瘍の長辺)×(腫瘍の短辺)×0.5
また、腫瘍体積より腫瘍増殖阻害率(tumor growth inhibition:TGI)を以下の式に基づいて算出した。
TGI(%)=(1−T/C)×100%(Tは処置グループにおける腫瘍体積(mm)、Cはコントロールグループにおける腫瘍体積(mm)を示す)
各グループにおける腫瘍体積の変化を図20に示す。
各グループにおけるTGI(%)を以下の表5に示す。P≦0.05を有意差ありと判断した。
Figure 0006023902
ゲフィチニブ(10mg/kg)単独で処置した場合(G2)、TGI(%)は31%(p=0.043 vsコントロール)となった。また、ベスタチン(30mg/kg)単独で処置した場合(G3)、TGI(%)は39%(p=0.006 vsコントロール)となった。
一方、ゲフィチニブ(10mg/kg)とベスタチン(3,10,及び30mg/kg)とを組み合わせた場合(G7,G8,G9)、それぞれ単独で処置した場合(G2又はG3)と比べて比較的高いTGI(%)が得られた(それぞれ、44%,51%及び50%)。
また、ゲフィチニブとベスタチンを併用しても、何等体重減少がないことが確認された。これは、臨床上の副作用が認められないことを示し、ゲフィチニブとベスタチンとの併用投与が、癌患者に対して副作用を伴わない優しい療法であることが示された。
この結果より、ベスタチンとゲフィチニブとを組み合わせて投与することによって相乗的な効果を生じ、ゲフィチニブを低い用量で用いた場合においても、顕著な腫瘍増殖阻害効果が得られることが確認された。このような効果は、ベスタチンとゲフィチニブとを重量比にしておよそ1:0.3〜3にて組み合わせて投与することによって得られることが確認された。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (6)

  1. 1回あたり10mgの(2S)−2−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイルアミノ]−4−メチルペンタン酸又はその薬理学的に許容される塩1日1回投与されるように用いられることを特徴とする、高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するための医薬組成物。
  2. 前記癌患者が末梢血中の好中球数とリンパ球数の比が高いこと、末梢血中の血小板数とリンパ球数の比が高いこと、又は末梢血中の血小板数もしくは好中球数が正常値の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記癌患者が大腸癌、乳癌、甲状腺癌、肺癌、胆嚢胆管癌又は、腎臓癌、あるいはこれらの転移癌に罹患している、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物と、抗癌剤及び/又は分子標的薬とを含む、高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するための配合剤。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物と、抗癌剤及び/又は分子標的薬とを含む、高齢又は末期の癌患者を治療又は寛解するためのキット製剤。
  6. 分子標的薬であるエルロチニブを含むことを特徴とする、請求項4に記載の配合剤又は請求項5に記載のキット製剤。
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