JP6015638B2 - 伝熱板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、伝熱板の製造方法に関する。
一対の金属部材同士を接合する方法として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦攪拌接合は、回転させた回転ツールを金属部材同士の突合部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合するものである。なお、回転ツールは、円柱状を呈するショルダの下端面に攪拌ピン(プローブ)を突設してなるものが一般的である。
例えば、特許文献1には、ベース部材と蓋板とを摩擦攪拌により接合して伝熱板を形成する発明が記載されている。図17の(a)に示すように、ベース部材101は、蓋溝102と、蓋溝102の底面に形成された凹溝103とを有している。蓋板110は、凹溝103を覆うように蓋溝102に配置される。特許文献1に係る発明では、蓋溝102と蓋板110との突合部に沿って回転する回転ツールGを移動させて摩擦攪拌接合を行う。回転ツールGは、ショルダG1と、ショルダG1の下端面に形成された攪拌ピンG2とを備えている。回転ツールGの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。
上記のように摩擦攪拌接合を行うと、熱収縮によってベース部材101の表面101Aが凹状となるように反ってしまう。そのため、特許文献1に係る発明では、図17の(b)に示すように、ベース部材101の裏面101Bに対して回転ツールGによって摩擦攪拌を行う技術が開示されている。このような工程を行うと、裏面101Bにも熱収縮が発生するため、伝熱板の平坦性を高めることができる。
特開2009−195940号公報
図17の(a)に示すように、特許文献1に係る発明では、ショルダG1の下端面をベース部材101の表面101Aに押し込んで摩擦攪拌接合を行う。ショルダG1を押し込むと、塑性流動化した金属が回転ツールGの周囲から溢れ出るのを防ぐことができる。しかし、ショルダG1の下端面によってベース部材101に大きな押圧力が作用するため、凹溝103に塑性流動材が流入する可能性がある。一方、凹溝103に塑性流動材が流入しないように摩擦攪拌の位置を設定すると、伝熱板の設計の自由度が制限されるという問題がある。
また、図17の(b)に示すように、裏面101Bに対して、例えば、E1方向に回転ツールGを移動させる際には、ベース部材101が裏面101Bに凸状となるように反っているため、ショルダG1の下端面のうち進行方向前側が裏面101Bに当接する。また、E2方向に回転ツールを移動させる際には、ショルダG1の下端面のうち進行方向後側が裏面101Bに当接する。これにより、回転ツールGの操作性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、平坦な伝熱板を製造することができるとともに、回転ツールの操作性が良好であり、かつ、設計の自由度が高い伝熱板の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、ベース部材及び蓋板の表面側に引張応力を作用させて、当該表面側が凸となるように前記ベース部材及び前記蓋板を変形させる変形工程と、前記ベース部材の表面に開口する凹溝の周囲に形成された蓋溝に、前記蓋板を挿入する蓋溝閉塞工程と、前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合部に沿って攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置の回転軸に連結された回転ツールを相対移動させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含み、前記攪拌ピンの周面に螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて左回りに刻設し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて右回りに刻設するとともに、前記ベース部材及び前記蓋板の少なくともいずれか一方の変形量を計測し、前記本接合工程において、回転した前記攪拌ピンを前記突合部に挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ベース部材及び前記蓋板に接触させて摩擦熱を発生させた状態で、前記攪拌ピンの挿入深さを前記変形量に合せて調節しながら摩擦攪拌を行うことを特徴とする。
また、本発明は、ベース部材及び蓋板の表面側に引張応力を作用させて、当該表面側が凸となるように前記ベース部材及び前記蓋板を変形させる変形工程と、前記ベース部材の表面に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝に、熱媒体用管を挿入する熱媒体用管挿入工程と、前記蓋溝に蓋板を挿入する蓋板挿入工程と、前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合部に沿って攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置の回転軸に連結された回転ツールを相対移動させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含み、前記攪拌ピンの周面に螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて左回りに刻設し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて右回りに刻設するとともに、前記ベース部材及び前記蓋板の少なくともいずれか一方の変形量を計測し、前記本接合工程において、回転した前記攪拌ピンを前記突合部に挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ベース部材及び前記蓋板に接触させて摩擦熱を発生させた状態で、前記攪拌ピンの挿入深さを前記変形量に合せて調節しながら摩擦攪拌を行うことを特徴とする。
かかる製造方法によれば、予めベース部材及び蓋板の表面側に引張応力が作用するように変形させた後に本接合工程を行うため、本接合工程によって発生する熱収縮によって伝熱板を平坦にすることができる。また、回転ツールのうちの攪拌ピンのみがベース部材及び蓋板に接触するので、ベース部材及び蓋板の表面が凸状に反っていたとしても、従来の製造方法のようにショルダがベース部材及び蓋板に当たらないため回転ツールの操作性が良好となる。
また、従来の製造方法のようにショルダがベース部材及び蓋板と接触しないため、ベース部材及び蓋板に対する押圧力が小さくなるとともに、従来の製造方法と比べて塑性化領域の幅が小さくなる。これにより、従来の製造方法よりも回転ツールを凹溝に近づけることが可能となり、伝熱板の設計の自由度が向上する。また、従来の製造方法に比べて接合するベース部材及び蓋板と回転ツールとの摩擦を軽減することができ、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、突合部の深い位置まで容易に摩擦攪拌接合することができる。また、伝熱板に対する攪拌ピンの深さ位置を一定に保つことができる。
また、前記本接合工程の前に、前記突合部を仮接合する仮接合工程を含むことが好ましい。かかる製造方法によれば、本接合工程の際の突合部の目開きを防止することができる。
また、前記仮接合工程では、前記回転ツールの攪拌ピンのみを前記突合部に挿入して仮接合することが好ましい。かかる製造方法によれば、本接合工程と仮接合工程とで同じ回転ツールを用いることができるため、製造サイクルの短縮化を図ることができる。
また、前記変形工程では、平坦面を備えた架台の四隅に配置されたスペーサーの上に仮接合された前記ベース部材及び前記蓋板を、前記ベース部材の裏面側が上を向くように配置して、ポンチを前記ベース部材の中央に降下させて、前記ベース部材及び前記蓋板を変形させることが好ましい。
また、本発明は、ベース部材及び蓋板の表面側に引張応力を作用させて、当該表面側が凸となるように前記ベース部材及び前記蓋板を変形させる変形工程と、前記ベース部材の表面に開口する凹溝又は凹部を覆うように、前記ベース部材の表面に前記蓋板を重ね合わせる閉塞工程と、前記ベース部材と前記蓋板との重合部を仮接合する仮接合工程と、前記蓋板の表面から攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置の回転軸に連結された回転ツールを挿入し、前記ベース部材の表面と前記蓋板の裏面との重合部に沿って前記回転ツールを相対移動させる本接合工程と、を含み、前記攪拌ピンの周面に螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて左回りに刻設し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて右回りに刻設するとともに、前記ベース部材及び前記蓋板の少なくともいずれか一方の変形量を計測し、前記本接合工程では、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ベース部材と前記蓋板の両方、又は、前記蓋板のみに接触させて摩擦熱を発生させた状態で、前記攪拌ピンの挿入深さを前記変形量に合せて調節しながら前記重合部の摩擦攪拌を行うことを特徴とする。
かかる製造方法によれば、予めベース部材及び蓋板の表面側に引張応力が作用するように変形させた後に本接合工程を行うため、本接合工程によって発生する熱収縮によって伝熱板を平坦にすることができる。また、回転ツールのうちの攪拌ピンのみが蓋板に接触するので、ベース部材の表面が凸状に反っていたとしても、従来の製造方法のようにショルダが蓋板に当たらないため回転ツールの操作性が良好となる。
また、従来の製造方法のようにショルダが蓋板と接触しないため、蓋板に対する押圧力が小さくなるとともに、従来の製造方法と比べて塑性化領域の幅が小さくなる。これにより、従来の製造方法よりも回転ツールを凹溝又は凹部に近づけることが可能となり、伝熱板の設計の自由度が向上する。また、従来の製造方法に比べて接合するベース部材及び蓋板と回転ツールとの摩擦を軽減することができ、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、突合部の深い位置まで容易に摩擦攪拌接合することができる。また、伝熱板に対する攪拌ピンの深さ位置を一定に保つことができる。
また、前記変形工程では、平坦面を備えた架台の四隅に配置されたスペーサーの上に仮接合された前記ベース部材及び前記蓋板を、前記ベース部材の裏面側が上を向くように配置して、ポンチを前記ベース部材の中央に降下させて、前記ベース部材及び前記蓋板を変形させることが好ましい。
また、前記本接合工程の終了後、前記回転ツールの摩擦攪拌によって生じたバリを切除するバリ切除工程を含むことが好ましい。かかる製造方法によれば、伝熱板の表面を平坦にすることができる。
本発明に係る伝熱板の製造方法によれば、平坦な伝熱板を製造することができるとともに、回転ツールの操作性が良好であり、かつ、設計の自由度が高い。
(a)は本実施形態の本接合用回転ツールを示した側面図であり、(b)は本接合用回転ツールの接合形態を示した模式断面図である。 (a)は本実施形態の仮接合用回転ツールを示した側面図であり、(b)は仮接合用回転ツールの接合形態を示した模式断面図である。 (a)は本発明の第一実施形態に係る伝熱板を示す分解斜視図である。(b)は(a)の要部側面図である。 第一実施形態に係る伝熱板を示す斜視図である。 第一実施形態に係る伝熱板の製造方法における仮接合工程を示す斜視図である。 第一実施形態に係る伝熱板の製造方法における変形工程を示す斜視図である。 (a)はテーブルを示す斜視図であり、(b)は第一実施形態に係る伝熱板の製造方法における準備工程を示す斜視図である。 (a)は第一実施形態に係る伝熱板の製造方法における準備工程を示す側面図であり、(b)は第一実施形態に係る伝熱板の製造方法における本接合工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る第一変形例を示す斜視図である。 第一実施形態に係る第二変形例を示す斜視図であって、(a)は変形工程を示す図であり、(b)は変形工程後を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る伝熱板を示す分解斜視図である。 第二実施形態に係る本接合工程を示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係る伝熱板を示す分解斜視図である。 第三実施形態に係る伝熱板の製造方法において、(a)は仮接合工程を示す斜視図であり、(b)は準備工程を示す斜視図である。 第三実施形態に係る伝熱板の製造方法における本接合工程を示す断面図である。 (a)は第三実施形態に係る変形例を示す伝熱板の分解斜視図であり、(b)は第三実施形態に係る変形例における本接合工程を示す断面図である。 (a)及び(b)は従来の伝熱板の製造方法に係る断面図である。
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態に係る伝熱板及び伝熱板の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。まずは、本実施形態で用いる本接合用回転ツール及び仮接合用回転ツールについて説明する。
図1の(a)に示すように、本接合用回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。本接合用回転ツールFは、特許請求の範囲の「回転ツール」に相当する。本接合用回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、図1の(b)に示す摩擦攪拌装置の回転軸Dに連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈し、ボルトが締結されるネジ孔B,Bが形成されている。
攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝F3が刻設されている。本実施形態では、本接合用回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝F3は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。
なお、本接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F3を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。螺旋溝F3をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝F3によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(後記するベース部材2及び蓋板3)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
図1の(b)に示すように、本接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合をする際には、被接合金属部材に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、被接合金属部材と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域Wが形成される。
仮接合用回転ツールGは、図2の(a)に示すように、ショルダG1と、攪拌ピンG2とで構成されている。仮接合用回転ツールGは、例えば工具鋼で形成されている。ショルダG1は、図2の(b)に示すように、摩擦攪拌装置の回転軸Dに連結される部位であるとともに、塑性流動化した金属を押える部位である。ショルダG1は円柱状を呈する。ショルダG1の下端面は、流動化した金属が外部へ流出するのを防ぐために凹状になっている。
攪拌ピンG2は、ショルダG1から垂下しており、ショルダG1と同軸になっている。攪拌ピンG2はショルダG1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンG2の外周面には螺旋溝G3が刻設されている。
図2の(b)に示すように、仮接合用回転ツールGを用いて摩擦攪拌接合をする際には、回転した攪拌ピンG2とショルダG1の下端面を被接合金属部材に挿入しつつ移動させる。仮接合用回転ツールGの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W1が形成される。
次に、本実施形態の伝熱板について説明する。図3の(a)に示すように、本実施形態に係る伝熱板1は、ベース部材2と、蓋板3とで主に構成されている。ベース部材2は、平坦な板状部材である。ベース部材2には、凹溝10と、蓋溝11とが形成されている。ベース部材2の材料は摩擦攪拌可能であれば特に制限されないが、本実施形態ではアルミニウム合金である。
凹溝10は、ベース部材2の表面2aにおいて平面視蛇行状に形成されている。図3の(b)に示すように、凹溝10は、蓋溝11の底面11aに凹設されている。本実施形態では、凹溝10は矩形断面になっているが他の形状であってもよい。凹溝10の開口は、ベース部材2の表面2a側に開放されている。凹溝10の平面形状は用途に応じて適宜設定すればよい。
蓋溝11は、凹溝10よりも幅広になっており、凹溝10の表面2a側において凹溝10に連続して形成されている。蓋溝11は、断面視矩形を呈し、表面2a側に開放されている。
蓋板3は、蓋溝11に挿入される平坦な板状部材である。蓋板3は、本実施形態では、ベース部材2と略同等の材料であるアルミニウム合金で形成されている。蓋板3は、蓋溝11に挿入されるように、蓋溝11の中空部と略同一形状になっている。
図3,4に示すように、蓋溝11の側壁11b,11bと蓋板3の側面3c,3cとがそれぞれ突き合わされて突合部J1,J1が形成される。突合部J1,J1は、深さ方向の全長に亘って摩擦攪拌により接合される。伝熱板1の凹溝10と蓋板3の裏面3bとで囲まれた空間が流体の流路となる。
次に、第一実施形態に係る伝熱板の製造方法について説明する。伝熱板の製造方法では、準備工程と、本接合工程と、バリ切除工程とを行う。
準備工程では、挿入工程と、仮接合工程と、変形工程と、固定工程とを行う。図3に示すように、挿入工程では、ベース部材2の蓋溝11に蓋板3を挿入して、蓋溝11の側壁11b,11bと、蓋板3の側面3c,3cとをそれぞれ突き合わせる。これにより、図5に示すように、突合部J1,J1が形成される。蓋板3の表面3aとベース部材2の表面2aとは面一になる。
仮接合工程では、ベース部材2と蓋板3とを仮接合する。図5に示すように、仮接合工程では、仮接合用回転ツールGを用いて突合部J1,J1に対して摩擦攪拌接合を行う。仮接合用回転ツールGの移動軌跡には、塑性化領域W1が形成される。仮接合は連続的に行ってもよいし、図5に示すように断続的に行ってもよい。仮接合用回転ツールGは小型であるため、当該仮接合におけるベース部材2及び蓋板3の熱変形量は小さくなっている。
変形工程では、仮接合されたベース部材2及び蓋板3に対して表面2a,3a側が凸となるように変形させる。図6に示すように、本実施形態では、プレス成形型Mを用いて変形工程を行う。プレス成形型Mは、下型M1と、上型M2とで構成されている。下型M1は、ベース部材2よりも大きく形成されており、本実施形態では上面が凹状の球面になっている。上型M2は、ベース部材2よりも大きく形成されており、本実施形態では下面が凸状の球面になっている。
変形工程では、仮接合されたベース部材2及び蓋板3を下型M1に配置した後、上型M2を降下させて、ベース部材2及び蓋板3を変形させる。これにより、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3a側に引張応力を作用させて、表面2a,3a側が凸状となるように塑性変形させる。
図7に示すように、固定工程では、仮接合されたベース部材2及び蓋板3をテーブルKに固定する。図7の(a)に示すように、テーブルKは、上面が平坦に形成された基板K1と、基板K1の中央に配置されたスペーサK2と、基板K1の四隅にそれぞれ形成された4つのクランプK3とで構成されている。スペーサK2は、本実施形態では円柱状を呈する。スペーサK2の高さは、本接合工程の入熱量等の条件に応じて適宜設定すればよい。
図7の(b)に示すように、固定工程では、スペーサK2の上に、変形工程で変形させたベース部材2及び蓋板3を配置し、四隅をクランプK3で固定する。図8の(a)に示すように、固定工程によって、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3aが凸となるように配置される。
図8の(b)に示すように、本接合工程は、本接合用回転ツールFを用いて突合部J1,J1に対して摩擦攪拌接合を行う工程である。本接合工程では、仮接合工程で形成された塑性化領域W1及び突合部J1をなぞるようにして摩擦攪拌接合を行う。本接合工程では、本接合用回転ツールFの先端が、蓋溝11の底面11aに達するように本接合用回転ツールFを挿入することが好ましい。
攪拌ピンF2は、蓋溝11の深さよりも長くなっているため、攪拌ピンF2の先端が蓋溝11の底面11aに達しても、連結部F1がベース部材2及び蓋板3に当接しない。つまり、本接合工程では、連結部F1の下端面がベース部材2及び蓋板3の表面に接触しない。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。また、本実施形態では、突合部J1と凹溝10との距離は、本接合工程を行った際に凹溝10に塑性流動材が流入しないように設定することが好ましい。
さらに、本接合工程の前に、テーブルKに固定されたベース部材2の高さ方向の変形量を計測しておき、本接合工程において前記変形量に合わせて攪拌ピンF2の挿入深さを調節しながら摩擦攪拌を行うことが好ましい。つまり、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3aの曲面に沿って本接合用回転ツールFの移動軌跡が曲線となるように移動させる。このようにすることで、ベース部材2の塑性化領域Wの深さ及び幅を一定にすることができる。
なお、ベース部材2及び蓋板3の変形量の計測については、公知の高さ検知装置を用いればよい。また、例えば、テーブルKからベース部材2の表面2a及び蓋板3の表面3aの少なくともいずれか一方までの高さを検知する検知装置が装備された摩擦攪拌装置を用いて、ベース部材2及び蓋板3の変形量を検知しながら本接合工程を行ってもよい。
本接合工程が終了したら、ベース部材2及び蓋板3をクランプK3から離脱させて静置する。本接合工程によって形成された塑性化領域Wが熱収縮するため、ベース部材2及び蓋板3が、表面2a,3a側に凹状となる方向に変形する。これにより、結果的にベース部材2及び蓋板3が平坦になる。
バリ切除工程は、本接合工程後にベース部材2及び蓋板3に発生したバリを除去する工程である。以上により、図4に示す伝熱板1が完成する。
以上説明した本実施形態に係る伝熱板の製造方法によれば、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3a側に引張応力を作用させて、表面2a,3a側が凸状となるように塑性変形させた後にテーブルKに固定し、表面2a,3a側に凸状となった状態で本接合工程を行うため、本接合工程によって発生する熱収縮によって伝熱板1を平坦にすることができる。
また、本接合用回転ツールFのうちの攪拌ピンF2のみがベース部材2及び蓋板3に接触することになるので、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3aが凸状に反っていたとしても連結部F1がベース部材2及び蓋板3に当たることがないため本接合用回転ツールFの操作性が良好となる。
また、本接合用回転ツールFの連結部F1がベース部材2及び蓋板3の表面2a,3aと接触しないため、ベース部材2及び蓋板3に対する押圧力が小さくなるとともに、従来の製造方法と比べて塑性化領域Wの幅が小さくなる。これにより、従来よりも本接合用回転ツールFを凹溝10に近づけることが可能となり、伝熱板の設計の自由度が向上する。また、従来の製造方法に比べて接合するベース部材2及び蓋板3と本接合用回転ツールFとの摩擦を軽減することができ、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、突合部J1の深い位置まで容易に摩擦攪拌接合することができる。また、必ずしも突合部J1の深さ方向の全体にわたって摩擦攪拌をする必要はないが、突合部J1の深さ方向全体にわたって摩擦攪拌をすることで、伝熱板1の水密性及び気密性を向上させることができる。
また、仮接合工程を行うことで、本接合工程を行う際に、ベース部材2と蓋板3との目開きを防ぐことができる。また、バリ切除工程を行うことで、伝熱板1をきれいに仕上げることができる。
なお、本接合工程を行う前に、タブ材を配置するタブ材配置工程を行ってもよい。具体的な図示は省略するが、タブ材配置工程では、ベース部材2の側面に一又は複数のタブ材を取り付ける。本接合工程では、当該タブ材にスタート位置及びエンド位置を設けて摩擦攪拌接合を行うとことができる。本接合工程が終了したら、ベース部材2からタブ材を切除すればよい。タブ材を用いることで、伝熱板1の側面をきれいに仕上げることができる。また、本接合工程の作業性を高めることができる。
また、本実施形態では、ベース部材2及び蓋板3の変形量に応じてテーブルKに対する本接合用回転ツールFの高さ位置を変更するようにしたが、テーブルKに対する本接合用回転ツールFの高さ位置を一定にして本接合工程を行ってもよい。
また、本実施形態では、仮接合工程を行った後に、変形工程を行ったがこれに限定されるものではない。挿入工程を行う前に、ベース部材2及び蓋板3に対してそれぞれ変形工程を行った後、挿入工程、仮接合工程及び固定工程の順番で行ってもよい。
また、テーブルKの基板K1とスペーサK2とは一体でもよい。また、本実施形態では、固定工程においてスペーサK2をテーブルKの基板K1上に配置したが、変形工程によってベース部材2及び蓋板3は表面2a,3a側に凸となる曲面に形成されているので、必ずしもスペーサK2を使用する必要はない。つまり、テーブルKは、基板K1の上面が平面であっても、クランプ等の治具によってベース部材2及び蓋板3を上方に凸となるように保持できる構成であればよい。
また、仮接合工程では、本実施形態では仮接合用回転ツールGを用いたが、本接合用回転ツールFを用いて仮接合を行ってもよい。この場合は、本接合用回転ツールFの攪拌ピンF2の先端のみを突合部J1に挿入して摩擦攪拌を行う。本接合用回転ツールFを用いて仮接合を行うと、回転ツールを交換する必要がないため製造サイクルを短縮することができる。
また、図6に示すように、本実施形態の変形工程では、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3aが略球面となるように湾曲させた。つまり、変形工程において、ベース部材2の対向する一方の辺2c,2c及び対向する他方の辺2d,2dの両方が下方に凸となるように湾曲させたが、これに限定されるものではない。例えば、下型M1として上面が凹状の円筒面を備えるもの、上型M2として下面が凸状の円筒面を備えるものを使用して、ベース部材2の対向する一方の辺2c,2cは直線のままで、他方の辺2d,2dが下方に凸となるように湾曲させてもよい。もしくは、他方の辺2d,2dは直線のままで、一方の辺2c,2cが下方に凸となるように湾曲させてもよい。
また、本接合工程後に、摩擦攪拌によって形成される溝が大きくなった場合には、当該溝に肉盛溶接を行って補修してもよい。若しくは、当該溝に蓋部材を配置して、当該蓋部材とベース部材2とを摩擦攪拌等によって接合して補修してもよい。
〔第一変形例〕
次に、第一実施形態に係る伝熱板の製造方法の第一変形例について説明する。図9に示すように、第一変形例では、変形工程が前記した実施形態と相違する。第一変形例では、前記した実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図9に示すように、第一変形例に係る変形工程では、プレス装置Hを用いてベース部材2及び蓋板3を変形させる。プレス装置Hは、平坦面を備えた架台H1と、架台H1の四隅に配置されたスペーサH2と、ベース部材2の裏面2bの中央に配置された補助部材H3と、ポンチH4とで主に構成されている。
変形工程では、仮接合されたベース部材2及び蓋板3を、ベース部材2の裏面2bが上を向くように配置して、裏面2bの中央に補助部材3Hを配置する。そして、ポンチH4を下降させて、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3a側に引張応力を作用させて、表面2a,3a側が凸状となるように塑性変形させる。これにより、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3a側が凸状となるように変形する。
前記した実施形態では、プレス成形型Mを用いてベース部材2及び蓋板3を変形させたが、第一変形例のように、プレス装置Hを用いて変形させてもよい。スペーサH2及び補助部材H3を用いることにより、ベース部材2及び蓋板3に傷が付くのを防ぐことができる。
〔第二変形例〕
次に、第一実施形態に係る伝熱板の製造方法の第二変形例について説明する。図10に示すように、第二変形例では、変形工程が前記した実施形態と相違する。第二変形例では、前記した実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図10の(a)に示すように、第二変形例に係る変形工程では、摩擦攪拌を行ってベース部材2及び蓋板3を変形させる。第二変形例に係る変形工程では、本接合用回転ツールFを用いてベース部材2の裏面2bに対して摩擦攪拌を行う。当該摩擦攪拌では、本接合用回転ツールFの攪拌ピンF2のみをベース部材2及び蓋板3に接触させた状態で、突合部J1,J1と同じ経路となるように本接合用回転ツールFを移動させる。攪拌ピンF2の挿入深さは、後に行う本接合工程のときの攪拌ピンF2の挿入深さよりも大きくなるように設定する。
第二変形例に係る変形工程によれば、本接合用回転ツールFの摩擦攪拌によって、2条の塑性化領域Wが形成される。これにより、図10の(b)に示すように、熱収縮が発生し、ベース部材2の裏面2b側が凹状となり、ベース部材2及び蓋板3の表面2a,3aが凸となるように変形する。固定工程及び本接合工程は、第一実施形態と同様に行う。
前記した実施形態では、プレス成形型Mを用いてベース部材2及び蓋板3を変形させたが、第二変形例のように、摩擦攪拌によって発生する熱収縮によって変形させてもよい。第二変形例では、変形工程と本接合工程とで同じ本接合用回転ツールFを用いるため、作業手間を少なくすることができる。
なお、第二変形例に係る変形工程の本接合用回転ツールFの移動軌跡は、前記した軌跡に限定されず、本接合工程における本接合用回転ツールFの移動軌跡に応じて適宜設定すればよい。また、当該変形工程における回転ツールの種類は熱収縮が発生してベース部材2及び蓋板3が凹状に変形するように適宜設定すればよい。
この際、変形工程では、本接合工程における摩擦攪拌の入熱量よりも大きくなるように設定することが好ましい。図7の(b)に示すように、本接合工程ではベース部材2の四隅と中央以外はテーブルKから離間しているため、本接合工程で発生した熱がテーブルKから外部に抜熱しづらくなっている。このため、本接合工程の際の入熱量を、変形工程の際の入熱量よりも小さく設定すれば、熱収縮のバランスがとれて伝熱板が平坦になりやすくなる。
また、具体的な図示は省略するが、変形工程では他の方法でベース部材2及び蓋板3の表面2a,3a側が凸となるように変形させてもよい。例えば、ハンマー等の工具を用いてベース部材2の裏面2bを叩いて変形させてもよい。また、複数の円柱管や補助部材を用いたロール変形でベース部材2及び蓋板3を変形させてもよい。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る伝熱板及び伝熱板の製造方法について説明する。図11に示すように、第二実施形態に係る伝熱板1Bは、熱媒体用管4を用いる点で第一実施形態と相違する。伝熱板1Bは、ベース部材2と、蓋板3と、熱媒体用管4とで構成されている。
ベース部材2は、凹溝10と、蓋溝11とを備えている。凹溝10の底面は、熱媒体用管4が面接触するように曲面になっている。また、凹溝10の幅及び高さは、熱媒体用管4の外径と略同等になっている。熱媒体用管4は、凹溝10に挿入される中空管である。熱媒体用管4は、内部に熱媒体が流通する部材である。
第二実施形態に係る伝熱板の製造方法では、準備工程において、凹溝10に熱媒体用管4を挿入することを除いては、第一実施形態と略同等であるため詳細な説明は省略する。第二実施形態に係る伝熱板の製造方法によれば、熱媒体用管4を備えた伝熱板を製造することができるとともに、第一実施形態と略同等の効果を得ることができる。
なお、第二実施形態においても、挿入工程の前に変形工程を行ってベース部材2の表面2a側に引張応力を作用させて、表面2a側が凸状となるように変形させるとともに、熱媒体用管4を別途凸状に変形させておいてもよい。
また、図12に示すように、第二実施形態に係る伝熱板の製造方法の本接合工程においては、熱媒体用管4の周囲の空隙部Qに塑性流動材が流入するようにしてもよい。蓋板3、熱媒体用管4及び凹溝10とで囲まれた空隙部Qに塑性流動材を流入させることで、伝熱板の水密性及び気密性を向上させることができる。
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態に係る伝熱板の製造方法について説明する。図13に示すように、第三実施形態に係る伝熱板の製造方法では、ベース部材22と蓋板23とを用いて伝熱板を製造する。
ベース部材22は、平坦な板状部材である。ベース部材22の表面22aには、凹溝30が形成されている。凹溝30は、上方に開放しており、平面視蛇行状を呈する。凹溝30の平面形状は用途に応じて適宜設定すればよい。
蓋板23は、平坦な板状部材である。蓋板23は、本実施形態ではベース部材22と略同等の形状になっているが、少なくとも凹溝30の全体を塞ぐ部材であればよい。
第三実施形態に係る伝熱板の製造方法では、準備工程と、本接合工程と、バリ切除工程とを行う。準備工程では、凹溝閉塞工程と、ベース部材22と蓋板23とを仮接合する仮接合工程と、ベース部材22及び蓋板23の表面22a,23a側が凸となるように変形させる変形工程と、変形したベース部材22及び蓋板23をテーブルKに固定する固定工程とを行う。
図13及び図14(a)に示すように、凹溝閉塞工程は、ベース部材22の表面22aに蓋板23を載置して凹溝30の上方を覆う工程である。凹溝閉塞工程では、ベース部材22の表面22aと蓋板23の裏面23bとが重ね合わされて重合部J2が形成される。
図14の(a)に示すように、仮接合工程では、ベース部材22と蓋板23とを溶接によって仮接合する。仮接合は、ベース部材22と蓋板23との重合部J2に沿って断続的又は連続的に行う。溶接に代えて、仮接合用回転ツールGを用いて重合部J2に仮接合を行ってもよい。
変形工程では、仮接合されたベース部材22及び蓋板23の表面22a,23aが凸状となるように変形させる。変形させる方法は、例えば、前記したプレス成形型M又はプレス装置Hを用いてもよいし、摩擦攪拌の熱収縮を利用して変形させてもよい。
図14の(b)に示すように、固定工程では、変形させたベース部材22及び蓋板23を表面22a,23a側が凸となるように配置して、四隅をクランプK3で固定する。
図15に示すように、本接合工程は、本接合用回転ツールFを蓋板23の表面23aから挿入し、蓋板23上で移動させて重合部J2に対して摩擦攪拌接合を行う工程である。本接合工程では、本接合用回転ツールFの先端が、ベース部材22に達するように本接合用回転ツールFを挿入することが好ましい。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。重合部J2と凹溝30との距離は、本接合工程を行った際に、凹溝30に塑性流動材が流入しないように設定することが好ましい。
さらに、本接合工程の前に、テーブルKに固定されたベース部材22及び蓋板23の高さ方向の変形量を計測しておき、本接合工程において、当該変形量に合わせて攪拌ピンF2の挿入深さを調節しながら摩擦攪拌を行うことが好ましい。つまり、蓋板23の表面23aの曲面に沿って本接合用回転ツールFの移動軌跡が曲線となるように移動させる。このようにすることで、塑性化領域Wの深さ及び幅を一定にすることができる。
なお、ベース部材22及び蓋板23の変形量の計測については、テーブルKから蓋板23の表面23aまでの高さを検知する検知装置が装備された摩擦攪拌装置を用いて、ベース部材22及び蓋板23の少なくともいずれか一方の変形量を検知しながら本接合工程を行ってもよい。本実施形態においては、ベース部材22及び蓋板23の少なくともいずれか一方を計測するだけでもよい。なお、本実施形態の場合、ベース部材22の変形量は、伝熱板21の裏面側から計測しておき、伝熱板21の表面側における変形量に換算してもよい。
本接合工程が終了したら、ベース部材22及び蓋板23をクランプK3から離脱させて静置する。これにより、本接合工程によって形成された塑性化領域Wが熱収縮するため、ベース部材22及び蓋板23が、表面22a,23a側に凹状となる方向に変形する。これにより、結果的にベース部材22及び蓋板23が平坦になる。
バリ切除工程では、本接合工程後にベース部材22及び蓋板23に発生したバリを除去する工程である。以上により、伝熱板21が完成する。
以上説明した本実施形態に係る伝熱板の製造方法によれば、変形工程において予めベース部材22及び蓋板23の表面22a,23a側に引張応力を作用させて、塑性変形させた後にテーブルKに固定し、表面22a,23a側が凸状となった状態で本接合工程を行うため、本接合工程によって発生する熱収縮によって伝熱板21を平坦にすることができる。
また、本接合用回転ツールFのうちの攪拌ピンF2のみがベース部材22及び蓋板23に接触することになるので、蓋板23の表面23aが凸状に反っていたとしても連結部F1が蓋板23に当たることがないため本接合用回転ツールFの操作性が良好となる。
また、本接合用回転ツールFの連結部F1が蓋板23の表面23aと接触しないため、蓋板23に対する押圧力が小さくなるとともに、従来の製造方法と比べて塑性化領域Wの幅が小さくなる。これにより、従来の製造方法よりも本接合用回転ツールFを凹溝30に近づけることが可能となり、伝熱板の設計の自由度が向上する。また、従来の製造方法に比べて接合するベース部材22及び蓋板23と本接合用回転ツールFとの摩擦を軽減することができ、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、深い位置に重合部J2が存在する場合でも、容易に摩擦攪拌接合することができる。
また、仮接合工程を行うことで、本接合工程を行う際に、ベース部材22と蓋板23との目開きを防ぐことができる。また、バリ切除工程を行うことで、伝熱板21をきれいに仕上げることができる。
〔変形例〕
次に、第三実施形態に係る伝熱板の製造方法の変形例について説明する。図16に示すように、当該変形例では、ベース部材22Aの形状が第三実施形態と相違する。当該変形例のベース部材22Aの表面22Aaには凹部31が形成されている。凹部31は、上方に開放し、直方体を呈する中空部となっている。
変形例に係る伝熱板の製造方法では、準備工程と、本接合工程と、バリ切除工程とを行う。準備工程及びバリ切除工程は、第三実施形態と略同等であるため詳細な説明は省略する。図16の(b)に示すように、本接合工程では、蓋板23の表面23aから本接合用回転ツールFを挿入して、凹部31の周りに沿って一周させつつ、重合部J2に対して摩擦攪拌接合を行う。これにより、伝熱板21Aを製造することができる。変形例によれば、第三実施形態と略同等の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、攪拌ピンF2の先端が、ベース部材22に達する位置まで押し込むように設定したが、ベース部材22に達しないように設定する、つまり、攪拌ピンF2と蓋板23のみとが接触する位置まで押し込み、重合部J2を摩擦攪拌するように設定してもよい。このような場合は、攪拌ピンF2と蓋板23との接触によって生じた摩擦熱で、ベース部材22及び蓋板23が塑性流動化されることにより、重合部J2が接合される。
また、本実施形態では、蓋板23の表面23aから本接合用回転ツールFを挿入したが、ベース部材22の裏面22Abから本接合用回転ツールFを挿入して、重合部J2を摩擦攪拌するようにしてもよい。この場合であっても、攪拌ピンF2は、ベース部材22及び蓋板23の両方と接触する位置まで押し込んでもよいし、ベース部材22のみと接触する位置まで押し込んで、摩擦攪拌するように設定してもよい。
また、第三実施形態及びその変形例では、凹溝30又は凹部31がある形態を例示したが、凹溝30又は凹部31が無いベース部材22Aを用いてもよい。つまり、直方体を呈するベース部材22A及び直方体を呈する蓋板23を接合して伝熱板を製造してもよい。
1 伝熱板
2 ベース部材
3 蓋板
4 熱媒体用管
10 凹溝
11 蓋溝
F 本接合用回転ツール(回転ツール)
F1 攪拌ピン
G 仮接合用回転ツール
J1 突合部
J2 重合部
W 塑性化領域

Claims (8)

  1. ベース部材及び蓋板の表面側に引張応力を作用させて、当該表面側が凸となるように前記ベース部材及び前記蓋板を変形させる変形工程と、
    前記ベース部材の表面に開口する凹溝の周囲に形成された蓋溝に、前記蓋板を挿入する蓋溝閉塞工程と、
    前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合部に沿って攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置の回転軸に連結された回転ツールを相対移動させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含み、
    前記攪拌ピンの周面に螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて左回りに刻設し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて右回りに刻設するとともに、
    前記ベース部材及び前記蓋板の少なくともいずれか一方の変形量を計測し、前記本接合工程において、回転した前記攪拌ピンを前記突合部に挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ベース部材及び前記蓋板に接触させて摩擦熱を発生させた状態で、前記攪拌ピンの挿入深さを前記変形量に合せて調節しながら摩擦攪拌を行うことを特徴とする伝熱板の製造方法。
  2. ベース部材及び蓋板の表面側に引張応力を作用させて、当該表面側が凸となるように前記ベース部材及び前記蓋板を変形させる変形工程と、
    前記ベース部材の表面に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝に、熱媒体用管を挿入する熱媒体用管挿入工程と、
    前記蓋溝に蓋板を挿入する蓋板挿入工程と、
    前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合部に沿って攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置の回転軸に連結された回転ツールを相対移動させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含み、
    前記攪拌ピンの周面に螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて左回りに刻設し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて右回りに刻設するとともに、
    前記ベース部材及び前記蓋板の少なくともいずれか一方の変形量を計測し、前記本接合工程において、回転した前記攪拌ピンを前記突合部に挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ベース部材及び前記蓋板に接触させて摩擦熱を発生させた状態で、前記攪拌ピンの挿入深さを前記変形量に合せて調節しながら摩擦攪拌を行うことを特徴とする伝熱板の製造方法。
  3. 前記本接合工程の前に、前記突合部を仮接合する仮接合工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伝熱板の製造方法。
  4. 前記仮接合工程では、前記回転ツールの攪拌ピンのみを前記突合部に挿入して仮接合することを特徴とする請求項3に記載の伝熱板の製造方法。
  5. 前記変形工程では、平坦面を備えた架台の四隅に配置されたスペーサーの上に仮接合された前記ベース部材及び前記蓋板を、前記ベース部材の裏面側が上を向くように配置して、ポンチを前記ベース部材の中央に降下させて、前記ベース部材及び前記蓋板を変形させることを特徴とする請求項3に記載の伝熱板の製造方法。
  6. ベース部材及び蓋板の表面側に引張応力を作用させて、当該表面側が凸となるように前記ベース部材及び前記蓋板を変形させる変形工程と、
    前記ベース部材の表面に開口する凹溝又は凹部を覆うように、前記ベース部材の表面に前記蓋板を重ね合わせる閉塞工程と、
    前記ベース部材と前記蓋板との重合部を仮接合する仮接合工程と、
    前記蓋板の表面から攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置の回転軸に連結された回転ツールを挿入し、前記ベース部材の表面と前記蓋板の裏面との重合部に沿って前記回転ツールを相対移動させる本接合工程と、を含み、
    前記攪拌ピンの周面に螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて左回りに刻設し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を前記攪拌ピンの基端側から先端側に向けて右回りに刻設するとともに、
    前記ベース部材及び前記蓋板の少なくともいずれか一方の変形量を計測し、前記本接合工程では、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ベース部材と前記蓋板の両方、又は、前記蓋板のみに接触させて摩擦熱を発生させた状態で、前記攪拌ピンの挿入深さを前記変形量に合せて調節しながら前記重合部の摩擦攪拌を行うことを特徴とする伝熱板の製造方法。
  7. 前記変形工程では、平坦面を備えた架台の四隅に配置されたスペーサーの上に仮接合された前記ベース部材及び前記蓋板を、前記ベース部材の裏面側が上を向くように配置して、ポンチを前記ベース部材の中央に降下させて、前記ベース部材及び前記蓋板を変形させることを特徴とする請求項6に記載の伝熱板の製造方法。
  8. 前記本接合工程の終了後、前記回転ツールの摩擦攪拌によって生じたバリを切除するバリ切除工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。
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