以下、図1〜図5を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した一実施形態について説明する。
この鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器ケース1を備えている。この楽器ケース1は、一対の側板2と、この一対の側板2間における下部に設けられた底板3と、この底板3の前端部(図1では左端部)に起立して設けられた前板4と、底板3の後端部(図1では右端部)に起立して設けられた後板5と、この後板5の上部および一対の側板2における後部側の上部に亘って設けられた天板6とを備えている。
これにより、楽器ケース1は、図1および図2に示すように、天板6の前側(図1では左側)が開放されたほぼ箱形状に形成されている。この楽器ケース1の内部には、鍵盤部7が上方に露出する状態で設けられている。この鍵盤部7は、白鍵7aおよび黒鍵7bを備え、これら白鍵7aおよび黒鍵7bが、底板3上に設けられた鍵盤シャーシ8上に上下方向に回転可能に取り付けられた状態で、多数並列に配列された構成になっている。
また、この楽器ケース1の上部には、図1および図2に示すように、鍵盤部7を覆う鍵盤蓋9が蓋開閉装置10によって開閉可能に設けられている。この鍵盤蓋9は、図1に示すように、鍵盤部7の上方に配置されて鍵盤部7を覆って閉じた状態のときに、前下がり(図1では左下がり)に傾斜した状態で配置されるように構成されている。また、この鍵盤蓋9は、図2に示すように、天板6の下側に位置した状態で楽器ケース2内に収納された際に、後下がり(図2では右下がり)に傾斜して配置されるように構成されている。
この鍵盤蓋9を開閉させるための蓋開閉装置10は、図1および図2に示すように、鍵盤蓋9を楽器ケース1の前後方向にガイドするガイド部12を備えている。鍵盤蓋9は、後述するように、前蓋22と後蓋23とに分割された構成になっている。また、ガイド部12は、鍵盤蓋9の前端部つまり前蓋22の前端部をガイドする前側ガイド部13と、鍵盤蓋9の後端部つまり後蓋23の後端部をガイドする後側ガイド部14とを備えている。
この場合、鍵盤蓋9における前蓋22の前端部には、図1および図2に示すように、鍵盤蓋9をスライドさせるための取手部15が取り付けられている。この取手部15の下端部には、前側ガイド部13によってガイドされる前側ガイド軸16が、両側の側板2の内面に向けて突出して設けられている。また、鍵盤蓋9における後蓋23の後端部における両側には、一対の取付片18がそれぞれ取り付けられており、この一対の取付片18には、後側ガイド軸17が回転可能に取り付けられている。
前側ガイド部13は、図1および図2に示すように、鍵盤部7の前側から立ち上がり、鍵盤部7の上側に沿って斜め上方に向けて緩やかに傾斜した状態で後方に延び、この後方に延びた部分が天板6の前端部の下側に位置するように、楽器ケース1の側板2の内面に設けられている。
これにより、前側ガイド部13は、図1および図2に示すように、鍵盤蓋9における前蓋22の前端部に位置する前側ガイド軸16を鍵盤部7の前端部から鍵盤部7の後端部に亘ってガイドするように構成されている。この場合、前側ガイド部13の後端部と鍵盤部7の後端部との間には、コンソールパネル11が設けられている。
後側ガイド部14は、図1および図2に示すように、楽器ケース1の天板6の下側に位置する箇所の側板2の内面に、後部下り(図1では右下がり)に緩やかに傾斜した状態で設けられている。この後側ガイド部14には、鍵盤蓋9における後蓋23の後端部に設けられた後側ガイド軸17をガイドする後側ガイド溝19が、後側ガイド部14と同様、後部下り(図1では右下がり)に緩やかに傾斜した状態で設けられている。
これにより、後側ガイド部14は、図1および図2に示すように、鍵盤蓋9における後蓋23の後端部に位置する後側ガイド軸17を鍵盤部7の後端部に対応する上部、つまり前側ガイド部13の後端部付近に位置する箇所から鍵盤部7の後方に位置する楽器ケース1の後板5に接近する箇所に亘ってガイドするように構成されている。
この場合、後ガイド軸17には、図1および図2に示すように、ピニオンギア20が取り付けられている。このピニオンギア20は、鍵盤蓋9の開閉動作に伴って後側ガイド軸17が後側ガイド部14の後側ガイド溝15に沿って移動する際に、後側ガイド部14に設けられたラックギア21に噛み合って回転移動するように構成されている。
ところで、鍵盤蓋9は、図1および図2に示すように、前蓋22と後蓋23とに分割され、この分割された前蓋22と後蓋23とが伸縮連結部24によって楽器ケース1の前後方向に伸縮可能に連結された構成になっている。この伸縮連結部24は、前蓋22と後蓋23とをその接離方向にガイドするガイド連結部材25と、前蓋22と後蓋23との間を塞ぐカバー部材26とを備えている。
ガイド連結部材25は、図3〜図5に示すように、ガイド軸部25aとガイド筒部25bとを有し、このガイド筒部25b内にガイド軸部25aがスライド可能に挿入するように構成されている。すなわち、このガイド連結部25は、後蓋23の前端面23aに対向する前蓋22の後端面22aにガイド筒部25bがスライド方向つまり楽器ケースの前後方向に沿って埋め込まれ、このガイド筒部25b内に挿入されたガイド軸部25aの後端部が後蓋23の前端面23aに取り付けられた構成になっている。
これにより、ガイド連結部材25は、図1〜図5に示すように、ガイド軸部25aがガイド筒部25bから突出した際に、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間隔を押し広げて、前蓋22と後蓋23との全体の長さを長くするように構成されている。また、このガイド連結部材25は、ガイド軸部25aがガイド筒部25b内に挿入した際に、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間隔を狭くして、前蓋22と後蓋23との全体の長さを短くするように構成されている。
カバー部材26は、図1〜図5に示すように、一端部の取付部26aが後蓋23の前端部23aに取り付けられ、他端部の本体部26bが前蓋22の後端部22aの上面にスライド自在に配置されるように構成されている。すなわち、このカバー部材26は、一端部の取付部26aがL字状に折り曲げられ、この折り曲げられた取付部26aが後蓋23の前端部23aとこの前端面23a側に位置する後蓋23の下面とに取り付けられている。
また、このカバー部材26は、その他端部の本体部26bが取付部26aの上端部から前蓋22側に向けて折り曲げられ、この折り曲げられた本体部26bが前蓋22の上面に沿って移動可能に配置されるように構成されている。この場合、カバー部材26は、その本体部26bの前後方向(図5では左右方向)の長さが、ガイド連結部材25のガイド軸部25aの長さと同じか、それよりも長く形成され、且つその鍵盤部7の鍵配列方向の長さが鍵盤蓋9と同じ長さに形成されている。
これにより、カバー部材26は、図1に示すように、鍵盤蓋9が引き出されて鍵盤部7を覆った際に、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間が離れて、本体部26bが前蓋22の上面に重なり合う長さが短くなり、この状態で本体部26bが前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間を覆い隠すように構成されている。
また、このカバー部材26は、図2に示すように、鍵盤蓋9が開く方向に押し込まれて鍵盤部7を開放した際に、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとが接近して、本体部26bが前蓋22の上面に重なり合う長さが十分に長くなり、この状態で本体部26bが前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間を覆い隠すように構成されている。
この場合、カバー部材26は、透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂によって形成されている。このカバー部材26の本体部26bの下面には、図5に示すように、ロゴマークなどのマークを表示するマーク表示部27が設けられている。このマーク表示部27は、図3および図4に示すように、前蓋22の後端部22aと後蓋23の前端部23aとの間隔が広くても、また狭くても、カバー部材26の本体部26bを通して常に鍵盤蓋9の上方から見えるように構成されている。
一方、この鍵盤蓋9は、図3〜図5に示すように、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間に配置されたばね部材28を備えている。このばね部材28は、ガイド連結部材25のガイド軸部25aの外周に沿って巻き付けられるように設けられ、この状態で一端部が前蓋22の後端面22aに弾接し、他端部が後蓋23の前端面23aに弾接するように構成されている。
これにより、このばね部材28は、図1に示すように、鍵盤蓋9が鍵盤部7を覆った際に、弾力的に伸びることにより、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間隔を弾力的に押し広げるように構成されている。また、このばね部材28は、図2に示すように、鍵盤蓋9が鍵盤部7を開放して楽器ケース1内に収納された際に、弾力的に収縮することにより、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間隔を弾力的に狭くするように構成されている。
次に、この鍵盤楽器の鍵盤蓋9の作用について説明する。
鍵盤蓋9を開いて楽器ケース1内に収納する際には、図1に示すように、取手部15に手を掛けて鍵盤蓋9を楽器ケース1の後部側(図1では右側)に向けて移動させる。このように、鍵盤蓋9が開く方向に移動を開始する際には、鍵盤蓋9の前蓋22の前端部に設けられた前側ガイド軸14がガイド部12の前側ガイド溝13に沿って楽器ケース1の後部側に向けて移動する。
このときには、鍵盤蓋9の後蓋23の後端部に位置する後側ガイド軸17が後側ガイド部14の後側ガイド溝19に沿って楽器ケース1の後部側に向けて移動すると共に、後側ガイド軸17に取り付けられたピニオンギア20が後側ガイド部14に設けられたラックギア21に噛み合って回転しながら楽器ケース1の後部側に向けて移動する。
このように、鍵盤蓋9が開く方向に移動する際には、図3〜図5に示すように、鍵盤蓋9の前蓋22と後蓋23との間に介在されたばね部材28のばね力に抗して、前蓋22が後蓋23に向けて移動する。このときには、ばね部材28が弾力的に収縮すると共に、伸縮連結部24のガイド連結部材25も収縮する。すなわち、このガイド連結部材25は、ばね部材28の収縮に伴って、ガイド軸部25aがガイド筒部25b内に徐々に挿入する。
これにより、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間の間隔が徐々に狭くなると共に、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に沿って前側に向けて相対的に移動し、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に重なる長さが徐々に長くなる。このため、鍵盤蓋9が開く方向に移動を開始する際には、ばね部材28が弾力的に収縮すると共に、伸縮連結部24のガイド連結部材25も収縮することにより、軽い力で鍵盤蓋9を開く方向に移動させることができる。
そして、鍵盤蓋9が楽器ケース内に移動して収納される際には、ばね部材28が更に弾力的に収縮すると共に、伸縮連結部24のガイド連結部材25も更に収縮する。このため、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間の間隔が更に狭くなると共に、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に沿って前側に向けて相対的に移動し、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に重なる長さが更に長くなる。
このように、鍵盤蓋9が楽器ケース内に収納された際には、鍵盤蓋9の前蓋22の前端部に設けられた前側ガイド軸14がガイド部12の前側ガイド溝13の後端部に位置する。また、このときには、鍵盤蓋9の後蓋23の後端部に位置する後側ガイド軸17が後側ガイド部14の後側ガイド溝19の後端部に位置すると共に、後側ガイド軸17に取り付けられたピニオンギア20が後側ガイド部14に設けられたラックギア21の後端部に位置する。
このときには、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間の間隔が最も狭くなるので、鍵盤蓋9の前後方向の長さが最も短くなる。このため、前蓋22の前端部に設けられた前側ガイド軸16が前側ガイド部13に沿って移動する長さよりも、後蓋23の後端部に設けられた後側ガイド軸17が後側ガイド部14に沿って移動する長さが短くなる。これにより、鍵盤蓋9の収納スペースを小さくすることができる。
一方、楽器ケース1内に収納された状態の鍵盤蓋9を引き出して閉じる際には、図2に示すように、鍵盤蓋9の前端部に取り付けられた取手部15に手を掛けて鍵盤蓋9を手前側(図2では左側)に引き出す。このときには、鍵盤蓋9の前蓋22の前端部に設けられた前側ガイド軸14が前側ガイド部13に沿って楽器ケース1の前部側(図2では左側)に向けて移動する。
また、このときには、鍵盤蓋9の後蓋23の後端部に位置する後側ガイド軸17が後側ガイド部14の後側ガイド溝19に沿って楽器ケース1の前部側に向けて移動すると共に、後側ガイド軸17に取り付けられたピニオンギア20が後側ガイド部14に設けられたラックギア21に噛み合って回転しながら楽器ケース1の前側に向けて移動する。
このように、鍵盤蓋9が閉じる方向に移動する際には、図3および図4に示すように、鍵盤蓋9の前蓋22と後蓋23との間に介在されたばね部材28のばね力によって、前蓋22が後蓋23から離れる方向に向けて移動する。このときには、ばね部材28が弾力的に伸びると共に、伸縮連結部24のガイド連結部材25も伸びる。すなわち、このガイド連結部材25は、ばね部材28が弾力的に伸びるのに伴って、ガイド軸部25aがガイド筒部25b内から徐々に引き出される。
これにより、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間の間隔が徐々に広くなると共に、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に沿って後側に向けて相対的に移動し、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に重なる長さが徐々に短くなる。このため、鍵盤蓋9が閉じる方向に移動を開始する際には、ばね部材28が弾力的に伸びると共に、伸縮連結部24のガイド連結部材25も伸びることにより、軽い力で鍵盤蓋9を閉じる方向に移動させることができる。
そして、鍵盤蓋9が楽器ケース内から引き出されて鍵盤部7を覆う際には、ばね部材28が更に弾力的に伸びると共に、伸縮連結部24のガイド連結部材25も更に伸びる。このため、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間の間隔が更に広くなると共に、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に沿って後部側に向けて相対的に移動し、カバー部材26の本体部26bが前蓋22の上面に重なる長さが更に短くなる。
このように、鍵盤蓋9が鍵盤部7を覆った際には、鍵盤蓋9の前蓋22の前端部に設けられた前側ガイド軸14が前側ガイド溝13の前端部に位置する。また、このときには、鍵盤蓋9の後蓋23の後端部に位置する後側ガイド軸17が後側ガイド部14の後側ガイド溝19の前端部に位置すると共に、後側ガイド軸17に取り付けられたピニオンギア20が後側ガイド部14に設けられたラックギア21の前端部に位置する。
このときには、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間の間隔が最も広くなるので、鍵盤蓋9の前後方向の長さが最も長くなる。このため、前蓋22の前端部に設けられた前側ガイド軸16を前側ガイド部13に沿って移動させる長さが、後蓋23の後端部に設けられた後側ガイド軸17を後側ガイド部14に沿って移動させる長さよりも、長くなる。これにより、鍵盤蓋9の収納スペースを小さくしても、鍵盤蓋9によって鍵盤部7を確実に覆うことができる。
このように、この鍵盤楽器の鍵盤蓋によれば、楽器ケース1内に設けられた鍵盤部7を開閉自在に覆う鍵盤蓋9が、前蓋22と後蓋23とに分割され、この分割された前蓋22と後蓋23とを伸縮連結部24によって楽器ケース1の前後方向に伸縮可能に連結した構成であることにより、鍵盤部7を鍵盤蓋9で確実に且つ良好に覆うことができると共に、鍵盤蓋9を楽器ケース1内にコンパクトに収納することができ、楽器全体の小型化を図ることができる。
すなわち、この鍵盤蓋では、鍵盤蓋9が鍵盤部7を覆った際に、伸縮連結部24が伸びて前蓋22と後蓋23との全長を引き伸ばして長くすることができ、また鍵盤蓋9が鍵盤部7を開放した際に、伸縮連結部24が収縮して前蓋22と後蓋23との全長を収縮させて短くすることができる。これにより、鍵盤部7を鍵盤蓋9で確実に且つ良好に覆うことができると共に、鍵盤蓋9を楽器ケース1内にコンパクトに収納することができ、楽器全体の小型化を図ることができる。
また、この鍵盤蓋によれば、鍵盤蓋9が楽器ケース1に設けられたガイド部12によって楽器ケース1の前後方向にスライドして鍵盤部7を開閉可能に覆う構成であることにより、鍵盤蓋9をスライドさせる際に、鍵盤蓋9をガイド部12によって円滑にスライドさせることができ、これにより鍵盤蓋9を良好に開閉することができると共に、前蓋22と後蓋23とを伸縮連結部24によって楽器ケース1の前後方向に良好に伸縮させることができる。
この場合、ガイド部12は、前側ガイド部13と後側ガイド部14とを備え、前側ガイド部13で鍵盤蓋9の前蓋22の前端部に設けられた前側ガイド軸16をガイドし、後側ガイド部14で鍵盤蓋9の後蓋23の後端部に設けられた後側ガイド軸17をガイドする構成であるから、鍵盤蓋9を前蓋22と後蓋23とに分割しても、鍵盤蓋9を開閉する際に、前蓋22と後蓋23とをガイド部12によって円滑に且つ良好に移動させることができる。
この場合にも、前蓋22と後蓋23とを伸縮連結部24によって楽器ケース1の前後方向に確実に且つ良好に伸縮させることができるので、前側ガイド軸16をガイドする前側ガイド部13のガイド長さよりも、後側ガイド軸17をガイドする後側ガイド部14のガイド長さを短くすることができ、これにより鍵盤蓋9を収納するための長さを鍵盤蓋9が鍵盤部7を覆う長さよりも短くすることができるので、楽器全体をコンパクトに構成することができる。
また、この鍵盤蓋では、伸縮連結部24が、前蓋22と後蓋23とをその接離方向にガイドするガイド連結部材25と、前蓋22と後蓋23との間を塞ぐカバー部材26とを備えていることにより、鍵盤蓋9を開閉する際に、ガイド連結部材25によって前蓋22と後蓋23とをその接離方向にガイドすることができ、これにより前蓋22と後蓋23とを確実に且つ良好に接近または離間させることができると共に、前蓋22と後蓋23とが互いに接近しても、また離間しても、その間をカバー部材26によって確実に塞ぐことができる。
この場合、ガイド連結部材25は、ガイド軸部25aとガイド筒部25bとを有し、このガイド筒部25b内にガイド軸部25aがスライド可能に挿入するように構成されていることにより、ガイド筒部25bを前蓋22の後端面22aに埋め込み、このガイド筒部25bに挿入されたガイド軸部25aの一端部を後蓋23の前端面23aに取り付けるだけで、前蓋22と後蓋23とを確実に連結することができると共に、前蓋22と後蓋23とを確実に且つ良好に接近または離間させることができる。
また、カバー部材26は、一端部の取付部26aが後蓋23の前端部23aに取り付けられ、他端部の本体部26bが前蓋22の後端部22aの上面にスライド自在に配置され、この本体部26bの前後方向の長さがガイド連結部材25のガイド軸部25aの長さよりも長く形成されていることにより、前蓋22と後蓋23とが接近または離間しても、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間を確実に且つ良好に塞いで隠すことができる。
この場合、カバー部材26は、透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂によって形成され、このカバー部材26の本体部26bの下面にロゴマークなどのマークを表示するマーク表示部27が設けられていることにより、前蓋22の後端部22aと後蓋23の前端部23aとの間隔が広くても、また狭くても、カバー部材26の本体部26bを通して、常に鍵盤蓋9の上方からマーク表示部27を見ることができる。
また、この鍵盤蓋の伸縮連結部24は、前蓋22と後蓋23とが鍵盤部7を覆った際に伸び、且つ前蓋22と後蓋23とが鍵盤部7を開放した際に収縮するばね部材28を備えていることにより、鍵盤蓋9の開閉動作に応じて前蓋22の後端部22aと後蓋23の前端部23aとの間隔を弾力的に広くしたり、また狭くしたりすることができ、これにより前蓋22の後端部22aと後蓋23の前端部23aとの間隔を良好に変化させることができる。
この場合、ばね部材28は、鍵盤蓋9が閉じて鍵盤部7を覆った際に弾力的に伸びることにより、鍵盤蓋9が開く方向に移動を開始する際に、ばね部材28のばね力が前蓋22を開く方向に加わるので、軽い力で前蓋22を開く方向に移動させることができ、また鍵盤蓋9が開いて鍵盤部7を開放した際に、弾力的に収縮することにより、鍵盤蓋9が閉じる方向に移動を開始する際に、ばね部材28のばね力が前蓋22を閉じる方向に加わるので、軽い力で前蓋22を閉じる方向に移動させることができ、これにより鍵盤蓋9を円滑に且つ良好に開閉動作させることができる。
なお、上述した実施形態では、ばね部材28をガイド連結部材25のガイド軸部25aの外周面に沿って配置して、前蓋22の後端面22aと後蓋23の前端面23aとの間に介在させた場合について述べたが、これに限らず、例えばガイド軸部25aが挿入するガイド筒部25b内に設けて、ガイド軸部25aの内端部を弾力的に付勢するように構成しても良く、また必ずしもばね部材28である必要はなく、ゴムなどの弾性部材を用いても良い。
また、上述した実施形態では、カバー部材26の本体部26bにマーク表示部27を設けた場合について述べたが、必ずしもマーク表示部27を設ける必要はなく、自動演奏に応じて押鍵される鍵を順次光からせてナビゲートするナビゲーション機能を有する場合に、デモンストレーション用の窓部として用いても良い。このように構成すれば、鍵盤蓋9が鍵盤部7を覆って閉じた状態で、自動演奏に応じて押鍵される鍵を順次光からせることにより、カバー部材26の本体部26bを通して、順次光っている鍵を鍵盤蓋9の上方から良好に見ることができる。
また、上述した実施形態では、カバー部材26が透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂で形成されている場合について述べたが、これに限らず、遮光性を有する合成樹脂や金属で形成しても良い。この場合には、ロゴマークなどのマークを表示するマーク表示部27をカバー部材26の本体26bの上面に設ければ良い。
さらに、上述した実施形態では、カバー部材26の本体部26bにマーク表示部27を設けた場合について述べたが、必ずしもマーク表示部27である必要はなく、情報を電気光学的に表示する液晶表示パネルやEL(エレクトロ・ルミネセンス)表示パネルなどの表示パネルを設けても良い。
なおまた、上述した実施形態では、鍵盤蓋9を前蓋22と後蓋23との2つに分割した場合について述べたが、必ずしも鍵盤蓋9を前蓋22と後蓋23との2つに分割した構成である必要はなく、鍵盤蓋9を3つ以上の蓋部に分割しても良い。この場合には、各蓋部の間にそれぞれ伸縮連結部24を設けて各蓋部を伸縮可能に連結するように構成にすれば良い。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、複数に分割された複数の蓋部と、前記複数の蓋部をその接離方向に伸縮可能に連結する伸縮連結部と、を備えていることを特徴とする鍵盤蓋である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤蓋において、前記伸縮連結部は、前記複数の蓋部をその接離方向にガイドするガイド連結部材と、前記複数の蓋部の間を塞ぐカバー部材とを備えていることを特徴とする鍵盤蓋である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の鍵盤蓋において、前記伸縮連結部は、前記複数の蓋部が前記鍵盤部を覆った際に伸び、また前記複数の蓋部が前記鍵盤部を開放した際に収縮する弾性部材を備えていることを特徴とする鍵盤蓋である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の鍵盤蓋において、前記鍵盤蓋は、楽器ケースに設けられたガイド部によって前記楽器ケースの前後方向にスライドして前記鍵盤部を開閉可能に覆うことを特徴とする鍵盤蓋である。
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の鍵盤蓋において、前記カバー部材には表示部が設けられていることを特徴とする鍵盤蓋である。
請求項6に記載の発明は、請求項3〜請求項5いずれかに記載の鍵盤蓋において、前記カバー部材は光透過性を有していることを特徴とする鍵盤蓋である。