JP6004227B2 - アンテナ装置、無線通信装置、及び電子機器 - Google Patents
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Description
給電点と、
接地点と、
第1及び第2の基部放射素子と、
第1及び第2の分岐放射素子とを備えたアンテナ装置であって、
前記第1の基部放射素子は、前記給電点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第2の基部放射素子は、前記接地点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第1及び第2の基部放射素子は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含み、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の基部放射素子の第2の端部に位置した第1の分岐点において前記第1及び第2の分岐放射素子に分岐し、前記第1の分岐放射素子は前記第1の方向に向かって延在する部分を含み、前記第2の分岐放射素子は前記第1の方向とは逆の第2の方向に向かって延在する部分を含み、
前記第2の基部放射素子の第2の端部は、前記第1の分岐放射素子における前記第1の分岐点とは異なる接続点に接続されることを特徴とする。
[1.第1の実施形態の基本形態]
[1−1.基本形態のアンテナ装置の概略構成]
まず、図1〜図3を参照して、基本形態のアンテナ装置について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図1のアンテナ装置は、給電点P1と、接地点P2と、第1及び第2の基部放射素子1,2と、第1及び第2の分岐放射素子3,4とを備える。図1他において、基部放射素子1,2(及び後述の接地導体G1)を太線で示し、分岐放射素子3,4(及び後述の分岐放射素子5)を細線で示す。基部放射素子1は、給電点P1に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、基部放射素子2は、接地点P2に接続された第1の端部と、第2の端部とを有する。基部放射素子1,2は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含む。図1の例では、基部放射素子1,2は、+x方向に向かって延在する部分であって、y方向に距離d1を有して互いに近接する部分を含む。この部分では、基部放射素子1,2は互いに平行になる。基部放射素子1は、基部放射素子1の第2の端部に位置した第1の分岐点B1において第1及び第2の分岐放射素子3,4に分岐し、分岐放射素子3は第1の方向(図1では+x方向)に向かって延在する部分を含み、分岐放射素子4は第1の方向とは逆の第2の方向(図1では−x方向)に向かって延在する部分を含む。基部放射素子2の第2の端部は、分岐放射素子3における分岐点B1とは異なる接続点A1に接続される。アンテナ装置が第1の周波数(以下、低域周波数という)F1で動作するとき、基部放射素子1,2と分岐放射素子3とが共振する。アンテナ装置が第1の周波数F1より高い第2の周波数(以下、中域周波数という)F2で動作するとき、分岐放射素子4が共振する。
図2は、第1の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図2のアンテナ装置は、図1のアンテナ装置の構成に加えて、基部放射素子1上の第2の分岐点B2において分岐した第3の分岐放射素子5をさらに備え、分岐放射素子5は第1の方向に向かって延在する部分を含む。アンテナ装置が第2の周波数F2より高い第3の周波数(以下、高域周波数という)F3で動作するとき、分岐放射素子5が共振する。
図3は、第1の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図3のアンテナ装置は、図2のアンテナ装置の構成に加えて、分岐放射素子4と一体的に形成された第1の結合素子11と、基部放射素子2と一体的に形成された第2の結合素子12とをさらに備える。このような構成によって、結合素子11,12の間に容量結合C1が生じる。
次に、図4〜図6を参照して、基本形態のアンテナ装置の具体的構成について説明する。
図4は、第1の実施形態の実施例1に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図4のアンテナ装置は、図1のアンテナ装置(基本形態のアンテナ装置(1))の具体的構成の一例を示す。実施例1では、基部放射素子1,2間の距離d1=0.8mmである。
図5は、第1の実施形態の実施例2に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図5のアンテナ装置は、図2のアンテナ装置(基本形態のアンテナ装置(2))の具体的構成の一例を示す。実施例2のアンテナ装置は、実施例1の構成に対して、分岐放射素子5を加えている点で異なる。なお、分岐放射素子5の長さは14.5mmである。
図6は、第1の実施形態の実施例3に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図6のアンテナ装置は、図3のアンテナ装置(基本形態のアンテナ装置(3))の具体的構成の一例を示す。実施例3のアンテナ装置は、実施例2の構成に対して、結合素子11,12を加えている点で異なる。なお、結合素子11,12は距離d2=0.5mmを有して互いに近接し、これにより、結合素子11,12は互いに容量的に結合する。
また、図1〜図3のアンテナ装置は、誘電体基板の両面上に形成された導体パターンとして構成されてもよい(プリント回路基板又はフレキシブル回路基板)。図12〜図14のアンテナ装置は、図3のアンテナ装置を誘電体基板の両面上に形成された導体パターンとして構成した場合の例である。
[1−3−1.比較例1及び2のアンテナ装置]
図7は、比較例1及び比較例2に係るアンテナ装置の構成を示す図である。比較例1及び比較例2に係るアンテナ装置は、図1のアンテナ装置において、分岐点B1及び接続点A1がほぼ同じ位置にある場合を示す。比較例1では、基部放射素子1,2間の距離d1=4mmであり、比較例2では、基部放射素子1,2間の距離d1=0.8mmである。
図8は、比較例3に係るアンテナ装置の構成を示す図である。比較例3に係るアンテナ装置は、比較例2の構成に対して、基部放射素子1,2の幅を増大させている点で異なる。
以下、図9〜図11を参照して、基本形態のアンテナ装置の効果(すなわち、分岐点B1及び接続点A1を異なる位置に設けること、分岐放射素子5を設けること、及び、結合素子11,12の間の容量結合C1を用いることの効果)について説明する。
図9は、実施例1及び比較例3に係るアンテナ装置のVSWRの周波数特性を示すグラフである。実施例1に係るアンテナ装置は、分岐点B1及び接続点A1を異なる位置に設けたことにより、低域周波数F1=800MHzと、中域周波数F2=1770MHzとの両方で共振している。実施例1のアンテナ装置が中域周波数F2で共振する理由は、分岐点B1及び接続点A1を異なる位置に設けたことにより、比較例3のアンテナ装置と比較して、基部放射素子1,2の間の容量結合値に変化が生まれるからである。実施例1のアンテナ装置では、分岐点B1及び接続点A1(すなわち、基部放射素子1,2の先端)の間の分岐放射素子3が、折り返しアンテナの一部として放射に寄与するので、中域周波数F2の共振特性が向上する。
図10は、比較例1及び比較例2に係るアンテナ装置のVSWRの周波数特性を示すグラフである。比較例1及び比較例2に係るアンテナ装置は低域周波数F1=750MHzで共振しているが、他の周波数では高調波の共振が観測されるだけであり、従って、マルチバンドで動作することはできない。低域周波数F1で共振するときであっても、素子間結合が強く、狭帯域である。
図11は、実施例2及び実施例3に係るアンテナ装置のVSWRの周波数特性を示すグラフである。実施例2に係るアンテナ装置は、分岐放射素子5を備えたことにより、低域周波数F1及び中域周波数F2に加えて、高域周波数F3=2600MHzで共振している。実施例3に係るアンテナ装置は、結合素子11,12を備えたことにより、中域周波数F2及び高域周波数F3における放射インピーダンスを調整し、中域周波数F2及び高域周波数F3を含む帯域において広帯域動作を実現することができる。また、実施例3に係るアンテナ装置は、結合素子11,12の間の容量結合C1を用いることにより、低域周波数F1においてアンテナ装置のQ値が低下し、低域周波数F1と、それに近接したもう1つの低域周波数F1’とによる広帯域動作を実現することができる。
図12は、第1の実施形態の実施例4に係るアンテナ装置が低域周波数F1(960MHz)で動作するときの電流分布を示す図である。図13は、第1の実施形態の実施例4に係るアンテナ装置が中域周波数F2(1710MHz)で動作するときの電流分布を示す図である。図14は、第1の実施形態の実施例4に係るアンテナ装置が第1の高域周波数F3(2170MHz)で動作するときの電流分布を示す図である。
以上説明したように、第1の実施形態に係る基本形態のアンテナ装置は、小型でありながら、マルチバンド動作することができる。また、第1の実施形態に係る基本形態のアンテナ装置は、結合素子11,12の間の容量結合C1を用いることにより広帯域動作を実現することができる。
次に、図15〜図18を参照して、アンテナ装置に追加の容量結合を設ける変形例について説明する。これらの変形例では、基部放射素子1,2に追加の容量結合を設けている。
図15は、第1の実施形態の第3の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図15のアンテナ装置は、図3のアンテナ装置の構成に加えて、基部放射素子1と一体的に形成された第3の結合素子13をさらに備え、結合素子13と結合素子11,12の少なくとも一方との間に容量結合C2が生じる。図15において、結合素子13は、x方向の長さL3及びz方向の幅wb2を有し、基部放射素子1に対して+z方向に設けられている。結合素子12,13は、距離d1を有して互いに近接し、これにより、結合素子12,13は互いに容量的に結合する。結合素子12,13に加えて結合素子11,13が互いに容量的に結合してもよく、それに代わって、結合素子11,13のみが互いに容量的に結合してもよい。図3を参照して前述したように、結合素子11は、分岐放射素子4における分岐点B1から遠隔した端部を避け、分岐放射素子4における分岐点B1に近接した位置に設けられるので、結合素子12はx方向において結合素子11の近傍に設けられ、結合素子13もx方向において結合素子11,12の近傍に設けられる。従って、結合素子13の+x方向の端部は、例えば、分岐点B2に近接して設けられる。
図16は、第1の実施形態の第4の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図16のアンテナ装置は、図15のアンテナ装置の構成に加えて、基部放射素子1,2が互いに近接する部分の複数の位置において、基部放射素子2と一体的に形成された複数の結合素子12,15と、基部放射素子1と一体的に形成された複数の結合素子13,14とをさらに備え、結合素子12,15の間及び結合素子13,14の間にそれぞれ容量結合C2,C3が生じる。図16において、結合素子14は、x方向の長さL4及びz方向の幅wc1を有し、基部放射素子1に対して+z方向に設けられている。結合素子15は、x方向の長さL5及びz方向の幅wc2を有し、基部放射素子2に対して+z方向に設けられている。結合素子14,15は、距離d1を有して互いに近接し、これにより、結合素子14,15は互いに容量的に結合する。複数の結合素子12〜15のいずれかは、アンテナ装置の放射インピーダンスを調整するために、他の結合素子とは異なる寸法を有してもよい。例えば、給電点P1に近接して設けられた結合素子14は、他の結合素子よりも大きなz方向の幅wc1を有してもよい。
図17は、第1の実施形態の第5の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図17のアンテナ装置は、図16のアンテナ装置の構成に加えて、結合素子12,15の間において、z方向において連続的に変化する幅を有する結合素子16をさらに備え、結合素子13,14の間において、z方向において連続的に変化する幅を有する結合素子17をさらに備える。このように、基部放射素子1又は2と一体的に形成された複数の結合素子のうちの隣接する2つの結合素子が第1の方向に直交する方向において異なる幅を有するとき、アンテナ装置は、隣接する2つの結合素子の間において、第1の方向に直交する方向において連続的に変化する幅を有する結合素子をさらに備える。
図18は、第1の実施形態の第6の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図18のアンテナ装置は、接地導体G1と、基部放射素子1と一体的に形成された第5の結合素子18とをさらに備え、結合素子18と接地導体G1との間に容量結合C4が生じる。図18において、結合素子18は、x方向の長さL6及びz方向の所定幅を有し、基部放射素子1に対して−z方向に設けられている。結合素子18及び接地導体G1は、距離d3を有して互いに近接し、これにより、結合素子18及び接地導体G1は互いに容量的に結合する。
次に、図19〜図21を参照して、追加の容量結合を備えたアンテナ装置の具体的構成について説明する。
図19は、第1の実施形態の実施例5に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図19のアンテナ装置は、図15のアンテナ装置(追加の容量結合を備えたアンテナ装置(1))の具体的構成の一例を示す。実施例5に係るアンテナ装置は、実施例3の構成に対して、基部放射素子1,2の幅を増大させている。図19の基部放射素子1,2は、その全体にわたって互いに容量的に結合している。従って、図19のアンテナ装置は、実質的に結合素子12〜17を含み、図17のアンテナ装置(追加の容量結合を備えたアンテナ装置(3))の具体的構成とみなすこともできる。
図20は、第1の実施形態の実施例6に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図20のアンテナ装置は、図16のアンテナ装置(追加の容量結合を備えたアンテナ装置(2))の具体的構成の一例を示す。図20のアンテナ装置は、図16のアンテナ装置を誘電体基板の両面上に形成された導体パターンとして構成した場合の例である。
図21は、第1の実施形態の実施例7に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図21のアンテナ装置は、図18のアンテナ装置を誘電体基板の両面上に形成された導体パターンとして構成した場合の例である。結合素子18は、分岐点B2から−x方向に延在するように一体的に形成される。結合素子18は長さL6=32mmを有し、結合素子18及び接地導体G1は、距離d3=5.5mmを有して互いに近接する。この長さL6及び距離d3は、主に低域周波数F1においてアンテナ装置の動作に影響する。
また、図15〜図18のアンテナ装置は、誘電体基板の両面上に形成された導体パターンとして構成されてもよい(プリント回路基板又はフレキシブル回路基板)。図24のアンテナ装置は、図16のアンテナ装置を誘電体基板の両面上に形成された導体パターンとして構成した場合の例である。
以下、図22及び図23を参照して、追加の容量結合を備えたアンテナ装置の効果について説明する。
図22は、実施例3及び実施例5に係るアンテナ装置のVSWRの周波数特性を示すグラフである。結合素子12〜17が互いに対向する部分の面積を調整することにより容量結合の大きさを調整することができ、これにより、低域周波数F1,F1’における放射インピーダンスを調整できるようになる。その結果、低域周波数F1,F1’を含む帯域(例えば800MHz帯)の帯域幅を拡大することができる。図22によれば、VSWR=3のとき、実施例3の比帯域15.0%に対して、実施例5の比帯域は19.2%に増大する。給電点P1に近接した結合素子14,15と、分岐点B1(すなわち、電流が集中する部分)に近接した結合素子12,13とは、主に低域周波数F1における放射インピーダンスに対して異なる作用を有するので、それぞれの長さ又は面積を調整することで帯域幅を拡大することができる。
図23は、実施例6及び実施例7に係るアンテナ装置のVSWRの周波数特性を示すグラフである。長さL6及び距離d3を調整して容量結合C4を調整することにより、主に低域周波数F1におけるアンテナ装置のQ値を小さくすることができる。図23によれば、VSWR=3のとき、実施例6の比帯域19.8%に対して、実施例7の比帯域は30.7%に増大しているので、図21のアンテナ装置では、低域周波数F1を含む帯域で広帯域動作を実現できていることがわかる。なお、図29のアンテナ装置でも、図21のアンテナ装置と同様の特性が得られる。
図24は、第1の実施形態の実施例8に係るアンテナ装置が第2の高域周波数F4(2600MHz)で動作するときの電流分布を示す図である。図24に示すように、アンテナ装置が高域周波数F4で動作するとき、接続点A1の近傍に電流が集中し、分岐放射素子3,5の間に容量結合が生じ、この容量結合と分岐放射素子3,5とによりループ構造が形成されることにより共振する。
以上説明したように、第1の実施形態に係る追加の容量結合を備えたアンテナ装置は、小型でありながら、マルチバンド動作及び広帯域動作の両方を実現することができる。
次に、図25〜図29を参照して、アンテナ装置に追加の微小ループを設ける変形例について説明する。これらの変形例では、2つの分岐放射素子の先端を近接させて、追加の微小ループを形成している。
図25は、第1の実施形態の第7の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図25のアンテナ装置は、図3のアンテナ装置の分岐放射素子5に代えて分岐放射素子5Aを備え、分岐放射素子3,5Aの一部に容量結合C5が生じている。分岐放射素子3,5Aと、基部放射素子2における接続点A1に近接した部分とによって、微小ループ22が形成される。前述したように、アンテナ装置が図22に示すように高域周波数F4で動作するとき、高域周波数F4は、分岐放射素子3及び5Aを近接させて構成する容量結合C5により調整することができる。
図26は、第1の実施形態の第8の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図26のアンテナ装置は、図16及び図25のアンテナ装置の組み合わせである。図27は、図26のアンテナ装置の等価回路を示す図である。分岐放射素子3,4,5Aの長さ、及び/又は、容量結合C1〜C3,C5の大きさを調整することにより、アンテナ装置において所望のマルチバンド動作及び広帯域動作を実現することができる。
図28は、第1の実施形態の第9の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図28のアンテナ装置は、図18の結合素子18と、図26のアンテナ装置との組み合わせである。結合素子18及び接地導体G1は、距離d3を有して互いに近接し、これにより、結合素子18及び接地導体G1は互いに容量的に結合する。
図29は、第1の実施形態の第10の変形例に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。アンテナ装置は、接地導体G2と、分岐放射素子3,4の少なくとも一方と一体的に形成された第6の結合素子19とをさらに備え、結合素子19と接地導体G2との間に容量結合C6が生じる。図29において、結合素子19は、x方向の長さL7及びz方向の所定幅を有し、分岐放射素子4に対して−z方向に設けられている。結合素子19及び接地導体G2は、距離d4を有して互いに近接し、これにより、結合素子19及び接地導体G2は互いに容量的に結合する。
次に、図30〜図32を参照して、追加の微小ループを備えたアンテナ装置の具体的構成について説明する。
図30は、第1の実施形態の実施例9に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図30のアンテナ装置は、図26のアンテナ装置(追加の微小ループを備えたアンテナ装置(2))の具体的構成の一例を示す。図30のアンテナ装置は、第1の面(表側、すなわち図30の−y側)及び第2の面(裏側、すなわち図30の+y側)を有する誘電体基板31をさらに備える。基部放射素子1は、第1の面上に形成された部分と、第1の面から第2の面に貫通するスルーホール導体32とを含み、分岐放射素子5A及び結合素子12は、第1の面上に形成される。基部放射素子2、分岐放射素子3,4、及び結合素子11は、第2の面上に形成される。分岐点B1は第2の面上のスルーホール導体32の位置に設けられる。図30のアンテナ装置は、結合素子13〜17、容量結合C1〜C3,C5、接地導体GND、などをさらに備えてもよい。
図31は、第1の実施形態の実施例10に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図32は、図31のアンテナ装置の裏側の構成を示す図である。図31及び図32のアンテナ装置は、図28のアンテナ装置(追加の微小ループを備えたアンテナ装置(3))の具体的構成の一例を示す。図31及び図32のアンテナ装置は、第1の面(表側、すなわち図31及び図32の−y側)及び第2の面(裏側、すなわち図31及び図32の+y側)を有する誘電体基板31をさらに備える。基部放射素子1は第1の面上に形成され、基部放射素子2及び結合素子11,12は第2の面上に形成される。各分岐放射素子は、第1の面に形成された部分3a,4a,5Aa及び第2の面に形成された部分3b,4b,5Abを含み、第1の面に形成された部分3a,4a,5Aa及び第2の面に形成された部分3b,4b,5Abは、第1の面から第2の面に貫通する複数のスルーホール導体32によって接続される。各分岐放射素子を誘電体基板31の両面に形成したことにより、各分岐放射素子の面積が増大するので、アンテナ装置は周波数F1,F2,F3のそれぞれにおいて広帯域で動作することができる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る追加の微小ループを備えたアンテナ装置は、小型でありながら、マルチバンド動作及び広帯域動作の両方を実現することができる。
図33は、第1の実施形態の実施例11に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図33のアンテナ装置は、給電線34を介して給電され、また、ネジ35によって接地導体G3に固定される。図33のアンテナ装置は、誘電体基板31に対して垂直に設けられ、分岐放射素子3,4,5Aの少なくとも1つ(図33では分岐放射素子4)に電気的に接続された板状放射素子33をさらに備える。図33のアンテナ装置は、板状放射素子33を備えたことにより、アンテナ装置のQ値が小さくなり、放射効率が向上する。
図34は、第1の実施形態の実施例12に係るアンテナ装置の構成を示す図である。図34のアンテナ装置は、接地導体G4a,G4bをさらに備える。接地導体G4b上には、無線通信回路41及び他の回路42が設けられている。無線通信回路41及び他の回路42のための接地導体G4a,G4bがアンテナ装置のための接地導体としても機能する。接地導体G4a,G4bは、第1の面に形成された部分G4a及び第2の面に形成された部分G4bを含み、第1の面に形成された部分G4a及び第2の面に形成された部分G4bは、第1の面から第2の面に貫通する複数のスルーホール導体32によって接続される。接地導体G4a,G4bを複数のスルーホール導体32によって接続したことにより、接地導体G4a,G4bのシールド効果が強化され、他の無線通信回路41及び他の回路42からアンテナ装置への影響が低減される。
以上説明した各アンテナ装置は、携帯電話機などの無線通信装置に内蔵されてもよい。また、以上説明した各アンテナ装置は、パーソナルコンピュータなどの電子機器に内蔵されてもよい。
従来技術の折り返し構造を有するアンテナ装置は、マルチバンド化が困難であった。また、従来技術の折り返し構造を有するアンテナ装置は、その薄型化及び小型化を行ううえでの限界があった。一方、本開示の各実施形態に係るアンテナ装置によれば、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含むように基部放射素子1,2を形成することにより、薄型化と広帯域動作を両立することができる。この構造により、基部放射素子1,2及び分岐放射素子3,4,5を、FR4などのプリント回路基板用の一般的な誘電体基板上に形成された導体パターンとして構成することができ、アンテナ装置の厚さを例えば0.8mmなどに薄型化できる。基部放射素子1,2及び分岐放射素子3,4,5を誘電体基板の両面に形成するとき、一方の面において所望周波数の電流が集中する線状部分を設け、もう一方の面において前記線状部分と直交するスリット状の容量結合C1を設ける。本開示の各実施形態に係るアンテナ装置によれば、低域周波数F1を含む帯域(704〜960MHz)において広帯域動作を実現することができ、さらに、中域周波数F2を含む帯域(1710〜2170MHz)及び高域周波数F3を含む帯域(2500〜2700MHz)でも動作し、それぞれの帯域における共振周波数を独立して調整するマルチバンド動作を実現することができる。
3,4,5,5A,3a,3b,4a,4b,5Aa,5Ab…分岐放射素子、
11〜19…結合素子、
21,22…微小ループ、
31…誘電体基板、
32…スルーホール導体、
33…板状放射素子、
34…給電線、
35…ネジ、
41…無線通信回路、
42…回路、
200…パーソナルコンピュータ、
201…樹脂筐体部分、
A1…接続点、
B1,B2…分岐点、
C1〜C6…容量結合、
G1,G2,G3,G4a,G4b,GND…接地導体、
P1…給電点、
P2…接地点。
Claims (18)
- 給電点と、
接地点と、
第1及び第2の基部放射素子と、
第1、第2及び第3の分岐放射素子とを備えたアンテナ装置であって、
前記第1の基部放射素子は、前記給電点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第2の基部放射素子は、前記接地点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第1及び第2の基部放射素子は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含み、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の基部放射素子の第2の端部に位置した第1の分岐点において前記第1及び第2の分岐放射素子に分岐し、前記第1の分岐放射素子は前記第1の方向に向かって延在する部分を含み、前記第2の分岐放射素子は前記第1の方向とは逆の第2の方向に向かって延在する部分を含み、
前記第2の基部放射素子の第2の端部は、前記第1の分岐放射素子における前記第1の分岐点とは異なる接続点に接続され、
前記第3の分岐放射素子は、前記第1の基部放射素子上の第2の分岐点において分岐し、前記第1の方向に向かって延在する部分を含むことを特徴とするアンテナ装置。 - 前記第1及び第2の基部放射素子と前記第1の分岐放射素子とは、第1の周波数で共振し、
前記第2の分岐放射素子は、前記第1の周波数より高い第2の周波数で共振することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。 - 前記第1及び第2の基部放射素子と前記第1の分岐放射素子とは、第1の周波数で共振し、
前記第2の分岐放射素子は、前記第1の周波数より高い第2の周波数で共振し、
前記第3の分岐放射素子は、前記第2の周波数より高い第3の周波数で共振することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。 - 前記第1及び第3の分岐放射素子の一部は互いに容量的に結合することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
- 給電点と、
接地点と、
第1及び第2の基部放射素子と、
第1及び第2の分岐放射素子と、
前記第2の分岐放射素子と一体的に形成された第1の結合素子と、
前記第2の基部放射素子と一体的に形成された第2の結合素子とを備えたアンテナ装置であって、
前記第1の基部放射素子は、前記給電点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第2の基部放射素子は、前記接地点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第1及び第2の基部放射素子は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含み、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の基部放射素子の第2の端部に位置した第1の分岐点において前記第1及び第2の分岐放射素子に分岐し、前記第1の分岐放射素子は前記第1の方向に向かって延在する部分を含み、前記第2の分岐放射素子は前記第1の方向とは逆の第2の方向に向かって延在する部分を含み、
前記第2の基部放射素子の第2の端部は、前記第1の分岐放射素子における前記第1の分岐点とは異なる接続点に接続され、
前記第1及び第2の結合素子は互いに容量的に結合することを特徴とするアンテナ装置。 - 前記アンテナ装置は、
前記第1の基部放射素子と一体的に形成された第3の結合素子をさらに備え、
前記第3の結合素子は前記第1及び第2の結合素子の少なくとも一方に容量的に結合することを特徴とする請求項5記載のアンテナ装置。 - 給電点と、
接地点と、
第1及び第2の基部放射素子と、
第1及び第2の分岐放射素子とを備えたアンテナ装置であって、
前記アンテナ装置は、前記第1及び第2の基部放射素子が互いに近接する部分の複数の位置において、
前記第2の基部放射素子と一体的に形成された複数の第2の結合素子と、
前記第1の基部放射素子と一体的に形成された複数の第3の結合素子とをさらに備え、
前記第1の基部放射素子は、前記給電点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第2の基部放射素子は、前記接地点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第1及び第2の基部放射素子は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含み、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の基部放射素子の第2の端部に位置した第1の分岐点において前記第1及び第2の分岐放射素子に分岐し、前記第1の分岐放射素子は前記第1の方向に向かって延在する部分を含み、前記第2の分岐放射素子は前記第1の方向とは逆の第2の方向に向かって延在する部分を含み、
前記第2の基部放射素子の第2の端部は、前記第1の分岐放射素子における前記第1の分岐点とは異なる接続点に接続され、
前記複数の第2の結合素子及び前記複数の第3の結合素子はそれぞれ互いに容量的に結合することを特徴とするアンテナ装置。 - 前記複数の第2の結合素子のうちの隣接する2つの第2の結合素子が前記第1の方向に直交する方向において異なる幅を有するとき、又は、前記複数の第3の結合素子のうちの隣接する2つの第3の結合素子が前記第1の方向に直交する方向において異なる幅を有するとき、前記アンテナ装置は、前記隣接する2つの第2の結合素子又は前記隣接する2つの第3の結合素子の間において、前記第1の方向に直交する方向において連続的に変化する幅を有する第4の結合素子をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載のアンテナ装置。
- 給電点と、
接地点と、
第1及び第2の基部放射素子と、
第1及び第2の分岐放射素子と、
接地導体と、
前記第1の基部放射素子と一体的に形成された第5の結合素子とを備えたアンテナ装置であって、
前記第1の基部放射素子は、前記給電点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第2の基部放射素子は、前記接地点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第1及び第2の基部放射素子は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含み、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の基部放射素子の第2の端部に位置した第1の分岐点において前記第1及び第2の分岐放射素子に分岐し、前記第1の分岐放射素子は前記第1の方向に向かって延在する部分を含み、前記第2の分岐放射素子は前記第1の方向とは逆の第2の方向に向かって延在する部分を含み、
前記第2の基部放射素子の第2の端部は、前記第1の分岐放射素子における前記第1の分岐点とは異なる接続点に接続され、
前記第5の結合素子は前記接地導体に容量的に結合することを特徴とするアンテナ装置。 - 給電点と、
接地点と、
第1及び第2の基部放射素子と、
第1及び第2の分岐放射素子と、
接地導体と、
前記第1及び第2の分岐放射素子の少なくとも一方と一体的に形成された第6の結合素子とを備えたアンテナ装置であって、
前記第1の基部放射素子は、前記給電点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第2の基部放射素子は、前記接地点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第1及び第2の基部放射素子は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含み、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の基部放射素子の第2の端部に位置した第1の分岐点において前記第1及び第2の分岐放射素子に分岐し、前記第1の分岐放射素子は前記第1の方向に向かって延在する部分を含み、前記第2の分岐放射素子は前記第1の方向とは逆の第2の方向に向かって延在する部分を含み、
前記第2の基部放射素子の第2の端部は、前記第1の分岐放射素子における前記第1の分岐点とは異なる接続点に接続され、
前記第6の結合素子は前記接地導体に容量的に結合することを特徴とするアンテナ装置。 - 前記アンテナ装置は、
前記第2の分岐放射素子と一体的に形成された第1の結合素子と、
前記第2の基部放射素子と一体的に形成された第2の結合素子と、
第1及び第2の面を有する誘電体基板をさらに備え、
前記第1及び第2の結合素子は互いに容量的に結合し、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の面上に形成された部分と、前記第1の面から前記第2の面に貫通するスルーホール導体とを含み、
前記第3の分岐放射素子及び前記第2の結合素子は、前記第1の面上に形成され、
前記第2の基部放射素子、前記第1及び第2の分岐放射素子、及び前記第1の結合素子は、前記第2の面上に形成され、
前記第1の分岐点は前記第2の面上の前記スルーホール導体の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。 - 前記アンテナ装置は、
前記第2の分岐放射素子と一体的に形成された第1の結合素子と、
前記第2の基部放射素子と一体的に形成された第2の結合素子と、
第1及び第2の面を有する誘電体基板をさらに備え、
前記第1及び第2の結合素子は互いに容量的に結合し、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の面上に形成され、
前記第2の基部放射素子及び前記第1及び第2の結合素子は、前記第2の面上に形成され、
前記第1、第2、及び第3の分岐放射素子のそれぞれは、前記第1の面に形成された部分及び前記第2の面に形成された部分を含み、前記第1の面に形成された部分及び前記第2の面に形成された部分は、前記第1の面から前記第2の面に貫通する複数のスルーホール導体によって接続されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。 - 前記アンテナ装置は、
前記第1の面上に形成され、前記第1の基部放射素子と一体的に形成された第3の結合素子をさらに備え、
前記第3の結合素子は前記第1及び第2の結合素子の少なくとも一方に容量的に結合することを特徴とする請求項11又は12記載のアンテナ装置。 - 前記アンテナ装置は、前記誘電体基板に対して垂直に設けられ、前記第1、第2、及び第3の分岐放射素子の少なくとも1つに電気的に接続された板状放射素子をさらに備えたことを特徴とする請求項11〜13のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
- 前記アンテナ装置は、接地導体をさらに備え、
前記接地導体は、前記第1の面に形成された部分及び前記第2の面に形成された部分を含み、前記第1の面に形成された部分及び前記第2の面に形成された部分は、前記第1の面から前記第2の面に貫通する複数のスルーホール導体によって接続されることを特徴とする請求項11〜14のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。 - 給電点と、
接地点と、
第1及び第2の基部放射素子と、
第1及び第2の分岐放射素子と、
接地導体とを備えたアンテナ装置であって、
前記第1の基部放射素子は、前記給電点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第2の基部放射素子は、前記接地点に接続された第1の端部と、第2の端部とを有し、
前記第1及び第2の基部放射素子は、第1の方向に向かって延在する部分であって、互いに近接する部分を含み、
前記第1の基部放射素子は、前記第1の基部放射素子の第2の端部に位置した第1の分岐点において前記第1及び第2の分岐放射素子に分岐し、前記第1の分岐放射素子は前記第1の方向に向かって延在する部分を含み、前記第2の分岐放射素子は前記第1の方向とは逆の第2の方向に向かって延在する部分を含み、
前記第2の基部放射素子の第2の端部は、前記第1の分岐放射素子における前記第1の分岐点とは異なる接続点に接続され、
前記第1の基部放射素子、前記第2の基部放射素子、前記第1の分岐放射素子及び前記第2の分岐放射素子は、前記接地導体に対して、略平行に配置されることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置を備えたことを特徴とする無線通信装置。
- 請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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