JP6020340B2 - 超音波探傷方法および超音波探傷装置 - Google Patents

超音波探傷方法および超音波探傷装置 Download PDF

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Description

本発明は、被探傷材の外周面と超音波探触子との間に接触媒質を介在させる超音波探傷方法および超音波探傷装置に関する。特に、接触媒質滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減できるとともに、1つのシューで様々な外径の被探傷材に対応できる超音波探傷方法および超音波探傷装置に関する。
なお、別に記載がない限り、本明細書における用語の定義は次のとおりである。
「被探傷材」:超音波探傷の対象となる材料であって、外周面を有する材料を意味する。例えば、管や棒材が該当し、より具体的には、鋼管や丸鋼が該当する。
鋼管等の管や丸鋼等の外周面を有する材料の非破壊検査方法として、超音波探傷が広く適用されている。この超音波探傷では、被探傷材と超音波探触子との間に接触媒質(例えば水)を介在させた状態で、超音波探触子から送信した超音波を管に入射させ、被探傷材で反射した超音波を超音波探触子で受信する。
油井管は油井およびガス井の生産流体の汲み上げに用いられる鋼管であり、その油井管の製造プロセスでは、製造中に発生したきずを検出するために超音波探傷による検査が実施され、その検査に、シューおよび接触媒質滞留部を備える超音波探傷装置を用いる場合がある。
図1は、従来の超音波探傷装置が備えるシューおよび接触媒質滞留部を模式的に示し、同図(a)は上面図、同図(b)は側面図である。同図には、管10と、管10の外周面上部と当接するシュー21と、そのシュー21と連通している接触媒質滞留部22とを示す。また、同図(a)には、滞留部22に接触媒質を供給する供給口23を示す。被探傷材である管10は、長手方向が水平な状態にされる。
その管10の外周面上部と当接するようにシュー21が配置され、シュー21の側壁下部は管の外周面上部を受け入れるために切り欠きが設けられている。このようなシュー21は、その形状から、鞍型形状とも呼ばれ、鞍型形状のシューを用いる超音波探傷装置は、鞍型超音波探傷装置とも呼ばれる。
そのシュー21の真上に角筒状の滞留部22が配置される。その滞留部22とシュー21の間は仕切られることなく、滞留部22はシュー21と連通している。このため、供給口23から滞留部22に接触媒質を供給すると、接触媒質が滞留部22とともにシュー21に流入する。流入した接触媒質は、管10、シュー21および滞留部22で形成される空間に充満する。
同図に示すような従来の超音波探傷装置を用いた超音波探傷は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)長手方向が水平な状態である被探傷材の管10の外周面上部にシュー21を当接させ、そのシューの真上に滞留部22を配置する。
(2)供給口23から接触媒質を滞留部22に供給することにより、滞留部22およびそれと連通するシュー21に接触媒質を充満させる。
(3)滞留部22の上部に配置された超音波探触子(図示なし)により、シュー21および滞留部22の接触媒質を介して超音波を送信して管に入射させ、管で反射した超音波(エコー信号)を受信し、その信号に基づいてきずの有無を検知する。
上記(2)でシュー21および滞留部22内に接触媒質を充満させる際、シュー21と管10との間に隙間があると、その隙間から接触媒質が流出してシュー21および滞留部22内の接触媒質量が低下する。このため、シュー21は、特定の外径である管の外周面と適合するように作製され、異なる外径の管の超音波探傷に用いることができない。したがって、検査対象の管の外径ごとにシューが作製され、管の外径に応じて適合するシューが滞留部22に装着される。
上記(3)で超音波を送受信する超音波探触子としては、検査対象となるきずの角度ごとに超音波探触子をそれぞれ配置する方式と、超音波振動子が複数配設されたフェイズドアレイ探触子を用いる方式とがある。きずの角度ごとに超音波探触子を配置する方式では、探傷に要する時間が少なく検査効率に優れるが、検査対象となるきずが増加すると、それに応じて配置する超音波探触子が増加して設備が煩雑となる。一方、フェイズドアレイ探触子を用いる方式では、設備構成が簡素化できるが、探傷に時間を要して検査効率が不芳となる。
上記(3)では、管全体を超音波探傷してきずの有無を検査するため、ローラー等により管10をその軸回りに回転させつつ、送り機構によりシュー21、滞留部22および超音波探触子(図示なし)を管の軸方向に移動させる場合がある。
超音波探傷で、上述のように管と超音波探触子の間に接触媒質を介在させる場合、接触媒質内に気泡が存在すると、それによりノイズが発生することから、エコー信号からのきず検出を阻害する。しかし、上記(2)で供給口23から接触媒質を供給してシュー21および滞留部22内に接触媒質を充満させる際に不可避的に気泡が混入する。
その気泡を除去するため、シュー21および滞留部22内に接触媒質が充満した状態でさらに供給口23から接触媒質を供給することにより、滞留部22から溢れ出す接触媒質とともにその接触媒質に存在する気泡を排出している。このように滞留部22およびシュー21に接触媒質が充満し、かつ、気泡を除去した状態、すなわち、滞留部を安定状態にして上記(3)の超音波探傷が行われる。
管の超音波探傷に関して従来から種々の提案がなされており、例えば、特許文献1がある。特許文献1で提案される手動走査型超音波探傷装置は、鋼管表面に対面する底面に磁石を備えるとともに、接触空間に給水する給水装置が接続されている。これにより、探触子が鋼管表面に常に密着するとともに、結合不良を極力少なくすることができ、その結果、検査の作業効率が著しく向上するとしている。また、給水装置として、ダイヤフラム式液体マイクロポンプを用いることにより、気泡の入らない層流を送り込むことができるとしている。
特開平9−257764号公報
前述の通り、被探傷材の外周面と超音波探触子の間に接触媒質を介在させる場合、接触媒質に気泡が存在すると、それによりノイズが発生し、エコー信号からのきず検出を阻害する。前記図1に示すようなシュー21および接触媒質滞留部22を用いて管を超音波探傷する場合、気泡を除去するため、接触媒質が充満した状態でさらに接触媒質を供給し、滞留部22から溢れ出す接触媒質とともに、その接触媒質に存在する気泡を排出する。
このような受動的な気泡の除去方法では、超音波探傷の開始時にシューおよび滞留部に接触媒質を充満させる際に混入する気泡を除去して安定状態とするのに時間を要する。
また、被探傷材の外周面と当接するシューは、被探傷材の外周面に適合したものを用いる必要があるので、種々のシューの作製によって設備コストが上昇する。また、シューの交換作業によって検査効率が悪化する。
一方、前述の特許文献1では、ダイヤフラム式液体マイクロポンプを用いることにより、気泡の入らない層流を送り込むことが提案されている。確かに、ダイヤフラム式液体マイクロポンプを用いれば、気泡の混入をある程度低減できるが、完全に抑制することはできない。また、ダイヤフラム式液体マイクロポンプを用いて層流を送り込む場合、接触媒質の供給量が制限される。その結果、シューおよび滞留部に接触媒質の供給を開始してから滞留部を安定状態とするまでに要する時間が、却って増加する。さらに、ダイヤフラム式液体マイクロポンプの耐久性が不足し、ランニングコストの増加や保守作業による稼働率の低下が懸念される。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、接触媒質滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減できるとともに、1つのシューで様々な外径の被探傷材に対応できる超音波探傷方法および超音波探傷装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、接触媒質滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減する方法を検討した結果、以下のことを見出した。シューおよび滞留部に接触媒質を充満させる際に混入する気泡を、溢れ出す接触媒質とともに受動的に排出して除去する場合、滞留部内に接触媒質の流れが局所的に滞る箇所がある。その箇所に気泡が流れ込むと、気泡が停滞して排出され難いことから、時間的なロスが生じる。また、滞留部の容積が大きいと、それによっても時間的なロスが生じる。
そこで、本発明者らは、上記の時間的なロスを低減するため、種々の試験を行い、鋭意検討を重ねた結果、下記(1)および(2)の着想を得た。
(1)受動的な気泡排出から、接触媒質とともに気泡を吸引して排出する排出口を用いた能動的な気泡排出にシフトすることで、短時間で気泡を排出できる。その能動的な気泡排出では、滞留部の容積が大きくなっても、短時間で気泡を排出できる。
(2)上記(1)の能動的な気泡排出を補完するため、滞留部に接触媒質の流れを発生させ、接触媒質が滞る箇所を無くすことにより、スムーズに気泡を排出できる。
また、本発明者らは、上記(1)の能動的な気泡排出により、シューと被探傷材の外周面に隙間が生じていても、シューおよび滞留部内の接触媒質量を維持でき、超音波探傷による検査が可能であることを知見した。
本発明は上述の着想および知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記(1)の超音波探傷方法および下記(2)の超音波探傷装置にある:
(1)長手方向が水平な状態である被探傷材の外周面上部にシューを当接させ、そのシューと連通する接触媒質滞留部を配置し、その接触媒質滞留部およびシューに供給されて充満している接触媒質を介して超音波探触子により被探傷材を超音波探傷するにあたり、側方供給口から接触媒質を供給しつつ側方排出口から接触媒質とともに気泡を吸引して排出することにより接触媒質滞留部の接触媒質に渦流を発生させ、かつ、その渦流の中心に配置した上方排出口から接触媒質とともに気泡を吸引して排出することを特徴とする超音波探傷方法。
(2)長手方向が水平な状態である被探傷材の外周面上部に当接されるシューと、そのシューと連通する接触媒質滞留部と、その接触媒質滞留部およびシューに供給されて充満している接触媒質を介し、被探傷材に向けて超音波を送受信する超音波探触子とを具備する超音波探傷装置であって、接触媒質滞留部に接触媒質を供給する側方供給口と、接触媒質滞留部から接触媒質とともに気泡を吸引して排出する側方排出口および上方排出口とを備え、側方供給口および側方排出口が接触媒質滞留部の接触媒質に渦流を発生させるように配設され、かつ、その接触媒質の渦流の中心に上方排出口が配設されていることを特徴とする超音波探傷装置。
本発明の超音波探傷方法は、接触媒質滞留部の接触媒質に渦流を発生させるとともに、その渦流の中心で接触媒質とともに気泡を吸引して排出する。これにより、気泡をスムーズに除去することができ、接触媒質滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減できる。また、シューと被探傷材の外周面の間に隙間がある場合に、接触媒質滞留部を安定状態にできるので、1つのシューで様々な外径の被探傷材に対応できる。
本発明の超音波探傷装置は、側方供給口および側方排出口が接触媒質滞留部の接触媒質に渦流を発生させるように配設され、かつ、その接触媒質の渦流の中心から接触媒質とともに気泡を吸引するように上方排出口が配設されている。これにより、上述の本発明の超音波探傷方法と同様に、接触媒質滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減できるとともに、1つのシューで様々な外径の被探傷材に対応できる。
従来の超音波探傷装置が備えるシューおよび接触媒質滞留部を模式的に示し、同図(a)は上面図、同図(b)は側面図である。 本発明の超音波探傷方法を説明する模式図であり、同図(a)は側方排出口および側方排出口の配置例を示す上面図、同図(b)は上方排出口の配置例を示す側面図である。 シューと被探傷材の外周面の隙間を示す模式図であり、同図(a)はシューと被探傷材の外周面が適合している場合、同図(b)はシューと被探傷材の外周面に隙間が生じている場合をそれぞれ示す。 アスピレーターを用いて排出口から吸引する場合に採用できる接触媒質の給排系統の構成例を示すブロック図である。 シューと管の間に隙間がある試験における経過時間ときず信号との関係を示す図であり、同図(a)は比較例、同図(b)は本発明例をそれぞれ示す。
以下に、本発明の超音波探傷方法および超音波探傷装置について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の超音波探傷方法を説明する模式図であり、同図(a)は側方排出口および側方排出口の配置例を示す上面図、同図(b)は上方排出口の配置例を示す側面図である。同図には、被探傷材である管10と、管10の外周面上部と当接するシュー21と、そのシュー21と連通する接触媒質滞留部22とを示す。また、同図(a)には、さらに、シュー21および滞留部22に接触媒質を供給する側方供給口24と、滞留部22から接触媒質とともに気泡を吸引して排出する側方排出口25を示す。同図(b)には、さらに、滞留部22から接触媒質とともに気泡を吸引して排出する上方排出口26を示す。同図に示す滞留部22は、円筒状であり、その滞留部22とシュー21の間は仕切られることなく、滞留部22はシュー21と連通している。
同図(a)に示す側方供給口24と側方排出口25とは、相対するように配置され、1対の相対する側方供給口24と側方排出口25が2対配置される。また、側方供給口24は、接触媒質を吐出するための開口の下端が滞留部22で充満する接触媒質の上面と接するようにいずれも配設される。また、側方排出口25は、接触媒質とともに気泡を吸引するための開口の下端が滞留部22で充満する接触媒質の上面と接するようにいずれも配設される。
相対する1対の側方供給口24と側方排出口25は、同図の破線矢印で示すように、側方供給口24から供給された接触媒質が移動して側方排出口25で排出する流れを形成する。このように形成される接触媒質の流れに伴って一部の接触媒質が滞留部の外壁に沿って流れ、やがて、同図の実線矢印で示すように、滞留部内で接触媒質の渦流が発生する。同図に示す滞留部22は、その形状が円筒状であることから、それによっても渦流の発生が促進される。
このように本発明の超音波探傷方法は、側方供給口24から接触媒質を供給しつつ、側方排出口25から接触媒質とともに気泡を排出することにより、滞留部22の接触媒質に渦流を発生させる。この場合、シュー21および滞留部22に接触媒質を充満させる際に混入する気泡の大部分は、発生している渦流に流されてスムーズに側方排出口25に導かれ、接触媒質とともに吸引して排出される。このため、気泡の大部分を停滞させることなく排出できるので、気泡の停滞による時間的ロスを抑制できる。
一方、混入する気泡の残部は、渦流の中心に位置する。この中心に位置する気泡は、渦流に流され難く、渦流の中心で停滞し易いので、本発明の超音波探傷方法は、同図(b)に示すように、渦流の中心に上方排出口26を配置する。これにより、渦流の中心に位置する気泡を即座に排出でき、気泡の停滞による時間的ロスを抑制できる。
このように本発明の超音波探傷方法は、シュー21および滞留部22に接触媒質を充満させる際に混入する気泡を停滞させることなく排出できることから、滞留部22を安定状態とするのに要する時間を低減できる。
また、本発明の超音波探傷方法は、シュー21と被探傷材(管)10の外周面に隙間がある状態でシューおよび滞留部に接触媒質を充満でき、安定状態として超音波探傷が可能である。その理由を下記図3を参照しながら説明する。
図3は、シューと被探傷材の外周面の隙間を示す模式図であり、同図(a)はシューと被探傷材の外周面が適合(フィット)している場合、同図(b)はシューと被探傷材の外周面に隙間が生じている場合をそれぞれ示す。同図には、被探傷材の管10と、シュー21と、滞留部22とを示す。同図(a)では、シュー21として、当接する管10に適合するシューを用いている。また、同図(b)では、シュー21が当接する管10の外径より大きい外径の管に適合するシューを用いている。
同図(b)に示すようにシュー21と被探傷材(管)10の外周面に隙間が生じている場合、従来の受動的に気泡を排出する方法では、シュー21と滞留部22に接触媒質を供給すると、滞留部22から溢れ出す接触媒質とともに気泡を排出する際に隙間から流出する接触媒質量が増加することから、シューおよび滞留部で接触媒質量が低下し、その結果、滞留部を安定状態にできない。
これに対し、本発明の超音波探傷方法は、滞留部22で接触媒質を溢れさせることなく、能動的に側方排出口および上方排出口(以下、これらを総称して単に「排出口」ともいう)から接触媒質を排出する。このため、排出口から排出される接触媒質量がシューと被探傷材(管)の外周面との隙間から流出する接触媒質量と比べて相対的に大きくなる。これにより、シューと被探傷材(管)の外周面との隙間から流出する接触媒質量が減少するので、シューおよび滞留部内の接触媒質量を維持できるとともに排出口から気泡を吸引して排出でき、その結果、滞留部を安定状態にできる。
このため、本発明の超音波探傷方法は、被探傷材の外径ごとのシュー作製や、被探傷材の外径に適合するシューへの交換作業が不要となることから、設備コストを削減できるとともに、検査効率を向上できる。例えば、検査される管の外径が73〜178mmの場合、外径が178mmに適合したシューを作製して装着すれば、外径が73〜178mmの範囲内の管を全て検査可能となる。すなわち、検査対象の被探傷材のうちで、外径が最大の被探傷材の外周面に適合するシューのみを作製して装着すれば、設備コストをより削減できるとともに、検査効率をより向上できる。
側方排出口および上方排出口は、接触媒質とともに気泡を吸引して排出するが、このような側方排出口および上方排出口は、例えば、その排出口内を減圧状態とすることにより実現できる。本発明の超音波探傷方法は、アスピレーター(ベンチュリ効果によって減圧状態を作り出す器具)を用いて減圧状態とした側方排出口および上方排出口から、接触媒質とともに気泡を吸引して排出するのが好ましい。
図4は、アスピレーターを用いて排出口から吸引する場合に採用できる接触媒質の給排系統の構成例を示すブロック図である。同図には、超音波探傷装置20と、その超音波探傷装置20に接触媒質を供給する供給系統と、超音波探傷装置20から接触媒質とともに気泡を吸引して排出する排出系統とを示す。同図に示す実線矢印は、接触媒質や流体が流通する配管を示し、その向きは接触媒質や流体が流れる方向を示す。供給系統は、接触媒質を吐出する供給用ポンプ27と、その供給用ポンプ27から吐出された接触媒質を超音波探傷装置20に供給するための配管とで構成される。供給用ポンプ27から吐出された接触媒質は、超音波探傷装置20に供給される。供給された接触媒質は、超音波探傷装置20の側方供給口から滞留部に供給される。
超音波探傷装置20の側方排出口および上方排出口は、排出系統に接続される。その排出系統は、超音波探傷装置と接続する第1配管と、流路が狭められた部分が設けられた第2配管と、第2配管に流体(例えば水)を供給する排出用ポンプ28とで構成される。排出用ポンプ28から吐出された流体は、第2配管を流れ、例えばタンク(図示なし)に貯留される。その際、第2配管に設けられた流路が狭められた部分がベンチュリ効果により減圧状態となる。このような第2配管の流路が狭められた部分に、超音波探傷装置と接続する第1配管の他端を接続させることから、第1配管内も減圧状態となり、側方排出口および上方排出口から滞留部の接触媒質とともに気泡を吸引できる。吸引により排出された接触媒質および気泡は、第1配管を流れた後、第2配管を流通する流体と合流し、例えばタンク(図示なし)に貯留される。
このようなアスピレーターを用いれば、第2配管に水道を使用して水を供給することによって電源が不要となり、設備的な故障も少ないことから、ランニングコストを削減できる。
前記図2(a)では、滞留部内の接触媒質に渦流を発生させるため、1対の相対する側方供給口24と側方排出口25を2対配置し、そのうちの第1の1対の側方供給口24と側方排出口25が形成する流れと、第2の1対の側方供給口24と側方排出口25が形成する流れとが、滞留部22の中央を挟んで対向するように配置する。本発明の超音波探傷方法は、同図に示す側方供給口24および側方排出口25の配置に限定されず、滞留部内の接触媒質に渦流を発生できる限り、様々な配置を採用できる。
例えば、同図(a)に示す側方供給口24および側方排出口25から、第2の1対の側方供給口24と側方排出口25を除いた配置を採用できる。また、同図に示す側方供給口24および側方排出口25から、第2の1対の側方供給口24と側方排出口25のうちの一方を除いた配置も採用できる。
本発明の超音波探傷方法は、超音波を送受信する超音波探触子として、検査対象となるきずの角度ごとに超音波探触子をそれぞれ配置する方式、および、超音波振動子が複数配設されたフェイズドアレイ探触子を用いる方式のいずれも採用できる。
本発明の超音波探傷装置は、長手方向が水平な状態である被探傷材の被探傷材の外周面上部に当接されるシューと、そのシューと連通する接触媒質滞留部と、その接触媒質滞留部およびシューに供給されて充満している接触媒質を介し、被探傷材に向けて超音波を送受信する超音波探触子とを具備する超音波探傷装置であって、接触媒質滞留部に接触媒質を供給する側方供給口と、接触媒質滞留部から接触媒質とともに気泡を吸引して排出する側方排出口および上方排出口とを備え、側方供給口および側方排出口が接触媒質滞留部の接触媒質に渦流を発生させるように配設され、かつ、その接触媒質の渦流の中心に上方排出口が配設されていることを特徴とする。
このような本発明の超音波探傷装置は、側方供給口および側方排出口が滞留部に渦流を発生させるように配設され、かつ、渦流の中心に上方排出口が配設されているので、上述の本発明の超音波探傷方法と同様に、シューおよび滞留部に接触媒質を充満させる際に混入する気泡を滞留部で停滞させることなく排出でき、滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減できる。また、シューと被探傷材の外周面に隙間がある場合でも、滞留部を安定状態にして超音波探傷できることから、設備コストを削減できるとともに検査効率を向上できる。
側方排出口および上方排出口は、上述の本発明の超音波探傷方法と同様に、その排出口内を減圧状態とすることにより実現でき、アスピレーターを用いて構成するのが好ましい。また、側方供給口と側方排出口の配置は、本発明の超音波探傷方法と同様に、滞留部内の接触媒質に渦流を発生できる限り、様々な配置を採用できる。超音波探触子も、本発明の超音波探傷方法と同様に、検査対象となるきずの角度ごとに超音波探触子をそれぞれ配置する方式、および、超音波振動子が複数配設されたフェイズドアレイ探触子を用いる方式のいずれも採用できる。
本発明の超音波探傷装置は、例えばさらに、走査装置や、マーキング装置、自動警報装置(または記録装置)を備えるのが好ましい。走査装置は、被探傷材の全面のきずを検出するため、被探傷材と探触子を相対的に移動させる装置であり、例えば、被探傷材をその場回転させるためのターニングローラーと、超音波探触子を被探傷材の長手方向に移動させる送り機構とからなる構成を採用できる。マーキング装置は、信号の高さが判定基準を超えたとき、被探傷材の信号発生部分に塗料を塗布する等により、信号発生部分を識別可能にする装置である。自動警報装置は、信号の高さが判定基準を超えたとき、光または音で警報を出す装置である。
本発明の超音波探傷方法および超音波探傷装置による効果を検証するため、模擬試験を行った。
[試験条件]
本試験では、超音波探傷装置の滞留部に接触媒質として水を供給し、シューおよび滞留部に水を充満させた。その際、超音波探触子として、超音波振動子が36個配設されたフェイズドアレイ探触子を用い、斜角探傷法により超音波を管(被探傷材)の外周面に形成した人工きずに向けて送受信した。受信した超音波からきず信号とともに気泡により発生する信号を抽出した。そのうちのきず信号を監視し、水の供給を開始してから混入した気泡が除去されてきず信号が安定するまで(滞留部が安定状態となるまで)に要した時間を測定した。フェイズドアレイ探触子と管との距離(水距離)は120mmとし、探傷周波数は5MHzとした。
管は管Aおよび管Bを準備し、管Aは外径が73mm、肉厚が5mmの鋼管であり、管Bは外径が178mm、肉厚が8mmの鋼管であった。シューは、その下部に外径が178mmの管と適合するように切り欠きを設けたシューを準備し、管Aおよび管Bのいずれの試験にも用いた。シューおよび滞留部の合計容量は約0.5lであった。
本発明例では、前記図2に示すように側方供給口、側方排出口および上方排出口を配置した。一方、比較例では、前記図1に示すように供給口のみを配置した。本発明例および比較例ともに、超音波探傷装置の滞留部に水を供給量10l/分程度で供給した。
本発明例では、接触媒質の給排系統を前記図4に示す給排系統で構成した。また、水を排出用ポンプ28から第2配管に供給し、第1配管内とそれと接続する側方排出口および上方排出口内を減圧状態として滞留部から水とともに気泡を吸引して排出した。その結果、側方排出口および上方排出口からの水の合計排出量は、シューおよび滞留部に水が充満した状態で、約8l/分であった。
[試験結果]
表1に、区分、被探傷管の種類および外径、並びに、水の供給を開始してから混入した気泡が除去されてきず信号が安定するまで(滞留部が安定状態となるまで)に要した時間を示す。
Figure 0006020340
図5は、シューと管の間に隙間がある試験、すなわち、管Aを用いた試験における経過時間ときず信号との関係を示す図であり、同図(a)は比較例、同図(b)は本発明例をそれぞれ示す。表1および同図より、管Aを用いた比較例では、シューおよび滞留部に水が充満しなかったことから、気泡が残存し、ノイズによりきず信号が安定しなかった。一方、管Aを用いた本発明例では、10秒後に充満した水から気泡が吸引して除去され、気泡によるノイズが消えることによりきず信号が安定した。したがって、本発明の超音波探傷方法および超音波探傷装置により、シューと管に隙間がある場合に滞留部を安定状態として、超音波探傷が可能であることが明らかになった。
また、シューが管と適合している試験、すなわち、管Bを用いた試験では、本発明例および比較例ともに気泡が除去されてきず信号が安定化した。管Bを用いた比較例では、溢れ出す水とともに気泡を排出し、気泡が除去されてきず信号が安定化するまでに要した時間は15秒であった。
これに対し、管Bを用いた本発明例では、側方供給口および側方排出口によって滞留部に渦流を発生させるとともに、側方排出口および上方排出口により水とともに気泡を吸引して排出した。その結果、気泡が除去されてきず信号が安定化するまでに要した時間は7秒となり、管Bを用いた比較例と比べて約53%低減した。したがって、本発明の超音波探傷方法および超音波探傷装置により、気泡が滞留部で停滞することなく排出でき、滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減できることが明らかになった。
本発明の超音波探傷方法および超音波探傷装置は、接触媒質滞留部を安定状態とするのに要する時間を低減できるとともに、1つのシューで様々な外径の被探傷材に対応できる。このため、油井管のきずの検査に適用すれば、検査効率を向上できるとともに、設備コストを削減することができる。
10:管(被探傷材)、 20:超音波探傷装置、 21:シュー、
22:接触媒質滞留部、 23:供給口、 24:側方供給口、 25:側方排出口、
26:上方排出口、 27:供給用ポンプ、 28:排出用ポンプ

Claims (2)

  1. 長手方向が水平な状態である被探傷材の外周面上部にシューを当接させ、そのシューと連通する接触媒質滞留部を配置し、その接触媒質滞留部およびシューに供給されて充満している接触媒質を介して超音波探触子により被探傷材を超音波探傷するにあたり、
    側方供給口から接触媒質を供給しつつ側方排出口から接触媒質とともに気泡を吸引して排出することにより接触媒質滞留部の接触媒質に渦流を発生させ、かつ、その渦流の中心に配置した上方排出口から接触媒質とともに気泡を吸引して排出することを特徴とする超音波探傷方法。
  2. 長手方向が水平な状態である被探傷材の外周面上部に当接されるシューと、そのシューと連通する接触媒質滞留部と、その接触媒質滞留部およびシューに供給されて充満している接触媒質を介し、被探傷材に向けて超音波を送受信する超音波探触子とを具備する超音波探傷装置であって、
    接触媒質滞留部に接触媒質を供給する側方供給口と、
    接触媒質滞留部から接触媒質とともに気泡を吸引して排出する側方排出口および上方排出口とを備え、
    側方供給口および側方排出口が接触媒質滞留部の接触媒質に渦流を発生させるように配設され、かつ、その接触媒質の渦流の中心に上方排出口が配設されていることを特徴とする超音波探傷装置。
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