以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。パチンコ機Pの前面には前面枠2が配設されており、その略中央部分には略短形状の開口2aが穿設され、かかる開口2aの内周には金枠3が周設されている。この金枠3の内側の上方には、2枚のガラス板を装着可能なガラス扉枠4が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠4の後方に遊技盤5が配置されている。
遊技盤5の前面には略円弧状の外レール6が植立され、その外レール6の内側位置には円弧状の内レール7が植立されている。外レール6と内レール7とにより囲まれた遊技盤5の前面には、球が打ち込まれる遊技領域8が形成されており、その遊技領域8内には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の普通入賞口9が配設されている。
遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを変動表示する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、以下「LCD」と略す)10を備えた可変表示装置11が配設されている。
図2は、本実施例のLCD10の拡大図である。本実施例のLCD10の表示領域は、キャラクタ表示部10aと、変動回数表示部10bと、図柄表示部10cと、ダート調教表示部10dと、芝調教表示部10eと、坂路調教表示部10fと、馬体状態表示部10gと、キモチ表示部10hとで構成されている。
本実施例のパチンコ機Pでは、複数の変動表示で積み重ねたリーチパターンの現出状態が、50回の変動表示毎に行われるレースリーチにおいて、ずらされた大当たりの付与抽選に反映させることができるように構成されている。よって、遊技者は、高い遊技価値が付与され得るレースリーチのみにかかわらず、レースリーチ以外の複数の変動表示の表示結果に対しても高い集中力を維持することができる。従って、継続した遊技においても遊技者の集中力を高く維持することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
キャラクタ表示部10aは、馬等の図柄を表示する表示領域である。このキャラクタ表示部10aでは、1の始動入賞が行われる毎に種々の演出が行われる。また、後述するハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生する値である場合には、後述する変動パターンカウンタ33mの値に応じて、芝リーチ、ダートリーチ又は坂路リーチ等の演出が行われるように構成されている。更に、50回毎の変動表示において実行されるレースリーチが行われる場合にも、後述する変動パターンカウンタ33m等の値に応じて演出が行われるように構成されている。なお、図2のキャラクタ表示部10aに表示されている画面は、ハズレの変動表示が終了した後を表したものである。
変動回数表示部10bは、変動表示が実行された回数を表示するための表示領域であり、1の変動表示が行われる毎に「1」ずつ加算されるように構成されている。即ち、この変動回数表示部10bには、後述するレースリーチカウンタ33jの値が表示されるように構成されている。変動回数表示部10bに表示される値が「50」となった場合に、キャラクタ表示部10aにおいてレースリーチが実行される。
図柄表示部10cは、複数種類の識別情報としての数値図柄を表示するために縦方向に3分割されており、1の始動入賞が行われる毎に3分割された各表示領域において数値図柄の変動表示が行われる。なお、遊技者に大当たりが付与される場合には、この図柄表示部10cは、各表示領域に同一の数値図柄が表示されるように構成されている。
ダート調教表示部10dは、キャラクタ表示部10aにおいてダートリーチが現出した回数を表示する表示領域である。このダート調教表示部10dは、ダートリーチが現出した回数を「0」〜「3」の星数で表示するように構成されている。
芝調教表示部10eは、キャラクタ表示部10aにおいて芝リーチが現出した回数を表示する表示領域である。この芝調教表示部10eは、芝リーチが現出した回数を「0」〜「3」の星数で表示するように構成されている。
坂路調教表示部10fは、キャラクタ表示部10aにおいて坂路リーチが現出した回数を表示する表示領域である。この坂路調教表示部10fは、坂路リーチが現出した回数を「0」〜「3」の星数で表示するように構成されている。
馬体状態表示部10gは、ダート調教表示部10d、芝調教表示部10e及び坂路調教表示部10fの統計値を模式的に矢印として表示する表示領域である。この馬体状態表示部10gは、各表示部10d〜10fに応じて矢印の向きが変化するものであり、各表示部10d〜10fに表示される星数が多ければ多いほど、矢印の向きが上向きに傾くように構成されている。
キモチ表示部10hは、後述するタッチセンサ16aの検出結果を模式的に矢印として表示する表示領域である。タッチセンサ16aのオンが検出されればされるほど、矢印の向きが上向きに傾くように構成されている。
図1に戻って説明すると、可変表示装置11のLCD10の手前側周囲には、装飾部材を兼ねたセンターフレーム11aが周設されており、このセンターフレーム11aによりLCD10の周囲が装飾されている。また、センターフレーム11aの上部中央には、表示装置の一種である7セグメントLED11bが配設されている。
可変表示装置11の下方には、図柄作動口(第1種始動口)12が配設されている。この図柄作動口12へ球が入賞すると、第1種始動口スイッチ(各種スイッチ12a、図3参照)がオンして、上述した可変表示装置11で変動表示が開始されると共に、5個の球が賞球として払い出される。また、図柄作動口12の下方には可変入賞装置13が配設されている。この可変入賞装置13は、その略中央部分に2以上の球が同時に通過可能な幅広短形状の開口である大入賞口13aが穿設されている。
この大入賞口13aは、可変表示装置11の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせ(大当たり表示)の1つと一致する場合に、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒)経過するまで、或いは、所定個数(例えば、10個)の球が入賞するまで、開放される入賞口である。この大入賞口13aの開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。かかる可変入賞装置13の下方であって、遊技領域8の最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった球を遊技領域8外へ排出するためのアウト口14が形成されている。
アウト口14の下方、即ちガラス扉枠4の下方には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)15が配設されている。この前面扉板15の前面には、球を貯留すると共に球発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿16が配設され、その上皿16の下方であって、前面枠2の下側部分には上皿16に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿17が配設されている。また、下皿17の右側部分には、球を遊技領域8へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル18が配設され、かかる操作ハンドル18の内部には球発射装置の発射用モータ(図示せず)を駆動させるためのハンドルスイッチ18aが内蔵されている。
上皿16の前面左側には、遊技者が接触操作を検出するタッチセンサ16aが配設されている。このタッチセンサ16aは、遊技者が接触することでオンされ、逆に、遊技者が接触していない場合はオフされる。本実施例では、タッチセンサ16aの検出結果に応じて、遊技者に付与される遊技価値が変化するように構成されている(図12参照)。
また、上皿16の上部中央には、後述するカード読取ユニット23により読み取られたカードの残高金額を表示する3つの7セグメントLEDにより構成された残高表示器19が配設されており、この残高表示器19の右側には、カード読取ユニット23のカード挿入口24に挿入されているカードを取り出すための返却ボタン20が配設され、一方、残高表示器19の左側には、貸球の払い出し(貸出)を開始するための貸出ボタン21が配設されている。この貸出ボタン21が遊技者により押下されると、カード読取ユニット23からパチンコ機1の払出制御基板Hへ貸出要求信号が出力される。
また、貸出ボタン21の左側上方には貸球の払い出しが可能であるか否かを表示する貸出ボタンランプ22が配設されている。この貸出ボタンランプ22は、貸球の払い出しが可能である場合(貸出ボタン21が押下可能な状態である場合)に点灯され、一方、貸球の払い出しができない場合(貸出ボタン21が押下不可能な状態である場合)に消灯されるように構成されている。
上記のように構成されたパチンコ機1の左側には、正面視縦長の長方形状のカード読取ユニット23(遊技媒体記録読取装置)が並設されている。カード読取ユニット23は、カードに記録された残高金額のデータを読み取るためのものであり、その上下方向における略中央部分には、金銭と同等の有価価値を有するカードを挿入するためのカード挿入口24が配設されている。
図3は、かかるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置であるMPU31と、そのMPU31に搭載されて実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM32と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM33とが搭載されている。図6から図14に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM32内に記憶されている。
RAM33は、保留球カウンタ33aと、単発乱数カウンタ33bと、蓄越乱数カウンタ33cと、蓄越記憶カウンタ33dと、芝メモリ33eと、ダートメモリ33fと、坂路メモリ33gと、馬体メモリ33hと、モチベーションカウンタ33iと、レースリーチカウンタ33jと、放出フラグ33kと、ハズレリーチカウンタ33lと、変動パターンカウンタ33mと、ハズレ図柄カウンタ33nと、大当たり図柄カウンタ33oと、大当たりフラグ33pと、演出実行エリア33qと、演出実行1〜4メモリ33r〜33uと、バックアップエリア33vと、カウンタ用バッファ33wとを備えている。
保留球カウンタ33aは、変動表示の保留回数を記憶するカウンタである。保留球カウンタ33aの値は、LCD10で変動表示が行われていない場合又は変動表示が行われているが保留中の変動表示がない場合には「0」、保留中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、保留中の変動表示が4回の場合には「4」となる。本実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の最大保留回数は4回であるので、保留球カウンタ33aの値は「0」から「4」の範囲で変化する。保留球カウンタ33aの値のカウントアップは、図柄作動口12へ入賞した球が第1種始動口スイッチ12aで検出された場合に行われ(図9、S43参照)、カウントダウンは、変動表示の開始時に行われる(図10、S54参照)。
単発乱数カウンタ33bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタである。この単発乱数カウンタ33bの値は、後述するカウンタ更新処理(図7、S23参照)によって、「0」〜「630」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。遊技領域8に打ち込まれた球が、図柄作動口12へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ12aで検出され(始動入賞)、その検出に基づいて取得された単発乱数カウンタ33bの値が「7」であった場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、大当たりコマンドが主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ送信され、表示用制御基板Dは、その大当たりコマンドに基づいたLCD10の変動表示を行う。
蓄越乱数カウンタ33cは、大当たりの権利の発生を決定するためのカウンタである。この蓄越乱数カウンタ33cの値は、後述するカウンタ更新処理(図7、S23参照)によって、「0」〜「100」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。遊技領域8に打ち込まれた球が、図柄作動口12へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ12aで検出され(始動入賞)、その検出に基づいて取得された蓄越乱数カウンタ33cの値が「7」であった場合に大当たりの権利が発生するように構成されている。発生した大当たりの権利は、後述する蓄越記憶カウンタ33dに記憶されて、レースリーチ時に実行される放出抽選に当選するまで、その付与がずらされるように構成されている。
蓄越記憶カウンタ33dは、ずらされた大当たり数を記憶しておくためのカウンタである。この蓄越記憶カウンタ33dは、大当たりの付与がずらされる場合、即ち、図柄作動口12に球が入賞した始動入賞時に取得された蓄越乱数カウンタ33cが「7」である場合に「1」加算される。逆に、ずらされた大当たりが遊技者に付与される毎、即ち、後述する放出処理(図14参照)が行われる毎に「1」ずつ減算される。
芝メモリ33eは、LCD10のキャラクタ表示部10aにおいて、芝リーチが現出した回数を記憶するためのメモリである。この芝メモリ33eは、「0」〜「3」の範囲内で順に「1」ずつ加算されて更新され、最大値(即ち、「3」)に達した後に再び「0」に戻されるように構成されている。具体的には、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値ではなく、且つ、後述するハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生させる値であった場合に、その時点で後述するカウンタ用バッファ33wに記憶される変動パターンカウンタ33mの値が「11」〜「40」であったときにこの芝メモリ33eの値が「1」加算される。
ダートメモリ33fは、LCD10のキャラクタ表示部10aにおいて、ダートリーチが現出した回数を記憶するためのメモリである。このダートメモリ33fは、「0」〜「3」の範囲内で順に「1」ずつ加算されて更新され、最大値(即ち、「3」)に達した後に再び「0」に戻されるように構成されている。具体的には、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値ではなく、且つ、後述するハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生させる値であった場合に、その時点で後述するカウンタ用バッファ33wに記憶される変動パターンカウンタ33mの値が「41」〜「100」であったときにこのダートメモリ33fの値が「1」加算される。
坂路メモリ33gは、LCD10のキャラクタ表示部10aにおいて、坂路リーチが現出した回数を記憶するためのメモリである。この坂路メモリ33gは、「0」〜「3」の範囲内で順に「1」ずつ加算されて更新され、最大値(即ち、「3」)に達した後に再び「0」に戻されるように構成されている。具体的には、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値ではなく、且つ、後述するハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生させる値であった場合に、その時点で後述するカウンタ用バッファ33wに記憶される変動パターンカウンタ33mの値が「0」〜「10」であったときにこの坂路メモリ33gの値が「1」加算される。
なお、上記した芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値が「4」以上となった場合には、それぞれの各メモリ33e〜33gは「0」クリアされるように構成されている。
馬体メモリ33hは、前記した芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gに記憶されるそれぞれの値の合計値を記憶しておくためのメモリである。この馬体メモリ33hの値は、LCD10で行われる変動表示において、芝リーチ、ダートリーチ又は坂路リーチが現出する場合、言い換えれば、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれかの値が更新された場合に、各メモリ33e〜33gの値に応じて更新される。馬体メモリ33hの値は、ずらされた大当たりを付与するか否かを決定するレースリーチ時、即ち、放出抽選時に参酌され、本実施例では、この馬体メモリ33hの値が大きければ大きい程、ずらされた大当たりが付与され易いように構成されている。
本実施例では、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gにそれぞれ値が記憶されている状態、即ち、芝リーチ、ダートリーチ及び坂路リーチが満遍なく現出結果として記憶されている状態であると共に、各メモリ33e〜33gにそれぞれ記憶されている値が多ければ多いほど、即ち、馬体メモリ33hの値が大きければ大きい程、ずらされた大当たりを付与し易くなるように構成されている。
図5(a)及び図5(b)を参照して説明すると、レースリーチ時において、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上である場合には、放出テーブル32aにおいてモードAが選択されるように構成されている(図5(b)参照)。更に、モードAにおいて、馬体メモリ33hの値が大きければ大きい程、即ち、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gのそれぞれの値の合計値が大きい程、放出確率が高くなるように構成されている。
具体的に説明すると、例えば、モードAにおいて、馬体メモリ33hの値が「9」である場合、即ち、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの各値が「3」である場合には、50%の確率でずらされた大当たりが付与されるように構成されている。逆に、モードAにおいても、馬体メモリ33hの値が「3」である場合、即ち、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの各値が「1」である場合には、8%の確率でずらされた大当たりが付与されるように構成されている。
従って、本実施例のパチンコ機Pでは、満遍なく種々のリーチパターンを現出させた状態でレースリーチに望むことによって、多くの遊技価値が付与され易くなるように構成されている。よって、複数の変動表示で積み重ねたリーチパターンの現出状態が、50回の変動表示毎に行われるレースリーチにおいて、ずらされた大当たりの付与抽選に反映させることができる。このため、遊技者は、高い遊技価値が付与され得るレースリーチのみにかかわらず、レースリーチ以外の複数の変動表示の表示結果に対しても高い集中力を維持することができる。従って、継続した遊技においても遊技者の集中力を高く維持することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
モチベーションカウンタ33iは、タッチセンサ16の検出状態を数値としてカウントするカウンタである。このモチベーションカウンタ33iは、遊技者によってタッチセンサ16aが10秒間オンされた場合に「1」加算され、逆に、10秒間オンされなかった場合に「1」減算されるように構成されている(図8参照)。このモチベーションカウンタ33iの値は、ずらされた大当たりの付与抽選を行う場合(レースリーチ時)に参酌され、モチベーションカウンタ33iの値が規定された値(本実施例では「8」)以下であった場合には、ずらされた大当たりの付与確率が低下するように構成されている。従って、常時タッチセンサ16aを操作していないと、遊技者に不利益となるように構成することによって、遊技者に積極的にタッチセンサ16aを操作させることができる。よって、遊技者を意図的に遊技にのめりこませることで、遊技の興趣を向上させることができるのである。
レースリーチカウンタ33jは、変動表示の回数を計数して、計数した値が「50」に達した場合にずらされている大当たりを付与可能なレースリーチ(放出選択処理、図10参照)を実行させるためのカウンタである。このレースリーチカウンタ33jの値は、演出実行1メモリ33rに記憶される変動表示のデータが、演出実行エリア33qに書き込まれると共に、後述する放出フラグ33kがオフされている場合に「1」加算される(図10、S58参照)。一方、レースリーチカウンタ33jの値が「50」に達したと判断されて、レースリーチが実行される場合に、「0」クリアされるように構成されている(図10、S61参照)。このレースリーチカウンタ33jによって、50回の始動入賞によって行われる変動表示毎にレースリーチを実行することができる。
放出フラグ33kは、ずらされている大当たりを遊技者に付与する放出処理(図14参照)を実行させるためのフラグである。この放出フラグ33kは、50回の変動表示毎に行われるレースリーチ時に、馬体メモリ33hの値に応じて選択された放出テーブル32a(図5(a)参照)において放出抽選に当選した場合にオンされる(図13、S114参照)。逆に、この放出フラグ33kは、ずらされた大当たりを遊技者にすべて付与する場合、即ち、蓄越記憶カウンタ33dの値が「0」となった場合にオフされる(図14、S124参照)。放出抽選に当選した場合に放出フラグ33kをオンすることによって、1の大当たりの付与が終了した後も、遊技者に連続して大当たりを付与することができる。
ハズレリーチカウンタ33lは、ハズレリーチの発生を決定するためのカウンタである。このハズレリーチカウンタ33lの値に基づいて、変動表示において大当たりが発生しない場合に、変動表示の途中でリーチ表示を現出させてからハズレとなるハズレリーチとするか、リーチ表示を現出させない通常のハズレとするかが決定される。ハズレリーチカウンタ33lの値は、後述するカウンタ更新処理(図7、S23参照)によって、「0」〜「11」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(即ち、「11」)に達した後に再び「0」に戻される。
このハズレリーチカウンタ33lの値は、前記した単発乱数カウンタ33b及び蓄越乱数カウンタ33cの値と同様に図柄作動口12に球が入賞した始動入賞時に取得され、前記した単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、取得されたハズレリーチカウンタ33lの値が「7」である場合にハズレリーチの発生が確定する。このハズレリーチの発生時には、後述する変動パターンカウンタ33mの値に応じて芝リーチ、ダートリーチ又は坂路リーチのいずれかが選択されると共に(図5(C)参照、及び、図11のS81参照)、後述するカウンタ用バッファ33wに記憶されるハズレリーチ図柄(ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせ)が停止図柄コマンドに設定され(図11、S82参照)、そのハズレリーチ図柄が変動後の表示結果として現出する。なお、始動入賞時に取得されたハズレリーチカウンタ33lの値は、前記した単発乱数カウンタ33b等と共に、保留球カウンタ33aの値が示す演出実行1〜4メモリ33r〜33uに書き込まれて記憶される(図9、S44参照)。
変動パターンカウンタ33mは、LCD10のキャラクタ表示部10a及び図柄表示部10cで行われる図柄等の変動表示の変動パターン(リーチパターンを含む。以下、同様。)を決定するために参照されるカウンタである。この変動パターンカウンタ33mの値は、後述するカウンタ更新処理(図7、S23参照)において「0」〜「100」の範囲内で「1」ずつ加算されて更新され、最大値(即ち、「100」)に達した後に再び「0」に戻されるように構成されている。この変動パターンカウンタ33mの値は、後述する演出実行1メモリ33rに記憶されている変動表示のデータが演出実行エリア33qに書き込まれた場合に参酌され、その時点で後述するカウンタ用バッファ33wに記憶される変動パターンカウンタ33mの値に基づいて変動表示における変動パターンコマンドが設定される。
ここで、ハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生させる値であった場合、変動パターンカウンタ33mの値に応じて、ハズレリーチの種類が決定される。図5(c)を参照して具体的に説明すると、変動パターンカウンタ33mの値が「0」〜「10」の場合には坂路リーチが選択され、変動パターンカウンタ33mの値が「11」〜「40」の場合には芝リーチが選択され、変動パターンカウンタ33mの値が「41」〜「100」の場合にはダートリーチが選択されるように構成されている。よって、坂路リーチ、芝リーチ、ダートリーチの順に現出確率が高くなるように設定されていると共に、坂路リーチ、芝リーチ、ダートリーチの順に大当たりを付与する確率が低くなるように構成されている。
ハズレ図柄カウンタ33nは、ハズレ時にLCD10の図柄表示部10cに停止表示される図柄の組み合わせ(ハズレ図柄)を決定するためのカウンタである。このハズレ図柄カウンタ33nは、各カウンタが図柄表示部10cの左側、中央、右側の3つの表示領域に表示される図柄に対応付けられた3つの図柄カウンタで構成されている。ハズレ図柄カウンタ33nは、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図7、S26参照)によって「0」〜「9」まで1ずつ加算されて更新され、「9」に達した後に再び「0」に戻されるように構成されている。また、右側の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合には、次回の更新時に右側の図柄の図柄カウンタを「0」に更新すると共に中央の図柄の図柄カウンタを「1」加算して更新するように構成されている。また、同様に、中央の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合には、次回の更新時に中央の図柄の図柄カウンタを「0」に更新すると共に左側の図柄の図柄カウンタを「1」加算して更新するように構成されている。
このハズレ図柄カウンタ33nの値は、前記した単発乱数カウンタ33b等の値と同様に図柄作動口12に球が入賞した始動入賞時に取得され、前記した単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、ハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生させる値でない場合における変動表示の停止図柄は、ハズレ図柄カウンタ33nの値が停止図柄コマンドとして設定されることにより、LCD10の図柄表示部10cに表示される。
大当たり図柄カウンタ33oは、単発乱数カウンタ33bが大当たりのときにLCD10の図柄表示部10cに停止表示される大当たり図柄を決定するためのカウンタである。本実施例のパチンコ機Pにおいては、「0」〜「9」までの数字で構成された10種の図柄によってLCD10の図柄表示部10cで変動表示が行われ、LCD10の図柄表示部10cに表示される3つの図柄が同一の図柄で停止表示された場合に大当たりが発生する。大当たり図柄カウンタ33oの値は、後述するカウンタ更新処理(図7、S23参照)によって、大当たりを発生させる10種の図柄に対応した「0」〜「9」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(即ち、「9」)に達した後に再び「0」に戻されるように構成されている。
この大当たり図柄カウンタ33oの値は、前記した単発乱数カウンタ33b等と同様に図柄作動口12に球が入賞した始動入賞時に取得され、同時に取得された単発乱数カウンタ33bの値に基づいて大当たりが発生が確定すると、その大当たりを発生させる変動表示に対して停止表示される大当たり図柄として、大当たり図柄カウンタ33oの値が参照される。即ち、大当たり図柄カウンタ33oの値と同一の数字を3つ並べて組み合わせた図柄が停止図柄コマンドとして設定される(図11、S74参照)。なお、始動入賞時に取得された大当たり図柄カウンタ33oの値は、前記した単発乱数カウンタ33b等の値と共に、保留球カウンタ33aの値が示す演出実行1〜4メモリ33r〜33uに書き込まれて記憶される(図9、S44参照)。
大当たりフラグ33pは、大当たり中であることを認識するためのフラグである。この大当たりフラグ33pは、大当たりが発生する場合、即ち、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であった場合、又は、レースリーチカウンタ33jの値が「50」のときに実行されるレースリーチ時に、馬体メモリ33hの値に応じて選択された放出テーブル32a(図5(a)参照)において放出抽選に当選した場合にオンされる(図11のS76、又は、図13のS115参照)。大当たりフラグ33pがオンされると、遊技者に所定の遊技価値を付与するために、後述する大当たり処理(図7、S24参照)において大入賞口13aの開閉動作等が実行される。なお、大当たりフラグ33pは、大当たり終了時にオフされるように構成されている(図示せず)。
演出実行エリア33qは、LCD10で実行中の変動表示に対する単発乱数カウンタ33b、蓄越乱数カウンタ33c、ハズレリーチカウンタ33l、ハズレ図柄カウンタ33n及び大当たり図柄カウンタ33oの値を変動表示のデータとして記憶するためのエリアである。この演出実行エリア33qには、LCD10出変動表示の実行がなく、且つ、保留球カウンタ33aの値が「1」以上で保留中の変動表示がある場合に、保留中の変動表示のうち最初に書き込みが行われた演出実行1メモリ33rに記憶されている変動表示のデータが書き込まれる(図10、S55参照)。
演出実行1〜4メモリ33r〜33uは、保留中の変動表示に対する単発乱数カウンタ33b、蓄越乱数カウンタ33c、ハズレリーチカウンタ33l、ハズレ図柄カウンタ33n及び大当たり図柄カウンタ33oの値を変動表示のデータとして記憶するメモリである。この演出実行1〜4メモリ33r〜33uへの変動表示のデータの書き込みは、図柄作動口12に球が入賞した始動入賞時に実行される。また、本実施例における保留回数は最大4回であるので、4つの演出実行1〜4メモリ33r〜33uのいずれかに保留中のデータがある場合には、1回の変動表示毎に1つずつ演出実行エリア33qにデータが書き込まれて使用される。
また、演出実行1〜4メモリ33r〜33uへの変動表示の書き込みは、保留球カウンタ33aの値が示す演出実行1〜4メモリ33r〜33uに対して行われる。即ち、保留球カウンタ33aの値が「1」の場合には、演出実行1メモリ33rへ、保留球カウンタ33aの値が「2」の場合には演出実行2メモリ33sへ、・・・、保留球カウンタ33aの値が「4」の場合には演出実行4メモリ33uへ変動表示のデータが書き込まれる(図9、S44)。
バックアップエリア33vは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機Pの状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア33vへの書き込みは、NMI割込処理(図6参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア33vに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の初期化処理(図7参照)において実行される。
カウンタ用バッファ33wは、更新中のカウンタ値を一時的に記憶するための領域であり、始動入賞によって取得される各カウンタ33b〜33oのいずれかのカウンタの値は、更新される毎にカウンタ用バッファ33wに書き込まれて記憶される。また、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図7、S26参照)によってハズレ図柄カウンタ33nの値が更新された場合に、ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値(カウント値)となったとき、そのカウント値をハズレリーチの発生時に使用する値として記憶する。具体的には、ハズレ図柄カウンタ33nを構成する左側の図柄の図柄カウンタと右側の図柄の図柄カウントとが同一図柄を停止表示させるカウント値の組み合わせとなり、且つ、その図柄とは異なる図柄を中央の図柄の図柄カウンタが示している場合(例えば、左側、中央、右側の図柄の組み合わせが「767」や「151」等となっている場合)に、ハズレ図柄カウンタ33nのカウント値がハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値としてカウンタ用バッファ33wに記憶される。
かかるROM32及びRAM33を内蔵したMPU31は、バスライン34を介して入出力ポート35と接続されており、入出力ポート35は、第1種始動口スイッチ12aと、タッチセンサ16aと、電源基板50に設けられたクリアスイッチ50cと、払出用モータ等によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前述した図柄の変動表示の制御を行う表示用制御基板Dと、そのほか、他の入出力装置40(例えば、カード読取ユニット23)とにそれぞれ接続されている。なお、表示用制御基板Dは、スピーカ41から効果音の出力制御とランプ42等の点灯制御とを行う音声ランプ制御基板Lと接続されており、この音声ランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御される。
電源基板50は、パチンコ機Pの各部に電力を供給するための電源部50aと、停電監視回路50bと、クリアスイッチ50cとを備えている。停電監視回路50bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU31のNMI割込端子(図示せず)へ停電信号51を出力するための回路である。停電監視回路50bは、電源部50aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号51を主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力するように構成されている。この停電信号51の出力によって、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電の発生を認識し、停電時処理(主制御基板Cの場合は図6のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部50aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
クリアスイッチ50cは、主制御基板CのRAM33及び払出制御基板HのRAM(図示せず)にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ50cが押下された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、RAMクリア信号52が主制御基板C及び払出制御基板Hに出力され、それぞれのRAM33のデータがクリアされる。
次に、図6から図14に示すフローチャートを参照して、主制御基板Cで行われる各処理について説明する。図6は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア33vに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が断されると、停電信号51が主制御基板CのMPU31のNMI(Non Maskable Interrupt)割込端子(図示せず)へ出力される。MPU31は、NMI割込端子に停電信号51が入力されると、実行中の制御を中断して、図6のNMI割込処理を開始する。停電信号51が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能に電力供給されており、この所定時間内に、図6のNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、各レジスタ、I/O等の値をスタックエリアへ書き込み(S1)、更に、スタックポインタの値をバックアップエリア33vへ書き込んで(S2)、停電の発生等による電源断時のパチンコ機Pの状態を記憶する。そして、停電が発生したことを示す停電発生情報をバックアップエリア33vに書き込む(S3)。その後、主制御基板Cに応じてその他の停電処理を実行し(S4)、その後は、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図7は、パチンコ機Pの電源入後に主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア33vに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が切断される前の状態から実行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ50cが押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理(S18)を実行して、パチンコ機Pを初期化する。
メイン処理では、まず、割込を禁止し(S11)、スタックポインタを設定する(S12)。クリアスイッチ50cがオンされているか否かを確認し(S13)、オンされていなければ(S13:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S14)。この確認は、RAM33の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなけれバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S14:Yes)、処理をS15へ移行して、種制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。即ち、バックアップエリア33vからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ち、NMI割込発生前の状態に戻す(S15)。次に、スタックポインタの値を戻した後のスタックエリア、即ち、バックアップエリア33vへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア33vから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込み(S16)、その後、割込の状態を電源断前(停電前)の状態、即ち、NMI割込発生前の状態に戻し(S17)、NMI割込リターンを実行して、処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。
一方、S13の処理において、クリアスイッチ50cがオンされていたり(S13:Yes)、或いは、S14の処理において、バックアップが有効でなければ(S14:No)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S18)、各メモリやI/O等を初期化する。その後、タイマ割込等の各割込処理の設定を行って(S19)、割込が発生可能な状態にした上で、割込を許可する(S20)。
割込の許可後は、S21〜S27の各処理を所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。以下に、S21〜S27の各処理を説明する。
変動表示設定処理(S21)では、球が図柄作動口12へ入賞したか否かを確認した上で所定の処理が行われる。即ち、第1種始動口スイッチ12aのオンが確認された場合には、球が図柄作動口12へ入賞したものと判断して、その時の単発乱数カウンタ33bや、蓄越乱数カウンタ33c、ハズレリーチカウンタ33l、ハズレ図柄カウンタ33n、大当たり図柄カウンタ33oの各値が、保留球カウンタ33aの値が示す演出実行1〜4メモリ33r〜33uへ記憶される。
変動処理(S22)では、変動表示設定処理(S21)によって取得された各カウンタの値に基づいてコマンドを設定し、変動表示を実行するものであり、後述する保留球カウンタ減算処理(図10参照)は、この変動処理の中で実行される。
カウンタ更新処理(S23)では、単発乱数カウンタ33b、蓄越乱数カウンタ33c、ハズレリーチカウンタ33l、変動パターンカウンタ33m、大当たり図柄カウンタ33oの各カウンタの値を更新する。
大当たり処理(S24)では、大当たりか否かを大当たりフラグ33pによって判定し、大当たりである場合、即ち、大当たりフラグ33pがオンしている場合には、大入賞口13aの開放処理を行う。一方、大当たりでない場合には、該処理をスキップして、この処理を終了する。大入賞口13aの開放処理では、球が入賞し易いように大入賞口13aを所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放する。大入賞口13aの開放中に、球がVゾーン(図示せず)内を通過すると、継続権を成立させて、大入賞口13aの閉鎖後、再度、その大入賞口13aを所定時間(又は、球が10個入賞するまで)開放する。1の大当たりでは、この大入賞口13aの開閉動作を、最高で16回(16ラウンド)繰り返す。
各処理(S25)では、上記した処理以外の処理を実行するものであり、後述するタッチセンサ検出処理等がこの各処理内で実行される。
ハズレ図柄カウンタ更新処理(S26)では、ハズレ図柄カウンタ33nの値を更新する。ハズレ図柄カウンタ更新処理の終了後は、次のS21の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、そのハズレ図柄更新処理(S26)を繰り返し実行する。S21〜S25の各処理は定期的に実行する必要があるので、S27の処理において、前回のS21の処理の実行から所定時間(例えば、2ms)経過していれば(S27:Yes)、処理をS21へ移行する。一方、所定時間を経過していなければ(S27:No)、処理をS26へ移行して、ハズレ図柄カウンタ更新処理を繰り返す。ここで、S21〜S25の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS21の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用してハズレ図柄カウンタ更新処理(S26)を繰り返し実行することにより、1のメイン処理のループにおいてハズレ図柄カウンタ33nの値をランダムに更新することができる。
図8は、主制御基板Cのメイン処理の各処理(S25)の中で実行されるタッチセンサ検出処理のフローチャートである。このタッチセンサ検出処理は、遊技者がタッチセンサ16aを操作しているか否かに応じてモチベーションカウンタ33iの値を加減算する処理である。このタッチセンサ検出処理では、まず、タッチセンサ16aが10秒間オンされているか否かを確認する(S31)。確認の結果、タッチセンサ16aが10秒間オンされていれば(S31:Yes)、遊技者によりタッチセンサ16aが10秒間操作されたということなので、次に、モチベーションカウンタ33iの値が「10」か否かを確認する(S32)。モチベーションカウンタ33iの値が「10」でなければ(S32:No)、モチベーションカウンタ33iの値に「1」を加算して(S33)、このタッチセンサ検出処理を終了する。なお、S32の処理において、モチベーションカウンタ33iの値が「10」であれば(S32:Yes)、モチベーションカウンタ33iの値は既に最大値であるので、モチベーションカウンタ33iの値を加算することなく、即ち、S33の処理をスキップして、このタッチセンサ検出処理を終了する。
一方、S31の処理において、タッチセンサ16aが10秒間オンされていなければ(S31:No)、次に、モチベーションカウンタ33iの値が「0」か否かを確認する(S34)。確認の結果、モチベーションカウンタ33iの値が「0」でなければ(S34:No)、次に、タッチセンサ16aがオフされてから10秒が経過したか否かを確認する(S35)。タッチセンサ16aがオフされてから10秒経過していれば(S35:Yes)、遊技者がタッチセンサ16aを操作していないということなので、モチベーションカウンタ33iの値から「1」減算し、このタッチセンサ検出処理を終了する。なお、S34の処理においてモチベーションカウンタ33iの値が「0」である場合(S34:Yes)、又は、S35においてタッチセンサがオフされてから10秒が経過していない場合は(S35:No)、モチベーションカウンタ33iの値を減算すべき状況ではないので、S36の処理をスキップして、このタッチセンサ検出処理を終了する。
図9は、主制御基板Cのメイン処理の中で実行される変動表示設定処理(S21)のフローチャートである。この変動表示設定処理では、第1種始動口スイッチ12aが球を検出して、保留球カウンタ33aの値が「4」以上でない場合に、保留球カウンタ33aの値が示す演出実行1〜4メモリ33r〜33uに変動表示のデータを書き込むための処理である。
この変動表示設定処理(S21)では、まず、第1種始動口スイッチ12aが球を検出したか否かを確認する(S41)。第1種始動口スイッチ12aが球を検出していない場合は(S41:No)、この変動表示設定処理を終了する。
一方、S41の処理において、第1種始動口スイッチ12aが球を検出していれば(S41:Yes)、次に、保留球カウンタ33aの値が「4」以上であるか否かを確認する(S42)。保留球カウンタ33aの値が「4」以上であれば(S42:Yes)、変動表示の待機回数分設けられた演出実行1〜4メモリ33r〜33uに既に変動表示のデータが書き込まれているということなので、この変動表示設定処理を終了する。
一方、S42の処理において、保留球カウンタ33aの値が「4」未満であれば(S42:No)、変動表示のデータが待機回数分記憶されていないということなので、保留球カウンタ33aの値に「1」を加算して(S43)、第1種始動口スイッチ12aが球を検出したことによって取得される単発乱数カウンタ33b、蓄越乱数カウンタ33c、ハズレリーチカウンタ33l、ハズレ図柄カウンタ33n及び大当たり図柄カウンタ33oの値を変動表示のデータとして、保留球カウンタ33aの値が示す演出実行1〜4メモリ33r〜33uに書き込んで(S44)、この変動表示設定処理を終了する。
次に、図10を参照して、図7の変動処理(S22)の中で実行される保留球カウンタ減算処理について説明する。この保留球カウンタ減算処理により、LCD10で行われる変動表示が終了した場合、又は、大当たり遊技が終了した場合に、演出実行1メモリ33rに記憶されている変動表示のデータが演出実行エリア33qに書き込まれる。また、変動表示が50回行われる毎、即ち、レースリーチカウンタ33jの値が「50」に到達する毎に、それまでの変動表示の表示結果として現出したリーチ表示に応じて、蓄越記憶カウンタ33dに記憶されているずらされた大当たりが付与されるか否かの放出抽選が行われる。更に、その放出抽選に当選した場合、即ち、放出フラグ33kがオンされた場合には、蓄越記憶カウンタ33dに記憶されているずらされた大当たりが遊技者に連続して付与される。
この保留球カウンタ減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S51)。確認の結果、変動表示中であれば(S51:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S51:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S52)。大当たり中であれば(S52:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S52:No)、保留球カウンタ33aの値が「1」以上であるか否かを確認し(S53)、保留球カウンタ33aの値が「1」以上であれば(S53:Yes)、処理をS54へ移行する。なお、S53の処理において、保留球カウンタ33aの値が「1」以上でない場合、即ち、保留球カウンタ33aの値が「0」である場合は(S53:No)、演出実行1メモリ33rに変動表示のデータは記憶されていないので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S54の処理では、保留球カウンタ33aの値から「1」減算して(S54)、演出実行1メモリ33rに記憶されている変動表示のデータを演出実行エリア33qに書き込み(S55)、演出実行2〜4メモリ33s〜33uに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい演出実行1〜3メモリ33r〜33tへシフトする(S56)。次に、放出フラグ33kはオンしているか否かを確認する(S57)。確認の結果、放出フラグ33kがオンされていなければ(S57:No)、次に、レースリーチカウンタ33jの値に「1」を加算して(S58)、そのレースリーチカウンタ33jの値が「50」か否かを確認する(S59)。確認の結果、レースリーチカウンタ33jの値が「50」でなければ(S59:No)、通常の変動表示を実行するべく、通常選択処理を行う(S60)。一方、レースリーチカウンタ33jの値が「50」である場合には(S59:Yes)、レースリーチカウンタ33jの値を「0」クリアした後に(S61)、ずらされている大当たりの放出抽選を行うべく、図12において後述する放出選択処理を実行する(S62)。
図11は、通常選択処理(S60)のフローチャートである。この通常選択処理では、LCD10で行われる変動表示のコマンドを設定すると共に、設定したコマンドを表示用制御基板Dへ送信する処理である。
この通常選択処理(S60)では、まず、演出実行エリア33qに記憶される蓄越乱数カウンタ33cの値が大当たりの権利を発生する値であるか否かを確認する(S71)。確認の結果、蓄越乱数カウンタ33cの値が大当たりの権利を発生する値である場合には(S71:Yes)、その大当たりの権利を記憶しておくために、蓄越記憶カウンタ33dの値に「1」を加算して(S72)、処理をS73へ移行する。一方、蓄越乱数カウンタ33cの値が大当たりの権利を発生する値でない場合には(S71:No)、S72の処理をスキップして、処理をS73へ移行する。
S73の処理では、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S73)。確認の結果、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値である場合には(S73:Yes)、大当たりを変動表示を設定するために、演出実行エリア33qに記憶される大当たり図柄カウンタ33oの値に応じた停止図柄コマンドを設定して(S74)、変動パターンカウンタ33mの値に応じて、芝リーチ、ダートリーチ又は坂路リーチのいずれかのリーチパターンを含む大当たりの変動パターンコマンドを設定し(S75)、大当たりをフラグ33pをオンして(S76)、処理をS77へ移行する。
S77の処理では、S75で設定された変動パターンコマンドのリーチパターンに応じて芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gの値を更新して(S77)、更新された芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値に応じて馬体メモリ33hの値を更新し(S78)、設定した各コマンドを表示用制御基板Dへ送信して(S79)、この通常選択処理を終了する。なお、通常選択処理の終了後は、図10に示す保留球カウンタ減算処理も終了する。
一方、S73の処理において、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値でない場合には(S73:No)、ハズレの変動表示を設定するため、次に、演出実行エリア33qに記憶されているハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生する値であるか否かを確認する(S80)。確認の結果、ハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生する値である場合には(S80:Yes)、ハズレリーチの変動表示を設定するために、変動パターンカウンタ33mの値に応じて、芝リーチ、ダートリーチ又は坂路リーチのいずれかのリーチパターンを含むハズレの変動パターンコマンドを設定し(S81)、カウンタ用バッファ33wに記憶されているハズレリーチ時に現出し得る停止図柄コマンドを設定して(S82)、処理をS77へ移行する。
なお、S80の処理において、演出実行エリア33qに記憶されているハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生する値でない場合には(S80:No)、ハズレの変動表示を設定するために、演出実行エリア33qに記憶されるハズレ図柄カウンタ33nの値に応じた停止図柄コマンドを設定し(S83)、変動パターンカウンタ33mの値に応じてハズレの変動パターンコマンドを設定して(S84)、処理をS79へ移行する。
従って、本実施例のパチンコ機Pでは、レースリーチカウンタ33jの値が「50」に達するまで、LCD10で行われる変動表示において通常選択処理(S60)が実行されるように構成されており、この通常選択処理で選択されたリーチパターンの現出回数を各メモリ33e〜33gで記憶するように構成されている。各メモリ33e〜33gに記憶された値は、レースリーチカウンタ33jの値が「50」に達した場合に実行されるレースリーチ、即ち、放出選択処理(図10、S62参照)に置いて参酌され、参酌された値に応じてずらされた大当たりの放出抽選が行われる。
図12は、放出選択処理(S62)のフローチャートである。前記したようにこの放出選択処理は、レースリーチカウンタ33jの値が「50」となった場合に実行され、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値に応じて、蓄越記憶カウンタ33dに記憶されているずらされた大当たりを付与するか否かの放出抽選を行うための処理である。本実施例では、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gにそれぞれ値が記憶されている状態、即ち、芝リーチ、ダートリーチ及び坂路リーチが満遍なく現出結果として記憶されている状態であると共に、各メモリ33e〜33gに記憶されている値が多ければ多いほど、ずらされた大当たりを付与し易くなるように構成されている。また、坂路リーチ、芝リーチ、ダートリーチの順にリーチパターンに重み付けをし、現出し難い坂路リーチや芝リーチが現出していれば遊技者にとって有利な状態となるように構成することによって、遊技の幅を設けている。
この放出選択処理(S62)では、まず、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上であるか否かを確認する(S91)。確認の結果、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上である場合には(S91:Yes)、馬体メモリ33hと、ずらされた大当たりが1番付与し易い放出テーブル32aのモードAとを参照して放出抽選を行う(S92)。
一方、S91の処理において、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれが「1」以上でない場合(S91:No)、即ち、いずれかのメモリ33e〜33gの値が「0」である場合には、次に、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上であるか否かを確認する(S94)。確認の結果、芝各メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上であれば(S94:Yes)、次に、坂路メモリ33gの値が「1」以上であるか否かを確認する(S95)。確認の結果、坂路メモリ33gの値が「1」以上である場合には(S95:Yes)、モチベーションカウンタ33iの値が「8」以上か否かを確認し(S96)、モチベーションカウンタ33iの値が「8」以上であれば(S96:Yes)、馬体メモリ33hと、ずらされた大当たりが2番目に付与し易い放出テーブル32aのモードBとを参照して放出抽選を行う(S97)。なお、S95の処理において坂路メモリ33gの値が「1」以上でない場合(S95:No)、又は、S96の処理においてモチベーションカウンタ33iの値が「8」以上でない場合には(S96:No)、馬体メモリ33hと、ずらされた大当たりが3番目に付与し易い放出テーブル32aのモードCとを参照して放出抽選を行う(S98)。
一方、S94の処理において、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上でない場合は(S94:No)、次に、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか1種のメモリの値が「1」以上か否かを確認する(S99)。確認の結果、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか1種のメモリの値が「1」以上であれば(S99:Yes)、次に、坂路メモリ33gの値が「1」以上か否かを確認する(S100)。坂路メモリ33gの値が「1」以上である場合には(S100:Yes)、モチベーションカウンタ33iの値が「8」以上であるか否かを確認して(S101)、モチベーションカウンタ33iの値が「8」以上であれば(S101:Yes)、馬体メモリ33hと、ずらされた大当たりを4番目に付与し易い放出テーブル32aのモードDとを参照して放出抽選を行う(S102)。
一方、S100の処理において、坂路メモリ33gの値が「1」以上でなければ(S100:No)、次に、芝メモリ33eの値が「1」以上であるか否かを確認する(S103)。確認の結果、芝メモリ33eの値が「1」以上であれば(S103:Yes)、馬体メモリ33hと、ずらされた大当たりが5番目に付与し易い放出テーブル32aのモードEとを参照して放出抽選を行う(S104)。なお、S103の処理において、芝メモリ33eの値が「1」以上でない場合(S103:No)、即ち、ダートメモリ33fの値のみ「1」以上である場合は、馬体メモリ33hと、最もずらされた大当たりが付与され難い放出テーブル32aのモードFとを参照して放出抽選を行う(S105)。また、S101の処理において、モチベーションカウンタ33iの値が「8」以上でない場合には(S101:No)、処理をS104へ移行する。
S92、S97、S98、S102、S104若しくはS105において放出抽選を行った後、又は、S99の処理において芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか1種のメモリの値が「1」以上でない場合は(S99:No)、放出抽選の当否を判定するために、放出当否処理(S93)を行う。
図13は、放出当否処理(S93)のフローチャートである。この放出当否処理では、馬体メモリ33hと放出テーブル32aとを参照して行われた放出抽選が当選したか否かを判別すると共に、その当否に応じて変動表示(レースリーチ)のコマンドを設定する処理である。
この放出当否処理(S93)では、まず、演出実行エリア33qに記憶されている単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S111)。確認の結果、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値である場合には(S111:Yes)、その大当たりを保障するために、蓄越記憶カウンタ33dの値に「1」を加算し(S112)、処理をS113へ移行する。レースリーチ時においても、単発乱数カウンタ33bにおける大当たりを保障することで、遊技者に不利益を被らせることなく、適切な遊技を提供することができる。
S113の処理では、図12の放出選択処理(S62)において、放出抽選に当選したか否かを確認する(S113)。確認の結果、放出抽選に当選していれば(S113:Yes)、放出フラグ33kをオンして(S114)、大当たりフラグ33pをオンする(S115)。そして、演出実行エリア33qに記憶される大当たり図柄カウンタ33oの値に応じた停止図柄コマンドを設定すると共に(S116)、変動パターンカウンタ33mの値に応じてレースリーチ時における放出当選の変動パターンコマンドを設定して(S117)、設定したコマンドを表示用制御基板Dへ送信し(S118)、この放出当否処理を終了する。なお、この放出当否処理が終了すると、図12に示す放出選択処理(S62)が終了すると共に、図10に示す保留球カウンタ減算処理が終了する。
一方、S113の処理において、放出抽選に当選していない場合は(S113:No)、演出実行エリア33qに記憶されるハズレ図柄カウンタ33nの値に応じた停止図柄コマンドを設定すると共に(S119)、変動パターンカウンタ33mの値に応じてレースリーチ時における放出ハズレの変動パターンコマンドを設定し(S120)、処理をS118へ移行する。
この放出当否処理によって、放出フラグ33kがオンされ、大当たりが終了した後の変動表示において、放出処理(図10、S63参照)が実行されて、ずらされている大当たりが連続して遊技者に付与される。
図14は、放出処理(S63)のフローチャートである。この放出処理によって、蓄越記憶カウンタ33dに記憶されるずらされた大当たりが遊技者に付与される。
この放出処理(S63)では、まず、演出実行エリア33qに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であるか否か、即ち、単発乱数カウンタ33b又は蓄越乱数カウンタ33cの値が大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S121)。確認の結果、単発乱数カウンタ33b又は蓄越乱数カウンタ33cの値が大当たりを発生する値でなければ(S121:No)、ずらされている大当たりを付与するために、まず、蓄越記憶カウンタ33dの値から「1」を減算し(S122)、次に、蓄越記憶カウンタ33dの値が「1」以上か否かを確認する(S123)。蓄越記憶カウンタ33dの値が「1」以上でなければ(S123:No)、ずらされた大当たりは記憶されていないということなので、以後の変動表示において放出処理を選択しないように放出フラグ33kをオフして(S124)、処理をS125へ移行する。一方、S123の処理において、蓄越記憶カウンタ33dの値が「1」以上である場合には(S123:Yes)、少なくとも1のずらされた大当たりが存在するということなので、次の変動表示においてもずらされた大当たりを付与するためにS124の処理をスキップして、処理をS125へ移行する。
なお、S121の処理において、演出実行エリア33qに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合には(S121:Yes)、その大当たりを保障するために、蓄越記憶カウンタ33dの値を減算しないようにS122〜S124の処理をスキップして、処理をS125へ移行する。レースリーチ時においても、単発乱数カウンタ33bにおける大当たりを保障することで、遊技者に不利益を被らせることなく、適切な遊技を提供することができる。
S125からの処理では、大当たりフラグ33pをオンして(S125)、演出実行エリア33qに記憶される大当たり図柄カウンタ33oの値に応じた停止図柄コマンドを設定すると共に(S126)、変動パターンカウンタの値に応じた大当たりの変動パターンコマンドを設定し(S127)、設定した各コマンドを表示用制御基板Dへ送信して(S128)、この放出処理(S63)を終了する。なお、放出処理の終了後は、図10に示す保留球カウンタ減算処理も終了する。
以上説明したように、本実施例のパチンコ機Pでは、満遍なく種々のリーチパターンを現出させた状態でレースリーチに望むことによって、多くの遊技価値が付与され易くなるように構成されている。よって、複数の変動表示で積み重ねたリーチパターンの現出状態が、50回の変動表示毎に行われるレースリーチにおいて、ずらされた大当たりの付与抽選に反映させることができる。このため、遊技者は、高い遊技価値が付与され得るレースリーチのみにかかわらず、レースリーチ以外の複数の変動表示の表示結果に対しても高い集中力を維持することができる。従って、継続した遊技においても遊技者の集中力を高く維持することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記第1条件は、略定期的に成立するように構成されると共に、前記第2条件は、無作為に成立するように構成されていることを特徴とする遊技機1。第1条件を略定期的に成立させると共に、第2条件を無作為に成立させることで、無作為に実行される第2動的表示の実行時において、略定期的に実行されていた第1動的表示の既出態様に応じて所定の遊技価値の付与の選択率を切り替えるように構成する。従って、略定期的に実行される第1動的表示の既出態様を、無作為に実行される第2動的表示時の所定の遊技価値の付与抽選において反映させることができる。よって、遊技者は、無作為に実行される第2動的表示が実行されるまでに、略定期的に実行される第1動的表示の既出態様を所定の遊技価値が付与され易い状態に遷移されることを期待しながら遊技を行うことで、たとえ第1動的表示自体が所定の遊技価値を付与しない場合でも第1動的表示の現出によって興趣を得ることができるので、新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者に遊技を継続させることで、遊技場の利益を増大させることができる。なお、所定表示結果とは、例えば、遊技者に所定の遊技価値の付与を示唆する表示結果等が例示される。
遊技機1において、前記制御手段は、前記動的表示の回数を計数する動的回数記憶手段と、所定条件の成立に基づいてランダムに値を取得する無作為抽出手段とを備え、前記第1動的実行手段は、前記動的回数記憶手段に記憶される値が第1所定値に達する場合に前記第1動的表示を実行するものであると共に、前記第2動的実行手段は、前記無作為抽出手段によって取得された値が第2所定値である場合に前記第2動的表示を実行するものであることを特徴とする遊技機2。第1動的実行手段は、動的回数記憶手段の値が第1所定値に達する場合、即ち、動的表示が第1所定回数行われる場合に第1動的表示を実行するように構成されている。また、第2動的実行手段は、無作為抽出手段によって取得される値が第2所定値である場合に第2動的表示を実行するように構成されている。よって、第1所定回数毎に略定期的に実行される第1動的表示の既出態様を無作為に実行される第2動的表示の抽選において反映させることができるように構成されている。従って、継続した遊技により遊技者に遊技価値を付与可能に構成することによって、新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者に遊技を継続させることで、遊技場の利益を増大させることができる。
請求項1記載の遊技機において、前記第1条件は、無作為に成立するように構成されると共に、前記第2条件は、略定期的に成立するように構成されていることを特徴とする遊技機3。第1条件を無作為に成立させると共に、第2条件を略定期的に成立させることで、略定期的に実行される第2動的表示の実行時において、無作為に実行されていた第1動的表示の既出態様に応じて所定の遊技価値の付与の選択率を切り替えるように構成する。従って、無作為に実行される第1動的表示の既出態様を、略定期的に実行される第2動的表示時の所定の遊技価値の付与抽選において反映させることができる。よって、遊技者は、略定期的に実行される第2動的表示が実行されるまでに、無作為に実行される第1動的表示の既出態様を所定の遊技価値が付与され易い状態に遷移されることを期待しながら遊技を行うことで、たとえ第1動的表示自体が所定の遊技価値を付与しない場合でも第1動的表示の現出によって興趣を得ることができるので、新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者に遊技を継続させることで、遊技場の利益を増大させることができる。
遊技機3において、前記制御手段は、前記動的表示の回数を計数する動的回数記憶手段と、所定条件の成立に基づいてランダムに値を取得する無作為抽出手段とを備え、前記第1動的実行手段は、無作為抽出手段によって取得された値が第3所定値である場合に前記第1動的表示を実行するものであると共に、前記第2動的実行手段は、前記動的回数記憶手段が第4所定値に達した場合に前記第2動的表示を実行するものであることを特徴とする遊技機4。第1動的実行手段は、無作為抽出手段によって取得される値が第3所定値である場合に第1動的表示を実行するように構成されている。また、第2動的実行手段は、動的回数記憶手段の値が第4所定値に達する場合、即ち、動的表示が第4所定回数行われる場合に第2動的表示を実行するように構成されている。よって、無作為に実行される第1動的表示の既出態様を、第4所定回数毎に実行される第2動的表示の抽選において反映させることができるように構成されている。従って、継続した遊技により遊技者に遊技価値を付与可能に構成することによって、新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者に遊技を継続させることで、遊技場の利益を増大させることができる。
請求項1記載の遊技機において、前記第1条件及び第2条件は、無作為に成立するように構成されていることを特徴とする遊技機5。第1条件及び第2条件を無作為に成立させることで、無作為に実行される第2動的表示の実行時において、無作為に実行されていた第1動的表示の既出態様に応じて所定の遊技価値の付与の選択率を切り替えるように構成する。従って、無作為に実行される第1動的表示の既出態様を、無作為に実行される第2動的表示時の所定の遊技価値の付与抽選において反映させることができる。よって、遊技者は、無作為に実行される第2動的表示が実行されるまでに、無作為に実行される第1動的表示の既出態様を所定の遊技価値が付与され易い状態に遷移されることを期待しながら遊技を行うことで、たとえ第1動的表示自体が所定の遊技価値を付与しない場合でも第1動的表示の現出によって興趣を得ることができるので、新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者に遊技を継続させることで、遊技場の利益を増大させることができる。
遊技機5において、前記制御手段は、所定条件の成立に基づいてランダムに値を取得する第1無作為抽出手段と、同じく所定条件の成立に基づいてランダムに値を取得する第2無作為抽出手段とを備え、前記第1動的実行手段は、前記第1無作為抽出手段によって取得された値が第5所定値である場合に前記第1動的表示を実行するものであると共に、前記第2動的実行手段は、前記第2無作為抽出手段によって取得された値が第6所定値である場合に前記第2動的表示を実行するものであることを特徴とする遊技機6。第1動的実行手段は、第1無作為抽出手段によって取得される値が第5所定値である場合に第1動的表示を実行するように構成されている。また、第2動的実行手段は、第2無作為抽出手段によって取得される値が第6所定値である場合に第2動的表示を実行するように構成されている。よって、無作為に実行される第1動的表示の既出態様を無作為に実行される第2動的表示の抽選において反映させることができるように構成されている。従って、継続した遊技により遊技者に遊技価値を付与可能に構成することによって、新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者に遊技を継続させることで、遊技場の利益を増大させることができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から6のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記第1動的表示の既出態様を記憶する動的状態記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機7。従来、遊技者は特別遊技状態が示唆可能な動的表示(例えば、リーチ表示)が現出しても、遊技者の経験等に応じて、その動的表示が特別遊技状態を期待できる確率が低いと判断された場合は、遊技者はその動的表示で特別遊技状態は付与され難いと認識して興醒めしてしまい、集中力を低下させてしまいかねなかった。そこで、制御手段は、動的状態記憶手段によって、第1動的表示の既出態様を記憶しておき、その既出態様に応じて第2動的表示において特別遊技状態を付与可能に構成する。よって、特別遊技状態を期待できる確率が低い動的表示が現出したとしても遊技者の集中力を高く維持することができるので、遊技者の興趣を低下させることなく、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機7において、前記動的状態記憶手段は、前記第1動的表示の既出回数を記憶するものであることを特徴とする遊技機8。
遊技機7において、前記動的状態記憶手段は、前記第1動的表示の既出表示内容を記憶するものであることを特徴とする遊技機9。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から9のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記第1動的表示において、予め定めた表示結果が現出した場合に遊技者に前記所定の遊技価値を付与するものであることを特徴とする遊技機10。第1動的表示において、予め定めた表示結果が現出した場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与するように構成する。よって、遊技者は第1動的表示が実行されている場合でも特別遊技状態を期待することができるので、遊技にバリエーションを設け、遊技の興趣を向上させることができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から10のいずれかにおいて、前記第1動的表示は、前記特別遊技状態の付与を示唆する興趣変動であることを特徴とする遊技機11。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から11のいずれかにおいて、前記第2動的表示は、前記特別遊技状態の付与を示唆する興趣変動であることを特徴とする遊技機12。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機13。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機14。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機15。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。