JP6019726B2 - 油中水型エマルション爆薬組成物 - Google Patents
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Description
油類としては、従来から公知の油中水型エマルション爆薬に使用されている全てのものが包含され、非水溶性のものであれば特に限定されない。例えば、パラフイン系炭化水素、オレフイン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素、飽和又は不飽和炭化水素、石油精製鉱油、潤滑油、流動パラフイン等の炭化水素、ニトロ炭化水素等の炭化水素誘導体、燃料油及び石油から誘導される未精製もしくは精製マイクロクリスタリンワックス、パラフインワックス、鉱物性ワックスであるモンタンワックス等、動物性ワックスである鯨ロウ、昆虫ワックスである蜜ロウ等のワックス類、合成ワックスであるポリエチレンワックス等が挙げられる。これらの油類は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。必要に応じて、ポリブテン、ポリイソブチレン、酢酸ビニルなどを添加することもできる。
酸化剤水溶液も、従来から公知の油中水型エマルション爆薬に使用されている全てのものを特に制限無く使用可能である。酸化剤としては、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の硝酸塩や過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム等の無機過塩素酸塩、硝酸ヒドラジン、硝酸モノメチルアミン等の水溶性アミン硝酸塩等が挙げられる。これら酸化剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。なお、上記酸化剤のうち、溶解温度が低く、かつ溶解量が多い点から、硝酸アンモニウム単独又は硝酸アンモニウムと他の酸化剤との混合物が好ましい。
乳化剤も、従来から公知の油中水型エマルション爆薬に使用されている全てのものが包含され、非イオン性界面活性剤であれば特に限定されない。非イオン性界面活性剤としては、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸のモノまたはジグリセライド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキサゾリン誘導体、イミダゾリン誘導体、リン酸エステル、脂肪酸アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、1級、2級もしくは3級アミン塩等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。なお、上記乳化剤のうち、エマルション構造の安定性の点からソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
微小中空球体も、従来から公知の油中水型エマルション爆薬に使用されている全てのものを特に制限無く使用可能である。微小中空球体としては、例えばガラス、アルミナ、頁石、シラス、珪砂、火山岩、ケイ酸ナトリウム、ホウ砂、真珠石、黒曜石等から得られる無機質微小中空球体や、ピッチ、石炭等から得られる炭素質微小中空球体や、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、尿素樹脂等から得られる合成樹脂微小中空球体等が挙げられる。これらの微小中空球体は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
そのうえで、本発明の油中水型エマルション爆薬組成物では、長期保存用の添加剤としてジブチルヒドロキシトルエンと共にアスコルビン酸を含有する。理由は定かではないが、当該添加剤を油中水型エマルション爆薬組成物に添加することで長期保存が可能となり、例えば製造から18ヶ月後でも良好な針入度及び爆発感度が維持される。当該添加剤の添加量は、当該添加剤を除いた油中水型エマルション爆薬組成物の全量(添加剤以外の基本組成の全量)100質量部に対して0.01〜10質量部とし、好ましくは0.1〜8質量部とする。当該添加剤の添加量が0.01質量部未満では、有効な長期保存効果が得られない可能性がある。一方、当該添加剤の添加量が10質量部を超えると、爆発威力が低下する可能性がある。
以上、本発明において必須の配合成分について説明したが、その他の添加剤として、爆発威力を向上するための発熱剤(還元剤)を添加することもできる。発熱剤としても、従来から公知の油中水型エマルション爆薬に使用されている全てのものを特に制限無く使用可能であり、例えば平均粒径10〜1000μm程度の、アルミニウム、マグネシウム等の金属粉末が挙げられる。これらの発熱剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。この場合、油中水型エマルション爆薬組成物中に占める発熱剤の配合割合(含有量)は、0.01〜30質量%程度、好ましくは1〜10質量%とすればよい。発熱剤の添加量が多いほど爆発威力が向上する傾向にあるが、発熱剤の配合割合が30質量%を超えると、反って爆発威力が低下する可能性がある。
油中水型エマルション爆薬組成物の製造方法も、従来からこの種の油中水型エマルション爆薬組成物の製造方法として使用されている全ての方法を特に制限無く使用可能である。具体的には、酸化剤を約85〜95℃の水に溶解させて酸化剤水溶液を得る。次いで約85〜95℃に加熱された油類と乳化剤の混合物に、十分攪拌しながら酸化剤水溶液を徐々に添加して油中水型エマルションとする。次いで、得られた油中水型エマルションに微小中空球体やその他の添加剤を加えて混合機で混合し、油中水型エマルション爆薬組成物を得る。そのうえで、エマルション爆薬とするには、当該油中水型エマルション爆薬組成物を、押し出し成型機等によって所定形状に成型し、防水加工等されたクラフト紙などで包装密閉することで完成である。成形の形状についても特に限定されず、球状、円柱状、円盤状、角柱状等のいずれでもよい。取り扱い性の点からは、円柱状や角柱状が好ましい。または、油中水型エマルション爆薬組成物を特に成形せず所定形状の非透水性容器へ直接充填することもできる。
まず、酸化剤として硝酸アンモニウム75.1質量部及び硝酸ナトリウム5.25質量部を、水11.57質量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、油類として融点80℃の石油系炭化水素からなるワックス2.65質量部と、乳化剤として親水性・親油性バランス(HLB)が4の、ソルビタンモノオレエート(油中水型エマルション用非イオン性界面活性剤)2.64質量部と、添加剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.01質量部を加温して溶融混合し、可燃剤混合物を得た。
添加剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部を油類と乳化剤とを混合して可燃剤混合物を得る際に添加した以外は、参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(実施例2)を調製し、参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
添加剤としてアスコルビン酸0.1質量部を酸化剤水溶液を得る際に添加し、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部を油類と乳化剤とを混合して可燃物を得る際に添加した以外は、参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(実施例3)を調製し、参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
添加剤としてアスコルビン酸1.5質量部を酸化剤水溶液を得る際に添加し、ジブチルヒドロキシトルエン5.5質量部を油類と乳化剤とを混合して可燃物を得る際に添加した以外は、参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(実施例3)を調製し、参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
長期保存用の添加剤を添加しない以外は、参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(比較例1)を調製し、参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
長期保存用の添加剤の代わりに、トリフェニルホスファイト0.1質量部を、油類と乳化剤とを混合して可燃剤混合物を得る際に添加した以外は、参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(比較例2)を調製し、参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
長期保存用の添加剤の代わりに、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート0.1質量部を、油類と乳化剤とを混合して可燃剤混合物を得る際に添加した以外は、参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(比較例3)を調製し、参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
油中水型エマルション爆薬の硬さを調べるために、針入度を測定した。針入度は、油中水型エマルション爆薬の中心部に133gの針を45mmの高さから自由落下させたときの深さ(mm)である。測定時の各試験体の温度は20℃にする。針入度は初期値からの低下が大きいもの程、油中水型エマルション爆薬の性能が低下していることを示す。
油中水型エマルション爆薬を−25℃に調温し、該油中水型エマルション爆薬の一端に、6号電気雷管を取り付け起爆する。完全に爆ごうしたかどうかは、起爆後の残薬の有無により判定する。エマルション構造が壊れると反応性が悪くなり、起爆感度も低下する。そのため、この試験により長期保存後の油中水型エマルション爆薬の起爆感度がわかる。これにより、長期保存の可否の目安となる。なお、判定基準は次の通りである。
◎:完全に爆ごうした ○:半爆であった ×:不爆であった
Claims (2)
- 油類と、酸化剤水溶液と、乳化剤と、微小中空球体とを含有する油中水型エマルション爆薬組成物であって、
さらに添加剤としてジブチルヒドロキシトルエン及びアスコルビン酸を含有することを特徴とする、油中水型エマルション爆薬組成物。 - 前記添加剤の添加量が、該添加剤を除いた油中水型エマルション爆薬の全量100質量部に対して0.01〜10質量部である、請求項1に記載の油中水型エマルション爆薬組成物。
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