JP6010791B2 - 高規格寸法精度の分相性ガラスの製造方法とその多孔質ガラス - Google Patents

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本発明は、高規格寸法精度の分相性基礎ガラス管と分相ガラス成形体の製造方法と、それから得られる多孔質ガラスに関する。
ガラスのミクロ相分離を特徴として形成される多孔質ガラスは、3次元的な網目構造を有し、均一な目的の細孔径を形成することができる。また、焼結体のような小粒子を固めた多孔質体の骨格構造とは異なり、分相性ガラスによる多孔質ガラスは骨格が連続的な一体形成で、気孔率も50〜60%と豊富である。
一般に多孔質体としては、生成用膜としては、分離用膜、乳化用膜、散気用膜など、ほか吸着材や、改質材、軽量材、増粘材など様々な分野で利用されている。
そのなかで、ガラスのミクロ相分離を利用して形成される多孔質ガラスは、その前駆体となる分相性基礎ガラスをガラス溶融により成形する必要があり、当該分相性基礎ガラス組成については、以下先行技術(特許文献1乃至2)が報告されているが、分相性基礎ガラスは一般の所謂並ガラスの特性と異なり、分相性基礎ガラスのミクロ相分離特性を活かすためにガラス組成が画一的で、ガラス成形時気泡混入を避けるための消泡剤が添加できず、そのためにガラス原料の溶融を10日掛けて脱気を施して分相性基礎ガラスを成形する必要がある場合が多い。さらに、ガラス成形温度範囲が非常に狭く、加工温度域から外れると直ぐに固化して本来目的とする寸法規格の成形体を形成することが非常に困難な組成である。そのため分相性基礎ガラス管においては、ガラス職人による管曳き法が主に行われており、所望規格寸法は出来成りとなっている。
特許第1518989号 特許第4951799号
これらの特性ある分相性基礎ガラスを、例えば管状外径φ10mm×肉厚t0.8mmを所望の規格寸法交差に成形するために、大量生産と高精度が期待できる連続機械曳きも可能かもしれないが、小ロット機械曳きでさえも原料投入と附帯設備などの準備に約5千万円が必要である。これらを実施したとしても溶融状態が不十分であれば、基礎ガラスに気泡が混在してしまい熱処理して酸処理による酸溶出後、当該気泡部分が均一細孔を形成する多孔質ガラス表面にそのままピンホールとして形成されてしまい、本来目的の均一細孔の多孔質ガラスの有用性を損ねてしまう可能性がある。また連続機械曳きのために大量原料を投入する必要があるが、曳き始め時から曳き終わり時までのガラス組成成分が揮発などで変わらず安定した本来の分相性ガラス組成が保てるのかどうかという懸念もある。もし本来の分相性ガラス組成が保たれていなければ、熱処理時ミクロ相分離が起こらない、または本来の3次元的絡み合い構造の分相ではなく液滴構造の分相となってしまうなどの危険性がある。これらの懸念事項を抱えた状態で数千万円の費用を投じて連続機械曳きガラス管成形を実施することは非常に難しい。
高規格寸法精度を必要とするところ、これら成形が非常に困難な分相性ガラスをガラス業者による所謂人為的な手曳き法は、職人業として実績経験を積み重ねて10年必要とすると言われており、高精度な寸法は期待できない。さらに職人技による製造は、量産時の対応への不安と、人的問題により安定した供給体制に不安が残る。しかも近年の大震災の影響から外部取引で課題とされることが目立つ一極集中型の製造拠点や、職人業による特異的な製造体制は、非常に不利な要素である。
このように、分相性基礎ガラス組成は、一般的な所謂並ガラスとガラス成形に係る特性が全く異なり、並ガラスの成形方法をそのまま適用することが非常に困難である。
また、多孔質ガラス製造の特徴は、ミクロ相分離を起こさせるため分相性基礎ガラス成形体をガラス軟化点以上の600℃〜800℃などの熱処理を施す必要があり、耐熱アルミナ粉体を基礎ガラス成形体の変形防止に充満させて熱処理を実施したとしても、当該基礎ガラス成形体の形状変化を厳密に防止することは非常に難しい。
つまり、四角板型や円盤型の超高規格寸法精度の多孔質ガラス成形体を製造する場合において、例えば事前に超高規格寸法精度に形成した分相性基礎ガラス成形体を、ガラス軟化温度の600℃〜800℃などの熱処理を施すと、熱変形で折角の超高規格寸法精度が損なわれた分相ガラス成形体が形成されてしまい、その後の工程で仕上がる多孔質ガラス成形体も変形した分相ガラス成形体形状そのままで、超高規格寸法精度が得られないことになる。
本発明は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、超難加工性の分相性基礎ガラスを小ロットでも確実に高寸法精度の分相性基礎ガラス管として製造することが出来るもので、つまり高寸法精度の多孔質ガラス管、また超高規格寸法精度の多孔質ガラス成形体を製造提供することができることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の高規格寸法精度の分相性ガラス成形体の製造方法とその多孔質ガラスに関するものである。
1.ガラスのミクロ相分離を利用して製造される多孔質ガラスにおいて、多孔質ガラスの前駆体となる分相性基礎ガラスに関し、所望の分相性基礎ガラス管の外径と肉厚の夫々1.5〜20倍を有する母ガラス管を成形した後、これをリドロー法により夫々所望外径規格交差が±10%と肉厚規格交差が±20%以内となるように分相性基礎ガラス管を成形することを特徴とする分相性基礎ガラス管の製造方法。
2.ガラスのミクロ相分離を利用して製造される多孔質ガラスにおいて、多孔質ガラスの前駆体となる分相性基礎ガラスに関し、所望の分相性基礎ガラス管の外径と肉厚の1.5〜20倍を有する母ガラス管を成形した後、この同母ガラス管からリドロー法により所望外径と肉厚規格交差の異なる分相性基礎ガラス管を成形することができることを特徴とする前記1記載の分相性基礎ガラス管の製造方法。
3.リドロー法により管曳き成形される所望の分相性基礎ガラス管の母体となる母ガラス管に関し、金型での吹き物成形法により長尺瓶型に成形し、ボトルネック部と瓶底部を切断することで瓶胴体部分を母ガラス管として形成することを特徴とする前記1乃至前記2記載の母ガラス管の製造方法。
4.ガラスのミクロ相分離を利用して製造される多孔質ガラスにおいて、多孔質ガラスの前駆体となる分相性基礎ガラスブロックを600〜800℃に熱処理し分相ガラスとなし、当該分相ガラスに切断、切削、研削、スライス、研磨などを施すことにより、所望の寸法規格に成形することを特徴とする分相ガラス成形体の製造方法。
5.前記1乃至前記2記載の所望の寸法精度にリドロー成形された分相性基礎ガラス管を、600〜800℃に熱処理した後、酸溶液と接触させることにより酸可溶成分を溶出除去することで得られる多孔質ガラス。
6.前記4.記載の所望の寸法精度に成形された分相ガラス成形体を、酸溶液に接触させることにより酸可溶成分を溶出除去することで得られる多孔質ガラス。
本発明において、上記の多孔質ガラスは、分相法多孔質ガラス体として周知のNaO−B−SiOを基礎ガラス組成とし骨格SiO組成となる多孔質ガラス、NaO−B−CeO・3Nbを基礎ガラス組成とし骨格CeO・3Nb組成となる多孔質ガラス、NaO−P−SiOを基礎ガラス組成とし骨格P−SiO組成となる多孔質ガラス、NaO−B−SiO−GeOを基礎ガラス組成とし骨格SiO−GeO組成となる多孔質ガラス、CaO−B−TiO−SiOを基礎ガラス組成とし骨格TiO−SiO組成となる多孔質ガラス、NaO−B−ZrO−SiOを基礎ガラス組成とし骨格ZrO−SiO組成となる多孔質ガラス、CaO−B−Al−SiOを基礎ガラス組成とし骨格Al−SiO組成となる多孔質ガラスがあるが、最も適しているCaO−B−SiO−Al系の多孔質ガラス、CaO−B−SiO−Al−NaO−ZrO−KO系の多孔質ガラス、CaO−B−SiO−Al−NaO系の多孔質ガラス及びCaO−B−SiO−Al−NaO−MgO系の多孔質ガラスなどが好ましい。本発明に最も適している本実施例で用いたCaO−B−SiO−Al系を基礎ガラスとする多孔質体のシラス多孔質ガラス膜(以下、SPGという)は、膜を貫通する無数の超微細孔を有し、気孔率が非常に高く、細孔の均一性について非常に優れている公知の多孔質ガラスである。成形するSPGの形状自体は特に限定されないが、平板形、円柱形など使用目的に応じた形状に成形できる。SPGは、管状のものでは外圧に対して約20MPa耐えることもできる。またSPGの多孔質を構成する気孔率は微細孔径に因ることなく約50%乃至60%を有する。液体をこのSPGに透過させるのに高圧は全く必要なく、非常に低エネルギーで透過させることができる透過性に優れた多孔質体である。
本発明は、ミクロ相分離を利用して製造される多孔質ガラスにおいて、その前駆体となる超難加工性分相性基礎ガラス成形体の成形方法に関するもので、高寸法精度成形が期待できる高額経費が必要な連続機械曳きに頼ることなく、安価に小ロット高寸法精度成形が可能である。
基礎ガラス管においては、太い母ガラス管をリドロー法により細く外径矯正することになるため、所望の基礎ガラス管径の数倍径の母ガラス管であれば、母ガラス管1本から同様の数倍の基礎ガラス管を得ることが可能で、小ロット製造から大ロット製造まで柔軟に対応することが可能で非常に高効率的である。
多孔質ガラス成形体においては、基礎ガラスブロックに熱処理を施し、分相ガラスブロックとした後、切断、切削、研削、スライス、研磨などにより一括切り出しすることで、ガラス管同様、基礎ガラスブロック1個から所望高寸法精度の分相ガラス成形体を場合によっては数千枚以上一括成形することができる。つまり後工程の酸処理により所望高寸法精度の多孔質体を一括製造することが可能である。本発明は、小ロット製造から大ロット製造まで柔軟な対応が可能で非常に高効率的である。
本発明によれば、特に所望寸法精度の基礎ガラス管においては、大型機械曳きなど多大な費用を投じることなく、母ガラス管からのリドローにより、母ガラス管1本に対し高精度な所望寸法の基礎ガラス管の取り数が数倍得られるため、非常に効率良く安価に製造することが可能で、生産性が良く大ロットへも柔軟に対応できる。また、多孔質体の板状、円盤状も熱処理を施した分相ガラスブロックからの定寸一括切り出しにより、多孔質ガラス成形体を一括製造することができる。
本発明に最も適しているCaO−B−SiO−Al系分相性基礎ガラスによる多孔質膜SPGは、膜を貫通する無数の微細孔を有し、気孔率が非常に高く、細孔の均一性について非常に優れており、またSPGの多孔質を構成する気孔率は、細孔径に因ることなく約50%乃至60%を有し、多孔質膜のなかでも非常に透過性に優れているので、液体、気体を該SPGに透過させるのに低エネルギーで押し出すことができる。
図1は、所望外径、肉厚寸法精度の分相性基礎ガラス管を得るためのリドローを実施する前の基材となる所謂母ガラス管に関する成形方法であり、吹き物成形用金型で成形することのできる吹き物成形法による母ガラス管製造方法のフロー図である。図1(a)は、金型へ吹き物成形による分相性基礎ガラスの瓶状の成形工程、図1(b)は、瓶状の成形体のボトルネック部と瓶底部を切断することで、図1(c)の所謂母ガラス管を得ることができる。
図2に、図1の母ガラス管を各所望外径寸法の基礎ガラス管にリドローする方法を示す。図2(a)は母ガラス管から細径の所望基礎ガラス管にリドローし、図2(b)は同母ガラス管を中径の所望基礎ガラス管にリドローし、図2(c)は同母ガラス管を太径の所望基礎ガラス管にリドローする方法を示す。
図3に、所望高寸法精度の多孔質ガラス成形体が四角板型の場合の製造フローを示す。図3(a)は、分相性基礎ガラスブロックに熱処理を施して分相させた分相ガラスブロックであり、図3(b)は当該分相ガラスブロックを所望高規格寸法精度に切削、研磨、スライスにより切り出した高規格寸法精度の分相ガラス成形体である。図3(c)は、当該分相ガラス成形体を酸溶液に接触させて酸可溶成分を溶出除去して得られる所望高規格寸法精度の四角板型多孔質ガラス成形体である。
図4に、所望超高規格寸法精度の多孔質ガラス成形体が円盤型の場合の製造フローを示す。図4(a)は、分相性基礎ガラスムク丸棒に熱処理を施して分相ガラスムク丸棒とし、図4(b)は、当該分相ガラスムク丸棒の円周研削による外径寸法形成とスライス切り出しによる厚み寸法形成により得られる超高規格寸法精度の分相ガラス成形体を示す。図4(c)は、当該分相ガラス成形体を酸溶液に接触させて酸可溶成分を溶出除去して得られる所望超高規格寸法精度の円盤型多孔質ガラス成形体である。
図5に、細孔径の異なる所望超高規格寸法精度の円盤型多孔質ガラス成形体を一括成形する製造フローを示す。図5(a)とおり、円周研削により所望外径寸法精度に形成した細孔径の異なる分相状態にある分相ガラスムク丸棒成形体を並べて、図5(b)とおり、所望厚み寸法精度で一括スライス切り出しすることで得られる細孔径の異なる超高規格寸法精度の分相ガラス成形体を示す。図5(c)は、当該細孔径の異なる分相ガラス成形体を酸溶液に接触させて酸可溶成分を溶出除去して得られる細孔径の異なる所望超高規格寸法精度の円盤型多孔質ガラス成形体である。
ここで本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
本発明によれば、所望外径、肉厚寸法精度の分相性基礎ガラス管を得るためのリドローを実施する前の基材となる所謂母ガラス管を、先ず図1(a)の吹き物成形用金型1で吹き物成形法により母ガラス管の原型となる所謂瓶状のガラス成形を行い、次に図1(b)に示すとおり、瓶状に成形したボトルネック部3と瓶底部4を切断することで、図1(c)の所謂所望の母ガラス管5を得ることができる。
この方法によると、母ガラス管の外径が金型により一意に決定されるので、所望外径の基礎ガラス管にリドローする際に寸法精度を画一的にコントロールし製造することが可能で、歩留り向上に大きく寄与する製造方法である。
本発明によれば、実施例1で得た母ガラス管5を、例えば図2(a)の細径の所望基礎ガラス管にリドローしたり、図2(b)とおり同母ガラス管5を中径の所望基礎ガラス管にリドローしたり、図2(c)とおり同母ガラス管5を太径の所望基礎ガラス管にリドローすることができる。
このように、母ガラス管からのリドロー法による所望外径の基礎ガラス管は、1種の母ガラス管5のみ事前に用意しておくことで、その都度必要に応じて所望外径の基礎ガラス管へリドロー成形することが可能である。つまり、本発明によれば、ニーズによって小ロットでも即成形対応することができるもので、非常に効率が良く、従来のように所望分相性基礎ガラス管を成形するために、その度毎に最少300Kgの原料調製と1300℃〜1500℃のガラス溶融、そしてガラス管曳きを行う必要がない。
本発明によれば、図3(a)とおり分相性基礎ガラスブロックに熱処理を施して所望の細孔径に分相させた分相ガラスブロック10を得て、次に図3(b)とおり当該分相ガラスブロック10を所望超高規格寸法精度に切削、研磨、スライスにより切り出した四角板型分相ガラス成形体11を得ることで、当該四角板型分相ガラス成形体11を酸溶液に接触させて酸可溶成分を溶出除去し、図3(c)とおりの所望超高規格寸法精度の四角板型多孔質ガラス成形体12を得ることができる。
この方法によると、所望寸法の四角板型多孔質ガラス成形体を一括処理し製造することができるので、基礎ガラスブロック或いは所望細孔径相当に分相した分相ガラスブロックで保管しておくことで、過剰在庫とならないように、或いは需要予測に応じて必要ロット量分を切り出し一括製造することが可能で非常に効率良い製造方法である。
本発明によれば、所望超高規格寸法精度の多孔質ガラス成形体が円盤型の場合、図4(a)とおり、分相性基礎ガラスムク丸棒に熱処理を施して分相ガラスムク丸棒13とし、図4(b)とおり、当該分相ガラスムク丸棒13の円周研削による外径寸法形成とスライス切り出しによる厚み寸法形成により得られる高規格寸法精度の円盤型分相ガラス成形体14を得ることで、当該円盤型分相ガラス成形体14を酸溶液に接触させて酸可溶成分を溶出除去し、図4(c)とおり所望高規格寸法精度の円盤型多孔質ガラス成形体15を得ることができる。
本発明によれば、所望超高規格寸法精度の多孔質ガラス成形体が同じ円盤型で、細孔径だけが異なる場合、図5(a)とおり、分相性基礎ガラスムク丸棒に熱処理を施して夫々異なる細孔径に分相した分相ガラスムク丸棒を、夫々円周研削により所望外径寸法精度に形成した分相ガラスムク丸棒成形体16と同様高規格寸法精度に形成した分相ガラスムク丸棒成形体17として並べてスライス加工による所望厚み寸法精度の一括切り出しを行うことで、細孔径の異なる所望超高規格寸法精度の円盤型分相ガラス成形体18と円盤型分相ガラス成形体19を得ることができる。したがって細孔径の異なる当該円盤型分相ガラス成形体を酸溶液に接触させて酸可溶成分を溶出除去することで、図5(c)とおり細孔径の異なる所望高規格寸法精度の円盤型多孔質ガラス成形体20と円盤型多孔質ガラス成形体21を一括で製造することが可能である。
このように、当該分相ガラスムク丸棒からのスライス切り出しによる円盤型多孔質ガラス成形体の一括製造も、前記四角板型多孔質ガラス成形体一括製造も同様に、需要状況に合わせて例えば厚みを違えてスライスすることが可能であり、または所望細孔径の異なる分相の分相ガラス成形体を並べて一括スライスすることが可能であり、非常に生産効率の良い製造方法である。
[実験例1]
本発明の図1に示す方法により、外径φ50mm×厚みt3〜5mm×長さL400mmのシラス多孔質ガラス組成の所謂母ガラス管5を得た。
[実験例2]
所望分相性基礎ガラス管を得るために、従来ガラス職人による管手曳き法では、外径φ10±1mm×厚みt0.3〜1mmの外径寸法精度であったが、本発明の図2に示すリドロー法により、実験例1で得た外径φ50mm×厚みt3〜5mm×長さL400mmの1本の母ガラス管5から、外径φ10±0.3mm×厚みt0.8±0.1mm×長さL500mmの所望規格寸法精度の基礎ガラス管10本を得た。この得られた基礎ガラス管に熱処理を施して分相ガラス管とし、熱処理分相後外表全面に酸溶液で溶出除去することのできない所謂皮膜10〜100μm厚み分をアルカリ溶液により溶出除去し、次に酸処理により酸可溶成分を溶出除去することで略外径φ10±0.3mm×厚みt0.8±0.1mm×長さL500mmの所望高規格寸法精度のシラス多孔質ガラス4.4μmを得た。
[実験例3]
所望分相性基礎ガラス管を得るために、本発明の図2に示すリドロー法により、実験例1で得た外径φ50mm×厚みt3〜5mm×長さL400mmの1本の母ガラス管5から、外径φ5±0.1mm×厚みt0.4±0.08mm×長さL300mmの所望規格寸法精度の基礎ガラス管83本を得た。
[実験例4]
所望超高規格寸法精度の四角板型シラス多孔質ガラス成形体を得るために、大よそ横190mm×奥100mm×高13mmの分相性基礎ガラスブロックに熱処理を施し、これを必要分だけ切削、研磨により外観寸法精度を整えて、線径0.2mmほどのワイヤーソーで一括スライスにより、縦L30±0.1mm×横L70±0.1mm×厚t0.6±0.1mmの超高規格寸法精度四角板型分相ガラス成形体を17枚一括切り出した。これを、酸処理により酸可溶成分を溶出除去することで、所望高規格寸法精度の四角板型シラス多孔質ガラス成形体0.9μmを得た。
ここで、実験例2記載とおり、本来分相性基礎ガラスを熱処理により一定の細孔径相当に分相した後は、酸溶液により溶出除去できない厚み10〜100μm程度の所謂皮膜が形成され、酸処理前にこの皮膜をアルカリ溶液に接触させることで溶出除去する必要があるが、本発明による分相ガラス成形体は、分相ガラスブロックを切断、切削、研削、スライス、研磨などを施して形成されており、つまり外表全面に形成される所謂前記皮膜が削り落とされているため、分相ガラス成形体に所謂前記アルカリ処理を施す必要がなく、煩わしい薬品処理工程を省くことができるメリットがある。
[実験例5]
所望超高規格寸法精度の円盤型シラス多孔質ガラス成形体を得るために、大よそ外径φ11mm×長さ100mmの分相性基礎ガラスムク丸棒に熱処理を施し分相し、これを外径研削により所望超高規格寸法精度に整えて、線径0.2mmほどのワイヤーソーにより一括スライスすることで、直径φ7.6±0.1mm×厚t0.6±0.1mmの超高規格寸法精度の円盤型分相ガラス成形体を123枚切り出した。これを酸処理により酸可溶成分を溶出除去することで、所望超高規格寸法精度の円盤型シラス多孔質ガラス成形体50μmを得た。
[実験例6]
所望超規格寸法精度の細孔径の異なる4種の円盤型シラス多孔質ガラス成形体を得るために、大よそ横100mm×奥30mm×高30mmの4つの四角分相性基礎ガラスブロックにそれぞれ細孔径3μm、6μm、10μm、20μm相当の熱処理を施し分相し4種の分相ガラスブロックとし、これをそれぞれ外径研削により所望超高規格寸法精度の直径φ20+0.05−0×長さL90mmに整えて夫々分相ガラスムク丸棒成形体とし、当該4種分相ガラスムク丸棒成形体を並べて線径0.2mmほどのワイヤーソーにより一括スライスすることで、直径φ20+0.05−0×厚みt3.0±0.1mmの超高規格寸法精度の円盤型分相ガラス成形体を夫々25枚ずつ切り出した。これを酸処理により酸可溶成分を溶出除去し、一括で所望超高規格寸法精度の細孔径の異なる4種の円盤型シラス多孔質ガラス成形体を得た。
[実験例7]
大よそ外径φ10mm×厚みt0.8mm×長さL560mmの分相性基礎ガラス管に細孔径20μm相当の熱処理を施し分相し、当該分相ガラス管外表全面の所謂皮膜除去のためのアルカリ処理を行わずに酸処理を実施した結果、20μm相当の分相による細孔が自動ポロシメーター(株式会社島津製作所製オートポアIV9500)で得られるが、水中で通気性を見ると本来の通気性ではなく、当該シラス多孔質ガラスの表面を電子顕微鏡で監察すると、大よそ80μmの所謂皮膜が形成していた。
本発明に係る多孔質ガラス管においては、分離用膜、乳化用膜、散気用膜など生成物製造用に利用され、装置へのOリングによる組み込みにおいて、液密性、気密性は当該多孔質ガラス管寸法精度に左右されることが多い。しかしこの分相性基礎ガラスは、一般の所謂並ガラス組成と全く異なり成形温度が非常に狭く、ガラス成形が非常に難しい分相性ガラスであるところ、本発明の分相性ガラスの製造方法によれば、高規格寸法精度に成形できることから、前記Oリングによる液密性、気密性の不具合リスクを大いに解消することになり、所謂漏れを起こすことなく多孔質ガラスの均一微細孔径由来の単分散な生成物を確実に得ることができる。前述とおり従来分相性基礎ガラス管の成形においては、そのガラス難成形性から、ガラス手曳き職人による所謂管手曳き法が殆どであり、当該管手曳き法を習得するに約10年を要するほどであるが、それでもガラス管そのものの規格寸法精度は、所望規格が本来より緩めでも約30〜40%であるところが多い。この現状に対し、数千万円掛けて成功するかどうか不明でリスクの大きい連続機械曳きよりも、本発明の分相性基礎ガラス管成形法は、非常に簡易的で製造ロットに合わせて柔軟に大ロットへの対応が可能であり、リスクが極めて小さい。
本発明に係る多孔質ガラス成形体においては、電子機器・半導体機器への搭載を考慮すると、成形体寸法精度は、交差そのものが+0.05−0など100分の5mmレベルまで要求される場合があるが、多孔質ガラスの製造工程上、熱処理を施すと形状変形を起こすため、本発明のように基礎ガラスブロックに熱処理を施し一旦分相ガラスブロックとし、これを研削などにより高規格寸法精度に形成しワイヤーソーで一括スライス切り出しすることで、大量に高精度な規格寸法の多孔質ガラス成形体を得ることができる。つまり分相ガラスブロックに切削、研磨、スライス加工を施すことにより、如何様にも種々形状の高規格寸法精度の多孔質ガラス成形体として提供できることになる。
本発明に係る母ガラス管の吹き物金型成形フローを示す。 本発明に係る母ガラス管からのリドロー成形を示す。 本発明に係る四角板型多孔質ガラス成形体の一製造実施例 本発明に係る円盤型多孔質ガラス成形体の一製造実施例 本発明に係る細孔径の異なる円盤型多硬質ガラス成形体の一製造実施例
1 吹き物成形用金型
2 分相性基礎ガラス
3 ボトルネック部
4 瓶底部
5 母ガラス管
6 リドロー
7 所望細径の基礎ガラス管
8 所望中径の基礎ガラス管
9 所望太径の基礎ガラス管
10 分相ガラスブロック
11 四角板型分相ガラス成形体
12 四角板型多孔質ガラス成形体
13 分相ガラスムク丸棒
14 円盤型分相ガラス成形体
15 円盤型多孔質ガラス成形体
16 分相ガラスムク丸棒成形体
17 分相ガラスムク丸棒成形体
18 円盤型分相ガラス成形体
19 円盤型分相ガラス成形体
20 円盤型多孔質ガラス成形体
21 円盤型多孔質ガラス成形体

Claims (2)

  1. リドロー法により管曳き成形される所望の外径と肉厚の分相性基礎ガラス管の母体となる母ガラス管に関し、金型での吹き物成形法により長尺瓶型に成形し、ボトルネック部と瓶底部を切断することで瓶胴体部分を母ガラス管として形成することを特徴とする母ガラス管の製造方法。
  2. ガラスのミクロ相分離を利用して製造されるシラス多孔質ガラス成形体において、当該シラス多孔質ガラス成形体の前駆体となる分相性基礎ガラスブロックを600〜800℃に熱処理し分相ガラスブロックとなし、当該分相ガラスブロックの外表全面を10〜100μm以上削り落とした後、切断、切削、研削、スライス、研磨などを施し、所望の寸法規格に分相ガラス成形体を一括成形し、次に酸溶液に接触させることにより酸可溶成分を溶出除去してシラス多孔質ガラス成形体を得ることを特徴とするシラス多孔質ガラス成形体の製造方法。
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