JP6015655B2 - 重合性化合物、重合性組成物、高分子、及び光学異方体 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の位相差板には、位相差板を通過して出力される偏光が有色の偏光に変換されてしまうという問題があった。これは、位相差板を構成する材料が位相差について波長分散性を有し、可視光域の光線が混在する合成波である白色光に対して各波長ごとの偏光状態に分布が生じることから、全ての波長領域において正確な1/4λあるいは1/2λの位相差に調整することが不可能であることに起因する。
このような問題を解決するため、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差板、いわゆる逆波長分散性を有する位相差板が種々検討されている(例えば、特許文献1〜6)。
薄層化の方法としては、フィルム基材に低分子重合性化合物を含有する重合性組成物を塗布することにより位相差板を作成する方法が、近年では最も有効な方法とされている。そして、優れた波長分散性を有する低分子重合性化合物又はそれを用いる重合性組成物が種々提案されている(例えば、特許文献7〜24)。
(1)下記一般式(I)
Xは、置換基を有していてもよい炭素数4〜12の二価の芳香族基を表す。
Y1〜Y12はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR1−C(=O)−、−C(=O)−NR1−、−O−C(=O)−NR1−、−NR1−C(=O)−O−、−NR1−C(=O)−NR1−、−O−NR1−、又は、−NR1−O−を表す。ここで、R1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
G1〜G4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。該脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR2−C(=O)−、−C(=O)−NR2−、−NR2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R2は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Z1〜Z4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
A1は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
A2〜A7はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数4〜30の二価の芳香族基を表す。
nは0又は1を表す。〕で示される重合性化合物。
(3)前記一般式(I)中、Y1〜Y12がそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−O−C(=O)−O−である(1)又は(2)に記載の重合性化合物。
(4)前記一般式(I)中、Z1〜Z4がそれぞれ独立して、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、又は、CH2=C(Cl)−である(1)〜(3)のいずれかに記載の重合性化合物。
(6)前記一般式(I)中、Xが、置換基を有していてもよい、フェニレン基、ナフチレン基、又はビフェニレン基である(1)〜(5)のいずれかに記載の重合性化合物。
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載の重合性化合物、又は(8)に記載の重合性組成物を重合して得られる高分子。
(10)(9)に記載の高分子を構成材料とする光学異方体。
本発明の光学異方体は、本発明の高分子を構成材料とするため、低コストで得られ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面で満足のいく光学フィルムを簡便に形成することができるものである。その具体的な実用例として、偏光板と組み合わせることで反射防止フィルムを作製することができ、産業上、例えばタッチパネルや有機電界発光素子の反射防止に好適に使用することができる。
本発明の重合性化合物は、前記式(I)で表される化合物である。
式(I)中、Q1〜Q3はそれぞれ独立して、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。
その置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられ、フッ素原子、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
これらの中でも、Q1〜Q3はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
Xの芳香族基は、単環のものであっても、多環のものであっても、芳香環が結合したものであってもよい。
Xとしては、例えば、下記のものが挙げられる。下記式中、「−」は、結合手を表す(以下にて同じ)。
R1の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられる。
R1としては、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
炭素数1〜20の二価の脂肪族基としては、鎖状構造を有する脂肪族基;飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造等の脂環式構造を有する脂肪族基;等が挙げられる。
これらの中でも、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−が好ましい。
該アルケニル基の炭素数としては、2〜6が好ましい。Z1〜Z4のアルケニル基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
A2〜A7の芳香族基は単環のものであっても、多環のものであってもよい。
A2〜A7の芳香族基の具体例としては、下記のものが挙げられる。
(i)式(I)中、A1が、置換基を有していてもよい三価のベンゼン環基であり、A2〜A7が、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、Y1〜Y12がそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−O−C(=O)−O−であり、Z1〜Z4がそれぞれ独立して、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、又は、CH2=C(Cl)−であり、G1〜G4がそれぞれ独立して、炭素数1〜12の二価のアルキレン基である重合性化合物が好ましく、
式:Z2−Y6−G2−Y4−A3−Y2−で表される基が、式:Z1−Y5−G1−Y3−A2−Y1−で表される基と同一、及び/又は、式:Z3−Y9−G3−Y8−A5−Y7−で表される基が、式:Z4−Y12−G4−Y11−A7−Y10−で表される基と同一である重合性化合物が特に好ましい。
なお、以下においては、前記式(I)中、Y7、Y10、Y1、及びY2が、それぞれ、式:Y7’−C(=O)−O−で表される基、式:Y10’−C(=O)−O−で表される基、式:Y1’−C(=O)−O−で表される基、式:Y2’−C(=O)−O−で表される基である化合物の製造方法を例にとって説明するが、本発明化合物は、これらの結合を有する化合物に限定されるわけではない。
〈製造方法1〉
このものを単離した後、このものに、式(6)で表される化合物(化合物(6))を、適当な溶媒中、(化合物(5):化合物(6))のモル比で、1:1〜1:1.5の割合で反応させることにより、目的とする重合性化合物(I−1)を製造することができる(ステップ3)。
前記ステップ1、及び/又はステップ2の後、単離操作を行わずに粗生成物を用いて次の反応を行い、得られた反応混合物から目的化合物を単離することもできる。
ステップ1の反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、及びアルコール系溶媒とエーテル系溶媒の混合溶媒が好ましい。
脱水剤の使用量は、カルボニル化合物(1)1モルに対して、通常0.05〜5モルである。
化合物(3)と化合物(4)の反応において、化合物(4)が、式(4)中、Lが水酸基の化合物(カルボン酸)である場合には、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下に反応させることにより、目的物を得ることができる。
脱水縮合剤の使用量は、化合物(4)1モルに対し、通常1〜3モルである。
用いる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(4)1モルに対し、通常1〜3モルである。
化合物(4)が、式(4)中、Lがメタンスルホニルオキシ基、又はp−トルエンスルホニルオキシ基の化合物(混合酸無水物)である場合も、ハロゲン原子の場合と同様である。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(3)1gに対し、通常1〜100gである。
得られた化合物(5)に化合物(6)を反応させるステップ3の反応は、前記ステップ2の反応と同様にして行うことができる。
このものを単離した後、このものに、式(12)で表される化合物(化合物(12))を、適当な溶媒中、(化合物(11):化合物(12))のモル比で、1:1〜1:1.5の割合で反応させることにより、目的とする重合性化合物(I−3)を製造することができる(ステップ3)。
前記ステップ1、及び/又はステップ2の後、単離操作を行うことなく、そのまま次のステップに進み、得られた反応混合物から目的化合物を単離してもよい。
製造方法1、2で用いる、化合物(4)、(6)(10)、(12)は、典型的には、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)及びアミド結合(−C(=O)NH−、−NHC(=O)−)の形成反応を任意に組み合わせて、所望の構造を有する複数の公知化合物を適宜結合・修飾することにより製造することができる。
(i)式:D1−hal(halはハロゲン原子を表す。以下にて同じ。)で表される化合物と、式:D2−OMet(Metはアルカリ金属(主にナトリウム)を表す。以下にて同じ。)で表される化合物とを混合して縮合させる(ウイリアムソン合成)。なお、式中、D1及びD2は任意の有機基を表す(以下にて同じ。)
(ii)式:D1−halで表される化合物と、式:D2−OHで表される化合物とを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して縮合させる。
(iii)式:D1−J(Jはエポキシ基を表す。)で表される化合物と、式:D2−OHで表される化合物とを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して縮合させる。
(iv)式:D1−ofn(ofnは不飽和結合を有する基を表す。)で表される化合物と、式:D2−OMetで表される化合物を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して付加反応させる。
(v)式:D1−halで表される化合物と、式:D2−OMetで表される化合物とを、銅あるいは塩化第一銅存在下、混合して縮合させる(ウルマン縮合)。
(vi)式:D1−COOHで表される化合物と、式:D2−OH又はD2−NH2で表される化合物とを、脱水縮合剤(N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド等)の存在下に脱水縮合させる。
(vii)式:D1−COOHで表される化合物にハロゲン化剤を作用させることにより、式:D1−CO−halで表される化合物を得、このものと式:D2−OH又はD2−NH2で表される化合物とを、塩基の存在下に反応させる。
(viii)式:D1−COOHで表される化合物に酸無水物を作用させることにより、混合酸無水物を得た後、このものに、式:D2−OH又はD2−NH2で表される化合物を反応させる。
(ix)式:D1−COOHで表される化合物と、式:D2−OH又はD2−NH2で表される化合物とを、酸触媒あるいは塩基触媒の存在下に脱水縮合させる。
すなわち、化合物(7)と、2倍当量の化合物(10)を反応させることにより、式(1)中、式:Z2−Y6−G2−Y4−A3−Y2−で表される基が、式:Z1−Y5−G1−Y3−A2−Y1−で表される基と同一であり、Y1が、Y1’−C(=O)−O−で表される基である化合物(1’)を得ることができる。この反応は、前記製造方法1のステップ2の反応と同様にして行うことができる。
すなわち、式(14)で表される化合物(化合物(14))と、2倍当量以上のヒドラジン(13)とを、適当な溶媒中で反応させることにより、化合物(15)を製造し、このものと、1倍当量の式(16)で表される化合物(化合物(16))とを、適当な溶媒中で反応させることにより、目的とする化合物(2’)を得ることができる。
なお、ヒドラジン(13)としては、通常、1水和物のものを用いる。ヒドラジン(13)は、市販品をそのまま使用することができる(以下にて同じ。)。
また、式:Z2−Y6−G2−Y4−A3−Y2’−で表される基、式:Z3−Y9−G3−Y8−A5−Y7’−で表される基、式:Z4−Y12−G4−Y11−A7−Y10’−で表される基が、いずれも式:Z1−Y5−G1−Y3−A2−Y1’−で表される基と同一である、式(I−5)で表される重合性化合物(重合性化合物(I−5))は、下記反応式で示すようにして製造することができる。
すなわち、製造方法2のステップ1において、化合物(8)の代わりに、製造方法1で用いる化合物(2)を、化合物(7)と反応させて、式(17)で表される化合物を得、このものに、製造方法2のステップ2と同様にして、4倍当量以上の化合物(10)を反応させて、目的とする本発明の重合性化合物(I−5)を製造することができる。
本発明の第2は、本発明の重合性化合物、及び重合開始剤を含有する重合性組成物である。重合開始剤は本発明の重合性化合物の重合反応をより効率的に行う観点から配合される。
「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
これらの重合開始剤は一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の重合性組成物において、重合開始剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明の第3は、(1)本発明の重合性化合物を重合して得られる高分子、又は、(2)本発明の重合性組成物を重合して得られる高分子である。
ここで、「重合」とは、通常の重合反応のほか、架橋反応を含む広い意味での化学反応を意味するものとする。
本発明の重合性化合物を重合して得られる高分子としては、本発明の重合性化合物の単独重合体、本発明の重合性化合物の2種以上からなる共重合体、又は、本発明の重合性化合物と他の共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。
このような多官能単量体としては、1,2−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等のアルカンジオールジアクリレート類;1,2−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタリレート等のアルカンジオールジメタクリレート類;エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート等のポリエチレングリコールジアクリレート類;プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート等のポリプロピレングリコールジアクリレート類;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等のポリエチレングリコールジメタクリレート類;プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート等のポリプロピレングリコールジメタクリレート類;エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル等のポリエチレングリコールジビニルエーテル類;エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル等のポリエチレングリコールジアリルエーテル類;ビスフェノールFエトキシレートジアクリレート;ビスフェノールFエトキシレートジメタクリレート;ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート;ビスフェノールAエトキシレートジメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート;トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート;トリメチロールプロパンエトキシレートトリメタクリレート;トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート;トリメチロールプロパンプロポキシレートトリメタクリレート;イソシアヌル酸エトキシレートトリアクリレート;グリセロールエトキシレートトリアクリレート;グリセロールプロポキシレートトリアクリレート;ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート;ジトリメチロールプロパンエトキリレートテトラアクリレート;ジペンタエリスリトールエトキシレートヘキサアクリレート等が挙げられる。
用いる重合開始剤としては、前記重合性組成物の成分として例示したのと同様のものが挙げられる。
また、用いる基板は、単層のものであっても、積層体であってもよい。
基板としては、有機材料が好ましく、この有機材料をフィルムとした樹脂フィルムが更に好ましい。
本発明の重合性組成物を重合することにより、本発明の高分子を容易に得ることができる。本発明においては、重合反応をより効率的に行う観点から、前記したような重合開始剤、特に光重合開始剤を含む重合性組成物を用いるのが好ましい。
本発明の高分子によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面で満足のいく光学フィルムを低コストで得ることができる。
本発明の光学異方体は、本発明の高分子を構成材料とするものである。
本発明の光学異方体は、例えば、基板上に配向膜を形成し、該配向膜上に、さらに、本発明の高分子からなる液晶層を形成することによって、得ることができる。
配向膜は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリマーを含有するものである。配向膜は、このようなポリマーを含有する溶液(配向膜用組成物)を基板上に膜状に塗布し、乾燥させ、そして一方向にラビング処理等することで、得ることができる。
配向膜の厚さは0.001〜5μmであることが好ましく、0.001〜1μmであることがさらに好ましい。
また、ラビング処理する方法以外に、配向膜の表面に偏光紫外線を照射する方法によっても、配向膜にコレステリック規則性を持つコレステリック液晶層を面内で一方向に配向規制する機能を持たせることができる。
反応終了後、反応液を水1.5リットルに投入し、酢酸エチル500mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、淡黄色固体を得た。この淡黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1(体積比))により精製し、白色固体として中間体Aを75g得た(収率:75.4%)。目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):10.20(s,1H)、8.18−8.12(m,4H)、7.78(d,1H,J=2.8Hz)、7.52(dd,1H,J=2.8Hz,8.7Hz)、7.38(d,1H,J=8.7Hz)、7.00−6.96(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.4Hz,17.4Hz)、6.12(dd,2H,J=10.6Hz,17.4Hz)、5.82(dd,2H,J=1.4Hz,10.6Hz)、4.18(t,4H,J=6.4Hz)、4.08−4.04(m,4H)、1.88−1.81(m,4H)、1.76−1.69(m,4H)、1.58−1.42(m,8H)
反応終了後、反応液を25℃まで冷却した後、飽和重曹水100mlに投入し、クロロホルム50mlで3回抽出した。クロロホルム層を集め、飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにてろ液からクロロホルムを減圧留去して、白色固体として中間体Bを1.6g得た。得られた固体を乾燥して、精製は行わず、そのまま次の反応に用いた。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):9.64(s,1H)、9.39(s,1H)、7.12(d,2H,J=8.7Hz)、7.06(d,2H,J=8.7Hz)、6.96(d,2H,J=8.7Hz)、6.86(d,2H,J=8.7Hz)、5.82(s,2H)
反応終了後、反応液を飽和重曹水200mlに投入し、酢酸エチル50mlで2回抽出した。酢酸エチル層を集め、飽和食塩水100mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=70:30(体積比))により精製し、黄色固体として中間体Cを1.9g得た(収率:60.7%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):8.70(s,1H)、8.113(d,2H,J=8.5Hz)、8.090(d,2H,J=8.5Hz)、7.74(d,1H,J=3.0Hz)、7.48(d,2H,J=8.5Hz)、7.30(dd,1H,J=2.5Hz,8.5Hz)、7.27(d,1H,J=8.5Hz)、7.15(d,2H,J=8.5Hz)、6.94(d,4H,J=8.5Hz)、6.75−6.72(m,4H)、6.412(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.409(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.128(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.126(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.833(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.830(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、4.034(t,2H,J=6.5Hz)、4.030(t,2H,J=6.5Hz)、1.85−1.79(m,4H)、1.75−1.69(m,4H)、1.55−1.42(m,8H)
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した中間体C 1.0g(1.11mmol)、4−(6−アクリロイル−ヘクス−1−イルオキシ)安息香酸(DKSH社製)0.8g(2.74mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.34g(2.74mmol)、及びN−メチルピロリドン20mlを入れ、均一な溶液とした。この溶液に、WSC 0.63g(3.29mmol)を加え、全容を25℃にて14時間攪拌した。
反応終了後、反応液を水200mlに投入し、酢酸エチル100mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=95:5(体積比))により精製し、淡黄色固体として化合物1を1.0g得た(収率:62.3%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):8.70(s,1H)、8.17−8.10(m,8H)、7.76−7.73(m,3H)、7.41−7.38(m,2H)、7.34(dd,1H,J=3.0Hz,9.0Hz)、7.29−7.27(m,3H)、7.23(d,2H,J=9.0Hz)、6.99−6.93(m,8H)、6.410(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.407(dd,2H,J=17.5Hz)、6.131(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.127(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.828(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.822(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.20−4.17(m,8H)、4.07−4.02(m,8H)、1.89−1.82(m,8H)、1.76−1.70(m,8H)、1.58−1.43(m,16H)
実施例1で得た化合物1、及び、下記に示す比較例1で使用する参考例1の化合物1r(特開2008−291218号公報に開示の化合物)、比較例2で使用する参考例2の化合物2r(BASF社製、商品名:LC242)につき、以下に示す方法で相転移温度を測定した。
相転移温度の測定結果を下記表1に示す。
表1中、「C」はCrystal、「N」はNematic、「I」はIsotropicをそれぞれ表す。ここで、Crystalとは、試験化合物が固相にあることを、Nematicとは、試験化合物がネマチック液晶相にあることを、Isotropicとは、試験化合物が等方性液体相にあることを、それぞれ示す。
実施例1で得た化合物1、参考例1の化合物1r、及び参考例2の化合物2rのそれぞれを1g、光重合開始剤(ADEKA社製、アデカオプトマーN−1919)を30mg、界面活性剤(AGCセイミケミカル社製、KH−40)の1%シクロペンタノン溶液100mgをシクロペンタノン2.3gに溶解させた。この溶液を0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性組成物1、1r、及び2rをそれぞれ得た。
(i)配向膜を有する透明樹脂基材の作製
厚み100μmの、脂環式オレフィンポリマーからなるフィルム(日本ゼオン社製、商品名:ゼオノアフィルムZF16−100)の両面をコロナ放電処理した。当該フィルムの片面に、5%のポリビニルアルコールの水溶液を♯2のワイヤーバーを使用して塗布し、塗膜を乾燥し、膜厚0.1μmの配向膜を形成した。次いで、当該配向膜をラビング処理し、配向膜を有する透明樹脂基材を作製した。
上記で得た、配向膜を有する透明樹脂基材の、配向膜を有する面に、重合性組成物1、1r、2rを、♯4のワイヤーバーを使用して塗布した。得られた塗膜を表2に示す温度(乾燥温度)で30秒間乾燥した後、表2に示す温度(配向処理温度)で1分間配向処理し、膜厚約1.5μmの液晶層を形成した。その後、液晶層の塗布面側から2000mJ/cm2の紫外線を照射して重合させ、波長分散測定用の試料とした。
得られた試料につき、400nmから800nm間の位相差を、エリプソメーター(J.A.Woollam社製、XLS−100型)を用いて測定した。
測定した位相差を用いて、以下のように算出されるα、β値から波長分散を評価した。
逆波長分散性を示す場合、αは1より小となり、βは1より大となり、フラットな波長分散を有している場合、αとβは同程度の値となる。
これに対し、比較例1及び比較例2で得られた高分子は、αは1よりかなり大きく、αの値とβの値の差が大きいものであった。
Claims (10)
- 下記一般式(I)
Xは、置換基を有していてもよい炭素数4〜12の二価の芳香族基を表す。
Y1〜Y12はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR1−C(=O)−、−C(=O)−NR1−、−O−C(=O)−NR1−、−NR1−C(=O)−O−、−NR1−C(=O)−NR1−、−O−NR1−、又は、−NR1−O−を表す。ここで、R1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
G1〜G4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。該脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR2−C(=O)−、−C(=O)−NR2−、−NR2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R2は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Z1〜Z4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
A1は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
A2〜A7はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数4〜30の二価の芳香族基を表す。
nは0を表す。〕で示される重合性化合物。 - 前記一般式(I)中、A1が、置換基を有していてもよい、三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基であり、A2〜A7がそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい、フェニレン基又はナフチレン基である請求項1に記載の重合性化合物。
- 前記一般式(I)中、Y1〜Y12がそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−O−C(=O)−O−である請求項1又は2に記載の重合性化合物。
- 前記一般式(I)中、Z1〜Z4がそれぞれ独立して、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、又は、CH2=C(Cl)−である請求項1〜3のいずれかに記載の重合性化合物。
- 前記一般式(I)中、G1〜G4がそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12の二価の脂肪族基(該脂肪族基には、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−が2以上隣接して介在する場合を除く。)である請求項1〜4のいずれかに記載の重合性化合物。
- 前記一般式(I)中、Xが、置換基を有していてもよい、フェニレン基、ナフチレン基、又はビフェニレン基である請求項1〜5のいずれかに記載の重合性化合物。
- 前記一般式(I)中、A1が、置換基を有していてもよい三価のベンゼン環基であり、A2〜A7がそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、Y1〜Y12がそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−O−C(=O)−O−であり、Z1〜Z4がそれぞれ独立して、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、又は、CH2=C(Cl)−であり、G1〜G4がそれぞれ独立して、炭素数1〜12の二価のアルキレン基である請求項1〜6のいずれかに記載の重合性化合物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の重合性化合物を少なくとも1種、及び重合開始剤を含有することを特徴とする重合性組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の重合性化合物、又は請求項8に記載の重合性組成物を重合して得られる高分子。
- 請求項9に記載の高分子を構成材料とする光学異方体。
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