JP6021119B2 - 筋量低下抑制組成物 - Google Patents

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本願発明は、加齢やがんなどによる悪液質でみられる筋量の低下の抑制に有効な組成物に関する。
加齢や、がんなどによる悪液質になった人では、活力低下以外に筋量自体が低下するサルコペニアという現象がみられる。サルコペニアは、身体機能の低下やQOL(Quality Of Life)を低下させ、死に至ることがある。
世界的な人類の高齢化の中で筋量の減少(サルコペニア)によるQOLの低下は、地球的規模で解決すべき課題であり、筋量の減少の原因であり生命の終末像である悪液質もまた栄養領域、緩和領域の研究におけるホットトピックとなっている。
ここで悪液質とは、疾患に起因し、脂肪の減少の有無にかかわらず、筋量の減少(サルコペニア)を伴う複雑な代謝症候群であり、悪液質の特徴として、体重減少がある現象である。具体的には、12ヶ月以内に、5%の体重が減少したり、BMI値が20kg/m以下に低下することに加え、筋力の減少、倦怠感、食欲不振、除脂肪量の減少、代謝異常、炎症マーカーの増加(CRP>5.0mg/L, IL-6>4.0pg/mL)、貧血(Hb<12g/dL)、低アルブミン(3.2g/dL)などの特徴がみられる。
また、サルコペニアとは、身体機能低下や、QOLの低下、死亡といった不都合な結果のリスクを伴う、進行的・漸進的な骨格筋の筋量と筋力の損失を特徴とする症候群のことである。
上質な緩和医療の提供には悪液質を念頭に置いた栄養管理、早い段階からの栄養サポートが不可欠であり、悪液質の啓発、およびその克服は医療の重要な使命の一つと考えられている。
また、がんによる悪液質では、主徴である筋量の減少(サルコペニア)以外に、脂肪量の減少、エネルギー消費量の増大、インスリン抵抗性、急性期蛋白産生などがみられる。これらの著しい異化亢進をもたらす代謝異常と、食欲不振等によるエネルギー摂取量の減少が密に影響し悪液質を形成している。
これら悪液質・サルコペニアは、慢性疾患の末期に陥る病態であるが、よい治療法が未だ見出されていない。
一方で、スッポンやまむしなどの天然食品を配合した組成物を食することでいわゆる活力を増強させ、様々な病気や症状を克服する試みが古来より行われているものの(特許文献1および2)、加齢やがんなどで悪液質になった人では、食欲自体の低下がよくみられる。このため、従来からある組成物で十分な効果を得ようとした場合、組成物を多量に摂取しなければならず、これらの人々にとっては、食事療法は苦痛を伴うことが多かった。
特開昭57‐110172号公報 特許第2972343号公報
そこで本発明は、サルコペニアでみられるような筋量低下を抑制することができ、同時に活力も増強させることができ、さらには食事療法の際に患者に過度な苦痛を与えることがない筋量低下抑制組成物を提供することを目的とした。
本発明者らが検討した結果、スッポンでは、スッポン全体では少量しか含まれていない特定の部位の成分に活力低下抑制以外に筋量低下抑制にも効果があることを見出した。そして、スッポンの粉末にこの部位をさらに添加することで、患者に過度の負担を掛けずに筋量低下を抑制でき、さらには活力低下も抑制できることを見出した。
ここで「活力」とは、食欲や活動欲などが向上することをいう。
本発明の筋量低下抑制組成物は、スッポンの粉末に、スッポン卵(胎内卵)の粉末と、スッポンの脂肪部から抽出したスッポンオイルとを含有することを特徴とする。
上記組み合わせとすることで、食事療法の際に患者に過度の苦痛を与えることなく活力低下と筋量低下を抑制ずることができる。
本発明の筋量低下抑制組成物では、カキ粉末(タウリン)をさらに含有させることが好ましい。
カキ粉末をさらに含有させることで、活力低下と筋量低下をより抑制させることができ、悪液質に観られる抗酸化力の低下を抑制する効果が期待出来る。
また、本発明の組成物は、加齢や悪液質によるサルコペニアの改善にも十分な効果を発揮することができる。
種々の食品の抗酸化力(Oxy吸着テスト)を表したグラフ。 組成物が摂取者の食欲に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者の活力に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者の体重に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者のBMI値に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者の筋量に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者の握力に与える影響を表したグラフ。 BAP値とd−ROMs値の相関関係を示したグラフ。 がんの各治療段階でのd−ROMs値を示したグラフ。 がんの各治療段階でのBAP値を示したグラフ。 がんの各治療段階での修正BAP値/d−ROMs値の値を示したグラフ。 組成物が摂取者のBAP値に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者のd−ROMs値に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者の修正BAP値/d−ROMs値に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者のアルブミン量に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者のヘモグロビン量に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者のCRP量に与える影響を表したグラフ。 組成物が摂取者の生存率に与える影響を表したグラフ。
本発明の筋量低下抑制組成物は、スッポン粉末にスッポン卵(胎内卵)粉末とスッポンの脂肪部から抽出したスッポンオイルとを含有している。
本発明者らが検討した結果、スッポン全体の中で少量しか採取できない卵の部位に活力低下抑制以外に筋量の低下を抑制する効果があることを見出した。そして、スッポン卵粉末をスッポン粉末に添加し、さらにスッポンオイルは配合させることで組成物を摂取した人に対し、筋量の低下を抑制できるだけでなく、活力低下をも抑制することができ、その上、体重や食欲などの低下を抑制することができ、さらには、がんなどに罹った患者などでみられる抗酸化力の低下や酸化ストレスの上昇、潜在的抗酸化力の低下、血中アルブミン量の低下、ヘモグロビン量の低下、CRP量の上昇を抑制できるなどの効果も有することを見出し、本発明を成すに至った。
スッポン卵粉末の配合量は、例えば、組成物全体に対して乾燥質量で10%以上、さらには30%以上配合させることが好ましい。
また、スッポン粉末は、例えば、組成物全体に対して、乾燥質量で10%以上、さらには15%以上配合させることが好ましい。また、カキ粉末を加えることで、その組成物であるタウリンの効果で抗酸化力、抗酸化能を高め、活力低下を抑制することができる。一方で、スッポン粉末の割合が高まると、その分、スッポン卵や後述するスッポンオイルの配合割合が少なくなる。このため、スッポン粉末は、組成物全体に対し、乾燥質量で30%以下、さらには25%以下とすることが好ましい。
また、スッポンオイルは、例えば、組成物に対し、10質量%以上、さらには30質量%以上配合させることが好ましい。こうすることで、活力低下と筋量低下を、より抑制することができる。一方で、スッポンオイルの配合比が多くなると組成物を摂取する人で胸焼け等をもたらし、継続して組成物を摂取する場合に摂取者に過度の苦痛をもたらし易くなる。このため、組成物全体に対して、スッポンオイルは40%以下、さらには35%以下とすることが好ましい。
ここで、スッポンオイルとは、スッポンの脂肪部から抽出したオイルであり、具体的には、脂肪部を加熱圧縮して得られるオイルのことである。
以下、本発明の組成物およびその効果について説明する。図1はスッポン粉末、スッポン卵、スッポン卵とカキ粉末に含まれる天然タウリンおよび白ワインなどの食品との抗酸化力(Oxy吸着テスト)を示したグラフである。なお、Oxy吸着テストとは、有機液体の抗酸化力分析を行うものであり、次亜塩素酸(HClO)の酸化に対抗する検体サンプルの消去能力を光度計で測定したものである。次亜塩素酸は生体内の白血球が異物を攻撃する時につくりだす最も強力な活性酸素の一つである。次亜塩素酸を用いることによりin vivo で起こるいくつかの状況をin vitroで模擬的に再生することができる。
本発明の組成物にはカキ粉末(天然タウリン)を配合させることで図1に示すように組成物全体としての抗酸化力を高めることができる。カキ粉末にはタウリンが多量に含まれており、これにより、細胞内浸透圧調節、血清脂質代謝変動、心筋の陽性変力作用,血管拡張作用,鎮痛作用,ストレス時のナトリウム(Na)の変化の抑制作用を高めることもできる。カキ粉末を配合させることで疲労度が低減することができる。この場合、カキ粉末は、組成物全体に対し、乾燥量で10質量%以上配合させることが好ましい。一方で、カキ粉末の配合比が多くなり過ぎると、他の含有物の配合割合が低下し、十分な効果が得られない場合がある。このため、カキ粉末の配合比は組成物全体に対し、乾燥質量で35%以下、さらには20%以下とすることが好ましい。
本発明の組成物は、上述のような効能を有しているため、加齢や悪液質で見られるサルコペニアの人の改善に特に有用である。
本実施例では、食欲低下を訴える癌患者(予後6ヶ月未満と宣告された患者)を対象とし、封筒法により以下の4つの群に分けて実験を行った。
1Gは、一般的な食事のみを与えた群である。2Gは、一般的な食事に加え、スッポン粉末300mgを内包したカプセルを1日3回与えた群である。3Gは、一般的な食事に加え、スッポン粉末50mg、スッポン卵粉末100mg、スッポンオイル100mgを内包したカプセルを1日3回与えた群である。4Gは、一般的な食事に加え、スッポン粉末50mg、卵100mg、スッポンオイル100mg、牡蠣粉末50mg(タウリン含有量:5mg 、亜鉛含有量:250ppm、グリコーゲン含有量:38mg)を内包したカプセルを1日3回与えた群である。
サンプル数は、図9〜11については図中に示し、これ以外は、1Gは16名、2Gは17名、3Gは12名、4Gは13名である。
なお、本実験は、(財)国際全人医療研究所倫理委員会の承認により行なった。また、試験食材の提供は,(株)ライフクォリティ研究所より得た。さらに、被験者の個人情報には充分配慮し,ナンバーで扱い,個人名が出ないようにした。そして、被験者には,目的を話し,口頭で充分なインフォームド・コンセントを得た。
本実施例では、スッポン粉末ではスッポン全体を、スッポン卵粉末ではスッポンから摘出した卵(胎内卵)を、それぞれを天日乾燥させたものを粉砕することで得た。かき粉末は、かきを天日乾燥させた後に粉砕させることで得た。また、スッポンオイルは、スッポンから脂肪部を摘出し、これを加熱することで得た。
1.組成物が摂取者の食欲および活力に与える影響
図2は、組成物が摂取者の食欲に与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間後および8週間および16週間摂取した後に、摂取者の摂食状況を以下の5段階に分けてアンケートを行い、その値の平均値を基に変化率を算出した。
0:食事量の0/5を摂取、1:食事量の1/5を摂取、2:食事量の2/5を摂取、
3:食事量の3/5を摂取、4:食事量の4/5を摂取、5:食事量の5/5を摂取
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後の食欲の低下が抑えられていた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、8週間摂取した後では、摂取前よりも食欲の向上がみられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物はサルコペニアの状態にある人で多く見られる食欲の減退を抑制する効果を有している。
図3は組成物が摂取者の活力に与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間後および8週間および16週間摂取した後に、摂取者の活力を以下の5段階に分けて観察した値の平均値を基に変化率を算出して評価した。
0:全く元気がない、1:ほとんど元気がない、2:あまり元気がない、
3:まあ元気がある、4:かなり元気がある、5:多いに元気がある
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後の活力の低下が著しく抑えられていた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、16週間摂取した後では、活力低下が著しく抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物は活力の低下を抑制する効果を有している。
2.組成物が摂取者の体重およびBMIに与える影響
図4は、組成物が摂取者の体重に与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者の体重を測定し、その平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後の体重の低下が著しく抑えられた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、8週間摂取した後では活力低下が著しく抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物はサルコペニアの状態にある人で多く見られる体重の低下を抑制する効果を有している。
図5は、組成物が摂取者のBMIに与える影響を調べたものである。
BMIとは、体重(kg)/[身長(m)]で求められる数値であり、ヒトの肥満度を表す体格指数である。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者のBMI値を算出し、その平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後のBMI値の低下が著しく抑えられた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、8週間摂取した後ではBMI値の低下が著しく抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物は、がん疾患を有し、サルコペニアの状態にある人で多く見られる体重の低下を抑制する効果を有している。
3.組成物が摂取者の筋量および握力に与える影響
図6は、組成物が摂取者の筋量に与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者の筋量を測定し、その平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
筋量の測定はTanita社製 Body Composition Analyzer MC-980Aを使用し、インピーダンス法により測定した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも16週間摂取した後の筋量の低下が抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物は、がん疾患を有し、サルコペニアの状態にある人で多く見られる筋量の低下を抑制する効果を有している。
図7は、組成物が摂取者の握力に与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者の握力を測定し、その平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
筋力の測定は握力計を用いて測定した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも16週間摂取した後の握力の低下が抑えられた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、8週間および16週間摂取した後では握力の低下が著しく抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物は握力の低下を抑制する効果を有している。
4.組成物が摂取者の抗酸化力(BAPテスト)、酸化ストレス(d−ROMsテスト)および潜在的抗酸化力(修正BAP/d−ROMs)に与える影響
BAPとは生体の抗酸化能力を測定するテスト法である。d−ROMsテストとは酸化ストレスを測定するテストである。修正BAP/d−ROMsとは潜在的抗酸化力を測定する指標である(永田勝太郎、長谷川拓也、広門靖正、喜山克彦、大槻千佳:生活習慣病と酸化ストレス防御系, 心身医学48(3):177-183, 2008.)。
BAPテストとd−ROMsテストは、ウイスマー社製のフリーラジカル評価システムを使用して行った。
具体的には、BAPテストは、次のようにして行った。10μlの血漿または血清を採取するために、専用ミクロキュベットで指先から約100μl採血し、90秒遠心分離機にかける。チオシアン酸塩誘導体を含む試薬に三価鉄塩を含む試薬を50μl滴下し、混合し赤く呈色させ、光度計で三価鉄イオン濃度を3秒間で測定する。遠心分離してできた血漿を専用ピペットで10μl採り、三価鉄イオンが呈色している試薬に入れ、混合し、再び光度計に入れる。光度計を37℃に温度管理しておくことで、自動的に5分後の三価鉄イオン濃度を計測することができる。血漿中の抗酸化物質は、三価鉄イオンに電子を与えられると二価鉄イオンに還元し、脱色する。脱色の度合いは検体血漿がもつ還元能力に比例している。そして、血漿を入れる前の色と血漿を入れてから5分後の色との比較で何μモルの三価鉄を還元したかを計算する。
d−ROMsテストは次のようにして行った。指先からキャピラリーで20μlの全血を採血し、pH4.8の酢酸緩衝液に入れ混合する。次に、この緩衝液を呈色液クロモゲン(N,Nジエチルパラフェニレンジアミン)入りキュベットに移す。そして、血液の赤さとクロモゲン反応の赤紫色を区別するために、FREE(Free Radical Elective Evaluator, Wismerll社)内蔵の温度管理された遠心分離器に1分間かけ、血球細胞を分離した後、光度計(波長505nm)に入れ、キネティックモードで5分間計測して測定する。
BAP値とd−ROMs値の間には酸化バランス防御系のfeedback機構が作動するため、一定の相関関係がみられる(図8)。
そして、一般に、がんに罹った患者では、緩和医療期に入ると、高d-ROMs値、低修正BAP/d-ROMs値になる傾向がみられる(図9〜11)。生体では、高d-ROMs値になると、BAP値は上昇してバランスを取ろうとするが、悪液質状態ではそれが不可能になる(修正BAP/d-ROMsの低下で示される)。
なお、図9〜11で表示した斜線部は健常者での範囲を表している。
図9のd-ROMでは、 284.6±17.5 CARR Uの範囲であり、図10のBAPテストでは、 2137.1±226.0μMの範囲である。そして、図11の修正BAP/d−ROMs値は、BAP値/d-ROMs値/7.510で求めた範囲である。
図12は、組成物が摂取者の抗酸化力に与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者でBAPテストを行い、測定結果の平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後の抗酸化力(BAP値)の低下が抑えられた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、8週間摂取した後に抗酸化力の低下が著しく抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物はがんに罹ったで人で多く見られる抗酸化力の低下を抑える効果を有している。
図13は、組成物が摂取者の酸化ストレスに与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者のd−ROMsテストを行い、測定結果の平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後の酸化ストレスの上昇が著しく抑えられ、むしろ低下していた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、8週間摂取した後にさらに酸化ストレスの低下がみられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物はがんに罹ったで人で多く見られるd−ROMs値(酸化ストレス)の上昇を抑える効果を有している。
図14は、組成物が摂取者の潜在的抗酸化能に与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者のBAPテストの値とd−ROMsテストの値との平均値を基に以下の数式により算出した修正BAP/d−ROMs値の変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
修正BAP/d−ROMs値=BAP値/ d-ROMs値/ 7.510
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3Gおよび4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後の潜在的抗酸化能の低下が著しく抑えられた。さらに、カキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、潜在的抗酸化能の低下が抑えられ、8週間摂取した後ではむしろ潜在的抗酸化能の上昇がみられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物は悪液質に罹ったで人で多く見られる修正BAP/d−ROMs値の低下を抑制する効果を有している。
5.組成物が摂取者のアルブミン、ヘモグロビンおよびCRP(C反応性蛋白)に与える影響
これらの試験は、摂取者の血液を採取し、臨床検査室にて一般的な臨床検査機器にて
測定した。
図15は、組成物が摂取者のアルブミン量に与える影響を調べたものである。
がん患者では、一般に栄養不良や炎症に起因する炎症性サイトカインなどの生成により、悪液質に陥り、血液中のアルブミン量が低下する現象がみられる。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者の血液中のアルブミン量を計測し、その平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3G)やさらにカキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後ではアルブミン量の低下が著しく抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物はがん患者で多く見られるアルブミン量の低下を抑制する効果を有している。
図16は、組成物が摂取者のヘモグロビン量に与える影響を調べたものである。
がんの進行や栄養失調の患者では、多くの場合、造血能力が低下し、また出血があり、血中のヘモグロビン量が低下して貧血を起こす。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者の血液中のヘモグロビン量を計測し、その平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3G)やさらにカキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも16週間摂取した後ではヘモグロビン量の低下が著しく抑えられた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物はがんの進行や栄養失調が原因で生じる貧血を抑制する効果を有している。
図17は、組成物が摂取者のCRPに与える影響を調べたものである。
本試験は、組成物の摂取0週間、8週間および16週間摂取した後の摂取者の血液中のCRPを計測し、その平均値を基に変化率を算出して評価した。
変化率は、(後値−0週間目の値)/0週間目の値×100(%)で算出した。
本試験の結果、本発明の組成物を与えた摂取者(3G)やさらにカキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも8週間および16週間摂取した後ではCRP量の上昇が著しく抑えられ、むしろ低下していた。
これらの結果から明らかなように、本発明の組成物はがんの進行などで起こる炎症を抑制する効果を有している。
6.組成物が16週間摂取後の摂取者の生存率に与える影響
図18は、組成物が摂取者の死亡率に与える影響を調べたものである。
本試験は、16週間摂取した後の生存者数と死亡者数とを算出して評価した。
本試験の結果、本発明の組成物にさらにカキ粉末を添加した組成物を与えた摂取者(4G)では、本発明の組成物を与えていない摂取者(1Gおよび2G)よりも生存率が著しく向上していた。
上述のように、本発明の組成物は、食事療法の際に患者に過度の負担を掛けずに筋量の低下を抑制でき、さらには活力低下も抑制できる効果を有している。

Claims (3)

  1. スッポン粉末に、スッポン卵粉末とスッポンの脂肪部から抽出したスッポンオイルとを含有させた筋量低下抑制組成物であって、前記スッポン粉末は前記筋量低下抑制組成物全体に対して乾燥質量で10%〜30%、前記スッポン卵粉末は前記筋量低下抑制組成物全体に対して乾燥質量で10%以上、前記スッポンオイルは前記筋量低下抑制組成物全体に対して10質量%〜40質量%であることを特徴とする筋量低下抑制組成物。
  2. カキ粉末を前記筋量低下抑制組成物全体に対して乾燥質量で10%〜35%含有させることを特徴とする請求項1に記載の筋量低下抑制組成物。
  3. サルコペニアの状態にある人に与えるための請求項1または2のいずれかに記載の筋量低下抑制組成物。
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