JP3649868B2 - バルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物 - Google Patents

バルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は隧道堀進、採石、採鉱等の産業用の爆破作業に広く利用されるバルク装填用油中水型(以下、W/O型とも称する)エマルション爆薬組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記W/O型エマルション爆薬は、米国特許第3161551号明細書により初めて開示されて以来、その目的に応じて種々のものが提案されてきた。それらのW/O型エマルション爆薬は、基本的には炭素質燃料からなる連続相、無機酸化酸塩の水溶液からなる分散相、乳化剤および気泡保持材が含まれている。気泡保持材としては通常微小中空球体が用いられ、その選択によってブースター起爆から雷管起爆までの広範な感度をもつW/O型エマルション爆薬となる。
【0003】
これらW/O型エマルション爆薬は、その組成の中に火薬類を含有しないことから膠質ダイナマイトに比べて取扱い性に優れ、次第にその使用範囲が広まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、W/O型エマルション爆薬は、まず酸化剤水溶液、油類および乳化剤を高温条件で乳化し、その後、さらに微小中空球体を加えて撹拌混合することによって製造される。通常、このW/O型エマルションは極めて粘度が高く、グリース状あるいはマヨネーズ状の性状を有している。そのため、この高粘性のW/O型エマルションに比重の小さな微小中空球体を撹拌混合(以下、混和という)して均一にした後、紙あるいは合成樹脂チューブで包装されるのが最も一般的な製品形態である。
【0005】
ところが、最近W/O型エマルション爆薬の使用形態の一つとして、紙やプラスチックチューブなどの包装によらない、バルク状のまま直接装薬孔に注入する方式が開発されつつある。それは一般にバルク装填用W/O型エマルション爆薬といわれているが、通常のW/O型エマルション爆薬に要求される貯蔵安定性、低温起爆性などに加えて、流動性の良いことが新たな物性として求められている。
【0006】
しかしながら、前記W/O型エマルション爆薬は、製造時における乳化、混和時の粘度に比べて貯蔵温度における粘度が著しく大きくなる。この粘度上昇があまりにも大きいと流動性が乏しくなり、作業性が悪く、バルク装填に適さないものとなる。
【0007】
また、爆薬に添加される気泡保持材の量によって爆薬の比重、およびそれに連動する爆薬の感度が変化する。すなわち、気泡保持材の添加量が少ないと比重は高く、起爆感度は低いが、逆に気泡保持材の添加量が多いと比重は低く、起爆感度は高くなる傾向がある。使用条件によっては感度を高めるため気泡保持材を多量に添加する必要がある。この場合、気泡保持材の添加量が増すと爆薬の粘度が大きくなり、流動性が低下するという問題があった。
【0008】
この発明は、以上のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、温度の変化に対する粘度変化を小さく、しかも比重の変化に対する粘度変化を小さくできるとともに、流動性に優れ、作業性を良好にできるバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はこの目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定の粒径と材質の微小中空球体を用いるか、またはそれと特定の粘度範囲にある油類を組み合わせて用いることにより、目的とする油中水型エマルション爆薬が得られることを見い出したものである。
【0010】
すなわち、第1の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物は、酸化剤水溶液は無機酸化性塩水溶液であり、この無機酸化性塩の配合割合は爆薬組成物中の全組成に対して40〜80重量%であり、1〜5重量%の油類、1〜5重量%の乳化剤および0.3〜5重量%の微小中空球体よりなり、前記油類は40℃における動粘度が2〜350センチストークス(cSt)であり、前記微小中空球体は平均粒径が20〜1500μm、真比重が0.4以下であり、かつその材質が有機質である。
【0011】
第2の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物は、第1の発明において、前記微小中空球体は、アクリロニトリルと塩化ビニリデンの共重合樹脂またはポリスチレン樹脂より形成されたものである。
【0012】
第3の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物は、第1または第2の発明において、前記微小中空球体は、薄膜により形成されるモノセルまたはマルチセルであり、前記乳化剤は、ソルビトール脂肪酸エステルである
第4の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物は、第1の発明において、前記油類は、α−オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、炭化水素系合成油のいずれかである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
バルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物は、酸化剤水溶液、油類、乳化剤および微小中空球体よりなり、前記微小中空球体の平均粒径が20〜1500μmであり、かつその材質が有機質である。
【0014】
酸化剤水溶液は、バルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物において分散相を構成する無機酸化性塩水溶液であり、従来からW/O型エマルション爆薬に用いられているものすべてが包含される。無機酸化性塩としては、例えば硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の硝酸塩や過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム等の無機過塩素酸塩等が単独または混合物として用いられるが、水への溶解度や溶解温度から硝酸アンモニウム単独または硝酸アンモニウムと他の無機酸化性塩とを混合した水溶液が好ましい。
【0015】
これら無機酸化性塩の配合割合は、爆薬組成物中の全組成に対して一般に5〜90重量%の範囲が望ましく、40〜80重量%の範囲がさらに望ましい。この配合割合が5重量%未満の場合はW/O型エマルション爆薬の威力および感度が低く、逆に90重量%を越える場合はW/O型エマルション爆薬の安定性が低下する。
【0016】
これら無機酸化性塩は、水溶液として用いられるが、この場合の水の配合割合は、爆薬組成物中の全組成に対して好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜25重量%である。水の配合割合が3重量%未満では酸化剤を溶解することが困難になり、30重量%を超えると爆薬の威力が低下する。
【0017】
次に、前記油類は、W/O型エマルション爆薬組成物において連続相を構成する炭素質燃料であり、常法によりW/O型エマルション爆薬に用いられるものから選択される。
【0018】
例えば、パラフイン系炭化水素、オレフイン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素、飽和または不飽和炭化水素、石油精製鉱油、潤滑油、流動パラフイン等の炭化水素、ニトロ炭化水素等の炭化水素誘導体、燃料油および石油から誘導される未精製もしくは精製マイクロクリスタリンワックス、パラフインワックス、鉱物性ワックスであるモンタンワックス等、動物性ワックスである鯨ロウ、昆虫ワックスである蜜ロウ等のワックス類等の中から選択される。これらは単独または混合物として用いられる。
【0019】
前記油類の中では、バルク装填用W/O型エマルション爆薬の流動性を高めるため、常温で液状または軟質のオイル類やワックス類が好ましい。さらに、油類としては、流動性に優れ、かつ粘度の温度依存性および比重(気泡保持材)依存性が小さいエマルション爆薬を得ることができる点で、40℃における動粘度が2〜350cStのものが最も好ましい。この動粘度が2cSt未満のときは乳化が困難となる傾向にあり、350cStを超えるときは得られるW/O型エマルション爆薬の粘度が高すぎて流動性に乏しい傾向にある。
【0020】
また、薬質調整のため、石油樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量炭化水素重合体等を前記炭素質燃料成分と併用することもできる。これらの成分は、油類の内、通常90重量%以下の量で用いられる。
【0021】
油類は、爆薬に対して好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%で用いられる。油類が0.1重量%未満ではW/O型エマルション爆薬の安定性が悪くなり、一方10重量%を越える場合はW/O型エマルション爆薬の威力が低下する傾向にある。
【0022】
次に、乳化剤は、従来からW/O型エマルション爆薬に使用されているものいずれもが使用可能である。この乳化剤としては、例えば、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールモノオレート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールセスキオレート、ソルビトールジオレート、ソルビトールトリオレート等のソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸のモノまたはジグリセライド、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、オキサゾリン誘導体、イミダゾリン誘導体、リン酸エステル、脂肪酸アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、第1級、第2級または第3級アミン塩等が挙げられる。これらは、1種または2種以上の混合物として使用される。
【0023】
これらの中で、エマルション爆薬の安定性の点から好ましい乳化剤は、ソルビトール脂肪酸エステル(正確にはソルビトール脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとソルバイド脂肪酸エステルの混合物であるが、ソルビトール脂肪酸エステルを主成分とするもの)である。これら乳化剤の配合量は、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。乳化剤が0.1重量%未満の場合はW/O型エマルション爆薬の安定性が悪くなり、逆に10重量%を越える場合はW/O型エマルション爆薬の爆発エネルギーが低下する傾向にある。
【0024】
次に、有機質の微小中空球体(マイクロバルーン)は気泡保持材として用いられ、エマルション爆薬の感度等を調整するためのもので、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂より得られるものである。これらは、耐圧強度、耐熱性、真比重、爆薬の経時安定性に与える影響、爆薬の薬質に与える影響等を考慮して選定される。特に、爆薬の軟らかい薬質に与える影響と耐熱性を重視して決定される。耐熱性は、エマルション爆薬がその製造工程、特に混和工程において高温に晒されるため、100℃程度の耐熱性が要求される。従って、これらの観点から、アクリロニトリルと塩化ビニリデンの共重合樹脂またはポリスチレン樹脂が好ましい。
【0025】
また、微小中空球体の真比重は小さいことから、見掛け上少量の添加量で爆薬の比重低下効果を得ることができる。この微小中空球体の真比重は、0.4以下が好ましく、0.2以下がさらに好ましい。
【0026】
この微小中空球体の平均粒径は、20〜1500μmの範囲であり、30〜1000μmの範囲であることが好ましい。また、微小中空球体は気泡体が単一である場合(モノセル)と、多泡体である場合(マルチセル)のいづれの形態であってもよい。これらのモノセルまたはマルチセルは、所要の起爆性能を発揮するために薄膜により形成されることが望ましい。微小中空球体の平均粒径が20μmよりも小さいと、起爆感度に優れず、不発を生じる場合がある。平均粒径が1500μmよりも大きいと、爆速が小さくなり、安定に爆轟しない。
【0027】
微小中空球体の使用量は、通常使用する微小中空球体の比重等によるが、全組成に対して0.1〜7重量%の範囲であることが好ましく、0.3〜5重量%の範囲であることがさらに好ましい。この使用量が0.1重量%未満の場合はW/O型エマルション爆薬の感度が低下し、逆に7重量%を越える場合は爆薬の比重が小さくなりすぎて装薬孔に装填される爆薬の量が少なくなり、結果として爆薬の威力が低下する傾向にある。
【0028】
また、有機質の微小中空球体は、その表面が撥水性物質でコーティングされていてもよい。コーティングに用いられる物質としては、例えば、低分子系シランカップリング剤、高分子系シランカップリング剤、フッ素系界面活性剤、ステアリン酸、含フッ素メタクリレート系または含フッ素アクリレート系潤滑剤などが挙げられる。
【0029】
さらに、W/O型エマルション爆薬組成物には、爆発力の増大を図るために、アルミニウム粉、マグネシウム粉等の金属粉末、木粉、澱粉等の有機粉末を添加することができる。
【0030】
以上のW/O型エマルション爆薬組成物は、常法に従って、例えば、まず酸化剤水溶液に油類および乳化剤を混合し、高速撹拌によってW/O型エマルションを製造し、その後微小中空球体および必要により金属粉末や有機粉末等を加えて混和機で均一に撹拌混合することによって製造される。
【0031】
上記のような実施形態によって得られる効果について以下に述べる。
・ 実施形態のバルク装填用W/O型エマルション爆薬によれば、有機質の微小中空球体を用い、その平均粒径を20〜1500μmに設定したことから、製造時の高温における粘度と、使用時すなわち常温における粘度との差を小さくすることができる。つまり、エマルション爆薬の温度の変化に対する粘度変化を小さくすることができる。
・ 実施形態のバルク装填用W/O型エマルション爆薬によれば、気泡保持材である有機質で平均粒径が20〜1500μmの微小中空球体の添加量による粘度変化が小さい。つまり、エマルション爆薬の比重の変化に対する粘度変化が小さい。
・ 実施形態のバルク装填用W/O型エマルション爆薬によれば、エマルション爆薬は流動性に優れていることから、バルク装填における作業性を向上させることができる。
【0032】
【実施例】
次に、実施例および比較例により、前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
まず、硝酸アンモニウム70.1重量部および硝酸ナトリウム10.3重量部を水10.3重量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、ソルビトールモノオレート1.4重量部と、40℃における動粘度が5.0cStのα−オレフィンオリゴマー(ライオン社製の商品名、リポルーブ20)5.0重量部との混合物を加温して溶融させ、約80℃の可燃剤混合物を得た。これら酸化剤水溶液と可燃剤混合物とを乳化装置に導き、乳化させてW/O型エマルションを得た。
【0033】
このW/O型エマルションに、真比重が0.03、平均粒径が70μmのアクリロニトリル樹脂製の微小中空球体〔販売元 日本フィライト(株)の商品名エクスパンセルDE80〕0.5重量部を加え、縦型混和機を用いて混合し、バルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物を得た。このものの比重は1.18であった。
【0034】
このバルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物の粘度をE型粘度計(東京計器株式会社製、商品名EHD−ST型)で測定した。測定条件は、回転数10rpm、試料温度5℃、25℃、50℃、80℃とした。試験に用いた試料の組成割合を表1に、そして粘度測定結果を表2にそれぞれ示した。また、添加する気泡材の量を調整することにより、W/O型エマルション爆薬の比重を種々変えて、25℃における粘度を測定した。その結果を表3に示した。
【0035】
なお、表1中の数値は重量%を表し、表2中の粘度の単位はPa・sであり、( )内の数値は80℃における粘度との差を表す。また、表3中の粘度の単位はPa・sであり、( )内の数値は比重1.30における粘度との差を表す。
(実施例2)
まず、硝酸アンモニウム70.1重量部および硝酸ナトリウム10.3重量部を水10.3重量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、ソルビトールモノオレート1.4重量部と、40℃における動粘度が10cStの流動パラフィン5.0重量部との混合物を加温して溶融させ、約80℃の可燃剤混合物を得た。これら酸化剤水溶液と可燃剤混合物とを乳化装置に導き、W/O型エマルションを得た。
【0036】
このW/O型エマルションに、真比重が0.03、平均粒径が70μmのアクリロニトリル樹脂製の微小中空球体〔販売元 日本フィライト(株)の商品名エクスパンセルDE80〕0.5重量部を加え、縦型混和機を用いて混合し、バルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物を得た。このものの比重は1.18であった。
【0037】
このバルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物の粘度を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。また、添加する気泡材の量を調整することにより、W/O型エマルション爆薬の比重を種々変えて、25℃における粘度を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例3)
まず、硝酸アンモニウム70.1重量部および硝酸ナトリウム10.3重量部を水10.3重量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、ソルビトールモノオレート1.4重量部と、40℃における動粘度が155cStの炭化水素系合成油(三井石油化学社製の商品名ルーカントHC−20)5.0重量部とを加温して溶融させ、約80℃の可燃剤混合物を得た。これら酸化剤水溶液と可燃剤混合物とを乳化装置に導き、W/O型エマルションを得た。
【0038】
このW/O型エマルションに、真比重が0.02、平均粒径が65μmのアクリロニトリル樹脂製の微小中空球体〔松本油脂製薬(株)製、商品名松本マイクロスフェアF−80ED〕0.4重量部を加え、縦型混和機を用いて混合し、バルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物を得た。このものの比重は1.15であった。
【0039】
このバルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物の粘度を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。また、添加する気泡材の量を調整することにより、W/O型エマルション爆薬の比重を種々変えて、25℃における粘度を測定した。その結果を表3に示した。
(実施例4)
まず、硝酸アンモニウム70.1重量部および硝酸ナトリウム10.3重量部を水10.3重量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、ソルビトールモノオレート1.4重量部と、40℃における動粘度が367cStのα−オレフィンオリゴマー(ライオン製、商品名リポルーブ400H)5.0重量部とを加温して溶融させ、約80℃の可燃剤混合物を得た。これら酸化剤水溶液と可燃剤混合物とを乳化装置に導き、W/O型エマルションを得た。
【0040】
このW/O型エマルションに、真比重が0.05、平均粒径が430μmのポリスチレン樹脂微小中空球体〔積水化成(株)製〕0.7重量部を加え、縦型混和機を用いて混合し、バルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物を得た。このものの比重は1.22であった。
【0041】
このバルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物の粘度を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。また、添加する気泡材の量を調整することにより、W/O型エマルション爆薬の比重を種々変えて、25℃における粘度を測定した。その結果を表3に示した。
(比較例1)
まず、硝酸アンモニウム70.1重量部および硝酸ナトリウム10.3重量部を水10.3重量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、ソルビトールモノオレート1.4重量部と40℃における動粘度が7.3cStの流動パラフィン5.0重量部との混合物を加温して溶融させ、約80℃の可燃剤混合物を得た。これら酸化剤水溶液と可燃剤混合物とを乳化装置に導き、W/O型エマルションを得た。
【0042】
このW/O型エマルションに、真比重が0.25、平均粒径が65μmのガラスよりなる微小中空球体〔旭硝子(株)製,商品名:Z−25〕5.0重量部を加え、縦型混和機を用いて混合しW/O型エマルション爆薬組成物を得た。このものの比重は1.17であった。
【0043】
このW/O型エマルション爆薬組成物の粘度を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示した。また、添加する気泡材の量を調整することにより、W/O型エマルション爆薬の比重を種々変えて、25℃における粘度を測定した。その結果を表3に示した。
(比較例2)
実施例2と同様、硝酸アンモニウム70.1重量部および硝酸ナトリウム10.3重量部を水10.3重量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、ソルビトールモノオレート1.4重量部と、40℃における動粘度が10cStの流動パラフィン4.0重量部と40℃における動粘度が48cStのα−オレフィンオリゴマー〔ライオン社製の商品名、商品名リポルーブ80〕1.0重量部との混合物を加温して溶融させ、約80℃の可燃剤混合物を得た。
【0044】
これら酸化剤水溶液と可燃剤混合物とを乳化装置に導き、W/O型エマルションを得た。このW/O型エマルションに真比重が0.02、平均粒径が65μmのガラス製の微小中空球体(PQ社製、商品名Qcel−500)4.0重量部を加え、縦型混和機を用いて混合し、W/O型エマルション爆薬組成物を得た。このものの比重は1.20であった。
【0045】
試験に用いた試料の組成割合を表4に、そしてこのW/O型エマルション爆薬組成物の粘度を実施例1と同様に測定した結果を表2に示した。また、添加する気泡材の量を調整することにより、W/O型エマルション爆薬の比重を種々変えて、25℃における粘度を測定した。その結果を表3に示した。なお、表4中の数値は重量%である。
【0046】
【表1】
Figure 0003649868
【0047】
【表2】
Figure 0003649868
【0048】
【表3】
Figure 0003649868
【0049】
【表4】
Figure 0003649868
表2に示したように、実施例1〜4の場合、比較例1および2の場合に比べて、温度によるエマルション爆薬の粘度の変化が小さいことが明らかである。また、表3に示したように、実施例1〜4の場合、比較例1および2の場合に比べて、爆薬の比重が変化しても、エマルション爆薬の粘度の変化が小さいことがわかる。
【0050】
以上のことから、実施例1〜4に示したような有機質の気泡保持材を用いるか、またはそれと組み合わせて40℃における動粘度が2〜350cStである油類を使用することにより、流動性に優れたバルク装填用W/O型エマルション爆薬を得ることができる。
【0051】
なお、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 前記酸化剤水溶液は、硝酸アンモニウム単独または硝酸アンモニウムと他の無機酸化性塩との水溶液である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物。
【0052】
このように構成した場合、酸化剤水溶液の水への溶解度を大きくできるとともに、溶解温度を低くすることができる。
・ 前記乳化剤は、ソルビトール脂肪酸エステルである請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物。
【0053】
このように構成した場合、バルク装填用W/O型エマルション爆薬組成物の安定性を向上させることができる
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば次のような効果を奏する。
第1の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物によれば、40℃における動粘度が2〜350センチストークス(cSt)である油類を使用すると共に、有機質の微小中空球体を用い、その平均粒径を20〜1500μm、真比重が0.4以下に設定したことから、温度の変化に対する粘度変化を小さく、しかも比重の変化に対する粘度変化を小さくできるとともに、流動性に優れ、作業性を向上させることができる。
【0056】
第2の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物によれば、エマルション爆薬組成物に軟らかい薬質と耐熱性を付与することができる。
【0057】
第3の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物によれば、第1の発明または第2の発明の効果に加え、微小中空球体を薄膜のモノセルまたはマルチセルとしたことから、爆薬の起爆性能を効果的に発揮させることができる。
第4の発明のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物によれば、第1の発明の効果に加え、見掛け上少量の添加量で爆薬の比重低下効果を得ることができる。

Claims (4)

  1. 酸化剤水溶液は無機酸化性塩水溶液であり、この無機酸化性塩の配合割合は爆薬組成物中の全組成に対して40〜80重量%であり、1〜5重量%の油類、1〜5重量%の乳化剤および0.3〜5重量%の微小中空球体よりなり、前記油類は40℃における動粘度が2〜350センチストークス(cSt)であり、前記微小中空球体は平均粒径が20〜1500μm、真比重が0.4以下であり、かつその材質が有機質であるバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物。
  2. 前記微小中空球体は、アクリロニトリルと塩化ビニリデンの共重合樹脂またはポリスチレン樹脂より形成されたものである請求項1に記載のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物。
  3. 前記微小中空球体は、薄膜により形成されるモノセルまたはマルチセルであり、前記乳化剤は、ソルビトール脂肪酸エステルである請求項1または請求項2に記載のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物。
  4. 前記油類は、α−オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、炭化水素系合成油のいずれかである請求項1に記載のバルク装填用油中水型エマルション爆薬組成物。
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