JP6014099B2 - 機械式継手 - Google Patents

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Description

本発明は、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する機械式継手に関する。
二本の異形棒鋼を直線状に接合する方法は、大別して、重ね継手、ガス圧接継手、溶接式継手及び機械式継手に区分されている。その中でも機械式継手には、後記特許文献のような継手が提案されている。
特許文献1では、内面には、リブを挟んだ上下で節の位相がずれている異形棒鋼の形状に合わせた溝部を有するとともに、外面両端部にテーパーねじを有する、一対の半割り継手部材からなる継手本体と、この継手本体の上記テーパーねじに係合するテーパーねじを有するナットから構成し、この半割り継手部材で異形棒鋼を上下方向から挟み込むように保持し、その後、両端からテーパーナットを螺合することで異形棒鋼を接合する機械式継手が公開されている。
特許文献2では、一対の異形棒鋼の各端部に連結用スリーブが予め圧着してあり、上記スリーブに形成してある雌ねじ部に接続ボルトをねじ込んで上記異形棒鋼同士を突合せ連結する機械式継手が公開されている。
特開平5−295858号公報 特開平10−37383号公報
特許文献1の構成では、接合すべき二本の異形棒鋼のリブの位置を揃えると共に、そのリブの位置を半割り継手部材に更に合わせる必要があるが、接合作業を行う場所やスペースによっては異形棒鋼の向きを自由に回転できない場合があり、そのような場合には接合の作業性が低下するなどの問題点がある。
特許文献2の構成では、異形棒鋼へ連結用スリーブを取り付ける際に、専用の圧着機を用いる必要があるなどの問題点がある。
本発明は上記実情を基に開発されたもので、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する際の作業性が高く、且つ、専用の機械を用いる必要のない機械式継手の提供を目的としている。
前記の課題を解決するための本発明は、円柱状の棒鋼本体、及び棒鋼本体の外面であってその長手方向に延長する二本のリブ、及び棒鋼本体の外面であって二本のリブの間を接合する複数の節を有する二本の異形棒鋼を接合対象とし、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する機械式継手を前提とする。
そして本発明の第1の機械式継手は、各異形棒鋼の接合側端部に対して連結する雄ねじ形成部を二組と、二組の雄ねじ形成部を連結する連結ナットとを備える。そして雄ねじ形成部は、異形棒鋼の外周面における円周全長のうち略半分ずつを覆う略半円筒形状のカプラーを一対と、一対のカプラーが円筒状を保持するようにその外面側に嵌合する為の内テーパ部が内面に形成されたテーパースリーブと、テーパースリーブを押し込む締結ナットと、を備える。そのうえで円筒状となる一対のカプラーは、内面には、異形棒鋼の節に嵌合する節溝を有し、外面には、内テーパ部に対応すると共に異形棒鋼の接合側端部に向かって縮径する外テーパ部と、外テーパ部よりも接合側端部の位置に形成されると共に締結ナット及び連結ナットの一部を螺合する雄ねじ部とを有するものである。
また、連結ナットのみを回転させることで二組の雄ねじ形成部を連結するために、一対の雄ねじ形成部のうち一方の雄ねじ部と、その一方の雄ねじ部に螺合する締結ナット及び連結ナットの一方側には、右ねじが形成されており、一対の雄ねじ形成部のうち他方の雄ねじ部と、その他方の雄ねじ部に螺合する締結ナット及び連結ナットの他方側には、左ねじが形成されていることが好ましい。
上記した第1の機械式継手は、雄ねじ形成部と、連結ナットとを備えるものであったが、本発明はこれに限らず、雄ねじ形成部の代わりに雌ねじ形成部を、連結ナットの代わりに連結ボルトを用いるものであっても良い。
すなわち本発明の第2の機械式継手は、各異形棒鋼の接合側端部に対して連結する雌ねじ形成部を二組と、二組の雌ねじ形成部を連結する連結ボルトとを備える。そして連結ボルトは、軸長の中間部には頭部を、軸長の両端部には雄ねじ部を備えるものとする。また雌ねじ形成部は、異形棒鋼の外周面における円周全長のうち略半分ずつを覆う略半円筒形状のカプラーを一対と、一対のカプラーが円筒状を保持するようにその外面側に嵌合する為の内テーパ部が内面に形成されたテーパースリーブと、テーパースリーブを押し込む締結ナットと、を備える。そして円筒状となる一対のカプラーは、内面には、異形棒鋼の節に嵌合する節溝を有し、外面には、内テーパ部に対応すると共に異形棒鋼の接合側端部に向かって縮径する外テーパ部と、外テーパ部よりも接合側端部の位置に形成される雄ねじ部とを有する。そのうえで締結ナットは、内面には雌ねじ部を備え、雌ねじ部は一対のカプラーの雄ねじ部及び連結ボルトの雄ねじ部に螺合するものである。
また、連結ボルトのみを回転させることで二組の雌ねじ形成部を連結するために、一対の雌ねじ形成部のうち一方の雌ねじ部と、その一方の雌ねじ部に螺合する連結ボルトの一方側及び一対のカプラーには、右ねじが形成されており、一対の雌ねじ形成部のうち他方の雌ねじ部と、その他方の雌ねじ部に螺合する連結ナットの他方側及び一対のカプラーには、左ねじが形成されていることが好ましい。
そして、異形棒鋼の節とカプラーの溝を、容易に精度よく嵌合するために、接合対象となる二本の異形棒鋼の節は、二本のリブを介して円形状に連続するように棒鋼本体の長手方向に対する位置を合わせて配置されていることが好ましい。
雄ねじ形成部を二組と連結ナットを用いた本発明によれば、各異形棒鋼の接合側端部に対して一対のカプラーを被せ、被せた一対のカプラーにテーパースリーブを挿入し、締結ナットを螺合させることによって、雄ねじ形成部を各異形棒鋼の接合側端部に形成でき、二組の雄ねじ形成部に連結ナットを螺合させるだけで二本の異形棒鋼を接合できるので、二本の異形棒鋼を機械的に接合する際に専用の機械を必要としない。また、異形棒鋼のリブの位置を揃える必要がないので、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する際の作業性が向上する。
また、一対の雄ねじ形成部のうち一方の雄ねじ部と、その一方の雄ねじ部に螺合する締結ナット及び連結ナットの一方側には、右ねじが形成されており、一対の雄ねじ形成部のうち他方の雄ねじ部と、その他方の雄ねじ部に螺合する締結ナット及び連結ナットの他方側には、左ねじが形成されている構成の場合、異形棒鋼を回転せずに、連結ナットのみを回転させることで異形棒鋼を接合することが可能であるため、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する際の作業性が更に向上する。
また、雌ねじ形成部と連結ボルトを用いた本発明によれば、雄ねじ形成部と連結ナットを用いた機械式継手と同様に、二本の異形棒鋼を機械的に接合する際に専用の機械を必要とせず、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する際の作業性が向上する。
また、一対の雌ねじ形成部のうち一方の雌ねじ部と、その一方の雌ねじ部に螺合する一対のカプラー及び連結ボルトの一方側には、右ねじが形成されており、一対の雌ねじ形成部のうち他方の雌ねじ部と、その他方の雌ねじ部に螺合する一対のカプラー及び連結ボルトの他方側には、左ねじが形成されている構成の場合、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する際の作業性が更に向上する。
そして、使用する異形棒鋼の節が、二本のリブを介して円形状に連続するように棒鋼本体の長手方向に対する位置を合わせて配置されている構成の場合、異形棒鋼の節とカプラーの溝を、容易に精度よく嵌合できるため、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する際の作業性がより一層向上する。
(a)、(b)図は、本発明による機械式継手を使用して接合する異形棒鋼の正面図、左側面図である。 (a)、(b)、(c)図は、本発明の第一実施形態の機械式継手の使用状態を示す正面図、左側面図、右側面図である。 本発明の第一実施形態の機械式継手の使用状態を示す縦断面図である。 (a)、(b)、(c)、(d)図は、右ねじ用のカプラーの平面図、正面図、左側面図、底面図であって、(e)、(f)、(g)、(h)図は、左ねじ用のカプラーの平面図、正面図、右側面図、底面図である。 本発明の第一実施形態の機械式継手を使用している時の異形棒鋼の節と、カプラー内面の節溝との嵌合状態を示す拡大縦断面図である。 (a)、(b)、(c)図は、テーパースリーブの正面図、左側面図、断面図である。 (a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)図は、右ねじ用の締結ナットの正面図、左側面図、断面図と、左ねじ用の締結ナットの正面図、左側面図、断面図である。 (a)、(b)、(c)図は、連結ナットの正面図、側面図、断面図である。 (a)、(b)図は、本発明による第二実施形態の機械式継手の使用状態を示す正面図、縦断面図である。 (a)、(b)図は、右ねじ用の締結ナットの正面図、片側を断面とした側面図である。 (a)、(b)図は、左ねじ用の締結ナットの正面図、片側を断面とした側面図である。 (a)、(b)図は、連結ボルトの正面図、側面図である。
以下、この発明の実施の形態を図1から図12を参照して詳細に説明する。まず、本発明の機械式継手の接合対象である異形棒鋼Aについて説明する。異形棒鋼Aは、一対二個の圧延ロールを対向配置した二ロール圧延機が複数台直列に配列された熱間連続圧延設備によって製造される。この異形棒鋼Aの形状は、図1(a)、(b)に示すように、円柱状の棒鋼本体A1の外面長手方向に延びるリブA2を棒鋼本体A1の円形断面の中心を基準として円周方向に沿って180度毎に設けるとともに、二本のリブA2、A2の間には多数の節A3を棒鋼本体A1の外面長手方向に間隔をあけて設けてある。各節A3は、円周方向に延びるほぼ半円状であって、各リブA2に対して直交している。また、異形棒鋼Aの製造段階で、圧延ロールの周方向に設けた節用の凹溝の位置を二ロールで合わせることにより、二本の節A3、A3が、棒鋼本体A1に対する同一円周方向に、二本のリブA2、A2を挟み込むようにして配置され、言い換えるならば、二本の節A3、A3が二本のリブA2、A2を介して円形状に連続するように棒鋼本体A1の長手方向に対する位置を合わせて配置されている。
その他に、異形棒鋼AのリブA2と、節A3とはそれぞれ面一、つまり、リブA2の外周面と節A3の外周面が段差なく連続している。因みに、異形棒鋼Aの長手方向で隣り合う節A3と節A3との間は、棒鋼本体A1へ向かって窪むような円弧状に形成されている。
本発明による第一実施形態の機械式継手は、図2(a)、及び、図3に示すように、二組の雄ねじ形成部100、200と、二組の雄ねじ形成部100、200を連結する連結ナット70とから構成されている。
そして、二組の雄ねじ形成部100、200は、右ねじ用と左ねじ用である。右ねじ用の雄ねじ形成部100は、右ねじが螺刻された雄ねじ部11と、異形棒鋼Aの接合側端部に向かって縮径する外テーパ部12を有する一対のカプラー10、10と、テーパースリーブ30と、締結ナット50で構成されている。また、左ねじ用の雄ねじ形成部200は、左ねじが螺刻された雄ねじ部21と、異形棒鋼Aの接合側端部に向かって縮径する外テーパ部22を有する一対のカプラー20、20と、テーパースリーブ40と、締結ナット60で構成されている。右ねじ用と左ねじ用の雄ねじ形成部100,200は、基本的な構成が同じであるので、主に右ねじ用について説明する。
右ねじ用のカプラー10は、所望の強度を有する金属材料、例えば鉄等をもって鋳造した、異形棒鋼A以上の引張り強度を有するものであって、図2(b)に示すように、断面が半円よりもわずかに小さい、略半円筒形状をなすものである。そして、異形棒鋼Aと嵌合する際には、一対のカプラー10、10は、互いの円周方向の端面同士を対向させることにより、略円筒状となる。また、一対のカプラー10、10の円周方向の間には、図2(b)に示すように、リブA2に沿って延長する隙間80をそれぞれ有している。左ねじ用の一対のカプラー20、20は、図2(c)に示すように、右ねじ用と同様であり、互いの円周方向の端面同士を対となるカプラー20と対向させることにより、略円筒状となる。
そして、右ねじ用のカプラー10は、内面には、その長手方向に間隔をあけて円周方向に延びる係止突起14を複数有している。また、隣り合う係止突起同士14、14の間には、節溝15がそれぞれ形成されている。なお、この節溝15の形状は、図3、図5に示すように、異形棒鋼Aの節A3の形状と略一致し、係止突起14の形状も隣り合う節同士A3、A3の間の形状と略一致したものである。左ねじ用のカプラー20は、図3に示すように、右ねじ用のカプラー10と同様であり、係止突起24を複数有するものであって、隣り合う係止突起同士24、24の間には、節溝25がそれぞれ形成されている。
そして、右ねじ用のカプラー10は、図4に示すように、外面には、長手方向の一端(図面では左側の端)から他端(図面では右側の端)へ向かって順に、半外テーパ部12aと、半雄ねじ部11aをそれぞれ有している。そして、半外テーパ部12aは、一端へ向かって外径が大きくなっており、一対のカプラー10、10の円周方向の端面同士が対向することで、相対する面が対称的に傾斜する外テーパ部12をそれぞれ形成する。なお、本実施例では、半外テーパ部12aの一端部であって、且つ、半外テーパ部12aの円周方向中間部には、バイス等で挟んで固定するための挟み持ち部13として、カプラー10の円周方向の端面と平行な面を有している。また、半雄ねじ部11aは、一対のカプラー10、10の円周方向の端面同士が対向することで、雄ねじ部11をそれぞれ形成すると共に、雄ねじ部11のねじ方向は、図4(a)、(b)に示すように、右ねじとなっている。なお、左ねじ用のカプラー20は、右ねじ用のカプラー10とほぼ同様であって、外面には、長手方向の一端(図面では左側の端)から他端(図面では右側の端)へ向かって順に、半外テーパ部22aと、半雄ねじ部21aをそれぞれ有している。そして、半外テーパ部22aは、一対のカプラー20、20の円周方向の端面同士が対向することで、相対する面が対称的に傾斜する外テーパ部22をそれぞれ形成する。そして、半外テーパ部22aの一端部であって、且つ、半外テーパ部22aの円周方向中間部には、バイス等で挟んで固定するための挟み持ち部23として、カプラー20の円周方向の端面と平行な面を有している。また、半雄ねじ部21aは、一対のカプラー20、20の円周方向の端面同士が対向することで、雄ねじ部21をそれぞれ形成する。ただし、雄ねじ部21のねじ方向は、図4(e)、(f)に示すように、左ねじとなっており、この点が右ねじ用カプラー10と異なる。
右ねじ用のテーパースリーブ30は、図3、図6に示すように、略円筒形状をなすものであって、内面には、外テーパ部12に対応した、言い換えるならば、外テーパ部12のテーパ角度と同角度の内テーパ部31をそれぞれ有している。左ねじ用のテーパースリーブ40は、右ねじ用のテーパースリーブ30と同様であり、内面には、外テーパ部22に対応した、内テーパ部41をそれぞれ有している。なお、図6では、一端から他端へ向かって内径が縮径したものとなっている。
右ねじ用の締結ナット50は、図7(a)、(b)に示すように、外形が多角形となっている。そして、締結ナット50の内面には、図7(c)に示すように、雄ねじ部11に螺合することが可能な、右ねじのねじ山からなる雌ねじ部51を有している。左ねじ用の締結ナット60は、右ねじ用の締結ナット50とほぼ同様であって、図7(d)、(e)に示すように、外形が多角形である。ただし、締結ナット60の内面には、図7(f)に示すように、雄ねじ部21に螺合することが可能な、左ねじのねじ山からなる雌ねじ部61を有しており、この点が右ねじ用の締結ナット50と異なる。
連結ナット70は、図8(a)、(b)に示すように、外形が多角形となっている。そして、連結ナット70の内面には、図8(c)に示すように、雄ねじ部11、21に螺合することが可能なねじ山からなる雌ねじ部71を有している。なお、この雌ねじ部71は、軸方向の中央部分である、異形棒鋼A、Aの突き合わせ部を境に、一端側には右ねじが形成され、他端側には左ねじが形成されている。従って、突き合わせ部は、筒面であり、ねじ山は形成されていない。
以上のような第一実施形態の機械式継手は、以下の(1)〜(5)の手順で使用する。(1)まず、右ねじ用の一対のカプラー10、10の雄ねじ部11側が異形棒鋼Aの接合端部側にくるように、一対のカプラー10、10と、異形棒鋼Aとを配置すると共に、一対のカプラー10、10の内面側で、異形棒鋼Aの接合部端部の外面を覆うようにして被せる。なお、この時、各カプラー10は、異形棒鋼Aの外周面における円周全長のうち、略半分ずつを覆っており、一対のカプラー10、10の内部に収容された異形棒鋼Aの位置や嵌合状況は、一対のカプラー10、10の円周方向の間に設けられた隙間80から確認することが可能である。より詳しく言えば、一対のカプラー10、10は、異形棒鋼Aの外周面における円周全長のうち、二本のリブA2、A2以外の部分を覆い、二本のリブA2、A2が隙間80から確認できるようになっている。
(2)その後、一対のカプラー10、10の外テーパ部12と、テーパースリーブ30の内テーパ部31のテーパーの向きを一致するようにして、異形棒鋼Aの接合部端部側からテーパースリーブ30を通すことで、一対のカプラー10、10を異形棒鋼Aの外面に接近させ、一対のカプラー10、10を円筒状に保持する。
(3)そして、円筒状に保持した一対のカプラー10、10の雄ねじ部11の根元側に、締結ナット50を螺合させる。なお、締結ナット50を螺合させるにつれ、テーパースリーブ30は、異形棒鋼Aの接合部端部側から遠ざかる方向に移動する。そして、この時、内テーパ部31と、外テーパ部12を有することから、徐々に一対のカプラー10、10が異形棒鋼Aをその半径方向に締め付ける力が働き、各係止突起14が異形棒鋼Aの外面に強固に押し付けられ、その結果、異形棒鋼Aの接合側端部に対して右ねじ用の雄ねじ形成部100を連結する。
(4)そして、もう一方の異形棒鋼Aにも上記と同様の工程を経て接合側端部に対して左ねじ用の雄ねじ形成部200を連結する。
(5)このようにして異形棒鋼A、Aにそれぞれ連結された二組の雄ねじ形成部100、200は、その後、連結ナット70を一方向に回転させることで連結され、このことによって、二本の異形棒鋼A、Aを一直線に機械的に接合する。そして連結ナット70を回転させる際に二本の異形棒鋼A、AのリブA2、A2の位置を一直線に揃えなくても良いので、作業性が向上する。また連結ナット70の一方側には右ねじが、他方側には左ねじが形成されているので、連結ナット70を一方向に回転させる簡単な操作で、連結できる。
本発明による第二実施形態の機械式継手は図9〜図12に示すように、二組の雌ねじ形成部100C、200Cと、二組の雌ねじ形成部100C、200Cを連結する連結ボルト70Cとから構成されている。つまり第二実施形態の機械式継手は、第一実施形態の機械式継手の二組の雄ねじ形成部100、200の代わりに二組の雌ねじ形成部100C、200Cを用いると共に、第一実施形態の機械式継手の連結ナット70の代わりに連結ボルト70Cを用いたものである。
二組の雌ねじ形成部100C、200Cは、右ねじ用と左ねじ用である。右ねじ用の雌ねじ形成部100Cは、右ねじの半雄ねじ部11aを各々含む一対のカプラー10、10と、テーパースリーブ30と、右ねじの雌ねじ部51Cを含む締結ナット50Cで構成されている。一対のカプラー10、10と、テーパースリーブ30は、第二実施形態と第一実施形態で同じ構成であるが、第二実施形態の締結ナット50Cは、第一実施形態の締結ナット50の構成と一部が相違する。第二実施形態の締結ナット50Cは、その全長が第一実施形態の締結ナット50に比べて長く形成されている点が相違する。ちなみに締結ナット50Cの全長に亘って雌ねじ部51Cが形成されている。そして本実施例では締結ナット50Cの全長は、異形棒鋼Aの外側を略円筒状に覆う一対のカプラー10、10の雄ねじ部11の全長よりも長くなっている。なお一対のカプラー10、10は、雄ねじ部11側の端面には係止突起14の一部が位置しており、この係止突起14の一部は、1つの係止突起14の軸長全長の半分よりも短いものとなっている。
また、左ねじ用の雌ねじ形成部200Cは、左ねじであるという点以外は、右ねじ用雌ねじ形成部100Cと同じ構成である。したがって左ねじ用の雌ねじ形成部200Cは、第一実施形態と同じ構成である左ねじの半雄ねじ部21aを各々含む一対のカプラー20、20と、第一実施形態と同じ構成であるテーパースリーブ40と、第一実施形態の構成に比べて全長が長い締結ナット60Cとを備えている。なお締結ナット60Cは、その内面に左ねじの雌ねじ部61Cを備えている。
連結ボルト70Cは、軸長(軸方向の全長)の中間部に頭部71Cを、軸長の両端部に一対の雄ねじ部72C、72Cをそれぞれ備えるものである。頭部71Cは、直径が雄ねじ部72Cよりも長く、本実施例では外周面が正六角形状になっている。また一対の雄ねじ部72C、72Cは、一方が左ねじであり、他方が右ねじである。
以上のような第二実施形態の機械式継手は、第一実施形態の機械式継手と同様に、以下(1)〜(5)の手順で使用する。
(1)〜(3)の手順は、第一実施形態の機械式継手の手順(1)〜(3)と同様であり、それによって右ねじ用の雌ねじ形成部100Cを形成する。つまり右ねじ用の一対のカプラー10、10を異形棒鋼Aの接合部端部の外面に対して円筒状に覆うようにして被せ、テーパースリーブ30を一対のカプラー10、10の上に被せ、一対のカプラー10、10の雄ねじ部11に、締結ナット50Cを螺合させる。そうすると内テーパ部31と外テーパ部12とが重なり合って、結果的に異形棒鋼Aの接合側端部に対して右ねじ用の雌ねじ形成部100Cが連結される。右ねじ用の雌ねじ形成部100Cは、締結ナット50Cの雌ねじ部51Cには、一対のカプラー10、10に螺合している部分と、未だ何も螺合していない部分とが形成される。また、異形棒鋼Aの接合側端部は、一対のカプラー10、10よりも突出している。
(4)そして、もう一方の異形棒鋼Aにも上記と同様の工程を経て接合側端部に対して左ねじ用の雌ねじ形成部200Cを連結する。
(5)このようにして二本の異形棒鋼A、Aにそれぞれ連結された二組の雌ねじ形成部100C、200Cは、その後、未だ何も螺合していない部分に対して、連結ボルト70Cの一対の雄ねじ部72C、72Cを合わせて、連結ボルト70Cを一方向に回転させ、一対の雄ねじ部72C、72Cの端面が、対応する側の異形棒鋼Aの端面に強く押し当てられるようにする。このとき連結ボルト70Cの頭部71Cと一対の締結ナット50C、60Cの間に隙間が形成され、その隙間から一対の雄ねじ部72C、72Cの一部が確認できるようになっている。このようにして二本の異形棒鋼A、Aを一直線に機械的に接合する。
本発明の機械式継手は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、前記第一実施形態の機械式継手では、一対の雄ねじ形成部の雄ねじ部、その雄ねじ部にそれぞれ螺合する締結ナット、及び連結ナットは、左ねじ用、右ねじ用で不統一であったが、本発明はこれに限らず、右ねじ用、もしくは左ねじ用で全て統一されてあるものでも問題ない。また、第二実施実施形態の機械式継手では、同様に左ねじ用、右ねじ用で不統一であったが、本発明はこれに限らず、右ねじ用、もしくは左ねじ用で全て統一されてあるものでも問題ない。なお、カプラー内の節溝や異形棒鋼のリブの個数は、問わない。
10 カプラー(右ねじ用)
11 雄ねじ部
11a 半雄ねじ部
12 外テーパ部
12a 半外テーパ部
13 挟み持ち部
14 係止突起
15 節溝
20 カプラー(左ねじ用)
21 雄ねじ部
21a 半雄ねじ部
22 外テーパ部
22a 半外テーパ部
23 挟み持ち部
24 係止突起
25 節溝
30 テーパースリーブ(右ねじ用)
31 内テーパ部
40 テーパースリーブ(左ねじ用)
41 内テーパ部
50、50C 締結ナット(右ねじ用)
51、51C 雌ねじ部
60、60C 締結ナット(左ねじ用)
61、61C 雌ねじ部
70 連結ナット
71 雌ねじ部
70C 連結ボルト
71C 頭部
72C 雄ねじ部
80 隙間
100 雄ねじ形成部(右ねじ用)
200 雄ねじ形成部(左ねじ用)
100C 雌ねじ形成部(右ねじ用)
200C 雌ねじ形成部(左ねじ用)
A 異形棒鋼
A1 棒鋼本体
A2 リブ
A3 節

Claims (5)

  1. 円柱状の棒鋼本体、及び棒鋼本体の外面であってその長手方向に延長する二本のリブ、及び棒鋼本体の外面であって二本のリブの間を接合する複数の節を有する二本の異形棒鋼を接合対象とし、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する機械式継手において、
    各異形棒鋼の接合側端部に対して連結する雄ねじ形成部を二組と、二組の雄ねじ形成部を連結する連結ナットとを備え、
    雄ねじ形成部は、異形棒鋼の外周面における円周全長のうち略半分ずつを覆う略半円筒形状のカプラーを一対と、一対のカプラーが円筒状を保持するようにその外面側に嵌合する為の内テーパ部が内面に形成されたテーパースリーブと、テーパースリーブを押し込む締結ナットと、を備え、
    円筒状となる一対のカプラーは、内面には、異形棒鋼の節に嵌合する節溝を有し、外面には、内テーパ部に対応すると共に異形棒鋼の接合側端部に向かって縮径する外テーパ部と、外テーパ部よりも接合側端部の位置に形成されると共に締結ナット及び連結ナットの一部を螺合する雄ねじ部とを有することを特徴とする機械式継手。
  2. 一対の雄ねじ形成部のうち一方の雄ねじ部と、その一方の雄ねじ部に螺合する締結ナット及び連結ナットの一方側には、右ねじが形成されており、
    一対の雄ねじ形成部のうち他方の雄ねじ部と、その他方の雄ねじ部に螺合する締結ナット及び連結ナットの他方側には、左ねじが形成されていることを特徴とする請求項1記載の機械式継手。
  3. 円柱状の棒鋼本体、及び棒鋼本体の外面であってその長手方向に延長する二本のリブ、及び棒鋼本体の外面であって二本のリブの間を接合する複数の節を有する二本の異形棒鋼を接合対象とし、二本の異形棒鋼を一直線に機械的に接合する機械式継手において、
    各異形棒鋼の接合側端部に対して連結する雌ねじ形成部を二組と、二組の雌ねじ形成部を連結する連結ボルトとを備え、
    連結ボルトは、軸長の中間部には頭部を、軸長の両端部には雄ねじ部を備え
    雌ねじ形成部は、異形棒鋼の外周面における円周全長のうち略半分ずつを覆う略半円筒形状のカプラーを一対と、一対のカプラーが円筒状を保持するようにその外面側に嵌合する為の内テーパ部が内面に形成されたテーパースリーブと、テーパースリーブを押し込む締結ナットと、を備え、
    円筒状となる一対のカプラーは、内面には、異形棒鋼の節に嵌合する節溝を有し、外面には、内テーパ部に対応すると共に異形棒鋼の接合側端部に向かって縮径する外テーパ部と、外テーパ部よりも接合側端部の位置に形成される雄ねじ部とを有し、
    締結ナットは、内面には雌ねじ部を備え、雌ねじ部は一対のカプラーの雄ねじ部及び連結ボルトの雄ねじ部に螺合することを特徴とする機械式継手。
  4. 一対の雌ねじ形成部のうち一方の雌ねじ部と、その一方の雌ねじ部に螺合する連結ボルトの一端部側及び一対のカプラーには、右ねじが形成されており、
    一対の雌ねじ形成部のうち他方の雌ねじ部と、その他方の雌ねじ部に螺合する連結ボルトの他端部及び一対のカプラーには、左ねじが形成されていることを特徴とする請求項3記載の機械式継手。
  5. 接合対象となる二本の異形棒鋼の節は、二本のリブを介して円形状に連続するように棒鋼本体の長手方向に対する位置を合わせて配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の機械式継手。
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