JP6021966B2 - 空調機の選定方法 - Google Patents

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本発明は、空調機の選定方法に関するものである。
従来、木質系の戸建住宅等の建物における空調機の選定は、空調対象となっている室の畳数、即ち、床面積に応じて空調機メーカが提供するパンフレット等から機種(能力:kW)を選択するのが一般的である。
しかし、部屋(室)の床面積のみに基いて空調機を選定すると、建物の立地気象条件や、周辺環境の影響、建物の外皮性能、即ち、外壁、屋根、床、土間などの建物の外皮からの熱伝達の影響、窓などの開口部からの輻射熱の影響、吸換気時の潜熱を含めた熱移動の影響等を無視した選定となり、必然的に過剰性能となり環境負荷が増加するという問題があった。
一方、RC造のビルなどの建物では、空調設計を行って空調機の選定を行うっている。例えば、特許文献1には、外壁等の熱還流率や室の用途に応じて照明負荷、人体負荷、機器発熱等を考慮して夏季の冷房負荷と冬季の暖房負荷を計算し、最大熱負荷を算出して空調機の選定を行うことが記載されている(特許文献1の明細書の段落[0027]〜[0042]、図面の図15、図26等参照)。
しかし、特許文献1に記載の発明は、基本的に各室ごとに空調機を選定するものであり、空調機からの暖気や冷気を効率よく分配することまでも考慮した空調機の選定とはなっておらず、省エネルギー性や経済性の観点から不十分であるとい問題がある。
また、特許文献2には、空調機が設置される建物の最大熱負荷を算出し、その最大熱負荷を賄える容量を有する空調機を仮選定し、仮選定した空調機の消費エネルギーを建物の部分負荷発生頻度に基づいて算出し、消費エネルギーや初期コスト等に基づいて空調機のライフサイクルコストを算出し、そのライフサイクルコストが最も低いものを仮選定した空調機の中から選定する空調機の選定方法が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1,4、明細書の段落[0045]〜[0049]、図面の図3、図4等参照)。
しかし、特許文献2に記載の空調機の選定方法は、単に電力消費等からライフサイクルコストを算出してライフサイクルコストが安いものを選定する方法であり、前述の省エネルギー性や経済性の改善が不十分であるという問題を解決できていなかった。
特開平8−94150号公報 特開2008−127047号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、空調機の数量を含め、建物の外皮性能、立地の気象条件、周辺環境に応じた建物全体として最小、最適な空調機を選定でき、快適性、省エネルギー性、経済性の連立が可能な空調機の選定方法を提供することにある。
第1発明に係る空調機の選定方法は、戸建住宅などの建物に必要な空調機の能力を算出して空調機を選定する空調機の選定方法であって、前記建物の外皮を構成する各部位の熱貫流率及び換気量に基いて前記外皮の熱損失係数を算出するQ値算出工程と、前記建物の開口部面積及び立地条件に基いて日射取得係数を算出するμ値算出工程と、前記Q値算出工程で算出した熱損失係数と、前記建物の延床面積と、前記建物の立地条件を加味した冬季の内外温度差と、に基いて冬季の最大暖房負荷を算出する最大暖房負荷算出工程と、前記Q値算出工程で算出した熱損失係数と、前記建物の延床面積と、前記建物の立地条件を加味した夏季の内外温度差と、前記μ値算出工程で算出した日射取得係数と、に基いて最大冷房負荷を算出する最大冷房負荷算出工程と、を備えるとともに、前記建物の各室の床下空間が連通しているか否かに基づいて空調対象エリアを区分けして決定する空調対象エリア決定工程と、前記最大暖房負荷及び前記最大冷房負荷から、前記空調対象エリア決定工程で決定した空調対象エリアの床面積に応じて各空調対象エリアの最大暖房負荷及び最大冷房負荷を算出して、当該空調対象エリアの空調機の最大負荷を求める最大負荷決定工程と、を備え、前記最大負荷決定工程で決定した最大負荷に基いて前記空調対象エリアに必要な空調機の能力を算出して空調機を選定することを特徴とする。
第2発明に係る空調機の選定方法は、第1発明において、前記最大暖房負荷算出工程及び前記最大冷房負荷算出工程では、照明発熱、人体発熱、機器内部発熱等の内部発熱を考慮することを特徴とする。
第3発明に係る空調機の選定方法は、第2発明において、前記最大冷房負荷算出工程では、内部発熱に潜熱を考慮することを特徴とする。
第4発明に係る空調機の選定方法は、第1発明ないし第3発明のいずれかの発明において、前記最大負荷決定工程では、各空調対象エリアの内壁からの熱損失補正を行って空調機の最大負荷を求めることを特徴とする。
第5発明に係る空調機の選定方法は、第1発明ないし第4発明のいずれかの発明において、前記最大負荷決定工程では、立ち上がり時間を30分として算出することを特徴とする。
第1発明〜第5発明によれば、前記建物の各室の床下空間が連通しているか否かに基いて空調対象エリアを区分けして決定し、その調対象エリアごとに空調機の必要最小限の能力を算出して空調機を選定するので、床下チャンバによる暖冷気の分配・移送までも考慮して必要最小限の空調機の能力を算出して空調機を選定することができる。このため、空調機の数量を含め、建物の外皮性能、立地の気象条件、周辺環境に応じた建物全体として最小、最適な空調機を選定でき、快適性、省エネルギー性、経済性を兼ね備えたものとすることができる。
特に、第2発明によれば、第1発明において、前記最大暖房負荷算出工程及び前記最大冷房負荷算出工程では、照明発熱、人体発熱、機器内部発熱等の内部発熱を考慮するので、最大暖房負荷及び最大冷房負荷の算出がより正確となり、選定した空調機による快適性が向上する。
特に、第3発明によれば、第2発明において、前記最大冷房負荷算出工程では、内部発熱に潜熱を考慮するので、さらに、最大冷房負荷の算出がより正確となり、選定した空調機による快適性が向上する。
特に、第4発明によれば、第1発明ないし第3発明のいずれかの発明において、前記最大負荷決定工程では、各空調対象エリアの内壁からの熱損失補正を行って空調機の最大負荷を求めるので、空調対象エリアごとの最大負荷が正確となり、選定した空調機による快適性が向上する。
特に、第5発明によれば、第1発明ないし第4発明のいずれかの発明において、前記必要能力算出工程では、立ち上がり時間を30分として算出するので、立ち上がり時間を考慮して空調機が選定され、選定した空調機による快適性がさらに向上し、顧客満足度が増す。
本発明の実施形態に係る空調機の選定方法を示すフローチャートである。 同上の空調機の選定方法における建物の熱収支を計算するための概念図である。 同上の空調機の選定方法における空調エリア決定の仕方を説明するための平面図である。 建物の暖房時において床下空間を空調ダクトとして利用することを模式的に示す概略鉛直断面図である。 建物の冷房時において床下空間を空調ダクトとして利用することを模式的に示す概略鉛直断面図である。 図3で示した建物とは別の建物の空調機の選定方法における空調エリア決定の仕方を説明するための平面図である。 同上の建物の空調機の選定方法における空調エリア決定の仕方を説明するための基礎伏図である。 図3で示した建物の従来の空調機の選定方法における空調エリア決定の仕方を説明するための平面図である。
以下、本発明に係る空調機の選定方法を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図8を用いて、本発明の実施形態に係る空調機の選定方法について説明する。建物として2階建ての木質系戸建住宅Hを例示し、その木質系戸建住宅Hの居室に冷暖房可能な空調機(エアーコンディショナー)を設置する場合で説明する。なお、木質系戸建住宅とは、軸組工法などの在来工法により建造された木造住宅をはじめ、2×4工法やプレ加工の木製パネルを現地で組み立てるパネル工法などの木材を主要構成材とした各種工法の戸建住宅を含む意味で使用している。
本実施形態に係る空調機の選定方法は、図1、図2に示すように、Q値算出工程と、μ値算出工程と、最大暖房負荷算出工程と、最大冷房負荷算出工程と、空調対象エリア決定工程と、最大負荷決定工程と、を備え、気象条件と外皮の断熱性能(Q値)及び遮熱性能(μ値)を基に建物の熱収支を計算して建物に必要な空調機の能力、即ち、最大必要能力(kw)を算定して空調機を選定する空調機の選定方法である。
先ず、事前準備として木質系戸建住宅である建物Hの延床面積[m2]や建物Hの各部位の面積[m2]、建物Hの各部位に使われている素材等を洗い出し、熱伝導率(熱伝達率)[W/m・K]等を算出可能な状態にしておく。勿論、部材毎にデータベース化して、参照可能としても良い。
(1)Q値算出工程
次に、Q値算出工程について説明する。本工程では、建物Hの外皮を構成する各部材の熱貫流抵抗及び換気量に基いて建物Hの外皮の断熱性能、即ち熱損失係数(Q値)を算出する。ここで、建物Hの外皮とは、外気と建物H内を区画する部材、即ち、屋根、外壁、床、土間、外壁に設けられた建具(開口部)等を指している。
本工程では、これらの部材の熱貫流率[W/(m2・K)]又は熱貫流抵抗[(m2・K)/W]を算出し、算出した熱貫流率に面積及び温度差係数を乗じて屋根等の各部位ごとの熱損失[W/K]量を算出する。そして、算出した各部位の熱損失[W/K]を全ての部位に亘って積算したうえ、換気熱損失[W/K]を加えて建物H全体の全熱損失量を算出し、算出した全熱損失量を延べ床面積で割って建物H全体の面積あたりの熱の逃げ易さ熱損失係数(Q値)[W/(m2・K)]を算出する。
具体的には、外壁を例示して説明すると、外壁(各部位)を構成する構成部材、即ち、断熱材、構造材、表面材の種類から熱伝導率(熱伝達率)[W/m・K]又は熱伝導(熱伝達熱)抵抗[(m2・K)/W]を特定し、各部材の厚さを乗じてその外壁(各部位)を構成する全ての部材について積算して外壁(各部位)の熱損失[W/K]を算出する。勿論、断熱材など特に熱を伝えにくい熱伝導率(熱伝達率)の低い部材を中心に算出し、熱損失への影響が小さい部材を計算上無視することも可能である。
なお、建物の部位に金属などの熱橋部があるとそこを通じて熱が外気へ貫流又は室内へ貫入するため、平均熱貫流率から算出した値と実際の熱貫流量との相違が大きくなるため、熱橋部の有無も熱橋係数βとして熱損失[W/K]の計算に反映させると好ましい。例えば、外壁に止め金具がある場合は、熱橋係数β=1.0として外壁(各部位)の熱損失[W/K]を算出する。
それに加え、外張断熱であるか否かなど断熱材の位置、即ち、各部位の断熱工法及び構造種別に応じて熱貫流率計算を行う際の補正値である補正熱貫流率として熱貫流率に加算して熱損失[W/K]を算出すると好ましい。
また、温度差係数とは、隣接空間等の温度差に応じて熱損失への影響を低減するための係数である。例えば、隣接空間が、外気、外気に通ずる小屋裏又は天井裏若しくは熱的境界の外部に存する屋内駐車場、メーターボックス、エレベーターシャフト等である場合は、低減なしの温度差係数=1.0とし、隣接空間が、外気に通ずる床裏若しくは外気に開放されていない昇降機室、共用機械室、倉庫等である場合は、低減して温度差係数=0.7とする。隣接空間が、住戸と同様の熱的環境の空間に隣接する界壁若しくは界床の場合は、さらに低減して温度差係数=0.05又は0.15とする。
換気熱損失[W/K]は、建物H全体の気積[m3]に換気回数と空気の比熱[W/(m3・K)]を乗じて算出する。換気回数とは、建物内の空気が1時間あたりに入れ替わる回数であり、例えば、気密化された住宅では、0.5回/hとなり、気密化されていない住宅では、10.〜1.5回/hとなる。
(2)μ値算出工程
次に、μ値算出工程について説明する。本工程では、建物Hの開口部面積及び立地条件に基いて日射取得係数を算出する。ここで、日射取得係数(μ値)とは、建物Hに侵入する日射量を延床面積で除した値であり、この値が大きいほど日射取得率が高いことを示している。ここで、建物Hに侵入する日射量とは、建物Hの部位ごとに侵入する日射量を積算した総和である。
建物において日射が侵入するおそれのある部位は、屋根、外壁、開口である。屋根から侵入する日射量は、屋根の水平投影面積[m2]と、夏季日射侵入率(η)と、の積から算出し、外壁から侵入する日射量は、外壁面積[m2]と、夏季日射侵入率(η)と、方位係数(ν)と、の積から算出し、開口から侵入する日射量は、開口面積[m2]と、夏季日射侵入率(η)と、方位係数(ν)と、の積から算出する。勿論、建物の熱収支の影響として一番大きい開口から侵入する日射量のみ算出して、建物に侵入する日射量とし、日射取得係数(μ値)を算出してもよい。
屋根及び外壁の夏季日射侵入率(η)は、各部位の日射吸収率と熱貫流率[W/(m2・K)]とに基いて算出する。開口の夏季日射侵入率(η)は、ガラスなどの日射透過材と空気層の有無、カーテンやブラインドなどの日射遮蔽物の種類に応じた測定結果等に基いて算出する。また、庇やバルコニーなどオーバーハング型の日除けがある場合も補正係数をかけることで補正すると好ましい。
方位係数(ν)は、日本全国をI〜IVの区分に分けた地域区分と、東・西、南、南東・
南西、北、北東・北西の方位と、により区分された表により求める係数であり、緯度(太陽高度)や方位の影響を建物の熱収支の計算に簡便に反映させるための係数である。
(3)最大暖房負荷算出工程
次に、最大暖房負荷算出工程について説明する。本工程では、前述のQ値算出工程で算出した熱損失係数(Q値)[W/(m2・K)]と、建物Hの延床面積[m2]と、建物Hの立地条件を加味した冬季の内外温度差と、に基いて冬季の最大暖房負荷[W]を算出する。
具体的には、冬季の内外温度差は、建物Hの建設地又は建設予定地に最も近い気象台の地域観測所のデータを気象庁ウェブサイト等より入手して、当該観測所の過去5年間の1月〜2月までの日最低外気温の平均を設定外気温とし、冬季の暖房設定温度(例えば、20℃)との差から算出する。
そして、前述のQ値算出工程で算出した熱損失係数(Q値)[W/(m2・K)]に、建物Hの延床面積[m2]と、算出した内外温度差[K(℃)]と、を乗じて最大暖房負荷[W]を算出する。このとき、建物H内で発生する内部発熱を差し引いて最大暖房負荷を算出するとパッシブハウスの考え方に合致しており好ましい。
内部発熱としは、照明器具による発熱、呼気による潜熱を含む人体発熱(人体負荷)、その他の機器による機器内部発熱があり、逆に、熱損失としては、隙間風による熱損失(顕熱、潜熱)が考えられる。なお、冬季において潜熱は、暖房負荷にとって有利に働くため本実施形態に係る空調機の選定方法では算出しない。
具体的には、照明器具による照明発熱は、照明器具に応じた実績値等から算出し、人体発熱による暖房負荷は、成人男子1人あたり顕熱が58.15 W/人として計算する。機器内部発熱は、住宅等では、室内の熱収支に影響を与える機器はないと考えられるので、また、隙間風による熱損失も換気による熱損失に含めることとし、本実施形態に係る空調機の選定方法では算出しない。勿論、具体的な数値は、実績値や公知の文献等から適宜採用すればよい。
(4)最大冷房負荷算出工程
次に、最大冷房負荷算出工程について説明する。本工程では、前述のQ値算出工程で算出した熱損失係数(Q値)[W/(m2・K)]と、建物Hの延床面積[m2]と、建物Hの立地条件を加味した夏季の内外温度差と、前述のμ値算出工程で算出した日射取得係数(μ値)と、に基いて夏季の最大冷房負荷[W]を算出する。
具体的には、夏季の内外温度差は、建物Hの建設地又は建設予定地に最も近い地域観測所のデータを気象庁ウェブサイト等より入手して、当該観測所の過去5年間の7月〜8月までの日最高外気温の平均を設定外気温とし、夏季の冷房設定温度(例えば、26℃)との差から算出する。
そして、前述のQ値算出工程で算出した熱損失係数(Q値)[W/(m2・K)]に、建物Hの延床面積[m2]と、算出した内外温度差[K(℃)]と、を乗じて最大冷房負荷を算出する。このとき、建物H内で発生する内部発熱と、前述のμ値算出工程で算出した日射取得係数(μ値)に基く日射取得熱[W]と、を加えて最大冷房負荷を算出するとより好ましい。
内部発熱としは、冬季と同様に、照明器具による照明発熱、呼気による潜熱を含む人体発熱(人体負荷)、その他の機器による機器内部発熱があり、逆に、熱損失としては、隙間風による熱損失(顕熱、潜熱)等が考えられる。但し、夏季において潜熱は、冷房負荷にとって不利に働くため本実施形態に係る空調機の選定方法では人体発熱による潜熱や換気による潜熱の流出も考慮して熱収支を算出する。
具体的には、人体発熱による冷房負荷は、成人男子1人あたりの顕熱負荷が58.15 W/人として、成人男子1人あたりの潜熱負荷が46.5 W/人として計算する。照明発熱、機器内部発熱、隙間風による熱損失等は、最大暖房負荷算出工程と同様である。
また、日射取得熱[W]は、前述のμ値算出工程で算出した日射取得係数(μ値)に、建物Hの延床面積[m2]と、気象庁ウェブサイト等より入手した建物Hの建設地又は建設予定地に最も近い気象台の地域観測所の観測結果に基いた単位面積あたりの水平面日射量[W/ m2]と、を乗じて算出する。この水平面日射量には、直達日射量、散乱日射量、全天空日射量、及び反射を考慮して決定すると良い。
(5)空調対象エリア決定工程
次に、空調対象エリア決定工程について説明する。本工程では、建物Hの各室の床下空間が連通しているか否かに基いて空調対象エリアを区分けして決定する。
具体的には、建物として2階建ての木質系戸建住宅Hの1階の空調対象エリアの区分けを例示すると図3に示すX1、X2となる。しかし、従来の空調機の選定方法では、基本的に各室ごとに空調機を選定するものであったため、空調対象エリアは、図8に示すように、Y1〜Y3となる。
何故なら、従来の空調機の選定方法では、各室の連通性のみ、即ち、空調機からの空調した空気が直接届くか否かを基準として空調対象エリアを決めていた。しかし、本実施形態に係る空調機の選定方法では、図4、図5に示すように、居室から床下空間まで連通する床下チャンバ1により床下空間を空調ダクトとして利用することを基本としているため、床下通気口2を通じて空調機の室内機が設置されている居室以外の壁等で空調機からの空調した空気が直接届かない居室も1つの室内空調機による同一の空調対象エリアとすることができる。
例えば、従来の空調機の選定方法では、図8に示すように、トイレR1の壁を挟んだウォークインクローゼットR2は、空調対象エリアY1と同一の空調対象エリアとしては考えられていなかった。しかし、図3に示すように、本実施形態に係る空調機の選定方法では、床下通気口2を適当な場所に設けることにより、ウォークインクローゼットR2も同一の空調対象エリアX1とすることができる。
また、従来の空調機の選定方法では、図8に示すように、リビングダイニングR3と和室R4は、一方向に長すぎて1つの空調機の送風力では対応しきれないと考えられていたうえ、居室の使用頻度の高いリビングダイニングR3に室内空調機を設置した場合、和室R4に室内空調機の空調した空気を届けるのが困難であると考えられていた。しかし、図3に示すように、本実施形態に係る空調機の選定方法では、床下空間をダクトとして利用することを前提としているので、床下空間が連通するリビングダイニングR3と和室R4とは、1つの空調対象エリアX2として取り扱う。
図4に示すように、冬季は、室内空調機と接続する床下チャンバ1で建物Hの基礎と1階の床との間に形成される床下空間に室内空調機で暖房した空気を送り込むと、床下空間により連通する各室に設けた床下通気口2から温風が自然に圧力差で運ばれ、各室が頭寒足熱の快適な温度分布となる。
図5に示すように、夏季は、室内空調機と接続する床下チャンバ1で建物Hの基礎と1階の床との間に形成される床下空間に室内空調機で冷房した空気を送り込むと、床下空間により連通する各室に設けた床下通気口2から冷風が自然に圧力差で運ばれる。しかし、そのままだと、各室の下方に冷気が溜まるため、内壁の壁体内に通気路を設け、ファン3で内壁上部に設けた壁通気口4を通じて各室の上方から冷房した空気を供給すると各室の温度分布が快適となり好ましい。
なお、図4、図5を示して、基礎と1階の床との間に形成される床下空間を例示して説明したが、勿論、1階の天井と2階の床との間、又は2階の天井と3階の床との間など各階の階間を床下空間として利用して室内空調機が設置された居室と違う別の居室に空調機で冷暖房された空気を運ぶようにしても良い。
次に、図6、図7に示す1階建ての木質系建物H’を例に挙げて、空調対象エリア決定工程における空調対象エリアの決定の仕方について説明する。
図6に示すように、建物H’は、リビングダイニングとキッチンとが一体となったLDKルームR1’となっており、さらに、このLDKルームR1’隣接する和室R2’とも、間仕切り壁が無く室同士が床上で連通している。
しかし、図7に示すように、建物H’は、このLDKルームR1’の床下と、和室R2’とは、和室R2’の床下収納庫が存在するため、床下空間では、区画されている。このような場合は、本発明の実施形態に係る空調機の選定方法では、LDKルームR1’と和室R2’とは、別々の空調対象エリアX1’,X2’とする。勿論、空調対象エリアX2’は、床下チャンバ等が必要ないため、空調対象エリアとして設定しないとすることもできる。
(6)最大負荷決定工程
次に、最大負荷決定工程について説明する。本工程では、前述の最大暖房負荷算出工程で算出した最大暖房負荷と、前述の最大冷房負荷算出工程で算出した最大冷房負荷と、から、前述の空調対象エリア決定工程で決定した空調対象エリアの床面積に応じて各空調対象エリアの最大暖房負荷及び最大冷房負荷を算出して、当該空調対象エリアの空調機の最大負荷を求める。
具体的には、前述の最大暖房負荷算出工程で算出した最大暖房負荷[W]を、建物Hの延床面積[m2]で除したものに、空調対象エリアX1,X2の床面積[m2]を乗じて、空調対象エリアX1,X2の最大暖房負荷[W]を算出する。
ここで、最大暖房負荷算出工程で算出した最大暖房負荷[W]は、間仕切壁である内壁からの熱損失を考慮していないため、内壁からの熱損失として内壁の開口部の大きさ等に応じて補正係数として乗じて空調対象エリアX1,X2の最大暖房負荷[W]を多めに見積もるとよい。
また、立ち上がり時間を考慮した最大必要能力を決定するため、本実施形態に係る空調機の選定方法では、本工程において、空調対象エリアX1,X2の気積[m3]に、空気の容積比熱0.35[W/(m3・K)]、及び建物Hの立地条件を加味した冬季の内外温度差[K(℃)]を乗じて、立ち上がり時間[h]で除したものを、先に算出した空調対象エリアX1,X2の最大暖房負荷[W]に加え、空調対象エリアX1,X2の最大暖房負荷[W]を算出する。本実施形態に係る空調機の選定方法では、立ち上がり時間[h]を30分として計算した。
同様に、前述の最大冷房負荷算出工程で算出した最大冷房負荷[W]を、建物Hの延床面積[m2]で除したものに、空調対象エリアX1,X2の床面積[m2]を乗じて、空調対象エリアX1,X2の最大冷房負荷[W]を算出する。
本実施形態に係る空調機の選定方法では、本工程において、内壁からの熱損失として内壁の開口部の大きさ等に応じて補正係数として乗じて空調対象エリアX1,X2の最大冷房負荷[W]を算出するとともに、算出した空調対象エリアX1,X2の最大暖房負荷[W]に、空調対象エリアX1,X2の気積[m3]に、空気の容積比熱0.35[W/(m3・K)]、及び建物Hの立地条件を加味した冬季の内外温度差[K(℃)]を乗じて、立ち上がり時間[h]で除したものを加え、空調対象エリアX1,X2の最大冷房負荷[W]を算出する。
そして、空調対象エリアX1,X2の最大暖房負荷[W]と最大冷房負荷[W]とを比較して、最大必要能力を決定し、市販の空調機等から空調機を選定する。
本発明に係る空調機の選定方法は、住宅やビルなど建物の建設時や改修等において特に有効に利用することができる。
1 :床下チャンバ
2 :床下通気口
3 :ファン
4 :壁通気口
H :木質系戸建住宅(建物)
H’ :木質系建物(建物)
X1,X2,X1’,X2’ :(本発明の)空調対象エリア
Y1,Y2,Y3 :(従来の)空調対象エリア
R1 :トイレ
R2 :ウォークインクローゼット
R3 :リビングダイニング
R1’ :LDKルーム
R2’ :和室

Claims (5)

  1. 戸建住宅などの建物に必要な空調機の能力を算出して空調機を選定する空調機の選定方法であって、
    前記建物の外皮を構成する各部位の熱貫流率及び換気量に基いて前記外皮の熱損失係数を算出するQ値算出工程と、
    前記建物の開口部面積及び立地条件に基いて日射取得係数を算出するμ値算出工程と、
    前記Q値算出工程で算出した熱損失係数と、前記建物の延床面積と、前記建物の立地条件を加味した冬季の内外温度差と、に基いて冬季の最大暖房負荷を算出する最大暖房負荷算出工程と、
    前記Q値算出工程で算出した熱損失係数と、前記建物の延床面積と、前記建物の立地条件を加味した夏季の内外温度差と、前記μ値算出工程で算出した日射取得係数と、に基いて最大冷房負荷を算出する最大冷房負荷算出工程と、を備えるとともに、
    前記建物の各室の床下空間が連通しているか否かに基いて空調対象エリアを区分けして決定する空調対象エリア決定工程と、
    前記最大暖房負荷及び前記最大冷房負荷から、前記空調対象エリア決定工程で決定した空調対象エリアの床面積に応じて各空調対象エリアの最大暖房負荷及び最大冷房負荷を算出して、当該空調対象エリアの空調機の最大負荷を求める最大負荷決定工程と、を備え、
    前記最大負荷決定工程で決定した最大負荷に基いて前記空調対象エリアに必要な空調機の能力を算出して空調機を選定すること
    を特徴とする空調機の選定方法。
  2. 前記最大暖房負荷算出工程及び前記最大冷房負荷算出工程では、照明発熱、人体発熱、機器内部発熱等の内部発熱を考慮すること
    を特徴とする請求項1に記載の空調機の選定方法。
  3. 前記最大冷房負荷算出工程では、内部発熱に潜熱を考慮すること
    を特徴とする請求項2に記載の空調機の選定方法。
  4. 前記最大負荷決定工程では、各空調対象エリアの内壁からの熱損失補正を行って空調機の最大負荷を求めること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の空調機の選定方法。
  5. 前記最大負荷決定工程では、立ち上がり時間を30分として算出すること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の空調機の選定方法。
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