JP6004436B2 - 球面モータの制御方法 - Google Patents

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本発明は、回転中心が一致する多自由度の回転運動を1台で実現する球面モータの制御技術に関する。
一般的な回転モータは1自由度の回転運動しかすることができず、多自由度の回転が必要な場合には、複数の回転モータを組み合わせることによって実現されていたが、近年、回転中心が一致する多自由度の回転運動を1台で実現する球面モータが開発されてきた。
球面ステッピングモータに関する技術としては、以下のものがある。
特許文献2には、本件発明者の発明に係る球面ステッピングモータが記載されている。特許文献2に記載の球面ステッピングモータは、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素の関係にあって、内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心にコイルを配置したステータとからなることを特徴としている。
この球面ステッピングモータでは、ロータの永久磁石とステータのコイルの組み合わせとして、ロータ側にコイルを配置しステータ側にコイルを配置する構成、ロータ側に磁性体を配置しステータ側にコイルを配置する構成、ロータ側に永久磁石を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置する構成、またはロータ側に永久磁石とコイルのハイブリッド構成を配置しステータ側に永久磁石とコイルのハイブリッド構成を配置する構成が採用可能となっている。
特許文献3は、ロータに内接する仮想多面体の辺の分割点に永久磁石、ステータに内接する仮想多面体の辺の分割点に電磁石を配置し、球体に内接する仮想多面体の頂点および頂点を結ぶ辺に対応する円弧の分割点に永久磁石を配置したロータと、該ロータの球体を包含する球体に内接する仮想多面体の頂点、頂点を結ぶ辺に対応する円弧の分割点に電磁石を配置したステータとからなる多極球面ステッピングモータおよび多極球面ACサーボモータに関する。
特許第4831682号 特許第4941986号 特開2012−039687号公報
特許文献1に記載の球面モータは、ステータを構成する任意の平面内にあるコイルの組に対して多相正弦波電流を流すことによりロータを選択した平面に垂直な軸回りに回転することができる。しかし、このような制御方法では、ステータを構成する平面に垂直な軸以外の軸回りにロータを回転させたり、ロータを任意の位置から別の位置に最短経路で動かしたり、ロータを任意の位置で静止させたりする制御などができない。
また、上記のいずれの文献も、球面モータのコイルに鉄芯を入れて電磁石として制御を行うことを開示しない。
本発明は、球面モータのコイル電磁石を鉄芯入りにして電磁石とし、鉄芯によるコギングと磁化の非線形性を考慮した制御を行うことを目的とする。
本発明は、以下の手順を行うことを特徴とする。
1)ステータ上の1個の電磁石に電流を流さない時のコギングトルクベクトルを、ロータ姿勢をパラメータとして測定したコギングトルクマップをあらかじめ作成しておく。
2)ステータ上の1個の電磁石に電流を流した時のトルクベクトルからコギングトルクベクトルを引いたトルクベクトルのトルクマップをあらかじめ作成しておく。
3)ロータの現在姿勢から目標姿勢にまで移動させるために必要なトルクベクトルTを計算する。
4)トルクマップを参照して現在ロータ姿勢で生じるコギングトルクTcを計算する。
5)コギングトルク分を除去したT−Tcを生成するために各コイルに必要なトルクEjを計算する。
6)トルクマップを参照してEjを発生するために電磁石に流す電流を計算する。
本発明によれば、球面モータのコイルに鉄芯を入れて電磁石として制御を行うことができるという利点がある。
空芯モータにおけるロータ座標系とロータにおける永久磁石の配置を示す説明図である。 空芯モータにおけるステータ座標系とステータにおけるコイルの配置を示す説明図である。 空芯モータにおけるコイルに供給される電流による発生トルクを示す説明図である。 空芯モータにおけるトルクマップの作成方法を模式的に示す概念図である。 空芯モータにおけるロータ座標系におけるコイルの位置からトルクマップを用いて求められたロータ座標系におけるトルクベクトルを示す図である。 空芯モータにおけるロータ座標系からステータ座標系への変換により求められたステータ座標系におけるトルクベクトルを示す図である。 空芯モータにおける線形独立なトルクベクトルを合成することにより設定トルクを求める原理を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態による球面モータの一構成例を示す図である。 本実施の形態によるトルクマップの一例を示す図である。 コギングの影響を説明するための図である。 シミュレーションにより作成した鉄芯入りトルクマップの一例を示す図である。 空芯トルクマップと鉄芯入りの差分トルクマップの一例を示す図である。 電流と生成トルクの例を示す図である。 ステータ上のコイル配置の例を示す図である。 空芯の場合のトルク発生シミュレーション結果の例を示す図である。 鉄芯の場合のトルク発生シミュレーション結果の例を示す図である。 本実施の形態による制御処理の一例を示すフローチャート図である。
まず、発明者らの先の出願(特願2012−027953号)について簡単に説明する。先の出願は、ロータ又はステータの少なくとも一方にコイルが配置されている球面モータにおいて、ロータを任意の位置から別の位置に最短経路で動かしたり、ロータを任意の位置で静止させたりすることを可能にする制御方法を提供することを目的とし、永久磁石又はコイルを異なる位置に配置したロータと該ロータと所定の空隙を介してコイルを異なる位置に配置したステータとを有する球面モータの制御方法であって、前記ステータの前記コイルの各々に単位電流を供給したときに前記ロータ又は前記ステータに作用するトルクベクトルを、前記ロータの座標系における該コイルの位置をパラメータとして対応付けたトルクマップを予め作成して記憶するステップと、前記ステータの座標系における前記ロータの姿勢を測定するステップと、前記ステータの座標系において測定された前記ロータの姿勢から目標姿勢に前記ロータを駆動するために前記ロータに作用させるべきトルクベクトルから、測定された前記ロータの姿勢と前記トルクマップとに基づいて、前記ステータの前記コイルの各々に供給する電流値を求めるステップと、求められた電流値を前記ステータの前記コイルに供給して、前記ロータにトルクを作用させるステップと、を含む球面モータの制御方法を開示している。
発明者らは、先の出願(特開2012−027953号)において、ロータ又はステータの少なくとも一方にコイルが配置されている球面モータにおいて、ロータを任意の位置から別の位置に最短経路で動かしたり、ロータを任意の位置で静止させたりすることを可能にする制御方法を提案した。以下に先の出願における球面モータの空芯制御について説明する。
図1から図7を参照して、先の出願の球面モータの制御方法において使用するトルクマップ、トルク制御、姿勢制御について説明する。以下では、説明を簡単にするために、ロータにコイルが配置され、これらのコイルの各々に供給する電流値を制御する場合のみについて説明するが、ステータにコイルが配置され、これらのコイルの各々に供給する電流値を制御する場合も原理は同様である。また、以下の説明において、特に断らない限り、大文字英字は、ベクトル列又は行列を表し、小文字英字は、ベクトル列又は行列の成分を表すと共に、上付き添え字のR、Sはそれぞれロータ座標系、ステータ座標系でのベクトル列の表現であることを表すものとする。
まず、図1から図3を参照して、先の出願の球面モータの制御方法において使用するトルクマップについて説明する。
ロータ及びステータに固定した座標系の正規直交基底をそれぞれR=<R、R、R>及びS=<S、S、S>とする。また、図1に示されているように、永久磁石が、回転するロータ座標系の予め定められた位置に配置されており、図2に示されているように、コイルがステータ座標系上の予め定められた位置A に配置されているものとする。
ここで、ロータの基底ベクトルRt(r i1,r i2,r i3)がステータ座標系から見て以下のように観測されるものとする。
Figure 0006004436
すると、ロータの姿勢は以下の基底の取り替えS→Rの行列K(以下、基底変換行列と記載する。)で表すことができる。
Figure 0006004436
このとき、任意のベクトルVについて、ステータ座標系とロータ座標系での列ベクトル表現の間には、以下の関係が成立する。
Figure 0006004436
また、Kは直交行列であるため、次のように逆行列は転置行列と一致する。
Figure 0006004436
ロータ座標系において任意の位置に配置されたステータのコイルの一つに単位電流を供給したとき、ロータに発生するトルクベクトルを図3に示されているようにロータ座標系で観察することができる。
そこで、ロータ座標系上の様々な位置Xにステータのコイルの各々を配置させてこれに単位電流を供給したときにロータに作用するトルクベクトルM(X)を実験(実測)又はシミュレーションで予め求めて、図4に示されているようなトルクマップを作成し、記憶装置に記憶しておく。
上記説明では、ロータ上に永久磁石が、ステータ上にコイルが配置されているとして説明しているが、ロータ上にコイルが、ステータ上に永久磁石が配置されている場合には、上記説明でステータをロータに、ロータをステータに読み替えてトルクマップを作成すればよい。また、永久磁石に代えてコイルを使用している場合でも、永久磁石に代えて配置されたコイルに供給する電流値を一定にしていれば、同様にトルクマップを作成すること
ができる。
(トルク制御)
次に、図5を参照して、トルク制御を行って、ステータ座標系で任意に設定したトルクTを発生させる方法について説明する。
1)イメージセンサなどの姿勢検出センサによって測定されたステータ座標系におけるロータの現在姿勢情報(すなわち基底変換行列K)を得る。
2)図5(a)に示されているように、既知であるステータ座標系におけるコイルの位置
と測定されたステータ座標系におけるロータの現在姿勢情報とから、以下の式によりロータ座標系におけるコイルの現在位置A を求める。
Figure 0006004436
3)図5(b)に示されているように、以下の式(6)のように、トルクマップを参照して、ロータ座標系における位置A にあるコイルに単位電流を供給したときにロータ座標系上においてロータに作用するトルクベクトルC を求める。
Figure 0006004436
4)図6に示されているように、以下の式(7)を用いて、3)で求めたロータ座標系上
におけるトルクベクトルC をステータ座標系上におけるトルクベクトルC に座標変換し、ロータ座標系における位置A にあるコイルに単位電流を供給したときにロータに作用するトルクベクトルのステータ座標系における方向を求める。
Figure 0006004436
5)図7に示されているように、以下の式(8)に従って、ステータ座標系において定められた設定トルクTをコイルのトルクベクトル方向に分解する。コイルが多数ある場合には、分解の仕方は多数存在する。
Figure 0006004436
6)ここで、線形独立なトルクベクトルC を最低三つ選べば、方程式(8)を解いて各コイルに供給する電流値Iを求めることができる。このような電流値Iを各コイルに供給すれば、コイルに電流を供給したときにトルクに作用するトルクベクトルの向きと設定トルクの向きとが一致するようになる。
なお、ロータから見たステータの姿勢はステータから見たロータの姿勢を反転したものとなり、この場合の基底変換行列はKで表されるから、ロータに永久磁石が配置され且つステータにコイルが配置されている場合など、ステータのコイルに供給する電流値を制御する場合には、上記説明において、ロータの現在姿勢情報からステータ座標系におけるコイルの現在位置を求め、ステータ座標系におけるロータの現在姿勢情報を表す基底変換行列としてKを用いれば、同様にしてトルク制御を行うことができる。
(姿勢制御)
次に、ロータの姿勢制御を行い、ステータ座標系で任意に設定した目標姿勢にロータを位置決めする方法について説明する。
7−1)ロータの目標姿勢座標系の正規直交基底F=<F,F,F>とすると、現在の姿勢のロータ座標系から見た目標姿勢座標系の基底ベクトルF は、ステータ座標系から見た目標姿勢座標系の基底ベクトルF と基底変換行列Kを用いて以下の式(9)で表すことができる。
Figure 0006004436
7−2)ここで、行列Gを次のように定義する。
Figure 0006004436
行列Gは、ステータ座標系から見た目標姿勢座標系の基底ベクトルF と基底変換行列Kとから算出することができる。また、KF は現在の姿勢におけるロータ座標系から見た目標姿勢座標系の基底ベクトルであるため、基底の取り替えR→Fの行例である。
このとき、ロータ座標系から見た目標姿勢までの回転方向ベクトルNと回転角度φ(差分)は次のように表すことができる。
Figure 0006004436
Figure 0006004436
Figure 0006004436
したがって、目標姿勢に補正するにはNの方向に差分角度φに応じたトルクを発生させればよい。
8)回転方向ベクトルNに差分角度φの大きさに対応したゲインT(φ)を乗じ、以下の式(14)により求められる目標姿勢に移動させるためのトルクベクトルTを与える。
Figure 0006004436
ゲインT(φ)の決め方はPID制御など多数存在する。例えば、測定されたロータの現在姿勢と目標姿勢とに基づいて、ロータの回転方向及び回転角度のフィードバック制御を行い、ロータの現在姿勢と目標姿勢との差分が大きいときには大きなトルクをロータに作用させて、ロータの目標姿勢と目標姿勢との差分が小さくなるとロータに作用させるトルクを小さくして精密な位置決めを行ってもよい。
9)以下の式に従って、トルクベクトルTを座標変換してステータ座標系から見たトルクベクトルTを求める。
Figure 0006004436
このようにして求めたトルクベクトルTを設定トルクとすれば、前述のトルク制御における方程式(8)を解いて各コイルに必要な電流値Iを求めることができる。
なお、ロータに永久磁石が配置され且つステータにコイルが配置されている場合など、ステータのコイルに供給する電流値を制御する場合でも、上記と同様にしてステータ座標系から見たトルクベクトルTを求めればよい。
次に、上記の制御方法を前提として、本発明の一実施の形態による球面モータの制御技術であって、球面モータのコイルに鉄芯を入れて電磁石として制御を行う実施の形態について説明する。
上記特願第2012−27953号の制御方法は、空芯コイルを用いており、1)コイルにより生じるトルクはコイルに加える電流値に比例し、電流を0とすることによりどのような姿勢でも停止可能である。2)また、コイルにより発生するトルクは、常に方向が一定である。などの特徴があり、トルク制御が容易である。
しかしながら、ステータのコイルに鉄芯を入れないと大きなトルクを必要とする用途には球面モータを使用できないという問題がある。
また、コイルに鉄芯を入れて電磁石とした場合は次のような問題が生じる。
コイルにより発生するトルクは加える電流値に比例せず、非線形となる。
電流値を0にしてもロータ磁石により鉄芯が磁化されるため、磁石−鉄芯間に引力が発生する。すなわち、コギングトルクが存在する。
ロータ磁石による磁化とコイル電流による磁化が合成されるため、発生するトルクの方向が電流値により変化する。
本実施の形態では、ロータ上に永久磁石を配置し、ステータ上に電磁石を配置した球面モータを使用する。電磁石に通電する電流値を変えることにより、磁束の強度を変化させ、ロータに発生するトルクの大きさや方向を変える。
図8は、6−8球面モータの一構成例を示す図である。本実施の形態による球面モータは、上図に示すように、永久磁石(ロータ)と、電磁石(ステータ)と、を備え、下図に示すような、ロータ磁石配置とステータコイル配置とを有している。本実施の形態によるトルク発生原理は、空芯コイルを用いた場合と同様に、ロータ上に任意の磁極配置が可能である。ここでは、磁場の対称性の取り扱いやすさから、球殻に内接する仮想正六面体の8個の頂点の位置にN,S交互に配置している。また、ステータの電磁石配置については球殻に内接する仮想正八面体が基本であるが、詳細については後述する。
本明細書において、トルクマップとは、ロータに発生するトルクは、各電磁石によって発生するトルクの総和となる。そのため、まず一個の電磁石について発生可能なトルクを求める。
まず、ステータ上の1個の電磁石に電流を流さない時のコギングトルクベクトルを、ロータ姿勢をパラメータとして測定したコギングトルクマップをあらかじめ作成しておく。
図9は、トルクマップの一例を示す図であり、ロータの上半分の表示例を示す図である。ロータ上の任意の位置に一個の電磁石を置いた場合、各位置でロータに発生するトルクを求める。各点における線分は、その位置に電磁石を置いた場合にロータに発生するトルクの大きさと方向を表している。
ここで、コイルに鉄芯がある場合には、電流値が0でもコギングトルクが発生する。またトルクの大きさが電流値に比例しない。
図10は、コギングの影響を示す図である。実際に発生するトルクは電流値によって大きさと向きが変化するが、そのうちのコギング成分は電流値に関係なく常に一定で不変であり、また電流により生成されるトルクは大きさは変化するもののその向きは一定であることがわかる。
図11は、磁場解析アプリ(MagNet)によるシミュレーション結果を示す図である。図11よりわかるように、電流値0(ゼロ)Aでも(a)、コギングによるトルクが発生している。また、0.5A(b)と1.0A(c)ではトルクの大きさだけではなくその方向も変化していることがわかる。
図12に空芯の場合のトルクマップとともに、コギングトルク成分を除去したトルクマップを示す。図12よりわかるように、0.5A-0Aと1.0A-0Aとでは、トルクの大きさは異なるものの、トルクベクトルの方向は同じであり、その方向は空芯のトルクマップと一致している。
次に、鉄芯入りコイルのトルクマップテーブルの構成について説明する。
以上より、コギングとの差分ベクトルの方向が常に一定で、空芯の場合のトルク方向と一致するため、位置ARに電磁石をおいた場合の差分トルク方向(=空芯時のトルク方向)を表す単位ベクトルtjβjγj)とし、コギングTc(AR)との差分トルクの大きさを表すスカラー量
Figure 0006004436
をトルク係数として定義する。
コイル位置AR=(Ax, Ay, Az)、この位置でのトルク方向ベクトル(αjβjγj)及びI=-Imax 〜Imaxの範囲におけるトルク係数E(AR,-Imax)〜E(AR,Imax)、コギングトルクTc=(Tcx,Tcy,Tcz) をセットとして、あらかじめテーブルを作成しておく。
Figure 0006004436
次に、鉄芯入りの場合について電流値の設定方法を説明する。
鉄芯入りの場合、空芯の電流設定方程式
Figure 0006004436
の代わりに
Figure 0006004436
を解けばよい。
ここでT=t(T1,T2,T3):所望のトルク、Tc=t(Tc1,Tc2,Tc3):コギング、I=t(I1,I2,…,IN):電流値であり、空芯時の
Figure 0006004436
におけるtjβjγj)はコイルjに単位電流を流した場合に発生するトルクである。
また、鉄芯の場合のtjβjγj)は、電流が生成するトルク(=差分トルク)の向きを表す単位ベクトルであり
Figure 0006004436
のEjはコイルjが生成するトルクの大きさを表すトルク係数である。
ここで、Eはコイルの位置と電流値によって決まる関数であり,あらかじめシミュレーションあるいは実測により求められ、トルクマップテーブルに保存されている。図13にシミュレーションにより作成したトルクマップよりロータ上のいくつかの点を選んで、電流とトルク係数の関係を示す。
図よりわかるように、最大電流を流した時のトルクの方向を正にとると非線形関数E(I)は常に単調増加となる。よって式(19)より求めたEから逆関数により電流値Iを決定することが可能となる。
次に、コイルの数が多い場合の電流値の求め方について説明する。
線形独立なコイルが3個ある場合は、式(18)および(19)は3変数の3元連立方程式でありガウス法などで容易に解くことができる。
しかしながらコイルの数が4個以上の場合は、一般に解が無数に存在する。この場合は最小2条最小ノルム法をもちいて、出力トルクの誤差が最小でかつ電流値ベクトルのノルムが最小の解を求めることが出来る。
例えば式(18)では
Figure 0006004436
として電流値が決定される。ここでWは、重み行列であり
Figure 0006004436
N:コイル数
のような対角行列である。
Wjは、j番目のコイルの重みを表している。ここでは、
Wj=Ej(Imax)-Ej(Imin)
すなわち、トルク係数において変動可能なトルク幅として設定した。つまり、ロータに大きな影響を与えることの出来る電磁石の重みを増すことになる。
以下トルク発生のシミュレーション結果を示す。図14にはステータ電磁石の配置位置を示す。これと原点に対称な位置にも電磁石が配置されるが、ロータとステータの対称性により、向きが逆で同じ大きさの電流値を流せば同一トルクが発生されるため省略してある。図にあるように、球殻に内接する仮想八面体の頂点の位置6個と、辺の中点の位置を球殻に投影した位置12個、すなわち合計18個の磁極配置である。
Z軸周りに発生可能な最大トルクを、Z軸周りの0〜360度にわたって計算してみた。図15は空芯コイル0−8を用いた場合である。どの角度においてもZ軸周りのみにトルクを発生できていることがわかる。
また、図16は鉄芯コイル0−8の場合である。コギングを完全に解消しZ軸周りのみにトルク発生できていることがわかる。また空芯コイルに比べて大きなトルクが発生できていることがわかる。
本発明は、電磁石(コイル)1個とロータ(可動子)間のトルクマップを基本とした制御方法である(電磁石1個と永久磁石1個間ではない)。可動子形状、ステータ形状、永久磁石配置、電磁石配置、可動子自由度を問わない。また、電磁石が鉄芯を入れて非線形の特性を有している場合でも制御が可能である。
図17は、本実施の形態による制御処理の一例を示すフローチャート図である。図17(b)に示されるように、制御中のロータの姿勢は、姿勢センサ等で検出し、センサ割り込み等により検出したロータの姿勢を常に更新する。
図17(a)に示すように、制御が開始されると(ステップS0:Start)、ステップS1で、ロータ目標姿勢が設定・更新される。そして、ステップS2で、ロータの現在姿勢と目標姿勢の差分を計算し、ロータを目標姿勢にまで移動させるために必要なトルクベクトルTを計算する。ステップS3で、トルクマップを参照して、現在ロータ姿勢で鉄芯により発生するコギングトルクTcを計算する。
ステップS4で、トルクマップを参照して差分トルクT−Tcを生成するために各電磁石に必要なトルクEjを計算する。ステップS5で、トルクマップを参照してEjを発生するために電磁石に流す電流を計算する。ステップS6で、電流値出力をD/A変換して電磁石に通電し、ステップS1に戻る。空芯の場合は姿勢が目標値に至れば電流0にして終了することが可能であるが、鉄芯がある場合には電流を切るとコギングによって動いてしまう。従って、常に現在位置を維持する制御が継続される。
尚、球面モータを任意の位置から別の位置に自在に制御する、PID制御により高度な制御(トルク制御、速度制御など)も可能である。
本発明は、モータを複数台使用しているシステム全て、例えば、以下のものに利用することができる。
半導体露光装置のウエハを搭載するXYステージ、レーザ加工装置の多自由度ステージ、電子部品実装機のピックアンドプレイス装置、ウエハ検査装置のウエハ操作ステージ、ロボットの眼や関節の駆動、内視鏡の移動およびレンズ駆動、カメラの手ぶれ防止と焦点合わせ、カメラによる対象物追尾、ひげそり、歯ブラシをはじめとする家電製品、健康器具や娯楽機器、自動車の車輪駆動、宇宙船姿勢制御用リアクションホイール、顕微鏡の焦点合わせとステージの駆動、非接触座標計測装置の光反射ミラーの駆動、走査型表示装置のミラー、自動車・航空機・船舶用各種機器、触覚提示装置、光メモリ用レンズの走査と焦点合わせなどに用いることができる。
また、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
また、本実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
本発明は、球面モータの制御装置に利用可能である。

Claims (4)

  1. 永久磁石又はコイルを異なる位置に配置したロータと該ロータと所定の空隙を介してコイルを異なる位置に配置したステータとを有し、球面モータのコイルに鉄芯を入れて電磁石として制御をする球面モータの制御方法であって、
    前記ステータの1個の電磁石に電流を流さない時のコギングトルクベクトルを、ロータ姿勢をパラメータとして測定したコギングトルクマップをあらかじめ作成しておくステップと、
    前記ステータの1個の電磁石に電流を流した時のトルクベクトルからコギングトルクベクトルを引いた差分トルクベクトルのトルクマップをあらかじめ作成しておくステップと、
    前記ロータの現在姿勢から目標姿勢にまで移動させるために必要なトルクベクトルTを計算するステップと、
    前記トルクマップを参照して現在ロータ姿勢で生じるコギングトルクTcを計算するステップと、
    コギングトルク分を除去したT−Tcを生成するために各コイルに必要なトルクEjを計算するステップと、
    トルクマップを参照してEjを発生するために電磁石に流す電流を計算するステップと
    を含むことを特徴とする球面モータの制御方法。
  2. 前記コギングトルクTcを計算するステップは、
    コギングとの差分ベクトルの方向が常に一定で、空芯の場合のトルク方向と一致するため、位置ARに電磁石をおいた場合の差分トルク方向(=空芯時のトルク方向)を表す単位ベクトルtjβjγj)とし、コギングTc(AR)との差分トルクの大きさを表すスカラー量
    Figure 0006004436
    をトルク係数として定義し、コイル位置AR=(Ax, Ay, Az)、この位置でのトルク方向ベクトル(αjβjγj)及びI=-Imax〜Imaxの範囲におけるトルク係数E(AR,-Imax)〜E(AR,Imax)、コギングトルクTc=(Tcx,Tcy,Tcz)をセットとして、あらかじめテーブルを作成しておくステップであることを特徴とする請求項1に記載の球面モータの制御方法。
  3. 前記トルクマップを参照してEjを発生するために電磁石に流す電流を計算するステップは、
    最大電流を流した時のトルクの方向を正にとると非線形関数E(I)は常に単調増加となることから前記Ejから逆関数により電流値を決定するステップである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の球面モータの制御方法。
  4. コイルの数が4個以上の場合に、
    最小2乗最小ノルム法をもちいて、出力トルクの誤差が最小でかつ電流値ベクトルのノルムが最小の解を求めることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の球面モータの制御方法。
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