(第1の形態)
以下、図面を参照して、本発明をスロットマシンタイプのゲーム機に適用した第1の形態を説明する。図1に示すように、本形態のゲーム機1は縦型の筐体2を有し、その筐体2の前面には表示装置3が設けられている。表示装置3は一例として液晶ディスプレイ装置である。表示装置3の下側にはコントロールパネル4が設けられている。コントロールパネル4には、コインの投入口5、及び操作装置6が設けられている。操作装置6は、例えばベット操作、スピン開始操作、その他の各種の操作を行うためのボタンスイッチといった操作部材を含んでいる。
図2は、表示装置3上に表示されるゲーム画面の一例を示している。ゲーム画面10にはシンボル表示領域11が設けられている。図3に示したように、シンボル表示領域11には複数のセル12が規定されている。セル12は、例えば矩形状であり、各セル12はシンボル停止位置に相当する。セル12は、六角形状、円形状その他の各種の形状に形成されてよい。セル12は、シンボル表示領域11の上下方向に沿って延びる5本のセル列13A〜13E(図では太線にて相互に区分されている。)を形成するように並べられている。シンボル表示領域11の左右方向両端には、4個のセル12を上下に連ねたセル列13A、13Eがそれぞれ形成されている。それらのセル列13A、13Eの間には、5個のセル12を上下に連ねた3本のセル列13B、13C、13Dがそれぞれ形成されている。両端のセル列13A、13Eの各セル12は、セル列13B〜13Dの互いに隣接する2つのセル12の中間に位置するように配置されている。図3では、セル12の境界を実線にて示しているが、セル12はプレイヤが視覚を通じて把握できる態様で表示装置3上に表示されてもよいし、表示が省略されてもよい。すなわち、セル12はシンボル表示領域11におけるシンボル停止位置として、ゲーム機1の内部で論理的に、あるいは観念的に規定されていれば足り、それらの境界が視認できることは必ずしも必要とされない。以下では、セル列13A〜13Eを特に区別する必要がないときはセル列13と表記する。シンボル表示領域11の左右方向を行方向と、上下方向を列方向とそれぞれ称することがある。
図2に示すように、シンボル表示領域11には、セル列13A〜13E(図2では図示を省略)に1対1に対応付けて5本のリール15A〜15Eがそれぞれ配置されている。以下では、リール15A〜15Eを、シンボル表示領域11の左から右に向かって第1リール15A、第2リール15B…第5リール15Eと区別して呼ぶことがある。ただし、リール15A〜15Eを区別する必要がない場合にはリール15と呼ぶこともある。各リール15は画像によって表現されるビデオリール(仮想リール)であって、シンボル列に相当する。各リール15には、複数種類のシンボル16が所定の配列で並べられている。図4にリール15の一例を示す。なお、リール15は観念的には円筒状であり、かつ、その外周には複数種類のシンボル16が周方向に沿って一定のピッチで配列された構成を有している。図4では、そのリール15の外周を平面上に展開した状態で示している。シンボル16には、トランプの番号札に付されるべき数値又は文字であるA、1、2…j、Q、Kのいずれかを表現したカードシンボル16aと、コイン、ダイス、チップといった絵柄を表現したピクチャシンボル16bと、女性の顔を表現したワイルドシンボル16cとが存在する。ただし、本明細書及び図面では、それらのシンボル16a〜16cを区別する必要がない場合には、シンボル16と称することがある。
図2に戻って、ゲーム画面10には、シンボル表示領域11の他に、入賞判定の対象とされるべきライン(以下、入賞判定ラインと呼ぶ。)を識別するためにシンボル表示領域11の両側に配置される一対の対象ライン識別部17a、プレイヤが保持するクレジット数を示すクレジット数表示部17b、プレイヤが賭けたクレジットの数であるベット数を示すベット数表示部17c、ゲーム毎にプレイヤが獲得した配当数(クレジットと同一単位で表される。)を示す配当表示部17d等がさらに設けられている。なお、クレジットとは、遊技価値を定量的に表現する用語である。例えば、一回の遊技機会を発生させる最小単位が1クレジットと定められる。クレジットは、所定の対価(金銭価値)の支払いと引き換えに発生する。例えば、プレイヤが投入口5に所定額のコインを投入した場合、それと引き換えに1クレジットが発生する。対価の支払いは、コインによる例に限らず、代替通貨としてのメダル、トークン等によって支払われてもよい。電子通貨その他の電子的な情報の交換を介して対価が支払われてもよい。
プレイヤが一以上のクレジットをベットしてゲーム開始を指示すると、一回の遊技機会が発生する。一回の遊技機会において、各リール15はセル列13に沿って上から下へと移動し、その後の適当な時期に、一つのシンボル16が一つのセル12に出現するようにして停止する。このようなリール15の移動をスピンと呼ぶことがある。全てのリール15が停止して各セル12のシンボル16が確定すると、入賞判定ライン上に並んだシンボル16の組み合わせが所定の入賞パターンを形成するか否かが判定される。入賞パターンは、一例として、5列のリール15を貫くように設定された入賞判定ライン上のすべてのセル12に同一種類のシンボル16が揃っているパターンである。入賞パターンが形成されている場合には、その入賞パターンを構成するシンボル16の種類に応じた配当がプレイヤに付与される。配当はクレジットに加算されてもよいし、コイン(あるいは代替通貨等)にてプレイヤに支払われてもよい。
プレイヤに対する配当は、入賞パターンを構成するシンボル16がセル12に出現する確率に応じて差別化されている。ゲーム機1において、カードシンボル16aはピクチャシンボル16bと比較して出現する確率が高く設定されている。そのため、カードシンボル16aが揃ったときの配当はピクチャシンボル16bが揃ったときの配当よりも低く設定される。言い換えれば、ピクチャシンボル16bが揃ったときの配当は、カードシンボル16aが揃ったときの配当よりも高い。ワイルドシンボル16cは、入賞判定において、他のいずれのシンボル16としても通用する万能シンボルである。したがって、入賞判定ライン上のいずれかのセル12にワイルドシンボル16cが出現した場合には、入賞パターンが形成され易くなる。シンボル16が出現する確率は、一例として、リール15上に配置されたシンボル16の種類毎の個数によって変化させることができる。リール15上で一つのシンボル16が配置されている領域をシンボル領域とし、それらのシンボル領域が各セル12にて停止する確率が互いに等しくなるようにリール15のスピンが制御されると仮定する。その場合、個数が多い種類のシンボル16ほどセル12に出現する確率は大きくなる。なお、カードシンボル16a間でも、セル12に出現する確率が種類に応じて差別化されている。同様に、ピクチャシンボル16b間でもセル12に出現する確率が種類に応じて差別化されている。
入賞判定ラインは、例えば図3に太線L1にて示したように、各セル列13の一つのセル12を概略行方向に貫くように設定される。入賞判定ライン上に並んだ複数のセル12の集合が、入賞判定の対象となるセル群に相当する。入賞判定ラインの本数は適宜に設定することができる。例えば、一回の遊技機会におけるベット数が1であれば、入賞判定ラインが1本設定され、ベット数が増えるほど入賞判定ラインの本数が増加する、といった設定が可能である。入賞判定ラインの配置は予め定められてもよいし、プレイヤがベットする毎に適宜の位置に入賞判定ラインを設定できるようにしてもよい。
次に、図5を参照してゲーム機1の制御系の構成を説明する。ゲーム機1には制御ユニット20が設けられている。制御ユニット20は、マイクロプロセッサとその動作に必要な周辺装置(一例として主記憶装置)とを含んだコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニット20には、外部記憶装置21が接続されている。外部記憶装置21は磁気記憶媒体、DVD−ROM、EEPROMといった不揮発性の記憶媒体を有している。その記憶媒体には、制御ユニット20が所定の手順に従ってゲームを制御するために必要なゲームプログラム22及びゲームデータ23が記憶されている。ゲームプログラム22は制御ユニット20に適宜に読み込まれて実行される。ゲームデータ23も制御ユニット20に適宜に読み込まれて参照される。ゲームデータ23にはリールデータ23aが含まれている。リールデータ23aは、リール15におけるシンボル16の配列を記述したデータである。
制御ユニット20には、上述した操作装置6及び表示装置3が接続される。操作装置6は、プレイヤの操作に応じた信号を制御ユニット20に出力する。表示装置3は、制御ユニット20から出力される画像信号に応じた画像を表示する。制御ユニット20は、操作装置6の出力信号を参照しつつ、ゲームプログラム22に従って所定の手順でゲームを実行し、そのゲームの進行状況に応じたゲーム画面を表示装置3上に表示させる。そのゲーム画面の一例は図2で説明した通りである。そのゲーム画面10には、上述したようにシンボル表示領域11を示す画像、及びリール15のうちシンボル表示領域11に出現させるべき部分(つまり、各セル12に出現させるべきシンボル16)の画像が含まれる。それらの画像を表示装置3の画面上に表示させることにより、制御ユニット20はシンボル列表示手段として機能する。
ゲームを実行するために必要な入力装置又は出力装置として、制御ユニット20には、上述した操作装置6及び表示装置3に加えて、コイン投入装置24及びペイアウト装置25が接続されている。コイン投入装置24は、投入口5から投入されたコインの真偽を判定し、真正と判断した場合にコインの投入量(投入額)に応じた信号を制御ユニット20に出力する。ペイアウト装置25は、制御ユニット20からの指示に従って、プレイヤにゲームの配当としてのコインの支払いを実行する。なお、コインに代えて、又は加えて代替硬貨、電子通貨等によってゲームの対価が支払われてもよい。その場合、コイン投入装置24及びペイアウト装置25も適宜に変更される。
次に、ゲーム機1におけるゲームの制御手順を説明する。ゲーム機1において、ゲームに必要な額のコインが投入されたことを示す信号がコイン投入装置24から制御ユニット20に出力されると、操作装置6を介したベット操作が可能となる。操作装置6からベット操作を示す信号が出力されると制御ユニット20によりベット処理が行われる。ベット処理は、プレイヤがゲームをプレイする権利としてゲーム機1上で留保されているクレジットを所定量消費させることと引き換えに許可されることもある。少なくとも最小単位のベットが行われた状態で操作装置6からゲーム開始を指示する信号が出力されると、制御ユニット20は一回の遊技機会が発生したものと判断して所定のゲーム処理を開始する。
ゲーム処理は、基本的には、各リール15を所定量スピンさせて停止させ、入賞パターンが形成されているか否かを判定し、入賞パターンが形成されていれば配当を発生させるという手順で進められる。そのゲーム処理として、ゲーム機1では、少なくとも通常ゲーム処理及び特別ゲーム処理が用意されている。通常ゲーム処理は、基本的なゲーム処理として用意された処理である。一方、特別ゲーム処理は、所定の特別状態において、通常ゲーム処理に代えて実行されるべき処理である。特別状態を発生させる条件は適宜に定めてよい。一例として、通常ゲーム処理に基づくゲームにて特定のパターンが形成された場合に、その特典として特別ゲーム処理が実行されてもよい。通常ゲーム処理の結果に関係なく、特別ゲーム処理の実行が許可されてもよい。例えば、特定の時間帯に限って特別ゲーム処理が実行されてもよいし、ランダムに特別ゲーム処理が実行されてもよい。特別ゲーム処理は、対価の支払いを求めることなく実行されてもよいし、通常ゲーム処理と同額又は異なる額の対価の支払いを条件として実行されてもよい。以下、各ゲーム処理について説明する。
図6は、制御ユニット20が実行する通常ゲーム処理の手順を示している。通常ゲーム処理において、制御ユニット20はまずステップS1にて全てのリール15に対して通常スピン制御を指定し、続くステップS2にてスピン制御(この場合は、後述する通常スピン制御)を実行する。スピン制御によって各リール15がスピンを開始し、その後、所定のストップ位置にて各リール15が停止する。ストップ位置については後述する。スピン制御が終わると、制御ユニット20はステップS3に進んで入賞判定を実行する。入賞判定は、入賞判定対象のセル群に出現したシンボル16により入賞パターンが形成されているか否かを判定する処理である。入賞判定が終わると、制御ユニット20はステップS4に進み、入賞判定の結果に応じた払い出し処理を実行する。この場合、入賞パターンが形成されていれば、その入賞パターンを形成するシンボル16の種類に応じた配当がプレイヤに払い出される。一方、入賞パターンが形成されていなければ配当はゼロである。つまり、配当は払い出されない。払い出し処理が終わると、制御ユニット20は今回の通常ゲーム処理を終了する。
図7は通常ゲーム処理のステップS2で実行される通常スピン制御ルーチンを示している。なお、図7のルーチンは、リール15毎に独立して実行される処理である。したがって、図6の通常ゲーム処理におけるサブルーチンとして図7の制御ルーチンが実行される場合には、第1リール15Aから第5リール15Eのそれぞれに対して図7の通常スピン制御ルーチンが互いに独立して実行される。通常スピン制御ルーチンにおいて、制御ユニット20は、まずステップS101にて、リール15のストップ位置を抽選する。ストップ位置とは、リール15上のシンボル16が最終的に停止した時点でセル列13と重なり合うべきリール15上の位置である。例えば、図4のリール15において、その上端のシンボル16が配置された位置を基準位置とする。その基準位置からシンボル16の配列方向に沿って順にシンボル番号を設定し、何番目のシンボル16をセル列13の基準となるべきセル12(一例としてセル列13の中央のセル12)に停止させるべきかを抽選する。その場合、基準となるべきセル12に停止するシンボル16の番号がリール15のストップ位置である。一例として、図4の上端から5番目のシンボル16をセル列13の中央のセル12に停止させる場合、そのリール15のストップ位置は“5”となる。なお、ストップ位置の抽選は乱数その他の適宜の手段を用いて行なってよい。
ストップ位置が抽選された後、制御ユニット20はステップS102に進み、リール15のスピンを前回のシンボル16の停止位置から開始させる。次のステップS103にて、制御ユニット20はリール15がストップ位置まで移動したか否かを判別する。ストップ位置に達していなければ、制御ユニット20は、リール15のスピンを継続させたままステップS103の判断を繰り返す。なお、ストップ位置が近付くに従ってスピンの速度を徐々に低下させてもよい。ステップS103にてストップ位置と判断した場合、制御ユニット20はステップS104に進み、リール15のスピンを停止させる。その後、制御ユニット20は通常スピン制御を終了し、元の処理(一例として図6の通常ゲーム処理)に戻る。通常ゲーム処理においては、図7の通常スピン制御ルーチンが全てのリール15に関して実行される。それにより、全てのリール15がスピンしてその後に停止し、各セル12にいずれか一つのシンボル16が出現する。その後、図6のステップS3の入賞判定が行なわれる。
次に、特別ゲーム処理について説明する。まず、ゲーム画面10を参照して特別ゲーム処理の概要を説明し、その後に、制御ユニット20の処理手順を説明する。図8に示すように、特別ゲーム処理では、適宜のセル列13(図示例では第2リール15B〜第4リール15Dに対応する三つのセル列13B〜13D)の上端にフィルタ30がそれぞれ表示されている。各セル列13の上端は、そのセル列13のシンボル16が出現する側の端部に相当する。フィルタ30は、それが表示されたセル列13に対してフィルタリングが適用されることをプレイヤに識別させるためのフィルタ標識として表示される。フィルタリングとは、リール15がスピンしている間において、一部のシンボル16はフィルタ30を通過不可能とし、他のシンボル16はフィルタ30を通過可能とする処理又は操作である。具体的には、図9Aに示すように、カードシンボル16aはフィルタ30を通過不可能とされる。一方、図9Bに示すように、ピクチャシンボル16b及びワイルドシンボル16cは、フィルタ30を通過可能である。以下では、フィルタ30を通過できるピクチャシンボル16b及びワイルドシンボル16cを通過シンボル16と、フィルタ30を通過できないカードシンボル16aを不通過シンボル16と呼ぶことがある。
カードシンボル16aがフィルタ30の通過を阻止された場合、そのカードシンボル16aは、シンボル16が存在しないブランク15aへと置換されてセル列13に出現する。このようなフィルタリングが三つのセル列13B〜13Dに適用されることにより、図8に示したように、第2リール15B〜第4リール15Dにおいては、セル12へのカードシンボル16aの出現が阻止され、ピクチャシンボル16b、ワイルドシンボル16c及びブランク15aがセル列13を上から下へと移動する。リール15のスピンが停止すると、図10に示したように、各セル12には、ピクチャシンボル16b、ワイルドシンボル16c又はブランク15aのいずれかが出現する。カードシンボル16aは出現しない。
図10の状態でスピンが停止すると、続いてブランク15aに対するシンボル16の補充が開始される。シンボル16の補充は、ブランク15aの上方に位置するシンボル16を下に向かって移動させることにより、各ブランク15aを通過シンボル16で埋める操作である。その操作において、セル列13上に出現しているシンボル16のみではブランク15aを埋め切れない。そこで、不足分は、セル列13にまだ出現していないシンボル16がセル列13に移動することにより補充される。その際にもフィルタリングが適用されることにより、カードシンボル16aの出現が阻止される。その結果、セル列13にはピクチャシンボル16b又はワイルドシンボル16cのみが出現する。シンボル16の補充が完了すると、図11に示したようにセル列13B〜13Dの各セル12はピクチャシンボル16b又はワイルドシンボル16cによって埋められる。つまり、フィルタリングが適用されたセル列13においては、カードシンボル16aが存在しないように各セル12のシンボル16の種類が定められる。このような処理が行なわれることにより、高配当の入賞パターンが形成され易くなる。したがって、高配当に対するプレイヤの期待感を高めることができる。
図12は、制御ユニット20による特別ゲーム処理の手順を示している。特別ゲーム処理において、制御ユニット20はまずステップS11にてフィルタリングの対象となるべきセル列(以下、フィルタ対象列と呼ぶことがある。)13を決定する。例えば、中間のセル列13B〜13Dのうち、1又はそれ以上のセル列13をフィルタ対象列として適宜に決定することができる。特別状態を発生させる条件を細分化し、条件の充足状況に応じてフィルタ対象列の本数を変化させてもよい。あるいは、特別状態が発生した場合、必ず中間の3列のセル列13B〜13Dをフィルタ対象列として決定してもよい。両端のセル列13A、13Eについてもフィルタ対象列として適宜に選定してよい。
フィルタ対象列が決定されると制御ユニット20はステップS12に進み、フィルタ対象列として決定されたセル列13の上端にフィルタ30を表示させる。続くステップS13にて、制御ユニット20は各リール15のスピン制御を指定する。この場合、フィルタ対象列上のリール15に対してフィルタリングスピン制御(図13)が指定され、それ以外のリール15に対して通常スピン制御(図7)が指定される。次のステップS14において、制御ユニット20はスピン制御を実行する。この場合、フィルタ対象列のリール15については図13のフィルタリングスピン制御が、その他のリール15については図7の通常スピン制御が実行される。ステップS13のスピン制御によって各リール15がスピンを開始し、その後、所定のストップ位置にて各リール15が停止する。スピン制御が終わると、制御ユニット20はステップS15に進んで入賞判定を実行し、続くステップS16にて入賞判定の結果に応じた払い出し処理を実行する。ステップS15の入賞判定及びステップS16の払い出し処理は、図6のステップS3及びステップS4の処理と同様である。ステップS16の払い出し処理が終わると、制御ユニット20は今回の特別ゲーム処理を終了する。
図13及び図14は特別ゲーム処理のステップS13で実行されるフィルタリングスピン制御ルーチンを示している。なお、当該ルーチンはリール15毎に独立して実行される処理である。したがって、図12の特別ゲーム処理におけるサブルーチンとして図13及び図14の制御ルーチンが実行される場合には、第1リール15Aから第5リール15Eのうち、フィルタ対象列のセル列13に対応するリール15のそれぞれに対して図13のフィルタリングスピン制御ルーチンが個別に実行される。フィルタリングスピン制御ルーチンにおいて、制御ユニット20はまずステップS111でリール15のストップ位置を抽選する。ストップ位置の抽選は、上述した通り、リール15のどの位置のシンボル16をセル12に出現させるべきかを定める処理である。例えば、図15に示された展開状態のリール15上にて太線で特定されているように、リール15上の適宜の範囲とセル列13とが対応付けられるようにストップ位置が定められる。なお、図15は、五つのセル12を連ねたセル列13がフィルタ対象列として設定されている例である。
図13に戻って、ストップ位置が決定されると制御ユニット20はステップS112に進み、ストップ位置の先方に配置されている所定数の通過シンボル16(ピクチャシンボル16b及びワイルドシンボル16c)を検出する。所定数は、ストップ位置が設定されるセル12の下方にあるセル12の個数に等しい。この場合、セル列13の中央のセル12にストップ位置が設定されるため、中央のセル12の下にあるセル12の数は2であり、それゆえにステップS112では2つの通過シンボル16が検出される。続くステップS113にて、制御ユニット20は仮ストップ位置を決定する。図15の例において、これらの処理は次の通り説明される。
図15の展開状態のリール15において、セル列13に出現させるべきシンボル16の範囲(ストップ範囲)を太線で示し、そのストップ範囲の中央のシンボル16の位置をストップ位置として示す。このストップ位置はステップS111における抽選にて決定される。ストップ位置が決定された後は、そのストップ位置の下方にある所定数の通過シンボル16が検出される(ステップS112)。図示の例においては、二つの通過シンボル16を検出することができる。次に、図15に破線で例示されたように、仮ストップ範囲が、検出された2つの通過シンボル16がその範囲に含まれるように、かつ、その仮ストップ範囲内において、検出された二つの通過シンボル16の下方に不通過シンボル16が存在しないようにして、決定される。その後、仮ストップ範囲の中央にあるシンボル16が仮ストップ位置として決定される(ステップS113)。ストップ位置とともに仮ストップ位置を決定する理由は次の通りである。
ストップ位置が中央のセル12に一致する状態でリール15が停止するならば、そのシンボル16はブランク15aを補充するために下方に移動することがある。ブランク15aが補充された後、中央のセル12にストップ位置のシンボル16を最終的に停止させるためには、ストップ位置のシンボル16よりもスピン方向の前方に配置された二つの通過シンボル16がブランク15aの補充を開始する時点でセル列13に出現している状態でリール15が停止する必要がある。したがって、仮ストップ位置が規定され、リール15はその仮ストップ位置にて暫定的に停止する。
図15の例において、ストップ位置から下に向かって2番目にある通過シンボル16はチップを表現したピクチャシンボル16bである。ストップ位置からこのピクチャシンボル16bまで、4つのカードシンボル16aが存在する。したがって、これらのカードシンボル16aがブランク15aに置き換えられ、リール15を仮ストップ位置にて停止させた後に、これらのブランク15aが通過シンボル16にて補充されたならば、ストップ位置のワイルドシンボル16cは、最終的には中央のセル12に出現する。なお、少なくとも一つの不通過シンボル16が2番目の通過シンボル16とストップ位置から3番目の通過シンボル16との間に存在するならば、仮ストップ位置は、その2番目と3番目の通過シンボル16の間の存在する不通過シンボル16の個数の範囲内でスピン方向にシフトされてもよい。
図13に戻って説明を続ける。仮ストップ位置が決定されると、制御ユニット20はステップS114に進み、リール15のスピンを開始させる。この場合、前回リール15が停止した位置からスピンが開始される。続くステップS115にて、制御ユニット20はフィルタリングの開始時期が到来したか否かを判別する。フィルタリングの開始時期は、スピンの開始時期と同じであってもよいし、スピンの開示時期よりも遅い時期に設定されてもよい。すなわち、リール15上の仮ストップ範囲にある不通過シンボル16(カードシンボル16a)がフィルタ位置に達するよりも前にフィルタリングが開始される限りにおいて、フィルタリングの開始時期はスピン中の適宜の時期に設定されてよい。フィルタリングの開始時期が到来していなければ、制御ユニット20は、スピンを継続させながらステップS115の判断を繰り返す。一方、ステップS115にてフィルタリング開始時期が到来した場合、制御ユニット20はステップS116に進み、フィルタ30に達したシンボル16、言い換えれば、次にセル列13へ出現しようとするシンボル16の種類をチェックする。このチェックでは、通過シンボル16又は不通過シンボル16のいずれであるかを識別すればよい。続くステップS117にて、制御ユニット20は、チェック結果に基づいて、次のシンボル16が不通過シンボル16であるか否かを判別する。不通過シンボル16でなければ、制御ユニット20はステップS118に進み、そのシンボル16に対してフィルタ30の通過を許可して該シンボル16を上端のセル12に出現させる。一方、ステップS117にて不通過シンボル16と判断された場合、制御ユニット20はステップS119に進み、そのシンボル16に対してフィルタ30の通過を阻止し、当該シンボル16に代えて最上端のセル12にブランク15aを出現させる。
ステップS118又はS119の処理後、制御ユニット20はステップS120に進み、リール15のスピンが仮ストップ位置(図15参照)まで進んだか否かを判別する。仮ストップ位置まで進んでいなければ制御ユニット20はスピンを継続しつつステップS116に戻る。一方、ステップS120で仮ストップ位置まで進んでいると判断された場合、制御ユニット20はステップS121に進み、リール15のスピンを停止させる。なお、ステップS116からS120までの処理が繰り返されている間、仮ストップ位置が近付くに従ってスピンの速度を徐々に低下させてもよい。
ステップS121にてスピンを停止させた後、制御ユニット20は図14のステップS122に進む。ステップS122にて、制御ユニット20は、セル列13の各セル12にブランク15aが存在するか否かを判別する。ブランク15aが存在しなければ制御ユニット20は今回のフィルタリングスピン制御ルーチンを終了する。一方、ブランク15aが存在している場合、制御ユニット20はブランク15aに通過シンボル16を補充するため、ステップS123以下の処理へと進む。まず、制御ユニット20は、ステップS123にてシンボル補充を開始する。その処理では、先にも述べた通り、既にセル列13に出現しているシンボル16がスピン方向(下方)に移動してブランク15aが通過シンボル16で埋められる。ブランク15aの補充に伴って、フィルタ30の手前のシンボル16、つまりセル列13にまだ出現していないリール15上のシンボル16もそれらの並び順に従って下方に順次移動する。続くステップS124にて、制御ユニット20はフィルタ30に達したシンボル16の種類をチェックする。そのチェックは図13のステップS116と同様である。
次のステップS125で、制御ユニット20はチェックしたシンボル16が不通過シンボル16か否かを判別する。不通過シンボル16であった場合、制御ユニット20はステップS126に進んでそのシンボル16を消滅させ、次のシンボル16をチェックすべくステップS124へと戻る。この場合、シンボル16を消滅させるだけで、ブランク15aを出現させることはない。一方、ステップS125で不通過シンボル16ではないと判断した場合、制御ユニット20はステップS127に進む。ステップS127にて、制御ユニット20はシンボル16に対してフィルタ30の通過を許可し、該シンボル16をセル列13上のブランク15aまで移動させる。
以上の処理が行なわれることによってシンボル16がブランク15aに補充される様子を図15に示す。その例は同図に展開状態で示されたリール15と対応している。すなわち、図15では、コインが表現されたピクチャシンボル16bが仮ストップ位置に設定され、そのピクチャシンボル16bが中央のセル12に達した位置でリール15のスピンは暫定的に停止する。しかし、中央のセル12の下側には1個のブランク15aが、上側には2個のブランク15aが存在している。このため、まず中央のセル12のピクチャシンボル16bが一つ下に移動してブランク15aが補充される。一方、中央のセル12よりも上方には、「10」及び「Q」のカードシンボル16aに代る二つのブランク15aが存在し、フィルタ30の手前には「9」のカードシンボル16aが存在し、その上にはワイルドシンボル16cが存在する。したがって、一つ下のセル12に移動したコインのピクチャシンボル16bの一つ上のセル12には、ワイルドシンボル16cが移動する。
図14に戻って、ステップS127でブランク15aへのシンボル16の補充を行なった後、制御ユニット20はステップS128へ進む。ステップS128にて、制御ユニット20は、セル列13に未だブランク15aが残っているか否かを判別する。残っている場合、制御ユニット20は、そのブランク15aにシンボル16を補充すべくステップS124へと戻る。一方、ステップS128でブランク15aが存在しないと判断した場合、制御ユニット20はステップS129へ進み、シンボル16の移動による補充を終了する。そして、制御ユニット20は今回のフィルタリングスピン制御ルーチンを終了し、元の処理(図12の特別ゲーム処理)に戻る。以上のようにして全てのブランク15aが補充された結果として、図15の右端に示すようにセル列13の全てのセル12がピクチャシンボル16b又はワイルドシンボル16cにて埋められる。元のリール15のシンボル16と、セル列13のセル12に最終的に出現したシンボル16との対応関係は、図15に矢印で示した通りである。
フィルタ対象列のリール15に対してフィルタリングスピン制御が、それ以外のリール15に対して通常スピン制御がそれぞれ実行されることにより、シンボル表示領域11の全てのセル12に最終的に出現すべきシンボル16が定まる。その後、特別ゲーム処理のステップS15へと処理が進められ、入賞判定と払い出し処理とが順次実行される。以上により、図8、図10及び図11に例示したようにシンボル16の移動が制御され、最終的には、第2から第4セル列13B〜13Dの各セル12がピクチャシンボル16b又はワイルドシンボル16cにて埋められた状態でシンボル16の移動が停止する。これにより、高配当の入賞パターンが形成される確率が高まる。リール15がスピンを開始し、シンボル16が最終的に停止するまでの過程で、シンボル表示領域11のセル12に出現するピクチャシンボル16b及びワイルドシンボル16cの個数が徐々に増加する。したがって、一回の遊技機会の範囲内で、プレイヤの高配当の獲得に対する期待感を高めることができる。その作用効果は、二回以上の遊技機会を同一プレイヤに連続して与える場合に限定されることなく、単一の遊技機会でも発揮される。
以上の形態においては、制御ユニット20が、図6のステップS2又は図12のステップS14を実行することによりシンボル移動制御手段として機能し、図6のステップS3又は図12のステップS15を実行することにより入賞判定手段として機能し、図6のステップS4又は図12のステップS16を実行することにより配当発生手段として機能する。さらに、制御ユニット20は、図13のステップS116及び図14のステップS124を実行することによりシンボル検査手段として機能し、図13のステップS117〜S120、並びに、図14のステップS122、S123、S125〜S129を実行することにより特定シンボル制御手段として機能する。また、図14のステップS122、S123、S125〜S129が補充処理に相当する。さらに、カードシンボル16aがフィルタ30にて通過を阻止されてブランク15aに置換され、リール停止時に出現しているブランク15aにカードシンボル16a以外のシンボル16が補充されることにより、特定シンボルのシンボル表示領域11における表示に関して、シンボル16の並び順に従って生じるべき変化とは異なる特定の変化がもたらされる。
上記の形態においては、カードシンボル16aが特定シンボルとして設定されている。カードシンボル16aは、入賞条件成立時における配当が相対的に低い種類のシンボルである。特定シンボルはカードシンボル16aに限らず、入賞条件を満たしたときの配当が相対的に低い種類、又は入賞条件が満たされる確率が相対的に低い種類のシンボルから適宜に選択してよい。例えば、特に配当が少ない一部のカードシンボル16aを特定シンボルとして設定し、あるいは、個数が少なくて入賞パターンが成立する確率が低い一部のシンボル16のみを特定シンボルとしてもよい。このように特定シンボルを設定すれば、高配当が得られる可能性、あるいは、入賞パターンが形成されて配当が発生する可能性を高め、それによりプレイヤの期待感を昂揚させることができる。ただし、第1の形態において、入賞条件を満たしたときの配当が相対的に高い種類、又は入賞条件が満たされる確率が相対的に高い種類のシンボル16、すなわち、ピクチャシンボル16bの少なくとも一部、あるいはワイルドシンボル16cを特定シンボルとして設定することにより、プレイヤの配当獲得に対する期待感を敢えて低下させるような操作を行ってもよい。上記の形態におけるリール15のストップ位置、あるいはスタート位置の決定手法は一例であり、それらは適宜に変更してよい。
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態に係るゲーム機を説明する。そのゲーム機は、第1の形態に係るゲーム機1に対してフィルタリングの内容を変更したものである。したがって、以下では、第1の形態に対する相違点を中心に説明し、第1の形態と共通する構成要素には同一の参照符号を使用してそれらの説明は省略する。
図16〜図18は、第2の形態における特別ゲーム処理時のゲーム画面10を示している。第2の形態では、適宜のセル列13(図示例では全てのセル列13A〜13E)の下端にフィルタ30がそれぞれ表示されている。それらのフィルタ30は、第1の形態と同様に、それが表示されたセル列13に対してフィルタリングが適用されることをプレイヤに識別させるために表示される。フィルタリングは、第1の形態のそれと同様に一部のシンボル16の通過を不可能とする一方で、他のシンボル16の通過は可能とするものであるが、本形態では不通過シンボル16と通過シンボル16との区別が第1の形態のそれとは異なっている。第2の形態では、ワイルドシンボル16cが不通過シンボル16とされ、それ以外のカードシンボル16a及びピクチャシンボル16bは通過シンボル16とされている。不通過シンボル16であるワイルドシンボル16cは、フィルタ30上に積み重ねられるようにしてセル列13上にストックされる。言い換えれば、ワイルドシンボル16cは一旦フィルタ対象列に出現すると、その後はシンボル表示領域11から消滅することなく、フィルタ30上に残留する。
図16及び図17において第3リール15Cを例に説明する。まず、図16に示すように、ワイルドシンボル16cがセル列13C上に出現し、これが図17に示すようにフィルタ30に達すると不通過シンボル16とされ、その位置にワイルドシンボル16cがストックされる。次にワイルドシンボル16cがセル列13Cに出現すると、そのワイルドシンボル16cは、既にストックされているワイルドシンボル16cの一つ上に積み重なるようにしてストックされる。こうした処理が、フィルタリングの対象となるべきセル列(以下、本形態でもフィルタ対象列という。)13にて繰り返されることにより、図18に示すように、セル列13上に複数のワイルドシンボル16cが徐々に重ねられていく。このように複数のワイルドシンボル16cがセル列13にストックされることにより、それらのワイルドシンボル16cを利用して入賞パターンが形成され易くなる。したがって、配当獲得に関するプレイヤの期待感を高めることができる。
図19は、制御ユニット20が図16〜図18に例示したフィルタリングを実現するために実行するフィルタリングスピン制御ルーチンを示している。このルーチンは、第1の形態におけるフィルタリングスピン制御ルーチン(図13及び図14)に代えて実行される。なお、図19のルーチンは、リール15毎に独立して実行される処理である。したがって、図12の特別ゲーム処理におけるサブルーチンとして図19の制御ルーチンが実行される場合には、第1リール15Aから第5リール15Eのうち、フィルタ対象列のリール15のそれぞれに対して図19のフィルタリングスピン制御ルーチンが個別に実行される。全てのセル列13がフィルタ対象列とされた場合には、全てのリール15に対して図19のルーチンが個別に実行される。
図19のフィルタリングスピン制御ルーチンを開始すると、制御ユニット20はまずステップS201でリール15のストップ位置を抽選する。ストップ位置の抽選は図13のステップS111と同様である。ストップ位置が決定されると制御ユニット20はステップS202に進み、ワイルドシンボル16cのストック数を決定する。ストック数とは、セル列13上に残留させるべきワイルドシンボル16cの個数である。ストック数は、フィルタリングが適用されるべきセル列13のセル数の範囲内で決定される。ストック数の決定には乱数等を用いてよい。次のステップS203において、制御ユニット20はリール15のフィルタリング開始位置を決定する。ここまでの処理を図20の例で説明すれば次の通りである。
図20の展開状態のリール15において、セル列13に出現させるべきシンボル16の範囲(ストップ範囲)を太線で示し、そのストップ範囲の中央のシンボル16の位置をストップ位置として示す。また、ワイルドシンボル16cのストック数が「2」に決定されたものとする。リール15上のストップ範囲の下端から、リール15をスピン方向(矢印SPで示す方向。)と逆方向に辿って、その下端からストック数に相当するシンボル数(この例では2)離れた位置にあるシンボル16を計数基準位置とする。その計数基準位置からリール15をスピン方向に辿って、2個目(ストック数相当)のワイルドシンボル16cが検索される。そして、その2個目のワイルドシンボル16cと、3個目(ストック数2に1を加算した値に相当)のワイルドシンボル16cとの間のいずれかの位置にフィルタリング開始位置が決定される(ステップS203)。2個目のワイルドシンボル16cと3個目のワイルドシンボル16cとの間の位置からフィルタリングを開始すれば、リール15がストップ位置で停止するまでの間に、ストック数である2個のワイルドシンボル16cがフィルタリング対象となってセル列13にストックされる。
図19に戻って説明を続ける。フィルタリング開始位置が決定されると、制御ユニット20はステップS204に進み、リール15のスピンを開始させる。この場合、前回リール15が停止した位置からスピンが開始される。スピン開始後、制御ユニット20はステップS205に進み、リール15のスピンがフィルタリング開始位置まで進んだか否かを判別する。進んでいなければ、制御ユニット20はスピンを継続させつつステップS205の判断を繰り返す。一方、スピンがフィルタリング開始位置まで進んでいれば、制御ユニット20はステップS206に進む。フィルタ30は、ステップS205にて肯定的な判断がなされた後に表示されてもよい。ステップS206において、制御ユニット20は、フィルタ30によるチェック位置(フィルタ位置)に達したシンボル16、言い換えれば、次にセル列13から消えようとするシンボル16の種類をチェックする。このチェックでは、シンボル16がワイルドシンボル16cであるか否かを識別すればよい。
続くステップS207にて、チェック結果が不通過シンボル16、すなわちワイルドシンボル16cであったか否かを判別する。ワイルドシンボル16cの場合、制御ユニット20はステップS208に進み、そのワイルドシンボル16cに対してフィルタ30の通過を阻止して該ワイルドシンボル16cをセル列13上にストックさせる。続くステップS209にて、制御ユニット20は、セル列13上のチェック位置(フィルタ位置)を一つ上のセル12、つまり、シンボル16の移動方向と反対側に一セル遡った位置に移動させる。その理由は、一つのワイルドシンボル16cがセル列13にストックされると、次はそのワイルドシンボル16cの一つ上のセル12にてシンボル16の種類を判別する必要があるためである。したがって、ステップS207が肯定される毎に、チェック位置を一つ上のセル12に変更する。ただし、既に一番上のセル12がチェック位置になっている場合には、それ以上の変更はしない。一方、ステップS207にて通過シンボル16、つまりカードシンボル16a又はピクチャシンボル16bと判断された場合、制御ユニット20はステップS210に進み、そのシンボル16に対してフィルタ30の通過を許容し、当該シンボル16をセル列13から消滅させる。なお、既にフィルタ30上に一つ以上のワイルドシンボル16cが残留している場合、リール15のスピンは、ワイルドシンボル16cが残留しているセル12以外のセル12にてシンボル16が移動するように継続される。残留中のワイルドシンボル16cの位置では、通過シンボル16がそのワイルドシンボル16cに隠されるようにして下方に移動する。
ステップS209又はS210の処理後、制御ユニット20はステップS211に進み、リール15のスピンがストップ位置(図20参照)まで進んだか否かを判別する。ストップ位置まで進んでいなければ制御ユニット20はスピンを継続しつつステップS206に戻る。一方、ステップS211でストップ位置まで進んでいると判断された場合、制御ユニット20はステップS212に進み、リール15のスピンを停止させる。なお、ステップS206からS211までの処理が繰り返されている間、ストップ位置が近付くに従ってスピンの速度を徐々に低下させてもよい。ステップS212にてスピンを停止させた後、制御ユニット20は今回のフィルタリングスピン制御ルーチンを終了し、元の処理(図12の特別ゲーム処理)に戻る。元のリール15のシンボル16と、セル列13の各セル12に最終的に出現したシンボル16との対応関係は、図20に矢印で示した通りである。図20において中央のセル12にもワイルドシンボル16cが出現しているが、これはストップ位置のシンボル16がそのまま出現しているものである。
フィルタ対象列のリール15に対してフィルタリングスピン制御が実行され、かつ、フィルタ対象列以外のセル列13が存在する場合にはそのセル列13のリール15に対して通常スピン制御が実行されることにより、シンボル表示領域11の全てのセル12に最終的に出現すべきシンボル16が定まる。その後、特別ゲーム処理(図12)のステップS15へと処理が進められ、入賞判定と払い出し処理とが順次実行される。以上により、図16〜図18に例示した如く、シンボル表示領域11におけるワイルドシンボル16cの個数が徐々に増加し、最終的には、フィルタ対象列には複数のワイルドシンボル16cが積み重ねられた状態でリール15のスピンが停止する可能性が高まる。これにより入賞パターンが形成される確率が高まる。リール15がスピンを開始し、シンボル16が最終的に停止するまでの過程で、シンボル表示領域11にストックされるワイルドシンボル16cの個数が徐々に増加する。したがって、一回の遊技機会の範囲内で、プレイヤの配当獲得に関する期待感を高めることができる。その作用効果は、二回以上の遊技機会を同一プレイヤに連続して与える場合に限定されることなく、単一の遊技機会でも発揮される。
以上の形態においては、制御ユニット20が、図6のステップS2又は図12のステップS14を実行することによりシンボル移動制御手段として機能し、図6のステップS3又は図12のステップS15を実行することにより入賞判定手段として機能し、図6のステップS4又は図12のステップS16を実行することにより配当発生手段として機能する。さらに、制御ユニット20は、図19のステップS206を実行することによりシンボル検査手段として機能し、図19のステップS207、S208、S210〜S212を実行することにより特定シンボル制御手段として機能し、図19のステップS209を実行することによりフィルタ位置制御手段として機能する。さらに、ワイルドシンボル16cがチェック位置にて通過を阻止されてセル列13に残留し、そのワイルドシンボル16cが残留しているセル12以外のセル12にてシンボル16が継続して移動することにより、特定シンボルのシンボル表示領域11における表示に関して、シンボル16の並び順に従って生じるべき変化とは異なる特定の変化がもたらされる。
上記の形態においては、ワイルドシンボル16cが特定シンボルとして設定されている。ワイルドシンボル16cは、入賞条件を成立させる確率が相対的に高い種類のシンボルである。特定シンボルはワイルドシンボル16cに限らず、入賞条件を満たしたときの配当が相対的に高い種類、又は入賞条件が満たされる確率が相対的に高い種類のシンボルから適宜に選択してよい。例えば、ワイルドシンボル16cに加えて、又は代えて、ピクチャシンボル16bの少なくとも一部を特定シンボルとして設定し、あるいは、個数が多くて入賞パターンが成立する確率が高い一部のシンボル16のみを特定シンボルとしてもよい。このように特定シンボルを設定すれば、高配当が得られる可能性、あるいは、入賞パターンが形成されて配当が発生する可能性を高め、それによりプレイヤの期待感を昂揚させることができる。ただし、第2の形態において、入賞条件を満たしたときの配当が相対的に低い種類、又は入賞条件が満たされる確率が相対的に低い種類のシンボル16、すなわち、カードシンボル16aの少なくとも一部、あるいは個数が相対的に少ない一部のシンボル16を特定シンボルとして設定することにより、プレイヤの配当獲得に対する期待感を敢えて低下させるような操作を行ってもよい。上記の形態におけるリール15のストップ位置、あるいはフィルタリング開始位置の決定手法は一例であり、それらは適宜に変更してよい。
上記の形態において、フィルタリング開始当初のフィルタ位置がセル列13の下端、つまりセル列13のシンボル移動方向における端部に設定されている。しかしながら、フィルタリング開始時、言い換えれば、特定シンボル(不通過シンボル)が最初に残留する時点のフィルタ位置がセル列13の上端から移動方向に少なくとも一セル離れた位置に設定されていれば、最低でも1個の特定シンボルをシンボル表示領域上に残留させることが可能である。複数の特定シンボルを一列に連ねた状態でストックするためには、フィルタリングスピン開始当初のフィルタ位置がセル列の上端から移動方向に二つのセル以上離れた位置に設定されていればよい。第2の形態において、通過シンボルがフィルタ30を通過している間はフィルタ位置が固定され、特定シンボルがストックされる毎にフィルタ位置が一つ上に変更される。しかしながら、フィルタ位置は、通過シンボルがフィルタ30を通過している間において、1以上のセルだけ上方又は下方に移動してもよい。この場合、フィルタ30(フィルタ標識)もフィルタ位置の移動に同期して上方又は下方に移動してもよい。フィルタ30はフィルタリングが行われていない時にも表示されてもよい。例えば、フィルタリングが禁じられているとしても、最初はセル列上の適当な位置にフィルタ30が表示され、その後、フィルタ30が上方又は下方に移動してセル列の上端又は下端から消え去ってもよい。
(第3の形態)
次に、本発明の第3の形態に係るゲーム機を説明する。そのゲーム機は、第2の形態に係るゲーム機1に対してフィルタリングの内容を変更したものである。したがって、以下では、第2の形態に対する相違点を中心に説明し、第2の形態と共通する構成要素(第1の形態との共通部分も含む。)には同一の参照符号を使用してそれらの説明は省略する。
図21〜図25は、第3の形態における特別ゲーム処理時のゲーム画面10を示している。第3の形態では、第2リール15B〜第4リール15Dに対応する三つのセル列13B〜13Dから、少なくとも二つのセル列13がフィルタリングの対象となるべきセル列(フィルタ対象列)13として設定される。フィルタリングは、第2の形態のそれと同様に、ワイルドシンボル16cを不通過シンボル16とし、それ以外のカードシンボル16a及びピクチャシンボル16bは通過シンボル16として、シンボル16の通過又は不通過を制御する処理である。フィルタ30は、それらのフィルタ対象列の下方に一つのみが表示される。そのフィルタ30は、各フィルタ対象列に出現したワイルドシンボル16cの通過を阻止するように、図中に矢印A、Bで示したごとく、ゲーム画面10の左右方向へ移動する。
例えば、図21では第3リール15Cのワイルドシンボル16cがセル列13Cに出現している。そのため、図22に示すように、フィルタ30はセル列13Cの下方に移動する。これにより、フィルタ30上にリール15Cのワイルドシンボル16cがストックされる。次に、第4リール15Dのワイルドシンボル16cがセル列13Dに出現している。したがって、図23に示すように、フィルタ30はセル列13Dに向かって移動する。このとき、既にフィルタ30上にストックされているワイルドシンボル16cもフィルタ30と一体に移動する。セル列13Dに出現したワイルドシンボル16cは、そのフィルタ30上にストックされたワイルドシンボル16cの一つ上に新たにストックされる。
このようにして、フィルタ対象列にワイルドシンボル16cが出現する度に、フィルタ30がそのフィルタ対象列に移動し、フィルタ30上にワイルドシンボル16cがフィルタ対象列上への出現順に従って順次積み重ねられる。フィルタ対象列のリール15B〜15Dのスピンが停止すると、フィルタ30が最終的に配置されるべき一つのフィルタ対象列が抽選される。抽選時には、フィルタ30がワイルドシンボル16cを伴ってセル列13B〜13Dの間を行き来するアニメーションが表示される。セル列間を移動するフィルタ30は、最終的には、抽選されたフィルタ対象列にて停止する。図25では第2リール15Bが配置されたセル列13Bにてフィルタ30が停止する。そのフィルタ30上には五つのワイルドシンボル16cがストックされている。ただし、ストック数は一例であり、5未満の場合もある。フィルタ30が最終的に停止したセル列13をフィルタ停止列と呼ぶ。フィルタ停止列では、各セル12に出現しているシンボル16がフィルタ30上にストックされているワイルドシンボル16cによって置換される。すなわち、フィルタ停止列のリール15については、セル列13に出現したシンボル16の少なくとも一部がフィルタ30上にストックされたワイルドシンボル16cにて置換される。一方、フィルタ停止列とされなかったフィルタ対象列では、リール15上のシンボル16がその並び順とストップ位置とにしたがってセル12に出現する。その場合、結果的にリール15上のワイルドシンボル16cがセル12に出現することもある。このように複数のワイルドシンボル16cが特定のセル列13にストックされることにより、それらのワイルドシンボル16cを利用して、入賞判定ラインL1上にて入賞パターンが形成され易くなる。したがって、配当獲得に関するプレイヤの期待感を高めることができる。
図26は、制御ユニット20が図21〜図25に例示したフィルタリングを実現するために実行するフィルタリングスピン制御ルーチンを示している。このルーチンは、第2の形態におけるフィルタリングスピン制御ルーチン(図19)に代えて実行される。なお、図26のルーチンは、フィルタ対象列として設定されたセル列13に対応する全てのリール15を対象に一括して実行される処理である。
図26のフィルタリングスピン制御ルーチンを開始すると、制御ユニット20はまずステップS301でフィルタ対象列に配置された全てのリール15のストップ位置を抽選する。ストップ位置の抽選は図13のステップS111と同様である。ストップ位置の一例を図27に示す。
図27は、3本のフィルタ対象列の配置されたリール15を展開状態でそれぞれ示している。それらのリール15において、各セル列13に出現させるべきシンボル16の範囲(ストップ範囲)を太線で示し、そのストップ範囲の中央のシンボル16の位置をストップ位置として示す。
図26に戻って説明を続ける。スタート位置が決定されると、制御ユニット20はステップS302に進み、リール15のスピンを開始させる。この場合、前回リール15が停止した位置からスピンが開始される。続くステップS303にて、制御ユニット20はフィルタリングの開始時期が到来したか否かを判別する。フィルタリングの開始時期は、スピンの開始時期と同じであってもよいし、スピンの開示時期よりも遅い時期に設定されてもよい。すなわち、フィルタリングの開始時期はスピン中の適宜の時期に設定されてよい。フィルタリングの開始時期が到来していなければ、制御ユニット20は、スピンを継続させながらステップS303の判断を繰り返す。一方、ステップS303にてフィルタリング開始時期が到来した場合、制御ユニット20はステップS304に進む。フィルタ30は、ステップS304にて肯定的な判断がなされた後に表示されてもよい。ステップS204において、制御ユニット20は、フィルタ30上にストックされたワイルドシンボル16cの個数(ストック数)が5に達しているか否かを判別する。5に達していない場合、制御ユニット20はステップS305に進み、フィルタ30によるチェック位置(フィルタ位置)に達したシンボル16、言い換えれば、次にセル列13から消えようとするシンボル16の種類をチェックする。このチェックでは、シンボル16がワイルドシンボル16cであるか否かを識別すればよい。ただし、そのチェックは、全てのフィルタ対象列について行われる。
続くステップS306にて、チェック結果が不通過シンボル16、すなわちワイルドシンボル16cであったか否かを判別する。この判断は、複数のフィルタ対象列のいずれか一つにワイルドシンボル16cが存在すれば肯定される。そして、ワイルドシンボル16cが存在する場合、制御ユニット20はステップS307に進み、そのワイルドシンボル16cが存在するフィルタ対象列にフィルタ30及びそのストックされたワイルドシンボル16cを移動させる。続くステップS308にて、制御ユニット20は、フィルタ対象列から消えようとするワイルドシンボル16cに対してフィルタ30の通過を阻止して該ワイルドシンボル16cをフィルタ30、又は既にストックされたワイルドシンボル16cの上にストックさせる。次のステップS309にて、制御ユニット20は、セル列13上のチェック位置(フィルタ位置)を一つ上のセル12に移動させる。つまり、一つのワイルドシンボル16cがセル列13にストックされると、次はそのワイルドシンボル16cの一つ上のセル12にてシンボル16の種類を判別する必要がある。そこで、ステップS306が肯定される毎に、チェック位置を一つ上のセル12に変更する。
一方、ステップS306が否定された場合、つまり全てのフィルタ対象列で次のシンボル16が通過シンボル16(カードシンボル16a又はピクチャシンボル16b)と判断された場合、制御ユニット20はステップS310に進み、そのシンボル16に対してフィルタ30の通過を許容し、当該シンボル16をセル列13から消滅させる。ステップS304にてストック数が5に達していると判断された場合、制御ユニット20は、ステップS305からステップS309の処理を行うことなく、ステップS310に進む。5個を超えるワイルドシンボル16cはストック不可能である一方、フィルタ停止列以外のフィルタ対象列では、フィルタ30のチェック位置よりも下方のセル12にワイルドシンボル16cが最終的に出現する可能性がある。そこで、ステップS304が肯定された場合、それ以降のワイルドシンボル16cのストックが禁止される。
ステップS309又はS310の処理後、制御ユニット20はステップS311に進み、各リール15のスピンがストップ位置(図27参照)まで進んだか否かを判別する。ストップ位置まで進んでいなければ制御ユニット20はスピンを継続しつつステップS304に戻る。一方、ステップS311でストップ位置まで進んでいると判断された場合、制御ユニット20はステップS312に進み、リール15のスピンを停止させる。なお、ステップS304からS311までの処理が繰り返されている間、ストップ位置が近付くに従ってスピンの速度を徐々に低下させてもよい。
ステップS312にてスピンを停止させた後、制御ユニット20はステップS313に進み、フィルタ停止列を抽選する。その抽選は乱数等を用いてよい。その後、制御ユニット20はステップS314に進み、抽選されたフィルタ停止列へとフィルタ30及びその上にストックされているワイルドシンボル16cを移動させて停止させる。ステップS314の処理後、制御ユニット20は今回のフィルタリングスピン制御ルーチンを終了し、元の処理(図12の特別ゲーム処理)に戻る。
フィルタ対象列のリール15に対してフィルタリングスピン制御が、それ以外のリール15に対して通常スピン制御がそれぞれ実行されることにより、シンボル表示領域11の全てのセル12に最終的に出現すべきシンボル16が定まる。その後、特別ゲーム処理のステップS15へと処理が進められ、入賞判定と払い出し処理とが順次実行される。以上により、図21〜図25に例示した如く、フィルタ30上にストックされるワイルドシンボル16cの個数が徐々に増加し、最終的には、いずれか一つのフィルタ対象列に複数のワイルドシンボル16cが積み重ねられた状態でリール15のスピンが停止する。これにより入賞パターンが形成される確率が高まる。リール15がスピンを開始し、シンボル16が最終的に停止するまでの過程で、シンボル表示領域11にストックされるワイルドシンボル16cの個数が徐々に増加する。したがって、一回の遊技機会の範囲内で、プレイヤの配当獲得に関する期待感を高めることができる。その作用効果は、二回以上の遊技機会を同一プレイヤに連続して与える場合に限定されることなく、単一の遊技機会でも発揮される。
以上の形態においては、制御ユニット20が、図6のステップS2又は図12のステップS14を実行することによりシンボル移動制御手段として機能し、図6のステップS3又は図12のステップS15を実行することにより入賞判定手段として機能し、図6のステップS4又は図12のステップS16を実行することにより配当発生手段として機能する。さらに、制御ユニット20は、図26のステップS305を実行することによりシンボル検査手段として機能し、図26のステップS306〜S308、S310〜S314を実行することにより特定シンボル制御手段として機能し、図26のステップS307及びS309を実行することによりフィルタ位置制御手段として機能する。さらに、ワイルドシンボル16cがチェック位置にて通過を阻止されてセル列13に残留し、そのワイルドシンボル16cが残留しているセル12以外のセル12にてシンボル16が継続して移動し、さらに、ストックされたワイルドシンボル16cがいずれか一つのセル列13上に移動して停止することにより、特定シンボルのシンボル表示領域11における表示に関して、シンボル16の並び順に従って生じるべき変化とは異なる特定の変化がもたらされる。
上記の形態においては、ワイルドシンボル16cが特定シンボルとして設定されているが、その選択は第2の形態と同様の変形が可能である。フィルタリングスピン開始当初のフィルタ位置については、第2の形態でも言及したように、セル列の上端から移動方向に二つのセル以上離れた位置に設定されていればよい。第3の形態におけるフィルタ30の移動に関しては、全てのフィルタ対象列に出現する全ての不通過シンボル16(ワイルドシンボル16c)をストックするように制御がなされている。しかしながら、フィルタ30の移動は、フィルタ対象列に出現した不通過シンボル16の幾つかをストックし損ねるように制御されてもよい。例えば、フィルタ30の移動は、左右方向にランダムに移動するように、あるいは、所定の速度(例えば一定速度)で左右方向に往復するように制御されてもよく、それにより、フィルタ30が不通過シンボル16を時々ストックし損ねるものとされてもよい。さらに、フィルタ30は、不通過シンボル16に追従しようとしても、その低速度により時々取り損なうように制御されてもよい。
本発明は上述した第1〜第3の形態に限定されず、さらなる変形、あるいは変更が可能である。例えば、本発明はセル列を上から下にシンボルが移動するゲーム機に限定されず、シンボルが下から上、あるいは左右方向に移動するゲーム機にも適用できる。第1の形態のように特定シンボルのシンボル表示領域への出現を阻止するならば、フィルタ位置を、セル列のシンボル移動方向と反対側における端部に設定すればよい。特定シンボルをシンボル表示領域に残留させる場合には、フィルタ位置が、セル列のシンボルが出現する側の端部よりもシンボル列の移動方向に少なくとも一セル離れた位置に設定されていればよい。さらに、複数の特定シンボルをセル列方向に連ねた状態で残留させる場合には、フィルタ位置が、セル列のシンボルが出現する側の端部よりもシンボル列の移動方向に二つのセル以上離れた位置に設定され、特定シンボルが残留したときにフィルタ位置をシンボル列の移動方向と反対側に一セル遡った位置に更新すればよい。フィルタ標識は図示の形態に限定されず、キャラクタその他の各種の図形、文字、記号等にてフィルタ標識を表現してよい。
本発明は、シンボル列の移動開始時点から停止時点までの全期間に亘って特定の変化を発生させる例に限らない。特定の変化に関しては変形が可能である。例えば、一回の遊技機会の付与によりシンボル列が移動を開始した後、途中で所定の条件が満たされたときに、フィルタ位置における特定シンボルの判定と、その判定に関連付けられた特定の変化とを開始し、あるいは中止するといった変形が可能である。すなわち、フィルタ位置におけるシンボルの判別と特定の変化とが行われる時期は、リールのスピンの全期間と一致してもよいし、スピンの全期間に対する一部の時間範囲に限定されてもよい。
特定シンボルに対する特定の変化は、上記の形態に限らない。例えば、第1の形態において、フィルタ位置に達した特定シンボルを、特定シンボル以外のシンボルに変化させてシンボル表示領域に出現させてもよい。第2又は第3の形態において、フィルタ位置に達した特定シンボルを、特定シンボル以外のシンボルに変化させてセル列上に残留させてもよい。特定の変化を生じさせるセル列の位置及び個数は、予め固定的に設定されてもよいし、遊技機会に応じて抽選その他の手法により適宜に変更されてもよい。リールの構成は、一つのシンボルが一つのセルに停止して出現するタイプに限定されない。リールは、二以上のシンボルが一つのセルに停止して出現するように構成されてもよい。その場合、同一のセルに出現すべきシンボルの一つが不通過シンボルであったとき、これらのシンボルが一体的にブランクに置き換えられ、又はフィルタ上に一体的に残留するようにフィルタリング処理を適用することができる。
本発明のゲーム機は、単一の筐体内にすべての構成要素を収容したいわゆるスタンドアローンタイプのゲーム機に限定されず、ネットワークにて相互に接続されたサーバ装置と端末装置とが協働してゲームを実行するネットワーク型のゲーム機もその範囲に含む。