[実施の形態1]
本発明の実施の形態1による無停電電源システムでは、常時インバータ給電を行なう第1の動作モードと、常時バイパス給電を行なう第2の動作モードとのうちの所望の動作モードを選択することが可能となっている。まず無停電電源システムの構成と第1の動作モードについて説明し、第2の動作モードについては後述する。
この無停電電源システムは、図1に示すように、入力端子T1、バイパス端子T2、出力端子T3、スイッチS1〜S8、入力変圧器1、高圧無停電電源装置2、無瞬断スイッチ3、エネルギー蓄積装置4、電圧検出器9、制御回路10、および操作部11を備える。この無停電電源システムは、第1の動作モードでは、商用交流電源20およびバイパス交流電源21から三相三線式の商用交流電力を受けて、三相三線式の商用周波数の交流電力を負荷22に出力する。たとえば、商用交流電力の線間電圧は3300Vであり、相電圧は1905Vである。ただし、図面および説明の簡単化のため、図1では一相一線分の回路が示されている。
入力端子T1は、商用交流電源20からの商用交流電力を受ける。バイパス端子T2は、バイパス交流電源21からの商用交流電力を受ける。出力端子T3は、負荷22に接続される。スイッチS1は、たとえばブレーカであり、入力端子T1と入力変圧器1の1次巻線との間に接続され、通常時はオンされ、無停電電源システムのメンテナンス時にオフされる。
図2は、入力変圧器1の構成を示す回路図である。図2において、入力変圧器1は、3個の1次巻線CR,CS,CTと、互いに絶縁された9個の2次巻線CU1〜CU3,CV1〜CV3,CW1〜CW3とを含む。1次巻線CR,CS,CTの一方端子はそれぞれR相、S相、およびT相の交流電圧VR,VS,VTを受け、それらの他方端子は互いに接続されている。交流電圧VR,VS,VTは、ともに1905Vであり、それらの位相は120度ずつずれている。
2次巻線CU1〜CU3は、1次巻線CRと電磁結合されている。2次巻線CV1〜CV3は、1次巻線CSと電磁結合されている。2次巻線CW1〜CW3は、1次巻線CTと電磁結合されている。2次巻線CU1〜CU3の端子間には、それぞれU相の交流電圧VU1〜VU3が出力される。2次巻線CV1〜CV3の端子間には、それぞれV相の交流電圧VV1〜VV3が出力される。2次巻線CW1〜CW3の端子間には、それぞれW相の交流電圧VW1〜VW3が出力される。交流電圧VU1〜VU3,VV1〜VV3,VW1〜VW3は、ともに635Vである。U相の交流電圧VU1〜VU3とV相の交流電圧VV1〜VV3とW相の交流電圧VW1〜VW3の位相は120度ずつずれている。
図3は、高圧無停電電源装置2の構成を示す回路ブロック図である。図3において、高圧無停電電源装置2は、9個の無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3と、9個のバッテリ12と、3個の出力端子TU,TV,TWを含む。制御回路10は、高圧無停電電源装置2全体を制御する。たとえば制御回路10は、高圧無停電電源装置2の出力電圧VU,VV,VWが目標電圧になるように無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3を制御する。
無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3は、それぞれ2次巻線CU1〜CU3,CV1〜CV3,CW1〜CW3に接続されるとともに、それぞれ9個のバッテリ12に接続される。
無停電電源装置UU1〜UU3は、それぞれ2次巻線CU1〜CU3から交流電力が供給されている場合は、それぞれ2次巻線CU1〜CU3から受けた交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をそれぞれ3個のバッテリ12に蓄えるとともに交流電力に変換する。また、無停電電源装置UU1〜UU3は、それぞれ2次巻線CU1〜CU3からの交流電力の供給が停止された場合は、それぞれ3個のバッテリ12の直流電力を交流電力に変換する。
無停電電源装置UU1〜UU3の出力端子Tc,Tb間には、それぞれ商用周波数で定電圧(635V)の交流電圧VU11〜VU13が出力される。無停電電源装置UU1の出力端子Tdは中性点NPに接続され、無停電電源装置UU1,UU2の出力端子Tcはそれぞれ無停電電源装置UU2,UU3の出力端子Tdに接続され、無停電電源装置UU3の出力端子Tcは出力端子TUに接続される。
すなわち、無停電電源装置UU3〜UU1は出力端子TUおよび中性点NP間に直列接続される。無停電電源装置UU2は、前段の無停電電源装置UU1の出力電圧VU11に自己の出力電圧VU12を加算して次段に出力する。無停電電源装置UU3は、前段の無停電電源装置UU2の出力電圧VU11+VU12に自己の出力電圧VU13を加算して出力端子TUに出力する。結局、出力端子TUには、無停電電源装置UU1〜UU3の出力電圧VU11〜VU13の総和の交流電圧VU=VU11+VU12+VU13が出力される。交流電圧VUすなわちU相電圧VUは、635×3=1905Vである。
同様に、無停電電源装置UV1〜UV3は、それぞれ2次巻線CV1〜CV3から交流電力が供給されている場合は、それぞれ2次巻線CV1〜CV3から受けた交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をそれぞれ3個のバッテリ12に蓄えるとともに交流電力に変換する。また、無停電電源装置UV1〜UV3は、それぞれ2次巻線CV1〜CV3からの交流電力の供給が停止された場合は、それぞれ3個のバッテリ12の直流電力を交流電力に変換する。
無停電電源装置UV1〜UV3の出力端子Tc,Tb間には、それぞれ商用周波数で定電圧(635V)の交流電圧VV11〜VV13が出力される。無停電電源装置UV1の出力端子Tdは中性点NPに接続され、無停電電源装置UV1,UV2の出力端子Tcはそれぞれ無停電電源装置UV2,UV3の出力端子Tdに接続され、無停電電源装置UV3の出力端子Tcは出力端子TVに接続される。
すなわち、無停電電源装置UV3〜UV1は出力端子TVおよび中性点NP間に直列接続される。無停電電源装置UV2は、前段の無停電電源装置UV1の出力電圧VV11に自己の出力電圧VV12を加算して次段に出力する。無停電電源装置UV3は、前段の無停電電源装置UV2の出力電圧VV11+VV12に自己の出力電圧VV13を加算して出力端子TVに出力する。結局、出力端子TVには、無停電電源装置UV1〜UV3の出力電圧VV11〜VV13の総和の交流電圧VV=VV11+VV12+VV13が出力される。交流電圧VVすなわちV相電圧VVは、635×3=1905Vである。
同様に、無停電電源装置UW1〜UW3は、それぞれ2次巻線CW1〜CW3から交流電力が供給されている場合は、それぞれ2次巻線CW1〜CW3から受けた交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をそれぞれ3個のバッテリ12に蓄えるとともに交流電力に変換する。また、無停電電源装置UW1〜UW3は、それぞれ2次巻線CW1〜CW3から交流電力が停止された場合は、それぞれ3個のバッテリ12の直流電力を交流電力に変換する。
無停電電源装置UW1〜UW3の出力端子Tc,Tb間には、それぞれ商用周波数で定電圧(635V)の交流電圧VW11〜VW13が出力される。無停電電源装置UW1の出力端子Tdは中性点NPに接続され、無停電電源装置UW1,UW2の出力端子Tcはそれぞれ無停電電源装置UW2,UW3の出力端子Tdに接続され、無停電電源装置UW3の出力端子Tcは出力端子TWに接続される。
すなわち、無停電電源装置UW3〜UW1は出力端子TWおよび中性点NP間に直列接続される。無停電電源装置UW2は、前段の無停電電源装置UW1の出力電圧VW11に自己の出力電圧VW12を加算して次段に出力する。無停電電源装置UW3は、前段の無停電電源装置UW2の出力電圧VW11+VW12に自己の出力電圧VW13を加算して出力端子TWに出力する。結局、出力端子TWには、無停電電源装置UW1〜UW3の出力電圧VW11〜VW13の総和の交流電圧VW=VW11+VW12+VW13が出力される。交流電圧VWすなわちW相電圧VWは、635×3=1905Vである。
端子TU,TV間の電圧VU−VV、すなわち線間電圧VUVは1905×√3≒3300Vとなる。端子TV,TW間の電圧VV−VW、すなわち線間電圧VVWは1905×√3≒3300Vとなる。端子TW,TU間の電圧VW−VU、すなわち線間電圧VWUは1905×√3≒3300Vとなる。線間電圧VUV,VVW,VWUの位相は120度ずつずれている。
図4は、無停電電源装置UU1の構成を示す回路図である。図4において、無停電電源装置UU1は、入力端子Ta,Tb、コンデンサC1〜C3、リアクトルL1,L2、トランジスタQ1〜Q4,Q11〜Q14、ダイオードD1〜D4,D11〜D14、直流正母線PL、直流負母線NL、および出力端子Tc,Tdを含む。
トランジスタQ1,Q2,Q11,Q12のコレクタはともに直流正母線PLに接続され、それらのエミッタはそれぞれトランジスタQ3,Q4,Q13,Q14のコレクタに接続される。トランジスタQ3,Q4,Q13,Q14のエミッタは、ともに直流負母線NLに接続される。ダイオードD1〜D4,D11〜D14は、それぞれトランジスタQ1〜Q4,Q11〜Q14に逆並列に接続される。
トランジスタQ1〜Q4およびダイオードD1〜D4は、2レベルのコンバータ31を構成する。トランジスタQ11〜Q14およびダイオードD11〜D14は、2レベルのインバータ32を構成する。バッテリ12の正極および負極は、それぞれ直流正母線PLおよび直流負母線NLに接続される。コンデンサC3は、母線PL,NL間に接続される。
リアクトルL1は、入力端子TaとトランジスタQ1のエミッタとの間に接続される。コンデンサC1の一方電極は入力端子Taに接続され、その他方電極は入力端子TbおよびトランジスタQ2のエミッタに接続される。リアクトルL1およびコンデンサC1は、入力フィルタ30を構成する。
リアクトルL2は、トランジスタQ11のエミッタと出力端子Tcとの間に接続される。コンデンサC2の一方電極は出力端子Tcに接続され、その他方電極はトランジスタQ12のエミッタと出力端子Tdに接続される。リアクトルL2およびコンデンサC2は、出力フィルタ33を構成する。
入力フィルタ30は、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧VU1をコンバータ31に通過させ、コンバータ31で発生するスイッチング周波数の信号が入力端子Ta,Tb側に通過するのを禁止する。
コンバータ31は、対応の2次巻線CU1から入力フィルタ30を介して交流電力が供給されている場合は、その交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ12に蓄えるとともにインバータ32に供給する。また、交流電力の供給が停止された場合は、コンバータ31は停止する。換言すると、コンバータ31は、対応の2次巻線CU1から入力フィルタ30を介して交流電圧VU1が供給されている場合は、その交流電圧VU1を直流電圧に変換して直流正母線PLおよび直流負母線NL間に供給する。また、交流電圧VU1の供給が停止された場合は、コンバータ31は停止する。
たとえば、入力端子Taの電圧が入力端子Tbの電圧よりも高い場合は、トランジスタQ1,Q4をオンさせるとともにトランジスタQ2,Q3をオフさせる。これにより、入力端子TaからリアクトルL1、トランジスタQ1、コンデンサC3、およびトランジスタQ4を介して入力端子Tbに至る経路で電流が流れ、コンデンサC3が充電される。
また、入力端子Taの電圧が入力端子Tbの電圧よりも低い場合は、トランジスタQ1,Q4をオフさせるとともにトランジスタQ2,Q3をオンさせる。これにより、入力端子TbからトランジスタQ2、コンデンサC3、およびトランジスタQ3を介して入力端子Taに至る経路で電流が流れ、コンデンサC3が充電される。このようにして、入力端子Ta,Tb間の交流電圧VU1がコンデンサC3の端子間の直流電圧に変換される。
インバータ32は、コンバータ31から直流電力が供給されている場合は、その直流電力を交流電力に変換し、コンバータ31からの直流電力の供給が停止された場合は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換する。換言すると、インバータ32は、直流正母線PLおよび直流負母線NLから受けた直流電圧に基づいて、正電圧および負電圧を含む2レベルの交流電圧を生成する。
たとえば、トランジスタQ11,Q14をオンさせるとともにトランジスタQ12,Q13をオフさせると、直流正母線PLがトランジスタQ11およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続されるとともに、直流負母線NLがトランジスタQ14を介して出力端子Tdに接続され、出力フィルタ33に正電圧が供給される。
また、トランジスタQ11,Q14をオフさせるとともにトランジスタQ12,Q13をオンさせると、直流正母線PLがトランジスタQ12を介して出力端子Tdに接続されるとともに、直流負母線NLがトランジスタQ13およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続され、出力フィルタ33に負電圧が供給される。
したがって、トランジスタQ11〜Q14を制御することにより正電圧および負電圧のうちの所望の電圧を出力フィルタ33に供給することができ、正電圧および負電圧の2レベルで変化する交流電圧を出力フィルタ33に供給することができる。
出力フィルタ33は、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧VU11を出力端子Tc,Tdに通過させ、インバータ32で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子Tc,Tdに通過するのを禁止する。換言すると、出力フィルタ33は、インバータ32で生成された2レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧VU11を出力端子Tc,Td間に出力する。
他の無停電電源装置UU2,UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3の各々は、無停電電源装置UU1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
図1に戻って、スイッチS2,S3は、高圧無停電電源装置2の出力端子(たとえばTU)と出力端子T3との間に直列接続される。スイッチS2は、たとえばコンタクタであり、インバータ32から負荷22に交流電力を供給するインバータ給電モード時にオンされ、バイパス交流電源21からバイパス端子T2を介して負荷22に交流電力を供給するバイパス給電モード時にオフされる。
スイッチS3は、たとえばブレーカであり、通常はオンされ、無停電電源システムのメンテナンス時にオフされる。スイッチS4は、たとえばブレーカであり、入力端子T1とバイパス端子T2の間に接続され、第1の動作モードではオフされ、第2の動作モードではオンされる。
スイッチS5の一方端子はバイパス端子T2に接続され、その他方端子はスイッチS6を介してスイッチS2,S3間のノードN1に接続される。スイッチS5は、たとえばブレーカであり、通常はオンされ、メンテナンス時にオフされる。スイッチS6は、たとえばコンタクタであり、バイパス給電モード時にオンされ、インバータ給電モード時にオフされる。無瞬断スイッチ3は、スイッチS6に並列接続され、高圧無停電電源装置2が正常である場合はオフし、高圧無停電電源装置2が故障したときに瞬時にオンする。スイッチS5,S6,S3および無瞬断スイッチ3は、バイパススイッチを構成する。スイッチS7は、たとえばブレーカであり、バイパス端子T2と出力端子T3との間に接続され、通常はオフされ、メンテナンス時にオンされる。
エネルギー蓄積装置4は、スイッチS8を介して入力端子T1に接続され、変圧器5、電力変換器6、モータ7、およびフライホイール装置8を含む。エネルギー蓄積装置4は、商用交流電源20から交流電力が正常に供給されている通常時は、商用交流電源20から供給される交流電力をフライホイール装置8の回転エネルギーに変換し、商用交流電源20からの交流電力の供給が停止された停電時は、フライホイール装置8に蓄えられた回転エネルギーを交流電力に変換して入力変圧器1の1次巻線に与える。
すなわち、スイッチS8は、たとえばブレーカであり、入力端子T1と変圧器5の1次巻線との間に接続され、通常はオンされ、メンテナンス時にオフされる。変圧器5の2次巻線は、電力変換器6に接続される。変圧器5は、商用交流電源20から交流電力が供給されている通常時は、商用交流電源20からの交流電力を電力変換器6に供給し、商用交流電源20からの交流電力の供給が停止された停電時は、電力変換器6から供給される交流電力を入力変圧器1の1次巻線に供給する。
図5は、電力変換器6の構成を示す回路図であって、図4と対比される図である。図5から分かるように、電力変換器6は無停電電源装置UU1と同じ構成である。リアクトルL1およびコンデンサC1はフィルタ40を構成する。トランジスタQ1〜Q4およびダイオードD1〜D4は、コンバータ41を構成する。トランジスタQ11〜Q14およびダイオードD11〜D14は、コンバータ42を構成する。リアクトルL2およびコンデンサC2はフィルタ43を構成する。
商用交流電源20から交流電力が正常に供給されている場合には、コンバータ41は、商用交流電源20から変圧器5およびフィルタ40を介して供給される交流電力を直流電力に変換する。換言すると、コンバータ41は、商用交流電源20から変圧器5およびフィルタ40を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換して直流正母線PLおよび直流負母線NL間に与える。このとき、フィルタ40は、コンバータ41で発生するスイッチング周波数のノイズが変圧器5側に漏れるのを防止する。
また、コンバータ42は、インバータとして動作し、コンバータ41で生成された直流電力を交流電力に変換する。換言すると、コンバータ42は、直流正母線PLおよび直流負母線NLから受けた直流電圧に基づいて、正電圧および負電圧を含む2レベルの交流電圧を生成する。このとき、フィルタ43は、コンバータ42で生成された2レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を出力端子Tc,Td間に出力する。
また、商用交流電源20から交流電力が正常に供給されていない場合には、コンバータ42は、モータ7から供給される交流電力を直流電力に変換する。換言すると、コンバータ42は、モータ7から供給される交流電圧を直流電圧に変換して直流正母線PLおよび直流負母線NL間に与える。このとき、フィルタ43は、コンバータ42で発生するスイッチング周波数のノイズがモータ7側に漏れるのを防止する。
また、コンバータ41は、インバータとして動作し、コンバータ42で生成された直流電力を交流電力に変換する。換言すると、コンバータ41は、直流正母線PLおよび直流負母線NLから受けた直流電圧に基づいて、正電圧および負電圧を含む2レベルの交流電圧を生成する。このとき、フィルタ40は、コンバータ41で生成された2レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を入力端子Ta,Tb間に出力する。
図1に戻って、モータ7は、商用交流電源20から交流電力が正常に供給されている場合には、商用交流電源20から変圧器5および電力変換器6を介して供給される交流電力によって駆動され、フライホイール装置8を回転駆動させてフライホイール装置8に回転エネルギーを蓄えさせる。
また、モータ7は、商用交流電源20からの交流電力の供給が正常でない場合には、回転エネルギーによって回転し続けるフライホイール装置8によって回転駆動され、交流電力を生成して電力変換器6に供給する。
フライホイール装置8は、モータ7によって回転駆動されることによって回転エネルギーを蓄積し、モータ7を回転駆動させることによって回転エネルギーを放出する。
電圧検出器9は、入力端子T1に与えられる交流電圧(たとえばVR)の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を制御回路10に与える。操作部11は、複数のスイッチ、複数のボタンなどを含む。ユーザは、操作部11のスイッチなどを操作することによって無停電電源システムを操作したり、無停電電源システムを第1の動作モードおよび第2の動作モードのうちの所望の動作モードを選択する。操作部11は、ユーザによって選択された動作モードを示す信号などを制御回路10に出力する。
制御回路10は、操作部11からの信号に基づいて、無停電電源システム全体を制御する。特に、制御回路10は、電圧検出器9からの信号に従って高圧無停電電源装置2を制御し、入力端子T1に供給される交流電圧と同じ電圧で同じ位相の交流電圧を生成させる。また、制御回路10は、スイッチS2,S6および無瞬断スイッチ3を制御し、インバータ給電モードとバイパス給電モードを切換える。
次に、第1の動作モードが選択された場合における無停電電源システムの動作について説明する。ただし、説明の簡単化のため、R相およびU相に関連する部分の動作のみについて説明する。通常は、スイッチS1〜S3,S5,S8がオンされ、スイッチS4,S6,S7はオフされる。商用交流電源20から入力端子T1およびスイッチS1を介して入力変圧器1の1次巻線CRに交流電圧VRが供給される。これにより、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3にそれぞれ交流電圧VU1〜VU3が出力される。
無停電電源装置UU1〜UU3は、それぞれ交流電圧VU1〜VU3によって駆動され、それぞれ正弦波形の交流電圧VU11〜VU13を出力するとともに、それぞれ3個のバッテリ12に直流電力を蓄える。交流電圧VU11〜VU13は、加算されて高圧の交流電圧VUとなる。高圧の交流電圧VUは、スイッチS2,S3および出力端子T3を介して負荷22に供給される。この状態は、無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32から負荷22に交流電力が供給されるので、インバータ給電モードと呼ばれる。
また、このとき、商用交流電源20から入力端子T1およびスイッチS8を介してエネルギー蓄積装置4に交流電力が供給され、モータ7によってフライホイール装置8が回転駆動されて回転エネルギーが蓄えられる。
インバータ給電モード時において、商用交流電源20からの交流電力の供給が停止されると、すなわち停電が発生すると、フライホイール装置8の回転エネルギーがモータ7によって交流電力に変換される。モータ7によって生成された交流電力は、電力変換器6および変圧器5によって商用交流電力と同じ電圧および周波数の交流電力に変換され、スイッチS8,S1を介して入力変圧器1の1次巻線CRに与えられる。これにより、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3に交流電圧VU1〜VU3が発生し、無停電電源装置UU1〜UU3に与えられる。
無停電電源装置UU1〜UU3のコンバータ31は、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3からの交流電圧VU1〜VU3を直流電圧に変換して母線PL,NL間に供給し、無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32は母線PL,NL間の直流電圧に基づいて正電圧および負電圧を含む2レベルの交流電圧を生成し、無停電電源装置UU1〜UU3の出力フィルタ33はそれぞれ正弦波形の交流電圧VU11〜VU13を出力する。交流電圧VU11〜VU13は、加算されて高圧の交流電圧VUとなる。高圧の交流電圧VUは、スイッチS2,S3および出力端子T3を介して負荷22に供給される。
さらに、フライホイール装置8の回転エネルギーが消費された結果、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3からの交流電圧VU1〜VU3が所定レベルよりも低下した場合は、無停電電源装置UU1〜UU3のコンバータ31の運転が停止され、3個のバッテリ12の直流電力がそれぞれ無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32に供給される。したがって、停電が発生した場合でも、エネルギー蓄積装置4およびバッテリ12にエネルギーが蓄えられている限りは、負荷22の運転を継続することができる。エネルギー蓄積装置4およびバッテリ12のエネルギーが所定レベルよりも低下した場合は、負荷22の運転を停止する。
なお、インバータ給電モード時において商用交流電源20の出力電圧が瞬間的に低下した場合、いわゆる瞬低が発生した場合は、コンデンサC3およびバッテリ12によって直流電圧が維持され、安定した交流電圧が負荷22に供給され、負荷22が安定に運転される。
インバータ給電モード時において、高圧無停電電源装置2が故障した場合は、無瞬断スイッチ3が瞬時にオンし、バイパス交流電源21からバイパス端子T2、スイッチS5、無瞬断スイッチ3、スイッチS3、および出力端子T3を介して負荷22に交流電力が供給され、負荷22の運転が継続される。無瞬断スイッチ3に続いてスイッチS6がオンするとともにスイッチS1,S2がオフすると、無瞬断スイッチ3がオフされる。これにより、バイパス交流電源21からバイパス端子T2、スイッチS5,S6,S3、および出力端子T3を介して負荷22に交流電力が供給され、負荷22の運転が継続される。これは、無瞬断スイッチ3における電力損失を削減するためである。この状態は、バイパス交流電源21から負荷22に交流電力が供給されるので、バイパス給電モードと呼ばれる。
また、このとき、スイッチS4がオンされてエネルギー蓄積装置4がバイパス端子T2に接続され、バイパス交流電源21からバイパス端子T2およびスイッチS4,S8を介してエネルギー蓄積装置4に交流電力が供給され、モータ7によってフライホイール装置8が回転駆動されて回転エネルギーが蓄えられる。
バイパス給電モード時において、バイパス交流電源21からの交流電力の供給が停止されたり、バイパス交流電源21の出力電圧が瞬間的に低下すると、フライホイール装置8の回転エネルギーがモータ7によって交流電力に変換される。モータ7によって生成された交流電力は、電力変換器6および変圧器5によって商用交流電力と同じ電圧および周波数の交流電力に変換され、スイッチS8,S4,S5,S6,S3を介して負荷22に供給され、負荷22の運転が継続される。
第1の動作モードにおけるメンテナンス時は、スイッチS7のみがオンされ、他のスイッチS1〜S6,S8がオフされ、バイパス交流電源21からバイパス端子T2、スイッチS7および出力端子T3を介して負荷22に交流電力が供給され、負荷22が運転される。交流電源20,11のうちの一方の交流電源が故障した場合は、スイッチS4がオンされ、他方の交流電源が故障した交流電源の役割も果たす。
次に、第2の動作モードが選択された場合における無停電電源システムについて説明する。ただし、説明の簡単化のため、R相およびU相に関連する部分の動作のみについて説明する。第2の動作モードでは、図6に示すように、入力端子T1に商用交流電源20が接続されるが、バイパス端子T2にバイパス交流電源21が接続されない。
商用交流電源20から交流電力が正常に供給されている通常時は、スイッチS1〜S6,S8がオンされ、スイッチS7がオフされる。これにより、商用交流電源20から入力端子T1、スイッチS4〜S6,S3、および出力端子T3を介して負荷22に交流電力が供給され、負荷22が運転される。この状態は、商用交流電源20からバイパス経路(スイッチS4〜S6,S3)を介して負荷22に交流電力が供給されるので、バイパス給電モードと呼ばれる。
また、このとき商用交流電源20から入力端子T1およびスイッチS1を介して入力変圧器1の1次巻線CRに交流電圧VRが供給される。これにより、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3にそれぞれ交流電圧VU1〜VU3が出力される。無停電電源装置UU1〜UU3のコンバータ31は、それぞれ2次巻線CU1〜CU3から受けた交流電力を直流電力に変換して、それぞれ3個のバッテリ12に蓄える。制御回路10は、電圧検出器9の出力信号に同期して無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32用の制御信号を生成するが出力しない。したがって、各インバータ32は運転されないが、直ぐに運転可能な待機状態にされている。
また、このとき、商用交流電源20から入力端子T1およびスイッチS8を介してエネルギー蓄積装置4に交流電力が供給され、モータ7によってフライホイール装置8が回転駆動されて回転エネルギーが蓄えられる。
バイパス給電モード時において商用交流電源20からの交流電力の供給が停止されると、すなわち停電が発生すると、フライホイール装置8の回転エネルギーがモータ7によって交流電力に変換される。モータ7によって生成された交流電力は、電力変換器6および変圧器5によって商用交流電力と同じ電圧および周波数の交流電力に変換され、スイッチS8,S1を介して入力変圧器1の1次巻線CRに与えられる。これにより、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3に交流電圧VU1〜VU3が発生し、無停電電源装置UU1〜UU3に与えられる。これにより、無停電電源装置UU1〜UU3のコンバータ31の運転が継続され、制御回路10によるインバータ32用の制御信号の生成が継続される。
また、無瞬断スイッチ3がオンされるとともに、スイッチS6がオフされる。これにより、エネルギー蓄積装置4で生成された交流電力がスイッチS8,S4,S5、無瞬断スイッチ3、およびスイッチS3を介して負荷22に供給され、負荷22の運転が継続される。
次に、制御回路10によって生成された制御信号が無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32に供給される。これにより、無停電電源装置UU1〜UU3のコンバータ31は、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3からの交流電圧VU1〜VU3を直流電圧に変換して母線PL,NL間に供給し、無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32は母線PL,NL間の直流電圧に基づいて正電圧および負電圧を含む2レベルの交流電圧を生成し、無停電電源装置UU1〜UU3の出力フィルタ33はそれぞれ正弦波形の交流電圧VU11〜VU13を出力する。交流電圧VU11〜VU13は、加算されて高圧の交流電圧VUとなる。高圧の交流電圧VUは、スイッチS2,S3および出力端子T3を介して負荷22に供給される。
次いで無瞬断スイッチ3がオフされ、高圧無停電電源装置2からスイッチS2,S3を介して負荷22に交流電力が供給される。この状態は、無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32から負荷22に交流電力が供給されるので、インバータ給電モードと呼ばれる。
さらに、フライホイール装置8の回転エネルギーが消費された結果、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3からの交流電圧VU1〜VU3が所定レベルよりも低下した場合は、無停電電源装置UU1〜UU3のコンバータ31の運転が停止され、3個のバッテリ12の直流電力がそれぞれ無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32に供給される。したがって、停電が発生した場合でも、エネルギー蓄積装置4およびバッテリ12にエネルギーが蓄えられている限りは、負荷22の運転を継続することができる。エネルギー蓄積装置4およびバッテリ12のエネルギーが所定レベルよりも低下した場合は、負荷22の運転を停止する。
インバータ給電モード時に商用交流電源20からの交流電力の供給が再開された場合、すなわち復電した場合は、無停電電源装置UU1〜UU3のコンバータ31の運転が再開され、各コンバータ31で生成された直流電力が対応するバッテリ12に蓄えられるとともに、対応するインバータ32に供給される。無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ32は母線PL,NL間の直流電圧に基づいて正電圧および負電圧を含む2レベルの交流電圧を生成し、無停電電源装置UU1〜UU3の出力フィルタ33はそれぞれ正弦波形の交流電圧VU11〜VU13を出力する。交流電圧VU11〜VU13は、加算されて高圧の交流電圧VUとなる。高圧の交流電圧VUは、スイッチS2,S3および出力端子T3を介して負荷22に供給される。
また、商用交流電源20から入力端子T1およびスイッチS8を介してエネルギー蓄積装置4に交流電力が供給され、モータ7によってフライホイール装置8が回転駆動されて回転エネルギーが蓄えられる。
また、制御回路10は、高圧無停電電源装置2から出力される交流電圧VUの位相が商用交流電源20からの交流電圧VRの位相に一致するように、負荷22に悪影響を及ぼさない速度で交流電圧VUの位相を変化させる。なお、交流電圧VUの位相を変化させると負荷22に悪影響が及ぶ場合は、交流電圧VUの位相を変化させずに負荷22の運転を継続し、負荷22の運転を所定のタイミングで停止し、バイパス給電モードでの給電を再開する。
次いで制御回路10は、高圧無停電電源装置2から出力される交流電圧VUの位相が商用交流電源20からの交流電圧VRの位相に一致したら、無瞬断スイッチ3をオンさせ、スイッチS6をオンさせた後に無瞬断スイッチ3をオフさせる。次に、制御回路10からインバータ32へのインバータ32用の制御信号の供給が停止され、インバータ32が待機状態にされる。これにより、無停電電源システムは、第2の動作モードの初期状態に戻る。
第2の動作モードにおけるメンテナンス時は、スイッチS4,S7のみがオンされ、他のスイッチS1〜S3,S5,S6,S8がオフされ、商用交流電源20から入力端子T1、スイッチS4,S7および出力端子T3を介して負荷22に交流電力が供給され、負荷22が運転される。
この実施の形態1では、複数の無停電電源装置(たとえばUU1〜UU3)を負荷22に対して直列接続することにより、負荷22に高電圧を供給する。したがって、出力変圧器を使用しないので、高い効率が得られる。
また、低電圧の無停電電源装置によって出力変圧器を駆動する場合は定格電流の大きな無停電電源装置が必要となるが、本実施の形態1では、大容量の無停電電源システムを定格電流が小さな無停電電源装置で構成することができる。
また、入力変圧器1の複数の2次巻線(たとえばCU1〜CU3)をそれぞれ複数の無停電電源装置(たとえばUU1〜UU3)に接続することによって複数の無停電電源装置(たとえばUU1〜UU3)同士を絶縁したので、低耐圧のトランジスタQ、ダイオードDなどを使用することができ、装置の低コスト化を図ることができる。
また、エネルギー蓄積装置4を設けたので、停電時間が長い場合でも、負荷22の運転を継続することができる。
また、負荷22の仕様などに基づいて第1の動作モードと第2の動作モードのうちの所望の動作モードを選択することができる。第1の動作モードでは主にインバータ給電モードが行なわれるので、安定した波形の交流電圧を負荷22に供給することができる。また、第2の動作モードでは主にバイパス給電モードが行なわれるので、消費電力の低減化を図ることができる。
図7は、実施の形態1の変更例を示す回路図であって、図4と対比される図である。図7を参照して、この変更例では、各バッテリ12が電気二重層コンデンサ14で置換される。各無停電電源装置は、入力変圧器1の対応の2次巻線から交流電力が供給されている場合は、生成した直流電力を対応の電気二重層コンデンサ14に蓄え、入力変圧器1の対応の2次巻線からの交流電力の供給が停止された場合は、電気二重層コンデンサ14の直流電力を交流電力に変換する。この変更例では、電気二重層コンデンサ14を使用するので、バッテリ12を使用する場合に比べ、装置の長寿命化および小型化を図ることができる。
なお、この実施の形態1では、商用交流電源20からの3.3KVの交流電圧を635Vの交流電圧に降圧し、3段の無停電電源装置で1905Vの相電圧を生成し、3.3KVの線間電圧を再生したが、無停電電源装置の段数を増やすことにより、さらに高圧の無停電電源システムを構成することができる。たとえば、商用交流電源20からの6.6KVの交流電圧を635Vの交流電圧に降圧し、6段の無停電電源装置で3810Vの相電圧を生成し、6.6KVの線間電圧を再生してもよい。
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2による無停電電源システムの要部を示す回路図であって、図4と対比される図である。図8を参照して、この無停電電源システムが実施の形態1の無停電電源システムと異なる点は、高圧無停電電源装置2に含まれる9個の無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3の各々が無停電電源装置50で置換され、各無停電電源装置50に2個のバッテリ12,12Aが設けられている点である。
図8において、無停電電源装置50は、無停電電源装置UU1にトランジスタQ5〜Q8,Q15〜Q18、ダイオードD5〜D8,D15〜D18,D21〜D24,D31〜D34、コンデンサC4、および直流中性点母線NPLを追加したものである。
コンデンサC3は直流正母線PLと直流中性点母線NPLの間に接続され、コンデンサC4は直流中性点母線NPLと直流負母線NLの間に接続される。バッテリ12の正極および負極は、それぞれ直流正母線PLおよび直流中性点母線NPLに接続される。バッテリ12Aの正極および負極は、それぞれ直流中性点母線NPLおよび直流負母線NLに接続される。
トランジスタQ1,Q5,Q7,Q3は母線PL,NL間に直列接続され、トランジスタQ2,Q6,Q8,Q4は母線PL,NL間に直列接続される。トランジスタQ5のエミッタはリアクトルL1を介して入力端子Taに接続され、トランジスタQ6のエミッタは入力端子Tbに接続される。ダイオードD1〜D8は、それぞれトランジスタQ1〜Q8に逆並列に接続される。ダイオードD21,D22のアノードはともに直流中性点母線NPLに接続され、それらのカソードはそれぞれトランジスタQ5,Q6のコレクタに接続される。ダイオードD23,D24のアノードはそれぞれトランジスタQ7,Q8のエミッタに接続され、それらのカソードはともに直流中性点母線NPLに接続される。
トランジスタQ1〜Q8およびダイオードD1〜D8,D21〜D24は、3レベルのコンバータ31Aを構成する。コンバータ31Aは、対応の2次巻線から入力フィルタ30を介して交流電力が供給されている場合は、その交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ12,12Aに蓄えるとともにインバータ32Aに供給する。また、交流電力の供給が停止された場合はコンバータ31Aは停止する。換言すると、コンバータ31Aは、対応の2次巻線から入力フィルタ30を介して交流電圧が供給されている場合は、その交流電圧を正電圧、中性点電圧、および負電圧に変換してそれぞれ直流正母線PL、直流中性点母線NLP、および直流負母線NLに与える。また、交流電圧の供給が停止された場合はコンバータ31Aは停止する。
たとえば、入力端子Taの電圧が入力端子Tbの電圧よりも高い場合は、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ5,Q1,Q6をオンさせる。これにより、入力端子TaからリアクトルL1、トランジスタQ5,Q1、コンデンサC3、ダイオードD22、およびトランジスタQ6を介して入力端子Tbに電流が流れ、コンデンサC3が充電される。また、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ7,Q4,Q8をオンさせる。これにより、入力端子TaからリアクトルL1、トランジスタQ7、ダイオードD23、コンデンサC4、およびトランジスタQ4,Q8を介して入力端子Tbに電流が流れ、コンデンサC4が充電される。
入力端子Taの電圧が入力端子Tbの電圧よりも低い場合は、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ6,Q2,Q5をオンさせる。これにより、入力端子TbからトランジスタQ6,Q2、コンデンサC3、ダイオードD21、トランジスタQ5、およびリアクトルL1を介して入力端子Taに電流が流れ、コンデンサC3が充電される。また、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ8,Q3,Q7をオンさせる。これにより、入力端子TbからトランジスタQ8、ダイオードD24、コンデンサC4、トランジスタQ3,Q7、およびリアクトルL1を介して入力端子Taに電流が流れ、コンデンサC4が充電される。
また、入力端子Ta,Tbの電圧が略等しい場合は、トランジスタQ5,Q8またはトランジスタQ6,Q7のみをオンさせる。トランジスタQ5,Q8のみをオンさせた場合は、入力端子TbからトランジスタQ8、ダイオードD24,D21、トランジスタQ5,およびリアクトルL1を介して入力端子Taに電流が流れる。また、トランジスタQ6,Q7のみをオンさせた場合は、入力端子TaからリアクトルL1、トランジスタQ7、ダイオードD23,D22、トランジスタQ6を介して入力端子Tbに電流が流れる。このようにして、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLがそれぞれ正電圧、中性点電圧、および負電圧にされる。
トランジスタQ11,Q15,Q17,Q13は母線PL,NL間に直列接続され、トランジスタQ12,Q16,Q18,Q14は母線PL,NL間に直列接続される。トランジスタQ15のエミッタはリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続され、トランジスタQ16のエミッタは出力端子Tdに接続される。ダイオードD11〜D18は、それぞれトランジスタQ11〜Q18に逆並列に接続される。ダイオードD31,D32のアノードはともに直流中性点母線NPLに接続され、それらのカソードはそれぞれトランジスタQ15,Q16のコレクタに接続される。ダイオードD33,D34のアノードはそれぞれトランジスタQ17,Q18のエミッタに接続され、それらのカソードはともに直流中性点母線NPLに接続される。
トランジスタQ11〜Q18およびダイオードD11〜D18,D31〜D34は、3レベルのインバータ32Aを構成する。インバータ32Aは、コンバータ31Aから直流電力が供給されている場合は、その直流電力を交流電力に変換し、コンバータ31Aからの直流電力の供給が停止された場合は、バッテリ12,12Aの直流電力を交流電力に変換する。換言すると、インバータ32Aは、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLから受けた正電圧、中性点電圧、および負電圧に基づいて、正電圧、0V、および負電圧を含む3レベルの交流電圧を生成する。
たとえば、トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ11,Q15,Q18をオンさせる。これにより、直流正母線PLがトランジスタQ11,Q15およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続されるとともに、出力端子TdがトランジスタQ18およびダイオードD34を介して直流中性点母線NPLに接続され、正電圧および中性点電圧の差電圧(すなわち正電圧)が出力フィルタ33に与えられる。
また、トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ15,Q18,Q14をオンさせる。これにより、直流中性点母線NPLがダイオードD31、トランジスタQ15、およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続されるとともに、出力端子TdがトランジスタQ18,Q14を介して直流負母線NLに接続され、中性点電圧および負電圧の差電圧(すなわち正電圧)が出力フィルタ33に与えられる。
トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ12,Q16,Q17をオンさせる。これにより、直流正母線PLがトランジスタQ12,Q16を介して出力端子Tdに接続されるとともに、出力端子TcがリアクトルL2、トランジスタQ17、およびダイオードD33を介して直流中性点母線NPLに接続され、中性点電圧および正電圧の差の電圧(すなわち負電圧)が出力フィルタ33に与えられる。
また、トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ16,Q17,Q13をオンさせる。これにより、直流中性点母線NPLがダイオードD32およびトランジスタQ16を介して出力端子Tdに供給されるとともに、出力端子TcがリアクトルL2およびトランジスタQ17,Q13を介して直流負母線NLに接続され、負電圧および中性点電圧の差の電圧(すなわち負電圧)が出力フィルタ33に与えられる。
また、トランジスタQ15,Q18またはトランジスタQ16,Q17のみをオンさせる。トランジスタQ15,Q18のみをオンさせた場合は、直流中性点母線NPLがダイオードD31、トランジスタQ15、およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続されるとともに、出力端子TdがトランジスタQ18およびダイオードD34を介して直流中性点母線NPLに接続され、中性点電圧および中性点電圧の差の電圧(すなわち0V)が出力フィルタ33に与えられる。
また、トランジスタQ16,Q17のみをオンさせた場合は、直流中性点母線NPLがダイオードD32およびトランジスタQ16を介して出力端子Tdに接続されるとともに、出力端子TcがリアクトルL2、トランジスタQ17およびダイオードD33を介して直流中性点母線NPLに接続され、中性点電圧および中性点電圧の差の電圧(すなわち0V)が出力フィルタ33に与えられる。
したがって、トランジスタQ11〜Q18を制御することにより、出力端子Tc,Td間に正電圧、0V、および負電圧のうちの所望の電圧を供給することができ、正電圧、0V、および負電圧の3レベルで変化する交流電圧を生成することができる。
出力フィルタ33は、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子Tc,Tdに通過させ、インバータ32Aで発生したスイッチング周波数の信号が出力端子Tc,Tdに通過するのを禁止する。換言すると、出力フィルタ33は、インバータ32Aで生成された3レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を出力端子Tc,Td間に出力する。
また、この無停電電源システムでは、エネルギー蓄積装置4に含まれる電力変換器6が電力変換器51で置換される。図9は、電力変換器51の構成を示す回路図であって、図8と対比される図である。図9から分かるように、電力変換器51は無停電電源装置50と同じ構成である。リアクトルL1およびコンデンサC1はフィルタ40を構成する。トランジスタQ1〜Q8およびダイオードD1〜D8,D21〜D24は、コンバータ41Aを構成する。トランジスタQ11〜Q18およびダイオードD11〜D18,D31〜D34は、コンバータ42Aを構成する。リアクトルL2およびコンデンサC2はフィルタ43を構成する。
商用交流電源20から交流電力が正常に供給されている場合には、コンバータ41Aは、商用交流電源20から変圧器5およびフィルタ40を介して供給される交流電力を直流電力に変換する。換言すると、コンバータ41Aは、商用交流電源20から変圧器5およびフィルタ40を介して供給される交流電圧を正電圧、中性点電圧、および負電圧に変換してそれぞれ直流正母線PL、直流中性点母線NLP、および直流負母線NLに与える。このとき、フィルタ40は、コンバータ41Aで発生するスイッチング周波数のノイズが変圧器5側に漏れるのを防止する。
また、コンバータ42Aは、インバータとして動作し、コンバータ41Aで生成された直流電力を交流電力に変換する。換言すると、コンバータ42Aは、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLから受けた正電圧、中性点電圧、および負電圧に基づいて、正電圧、0V、および負電圧を含む3レベルの交流電圧を生成する。このとき、フィルタ43は、コンバータ42Aで生成された3レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を出力端子Tc,Td間に出力する。
また、商用交流電源20から交流電力が正常に供給されていない場合には、コンバータ42Aは、モータ7から供給される交流電力を直流電力に変換する。換言すると、コンバータ42Aは、モータ7から供給される交流電圧を正電圧、中性点電圧、および負電圧に変換してそれぞれ直流正母線PL、直流中性点母線NLP、および直流負母線NLに与える。このとき、フィルタ43は、コンバータ42Aで発生するスイッチング周波数のノイズがモータ7側に漏れるのを防止する。
また、コンバータ41Aは、インバータとして動作し、コンバータ42Aで生成された直流電力を交流電力に変換する。換言すると、コンバータ41Aは、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLから受けた正電圧、中性点電圧、および負電圧に基づいて、正電圧、0V、および負電圧を含む3レベルの交流電圧を生成する。このとき、フィルタ40は、コンバータ41Aで生成された3レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を入力端子Ta,Tb間に出力する。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
この実施の形態2では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、無停電電源装置の各々が3レベルの交流電圧を生成するので、より正弦波に近い交流電圧を出力することができる。
図10は、実施の形態2の変更例を示す回路図であって、図8と対比される図である。図10を参照して、この変更例では、バッテリ12,12Aが電気二重層コンデンサ14,14Aで置換される。各無停電電源装置50は、入力変圧器1の対応の2次巻線から交流電力が供給されている場合は、生成した直流電力を対応の電気二重層コンデンサ14,14Aに蓄え、入力変圧器1の対応の2次巻線からの交流電力の供給が停止された場合は、電気二重層コンデンサ14,14Aの直流電力を交流電力に変換する。この変更例では、電気二重層コンデンサ14,14Aを使用するので、バッテリ8,8Aを使用する場合に比べ、装置の長寿命化および小型化を図ることができる。
[実施の形態3]
図11は、この発明の実施の形態3による無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図11を参照して、この無停電電源システムが図1の無停電電源システムと異なる点は、高圧無停電電源装置2が高圧無停電電源装置60で置換されている点である。
図12は、高圧無停電電源装置60の構成を示す回路ブロック図であって、図3と対比される図である。図12を参照して、この高圧無停電電源装置60が高圧無停電電源装置2と異なる点は、無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3が無停電電源装置UU1A〜UU3A,UV1A〜UV3A,UW1A〜UW3Aで置換され、リアクトルLU,LV,LWおよびコンデンサCU,CV,CWが追加されている点である。
図13は、無停電電源装置UU1Aの構成を示す回路ブロック図であって、図4と対比される図である。図13を参照して、無停電電源装置UU1Aは、無停電電源装置UU1からリアクトルL1,L2およびコンデンサC1,C2、すなわち入力フィルタ30および出力フィルタ33を除去したものである。トランジスタQ1のエミッタは入力端子Taに直接接続され、トランジスタQ11のエミッタは出力端子Tcに直接接続されている。このため、無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aは、正弦波にはならず、パルス信号列となる。他の無停電電源装置UU2A,UU3A,UV1A〜UV3A,UW1A〜UW3Aの各々も、無停電電源装置UU1Aと同じ構成である。
図12に戻って、無停電電源装置UU3Aの出力端子Tcと無停電電源装置UU1Aの出力端子Tdの間には、無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力パルス信号列を加算したパルス信号列が出力される。制御回路10は、加算したパルス信号列の波形を正弦波に近付けるために、無停電電源装置UU1A〜UU3Aのインバータ32を所定角度ずつ位相をずらせて制御する。リアクトルLUは無停電電源装置UU3Aの出力端子Tcと出力端子TUとの間に接続され、コンデンサCUは出力端子Tcと中性点NPとの間に接続される。リアクトルLUおよびコンデンサCUは、出力フィルタを構成する。
この出力フィルタは、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子TUおよび中性点NP間に通過させ、インバータ32で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子TUおよび中性点NP間に通過するのを禁止する。換言すると、リアクトルLUおよびコンデンサCUからなる出力フィルタは、無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力パルス信号列を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧VUを出力端子TUおよび中性点NP間に出力する。
同様に、無停電電源装置UV3Aの出力端子Tcと無停電電源装置UV1Aの出力端子Tdの間には、無停電電源装置UV1A〜UV3Aの出力パルス信号列を加算したパルス信号列が出力される。制御回路10は、加算したパルス信号列の波形を正弦波に近付けるために、無停電電源装置UV1A〜UV3Aのインバータ32を所定角度ずつ位相をずらせて制御する。リアクトルLVは無停電電源装置UV3Aの出力端子Tcと出力端子TVとの間に接続され、コンデンサCVは出力端子Tcと中性点NPとの間に接続される。リアクトルLVおよびコンデンサCVは、出力フィルタを構成する。
この出力フィルタは、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子TVおよび中性点NP間に通過させ、インバータ32で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子TVおよび中性点NP間に通過するのを禁止する。換言すると、リアクトルLVおよびコンデンサCVからなる出力フィルタは、無停電電源装置UV1A〜UV3Aの出力パルス信号列を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧VVを出力端子TVおよび中性点NP間に出力する。
同様に、無停電電源装置UW3Aの出力端子Tcと無停電電源装置UW1Aの出力端子Tdの間には、無停電電源装置UW1A〜UW3Aの出力パルス信号列を加算したパルス信号列が出力される。制御回路10は、加算したパルス信号列の波形を正弦波に近付けるために、無停電電源装置UW1A〜UW3Aのインバータ32を所定角度ずつ位相をずらせて制御する。リアクトルLWは無停電電源装置UW3Aの出力端子Tcと出力端子TWとの間に接続され、コンデンサCWは出力端子Tcと中性点NPとの間に接続される。リアクトルLWおよびコンデンサCWは、出力フィルタを構成する。
この出力フィルタは、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子TWおよび中性点NP間に通過させ、インバータ32で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子TWおよび中性点NP間に通過するのを禁止する。換言すると、リアクトルLWおよびコンデンサCWからなる出力フィルタは、無停電電源装置UW1A〜UW3Aの出力パルス信号列を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧VWを出力端子TWおよび中性点NP間に出力する。
図14(a)〜(d)は、図12および図13に示した高圧無停電電源装置60のうちのU相に関連する部分の動作を示すタイムチャートである。図14(a)は無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aの波形を示し、図14(b)は無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力電圧VU11A〜VU13Aを加算したU相電圧VUの波形を示し、図14(c)はU相とV相の線間電圧VUVの波形を示し、図14(d)はU相電流IUの波形を示している。
図14(a)に示すように、無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aは、0〜180度では正のパルス信号列となり、180〜360度では負のパルス信号列となる。正弦波のピークとなる90度および270度付近ではパルス幅は最大になり、正弦波の0点となる0度および180度付近ではパルス幅は最小となる。
また図14(b)に示すように、位相のずれた無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力電圧VU11A〜VU13Aを加算したU相電圧VUの波形は、無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aの波形よりも正弦波に近くなる。また図14(c)に示すように、線間電圧VUVの波形はさらに正弦波に近くなる。また図14(d)に示すように、負荷22に流れるU相電流IUの波形はほぼ正弦波になる。V相、W相に関連する部分の動作も、U相に関連する部分の動作と同じであるので、その説明は繰り返さない。また、他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
この実施の形態3では、各相において出力フィルタを3つの無停電電源装置に共通に設け、かつ入力フィルタを除去したので、回路面積を小さくすることができる。
図15は、実施の形態3の変更例を示す回路図であって、図13と対比される図である。図15を参照して、この変更例では、バッテリ12,12Aが電気二重層コンデンサ14,14Aで置換される。各無停電電源装置は、入力変圧器1の対応の2次巻線から交流電力が供給されている場合は、生成した直流電力を対応の電気二重層コンデンサ14,14Aに蓄え、入力変圧器1の対応の2次巻線からの交流電力の供給が停止された場合は、電気二重層コンデンサ14,14Aの直流電力を交流電力に変換する。この変更例では、電気二重層コンデンサ14,14Aを使用するので、バッテリ12,12Aを使用する場合に比べ、装置の長寿命化および小型化を図ることができる。
図16は、実施の形態3の他の変更例を示す回路図であって、図13と対比される図である。図16を参照して、この変更例では、無停電電源装置UU1A〜UU3A,UV1A〜UV3A,UW1A〜UW3Aの各々が無停電電源装置61で置換され、各無停電電源装置61にバッテリ12Aが追加される。無停電電源装置61は、図8の無停電電源装置50からリアクトルL1,L2およびコンデンサC1,C2、すなわち入力フィルタ30および出力フィルタ33を除去したものである。トランジスタQ5のエミッタは入力端子Taに直接接続され、トランジスタQ15のエミッタは出力端子Tcに直接接続されている。このため、無停電電源装置61の出力電圧は、正弦波にはならず、パルス信号列となる。バッテリ12の正極および負極は、それぞれ直流正母線PLおよび直流中性点母線NPLに接続される。バッテリ12Aの正極および負極は、それぞれ直流中性点母線NPLおよび直流負母線NLに接続される。この変更例でも、実施の形態3と同じ効果が得られる。
図17は、実施の形態3のさらに他の変更例を示す回路図であって、図16と対比される図である。図17を参照して、この変更例では、バッテリ12,12Aが電気二重層コンデンサ14,14Aで置換される。各無停電電源装置61は、入力変圧器1の対応の2次巻線から交流電力が供給されている場合は、生成した直流電力を対応の電気二重層コンデンサ14,14Aに蓄え、入力変圧器1の対応の2次巻線からの交流電力の供給が停止された場合は、電気二重層コンデンサ14,14Aの直流電力を交流電力に変換する。この変更例では、電気二重層コンデンサ14,14Aを使用するので、バッテリ12,12Aを使用する場合に比べ、装置の長寿命化および小型化を図ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。