以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
(実施形態1)
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る情報出力システム1000について説明する。
情報出力システム1000は、電気機器310,320,330を含む複数の電気機器が設置された工場、作業場、ビル、施設、事業所、又は、一般家庭等において、電気機器のメンテナンス又は取り替え等のために、分岐ブレーカ410,420,430と電気機器310,320,330との接続関係を調査するためのシステムである。すなわち、作業者であるユーザは、情報出力システム1000を用いて、どの分岐ブレーカ410,420,430にどの電気機器310,320,330が接続されているのかを確認することができる。
電気機器310,320,330のそれぞれは、供給された交流電力を、電気機器310の機能や運転状態に応じた電流パターンで消費する機器である。電気機器310,320,330は、例えば、空調機器、照明機器、換気扇、冷蔵庫、テレビ、電気給湯機、電子レンジ、プリンタ、又は、パーソナルコンピュータ等である。或いは、情報出力システム1000が工場又は作業場等で使用される場合には、電気機器310,320,330は、例えば動力機器、工作機械、又は、計測機器等であってもよい。このように、電気機器310,320,330は、電力を消費して動作するどのような機器であってもよい。以下、理解を容易にするために、電気機器310,320,330は、いずれも同等の機能を有するとして説明する。
電気機器310,320,330のそれぞれは、分電盤500を介して、商用電源600から交流電力の供給を受ける。商用電源600により供給される交流電力の実効値は、例えば100V、120V、200V又は220V等であり、交流電力の周波数は、例えば50Hz又は60Hz等である。
分電盤500は、主幹ブレーカ400と、分岐ブレーカ410,420,430と、を収容している。主幹ブレーカ400及び分岐ブレーカ410,420,430は、異常時に一次側から二次側に流れる電流を遮断する機器である。主幹ブレーカ400は、商用電源600から交流電力の供給を受ける。分岐ブレーカ410,420,430のそれぞれは、電力線L0と電力線N0とにより主幹ブレーカ400に接続されており、主幹ブレーカ400から交流電力の供給を受ける。
図1の例では、電気機器310は、電力線L1と電力線N1とにより分岐ブレーカ410に接続されており、分岐ブレーカ410から交流電力の供給を受ける。電気機器320及び電気機器330は、電力線L3と電力線N3とにより分岐ブレーカ430に接続されており、分岐ブレーカ430から交流電力の供給を受ける。一方で、分岐ブレーカ420に接続された電力線L2と電力線N2とには、電気機器は接続されていない。情報出力システム1000は、このような分岐ブレーカ410,420,430と電気機器310,320,330との接続関係を十分には把握していないユーザが、接続関係を確認するためのシステムである。
図1に示すように、情報出力システム1000は、信号注入装置100と、電流計測装置200と、を備える。信号注入装置100は、電力線L1,L2,L3のうちのいずれかの電力線に、カレントトランスCT1を通じて予め定められたパターンの信号を注入する機能を有する。電流計測装置200は、電力線L1,L2,L3のうちのいずれかの電力線に流れる電流を、カレントトランスCT2を通じて計測する機能を有する。情報出力システム1000において、電流計測装置200は親局(マスタ装置)として機能し、信号注入装置100は子局(スレーブ装置)として機能する。
信号注入装置100と電流計測装置200とのうち、一方の装置は分岐ブレーカ410,420,430側に配置され、他方の装置は電気機器310,320,330側に配置される。以下では、図1に示すように、信号注入装置100が電気機器310の近傍に配置され、電流計測装置200が分岐ブレーカ410の近傍に配置される場合を例にとって説明する。この場合、信号注入装置100は、電気機器310の近傍で、電気機器310に接続された電力線L1に予め定められたパターンの信号を注入し、電流計測装置200は、分岐ブレーカ410の近傍で、分岐ブレーカ410に流れる電流を計測する。なお、以下の説明において、電気機器310を電気機器320又は電気機器330に置き換えても同様に説明可能であるし、分岐ブレーカ410を分岐ブレーカ420又は分岐ブレーカ430に置き換えても同様に説明可能である。
図2に示すように、信号注入装置100は、制御部11と、増幅部12と、通信部13と、記憶部14と、表示部15と、操作部16と、計時部17と、を備える。信号注入装置100は、例えば汎用の乾電池又は蓄電池等の電池を内蔵しており、電池によって発生する電力によって動作する。
制御部11は、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して信号注入装置100の各部と接続され、信号注入装置100全体を制御する。制御部11は、様々な処理及び演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUによって実行されるプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、CPUのワークメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)と、を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、DSP(Digital Signal Processor)等ともいう。
増幅部12は、制御部11の制御のもと、電流を生成し、増幅して出力する回路を備える。増幅部12は、制御部11のCPUから供給された電圧信号を入力信号として受け付け、電圧信号の電圧値に比例する電流値の電流を生成する。そして、増幅部12は、図3に示すように、生成した電流を増幅器31によって増幅し、抵抗33を介して、カレントトランス(Current Transformer:電流変成器)CT1に出力する。
カレントトランスCT1は、電力線L1に電流を注入するための機器である。具体的に説明すると、カレントトランスCT1に流れる電流によってカレントトランスCT1の周囲に磁束(磁界)が生じると、生じた磁束の変化によって電力線L1に電流が流れる。カレントトランスCT1に流れる電流の大きさとは、電力線L1に注入される電流の大きさと、カレントトランスCT1のコイルの巻き数に応じて決まる比例係数で比例する。例えば、カレントトランスCT1側のコイルの巻き数をN1a、電力線L1側のコイルの巻き数をN1bとすると、カレントトランスCT1に値I1aの電流が流れた際に電力線L1に注入される電流の値I1bは、I1b=(N1a/N1b)×I1aで表される。カレントトランスCT1は、第1のカレントトランスとして機能する。
カレントトランスCT1は、先端が開閉自在に構成された環状のクランプ部を有するクランプ式の機器である。カレントトランスCT1は、電力線L1に電流を注入する際、クランプ部で電力線L1を挟み込むように囲むことで、電力線L1の外周に配置される。このように電力線L1の外周に配置された状態で、カレントトランスCT1は、増幅部12から供給された電流によって生じる電流信号を、電力線L1に注入する。
通信部13は、制御部11による制御のもと、電流計測装置200を含む外部の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部13は、例えば、電磁誘導を利用した近接場型の無線通信であるNFC(Near Field Communication)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、又は、有線LAN等を介して、電流計測装置200との間でデータを送受信する。また、通信部13は、外部ネットワークと接続され、外部の機器又はクラウドサーバ等と通信することができる。
記憶部14は、例えば、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリ、又は、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等を備える。記憶部14は、制御部11が各種処理を行うために使用する各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶部14は、制御部11が各種処理を行うことにより生成又は取得する各種データを記憶する。なお、制御部11におけるRAMを主記憶部、記憶部14を補助記憶部ともいう。
表示部15は、制御部11による制御のもと、各種の情報を表示する。表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、又は、LED(Light Emitting Diode)等の表示デバイスを備える。表示部15は、制御部11から画像信号を取得し、取得した画像信号に従った画像を、表示デバイスの画面に出力する。
操作部16は、ユーザから、各種の操作を受け付ける。操作部16は、例えば、キー、ボタン、又は、スイッチ等の入力デバイスを備える。操作部16は、入力デバイスを介してユーザから受け付けた操作の内容を示す制御信号を、制御部11に送信する。なお、表示部15と操作部16とは、これらが互いに重畳して配置されたタッチパネル(タッチスクリーン)として構成されるものであってもよい。
計時部17は、水晶発振子による発振回路、又は、RTC(Real Time Clock)等の計時用のデバイスを備える。計時部17は、信号注入装置100の電源がオフの間も計時を継続する。
図4に示すように、電流計測装置200は、制御部21と、計測部22と、通信部23と、記憶部24と、表示部25と、操作部26と、計時部27と、を備える。電流計測装置200は、例えば汎用の乾電池又は蓄電池等の電池を内蔵しており、電池によって発生する電力によって動作する。
制御部21は、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して電流計測装置200の各部と接続され、電流計測装置200全体を制御する。制御部21は、様々な処理及び演算を実行するCPUと、CPUによって実行されるプログラムを格納したROMと、CPUのワークメモリとして機能するRAMと、を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、DSP等ともいう。
計測部22は、制御部21の制御のもと、カレントトランスCT2を介して、電力線L1に流れる電流を計測する電流計を備える。計測部22は、予め定められたサンプリング周期で、電力線L1に流れる電流によってカレントトランスCT2に生じた電流を取得する。このサンプリング周期は、商用電源600の周期よりも十分に短い周期に設定される。
カレントトランスCT2は、電力線L1に流れる交流電流を計測するための電流センサである。具体的に説明すると、電力線L1に流れる交流電流によって電力線L1の周囲に磁束(磁界)が生じると、生じた磁束の変化によってカレントトランスCT2に交流電流が流れる。電力線L1に流れる電流の大きさと、カレントトランスCT2において検出される電流の大きさとは、カレントトランスCT2のコイルの巻き数に応じて決まる比例係数で比例する。例えば、カレントトランスCT2側のコイルの巻き数をN2a、電力線L1側のコイルの巻き数をN2bとすると、電力線L1に値I2bの電流が流れた際にカレントトランスCT2において検出される電流の値I2aは、I2a=(N2b/N2a)×I2bで表される。カレントトランスCT2は、第2のカレントトランスとして機能する。
カレントトランスCT2は、先端が開閉自在に構成された環状のクランプ部を有するクランプ式の機器である。カレントトランスCT2は、電力線L1に流れる交流電流を計測する際、クランプ部で電力線L1を挟み込むように囲むことで、電力線L1の外周に配置される。このように電力線L1の外周に配置された状態で、カレントトランスCT2は、電力線L1に流れる交流電流によって生じた電流を計測部22に出力する。
カレントトランスCT2から計測部22に出力された電流は、図5に示すように、シャント抵抗である抵抗34によって電圧情報に変換され、増幅器32によって増幅される。増幅された信号は、図示しないアナログ/デジタル変換器に入力され、サンプリング周期毎にサンプリングされてデジタル信号に変換される。このようにして、計測部22は、制御部21による制御に従って、サンプリング周期毎にサンプリングされた電流の値を時系列で示す電流情報を、制御部21に供給する。
通信部23は、制御部21による制御のもと、信号注入装置100を含む外部の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部23は、例えば、電磁誘導を利用した近接場型の無線通信であるNFC、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、又は、有線LAN等を介して、信号注入装置100との間でデータを送受信する。また、通信部23は、外部ネットワークと接続され、外部の機器又はクラウドサーバ等と通信することができる。
記憶部24は、例えば、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリ、又は、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等を備える。記憶部24は、制御部21が各種処理を行うために使用する各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶部24は、制御部21が各種処理を行うことにより生成又は取得する各種データを記憶する。なお、制御部21におけるRAMを主記憶部、記憶部24を補助記憶部ともいう。
表示部25は、制御部21による制御のもと、各種の情報を表示する。表示部25は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は、LED等の表示デバイスを備える。表示部25は、制御部21から画像信号を取得し、取得した画像信号に従った画像を、表示デバイスの画面に出力する。
操作部26は、ユーザから、各種の操作を受け付ける。操作部26は、例えば、キー、ボタン、又は、スイッチ等の入力デバイスを備える。操作部26は、入力デバイスを介してユーザから受け付けた操作の内容を示す制御信号を、制御部21に送信する。なお、表示部25と操作部26とは、これらが互いに重畳して配置されたタッチパネル(タッチスクリーン)として構成されるものであってもよい。
計時部27は、水晶発振子による発振回路、又は、RTC等の計時用のデバイスを備える。計時部27は、電流計測装置200の電源がオフの間も計時を継続する。
次に、図6を参照して、信号注入装置100及び電流計測装置200の機能について説明する。図6に示すように、信号注入装置100は、機能的に、信号注入部101と、注入情報送信部102と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部14に格納される。制御部11において、CPUが、ROM又は記憶部14に記憶されたプログラムを実行することによって、各部の機能を実現する。
信号注入部101は、電気機器310に接続された電力線L1に予め定められたパターンの信号を注入する。具体的に説明すると、信号注入部101は、制御部11の制御のもと、増幅部12によって増幅された電流を、電力線L1の外周に配置されたカレントトランスCT1に出力し、カレントトランスCT1を通じて、電力線L1に電流信号を注入する。このように、信号注入部101の機能は、制御部11、増幅部12及びカレントトランスCT1等が協働することによって、実現される。
信号注入部101によって信号が注入される電力線L1は、ユーザにとって電気機器310に接続されていることが認識されている電力線である。ユーザは、信号注入装置100によって信号を注入する際、電力線L1に分岐ブレーカ410が接続されていることを把握していない。ユーザは、図1及び図2に示したように電気機器310の近傍において、電気機器310に接続されていることを認識している電力線L1に信号注入装置100を設置する。この状態において、信号注入部101は、電力線L1に予め定められたパターンの信号を注入する。
予め定められたパターンの信号は、分岐ブレーカ410,420,430と電気機器310,320,330とが同一の回路として接続されているか否かを確認するための信号である。具体的に説明すると、信号注入部101は、予め定められたパターンの信号として、商用電源600の周波数(例えば50Hz又は60Hz等)よりも十分に高い周波数(例えば数100Hzから1kHz等)の予め定められた個数の電流信号を、互いに予め定められた時間間隔を空けて、電力線L1に注入する。
図7に、電気機器310に流れる電流の波形を示す。電気機器310には、電気機器310が接続された電力線L1及び電力線N1の間に印加される電圧、すなわち商用電源600により印加される電圧によって、電流が流れる。そのため、電気機器310に流れる電流は、商用電源600により供給される交流電力の周波数(例えば50Hz又は60Hz等)で、周期的に流れる。より詳細に説明すると、電気機器310に流れる電流の値は、電気機器310の機能や運転状態に依存する。そのため、電気機器310に流れる電流の波形は、電気機器310の機能や運転状態に応じた形状になる。図7の例は、電気機器310に流れる電流における正の振幅と負の振幅とが同程度である場合を示している。
このように商用電源600から供給されて電気機器310に流れる電流に対して、信号注入部101は、予め定められたパターンの信号として、4個の電流信号S1,S2,S3,S4を、互いに等しい時間間隔を空けて、注入する。その結果、図7に示すように、電気機器310及び電力線L1に流れる交流電流に、4個の電流信号S1,S2,S3,S4が重畳される。4個の電流信号S1,S2,S3,S4が注入される際の各時間間隔は、例えば100ミリ秒から1秒程度である。そのため、4個の電流信号S1,S2,S3,S4の全てが注入される期間の長さは、例えば数100ミリ秒から数秒程度である。
電力線L1に電流信号S1,S2,S3,S4を注入し終えると、信号注入部101は、信号の注入が完了したことを示す情報を表示部15の表示画面に出力する。具体的に説明すると、信号注入部101は、例えば図8に示すように、信号の注入が完了したことを示すメッセージを表示部15の表示画面に出力する。そして、信号注入部101は、電流信号S1,S2,S3,S4を注入した注入期間の開始時刻と終了時刻とを、計時部17の計時によって取得し、記憶部14に記憶する。
なお、信号注入部101は、信号の注入が完了した際、図8に示すように、その旨を示すメッセージと共に、注入情報を親局である電流計測装置200に送信するか、それとも更に他の電力線L2,L3に信号を注入するか、をユーザに選択させるための項目を、表示部15を介して表示する。電気機器310だけでなく、電気機器320又は電気機器330を接続関係の調査対象とする場合、ユーザは、操作部16を介して「1.他の電力線に信号を注入」の項目を選択する。その後、ユーザは、信号注入装置100を電力線L1から取り外し、電気機器320又は電気機器330に接続された電力線L3に設置する。そして、信号注入部101は、予め定められたパターンの信号として、電流信号S1,S2,S3,S4を電力線L2又は電力線L3に注入し、注入期間の開始時刻と終了時刻とを記憶部14に記憶する。
図9に、記憶部14に記憶された注入情報の例を示す。図9に示すように、記憶部14は、注入情報として、電気機器のID(Identification:識別情報)と、信号注入の開始時刻及び終了時刻とを、対応付けて記憶する。記憶部14は、このような注入情報を、電力線に電流信号S1,S2,S3,S4が注入された電気機器のそれぞれについて記憶する。
記憶部14に記憶されるIDは、電力線に信号が注入された電気機器を識別するための識別情報である。ユーザは、操作部16を介して、ユーザにとって認識し易いIDを自由に入力することができる。図9の例では、3つの電気機器310,320,330に対して、それぞれ「DEVICE A」、「DEVICE B」及び「DEVICE C」とのIDが付けられている。このように、信号注入装置100は、接続関係の調査対象となる電気機器に接続された電力線に、予め定められたパターンの信号を注入すると、その電気機器のIDと信号注入の開始時刻及び終了時刻とを対応付けて、記憶部14に順次記憶する。
図6に示した信号注入装置100の機能の説明に戻る。注入情報送信部102は、信号注入部101によって電気機器310に接続された電力線L1に予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングを示す情報と、電気機器310の識別情報(ID)と、を含む注入情報を、電流計測装置200に送信する。予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングを示す情報とは、具体的には、記憶部14に記憶された信号注入の開始時刻及び終了時刻である。
注入情報送信部102は、例えば図8に示した表示部15の表示画面においてユーザから「2.注入情報を親局に送信」の項目の選択を受け付けると、通信部13を介して、電流計測装置200の通信部23との間で、NFC、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、又は、有線LAN等による接続を開始する。そして、注入情報送信部102は、記憶部14に記憶された注入情報を、電流計測装置200に送信する。このように、注入情報送信部102の機能は、制御部11及び通信部13等が協働することによって、実現される。
なお、電気機器310が接続された電力線L1だけでなく、他の電気機器が接続された電力線にも予め定められたパターンの信号が注入された場合、注入情報送信部102は、電気機器310の注入情報だけでなく、記憶部14に記憶された複数の電気機器の注入情報をまとめて、電流計測装置200に送信する。
次に、電流計測装置200の機能の説明に移る。図6に示すように、電流計測装置200は、機能的に、電流計測部201と、注入情報受信部202と、判定部203と、情報出力部204と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部24に格納される。制御部21において、CPUが、ROM又は記憶部24に記憶されたプログラムを実行することによって、各部の機能を実現する。
電流計測部201は、分岐ブレーカ410に流れる電流を計測する。具体的に説明すると、電流計測部201は、制御部21の制御のもと、分岐ブレーカ410に接続された電力線L1の外周に配置されたカレントトランスCT2によって、分岐ブレーカ410に流れる電流を計測する。電流計測部201は、予め定められたサンプリング周期で、電力線L1に流れる電流によってカレントトランスCT2に生じた電流の値を取得する。このように、電流計測部201の機能は、制御部21、計測部22及びカレントトランスCT2等が協働することによって、実現される。
電流計測部201は、電流を計測している最中、予め定められた長さの計測期間を1個の計測単位として、信号注入装置100によって注入された予め定められたパターンの信号を検出したか否かを判定する。具体的に説明すると、電流計測部201は、予め定められた周波数の信号であって、予め定められた個数である4個の電流信号S1,S2,S3,S4を、互いに予め定められた時間間隔を空けて検出したか否かを判定する。このような予め定められたパターンの信号の周波数、個数及び時間間隔の情報は、記憶部24に記憶されており、信号注入装置100との間で予め共有されている。
電流計測部201は、計測期間のそれぞれにおいて、検出の有無と信号を検出した場合の検出時刻の情報とを、検出情報として順次記憶部24に記憶していく。図10に、記憶部24に記憶された検出情報の例を示す。図10に示すように、記憶部24は、検出情報として、計測期間のそれぞれについて、計測期間の開始及び終了時刻と、信号の検出の有無と、信号を検出した場合の検出時刻とを、対応付けて記憶する。
図10の例における第1、第2及び第4の計測期間のように、予め定められたパターンの信号を検出しなかった場合、電流計測部201は、検出情報として、その計測期間において検出が無かったことを示す情報を記憶する。これに対して、図10の例における第3の計測期間のように、予め定められたパターンの信号を検出した場合、電流計測部201は、検出情報として、その計測期間において検出が有ったことを示す情報と、その検出時刻と、を記憶する。この検出時刻は、予め定められた個数である4個の電流信号S1,S2,S3,S4を検出し終えた時刻に相当する。
図6に示した電流計測装置200の機能の説明に戻る。注入情報受信部202は、信号注入装置100の注入情報送信部102によって送信されたタイミングを示す情報と識別情報とを含む注入情報を受信する。具体的に説明すると、注入情報受信部202は、通信部23を介して、信号注入装置100の通信部13との間で、NFC、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、又は、有線LAN等による接続を開始する。注入情報受信部202は、注入情報送信部102からの注入情報の送信を待ち受け、注入情報送信部102から注入情報が送信されたことに応じて、注入情報を受信する。このように、注入情報受信部202の機能は、制御部21及び通信部23等が協働することによって、実現される。
判定部203は、電流計測部201によって計測された分岐ブレーカ410に流れる電流の中に予め定められたパターンの信号が含まれる場合であって、且つ、信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと電流計測部201によって予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングとが合致する場合に、分岐ブレーカ410と電気機器310とが電力線L1を介して接続されていると判定する。判定部203の機能は、制御部21によって実現される。
電流計測部201によって計測された分岐ブレーカ410に流れる電流の中に予め定められたパターンの信号が含まれる場合とは、例えば図10に示した検出情報における第3の計測期間のように、電流計測が実行された複数の計測期間の中に、信号注入装置100によって注入された電流信号S1,S2,S3,S4が検出された計測期間があった場合をいう。電流計測が実行された複数の計測期間の中に、電流信号S1,S2,S3,S4が検出された計測期間が1つも含まれていない場合、判定部203は、分岐ブレーカ410に接続された電気機器が無いと判定する。この場合、判定部203から判定結果を取得した情報出力部204は、分岐ブレーカ410に接続された電気機器が無いことを示す情報を、表示部25の表示画面に出力する。
具体的には図11に示すように、情報出力部204は、分岐ブレーカ410に接続された電気機器が無いことを示すメッセージを、表示部25の表示画面に出力する。このとき同時に、情報出力部204は、「DEVICE A」、「DEVICE B」及び「DEVICE C」のように、注入情報受信部202によって受信された注入情報に含まれるIDを、表示部25に表示させる。IDが表示されることで、ユーザは、現在電流を計測している分岐ブレーカ410に接続されていない電気機器がどれであるのかを認識することができる。
信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと電流計測部201によって予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングとが合致する場合とは、信号注入部101によって電流信号S1,S2,S3,S4が注入された時刻と、電流計測部201によって電流信号S1,S2,S3,S4が検出された時刻とが、合致する場合をいう。判定部203は、注入情報受信部202によって受信された注入情報に含まれる注入時刻と、記憶部24に記憶された検出情報に含まれる検出時刻と、を比較して、合致する注入時刻と検出時刻とがあるか否かを判定する。なお、検出時刻との比較対象となる注入時刻は、信号注入の終了時刻に相当する。合致する注入時刻と検出時刻とが無かった場合、判定部203は、分岐ブレーカ410に接続された電気機器が無いと判定する。この場合、判定部203から判定結果を取得した情報出力部204は、図11に示したように、分岐ブレーカ410に接続された電気機器が無いことを示す情報を、表示部25の表示画面に出力する。
ここで、合致するとは、予め定められた時間差の範囲内で一致することをいう。電流信号S1,S2,S3,S4の注入時刻と検出時刻とは、電流信号S1,S2,S3,S4が電力線内を伝搬する際の伝搬遅延、計時部17と計時部27との間における時刻合わせの誤差、又は、計時の精度等によって、ずれが生じる。そのため、合致と判定するための時間差の範囲は、このような時間のずれの要因を考慮して、例えば1秒から数秒程度の範囲に予め設定され、電流計測装置200における記憶部14に予め記憶される。
例えば図10に示した検出情報における第3の計測期間における検出時刻は、図9に示した「DEVICE A」に対する信号注入の終了時刻と、1秒以内の範囲で一致している。このように注入時刻と検出時刻との時間差が予め定められた範囲内である場合、判定部203は、信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと電流計測部201によって予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングとが合致すると判定する。この場合、判定部203は、電流が計測された分岐ブレーカ410と、このIDに対応する電気機器310と、が接続されていると判定する。
このように、電流計測部201によって計測された分岐ブレーカ410に流れる電流の中に予め定められたパターンの信号が含まれる場合であって、且つ、信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと電流計測部201によって予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングとが合致する場合、情報出力部204は、分岐ブレーカ410と電気機器310とが電力線L1を介して接続されていることを示す情報を出力する。情報出力部204は、分岐ブレーカ410と電気機器310とが接続されていることを示す情報を出力する際、注入情報受信部202によって受信された電気機器310のIDを出力する。
具体的には図12に示すように、情報出力部204は、電流計測装置200が設置された電力線L1に「DEVICE A」とのIDの電気機器310が接続されていることを示すメッセージを、表示部25の表示画面に出力する。これにより、ユーザは、電流を計測した分岐ブレーカ410に、電気機器310が接続されていることを認識することができる。このように、情報出力部204の機能は、制御部21及び表示部25等が協働することによって、実現される。
次に、図13及び図14に示すフローチャートを参照して、情報出力システム1000において実行される処理について説明する。
図13及び図14に示すフローチャートの処理が開始する前、信号注入装置100は、電気機器310,320,330のうちの接続関係の調査対象となる電気機器の近傍において、この電気機器に接続された電力線の外周にカレントトランスCT1のクランプ部が配置される状態になるように、ユーザによって設置される。且つ、電流計測装置200は、分岐ブレーカ410,420,430のうちの接続関係の調査対象となるブレーカの近傍において、このブレーカに接続された電力線の外周にカレントトランスCT2のクランプ部が配置される状態になるように、ユーザによって設置される。このような状態において、図13及び図14に示すフローチャートの処理は開始する。
第1に、図13に示すフローチャートを参照して、信号注入装置100によって実行される信号注入処理について説明する。信号注入装置100において、制御部11は、まずIDの入力を受け付ける(ステップS101)。すなわち、制御部11は、接続関係の調査対象とされた電気機器を識別するためのIDの入力を、操作部16を介して、ユーザから受け付ける。
IDの入力を受け付けると、制御部11は、信号注入の開始指示があるか否かを判定する(ステップS102)。例えば、制御部11は、信号注入の開始を指示する操作が、ユーザから操作部16を介して受け付けられたか否かを判定する。制御部11は、開始指示が受け付けられていない場合(ステップS102:NO)、ステップS102に留まり、開始指示を待ち受ける。
信号注入の開始指示を受け付けると(ステップS102:YES)、制御部11は、信号注入装置100が設置された電力線に、予め定められたパターンの信号を注入する(ステップS103)。具体的に説明すると、制御部11は、商用電源600の周波数に比べて高周波の予め定められた個数の電流信号を、互いに予め定められた時間間隔を空けて、電力線に注入する。これにより、例えば図7に示したように、電力線L1に流れる交流電流に、電流信号S1,S2,S3,S4が重畳される。ステップS103において、制御部11は、増幅部12及びカレントトランスCT1と協働することにより、信号注入部101として機能する。
予め定められたパターンの信号を注入すると、制御部11は、注入時刻及びIDを、記憶部14に記憶する(ステップS104)。具体的に説明すると、制御部11は、図9に示したように、信号の注入の開始時刻及び終了時刻を、ステップS101において受け付けた電気機器のIDと対応付けて、記憶部14に記憶する。
時刻及びIDを記憶部14に記憶すると、制御部11は、注入の完了を表示部15に出力する(ステップS105)。具体的には図8に示したように、制御部11は、信号の注入が完了したことを示す情報を表示部15の表示画面に表示することで、信号注入装置100が現在設置されている電力線に対する処理が完了したことをユーザに報知する。
注入の完了を出力すると、制御部11は、記憶部14に記憶された注入情報の送信指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS106)。ユーザは、信号の注入が完了すると、例えば図8に示した表示画面において、注入情報を電流計測装置200に送信するか、他の電力線に信号を注入するか、の指示を、操作部16を介して入力することができる。
送信指示を受け付けなかった場合は(ステップS106;NO)、接続関係の調査対象となる他の電気機器が存在するため、他の電力線に信号を注入する指示を受け付けた場合に相当する。この場合、制御部11は、ステップS101に処理を戻す。このとき、ユーザは、信号注入装置100を、他の電気機器に接続された電力線の外周にカレントトランスCT1のクランプ部が配置される状態になるように、設置する。この状態において、制御部11は、ステップS101からS106の処理を繰り返す。すなわち、制御部11は、新たに接続関係の調査対象となった電気機器を識別するためのIDの入力を受け付け、信号の注入指示に応じて、新たに信号注入装置100が設置された電力線に予め定められたパターンの信号を送信する。そして、信号を注入した時刻及びIDを、記憶部14に記憶する。
ステップS106において、送信指示を受け付けると(ステップS106;YES)、制御部11は、電流計測装置200に、記憶部14に記憶された注入情報を送信する(ステップS107)。具体的に説明すると、制御部11は、通信部13を介して、電流計測装置200の通信部23との間で適宜の通信による接続を開始し、記憶部14に記憶された注入情報を送信する。ステップS107において、制御部11は、通信部13と協働することにより、注入情報送信部102として機能する。
注入情報を送信すると、制御部11は、送信が完了したことを示す情報を表示部15に表示して、図13に示した信号注入処理を終了する。
第2に、図14に示すフローチャートを参照して、電流計測装置200によって実行される電流計測処理について説明する。
電流計測装置200において、まず、制御部21は、電流計測の開始指示があるか否かを判定する(ステップS201)。例えば、制御部21は、電流計測の開始を指示する操作が、ユーザから操作部26を介して受け付けられたか否かを判定する。制御部21は、開始指示が受け付けられていない場合(ステップS201:NO)、ステップS201に留まり、開始指示を待ち受ける。
電流計測の開始指示を受け付けると(ステップS201:YES)、制御部21は、電流計測装置200が設置された電力線を流れる電流を計測する(ステップS202)。具体的に説明すると、制御部21は、計測部22を制御して、カレントトランスCT2による電流の計測を開始させる。以後、計測部22は、サンプリング周期が経過する毎に、カレントトランスCT2から電流を取得する。計測部22は、取得した電流の値で、図示しないバッファに記憶された電流情報を更新する。ステップS202において、制御部21、計測部22及びカレントトランスCT2等が協働することにより、電流計測部201として機能する。
電流の計測を開始すると、制御部21は、予め定められた長さの計測期間のそれぞれにおいて、信号注入装置100によって注入された予め定められたパターンの信号を検出したか否かを判定する(ステップS203)。具体的に説明すると、制御部21は、予め定められた個数である4個の電流信号S1,S2,S3,S4を、互いに予め定められた時間間隔を空けて検出したか否かを判定する。
現在の計測期間において、予め定められたパターンの信号を検出しなかった場合(ステップS203;NO)、制御部21は、検出情報として、その計測期間において検出が無かったことを示す情報を記憶部24に記憶する(ステップS204)。これに対して、現在の計測期間において、予め定められたパターンの信号を検出した場合(ステップS203;YES)、制御部21は、検出情報として、その計測期間において検出が有ったことを示す情報、及び、その検出時刻を記憶部24に記憶する(ステップS205)。このようなステップS204及びステップS205の処理により、記憶部24には、図10に示したような検出情報が順次蓄積される。
検出情報を記憶部24に記憶すると、制御部21は、電流計測を終了したか否かを判定する(ステップS206)。電流計測を終了していない場合(ステップS206;NO)、制御部21は、ステップS202に処理を戻し、ステップS202からステップS206の処理を繰り返す。すなわち、制御部21は、引き続き、電流計測装置200が設置された電力線を流れる電流を計測し、予め定められたパターンの信号の検出情報を記憶部24に記憶していく。
最終的に、電流計測を終了すると(ステップS206;YES)、制御部21は、信号注入装置100から注入情報を受信したか否かを判定する(ステップS207)。注入情報を受信していない場合(ステップS207;NO)、制御部21は、ステップ207に処理を留め、注入情報の受信を待ち受ける。ステップS207において、制御部21は、通信部23と協働することにより、注入情報受信部202として機能する。
注入情報を受信すると(ステップS207;YES)、制御部21は、予め定められたパターンの信号の検出があったか否かを判定する(ステップS208)。具体的に説明すると、制御部21は、記憶部24に記憶された検出情報を参照して、実行された電流計測において、信号注入装置100によって注入された電流信号S1,S2,S3,S4が検出された計測期間があったか否かを判定する。
信号の検出があった場合(ステップS208;YES)、制御部21は、その検出時刻と合致する注入時刻があるか否かを判定する(ステップS209)。具体的に説明すると、制御部21は、受信した注入情報によって示される信号の注入時刻と、検出情報として記憶部24に記憶された信号の検出時刻と、を比較して、検出時刻と予め定められた時間差の範囲内で一致している注入時刻があるか否かを判定する。ステップS208及びステップS209において、制御部21は、判定部203として機能する。
信号の検出がなかった場合(ステップS208;NO)、及び、信号の検出があっても検出時刻と合致する注入時刻がなかった場合(ステップS209;NO)、制御部21は、電気機器が接続されていないことを出力する(ステップS210)。具体的に説明すると、制御部21は、図11に示したように、分岐ブレーカ410に接続された電気機器が無いことを示すメッセージを、受信した注入情報に含まれるIDと共に、表示部25に表示させる。
これに対して、検出時刻と合致する注入時刻があった場合(ステップS209;YES)、制御部21は、電気機器が接続されていることを出力する(ステップS211)。具体的に説明すると、制御部21は、図12に示したように、分岐ブレーカ410に電気機器310が接続されていることを示すメッセージを、受信した注入情報において検出時刻と合致した注入時刻に対応付けられたIDと共に、表示部25に表示させる。ステップS210及びステップS211において、制御部21は、表示部25と協働することにより、情報出力部204として機能する。
このように、電気機器が接続されているか否かを示す情報を出力すると、制御部21は、図14に示した電流計測処理を終了する。
以上説明したように、実施形態1に係る情報出力システム1000によれば、電気機器側に設置された信号注入装置100によってこの電気機器に接続された電力線に予め定められたパターンの信号を注入し、分岐ブレーカ側に設置された電流計測装置200によってこの分岐ブレーカに流れる電流を計測する。そして、電流計測装置200が、計測した電流の中に予め定められたパターンの信号が含まれる場合であって、且つ、予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングとが合致する場合に、分岐ブレーカと電気機器とが接続されていることを示す情報を出力する。注入された信号が検出されたか否かだけではなく、信号が注入されたタイミングと信号が検出されたタイミングとが合致するか否かを、接続の判定基準に用いているため、注入された信号とは別の信号の検出、又は、周囲からのノイズ信号の検出等による誤判定を抑制することができる。その結果、分岐ブレーカと電気機器とが接続されているか否かを高い精度で判定することができる。
特に、実施形態1に係る情報出力システム1000は、例えば大規模な工場、ビル又は施設等において、電気機器310,320,330が設置された位置と分岐ブレーカ410,420,430が設置された位置とが離れている場合、又は、設置されている電気機器の個数が多い場合のように、分岐ブレーカ410,420,430と電気機器310,320,330との接続関係を簡単には把握できない場合に使用されると、効果的である。一方で、小規模な工場、ビル若しくは施設、又は、一般家庭等であっても、電気機器310,320,330と分岐ブレーカ410,420,430との接続関係を適切に示す電源系統図が存在しない場合のように、分岐ブレーカ410,420,430と電気機器310,320,330との接続関係を簡単には把握できない場合もある。そのため、小規模な施設又は一般家庭等であっても、実施形態1に係る情報出力システム1000は、効果を発揮できる。
また、実施形態1に係る情報出力システム1000は、信号注入及び電流計測のためにクランプ式のカレントトランスCT1,CT2を用いている。これにより、既存の設備において電流を計測する場合でも、カレントトランスCT1,CT2を電力線L1,L2,L3に直接接続する必要がないため、電力線L1,L2,L3の切断及び再配線の作業の必要がない。そのため、作業工程を減らすことができ、作業の効率が高まる。また、電力線L1,L2,L3に接触せず、電力線L1,L2,L3に流れる電流と電気的に絶縁した状態で電流を計測できるため、作業の安全性を高めることができる。特に、一般的なコンセント以外の電源から供給される電力で動作する設備において、信号発生器を電源に接続すること及びプローブを電源端子台に接続すること等のような活線作業を必要とせずに、接続関係を調査することができるため、作業の安全性が向上する。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。図15を参照して、本発明の実施形態2に係る情報出力システム1010について説明する。
実施形態1に係る情報出力システム1000と同様に、実施形態2に係る情報出力システム1010は、分岐ブレーカ410,420,430と電気機器310,320,330との接続関係を調査するためのシステムである。分岐ブレーカ410,420,430及び電気機器310,320,330の機能及び配置は、実施形態1において説明したものと同様である。
情報出力システム1010は、信号注入装置110と、電流計測装置210と、を備える。信号注入装置110は、電力線L1,L2,L3のうちのいずれかの電力線に、カレントトランスCT1を通じて予め定められたパターンの信号を注入する機能を有する。更に、信号注入装置110は、予め定められたパターンの信号を注入した電力線を流れる電流を、カレントトランスCT3を通じて計測する機能を有する。すなわち、実施形態1における信号注入装置100が電流を計測する機能を有していなかったのに対して、実施形態2における信号注入装置110は、信号を注入する機能と電流を計測する機能とをどちらも有する。電流計測装置210は、電力線L1,L2,L3のうちのいずれかの電力線に流れる電流を、カレントトランスCT2を通じて計測する機能を有する。
信号注入装置110と電流計測装置210とのうち、一方の装置は分岐ブレーカ410,420,430側に配置され、他方の装置は電気機器310,320,330側に配置される。以下では、図15に示すように、信号注入装置110が電気機器320の近傍に配置され、電流計測装置210が分岐ブレーカ430の近傍に配置される場合を例にとって説明する。この場合、信号注入装置110は、電気機器320の近傍で、電気機器320に接続された電力線L1に予め定められたパターンの信号を注入し、電流計測装置210は、分岐ブレーカ430の近傍で、分岐ブレーカ430に流れる電流を計測する。
図16に示すように、信号注入装置110は、制御部11と、増幅部12と、通信部13と、記憶部14と、表示部15と、操作部16と、計時部17と、計測部18と、を備える。計測部18以外の構成は、実施形態1において図2を参照して説明した構成と同様である。また、電流計測装置210の構成は、実施形態1において図4を参照して説明した構成と同様である。そのため、ここでは説明を省略する。
計測部18は、制御部11の制御のもと、カレントトランスCT3を介して、電力線L3に流れる電流を計測する電流計を備える。計測部18は、予め定められたサンプリング周期で、電力線L3に流れる電流によってカレントトランスCT3に生じた電流を取得する。カレントトランスCT3は、電力線L3に流れる交流電流を計測するための電流センサであって、電流計測装置210に備えられたカレントトランスCT2と同様に構成される。カレントトランスCT3は、第3のカレントトランスである。
計測部18は、サンプリングにより取得された電流の値を時系列で示す電流情報を、図示しないバッファに記憶する。計測部18は、制御部11による制御に従って、バッファに記憶された電流情報を、制御部11に供給する。
次に、図17を参照して、信号注入装置110及び電流計測装置210の機能について説明する。図17に示すように、信号注入装置110は、機能的に、信号注入部101と、注入情報送信部102と、第1波形取得部105と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部14に格納される。制御部11において、CPUが、ROM又は記憶部14に記憶されたプログラムを実行することによって、各部の機能を実現する。
信号注入部101は、電気機器320に接続された電力線L3に予め定められたパターンの信号を注入する。信号注入部101の機能は、実施形態1において説明したものと同様である。
第1波形取得部105は、電気機器320を流れる電流の波形を取得する。具体的に説明すると、第1波形取得部105は、制御部11の制御のもと、電気機器320に接続された電力線L3の外周に配置されたカレントトランスCT3によって、電気機器320に流れる電流を計測する。第1波形取得部105は、予め定められたサンプリング周期で、電力線L3に流れる電流によってカレントトランスCT3に生じた電流の値を取得することにより、電流の値の時間変化を表す波形を取得する。第1波形取得部105の機能は、制御部11、計測部18及びカレントトランスCT3等が協働することによって、実現される。
より詳細に説明すると、第1波形取得部105は、信号注入部101が予め定められたパターンの信号を注入してから予め定められた時間が経過した後における規定時間の間に電気機器320に流れる電流の波形を取得する。図18に、第1波形取得部105が電流の波形を取得する期間を示す。図18に示すように、第1波形取得部105は、信号注入部101が予め定められたパターンの信号として4個の電流信号S1,S2,S3,S4を注入し終えた時点から、待機期間として、長さTwの時間が経過するのを待機する。そして、第1波形取得部105は、待機期間の経過後、長さTmの波形取得期間において、電気機器320に流れる電流の波形を取得する。このように、電流の波形を取得する期間を、予め定められたパターンの信号の注入が終了した後の期間に設定するのは、取得した電流の波形に予め定められたパターンの信号が含まれていると、後述する波形の比較を正確に実行することが難しくなるからである。
待機期間の長さTw及び波形取得期間の長さTmは、例えば商用電源600の周期の数個分に相当する。待機期間の長さTw及び波形取得期間の長さTmは、記憶部14に記憶されており、電流計測装置210との間で予め共有されている。
第1波形取得部105は、波形取得期間における電流の波形を取得すると、取得した波形を記憶部14に記憶する。記憶部14は、注入情報として、図9に示したように、電力線に電流信号S1,S2,S3,S4が注入された電気機器のそれぞれについて、操作部16によって入力された電気機器のIDと、信号注入部101による信号注入の開始時刻及び終了時刻と、を対応付けて記憶する。これに加えて、記憶部14は、電力線に電流信号S1,S2,S3,S4が注入された電気機器のそれぞれについて、第1波形取得部105によって取得された電流の波形データを対応付けて、更に記憶する。
注入情報送信部102は、記憶部14に記憶された注入情報を、電流計測装置210に送信する。送信される注入情報には、電気機器のIDと、信号注入の開始時刻及び終了時刻と、第1波形取得部105によって取得された電流の波形データが含まれる。
次に、図17に示した電流計測装置210の機能の説明に移る。図17に示すように、電流計測装置210は、機能的に、電流計測部201と、注入情報受信部202と、判定部203と、情報出力部204と、第2波形取得部205と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部24に格納される。制御部21において、CPUが、ROM又は記憶部24に記憶されたプログラムを実行することによって、各部の機能を実現する。
電流計測部201は、分岐ブレーカ430に流れる電流を計測する。電流計測部201の機能は、実施形態1において説明したものと同様である。
第2波形取得部205は、分岐ブレーカ430に流れる電流の波形を取得する。具体的に説明すると、第2波形取得部205は、制御部21の制御のもと、分岐ブレーカ430に接続された電力線L3の外周に配置されたカレントトランスCT2によって、分岐ブレーカ430に流れる電流を計測する。第2波形取得部205は、予め定められたサンプリング周期で、電力線L3に流れる電流によってカレントトランスCT2に生じた電流を取得することにより、電流値の時間変化を表す波形を生成する。第2波形取得部205の機能は、制御部21、計測部22及びカレントトランスCT2等が協働することによって、実現される。
より詳細に説明すると、第2波形取得部205は、電流計測部201が予め定められたパターンの信号を検出した場合、予め定められたパターンの信号が検出されてから予め定められた時間が経過した後における規定時間の間に分岐ブレーカ430に流れる電流の波形を取得する。この予め定められた時間及び規定時間は、信号注入装置100において第1波形取得部105が電流の波形を取得する際に用いたものと同じである。すなわち、第2波形取得部205は、電流計測部201が予め定められたパターンの信号として4個の電流信号S1,S2,S3,S4を検出した時点から、待機期間として、長さTwの時間が経過するのを待機する。そして、第2波形取得部205は、待機期間の経過後、長さTmの波形取得期間において、分岐ブレーカ430に流れる電流の波形を取得する。待機時間の長さTw及び波形取得期間の長さTmは、記憶部24に記憶されており、信号注入装置110との間で予め共有されている。
このように、信号注入装置110によって注入された予め定められたパターンの信号は、分岐ブレーカ430と電気機器320とが接続されていることを確認するための信号としてだけではなく、信号注入装置110と電流計測装置210とが同じタイミングで電流の波形を取得するための基準となるタイミング信号として用いられる。
第2波形取得部205は、波形取得期間における電流の波形を取得すると、取得した波形を記憶部24に記憶する。記憶部24は、検出情報として、図10に示したように、計測期間のそれぞれについて、計測期間の開始及び終了時刻と、信号の検出の有無と、信号を検出した場合の検出時刻とを、対応付けて記憶する。これに加えて、記憶部24は、例えば図10における第3の計測期間のように、信号を検出した計測期間について、第2波形取得部205によって取得された電流の波形データを対応付けて、更に記憶する。
注入情報受信部202は、信号注入装置100の注入情報送信部102によって送信された注入情報を受信する。受信される注入情報には、電気機器のIDと、信号注入の開始時刻及び終了時刻と、第1波形取得部105によって取得された電流の波形データが含まれる。
判定部203は、電流計測部201によって計測された分岐ブレーカ410に流れる電流の中に予め定められたパターンの信号が含まれる場合であって、且つ、信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと電流計測部201によって予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングとが合致する場合に、分岐ブレーカ410と電気機器310とが接続されていると判定する。この場合、判定部203から判定結果を取得した情報出力部204は、分岐ブレーカ430と電気機器320とが接続されていることを示す情報を出力する。この際、情報出力部204は、第1波形取得部105によって取得された電流の波形と第2波形取得部205によって取得された電流の波形とを比較した結果に基づいて、分岐ブレーカ430に電気機器320以外の機器が接続されているか否かを示す情報を出力する。
具体的に説明すると、判定部203は、実施形態1における判定処理と同様、第1の判定処理として、電流計測が実行された複数の計測期間の中に、信号注入装置100によって注入された電流信号S1,S2,S3,S4が検出された計測期間が含まれているか否かを判定する。電流信号S1,S2,S3,S4が検出された計測期間が含まれている場合、判定部203は、第2の判定処理として、注入情報受信部202によって受信された注入情報に含まれる電流信号S1,S2,S3,S4の注入時刻と、記憶部24に記憶された検出情報に含まれる電流信号S1,S2,S3,S4の検出時刻と、を比較して、検出時刻と予め定められた時間差の範囲内で一致する注入時刻があるか否かを判定する。信号の検出が無かった場合、及び、信号の検出があっても検出時刻と予め定められた範囲内で一致する注入時刻が無かった場合、情報出力部204は、図11に示したように、分岐ブレーカ410に接続された電気機器が無いことを示す情報を、表示部25の表示画面に出力する。
検出時刻と予め定められた時間差の範囲内で一致する注入時刻があった場合、判定部203は、第3の判定処理として、第1波形取得部105によって取得された電流の波形と第2波形取得部205によって取得された電流の波形とを比較して、2つの波形が類似しているか否かを判定する。これにより、判定部203は、分岐ブレーカ430に電気機器320以外の機器が接続されているか否かを判定する。
例えば図15では、分岐ブレーカ410は、電力線L1及び電力線N1を介して、単独の電気機器310のみと接続されており、他の電気機器とは接続されていない。そのため、電力線L1を流れる電流は、分岐ブレーカ410の近傍と電気機器310の近傍とで大きくは変わらない。これに対して、分岐ブレーカ430は、電力線L3及び電力線N3を介して、2つの電気機器320,330と接続されており、2つの電気機器320,330によって共用されている。そのため、電力線L3を流れる電流は、分岐ブレーカ430の近傍と電気機器320の近傍とでは異なる。より詳細に説明すると、分岐ブレーカ430に流れる電流は、電気機器320に流れる電流と電気機器330を流れる電流との和になる。
このような特性に鑑み、判定部203は、分岐ブレーカ430と電気機器320とが接続されていることを示す情報を出力する際、第1波形取得部105によって取得された電流の波形と第2波形取得部205によって取得された電流の波形との類似性を示す指標値を算出することで、2つの波形の類似性を評価する。具体的に説明すると、判定部203は、類似性を示す指標値として、2つの波形の相関係数、実効値の差、高調波の成分、又は、高調波電流の位相等、2つの波形の差異を定量的に評価可能な値を算出する。
このように算出した指標値が閾値を超えていなければ、判定部203は、分岐ブレーカ430に電気機器320以外の機器が接続されていると判定する。そして、情報出力部204は、分岐ブレーカ430に電気機器320以外の機器が接続されていることを示す情報を出力する。具体的には図19に示すように、情報出力部204は、電流計測装置210が設置された電力線L3に「DEVICE B」とのIDの電気機器320が接続されていることを示すメッセージと共に、「DEVICE B」以外の機器も接続されていることを示すメッセージを、表示部25の表示画面に出力する。
これに対して、算出した指標値が閾値を超えていれば、判定部203は、分岐ブレーカに電気機器以外の機器が接続されていないと判定する。そして、情報出力部204は、分岐ブレーカに電気機器以外の機器が接続されていないことを示す情報を出力する。これは、例えば、信号注入装置110が電気機器310の近傍に配置され、電流計測装置210が分岐ブレーカ410の近傍に配置された場合に相当する。この場合、情報出力部204は、図20に示すように、電流計測装置210が設置された電力線L1に「DEVICE A」とのIDの電気機器310が接続されていることを示すメッセージと共に、「DEVICE A」以外の機器は接続されていないことを示すメッセージを、表示部25の表示画面に出力する。
算出された指標値と比較される閾値は、適宜の値に予め設定され、記憶部24に記憶される。電気機器320と共に分岐ブレーカ430に接続された電気機器330に流れる電流は、電気機器330が運転状態にある場合と待機状態にある場合とで変わる。そのため、電気機器330が運転状態にあっても待機状態にあっても、電気機器320以外の機器が分岐ブレーカ430に接続されていると判定できるように、調整される。
以上説明したように、実施形態2に係る情報出力システム1010によれば、電気機器に接続された電力線に予め定められた信号が注入されたタイミングと分岐ブレーカに流れる電流の中に予め定められた信号が検出されたタイミングとを比較するだけでなく、電気機器に流れる電流の波形と分岐ブレーカに流れる電流の波形を比較する。その結果、電気機器と分岐ブレーカとが接続されているか否かの情報だけでなく、電気機器が分岐ブレーカに単独で接続されているか、それとも電気機器以外の機器と電力線を共用しているか、の情報も得ることができる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
例えば、上記実施形態では、親局(マスタ装置)として機能する電流計測装置200,210が、子局(スレーブ装置)として機能する信号注入装置100,110から注入情報を受信し、ブレーカと電気機器とが接続されているか否かを示す情報を出力した。しかしながら、本発明において、信号注入装置が、電流計測装置から検出情報を受信し、ブレーカと電気機器とが接続されているか否かを示す情報を出力してもよい。この場合、信号注入装置が親局として機能し、電流計測装置が子局として機能する。この例について、図21を参照して説明する。
図21に示した情報出力システム1020は、信号注入部101と検出情報受信部107と判定部103と情報出力部104とを備えた信号注入装置120と、電流計測部201と検出情報送信部207とを備えた電流計測装置220と、を備える。電流計測装置220において、検出情報送信部207は、電流計測部201によって計測されたブレーカに流れる電流の中に予め定められたパターンの信号が含まれる場合に、予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングを示す情報を含む検出情報を、信号注入装置120に送信する。記憶部24は、検出情報送信部207によって送信される検出情報を記憶する。送信される検出情報には、記憶部24に記憶され、予め定められたパターンの信号が検出された時刻と、操作部26を介して入力されたブレーカの識別情報(ID)と、が含まれる。信号注入装置120において、記憶部14は、信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングを示す情報として、信号注入の開始及び終了時刻を記憶する。検出情報受信部107は、検出情報送信部207によって送信された検出情報を受信する。判定部103は、検出情報受信部107によって受信された情報によって示されるタイミングと信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングとが合致する場合に、ブレーカと電気機器とが接続されていると判定する。この場合、判定部103から判定結果を取得した情報出力部104は、ブレーカと電気機器とが接続されていることを示す情報を、表示部15の表示画面に出力する。その際、情報出力部104は、検出情報受信部107によって受信されたブレーカの識別情報を出力する。
また、本発明において、信号注入装置でも電流計測装置でもない第3の装置が、ブレーカと電気機器とが接続されているか否かを示す情報を出力してもよい。この例について、図22を参照して説明する。
図22に示した情報出力システム1030は、信号注入部101と注入情報送信部102とを備えた信号注入装置130と、電流計測部201と検出情報送信部207とを備えた電流計測装置230と、注入情報受信部702と検出情報受信部707と判定部703と情報出力部704とを備えた情報出力装置700と、を備える。信号注入装置130において、注入情報送信部102は、信号注入部101によって電気機器に接続された電力線に予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングを示す情報を、情報出力装置700に送信する。電流計測装置230において、検出情報送信部207は、電流計測部201によって計測されたブレーカに流れる電流の中に予め定められたパターンの信号が含まれる場合に、予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングを示す情報を、情報出力装置700に送信する。
情報出力装置700は、CPU、ROM及びRAMを含む制御部と、信号注入装置130及び電流計測装置230と無線又は有線で通信する通信部と、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示部と、キーボード又はタッチパネル等の操作部と、を備えたパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等である。制御部は、通信部と協働することにより注入情報受信部702及び検出情報受信部707として機能し、表示部と協働することにより情報出力部704として機能する。注入情報受信部702は、注入情報送信部102によって送信された、予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングを示す情報を受信し、検出情報受信部707は、検出情報送信部207によって送信された、予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングを示す情報を受信する。判定部703は、注入情報受信部702によって受信された情報によって示される信号が注入されたタイミングと検出情報受信部707によって受信された情報によって示される信号が検出されたタイミングとが合致する場合に、ブレーカと電気機器とが接続されていると判定する。この場合、判定部703から判定結果を取得した情報出力部704は、ブレーカと電気機器とが接続されていることを示す情報を、表示部の表示画面に出力する。
このように、接続を判定してその結果を出力する処理を、信号注入装置、電流計測装置、又は、第3の装置である情報出力装置のいずれで実行するかは、ユーザの要望又は情報出力システムを使用する状況等に応じて、柔軟に決めることができる。なお、情報出力を実行しない装置は、情報出力のための表示部を備えなくてもよい。
上記実施形態及び変形例では、信号注入装置100,110,120,130は電気機器310,320,330側に配置され、電流計測装置200,210,220,230は分岐ブレーカ410,420,430側に配置された。しかしながら、本発明において、信号注入装置がブレーカ側に配置され、電流計測装置が電気機器側に配置されてもよい。すなわち、信号注入装置は、ブレーカと電気機器のうちの一方の機器の側に配置され、一方の機器に接続された電力線に予め定められたパターンの信号を注入するものであって、電流計測装置は、ブレーカと電気機器のうちの他方の機器の側に配置され、他方の機器に流れる電流を計測するものであればよい。このとき、一方の機器に接続された電力線に注入された予め定められたパターンの信号が計測された電流の中に含まれる場合であって、且つ、信号が注入されたタイミングと検出されたタイミングとが合致した場合に、信号が注入された電力線に他方の機器が接続されている、すなわち、ブレーカと電気機器とがこの電力線を介して接続されていると判定され、その旨を示す情報が出力される。
上記実施形態及び変形例では、情報出力部104,204,704は、信号注入部101によって予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと電流計測部201によって予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングとが合致するか否かを、予め定められたパターンの信号の注入時刻と検出時刻とを比較して判定した。しかしながら、本発明において、情報出力部104,204,704は、タイミングを示す情報として、時刻の情報を用いなくてもよい。例えば、予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングを示す情報と、予め定められたパターンの信号が検出されたタイミングを示す情報とを、ある決められた時点からの経過時間によって定めてもよい。
また、信号注入又は信号検出のタイミングを示す情報を、信号注入装置と電流計測装置との間で送受信しなくてもよい。例えば、信号注入装置が信号を注入するタイミングを予め決めておいて、そのタイミングを示す情報を電流計測装置が信号を検出する前に予め保持しておき、保持されたタイミングと合致するタイミングで信号が検出された場合に、情報出力部104,204,704が、予め定められたパターンの信号が注入されたタイミングと検出されたタイミングとが合致すると判定してもよい。
上記実施形態及び変形例では、情報出力部104,204,704は、ブレーカと電気機器とが接続されていることを示す情報を、表示部の表示画面に出力した。しかしながら、本発明において、情報出力部104,204,704は、ブレーカと電気機器とが接続されていることを示す情報を、音声で出力してもよいし、ネットワークを介して外部の機器に出力してもよい。
上記実施形態及び変形例では、信号注入部101は、予め定められたパターンの信号として、4個の電流信号S1,S2,S3,S4を互いに等しい時間間隔を空けて電力線に注入した。しかしながら、本発明において、予め定められたパターンの信号は、1以上の様々な個数の電流信号を用いることができる。また、複数の電流信号を用いる場合、信号間の時間間隔は、互いに等しくなくてもよく、時間間隔で様々なパターンを作ってもよい。例えば、N番目の信号と(N+1)番目の信号との間の時間間隔を1番目の信号と2番目の信号との間の時間間隔のN倍に設定してもよい。また、このように時間間隔を空けて配置された1番目からN番目までの信号を1セットとし、複数セットに亘って信号を注入するようにしてもよい。このように、複雑なパターンの信号を用いることで、電流計測部201における信号の検出精度を高めることができる。
上記実施形態及び変形例では、信号注入装置100,110によって信号が注入される際に、電気機器の識別情報(ID)が操作部16を介してユーザによって入力された。また、電流計測装置220によって電流が計測された際に、ブレーカの識別情報が操作部26を介してユーザによって入力された。しかしながら、本発明では、識別情報は、信号が注入又は検出される際に操作部16又は操作部26を介して入力されるものであることに限らない、例えば、工場、作業場、ビル、施設又は家庭内に設置されている複数の電気機器又は複数のブレーカのそれぞれの識別情報が、予め記憶部14又は記憶部24に記憶されているものであってもよいし、通信部13又は通信部23を介してネットワークから取得されるものであってもよい。
また、本発明に係る情報出力システムは、識別情報を用いなくてもよい。例えば、候補となる電気機器又はブレーカの個数が比較的少ない場合のように、電気機器又はブレーカの識別情報が出力されなくても、ユーザによって、出力された接続情報がどの電気機器又はブレーカに関するものであるかを識別することができる場合もある。
上記実施形態及び変形例では、信号注入部101は、電気機器に接続された電力線の外周に配置されたカレントトランスCT1によって、この電力線に予め定められたパターンの信号を注入し、電流計測部201は、分岐ブレーカに接続された電力線の外周に配置されたカレントトランスCT2によって、分岐ブレーカに流れる電流を計測した。しかしながら、本発明において、信号の注入及び電流の検出は、クランプ式のカレントトランスを用いる方法に限らず、既知の方法を用いることもできる。信号の注入及び電流の検出にクランプ式のカレントトランスを用いず、既知の方法を用いたとしても、信号注入のタイミングと電流計測のタイミングとが合致したか否かを判定基準に用いているため、ブレーカと電気機器との接続を高い精度で判定することができる。但し、クランプ式のカレントトランスを用いることによって、電力線の切断及び再配線の作業の必要がなく、また電力線に流れる電流と電気的に絶縁した状態で電流を計測できるため、作業の効率と安全性とを高めることができる。
上記実施形態及び変形例では、制御部11は、CPUがROM又は記憶部14に記憶されたプログラムを実行することによって、信号注入部101及び注入情報送信部102等のそれぞれとして機能した。また、制御部21は、CPUがROM又は記憶部24に記憶されたプログラムを実行することによって、電流計測部201、注入情報受信部202、判定部203及び情報出力部204等のそれぞれとして機能した。しかしながら、本発明において、制御部11及び制御部21は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11及び制御部21が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11及び制御部21は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本発明に係る信号注入装置100,110,120,130及び電流計測装置200,210,220,230の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置等を、本発明に係る信号注入装置100,110,120,130及び電流計測装置200,210,220,230として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk ROM)、DVD、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。