JP6009691B2 - 粒子線治療装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用や研究用に用いられる粒子線治療装置に関し、特にタイムシェアリングにより複数の治療室へあたかも同時にビームを輸送することができる粒子線治療装置に関する。
従来から、粒子線治療装置には複数の治療室が存在するものが報告されている。従来の粒子線治療装置において、ビーム経路はHEBT(高エネルギービーム輸送:High Energy Beam Transport)系と称されるビーム輸送系の電磁石によって選択された1つの治療室へとビームを導く構成となっている。このため、原則的に複数の治療室で同時に治療を行うことはできない。また、このビーム経路の切替えは、偏向電磁石によって行うのが一般的である。
特許文献1には、複数の治療室が存在する場合に治療スループットを向上させることを目的として、例外的に、呼吸ナビゲーション(呼吸誘導)により各治療室における患者の呼吸の位相をずらすことによって複数の治療室であたかも同時に治療を行う粒子線治療装置が記載されている。
国際公開番号WO2012/032632A1(0036段〜0038段、図1)
特許文献1の粒子線治療装置は、呼吸ナビゲーションにより複数の治療室であたかも同時に治療を行うことはできるが、呼吸ナビゲーションを行うことが前提となっており、呼吸ナビゲーションを用いないで複数の治療室で同時に治療を行いたいという要望に応えることはできなかった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、呼吸ナビゲーションを用いなくてもタイムシェアリングにより複数の治療室へあたかも同時にビームを輸送することができる粒子線治療装置を提供することを目的とする。
本発明の粒子線治療装置は、複数の治療室と、複数の治療室毎に配置された複数の粒子線照射装置と、荷電粒子ビームを加速する加速器と、加速器により加速された荷電粒子ビームを複数の粒子線照射装置に輸送するビーム輸送系と、加速器、ビーム輸送系、複数の粒子線照射装置を制御する治療管理装置とを備える。ビーム輸送系は、複数の粒子線照射装置のいずれか一つに荷電粒子ビームを輸送するようにビーム経路を変更するビーム経路変更器を有し、治療管理装置は、同一治療時間帯に治療を行う複数の粒子線照射装置に対して、荷電粒子ビームを割当時間毎に複数の粒子線照射装置のいずれか一つに輸送するように、加速器の出射器を制御する出射器制御信号とビーム経路変更器を制御するビーム経路変更器制御信号とを生成するビーム経路制御器を有し、ビーム経路制御器は、複数の粒子線照射装置が荷電粒子ビームを照射する複数の患者の呼吸状態を個別にモニタされ、患者毎に生成された荷電粒子ビームの照射を許可する複数の呼吸ゲート信号のうち少なくとも2つが同時にオンとなる場合に、複数の呼吸ゲート信号に依存することなく複数の粒子線照射装置のいずれか一つを周期的に選択するタイムシェアリング信号により指定された治療室の粒子線照射装置に荷電粒子ビームを輸送するように、複数の前記呼吸ゲート信号とタイムシェアリング信号とに基づいて、前記出射器制御信号及び前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする粒子線治療装置。
本発明の粒子線治療装置によれば、ビーム輸送系のビーム経路変更器及び加速器の出射器を、複数の呼吸ゲート信号とタイムシェアリング信号とに基づいて、同一治療時間帯に治療を行う複数の粒子線照射装置に対して、荷電粒子ビームを割当時間毎に複数の粒子線照射装置のいずれか一つに輸送するように制御するので、呼吸ナビゲーションを用いなくてもタイムシェアリングにより複数の治療室へあたかも同時にビームを輸送することができる。
本発明の実施の形態1による粒子線治療装置を示す構成図である。 図1の粒子線照射装置の概略構成図である。 図1のビーム輸送系の要部を説明する模式図である。 比較例のビーム輸送系の要部を説明する模式図である。 本発明の実施の形態1の粒子線治療装置による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の呼吸信号と呼吸ゲート信号を説明する図である。 本発明のタイムシェアリング信号を説明する図である。 図1のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態1による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態2による粒子線治療装置を示す構成図である。 図10のビーム経路制御器を示す図である。 図10のダクト分岐部の周辺に配置されたダンパーを示す図である。 本発明の実施の形態2による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 図10のダクト分岐部の周辺に配置された他のダンパーを示す図である。 本発明の実施の形態3による粒子線治療装置を示す構成図である。 図15のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態3による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態4による粒子線治療装置を示す構成図である。 図18のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態4による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態5による粒子線治療装置を示す構成図である。 図21のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態5による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態6による粒子線治療装置を示す構成図である。 図24のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態6による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態7による粒子線治療装置を示す構成図である。 図27のビーム経路制御器を示す図である。 図27のビーム偏向器を示す側面図である。 図27のビーム偏向器を上から見た上面図である。 図27のビーム偏向器のマイクロストリップラインを説明する図である。 図27のビーム偏向器のビーム制御を説明する図である。 本発明の実施の形態7による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態8による粒子線治療装置を示す構成図である。 図34のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態8による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態9による粒子線治療装置を示す構成図である。 図37のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態9による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態10による粒子線治療装置を示す構成図である。 図40のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態10による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態11による粒子線治療装置を示す構成図である。 図43のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態11による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態12による粒子線治療装置を示す構成図である。 図46のビーム経路制御器を示す図である。 本発明の実施の形態12による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による粒子線治療装置を示す構成図である。図2は図1の粒子線照射装置の概略構成図である。粒子線治療装置51は、ビーム発生装置52と、ビーム輸送系59と、複数の粒子線照射装置58a、58bとを備える。粒子線照射装置58bは治療室29bに設けられた回転ガントリ(図示せず)に設置される。粒子線照射装置58aは回転ガントリを有しない治療室29aに設置される。なお、図1では簡単のため治療室の数を2として説明するが、本発明における治療室の数を2に限定する意図ではない。
ビーム発生装置52は、イオン源56と、線形加速器53と、シンクロトロンである円形加速器(以降、単に加速器と称する)54とを有する。ビーム輸送系59の役割は加速器54と粒子線照射装置58a、58bの連絡にある。ビーム輸送系59は、加速器54の出射器62から出射された荷電粒子ビーム81(図2参照)を各粒子線照射装置58a、58bへのビーム経路を変更するビーム経路変更器16と、加速器54の出射器62からビーム経路変更器16までの上流ビーム輸送系23と、ビーム経路変更器16から粒子線照射装置58aまでの下流ビーム輸送系24aと、ビーム経路変更器16から粒子線照射装置58bまでの下流ビーム輸送系24bとを有する。下流ビーム輸送系24bの一部は回転ガントリ(図示せず)に設置され、その部分には複数の偏向電磁石55a、55b、55cを有する。ビーム発生装置52、ビーム輸送系59、粒子線照射装置58a、58bは、治療管理装置95により連携して制御される。
イオン源56で発生した陽子線、炭素線(重粒子線)等の粒子線である荷電粒子ビーム81は、線形加速器53で加速され、入射器61から加速器54に入射される。荷電粒子ビーム81は、所定のエネルギーまで加速される。加速器54で高周波数の電界で加速し磁石で曲げながら、光速の約70〜80%まで加速される。加速器54の出射器62から出射された荷電粒子ビーム81は、ビーム輸送系59を経て粒子線照射装置58a、58bに輸送される。ビーム輸送系59では、十分にエネルギーが与えられた荷電粒子ビーム81を、真空ダクト(主ダクト20、下流ダクト22a、下流ダクト22b)により作られた通路を、複数の偏向電磁石12a〜12hで必要に応じて軌道を変え、指定された治療室の粒子線照射装置58a、58bへと導く。粒子線照射装置58a、58bは、患者30の照射対象31である患部の大きさや深さに応じて照射野を成形し、荷電粒子ビーム81を照射対象31(図2参照)に照射する。線形加速器53で加速された荷電粒子ビーム81は、偏向電磁石12i、12jで軌道を変えて、加速器54の入射器61へ導いている。主ダクト20から分岐した下流ダクト22aが粒子線照射装置58aへ接続され、主ダクト20から分岐した下流ダクト22bが粒子線照射装置58bへ接続される。破線円で示した部分は、主ダクト20から下流ダクト22a、22bが分岐されるダクト分岐部21である。
さて「指定された治療室」と記載したが、前述したように粒子線治療装置は治療効率の観点から、一般的に複数の治療室を備える。すなわち、粒子線照射装置58は、治療室の数だけ備える必要がある。このように複数のサブシステムからなる大型で複雑なシステムは、一般的に、各サブシステムを専ら制御するサブ制御装置と全体を指揮し制御するメイン制御装置からなることが多い。本発明の実施の形態1に示す粒子線治療装置51についても、このメイン制御装置とサブ制御装置の構成を採用している場合で説明をする。簡単のため、ビーム発生装置52及びビーム輸送系59を有するサブシステムの全てを、ここでは加速器系と呼ぶことにする。粒子線照射装置58又は、粒子線照射装置58及び回転ガントリを照射系と呼ぶことにする。治療管理装置95は、粒子線治療装置51の全体を制御する主管理装置120と、加速器系を制御する加速器系制御装置121と、粒子線照射装置58aを制御する照射管理装置88aと、粒子線照射装置58bを制御する照射管理装置88bとを有する。加速器系制御装置121は、出射器62及びビーム経路変更器16を制御するビーム経路制御器18を有する。
治療室29aの治療台25aには、患者30aが載置される。治療室29aには、患者30aの呼吸状態を患者センサ27aで検出し、呼吸信号psig1を生成する呼吸信号生成器26aが配置される。治療室29bの治療台25bには、患者30bが載置される。治療室29bには、患者30bの呼吸状態を患者センサ27bで検出し、呼吸信号psig2を生成する呼吸信号生成器26が配置される。患者30aの患部は照射対象31aであり、患者30bの患部は照射対象31bである。粒子線照射装置の符号は、総括的に58を用い、区別して説明する場合に58a、58bを用いる。治療室、治療台、患者、照射対象、患者センサ、呼吸信号生成器の符号は、それぞれ総括的に29、25、30、31、27、26を用い、区別して説明する場合にa、bを付した符号を用いる。
図2において、粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム81に垂直な方向であるX方向及びY方向に荷電粒子ビーム81を走査するX方向走査電磁石82及びY方向走査電磁石83と、位置モニタ84と、線量モニタ85と、線量データ変換器86と、ビームデータ処理装置91と、走査電磁石電源87とを備える。粒子線照射装置58を制御する治療管理装置95の照射管理装置88は、照射制御計算機89と照射制御装置90とを備える。線量データ変換器86は、トリガ生成部92と、スポットカウンタ93と、スポット間カウンタ94とを備える。なお、図2において荷電粒子ビーム81の進行方向は−Z方向である。
X方向走査電磁石82は荷電粒子ビーム81をX方向に走査する走査電磁石であり、Y方向走査電磁石83は荷電粒子ビーム81をY方向に走査する走査電磁石である。位置モニタ84は、X方向走査電磁石82及びY方向走査電磁石83で走査された荷電粒子ビーム81が通過するビームにおける通過位置(重心位置)やサイズを演算するためのビーム情報を検出する。ビームデータ処理装置91は、位置モニタ84が検出した複数のアナログ信号からなるビーム情報に基づいて荷電粒子ビーム81の通過位置(重心位置)やサイズを演算する。また、ビームデータ処理装置91は、荷電粒子ビーム81の位置異常やサイズ異常を示す異常検出信号を生成し、この異常検出信号を照射管理装置88に出力する。
線量モニタ85は、荷電粒子ビーム81の線量を検出する。照射管理装置88は、図示しない治療計画装置で作成された治療計画データに基づいて、患者30の照射対象31における荷電粒子ビーム81の照射位置を制御し、線量モニタ85で測定され、線量データ変換器86でデジタルデータに変換された線量が目標線量に達すると荷電粒子ビーム81を次の照射位置へ移動する。走査電磁石電源87は、照射管理装置88から出力されたX方向走査電磁石82及びY方向走査電磁石83への制御入力(指令)に基づいてX方向走査電磁石82及びY方向走査電磁石83の設定電流を変化させる。
ここでは、粒子線照射装置58のスキャニング照射方式を、荷電粒子ビーム81の照射位置を変えるときに荷電粒子ビーム81を停止させないラスタースキャニング照射方式であり、スポットスキャニング照射方式のようにビーム照射位置がスポット位置間を次々と移動していく方式とする。スポットカウンタ93は、荷電粒子ビーム81のビーム照射位置が停留している間の照射線量を計測するものである。スポット間カウンタ94は、荷電粒子ビーム81のビーム照射位置が移動している間の照射線量を計測するものである。トリガ生成部92は、ビーム照射位置における荷電粒子ビーム81の線量が目標照射線量に達した場合に、線量満了信号を生成するものである。
実施の形態1の粒子線治療装置51におけるビーム経路の切替えの概略を、特許文献1の粒子線治療装置(比較例)と比較して説明する。図3は図1のビーム輸送系の要部を説明する模式図であり、図4は比較例のビーム輸送系の要部を説明する模式図である。比較例では、偏向電磁石100を用いて荷電粒子ビーム101と102を切替えていた。これに対して、実施の形態1の粒子線治療装置51は、偏向電磁石100の偏向角度θ1よりも偏向角度が小さいが、切替速度の速いビーム経路変更器16を用いる点で比較例と異なる。実施の形態1のビーム経路変更器16は、キッカー電磁石10である。キッカー電磁石10を起点として、ビーム経路は2つの経路へと分岐される。キッカー電磁石10のビーム進行方向に直線的でかつ十分に下流の位置に、ビーム経路を治療室29へ導くための偏向電磁石12eが配置されている。荷電粒子ビーム13は、キッカー電磁石10から直線的に進行するビームである。荷電粒子ビーム14は、キッカー電磁石10によって荷電粒子ビーム13から偏向角度θ2で偏向電磁石12eに入射し、治療室29aへ導かれるビームである。
粒子線治療では、照射対象31である患部に対して治療計画どおりの線量を付与し、周辺の正常組織への望ましくない照射を極力なくしたい。このため、特に照射対象31が患者30の呼吸に伴い移動してしまう部位である場合には、呼吸同期照射が行われる。より具体的には、一般的に呼吸に伴う臓器の移動は、息を吐いた状態のときに最も安定すると言われている。よって、患者30に対してはレーザ変位計等の患者センサ27を用いて腹部等を計測し、呼吸の状態をリアルタイムでモニタリングする。図1に示すように、呼吸の状態を表す、患者センサ27で計測された信号である呼吸信号psig1、psig2は、出射器62、ビーム経路変更器16を制御するビーム経路制御器18に入力される。
図6に示すように、呼吸信号psig1があらかじめ定めたある閾値Th1を下回ったとき、すなわち息を吐いた状態であると判断された場合に、照射を許可する呼吸ゲート信号gsig1がオンとなる。呼吸ゲート信号gsig1がオンのときにビーム経路制御器18は出射器62を制御し、荷電粒子ビーム81が出射される。図6は、本発明の呼吸信号と呼吸ゲート信号を説明する図である。図6では、呼吸信号psig1と呼吸ゲート信号gsig1との関係を示した。上側が呼吸信号psig1であり、下側が呼吸ゲート信号gsig1である。横軸は時間tであり、縦軸は呼吸信号psig1又は呼吸ゲート信号gsig1の信号値である。図のBLは、呼吸信号psig1のベースラインである。なお、図6では、照射を許可する呼吸ゲート信号gsig1がオン状態を、信号値H状態(高信号値状態)として表した。呼吸信号psig2と呼吸ゲート信号gsig2との関係も、図6と同様であり、呼吸信号psig2があらかじめ定めたある閾値Th2を下回ったとき、すなわち息を吐いた状態であると判断された場合に、照射を許可する呼吸ゲート信号gsig2がオンとなる。
治療管理装置95の加速器系制御装置121は、同一治療時間帯に治療を行う複数の粒子線照射装置58に対して、荷電粒子ビーム81を割当時間毎に複数の粒子線照射装置58のいずれか一つに輸送するように、加速器54及びビーム輸送系59を制御する。複数の治療室29a、29bのいずれか一方のみに荷電粒子ビーム81を輸送する場合、加速器系制御装置121のビーム経路制御器18は、ビーム経路変更器16を該当するビーム経路に切替えて、荷電粒子ビーム81による照射治療が終了するまでビーム経路を変更しない。
次に、複数の治療室29a、29b等で照射治療が同じ時間帯に行われる場合、すなわち複数の治療室29a、29b等への荷電粒子ビーム81の照射依頼が重なる場合を説明する。図5は、本発明の実施の形態1の粒子線治療装置による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。図5には、加速器54内のビームの波形、タイムシェアリング信号ssig、呼吸ゲート信号gsig1、治療室29a(治療室1)への照射電流Ibem1、呼吸ゲート信号gsig2、治療室29b(治療室2)への照射電流Ibem2、呼吸ゲート信号gsig3、他の治療室(治療室3)への照射電流Ibem3を記載した。タイムシェアリング信号ssigは、ビーム経路変更器16への予め決められた周期的な信号であり、複数の治療室29(複数の治療室の粒子線照射装置58)から1つを指定する信号である。タイムシェアリング信号ssigの具体例は、後述する。呼吸ゲート信号gsig3は、他の治療室(治療室3)への照射を許可する呼吸ゲート信号である。横軸は時間tであり、一番上のビームの縦軸はエネルギーである。タイムシェアリング信号ssig、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、gsig3の縦軸は各信号の信号値であり、照射電流Ibem1、Ibem2、Ibem3の縦軸は電流値である。
本発明では、複数の治療室29で各々の患者30に対して、それぞれの呼吸の状態のモニタリングを行う。図5では3つの治療室における荷電粒子ビーム81の分配例をしており、本発明の粒子線治療装置51は、タイムシェアリング信号ssigで指定された治療室毎に、その治療室に対する呼吸ゲート信号がオンとなった場合に、荷電粒子ビーム81を時分割して当該治療室へ輸送し、当該治療室の患者に、荷電粒子ビーム81を一定時間照射することで照射電流Ibemを供給する。照射電流の符号は、総括的にIbemを用い、区別して説明する場合にIbem1、Ibem2、Ibem3等、最後に数字を付した符号を用いる。
図5の最上段のビームは、荷電粒子が加速され、フラットトップ(ビームのエネルギーが所定値であり、高エネルギー状態で安定した状態)になり、その後減速される。加速器54内で、荷電粒子は、このように加速途上状態、フラットトップ状態、減速途上状態、低エネルギー状態を繰り返している。タイムシェアリング信号ssigが治療室1を示す期間T1、T4では、呼吸ゲート信号gsig1がオンの場合に、加速器54の出射器62から荷電粒子ビーム81が出射され、かつビーム経路変更器16は荷電粒子ビーム81を治療室1へと導くように制御する。このような制御により、期間T1、T4において照射電流Ibem1が患者30の照射対象31に供給される。
タイムシェアリング信号ssigが治療室2を示す期間T2、T5では、呼吸ゲート信号gsig2がオンの場合に、加速器54の出射器62から荷電粒子ビーム81が出射され、かつビーム経路変更器16は荷電粒子ビーム81を治療室2へと導くように制御する。このような制御により、期間T2、T5において照射電流Ibem2が患者30の照射対象31に供給される。同様に、タイムシェアリング信号ssigが治療室3を示す期間T3、T6では、呼吸ゲート信号gsig3がオンの場合に、加速器54の出射器62から荷電粒子ビーム81が出射され、かつビーム経路変更器16は荷電粒子ビーム81を治療室3へと導くように制御する。このような制御により、期間T3、T6において照射電流Ibem3が患者30の照射対象31に供給される。
図7は、本発明のタイムシェアリング信号を説明する図である。図7には3つの例、すなわち3つのタイムシェアリング信号ssig−1、ssig−2、ssig−3を示した。タイムシェアリング信号ssig−1は、1つの信号における電圧値の違いで治療室の選択を行う例である。例えば、タイムシェアリング信号ssig−1の電圧値がV1、V2、V3の場合に、それぞれ治療室1、治療室2、治療室3を選択する。タイムシェアリング信号ssig−2は、2つの信号pb0、pb1の電圧値の組み合わせで治療室の選択を行う例である。例えば、信号pb0の電圧値が高レベルであり、信号pb1の電圧値が低レベルの場合に、治療室1が選択される。信号pb0の電圧値が低レベルであり、信号pb1の電圧値が高レベルの場合に、治療室2が選択される。信号pb0の電圧値が高レベルであり、信号pb1の電圧値が高レベルの場合に、治療室3が選択される。タイムシェアリング信号ssig−3は、3つの信号pc1、pc2、pc3の電圧値の組み合わせで治療室の選択を行う例である。例えば、信号pc1、pc2、pc3の電圧値が、それぞれ高レベル、低レベル、低レベルの場合に、治療室1が選択される。信号pc1、pc2、pc3の電圧値が、それぞれ低レベル、高レベル、低レベルの場合に、治療室2が選択される。信号pc1、pc2、pc3の電圧値が、それぞれ低レベル、低レベル、高レベルの場合に、治療室3が選択される。
ビーム経路制御器18について詳しく説明する。図8は図1のビーム経路制御器を示す図であり、図9は本発明の実施の形態1による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。図9の横軸は時間tである。タイムシェアリング信号ssig、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、出射器制御信号csiga、キッカー制御信号csigbの縦軸は各信号の信号値であり、照射電流Ibem1、Ibem2の縦軸は電流値である。ビーム経路制御器18は、タイムシェアリング信号ssigを生成するタイムシェアリング信号生成部33と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34と、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部36と、ビーム経路変更器制御信号であるキッカー制御信号csigbを生成するキッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)37とを有する。タイムシェアリング信号生成部33及び呼吸ゲート信号生成部34は、制御信号生成部35を構成する。
タイムシェアリング信号生成部33は、照射治療が同じ時間帯に行われる治療室に対応したタイムシェアリング信号ssigを生成する。図9では、2つの治療室29a、29bで同じ時間帯に照射治療が行われる例を示した。タイムシェアリング信号ssigは周期的な信号であり、図9では時刻t1から時刻t5までが1周期である。タイムシェアリング信号ssigの周期はTc1である。図9に示したタイムシェアリング信号ssigは、第1周期期間において、時刻t1から時刻t3までは治療室1を選択する信号であり、時刻t3から時刻t4までは治療室2を選択する信号である。第2周期期間において、タイムシェアリング信号ssigは、時刻t5から時刻t7までは治療室1を選択する信号であり、時刻t7から時刻t9までは治療室2を選択する信号である。タイムシェアリング信号ssigの周期Tc1と加速器54での荷電粒子ビーム81のエネルギーの増減周期はほぼ一致するように、加速器系制御装置121にて制御される。少なくとも荷電粒子ビーム81を複数の治療室に分配する期間(t1〜t4まで、t5〜t9まで)には、フラットトップ状態になるように加速器54が制御される。
治療室1と治療室2との分配時間は任意に決定してよい。治療室1の患者と治療室2の患者で合計照射時間が大きく異なる場合は、合計照射時間が長い患者への分配時間を長くすればよい。治療室29a(治療室1)の患者30aの合計照射時間が、治療室29b(治療室2)の患者30bの合計照射時間よりも長い場合は、治療室1への分配時間(t3−t1)を治療室2への分配時間(t4−t3)よりも長くすればよい。このように治療室1への分配時間を患者の合計照射時間に応じて変更することで、スライスを変更するときにエネルギーを変える必要があるため、ヒット率が同程度であれば照射終了時刻を複数の治療室で揃えることができ、荷電粒子ビーム81を無駄に遮断することなく、効率的に荷電粒子ビーム81を利用することができる。
呼吸ゲート信号生成部34は、呼吸信号生成器26aから送信された呼吸信号psig1から呼吸ゲート信号gsig1を生成し、呼吸信号生成器26bから送信された呼吸信号psig2から呼吸ゲート信号gsig2を生成する。呼吸ゲート信号gsig1、gsig2の生成方法は前述した通りである。出射器制御信号生成部36は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を受信し、次のように出射器制御信号csigaを生成する。図9では、タイムシェアリング信号ssigが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合に、出射器制御信号生成部36は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。また、タイムシェアリング信号ssigが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合に、出射器制御信号生成部36は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。出射器制御信号生成部36は、出射指令を出す条件が不成立になると、出射器制御信号csigaを出射停止の状態にし、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射停止を指令する出射停止指令(信号値L状態)を出力する。図9では、第1周期期間における時刻t2〜時刻t4まで期間と、第2周期期間における時刻t6〜時刻t7まで期間及び時刻t8〜時刻t9まで期間が、荷電粒子ビーム81の出射指令が出された期間である。
キッカー制御信号生成部37は、タイムシェアリング信号ssigを受信し、次のようにキッカー制御信号csigbを生成する。図9では、タイムシェアリング信号ssigが治療室1を示した場合に、キッカー制御信号生成部37が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ib1状態)を出力する。タイムシェアリング信号ssigが治療室2を示した場合に、キッカー制御信号生成部37が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ib2状態)を出力する。キッカー制御信号生成部37は、経路1指令の場合に信号値Ib1の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路2指令の場合に信号値Ib2の制御電流をキッカー電磁石10に出力する。なお、図9では、タイムシェアリング信号ssigがいずれの治療室も示さない場合(治療室1でもなく治療室2でもない場合)に、キッカー制御信号csigbの信号値がIb1でなくIb2でもない信号レベル、例えばゼロレベルの例を示した。
第1周期期間の時刻t2〜時刻t3では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路1指令(信号値Ib1状態)なので、実施の形態1の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t3〜時刻t4では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路2指令(信号値Ib2状態)なので、実施の形態1の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。
第2周期期間の時刻t6〜時刻t7では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路1指令(信号値Ib1状態)なので、実施の形態1の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t8〜時刻t9では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路2指令(信号値Ib2状態)なので、実施の形態1の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。
実施の形態1の粒子線治療装置51は、偏向電磁石100よりも偏向角度が小さいが、切替速度の速いビーム経路変更器16を用いてビーム経路を切替えるので、従来と異なり、呼吸ナビゲーションを用いなくてもタイムシェアリングにより複数の治療室29へあたかも同時にビームを輸送することができる。実施の形態1の粒子線治療装置51は、呼吸ナビゲーションを行う必要がないので、患者が患者固有のリラックスした状態で粒子線治療ができる。実施の形態1の粒子線治療装置51は、呼吸ナビゲーションによって強制的に呼吸周期を誘導しないので、患者が安心することで呼吸安定状態に速やかに移行でき、これにより治療室の占有時間を短縮でき、従来よりも治療スループットを向上させることができる。
実施の形態1の粒子線治療装置51は、患者が患者固有のリラックスした状態で粒子線治療ができるので、呼吸の1周期において患者が息を吐いた状態を従来よりも長くでき、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2がオンとなる時間を長くすることができる。呼吸ゲート信号gsig1、gsig2がオンとなる時間が長くなると、1回の照射治療における荷電粒子ビーム81の照射遮断処理が少なくなるので、荷電粒子ビーム81を断続的に照射する照射時間、すなわち照射開始から照射終了までの照射時間を短縮することができる。これにより治療室29a、29bの占有時間を短縮でき、従来よりも治療スループットを向上させることができる。
なお、呼吸ゲート信号(gsig1、gsig2、gsig3等)は、ビーム経路制御器18とは別の機器によって生成してもよく、その場合、外部で生成された呼吸ゲート信号がビーム経路制御器18に入力される構成としてもよい。これは、後述する他の実施の形態においても、同様である。
実施の形態1の粒子線治療装置51は、複数の治療室29と、複数の治療室29毎に配置された複数の粒子線照射装置58と、荷電粒子ビーム81を加速する加速器54と、加速器54により加速された荷電粒子ビーム81を複数の粒子線照射装置58に輸送するビーム輸送系59と、加速器54、ビーム輸送系59、複数の粒子線照射装置58を制御する治療管理装置95とを備える。実施の形態1の粒子線治療装置51によれば、ビーム輸送系59は、複数の粒子線照射装置58のいずれか一つに荷電粒子ビーム81を輸送するようにビーム経路を変更するビーム経路変更器16を有し、治療管理装置95は、同一治療時間帯に治療を行う複数の粒子線照射装置58に対して、荷電粒子ビーム81を割当時間毎に複数の粒子線照射装置58のいずれか一つに輸送するように、加速器54の出射器62を制御する出射器制御信号csigaとビーム経路変更器16を制御するビーム経路変更器制御信号(キッカー制御信号csigb)とを生成するビーム経路制御器18を有し、ビーム経路制御器18は、複数の粒子線照射装置58が荷電粒子ビーム81を照射する複数の患者30の呼吸状態を個別にモニタされ、患者30毎に生成された荷電粒子ビーム81の照射を許可する複数の呼吸ゲート信号gsig1、gsig2と、複数の粒子線照射装置58のいずれか一つを周期的に選択するタイムシェアリング信号ssigとに基づいて、出射器制御信号csiga及びビーム経路変更器制御信号(キッカー制御信号csigb)を生成することを特徴とするので、呼吸ナビゲーションを用いなくてもタイムシェアリングにより複数の治療室29へあたかも同時にビームを輸送することができる。
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2による粒子線治療装置を示す構成図であり、図11は図10のビーム経路制御器を示す図である。図12は図10のダクト分岐部の周辺に配置されたダンパーを示す図であり、図13は本発明の実施の形態2による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態2の粒子線治療装置51は、ビーム経路変更器16の下流側にあるダクト分岐部21に荷電粒子ビーム81を遮断するダンパー11を設け、治療管理装置95がビーム経路変更器16にビーム経路変更器制御信号であるキッカー制御信号csigdを出力するビーム経路制御器19を有する点で、実施の形態1の粒子線治療装置51と異なる。ビーム経路制御器19は、実施の形態1の出射器制御信号生成部36及びキッカー制御信号生成部37に代えて、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部39及びキッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)40を備える。キッカー制御信号生成部40は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigを受信し、生成したキッカー制御信号csigdを出力する。出射器制御信号生成部39は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigを受信し、キッカー制御信号csigdに対応した出射器制御信号csigaを生成し、出射器62に出力する。
図13を用いて実施の形態2の粒子線治療装置51の動作を説明する。実施の形態1と違う部分を説明する。出射器制御信号生成部39は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigを受信し、次のように出射器制御信号csigaを生成する。タイムシェアリング信号ssigの各周期期間において、タイムシェアリング信号ssigが初めの治療室である治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合に、出射器制御信号生成部39は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。出射器制御信号csigaは、一度出射指令の状態になると、タイムシェアリング信号ssigにおいて最後の治療室に該当する治療室2の指定が解除されるまで出射指令の状態を維持する。すなわち、タイムシェアリング信号ssigにおいて最後の治療室に該当する治療室2の指定が解除されると、出射器制御信号生成部39は、出射器制御信号csigaを出射停止の状態にし、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射停止を指令する出射停止指令(信号値L状態)を出力する。図13では、第1周期期間における時刻t2〜時刻t4まで期間と、第2周期期間における時刻t6〜時刻t9まで期間が、荷電粒子ビーム81の出射指令が出された期間である。
キッカー制御信号生成部40は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigを受信し、次のようにキッカー制御信号csigdを生成する。図13では、タイムシェアリング信号ssigが治療室1を示し、かつ呼吸ゲート信号gsig1がオンの場合に、キッカー制御信号生成部40が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Id1状態)を出力する。タイムシェアリング信号ssigが治療室2を示し、かつ呼吸ゲート信号gsig2がオンの場合に、キッカー制御信号生成部40が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Id3状態)を出力する。タイムシェアリング信号ssigがいずれかの治療室(治療室1、治療室2)を示し、かつその治療室に対応する呼吸ゲート信号(gsig1、gsig2)がオフの場合に、キッカー制御信号生成部40がダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路3指令(信号値Id2状態)を出力する。経路3指令は、複数の治療室29のうち指定された治療室29へ荷電粒子ビーム81を輸送する経路指令とは異なっており、複数の治療室29への荷電粒子ビーム81の輸送を遮断する経路遮断指令と言うこともできる。
キッカー制御信号生成部40は、経路1指令の場合に信号値Id1の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路2指令の場合に信号値Id3の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路3指令の場合に信号値Id2の制御電流をキッカー電磁石10に出力する。なお、図13では、タイムシェアリング信号ssigがいずれの治療室も示さない場合(治療室1でもなく治療室2でもない場合)に、キッカー制御信号csigdの信号値がId1、Id2、Id3でもない信号レベル、例えばゼロレベルの例を示した。
第1周期期間の時刻t2〜時刻t3では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路1指令(信号値Id1状態)なので、実施の形態2の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t3〜時刻t4では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路2指令(信号値Id3状態)なので、実施の形態2の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。時刻t1〜時刻t2では、出射器制御信号csigaが出射停止指令(信号値L状態)なので、実施の形態2の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射しない。
第2周期期間の時刻t6〜時刻t7では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路1指令(信号値Id1状態)なので、実施の形態2の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t8〜時刻t9では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路2指令(信号値Id3状態)なので、実施の形態2の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。時刻t5〜時刻t6では、出射器制御信号csigaが出射停止指令(信号値L状態)なので、実施の形態2の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射しない。時刻t7〜時刻t8では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であるが、キッカー制御信号csigdが経路3指令(信号値Id2状態)なので、実施の形態2の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81をダンパー11によって遮断する。
なお、図13では、時刻t1〜時刻t2、時刻t5〜時刻t6において、キッカー制御信号csigdが経路3指令(信号値Id2状態)となる例を示したが、時刻t1〜時刻t2、時刻t5〜時刻t6では出射器制御信号csigaが出射停止指令(信号値L状態)なので、キッカー制御信号csigdは、信号値Id1状態や信号値Id3状態等の他の信号値状態でも構わない。また、ビーム経路変更器16の下流側にあるダクト分岐部21に荷電粒子ビーム81を遮断する1つのダンパー11を設けた例で説明したが、図14に示すように、下流ビーム輸送系毎に個別にダンパー11a、11bを設けてもよい。図14は、図10のダクト分岐部の周辺に配置された他のダンパーを示す図である。
実施の形態2の粒子線治療装置51は、実施の形態1と同じ効果を奏する。実施の形態2の粒子線治療装置51は、ダンパー11やダンパー11a、11bを備え、タイムシェアリング信号ssigの各周期期間において出射器制御信号csigaが一度出射指令の状態になると、タイムシェアリング信号ssigにおいて最後の治療室に該当する治療室2の指定が解除されるまで出射指令の状態を維持し、出射指令の状態の途中において荷電粒子ビーム81を遮断する場合にダンパー11、11a、11bにより遮断するので、実施の形態1よりも高速に荷電粒子ビーム81の遮断ができ、実施の形態1よりも短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。
実施の形態3.
図15は本発明の実施の形態3による粒子線治療装置を示す構成図であり、図16は図15のビーム経路制御器を示す図である。図17は、本発明の実施の形態3による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態3の粒子線治療装置51は、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、例えば、治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン状態であり、他の治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン状態である場合に、以下に示すように、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する。
実施の形態3の治療管理装置95は、実施の形態1よりも短い時間で信号値が変化するキッカー制御信号csigbを出力するビーム経路制御器63を有する点で、実施の形態1とは異なる。ビーム経路制御器63は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部46と、キッカー制御信号csigbを生成するキッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)47と、出射器制御信号生成部46及びキッカー制御信号生成部47に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、実施の形態1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34と、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクするマスク信号msigを生成するマスク信号生成部44とを備える。タイムシェアリング信号ssigaは、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2がオン状態を継続する期間に、治療室指定が2回以上変化するような周期Tc2を有している。
図17を用いて実施の形態3の粒子線治療装置51の動作を説明する。図17の横軸は時間tである。タイムシェアリング信号ssiga、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、マスク信号msig、出射器制御信号csiga、キッカー制御信号csigbの縦軸は各信号の信号値であり、照射電流Ibem1、Ibem2の縦軸は電流値である。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図が複雑にならないように、治療室1と治療室2の選択をHレベルとLレベルで行う例を記載した。タイムシェアリング信号ssigaがHレベルの場合は、治療室1が指定され、タイムシェアリング信号ssigaがLレベルの場合は、治療室2が指定される。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図7に示したタイムシェアリング信号ssig−1、ssig−2、ssig−3の形式で構成することが可能である。
タイムシェアリング信号生成部45は、図17に示すように、実施の形態1の周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成する。マスク信号生成部44は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を受信し、マスク信号msigを生成する。マスク信号msigは、例えば出力の信号値がH状態の場合に、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクする(非有効にする)マスク指令である。マスク信号msigは、信号値がL状態の場合に、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択を有効にするマスク解除指令である。マスク信号生成部44は、複数の呼吸ゲート信号のうち少なくも2つの呼吸ゲート信号が同時にオンの場合に、マスク解除指令のマスク信号msigを出力する。マスク信号生成部44は、複数の呼吸ゲート信号が同時にオンでない場合、すなわち、全ての呼吸ゲート信号がオフであるか、呼吸ゲート信号の1つのみがオンの場合に、マスク指令のマスク信号msigを出力する。
呼吸ゲート信号gsig1が時刻t1〜時刻t8までオンであり、呼吸ゲート信号gsig2が時刻t3〜時刻t10までオンなので、マスク信号生成部44は、時刻t3〜時刻t8の期間(期間A)においてマスク指令(信号値がH状態)のマスク信号msigを出力し、期間Aの期間以外においてマスク解除指令(信号値がL状態)のマスク信号msigを出力する。
出射器制御信号生成部46は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssiga、マスク信号msigを受信し、次のように出射器制御信号csigaを生成する。まず、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)は、次の3つの場合がある。マスク信号msigがマスク指令(信号値H状態)であり、1つの呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1又は呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)である場合(第1の場合)に、出射器制御信号生成部46は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合(第2の場合)に、出射器制御信号生成部46は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合(第3の場合)に、出射器制御信号生成部46は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。上記の3つの場合以外では、出射器制御信号生成部46は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射停止を指令する出射停止指令(信号値L状態)を出力する。図17では、時刻t1〜時刻t8まで期間と、時刻t9〜時刻t10まで期間が、荷電粒子ビーム81の出射指令が出される期間である。
キッカー制御信号生成部47は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssiga、マスク信号msigを受信し、次のようにキッカー制御信号csigbを生成する。図17では、マスク信号msigがマスク指令(信号値H状態)であり、呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)である場合に、キッカー制御信号生成部47が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ib1状態)を出力する。また、マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部47が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ib1状態)を出力する。
マスク信号msigがマスク指令(信号値H状態)であり、呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)である場合に、キッカー制御信号生成部47が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ib2状態)を出力する。また、マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部47が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ib2状態)を出力する。
キッカー制御信号生成部47は、経路1指令の場合に信号値Ib1の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路2指令の場合に信号値Ib2の制御電流をキッカー電磁石10に出力する。なお、図17では、経路1指令及び経路2指令のいずれの指令もでていない場合に、キッカー制御信号csigbの信号値がIb1でなくIb2でもない信号レベル、例えばゼロレベルの例を示した。
時刻t2〜時刻t4、時刻t5〜時刻t6、時刻t7〜時刻t8の各期間では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路1指令(信号値Ib1状態)なので、実施の形態3の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t4〜時刻t5、時刻t6〜時刻t7、時刻t9〜時刻t10の各期間では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路2指令(信号値Ib2状態)なので、実施の形態3の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。
実施の形態3の粒子線治療装置51は、実施の形態1と同じ効果を奏する。実施の形態3の粒子線治療装置51は、実施の形態1のタイムシェアリング信号ssigよりも周期が短いタイムシェアリング信号ssigaと、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクするマスク信号msigを用いてキッカー制御信号csigb及び出射器制御信号csigaを生成するビーム経路制御器63を備え、マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)の場合に、照射要求があり、かつタイムシェアリング信号ssigaで指定された治療室に短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。より具体的に説明すれば、図17の時刻t3〜時刻t8のように、マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2が同時にオン状態の場合に、ビーム経路制御器63がキッカー制御信号csigbにおける経路指令を短時間に複数回変化させるので、短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。
実施の形態3の粒子線治療装置51は、実施の形態1よりも短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができるので、リペイント照射のように照射線量(一定時間あたりに照射される粒子の数)を少なくして照射回数を複数回行う場合、すなわち絵画における薄い絵の具を重ね塗りするような照射をする場合に、実施の形態3のようにビーム経路を高速に切り替える方法は実益がある。
なお、図17には、呼吸ゲート信号が2つの場合を示したが、呼吸ゲート信号が3つの場合は、マスク信号msigは以下のようになる。マスク信号msigがマスク指令になるのは、全ての呼吸ゲート信号がオフである場合と、呼吸ゲート信号の1つのみがオンとなる3通りの場合があり、合計4通りがある。マスク信号msigがマスク解除指令になるのは、3つの呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、gsig3が同時にオンする場合と、3つの呼吸ゲート信号のうち2つの呼吸ゲート信号が同時にオンする場合(3通り)であり、合計4通りある。実施の形態3の粒子線治療装置51は、呼吸ゲート信号が3つ以上の場合にも適用できる。また、呼吸ゲート信号が3つ以上の場合に、荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する治療室を2つに制限するようにしてもよい。また、タイムシェアリング信号ssigaの周期Tc2において、各治療室29の選択期間の配分は、均等にする場合に限らず任意に設定できる。
実施の形態4.
実施の形態3では、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、実施の形態1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaと、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクするマスク信号msigを用いて、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する例を示した。実施の形態4では、ビーム輸送系59においてダンパー11を備えた粒子線治療装置51において、複数の治療室29に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する例を説明する。
図18は本発明の実施の形態4による粒子線治療装置を示す構成図であり、図19は図18のビーム経路制御器を示す図である。図20は、本発明の実施の形態4による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態4の治療管理装置95は、実施の形態2よりも短い時間で信号値が変化するキッカー制御信号csigdを出力するビーム経路制御器64を有する点で、実施の形態2とは異なる。ビーム経路制御器64は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部57と、キッカー制御信号csigdを生成するキッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)60と、出射器制御信号生成部57及びキッカー制御信号生成部60に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、実施の形態2よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34と、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクするマスク信号msigを生成するマスク信号生成部44とを備える。
実施の形態4の粒子線治療装置51は、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、例えば、治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン状態であり、他の治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン状態である場合に、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する。また、実施の形態4の粒子線治療装置51は、複数の治療室29からの照射要求がある期間と1つの治療室29のみから照射要求がある期間との切替わりの際に、状況により該当する治療室29へのビーム経路とダンパー11へのビーム経路を短い時間で切替えるように制御する。
まず、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する方法を説明する。図20を用いて実施の形態4の粒子線治療装置51の動作を説明する。図20の横軸は時間tである。タイムシェアリング信号ssiga、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、マスク信号msig、出射器制御信号csiga、キッカー制御信号csigdの縦軸は各信号の信号値であり、照射電流Ibem1、Ibem2の縦軸は電流値である。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図が複雑にならないように、治療室1と治療室2の選択をHレベルとLレベルで行う例を記載した。タイムシェアリング信号ssigaがHレベルの場合は、治療室1が指定され、タイムシェアリング信号ssigaがLレベルの場合は、治療室2が指定される。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図7に示したタイムシェアリング信号ssig−1、ssig−2、ssig−3の形式で構成することが可能である。
タイムシェアリング信号生成部45は、図20に示すように、実施の形態2の周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成する。マスク信号生成部44は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を受信し、マスク信号msigを生成する。マスク信号msigは、例えば出力の信号値がH状態の場合に、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクする(非有効にする)マスク指令である。マスク信号msigは、信号値がL状態の場合に、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択を有効にするマスク解除指令である。マスク信号生成部44は、複数の呼吸ゲート信号のうち少なくも2つの呼吸ゲート信号が同時にオンの場合に、マスク解除指令のマスク信号msigを出力する。マスク信号生成部44は、複数の呼吸ゲート信号が同時にオンでない場合、すなわち、全ての呼吸ゲート信号がオフであるか、呼吸ゲート信号の1つのみがオンの場合に、マスク指令のマスク信号msigを出力する。
呼吸ゲート信号gsig1が時刻t1〜時刻t8までオンであり、呼吸ゲート信号gsig2が時刻t3〜時刻t10までオンなので、マスク信号生成部44は、時刻t3〜時刻t8の期間(期間B)においてマスク指令(信号値がH状態)のマスク信号msigを出力し、期間Bの期間以外においてマスク解除指令(信号値がL状態)のマスク信号msigを出力する。
出射器制御信号生成部57は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigaを受信し、次のように出射器制御信号csigaを生成する。少なくとも1つの呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1又は呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)である場合(第1の場合)に、出射器制御信号生成部57は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。図20では、時刻t1〜t10まで期間が、荷電粒子ビーム81の出射指令が出される期間である。図20において、時刻t8〜時刻t9の期間において、出射器制御信号csigaが出射指令の状態が維持されている点で、実施の形態3の図17と異なる。
キッカー制御信号生成部60は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssiga、マスク信号msigを受信し、次のようにキッカー制御信号csigdを生成する。図20では、マスク信号msigがマスク指令(信号値H状態)であり、呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)である場合に、キッカー制御信号生成部60が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Id1状態)を出力する。また、マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部60が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Id1状態)を出力する。
マスク信号msigがマスク指令(信号値H状態)であり、呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)である場合に、キッカー制御信号生成部60が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Id3状態)を出力する。また、マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部60が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Id3状態)を出力する。
マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaがいずれかの治療室(治療室1、治療室2)を示し、かつその治療室に対応する呼吸ゲート信号(gsig1、gsig2)がオフの場合に、キッカー制御信号生成部60がダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路3指令(信号値Id2状態)を出力する。このようになるのは、複数の治療室29からの照射要求がある期間と1つの治療室29のみから照射要求がある期間との切替わりの際である。
キッカー制御信号生成部60は、経路1指令の場合に信号値Id1の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路2指令の場合に信号値Id3の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路3指令の場合に信号値Id2の制御電流をキッカー電磁石10に出力する。なお、図20では、経路1指令、経路2指令、経路3指令のいずれの指令もでていない場合に、キッカー制御信号csigdの信号値がId1、Id2、Id3でもない信号レベル、例えばゼロレベルの例を示した。
時刻t2〜時刻t4、時刻t5〜時刻t6、時刻t7〜時刻t8では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路1指令(信号値Id1状態)なので、実施の形態4の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t4〜時刻t5、時刻t6〜時刻t7、時刻t9〜時刻t10では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路2指令(信号値Id3状態)なので、実施の形態4の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。時刻t8〜時刻t9では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であるが、キッカー制御信号csigdが経路3指令(信号値Id2状態)なので、実施の形態4の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81をダンパー11によって遮断する。
実施の形態4の粒子線治療装置51は、実施の形態2と同じ効果を奏する。実施の形態4の粒子線治療装置51は、実施の形態2のタイムシェアリング信号ssigよりも周期が短いタイムシェアリング信号ssigaを用いて、キッカー制御信号csigd及び出射器制御信号csigaを生成するビーム経路制御器64を備え、ビーム経路制御器64のマスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)の場合に、照射要求があり、かつタイムシェアリング信号ssigaで指定された治療室に短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。より具体的に説明すれば、図20の時刻t3〜時刻t8のように、マスク信号msigがマスク解除指令(信号値L状態)であり、呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2が同時にオン状態の場合に、ビーム経路制御器64がキッカー制御信号csigdにおける経路指令を短時間に複数回変化させるので、短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。
実施の形態4の粒子線治療装置51は、実施の形態2よりも短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができるので、リペイント照射のように照射線量(一定時間あたりに照射される粒子の数)を少なくして照射回数を複数回行う場合、すなわち絵画における薄い絵の具を重ね塗りするような照射をする場合に、実施の形態4のようにビーム経路を高速に切り替える方法は実益がある。
なお、図20には、呼吸ゲート信号が2つの場合を示したが、呼吸ゲート信号が3つの場合は、マスク信号msigは以下のようになる。マスク信号msigがマスク指令になるのは、全ての呼吸ゲート信号がオフである場合と、呼吸ゲート信号の1つのみがオンとなる3通りの場合があり、合計4通りがある。マスク信号msigがマスク解除指令になるのは、3つの呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、gsig3が同時にオンする場合と、3つの呼吸ゲート信号のうち2つの呼吸ゲート信号が同時にオンする場合(3通り)であり、合計4通りある。実施の形態4の粒子線治療装置51は、呼吸ゲート信号が3つ以上の場合にも適用できる。また、呼吸ゲート信号が3つ以上の場合に、荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する治療室を2つに制限するようにしてもよい。また、タイムシェアリング信号ssigaの周期Tc2において、各治療室29の選択期間の配分は、均等にする場合に限らず任意に設定できる。
実施の形態5.
実施の形態3では、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、実施の形態1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaと、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクするマスク信号msigを用いて、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する例を示した。実施の形態5では、マスク信号msigを用いずに、複数の治療室29に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御したり、1つの治療室29に短い時間の照射電流を供給する例を説明する。
図21は本発明の実施の形態5による粒子線治療装置を示す構成図であり、図22は図21のビーム経路制御器を示す図である。図23は、本発明の実施の形態5による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態5の粒子線治療装置51は、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、例えば、治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン状態であり、他の治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン状態である場合に、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する。また、実施の形態5の粒子線治療装置51は、1つのみの治療室29からの照射要求があった場合に、出射器制御信号csigaを短い時間でオン及びオフの切替を行い、該当する治療室29に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する。言い換えると、実施の形態5の粒子線治療装置51は、短い時間で出射器62からビーム出射及びビーム停止の切替と、短い時間でビーム経路変更器16による治療室29への経路切替とを行う粒子線治療装置である。
実施の形態5の治療管理装置95は、実施の形態3と同様に実施の形態1よりも短い時間で信号値が変化するキッカー制御信号csigbを出力するビーム経路制御器65を有する。ビーム経路制御器65は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部57と、キッカー制御信号csigbを生成するキッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)50と、出射器制御信号生成部57及びキッカー制御信号生成部50に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、実施の形態1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34とを備える。タイムシェアリング信号生成部45は、図23に示すように、実施の形態1の周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成する。
図23を用いて実施の形態5の粒子線治療装置51の動作を説明する。図23の横軸は時間tである。タイムシェアリング信号ssiga、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、出射器制御信号csiga、キッカー制御信号csigbの縦軸は各信号の信号値であり、照射電流Ibem1、Ibem2の縦軸は電流値である。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図が複雑にならないように、治療室1と治療室2の選択をHレベルとLレベルで行う例を記載した。タイムシェアリング信号ssigaがHレベルの場合は、治療室1が指定され、タイムシェアリング信号ssigaがLレベルの場合は、治療室2が指定される。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図7に示したタイムシェアリング信号ssig−1、ssig−2、ssig−3の形式で構成することが可能である。
出射器制御信号生成部57は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigaを受信し、次のように出射器制御信号csigaを生成する。まず、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)は、次の4つの場合がある。1つのみの呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1又は呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合(第1の場合)に、出射器制御信号生成部57は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。また、1つのみの呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1又は呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合(第2の場合)に、出射器制御信号生成部57は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。また、複数の呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合(第3の場合)に、出射器制御信号生成部57は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。
また、複数の呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合(第4の場合)に、出射器制御信号生成部57は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。上記の4つの場合以外では、出射器制御信号生成部57は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射停止を指令する出射停止指令(信号値L状態)を出力する。図23では、時刻t2〜時刻t3まで期間と、時刻t4〜時刻t5まで期間と、時刻t6〜時刻t7まで期間と、時刻t8〜時刻t13まで期間と、時刻t14〜時刻t15まで期間と、時刻t16〜時刻t17まで期間と、時刻t18〜時刻t19まで期間が、荷電粒子ビーム81の出射指令が出される期間である。
キッカー制御信号生成部50は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigaを受信し、次のようにキッカー制御信号csigbを生成する。図23では、1つの呼吸ゲート信号のみがオン(信号値H状態)である場合、すなわち、呼吸ゲート信号gsig1のみがオン(信号値H状態)である場合に、キッカー制御信号生成部50が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ib1状態)を出力する。また、他の1つの呼吸ゲート信号のみがオン(信号値H状態)である場合、すなわち、呼吸ゲート信号gsig2のみがオン(信号値H状態)である場合に、キッカー制御信号生成部50が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ib2状態)を出力する。
また、複数の呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部50が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ib1状態)を出力する。また、複数の呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)であり、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部50が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ib2状態)を出力する。
キッカー制御信号生成部50は、経路1指令の場合に信号値Ib1の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路2指令の場合に信号値Ib2の制御電流をキッカー電磁石10に出力する。なお、図23では、経路1指令及び経路2指令のいずれの指令もでていない場合に、キッカー制御信号csigbの信号値がIb1でなくIb2でもない信号レベル、例えばゼロレベルの例を示した。
時刻t2〜時刻t3、時刻t4〜時刻t5、時刻t6〜時刻t7、時刻t8〜時刻t9、時刻t10〜時刻t11、時刻t12〜時刻t13の各期間では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路1指令(信号値Ib1状態)なので、実施の形態5の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t9〜時刻t10、時刻t11〜時刻t12、時刻t14〜時刻t15、時刻t16〜時刻t17、時刻t18〜時刻t19の各期間では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigbが経路2指令(信号値Ib2状態)なので、実施の形態5の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。
実施の形態5の粒子線治療装置51は、実施の形態1と同じ効果を奏する。実施の形態5の粒子線治療装置51は、実施の形態1のタイムシェアリング信号ssigよりも周期が短いタイムシェアリング信号ssigaを用いてキッカー制御信号csigb及び出射器制御信号csigaを生成するビーム経路制御器65を備え、照射要求があり、かつタイムシェアリング信号ssigaで指定された治療室に短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。より具体的に説明すれば、図23の時刻t8〜時刻t13のように、呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2が同時にオン状態の場合に、ビーム経路制御器65がキッカー制御信号csigbにおける経路指令を短時間に複数回変化させると共に、時刻t2〜時刻t8、時刻t13〜時刻t19のように、1つの呼吸ゲート信号のみがオン(信号値H状態)である場合に、出射器制御信号csigaをタイムシェアリング信号ssigaと同じ周期Tc2でオン及びオフの切替を行うので、短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。
実施の形態5の粒子線治療装置51は、実施の形態3と同様に、実施の形態1よりも短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができるので、リペイント照射のように照射線量(一定時間あたりに照射される粒子の数)を少なくして照射回数を複数回行う場合、すなわち絵画における薄い絵の具を重ね塗りするような照射をする場合に、実施の形態5のようにビーム経路を高速に切り替える方法は実益がある。実施の形態5の粒子線治療装置51は、マスク信号msigを用いないので、実施の形態3に比べて制御信号生成部35の制御が簡便になるメリットがある。
なお、図23には、呼吸ゲート信号が2つの場合を示したが、実施の形態5の粒子線治療装置51は、呼吸ゲート信号が3つ以上の場合にも適用できる。また、タイムシェアリング信号ssigaの周期Tc2において、各治療室29の選択期間の配分は、均等にする場合に限らず任意に設定できる。
実施の形態6.
実施の形態5では、ビーム輸送系59においてダンパー11を備えない粒子線治療装置51において、マスク信号msigを用いずに、複数の治療室29に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御したり、1つの治療室29に短い時間の照射電流を供給する例を示した。実施の形態6では、ビーム輸送系59においてダンパー11を備えた粒子線治療装置51において、マスク信号msigを用いずに、複数の治療室29に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御したり、1つの治療室29に短い時間の照射電流を供給する例を説明する。
図24は本発明の実施の形態6による粒子線治療装置を示す構成図であり、図25は図24のビーム経路制御器を示す図である。図26は、本発明の実施の形態6による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態6の粒子線治療装置51は、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、例えば、治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン状態であり、他の治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン状態である場合に、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する。また、実施の形態6の粒子線治療装置51は、1つのみの治療室29からの照射要求があった場合に、該当する治療室29への経路とダンパー11への経路を短い時間で切替えるように制御する。言い換えると、実施の形態6の粒子線治療装置51は、短い時間でビーム経路変更器16によって、複数の治療室29への経路切替と、1つの治療室29とダンパー11との経路切替を行う粒子線治療装置である。
実施の形態6の治療管理装置95は、実施の形態2よりも短い時間で信号値が変化するキッカー制御信号csigdを出力するビーム経路制御器66を有する。ビーム経路制御器66は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部57と、キッカー制御信号csigdを生成するキッカー制御信号生成部69と、出射器制御信号生成部57及びキッカー制御信号生成部69に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、実施の形態2よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34とを備える。タイムシェアリング信号生成部45は、図26に示すように、実施の形態2の周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成する。
図26を用いて実施の形態6の粒子線治療装置51の動作を説明する。図26の横軸は時間tである。タイムシェアリング信号ssiga、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、出射器制御信号csiga、キッカー制御信号csigdの縦軸は各信号の信号値であり、照射電流Ibem1、Ibem2の縦軸は電流値である。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図が複雑にならないように、治療室1と治療室2の選択をHレベルとLレベルで行う例を記載した。タイムシェアリング信号ssigaがHレベルの場合は、治療室1が指定され、タイムシェアリング信号ssigaがLレベルの場合は、治療室2が指定される。なお、タイムシェアリング信号ssigaは、図7に示したタイムシェアリング信号ssig−1、ssig−2、ssig−3の形式で構成することが可能である。
出射器制御信号生成部57は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigaを受信し、次のように出射器制御信号csigaを生成する。少なくとも1つの呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1又は呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)である場合(第1の場合)に、出射器制御信号生成部57は、出射器62に荷電粒子ビーム81の出射を指令する出射指令(信号値H状態)を出力する。図26では、時刻t1〜t20まで期間が、荷電粒子ビーム81の出射指令が出される期間である。
キッカー制御信号生成部69は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigaを受信し、次のようにキッカー制御信号csigdを生成する。1つの呼吸ゲート信号がオンとなった治療室29がタイムシェアリング信号ssigaにて選択されれば、図26の時刻t2〜時刻t8、時刻t14〜t20のように、キッカー制御信号生成部69が該当する治療室29に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路指令(照射可能経路指令)出力し、タイムシェアリング信号ssigaにて他の治療室29が選択されればキッカー制御信号生成部69がダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路指令(遮断経路指令)出力を出力する。
また、複数の呼吸ゲート信号がオン(信号値H状態)である場合も同様であり、呼吸ゲート信号がオンとなった治療室29がタイムシェアリング信号ssigaにて選択されればキッカー制御信号生成部69が該当する治療室29に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路指令(照射可能経路指令)出力し、タイムシェアリング信号ssigaにて他の治療室29が選択されればキッカー制御信号生成部69が該当する治療室29に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路指令(照射可能経路指令)出力を出力する。治療室が異なっていても、呼吸ゲート信号がオン(信号値H状態)で、かつ呼吸ゲート信号がオン(信号値H状態)となった該当治療室29がタイムシェアリング信号ssigaにて選択される状況が続く場合は、図26の時刻t8〜時刻t12のように、キッカー制御信号生成部69が1つの治療室29から他の治療室29へ荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路指令(照射可能経路指令)出力する。
図26のキッカー制御信号csigdを具体的に説明する。時刻t1〜時刻t8のように、呼吸ゲート信号gsig1のみがオン(信号値H状態)である場合、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示せば、キッカー制御信号生成部69が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Id1状態)を出力する。また、呼吸ゲート信号gsig1のみがオン(信号値H状態)である場合、タイムシェアリング信号ssigaが他の治療室2を示せば、キッカー制御信号生成部69がダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Id状態)を出力する。
時刻t8〜時刻t13では、複数の治療室29からの照射要求が重なっており、複数の呼吸ゲート信号(呼吸ゲート信号gsig1及び呼吸ゲート信号gsig2)がオン(信号値H状態)である。この照射要求が重なっている状況において、タイムシェアリング信号ssigaが治療室1を示し、かつ治療室1の呼吸ゲート信号gsig1がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部69が治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値I1状態)を出力する。また、この照射要求が重なっている状況において、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示し、かつ治療室2の呼吸ゲート信号gsig2がオン(信号値H状態)の場合に、キッカー制御信号生成部69が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Id3状態)を出力する。
時刻t13〜時刻t20では、呼吸ゲート信号gsig2のみがオン(信号値H状態)である場合である。呼吸ゲート信号gsig2のみがオン(信号値H状態)である場合、タイムシェアリング信号ssigaが治療室2を示せば、キッカー制御信号生成部69が治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Id3状態)を出力する。また、呼吸ゲート信号gsig2のみがオン(信号値H状態)である場合、タイムシェアリング信号ssigaが他の治療室1を示せば、キッカー制御信号生成部69がダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路3指令(信号値Id2状態)を出力する。
キッカー制御信号生成部69は、経路1指令の場合に信号値Id1の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路2指令の場合に信号値Id3の制御電流をキッカー電磁石10に出力し、経路3指令の場合に信号値Id2の制御電流をキッカー電磁石10に出力する。なお、図26では、経路1指令、経路2指令、経路3指令のいずれの指令もでていない場合に、キッカー制御信号csigdの信号値がId1、Id2、Id3でもない信号レベル、例えばゼロレベルの例を示した。
時刻t2〜時刻t3、時刻t4〜時刻t5、時刻t6〜時刻t7、時刻t8〜時刻t9、時刻t10〜時刻t11、時刻t12〜時刻t13の各期間では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路1指令(信号値Id1状態)なので、実施の形態6の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem1を治療室1(治療室29a)の患者30aの照射対象31aに供給する。時刻t9〜時刻t10、時刻t11〜時刻t12、時刻t14〜時刻t15、時刻t16〜時刻t17、時刻t18〜時刻t19の各期間では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であり、かつキッカー制御信号csigdが経路2指令(信号値Id3状態)なので、実施の形態6の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81を出射し、照射電流Ibem2を治療室2(治療室29b)の患者30bの照射対象31bに供給する。時刻t1〜時刻t2、時刻t3〜時刻t4、時刻t5〜時刻t6、時刻t7〜時刻t8、時刻t13〜時刻t14、時刻t15〜時刻t16、時刻t17〜時刻t18、時刻t19〜時刻t20の各期間では、出射器制御信号csigaが出射指令(信号値H状態)であるが、キッカー制御信号csigdが経路3指令(信号値Id2状態)なので、実施の形態6の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム81をダンパー11によって遮断する。
実施の形態6の粒子線治療装置51は、実施の形態2と同じ効果を奏する。実施の形態の粒子線治療装置51は、実施の形態1のタイムシェアリング信号ssigよりも周期が短いタイムシェアリング信号ssigaを用いてキッカー制御信号csigd及び出射器制御信号csigaを生成するビーム経路制御器66を備え、照射要求があり、かつタイムシェアリング信号ssigaで指定された治療室に短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。より具体的に説明すれば、図26の時刻t1〜時刻t20のように、少なくとも1つの呼吸ゲート信号(gsig1、gsig2)がオン状態の場合に、ビーム経路制御器66がキッカー制御信号csigdにおける経路指令(経路1指令、経路2指令、経路3指令)を短時間に複数回変化させてビーム経路を切替えるので、短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。
実施の形態6の粒子線治療装置51は、指定された治療室に短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給する際に、キッカー電磁石10よりもオン及びオフの切替が遅くなる出射器62を出射器制御信号csigaにより短い時間で変化することなく、ビーム経路変更器16のみを短時間に複数回変化させてビーム経路を切替えるので、実施の形態5よりも短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができる。
実施の形態6の粒子線治療装置51は、実施の形態4と同様に、実施の形態1よりも短い時間幅の照射電流を患者30の照射対象31に供給することができるので、リペイント照射のように照射線量(一定時間あたりに照射される粒子の数)を少なくして照射回数を複数回行う場合、すなわち絵画における薄い絵の具を重ね塗りするような照射をする場合に、実施の形態6のようにビーム経路を高速に切り替える方法は実益がある。実施の形態6の粒子線治療装置51は、マスク信号msigを用いないので、実施の形態4に比べて制御信号生成部35の制御が簡便になるメリットがある。
なお、図26には、呼吸ゲート信号が2つの場合を示したが、実施の形態6の粒子線治療装置51は、呼吸ゲート信号が3つ以上の場合にも適用できる。また、タイムシェアリング信号ssigaの周期Tc2において、各治療室29の選択期間の配分は、均等にする場合に限らず任意に設定できる。
実施の形態7.
実施の形態1〜6では、ビーム経路変更器16としてキッカー電磁石10を用いた例で説明したが、キッカー電磁石10の代りに、後述するビーム偏向器15を用いることができる。ここで、キッカー電磁石10は荷電粒子ビーム81を偏向する偏向可能角度が小さいため、ビーム経路を構成するための偏向電磁石12eをキッカー電磁石10から距離をおいた下流側に設置しなければならないという要件が課される。この要件は、粒子線治療装置をコンパクトに設計しようとする場合の障害となり得る。そこで、実施の形態7においては、ビーム偏向器15を用いることで、高速なビーム経路の切替えを実現し、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することができる例を示す。
図27は本発明の実施の形態7による粒子線治療装置を示す構成図であり、図28は図27のビーム経路制御器を示す図である。図29は図27のビーム偏向器を示す側面図であり、図30は図27のビーム偏向器を上から見た上面図である。図31は図27のビーム偏向器のマイクロストリップラインを説明する図であり、図32は図27のビーム偏向器のビーム制御を説明する図である。図33は、本発明の実施の形態7による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態7の粒子線治療装置51は、ビーム経路変更器16としてビーム偏向器15を用い、治療管理装置95がビーム偏向器15を制御するビーム偏向器制御信号csigc(ビーム経路変更器制御信号)を出力するビーム経路制御器67を有する点で、実施の形態1とは異なる。
ビーム経路制御器67は、タイムシェアリング信号ssigを生成するタイムシェアリング信号生成部33と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34と、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部36と、ビーム偏向器制御信号csigcを生成するビーム偏向器制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)48とを有する。タイムシェアリング信号生成部33及び呼吸ゲート信号生成部34は、制御信号生成部35を構成する。ビーム偏向器制御信号生成部48は、パルス制御器41と、高速スイッチ42と、偏向器電源43を有する。
ビーム偏向器15及びビーム偏向器制御信号生成部48の構成は、特開2012−024254号公報に開示されている。図28〜図32を用いて詳しく説明する前に、概略を説明する。特開2012−024254号公報に開示されたビーム偏向器15は、スキャニング照射方式におけるビーム遮断の際の過渡線量を抑制し、照射線量精度を向上させることを目的として、ビームの進行方向に短手方向を並べた複数の導体板77a〜77fが配置されたライン電極板74と、当該ライン電極板74に平行に配置された電極板76を有している。特開2012−024254号公報で開示されたビーム偏向器15においては、ライン電極板74と電極板76との間に荷電粒子ビーム81が通過する通過領域を有している。当該複数の導体板77a〜77fは、長手方向に直列に接続され、インピーダンス整合がされている。ビーム偏向器制御装置(ビーム偏向器制御信号生成部48)は、荷電粒子ビーム81が複数の導体板77a〜77fの短手方向を通過する通過周期である粒子移動基本時間に、複数の導体板77a〜77fの長手方向を伝送する伝送周期である伝送基本時間を同期させた電圧パルス97を出力するように構成されている。この電圧パルス97は、ビーム偏向器制御信号csigcに相当する。導体板の符号は総括的に77を用い、区別して説明する場合にa〜fを付した符号を用いる。
ビーム偏向器15は、ライン電極板74とライン電極板74に対向する電極板76を有する。ライン電極板74は、マイクロストリップライン式静電電極板である。ライン電極板74は、GFRP(glass fiber reinforced plastics)板等の基板78の表面に複数の銅板等の導体板77を並行に配置し、基板78の裏面に銅板等の裏面導体75を配置したものである。裏面導体75は接地レベルにされ(GNDに接続され)、電極板76はDC電源(直流電源)79に接続され、ライン電極板74の各導体板77a〜77fには電圧パルス97が伝送される。電極板76とライン電極板74は、荷電粒子ビーム81の入射ビーム軸に対し平行に設置される。ビーム偏向器15は、ライン電極板74と電極板76との間に荷電粒子ビーム81が通過する通過領域を有する。ライン電極板74に電圧パルス97が入力されない場合に、すなわち接地レベルの電圧が印加された場合に、電極板76とライン電極板74との間に作られる各電場E1〜E6(方向は電極板76からライン電極板74)により荷電粒子ビーム81は偏向される。ライン電極板74に電圧パルス97が入力された場合は、電極板76とライン電極板74との間に作られる各電場E1〜E6が相殺するように動作させることで、荷電粒子ビーム81は直進する。電場E1は導体板77aと電極板76間の電場である。同様に電場E2〜E6は、それぞれ導体板77b〜77fと電極板76間の電場である。なお、図29において、ライン電極板74及び電極板76は断面を示している。
ビーム偏向器15による荷電粒子ビーム81を偏向する偏向角度は、電極板76とライン電極板74との間に作られる各電場E1〜E6によって決定される。DC電源79によって電極板76に電圧Vbが印可されている場合を考える。ライン電極板74に印可される電圧パルス97の電圧VpがVbである(Vp=Vb)場合は、荷電粒子ビーム81は偏向されず、荷電粒子ビーム81は直進ビーム71となって入射ビーム軸に沿ってビーム偏向器15を通過する。ライン電極板74に印可される電圧パルス97の電圧Vpが接地レベルの電圧(0V)である(Vp=0)場合は、荷電粒子ビーム81は偏向され、荷電粒子ビーム81は偏向ビーム70となって入射ビーム軸からそれてビーム偏向器15を通過する。ライン電極板74に印可される電圧パルス97の電圧Vpが0Vより大きくVbよりも小さい(0<Vp<Vb)場合は、荷電粒子ビーム81は偏向ビーム70から直進ビーム71の間の経路でビーム偏向器15を通過する。なお、ライン電極板74に印可される電圧パルス97の電圧VpがVbよりも高い電圧の場合、荷電粒子ビーム81は、直進ビーム71よりも上側に偏向される経路でビーム偏向器15を通過する。以上のように、ライン電極板74に任意の電圧Vpで電圧パルス97を伝送することで、任意の偏向角度で荷電粒子ビーム81を偏向することができる。
ライン電極板74は、図31に示すように、幅W、長さL1(図30参照)、厚さh1の導体板77a〜77fが、厚さh2の基板78に露出して配置される。ライン電極板74はマイクロストリップラインの構造を備えるので、マイクロストリップラインのインピーダンスマッチング(インピーダンス整合)の原理により、導体板77a〜77fのそれぞれは、所定のインピーダンス(例えば50Ω)を有する。また、図30に示すように導体板77a〜77fはそれぞれ間隔Sだけ間隔を空けて配置される。ここでマイクロストリップラインの特性インピーダンスZは、基板78の比誘電率をεとすると数式(1)のように表わせる。
=87/(ε+1.41)1/2×ln(A/B) ・・・(1)
なお、A及びBは、それぞれ数式(2)及び数式(3)のように表わせる。
A=5.98×(h2−h1) ・・・(2)
B=0.8×W×h1 ・・・(3)
比誘電率をε、幅W、厚さh1、厚さh2を選択することで、所定のインピーダンス(例えば50Ω)を得ることができる。
図30に示すように、ライン電極板74の6つの導体板77a〜77fは、それぞれ遅延配線99(99a〜99e)で接続され、1本の伝送路を構成するように直列接続される。遅延配線の符号は総括的に99を用い、区別して説明する場合にa〜eを付した符号を用いる。導体板77aには電圧パルス97を導入する入力配線98が接続され、導体板77fの終端には一端が接地された終端抵抗103が接続される。ライン電極板74の各導体板77a〜77fは所定のインピーダンス(例えば50Ω)を有し、終端でインピーダンスマッチング用の終端抵抗103を介して接地されるので、ライン電極板74に入力されるスイッチングされた電圧パルス97は反射することなく、ライン電極板74内を伝送することができる。なお、遅延配線99(99a〜99e)と終端抵抗103のインピーダンスは導体板77a〜77fのインピーダンスと等しくする。
また、遅延配線99a〜99eは、基板78にプリント配線のようにリソグラフィ技術や多層配線技術を用いて形成してもよい。遅延配線99a〜99eを基板78に形成することで、遅延配線99a〜99eの半田接続作業等が不要となり、ライン電極板74でのインピーダンス調整を容易に行うことができる。
ビーム偏向器15により荷電粒子ビーム81の進行を制御する方法を詳しく説明する。荷電粒子ビーム81は複数の荷電粒子96(適宜、粒子96と称する)の束なので、1つの粒子96が導体板77の短手方向(短辺)を通過する時間と電圧パルス97が導体板77の長手方向(長辺)を通過する時間とが後述する所定の同期関係になるようにライン電極板74を構成することで、初めの導体板77aで電圧パルス97の影響を受けた粒子群のみが、次の導体板77b〜77fでも電圧パルス97の影響を受けるようにする。これにより、ライン電極板74に入射された時点で、電圧Vbでスイッチングされた電圧パルス幅(時間幅)分の粒子群は電場Eの影響を受けなくなり、ビームを直進させることができる。また、電圧パルス97の電圧VpをVb以外にすることでビームを偏向することができる。
粒子96はライン電極板74の中央を通過する場合を考える。ビームの中心成分に注目し、ビームの中心成分がライン電極板74を通るように位置調整し、使用するからである。粒子96の速度をv1とすると、粒子96が導体板77を通過する時間はW/v1である。粒子96が導体板77の短手方向(短辺)を通過し、次の導体板77に到達する時間(粒子移動基本時間)TP0は、(W+S)/v1となる。所定の伝送特性を有する導体板77を伝送する電圧パルス97の速度をv2とすると、電圧パルス97が導体板77の長手方向(長辺)を通過する時間は、L1/v2である。また、遅延配線99の伝搬遅延時間TDから、導体板77の長手方向の長さに相当する実効長L2を導入する。実効長L2はv2×TDで計算できる。初めの導体板77を通過して遅延配線99を通過した時間、すなわち初めの導体板77を通過して次の導体板77に到達する時間(伝送基本時間)TV0は、(L1+L2)/v2となる。粒子移動基本時間TP0と伝送基本時間TV0とが一致するようにライン電極板74を構成する。このようにすることで、上述の所定の同期関係を実現でき、上述したように、ライン電極板74に入射された時点で、電圧Vbでスイッチングされた電圧パルス幅(時間幅)分の粒子群は電場Eの影響を受けなくなり、ビームを直進させることができる。なお、粒子移動基本時間TP0は荷電粒子ビーム81が複数の導体板77a〜77fの短手方向を通過する通過周期であり、伝送基本時間TV0は複数の導体板77a〜77fの長手方向を伝送する伝送周期である。
上述の粒子移動基本時間TP0と伝送基本時間TV0とが一致する所定の同期関係を実現する上で、必要となる粒子96の速度v1と電圧パルス97の伝送速度v2について説明する。粒子96の速度v1と電圧パルス97の伝送速度v2は、それぞれ数式(4)及び数式(5)のように表わせる。
v1=c×√(1−(Es/(Es+K))) ・・・(4)
v2=1/√(L×C) ・・・(5)
ここで、Kは粒子96のエネルギー(MeV)、cは光速、Esは陽子の静止エネルギー、Lは導体板77のインダクタンス、Cは導体板77の電気容量である。
ビーム偏向器15で荷電粒子ビーム81に印加する電場Eについて説明する。図32は電場Eを計算するための条件を説明する図である。72は荷電粒子ビーム81がビーム偏向器15を通過する直進ビーム71に平行な直進ビーム平行軸である。点Pは荷電粒子ビーム81の偏向距離dを評価するための評価点であり、例えば下流ビーム輸送系24aにおける偏向電磁石12eの入口点である。ライン電極板74の長さをL4とし、ライン電極板74の前端から評価点Pまでの直進ビーム平行軸上での距離をL3とする。ライン電極板74の終端において、荷電粒子96は直進ビーム平行軸方向の速度成分はv1であるが、荷電粒子96は電場Eの影響を受けて、ライン電極板74の垂直方向成分を得る。この荷電粒子96の速度における垂直方向成分(垂直方向速度成分)をvbとする。また、偏向ビーム軌道73と直進ビーム平行軸72の角度をαとする。荷電粒子96の垂直方向速度成分vbは、v1×tanαなので、数式(6)のように表わされる。
vb=v1×d/(L3−L4) ・・・(6)
荷電粒子96がライン電極板74の終端において、垂直方向速度成分vbの速度を持つために必要な電位差Vdを考える。陽子の質量をm1、電荷をqとすると、ライン電極板74の終端において、運動エネルギーは1/2×m1×vbであり、電位差Vdによって荷電粒子96が得るエネルギーはq×Vdなので、電位差Vは数式(7)のように表わされる。
Vd=(1/2×m1×vb)/q ・・・(7)
ライン電極板74の終端において必要な電位差Vdは、ライン電極板74のn1本の導体板77のそれぞれで分担することになる。すなわち、荷電粒子96が導体板77の1本当たりVd/n1の電位差を受けるように、ライン電極板74のn1本の導体板77と電極板76間に電場Eを発生させればよい。導体板77の幅Wを通過する場合に、その幅Wを通過する時間はv1/Wなので、ライン電極板74の垂直方向の移動距離daは、数式(8)のように表わされる。
da=(vb/n1)×(W/v1) ・・・(8)
したがって、ビーム偏向器15で荷電粒子ビーム81に印加すべき電場Eは(Vd/n1)/daなので、数式(7)、(8)を代入し整理すると、数式(9)のように表わされる。
E=(1/2×m1×vb×v1)/(q×W) ・・・(9)
数式(9)に数式(6)を代入して整理すると、電場Eは数式(10)のように表わされる。
E=m1×d×v1/(2×q×W×(L3−L4))
・・・(10)
図33を用いて実施の形態7の粒子線治療装置51の動作を説明する。実施の形態1と違う部分を説明する。図27では、治療室1(治療室29a)に輸送される荷電粒子ビーム81はビーム偏向器15で偏向されて偏向電磁石12eへ向かい、治療室2(治療室29b)に輸送される荷電粒子ビーム81はビーム偏向器15で偏向されずに直進し偏向電磁石12gへ向かうようにビーム輸送系59が構成されている。タイムシェアリング信号ssigが治療室1(治療室29a)を示す場合、ビーム経路制御器67は治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Vc1状態)を出力する。タイムシェアリング信号ssigが治療室2(治療室29b)を示す場合、ビーム経路制御器67は治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Vc2状態)を出力する。ここで、信号値Vc2(電圧Vc2)は、電極板76に印可される電圧Vbであり、信号値Vc1(電圧Vc1)は、Vc2より低い電圧である。ビーム偏向器制御信号csigcの信号値Vc1、Vc2の大小関係は、実施の形態1のキッカー制御信号csigbの信号値Ib1、Ib2の大小関係と逆になっているが、上述したように、ビーム偏向器制御信号csigcが信号値Vc1の場合は経路1指令であり、ビーム偏向器制御信号csigcが信号値Vc2の場合は経路2指令である。したがって、実施の形態7の粒子線治療装置51は、実施の形態1と同様に動作する。
ビーム偏向器15は、キッカー電磁石10よりも偏向角度を大きくすることができるので、ビーム偏向器15から偏向電磁石12eまでの距離を実施の形態1よりも短くすることができる。実施の形態7の粒子線治療装置51は、実施の形態1よりも小型のビーム輸送系59を構成することができる。
実施の形態7の粒子線治療装置51は、実施の形態1と同じ効果を奏する。また、実施の形態7の粒子線治療装置51は、実施の形態1におけるキッカー電磁石10に代えて、ビーム偏向器15を用いる構成とした。このような構成とすることにより、キッカー電磁石10よりも、高速にビーム経路の切替えが可能で、かつ偏向角度を大きくすることができるため、高速なビーム経路の切替えを実現しつつ、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することが可能となる。
実施の形態8.
実施の形態8では、ビーム輸送系59においてダンパー11を備えた実施の形態2の粒子線治療装置51に、ビーム偏向器15を用いることで、高速なビーム経路の切替えを実現し、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することができる例を示す。図34は本発明の実施の形態8による粒子線治療装置を示す構成図であり、図35は図34のビーム経路制御器を示す図である。図36は本発明の実施の形態8による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態8の粒子線治療装置51は、ビーム経路変更器16としてビーム偏向器15を用い、治療管理装置95がビーム偏向器15を制御するビーム偏向器制御信号csige(ビーム経路変更器制御信号)を出力するビーム経路制御器68を有する点で、実施の形態2とは異なる。
ビーム経路制御器68は、タイムシェアリング信号ssigを生成するタイムシェアリング信号生成部33と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34と、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部39と、ビーム偏向器制御信号csigeを生成するビーム偏向器制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)49とを有する。タイムシェアリング信号生成部33及び呼吸ゲート信号生成部34は、制御信号生成部35を構成する。ビーム偏向器制御信号生成部49は、パルス制御器41と、高速スイッチ42と、偏向器電源43を有する。実施の形態8のパルス制御器41は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigを受信し、生成した制御信号を高速スイッチ42へ出力する。高速スイッチ42はパルス制御器41からの制御信号に応じて、ビーム偏向器制御信号csigeを生成する。
図36を用いて実施の形態8の粒子線治療装置51の動作を説明する。実施の形態2と違う部分を説明する。タイムシェアリング信号ssigが治療室1(治療室29a)を示し、かつ呼吸ゲート信号gsig1がオンの場合、すなわち治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器68は治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ve1状態)を出力する。タイムシェアリング信号ssigが治療室2(治療室29b)を示し、かつ呼吸ゲート信号gsig2がオンの場合、すなわち治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器68は治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ve3状態)を出力する。タイムシェアリング信号ssigがいずれかの治療室(治療室1、治療室2)を示し、かつその治療室に対応する呼吸ゲート信号(gsig1、gsig2)がオフの場合、すなわちダンパー11に荷電粒子ビーム81を導く条件が成立した場合、ビーム経路制御器68はダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路3指令(信号値Ve2状態)を出力する。
ここで、信号値Ve3(電圧Ve3)は、電極板76に印可される電圧Vbであり、信号値Ve1(電圧Ve1)及び信号値Ve2(電圧Ve2)は、Ve3より低い電圧である。ビーム偏向器制御信号csigeの信号値Ve1、Ve3の大小関係は、実施の形態2のキッカー制御信号csigdの信号値I1、I3の大小関係と逆になっているが、上述したように、ビーム偏向器制御信号csigeが信号値Ve1の場合は経路1指令であり、ビーム偏向器制御信号csigeが信号値Ve3の場合は経路2指令であり、ビーム偏向器制御信号csigeが信号値Ve2の場合は経路3指令である。したがって、実施の形態8の粒子線治療装置51は、実施の形態2と同様に動作する。
実施の形態8の粒子線治療装置51は、実施の形態2と同じ効果を奏する。また、実施の形態8の粒子線治療装置51は、実施の形態2におけるキッカー電磁石10に代えて、キッカー電磁石10よりも、高速にビーム経路の切替えが可能で、かつ偏向角度を大きくすることができるビーム偏向器15を用いる構成としたので、実施の形態2よりも高速なビーム経路の切替えを実現しつつ、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することが可能となる。
実施の形態9.
実施の形態9では、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する実施の形態3の粒子線治療装置51に、ビーム偏向器15を用いることで、高速なビーム経路の切替えを実現し、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することができる例を示す。図37は本発明の実施の形態9による粒子線治療装置を示す構成図であり、図38は図37のビーム経路制御器を示す図である。図39は本発明の実施の形態9による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態9の粒子線治療装置51は、ビーム経路変更器16としてビーム偏向器15を用い、治療管理装置95がビーム偏向器15を制御するビーム偏向器制御信号csigcを出力するビーム経路制御器113を有する点で、実施の形態3とは異なる。
ビーム経路制御器113は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部46と、ビーム偏向器制御信号csigcを生成するビーム偏向器制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)105と、出射器制御信号生成部46及びビーム偏向器制御信号生成部105に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34と、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクするマスク信号msigを生成するマスク信号生成部44とを備える。ビーム偏向器制御信号生成部105は、パルス制御器41と、高速スイッチ42と、偏向器電源43を有する。実施の形態9のパルス制御器41は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssiga、マスク信号msigを受信し、生成した制御信号を高速スイッチ42へ出力する。高速スイッチ42はパルス制御器41からの制御信号に応じて、ビーム偏向器制御信号csigcを生成する。
図39を用いて実施の形態9の粒子線治療装置51の動作を説明する。実施の形態3と違う部分を説明する。治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器113は治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Vc1状態)を出力する。治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器113は治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Vc2状態)を出力する。ここで、信号値Vc1、Vc2については、実施の形態7で説明した通りである。実施の形態9の粒子線治療装置51は、実施の形態3と同様に動作する。
実施の形態9の粒子線治療装置51は、実施の形態3と同じ効果を奏する。また、実施の形態9の粒子線治療装置51は、実施の形態3におけるキッカー電磁石10に代えて、キッカー電磁石10よりも、高速にビーム経路の切替えが可能で、かつ偏向角度を大きくすることができるビーム偏向器15を用いる構成としたので、実施の形態3よりも高速なビーム経路の切替えを実現しつつ、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することが可能となる。
実施の形態10.
実施の形態10では、ビーム輸送系59においてダンパー11を備え、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する実施の形態4の粒子線治療装置51に、ビーム偏向器15を用いることで、高速なビーム経路の切替えを実現し、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することができる例を示す。図40は本発明の実施の形態10による粒子線治療装置を示す構成図であり、図41は図40のビーム経路制御器を示す図である。図42は本発明の実施の形態10による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態10の粒子線治療装置51は、ビーム経路変更器16としてビーム偏向器15を用い、治療管理装置95がビーム偏向器15を制御するビーム偏向器制御信号csigeを出力するビーム経路制御器114を有する点で、実施の形態4とは異なる。
ビーム経路制御器114は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部57と、ビーム偏向器制御信号csigeを生成するビーム偏向器制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)106と、出射器制御信号生成部57及びビーム偏向器制御信号生成部106に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34と、タイムシェアリング信号ssigaの治療室選択をマスクするマスク信号msigを生成するマスク信号生成部44とを備える。ビーム偏向器制御信号生成部106は、パルス制御器41と、高速スイッチ42と、偏向器電源43を有する。実施の形態10のパルス制御器41は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssiga、マスク信号msigを受信し、生成した制御信号を高速スイッチ42へ出力する。高速スイッチ42はパルス制御器41からの制御信号に応じて、ビーム偏向器制御信号csigeを生成する。
図42を用いて実施の形態10の粒子線治療装置51の動作を説明する。実施の形態4と違う部分を説明する。治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器114は治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ve1状態)を出力する。治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器114は治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ve3状態)を出力する。ダンパー11に荷電粒子ビーム81を導く条件が成立した場合、ビーム経路制御器114はダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路3指令(信号値Ve2状態)を出力する。ここで、信号値Ve1、Ve2、Ve3については、実施の形態8で説明した通りである。実施の形態10の粒子線治療装置51は、実施の形態4と同様に動作する。
実施の形態10の粒子線治療装置51は、実施の形態4と同じ効果を奏する。また、実施の形態10の粒子線治療装置51は、実施の形態4におけるキッカー電磁石10に代えて、キッカー電磁石10よりも、高速にビーム経路の切替えが可能で、かつ偏向角度を大きくすることができるビーム偏向器15を用いる構成としたので、実施の形態4よりも高速なビーム経路の切替えを実現しつつ、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することが可能となる。
実施の形態11.
実施の形態11は、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、マスク信号msigを用いずに該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する実施の形態5の粒子線治療装置51に、ビーム偏向器15を用いることで、高速なビーム経路の切替えを実現し、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することができる例を示す。図43は本発明の実施の形態11による粒子線治療装置を示す構成図であり、図44は図43のビーム経路制御器を示す図である。図45は本発明の実施の形態11による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態11の粒子線治療装置51は、ビーム経路変更器16としてビーム偏向器15を用い、治療管理装置95がビーム偏向器15を制御するビーム偏向器制御信号csigcを出力するビーム経路制御器115を有する点で、実施の形態5とは異なる。
ビーム経路制御器115は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部57と、ビーム偏向器制御信号csigcを生成するビーム偏向器制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)107と、出射器制御信号生成部57及びビーム偏向器制御信号生成部107に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34とを備える。ビーム偏向器制御信号生成部107は、パルス制御器41と、高速スイッチ42と、偏向器電源43を有する。実施の形態11のパルス制御器41は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigaを受信し、生成した制御信号を高速スイッチ42へ出力する。高速スイッチ42はパルス制御器41からの制御信号に応じて、ビーム偏向器制御信号csigcを生成する。
図45を用いて実施の形態11の粒子線治療装置51の動作を説明する。実施の形態5と違う部分を説明する。治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器115は治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Vc1状態)を出力する。治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器115は治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Vc2状態)を出力する。ここで、信号値Vc1、Vc2については、実施の形態7で説明した通りである。実施の形態11の粒子線治療装置51は、実施の形態5と同様に動作する。
実施の形態11の粒子線治療装置51は、実施の形態5と同じ効果を奏する。また、実施の形態11の粒子線治療装置51は、実施の形態5におけるキッカー電磁石10に代えて、キッカー電磁石10よりも、高速にビーム経路の切替えが可能で、かつ偏向角度を大きくすることができるビーム偏向器15を用いる構成としたので、実施の形態5よりも高速なビーム経路の切替えを実現しつつ、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することが可能となる。
実施の形態12.
実施の形態12では、ビーム輸送系59においてダンパー11を備え、複数の治療室29からの照射要求が重なった場合に、マスク信号msigを用いずに該当する治療室1、2(治療室29a、29b)に荷電粒子ビーム81を短い時間で切替えるように制御する実施の形態6の粒子線治療装置51に、ビーム偏向器15を用いることで、高速なビーム経路の切替えを実現し、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することができる例を示す。図46は本発明の実施の形態12による粒子線治療装置を示す構成図であり、図47は図46のビーム経路制御器を示す図である。図48は本発明の実施の形態12による複数の治療室へのビーム分配を説明するタイミング図である。実施の形態12の粒子線治療装置51は、ビーム経路変更器16としてビーム偏向器15を用い、治療管理装置95がビーム偏向器15を制御するビーム偏向器制御信号csigeを出力するビーム経路制御器116を有する点で、実施の形態6とは異なる。
ビーム経路制御器116は、出射器制御信号csigaを生成する出射器制御信号生成部57と、ビーム偏向器制御信号csigeを生成するビーム偏向器制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)108と、出射器制御信号生成部57及びビーム偏向器制御信号生成部108に複数の制御信号を出力する制御信号生成部35とを有する。制御信号生成部35は、周期Tc1よりも短い周期Tc2のタイムシェアリング信号ssigaを生成するタイムシェアリング信号生成部45と、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2を生成する呼吸ゲート信号生成部34とを備える。ビーム偏向器制御信号生成部108は、パルス制御器41と、高速スイッチ42と、偏向器電源43を有する。実施の形態12のパルス制御器41は、呼吸ゲート信号gsig1、gsig2、タイムシェアリング信号ssigaを受信し、生成した制御信号を高速スイッチ42へ出力する。高速スイッチ42はパルス制御器41からの制御信号に応じて、ビーム偏向器制御信号csigeを生成する。
図48を用いて実施の形態12の粒子線治療装置51の動作を説明する。実施の形態6と違う部分を説明する。治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器116は治療室1(治療室29a)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路1指令(信号値Ve1状態)を出力する。治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を輸送する条件が成立した場合、ビーム経路制御器116は治療室2(治療室29b)に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路2指令(信号値Ve3状態)を出力する。ダンパー11に荷電粒子ビーム81を導く条件が成立した場合、ビーム経路制御器116はダンパー11に荷電粒子ビーム81を導くように経路の切替えを指令する経路3指令(信号値Ve2状態)を出力する。ここで、信号値Ve1、Ve2、Ve3については、実施の形態8で説明した通りである。実施の形態12の粒子線治療装置51は、実施の形態6と同様に動作する。
実施の形態12の粒子線治療装置51は、実施の形態6と同じ効果を奏する。また、実施の形態12の粒子線治療装置51は、実施の形態6におけるキッカー電磁石10に代えて、キッカー電磁石10よりも、高速にビーム経路の切替えが可能で、かつ偏向角度を大きくすることができるビーム偏向器15を用いる構成としたので、実施の形態6よりも高速なビーム経路の切替えを実現しつつ、かつ、粒子線治療装置をコンパクトに設計することが可能となる。
なお、実施の形態1〜12では、スライスを変更する際に荷電粒子ビーム81を停止し、同一スライス内を照射する際には荷電粒子ビーム81を照射し続ける照射方法で説明したが、これに限定されることなく、照射スポット毎に荷電粒子ビーム81の停止するスポットスキャニングや、ラスタースキャニング等の他の照射方法にも適用できる。また、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
10…キッカー電磁石、11、11a、11b…ダンパー、
15…ビーム偏向器、16…ビーム経路変更器、
18、19…ビーム経路制御器、29、29a、29b…治療室、
30、30a、30b…患者、33…タイムシェアリング信号生成部、
36…出射器制御信号生成部、
37…キッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)、
39…出射器制御信号生成部、
40…キッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)、
41…パルス制御器、42…高速スイッチ、43…偏向器電源、
44…マスク信号生成部、45…タイムシェアリング信号生成部、
46…出射器制御信号生成部、
47…キッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)、
48、49…ビーム偏向器制御信号生成部
(ビーム経路変更器制御信号生成部)、
50…キッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)、
51…粒子線治療装置、54…円形加速器(加速器)、
57…出射器制御信号生成部、58、58a、58b…粒子線照射装置、
59…ビーム輸送系、60…キッカー制御信号生成部
(ビーム経路変更器制御信号生成部)、62…出射器、
63、64、65、66、67、68…ビーム経路制御器、
69…キッカー制御信号生成部(ビーム経路変更器制御信号生成部)、
74…ライン電極板、75…裏面導体、76…電極板、
77、77a、77b、77c、77d、77e、77f…導体板、
81…荷電粒子ビーム、95…治療管理装置、97…電圧パルス、
105、106、107、108…ビーム偏向器制御信号生成部
(ビーム経路変更器制御信号生成部)、
113、114、115、116…ビーム経路制御器、
csiga…出射器制御信号、
csigb…キッカー制御信号(ビーム経路変更器制御信号)、
csigc…ビーム偏向器制御信号(ビーム経路変更器制御信号)、
csigd…キッカー制御信号(ビーム経路変更器制御信号)、
csige…ビーム偏向器制御信号(ビーム経路変更器制御信号)、
gsig1、gsig2、gsig3…呼吸ゲート信号、
msig…マスク信号、
ssig、ssiga…タイムシェアリング信号、
TV0…伝送基本時間、TP0…粒子移動基本時間。

Claims (13)

  1. 複数の治療室と、複数の前記治療室毎に配置された複数の粒子線照射装置と、荷電粒子ビームを加速する加速器と、前記加速器により加速された前記荷電粒子ビームを複数の前記粒子線照射装置に輸送するビーム輸送系と、前記加速器、前記ビーム輸送系、複数の前記粒子線照射装置を制御する治療管理装置とを備えた粒子線治療装置であって、
    前記ビーム輸送系は、複数の前記粒子線照射装置のいずれか一つに前記荷電粒子ビームを輸送するようにビーム経路を変更するビーム経路変更器を有し、
    前記治療管理装置は、同一治療時間帯に治療を行う複数の前記粒子線照射装置に対して、前記荷電粒子ビームを割当時間毎に複数の前記粒子線照射装置のいずれか一つに輸送するように、前記加速器の出射器を制御する出射器制御信号と前記ビーム経路変更器を制御するビーム経路変更器制御信号とを生成するビーム経路制御器を有し、
    前記ビーム経路制御器は、
    複数の前記粒子線照射装置が前記荷電粒子ビームを照射する複数の患者の呼吸状態を個別にモニタされ、前記患者毎に生成された前記荷電粒子ビームの照射を許可する複数の呼吸ゲート信号のうち少なくとも2つが同時にオンとなる場合に、
    前記複数の呼吸ゲート信号に依存することなく複数の前記粒子線照射装置のいずれか一つを周期的に選択するタイムシェアリング信号により指定された治療室の前記粒子線照射装置に前記荷電粒子ビームを輸送するように、複数の前記呼吸ゲート信号と前記タイムシェアリング信号とに基づいて、前記出射器制御信号及び前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 前記ビーム経路制御器は、
    前記タイムシェアリング信号における治療室指定に応じて、指定された治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令が変化する前記ビーム経路変更器制御信号を生成するビーム経路変更器制御信号生成部と、
    前記タイムシェアリング信号において指定された治療室に対応する前記呼吸ゲート信号がオンの場合に前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、他の場合に前記荷電粒子ビームの出射停止を指令する出射停止指令を示す前記出射器制御信号を生成する出射器制御信号生成部と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  3. 前記ビーム輸送系は、前記ビーム経路制御器の下流側に前記荷電粒子ビームを遮断するダンパーを備え、
    前記ビーム経路制御器は、
    前記タイムシェアリング信号において指定された治療室に対応する前記呼吸ゲート信号がオンの場合に、この条件が成立する治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示し、
    前記タイムシェアリング信号において指定された治療室に対応する前記呼吸ゲート信号がオフの場合に、前記ダンパーに前記荷電粒子ビームを導く経路遮断指令を示す前記ビーム経路変更器制御信号を生成するビーム経路変更器制御信号生成部と、
    前記タイムシェアリング信号の周期毎に指定された治療室指定に対応する前記呼吸ゲート信号がオンの場合に前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、
    一度出射指令が生成された後に当該周期における最後の治療室指定が解除された場合に、前記荷電粒子ビームの出射停止を指令する出射停止指令を示す前記出射器制御信号を生成する出射器制御信号生成部と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  4. 前記ビーム経路制御器は、
    前記呼吸ゲート信号がオン状態を継続する期間に、治療室指定が2回以上変化するような周期を有する前記タイムシェアリング信号を生成するタイムシェアリング信号生成部と、前記タイムシェアリング信号の治療室指定をマスクするマスク信号を生成するマスクマスク信号生成部と、
    複数の前記呼吸ゲート信号、前記マスク信号、前記タイムシェアリング信号に基づいて前記出射器制御信号を生成する出射器制御信号生成部と、
    複数の前記呼吸ゲート信号、前記マスク信号、前記タイムシェアリング信号に基づいて、前記ビーム経路変更器制御信号を生成するビーム経路変更器制御信号生成部と、を備え、前記出射器制御信号生成部は、
    前記マスク信号がマスク指令を示し、前記呼吸ゲート信号がオンの場合に、前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、
    前記マスク信号がマスク解除指令を示し、前記呼吸ゲート信号でオンである治療室が前記タイムシェアリング信号において指定された場合に、前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、
    他の場合に前記荷電粒子ビームの出射停止を指令する出射停止指令を示す前記出射器制御信号を生成し、
    前記ビーム経路変更器制御信号生成部は、
    前記マスク信号がマスク指令を示し、複数の前記呼吸ゲート信号のうち1つのみがオンである場合に、この条件が成立する治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示し、
    前記マスク信号がマスク解除指令を示し、複数の前記呼吸ゲート信号のうち少なくとも2つが同時にオンであり、前記呼吸ゲート信号がオンである治療室が前記タイムシェアリング信号において指定された場合に、この条件が成立する治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示す前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  5. 前記ビーム輸送系は、前記ビーム経路制御器の下流側に前記荷電粒子ビームを遮断するダンパーを備え、
    前記ビーム経路制御器は、
    前記呼吸ゲート信号がオン状態を継続する期間に、治療室指定が2回以上変化するような周期を有する前記タイムシェアリング信号を生成するタイムシェアリング信号生成部と、前記タイムシェアリング信号の治療室指定をマスクするマスク信号を生成するマスクマスク信号生成部と、
    複数の前記呼吸ゲート信号と前記タイムシェアリング信号に基づいて前記出射器制御信号を生成する出射器制御信号生成部と、
    複数の前記呼吸ゲート信号、前記マスク信号、前記タイムシェアリング信号に基づいて、前記ビーム経路変更器制御信号を生成するビーム経路変更器制御信号生成部と、を備え、前記出射器制御信号生成部は、
    複数の前記呼吸ゲート信号のうち少なくとも1つがオンである場合に前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、
    他の場合に前記荷電粒子ビームの出射停止を指令する出射停止指令を示す前記出射器制御信号を生成し、
    前記ビーム経路変更器制御信号生成部は、
    前記マスク信号がマスク指令を示し、複数の前記呼吸ゲート信号のうち1つのみがオンである場合に、この条件が成立する治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示し、
    前記マスク信号がマスク解除指令を示し、前記タイムシェアリング信号において指定された治療室に対応する前記呼吸ゲート信号がオンの場合に、この条件が成立する治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示し、
    前記マスク信号がマスク解除指令を示し、前記タイムシェアリング信号において指定された治療室に対応する前記呼吸ゲート信号がオフの場合に、前記ダンパーに前記荷電粒子ビームを導く経路遮断指令を示す前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  6. 前記ビーム経路制御器は、
    前記呼吸ゲート信号がオン状態を継続する期間に、治療室指定が2回以上変化するような周期を有する前記タイムシェアリング信号を生成するタイムシェアリング信号生成部と、複数の前記呼吸ゲート信号と前記タイムシェアリング信号に基づいて前記出射器制御信号を生成する出射器制御信号生成部と、
    複数の前記呼吸ゲート信号、前記タイムシェアリング信号に基づいて、前記ビーム経路変更器制御信号を生成するビーム経路変更器制御信号生成部と、を備え、
    前記出射器制御信号生成部は、
    複数の前記呼吸ゲート信号のうち1つのみがオンであり、前記呼吸ゲート信号でオンである治療室が前記タイムシェアリング信号において指定された場合に、前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、
    複数の前記呼吸ゲート信号のうち少なくとも2つが同時にオンであり、前記呼吸ゲート信号がオンである治療室が前記タイムシェアリング信号において指定された場合に、前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、
    他の場合に前記荷電粒子ビームの出射停止を指令する出射停止指令を示す前記出射器制御信号を生成し、
    前記ビーム経路変更器制御信号生成部は、
    複数の前記呼吸ゲート信号のうち1つのみの呼吸ゲート信号がオンである場合に、前記呼吸ゲート信号でオンである治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示し、
    複数の前記呼吸ゲート信号のうち少なくとも2つが同時にオンであり、前記呼吸ゲート信号がオンである治療室が前記タイムシェアリング信号において指定された場合に、前記呼吸ゲート信号でオンである治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示す前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  7. 前記ビーム輸送系は、前記ビーム経路制御器の下流側に前記荷電粒子ビームを遮断するダンパーを備え、
    前記ビーム経路制御器は、
    前記呼吸ゲート信号がオン状態を継続する期間に、治療室指定が2回以上変化するような周期を有する前記タイムシェアリング信号を生成するタイムシェアリング信号生成部と、
    複数の前記呼吸ゲート信号と前記タイムシェアリング信号に基づいて、前記出射器制御信号を生成する出射器制御信号生成部と、
    前記複数の呼吸ゲート信号、前記タイムシェアリング信号に基づいて、前記ビーム経路変更器制御信号を生成するビーム経路変更器制御信号生成部と、を備え、
    前記出射器制御信号生成部は、
    前記複数の呼吸ゲート信号のうち少なくとも1つがオンである場合に前記荷電粒子ビームの出射を指令する出射指令を示し、
    他の場合に前記荷電粒子ビームの出射停止を指令する出射停止指令を示す前記出射器制御信号を生成し、
    前記ビーム経路変更器制御信号生成部は、
    前記タイムシェアリング信号において指定された治療室に対応する前記呼吸ゲート信号がオンの場合に、この条件が成立する治療室へ前記荷電粒子ビームを輸送する経路指令を示し、
    前記タイムシェアリング信号において指定された治療室に対応する前記呼吸ゲート信号がオフの場合に、前記ダンパーに前記荷電粒子ビームを導く経路遮断指令を示す前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  8. 前記ビーム経路変更器はキッカー電磁石であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  9. 前記ビーム経路変更器はビーム偏向器であり、
    前記ビーム経路制御器は、高速スイッチと、偏向器電源を有し、
    前記高速スイッチは、前記ビーム経路制御器で生成した制御信号に応じて前記偏向器電源の出力電圧を選択することにより前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  10. 前記ビーム経路変更器はビーム偏向器であり、
    前記ビーム経路変更器制御信号生成部は、パルス制御器と、高速スイッチと、偏向器電源を有し、
    前記パルス制御器は、当該ビーム経路変更器制御信号生成部に入力された信号に基づいて生成した制御信号を前記高速スイッチに出力し、
    前記高速スイッチは、前記制御信号に応じて前記偏向器電源の出力電圧を選択することにより前記ビーム経路変更器制御信号を生成することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  11. 前記ビーム偏向器は、前記荷電粒子ビームの進行方向に短手方向を並べた複数の導体板が配置されたライン電極板と、前記ライン電極板に平行に配置された電極板と、前記ライン電極板と前記電極板との間に前記荷電粒子ビームが通過する通過領域を有し、
    複数の前記導体板は、長手方向に直列に接続され、インピーダンス整合がされており、
    前記ビーム経路制御器は、前記荷電粒子ビームが複数の前記導体板の短手方向を通過する通過周期である粒子移動基本時間に、複数の前記導体板の長手方向を伝送する伝送周期である伝送基本時間を同期させた電圧パルスである前記ビーム経路変更器制御信号を出力することを特徴とする請求項9記載の粒子線治療装置。
  12. 前記ビーム偏向器は、前記荷電粒子ビームの進行方向に短手方向を並べた複数の導体板が配置されたライン電極板と、前記ライン電極板に平行に配置された電極板と、前記ライン電極板と前記電極板との間に前記荷電粒子ビームが通過する通過領域を有し、
    複数の前記導体板は、長手方向に直列に接続され、インピーダンス整合がされており、
    前記ビーム経路変更器制御信号生成部は、前記荷電粒子ビームが複数の前記導体板の短手方向を通過する通過周期である粒子移動基本時間に、複数の前記導体板の長手方向を伝送
    する伝送周期である伝送基本時間を同期させた電圧パルスである前記ビーム経路変更器制御信号を出力することを特徴とする請求項10記載の粒子線治療装置。
  13. 前記ライン電極板は、基板と、前記基板の表面側に配置された複数の前記導体板と、前記基板の裏面側に接地レベルに接続された裏面導体を有し、前記基板と複数の前記導体板と前記裏面導体の構造は、マイクロストリップライン構造であることを特徴とする請求項11または12に記載の粒子線治療装置。
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