〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るサーバ装置を示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成が本発明の範囲を限定するものではない。
このサーバ装置2Aは本開示のサーバ装置の一例である。このサーバ装置2Aでは複数のブレードサーバを含み、2以上のブレードサーバ間通信として無線信号の送信、受信または通過を行う。無線信号にはたとえば、ミリ波、マイクロ波などの電波が用いられる。このサーバ装置2Aでは複数のブレードサーバとして8組のブレードサーバ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7、4−8が設置されている。このような複数のブレードサーバ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7、4−8により、サーバ装置2Aで行われるサーバ処理を分散して処理し、パケット処理などのデータ処理の高速化を図ることができる。これらブレードサーバ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7、4−8はサーバラック5に内蔵されている。サーバラック5は、サーバ装置2Aの筐体の一例である。
ブレードサーバ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7、4−8の通信経路には第1の通信路6と、高速通信路である第2の通信路8とが含まれる。各通信路6、8は、この実施の形態では、無線信号の送受方向は双方向である。この場合、ブレードサーバ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7、4−8は、通信路6を媒介として直列に接続されている。また、ブレードサーバ4−1、4−8は通信路8を媒介として直列に接続されている。
端部側のブレードサーバ4−1、4−8には、無線部10、第1のウェーブガイド12、第2のウェーブガイド14が含まれている。中間側の各ブレードサーバ4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7には、無線部10、第1のウェーブガイド12−1、12−2、第2のウェーブガイド14が含まれている。
無線部10は信号処理部の一例であり、通信路6を媒介として送受される無線信号にパケット処理などの信号処理を施す。ウェーブガイド12、12−1、12−2、14はたとえば、導波路である。
この実施の形態の場合、ブレードサーバ4−1、4−8のウェーブガイド12、14では、無線部10により信号処理された無線信号が送信され、または受信される。同様に、ブレードサーバ4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7のウェーブガイド12−1、12−2では、無線部10により信号処理された無線信号が送信され、または受信される。これに対し、ブレードサーバ4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7のウェーブガイド14では、無線部10により信号処理されていない無線信号が送信され、または受信される。つまり、通信路6側では無線部10による信号処理を伴うのに対し、通信路8側ではその信号処理に無関係である。
このように一例である8組のブレードサーバ4−1、4−2・・・4−8が通信路6および通信路8を媒介としてリング状(つまり周回状)に接続され、無線接続によるトーラス構成となっている。そして、中間に位置するブレードサーバ4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7のウェーブガイド14では、信号処理を伴わない無線信号の送信または受信が可能である。
このように1列に配列されたブレードサーバ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6、4−7、4−8は、ウェーブガイド12、12−1、12−2により接続されている。さらに、端部のブレードサーバ4−1、4−8は同様にウェーブガイド14により接続され、ブレードサーバ4−1、4−8間には、通信路6とは別経路の高速通信路である通信路8が形成されている。
斯かる構成では、ブレードサーバ4−1とブレードサーバ4−8との間の通信では、隣接するブレードサーバ間通信を経ることなく、通信路8を介して即座に行うことができる。ブレードサーバ4−1から通信路6を媒介としてブレードサーバ4−8に到達する場合には8ホップの遅延時間を要するのに対し、通信路8では2ホップである。つまり、左端と右端の通信で済む。8組のブレードサーバ4−1、4−2・・・4−8では8ホップの遅延時間を2ホップに短縮することができる。よって、通信速度の高速化が図られる。
通信路8では他のブレードサーバ側の無線部10の信号処理を伴わないので、信号処理による遅延時間も短縮することができる。これも、通信速度の高速化に寄与する。したがって、サーバ装置2Aの信号処理が高速化される。
図2は、サーバ装置2Aの変形例を示している。図1に示すサーバ装置2Aでは、通信路6に対して通信方向が双方向の通信路8を含んでいる。これに対し、図2に示すサーバ装置2Bでは、通信路6とともに、送受方向が一方向の2つの高速通信路として通信路8−1、8−2が含まれている。つまり、通信路8−1の送受方向は図中、左方向であれば、通信路8−2の送受方向は右方向の一方向である。この場合、通信路8−1は各ウェーブガイド14−1で構成されている。通信路8−2は各ウェーブガイド14−2で構成される。
斯かる構成では、端部のブレードサーバ4−1、4−8では、送信方向と受信方向に分けて別経路、一方通行の高速通信路として通信路8−1、8−2を備えたことにより、双方の同時使用が可能である。右端部から左端部に通信を行っている最中に逆方向の通信が行える。つまり、通信路8−1側で左方向に無線信号が伝送されている場合には、通信路8−2を利用して右方向に無線信号を伝送できる。同時に通信路8−1、8−2を異なる方向の通信に利用できるので、通信の効率化とともに高速化が図られる。
<第1の実施の形態の効果>
(1) サーバラック5内において、ブレードサーバ間で無線通信を行う場合、通信路6に加え、パケット処理をしない別の通信路8の併設により、複数のブレードサーバをトーラス方式の通信経路に構成できる。これによって、ブレードサーバ間の通信速度を高速化できる。
(2) トーラス方式としたことにより、ブレードサーバ間通信の遅延時間を2分の1以下に抑えることができる。1つのブレードサーバを1個のノードに見立てると、各ノードが円状に繋がる方式(トーラス方式)によれば、ネットワーク上の遅延を抑制することができる。つまり、左端のブレードサーバ4−1と右端のブレードサーバ4−8が通信路8で接続されているので、通信速度が高速化される。
(3) 斯かる構成ではたとえば、図3のAに示すように、ブレードサーバ4−4とブレードサーバ4−5の間で輻輳が生じた場合に、通信路8(図1)または通信路8−1、8−2(図2)で通信が可能であり、通信の輻輳を回避することができる。つまり、通信経路の冗長度や信頼性が高められる。
(4) 斯かる構成ではたとえば、図3のBに示すように、ブレードサーバ4−4が故障した場合、通信路8(図1)または通信路8−1、8−2(図2)での通信が可能である。つまり、通信の冗長度や信頼性が高められる。
〔第2の実施の形態〕
図4は、第2の実施の形態に係るサーバ装置2Aを示している。この実施の形態は図1に示す構成に対応しており、図1と同一部分には同一符号を付してある。図4に示す構成は一例であり、斯かる構成が本発明の範囲を限定するものではない。
このサーバ装置2Aでは、無線通信により接続される複数のブレードサーバ4−1、4−2、4−3・・・4−nを備えている。各ブレードサーバ4−1、4−2、4−3・・・4−nは、双方向の通信路6により接続されている。ブレードサーバ4−1とブレードサーバ4−nは双方向の通信路8により接続されている。左端側のブレードサーバ4−1と右端側のブレードサーバ4−nとの間には複数のブレードサーバ4−2、4−3・・・が介在している。そこで、左端のブレードサーバ4−1と、右端のブレードサーバ4−nとに挟まれているブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1は以下、中間ブレードサーバ4−Mと称する。
<左端のブレードサーバ4−1>
図5のAは、左端のブレードサーバ4−1の一例を示している。このブレードサーバ4−1は、信号処理であるパケット処理を行っている。このブレードサーバ4−1の筐体16には、プリント基板18が設置されている。プリント基板18は回路基板の一例である。このプリント基板18には既述の無線部10、ウェーブガイド12、14が設置されている。ウェーブガイド12は通信路6側であり、ウェーブガイド14は通信路8側である。無線信号である送受信電波がウェーブガイド12またはウェーブガイド14を通して伝送される。
無線部10には、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuit )22、プロセッサ24(図7)およびマイクロストリップライン(MSL:Micro Strip Line:マイクロストリップ線路)26が含まれる。
MMIC22は無線信号の送受信部の一例であり、無線信号から伝送情報の検出や、伝送すべき情報による搬送信号の変調などの信号処理を行う。このMMIC22はたとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )回路で構成される。
プロセッサ24は、MMIC22から受けた信号にパケット処理などの信号処理を行う。このプロセッサ24は信号処理部の一例であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit )が用いられる。
MSL26は、MMIC22と電気信号−電波変換素子28との間で信号を伝送する
信号ラインである。このMSL26はたとえば、プリント基板18上に形成された信号伝送路の一例である。
ウェーブガイド12、14にはたとえば、導波路が用いられ、この導波路の始端または終端には電気信号−電波変換素子28が備えられている。電気信号−電波変換素子28にはたとえば、パッチアンテナなどのアンテナが用いられる。電気信号−電波変換素子28には電気信号を電波に変換できるアンテナであればよく、パッチアンテナ以外のアンテナでもよい。
図5のBは、左端のブレードサーバ4−1に代えて設置されるブレード40−1の一例を示している。このブレード40−1は、無線信号である送受信電波の折り返しに用いられる。このブレード40−1は、信号折返し手段であり、つまり信号通過手段の一例である。ブレード40−1は、折返し通信路9を備える。この折返し通信路9は通信路8と同様に、高速通信路の一例である。この折返し通信路9は導波路で構成すればよい。このようなブレード40−1を備えることにより、既述のブレードサーバ4−2と右端側のブレードサーバ4−nとの高速通信が可能である。
なお、ブレード40−1は、信号折返し機能を備えたブレードサーバとして構成してもよい。
<右端のブレードサーバ4−n>
図6のAは、右端のブレードサーバ4−nの一例を示している。このブレードサーバ4−nは、信号処理であるパケット処理を行っている。ブレードサーバ4−nの構成は、ブレードサーバ4−1と同様であるので、同一符号を付し、その説明を割愛する。
図6のBは、右端のブレードサーバ4−nに代えて設置されるブレード40−nの一例を示している。このブレード40−nは、無線信号である送受信電波の折り返しに用いられる。このブレード40−nの構成は左端側の構成(図5のB)と同様であるので、同一符号を付し、その説明を割愛する。
<中間ブレードサーバ4−M(=4−2、4−3・・・4−n−1)>
図7は、中間ブレードサーバ4−Mを示している。このブレードサーバ4−Mは、既述のブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1のいずれかに用いられる。
この中間ブレードサーバ4−Mには双方向の通信路6とともに、双方向の高速通信路として通信路8が含まれる。この中間ブレードサーバ4−Mの筐体16には、プリント基板18が設置されている。プリント基板18は回路基板の一例である。このプリント基板18には、無線部10、ウェーブガイド12−1、12−2およびウェーブガイド14−1、14−2が設置されている。通信路6にはウェーブガイド12−1、12−2が設置され、通信路8にはウェーブガイド14−1、14−2が設置されている。つまり、無線信号である送受信電波がウェーブガイド12−1、12−2またはウェーブガイド14−1、14−2を通して伝送される。
無線部10には、MMIC22、プロセッサ24およびMSL26が含まれ、プロセッサ24は、MMIC22から受けた信号にパケット処理などの信号処理を行う。このプロセッサ24は信号処理部の一例であり、たとえば、CPUが用いられる。ウェーブガイド12−1、12−2にはたとえば、導波路が用いられ、この導波路の始端または終端には電気信号−電波変換素子28が備えられている。電気信号−電波変換素子28にはたとえば、パッチアンテナなどのアンテナが用いられる。
MSL26は、MMIC22と電気信号−電波変換素子28との間で信号を伝送する。
そして、通信路8のウェーブガイド14−1、14−2のそれぞれに増幅器30が設置されている。各増幅器30はウェーブガイド14−1、14−2を伝送する無線信号を増幅し、通信路8で減衰する信号レベルの減衰分を補う。つまり、各増幅器30は、パケット処理などの信号処理を行わずに、単純に信号増幅のみを行う。したがって、増幅器30では、信号通過の際、信号増幅のための遅延時間を伴う。しかしながら、伝送の遅延時間は、増幅器30の通過分だけであり、信号処理を伴う通信路6側でのデータ処理による伝送遅延と比較すれば、極僅少な量である。つまり、通信路8が高速通信が可能な通信路であり、高速通信路となる。
図8は、中間ブレードサーバ4−Mの変形例を示している。このブレードサーバ4−Mは、図8に示す構成としてもよい。この中間ブレードサーバ4−Mでは、通信路8側のウェーブガイド14−1、14−2(図7)を単一のウェーブガイド14とした場合である。つまり、双方向の別の通信路8が設置されている。この通信路8はたとえば、無線信号である電波を伝送する導波路32を用いればよい。つまり、ウェーブガイド14は無線信号の通過のみに用いられる。
図9は、中間ブレードサーバ4−Mの他の変形例を示している。この中間ブレードサーバ4−Mは、各導波路をホーン型に置き換えたものである。ブレードサーバを実際に挿入する際には、機械的な位置ズレが生じる可能性が高く、それにともなって、隣り合うブレードサーバ同士の導波路もお互いにズレが生じる可能性が高くなる。位置ズレによる無線通信のロスを無くすためにホーン型にしたものである。図面には示してないが、左右端のブレードサーバの導波路も同様にすることも可能である。
<サーバ装置2Aの構成例1>
図10は、サーバ装置2Aの構成例1を示している。この構成例1では、左端側のブレードサーバ4−1に図5のAに示すブレードサーバ4−1が用いられている。右端側のブレードサーバ4−nには、図6のAに示すブレードサーバ4−nが用いられている。中間のブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1には、図8に示す中間ブレードサーバ4−Mが用いられている。
この構成例1では、左端のブレードサーバ4−1と右端のブレードサーバ4−nのそれぞれでパケット処理を行っている。ブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1には、図7、図8または図9に示す中間ブレードサーバ4−Mのいずれを用いてもよく、通信路8の状況によりいずれかを選択すればよい。ある一定段のブレードサーバを繋ぎ合わせたところで、信号レベルに数dBの減衰があれば、図7に示す中間ブレードサーバ4−Mを使用すればよい。この構成では、減衰した信号レベルが増幅器30によって補完される。これにより通信精度や通信の信頼性が維持される。
隣接するブレードサーバ間で導波管位置にズレの発生がなければ、図8に示す中間ブレードサーバ4−Mを用いればよい。
また、ある部分で隣接するブレードサーバ間に若干の導波管位置ズレが生じるのであれば、図9に示す中間ブレードサーバ4−Mを使用すればよい。
全体構成1では横一列分のブレードサーバを示している。それをサーバラック5の横一列が入る分として、所定の個数たとえば、25個程度になるように並べて構成する。係る構成とすれば、端部のブレードサーバ間での高速通信が可能となる。
<サーバ装置2Aの構成例2>
図11は、サーバ装置2Aの構成例2を示している。この構成例2では、左端に図5のBに示すブレード40−1が使用されている。右端には図6のBに示すブレード40−nが使用されている。この構成例2では、ブレード40−1、40−nでは信号処理であるパケット処理を行っていない。つまり、折返し通信路9では、無線信号の高速通過のみが実行されている。
そして、中間のブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1では、既述の構成例1と同様に通信路の状況により、図7、図8または図9に示す中間ブレードサーバ4−Mのいずれか選択して用いればよい。斯かる構成とすれば、ブレードサーバ間で高速通信が可能となる。
<第2の実施の形態の効果>
既述のように、各ブレード内にパケット処理などの信号処理を伴わない通信路8または折返し通信路9を併設したことにより、通信路6に加えて高速通信路で端部側のブレードサーバ間の通信が行われる。このため、信号処理による遅延が無く、複数のブレードサーバを介在することによる遅延を解消でき、通信の効率化、高速化を図ることができる。
〔第3の実施の形態〕
図12は、第3の実施の形態に係るサーバ装置を示している。この実施の形態は、図2に示す構成に対応しており、図2および図4と同一部分には同一符号を付してある。図12に示す構成は一例であり、斯かる構成が本発明の範囲を限定するものではない。
図12に示すサーバ装置2Bでは、無線通信により接続される複数のブレードサーバ4−1、4−2、4−3・・・4−nを備えている。各ブレードサーバ4−1、4−2、4−3・・・4−nは、双方向の通信路6により接続されている。ブレードサーバ4−1とブレードサーバ4−nは一方向の通信路8−1と通信路8−2により接続されている。
<左端のブレードサーバ4−1>
図13のAは、左端のブレードサーバ4−1の一例を示している。図13のAにおいて、図5のAと同一部分には同一符号を付してある。
このブレードサーバ4−1では、信号処理であるパケット処理を行っている。このブレードサーバ4−1の筐体16には、プリント基板18が設置されている。プリント基板18は回路基板の一例である。このプリント基板18には既述の無線部10、ウェーブガイド12、14−1、14−2が設置されている。ウェーブガイド12は通信路6側であり、ウェーブガイド14−1、14−2は通信路8側である。無線信号である送受信電波がウェーブガイド12、ウェーブガイド14−1またはウェーブガイド14−2を通して伝送される。無線部10、MMIC22、プロセッサ24、MSL26および電気信号−電波変換素子28は既述の通りであるので、その説明を割愛する。
図13のBは、左端のブレードサーバ4−1に代えて設置されるブレード40−1の一例を示している。このブレード40−1は、無線信号である送受信電波の折り返しに用いられる。このブレード40−1は、信号折返し手段であり、つまり信号通過手段の一例である。ブレード40−1は、一方向に無線信号を通過させて伝送方向を変更する折返し通信路9−1、9−2を備える。折返し通信路9−1は、通信路8−1側である。折返し通信路9−2は通信路8−2側である。折返し通信路9−1、9−2は通信路8と同様に、高速通信路の一例である。通信路9−1、9−2は導波路である。
なお、ブレード40−1は、信号折返し機能を備えたブレードサーバとして構成してもよい。このようなブレード40−1を備えることにより、既述のブレードサーバ4−2と右端側のブレードサーバ4−nとの高速通信が可能となる。ただし、この場合のブレードサーバ4−2はプリント板からブレード40−1側を図19のブレードサーバ4−2の12−1側(複数)と同様な構成にすればよい。
<右端のブレードサーバ4−n>
図14のAは、右端のブレードサーバ4−nの一例を示している。このブレードサーバ4−nは、信号処理であるパケット処理を行っている。ブレードサーバ4−nの構成は、ブレードサーバ4−1と同様であるので、同一符号を付し、その説明を割愛する。
図14のBは、右端のブレードサーバ4−nに代えて設置されるブレード40−nの一例を示している。このブレード40−nは、無線信号である送受信電波の折り返しに用いられる。このブレード40−nの構成は左端側の構成(図13のB)と同様に、一方向に無線信号を通過させて伝送方向を変更する折返し通信路9−1、9−2を備える。
<中間ブレードサーバ4−M(=4−2、4−3・・・4−n−1)>
図15は、中間ブレードサーバ4−Mを示している。このブレードサーバ4−Mは、既述のブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1のいずれかに用いられる。
この中間ブレードサーバ4−Mには双方向の通信路6とともに、双方向の高速通信路として二つの一方向の通信路8−1、8−2が含まれる。この中間ブレードサーバ4−Mの筐体16には、プリント基板18が設置されている。プリント基板18は回路基板の一例である。このプリント基板18には、無線部10、通信路6側のウェーブガイド12−1、12−2、通信路8−1側のウェーブガイド14−1、通信路8−2側のウェーブガイド14−2が設置されている。無線信号である送受信電波がウェーブガイド12−1、12−2、ウェーブガイド14−1またはウェーブガイド14−2を通して伝送される。
無線部10には、MMIC22、プロセッサ24およびMSL26が含まれ、プロセッサ24は、MMIC22から受けた信号にパケット処理などの信号処理を行う。このプロセッサ24は信号処理部の一例であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit )が用いられる。MSL26は、MMIC22と電気信号−電波変換素子28との間で信号を伝送する。ウェーブガイド12−1、12−2にはたとえば、導波路が用いられ、この導波路の始端または終端には電気信号−電波変換素子28が備えられている。電気信号−電波変換素子28にはたとえば、パッチアンテナなどのアンテナが用いられる。
そして、通信路8−1のウェーブガイド14−1、通信路8−2のウェーブガイド14−2のそれぞれに増幅器30が設置されている。各増幅器30は通信路8−1または8−2を伝送する無線信号を増幅し、通信路8−1または8−2で減衰する信号レベルの減衰分を補う。各増幅器30では、パケット処理などの信号処理を行わずに、単純に信号増幅のみを行う。この増幅器30でも、信号通過の際、信号増幅のための遅延時間を伴う。しかしながら、伝送の遅延時間は、増幅器30の通過分だけであり、信号処理を伴う通信路6側でのデータ処理による伝送遅延と比較すれば、極僅少な量である。つまり、通信路8−1、8−2は高速通信路を構成している。
図16は、中間ブレードサーバ4−Mの変形例を示している。この中間ブレードサーバ4−Mでは、通信路8−1は単一のウェーブガイドをたとえば、導波路32−1、通信路8−2は単一のウェーブガイドをたとえば、導波路32−2とした場合である。つまり、一方向の二つの導波路32−1、32−2で通信路8−1、8−2が形成されている。これらは無線信号を通過させる際に用いられる。
図17は、中間ブレードサーバ4−Mの他の変形例を示している。この中間ブレードサーバ4−Mでは、通信路8−1、8−2、12−1、12−2側にホーン型の導波路が設置されている。ブレードサーバを実際に挿入する際には、機械的な位置ズレが生じる可能性が高く、それにともなって、隣り合うブレードサーバ同士の導波路もお互いにズレが生じる可能性が高くなる。位置ズレによる無線通信のロスを無くすためにホーン型にしたものである。図面には示してないが、左右端のブレードサーバの導波路も同様にすることも可能である。
図18は、中間ブレードサーバ4−Mの他の変形例を示している。この中間ブレードサーバ4−Mに示すように、図16に示す中間ブレードサーバ4−Mの第1の通信路6に用いられているウェーブガイド12−1、12−2のそれぞれが複数のたとえば、二つの送受信電波を通過させる分離型としればよい。つまり、図13のBに示す左端のブレード40−1、14のBに示す右端のブレード40−nを用いるには、これに対応する中間ブレードサーバ4−Mには図18に示す中間ブレードサーバ4−Mを用いればよい。
<サーバ装置2Bの構成例1>
図19は、サーバ装置2Bの構成例1を示している。この構成例1では、左端側のブレードサーバ4−1に図13のAに示すブレードサーバ4−1が用いられている。右端側のブレードサーバ4−nには、図14のAに示すブレードサーバ4−nが用いられている。中間のブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1には、図16に示す中間ブレードサーバ4−Mが用いられている。
この構成例1では、左端のブレードサーバ4−1と右端のブレードサーバ4−nのそれぞれでパケット処理を行っている。ブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1には、図15、図16または図17に示す中間ブレードサーバ4−Mのいずれを用いてもよく、通信路8の状況によりいずれかを選択すればよい。ある一定段のブレードサーバを繋ぎ合わせたところで、信号レベルに数dBの減衰があれば、図15に示す中間ブレードサーバ4−Mを使用すればよい。この構成では、減衰した信号レベルが増幅によって補完される。これにより通信精度や通信の信頼性が維持される。
隣接するブレード間で導波管位置にズレの発生がなければ、図16に示す中間ブレードサーバ4−Mを用いればよい。
また、ある部分で隣接するブレード間に若干の導波管位置ズレが生じるのであれば、図17に示す中間ブレードサーバ4−Mを使用すればよい。ブレードサーバ4−1、4−nを用いた場合、ウェーブガイドにホーン型を使用すれば、端部のブレードサーバでの位置ズレを補正することが可能である。
構成例1では横一列分のブレードサーバを示している。それをサーバラック5の横一列が入る分として、所定の個数たとえば、25個程度になるように並べて構成する。係る構成とすれば、端部のブレードサーバ間での高速通信が可能となる。
このように図19のサーバ装置2Bでは送信方向と受信方向に分けて別経路、つまり一方通行の通信路8−1、8−2を導波路で構成している。斯かる構成によれば、送信方向および受信方向に応じて通信を行うことができる。
<サーバ装置2Bの構成例2>
図20は、サーバ装置2Bの構成例2を示している。この構成例2では、左端に図13のBに示すブレード40−1が使用されている。右端には図14のBに示すブレード40−nが使用されている。この構成例2では、ブレード40−1、40−nでは信号処理であるパケット処理を行っていない。つまり、折返し通信路9では、無線信号の高速通過のみが実行されている。
そして、中間のブレードサーバ4−2、4−3・・・4−n−1には図18に示す中間ブレードサーバ4−Mが用いられている。つまり、通信路の状況に応じて中間ブレードサーバ4−Mが選択される。
図19に示すサーバ装置2Bでは送信方向と受信方向が特定されているので、片側方向で通信している間はその方向でたとえば、通信路8−1が占有されると、通信路8−1は反対方向の通信できない。これに対し、図20に示すサーバ装置2Bでは、通信路8−1、8−2に送信方向または受信方向の区別なく通信可能な導波路で折返し通信路9−1、9−2が形成されている。これにより、伝送すべき情報があれば、方向に関係なく送信できる。
<サーバ装置2A、2Bの構成例>
図21は、サーバ装置2A(またはサーバ装置2B)に用いられている中間ブレードサーバ4−Mの一例を示している。図22のAは、図21のXXIIA−XXIIA線断面を示している。図22のBは、図22のAのXXIIB−XXIIB線断面を示している。図22のCは、図22のBのXXIIC−XXIIC線断面を示している。
この中間ブレードサーバ4−Mには筐体16にプリント基板18が設置されている。このプリント基板18にはMMIC22、プロセッサ24、MSL26、ウェーブガイド12−1、12−2および電気信号−電波変換素子28が設置されている。ウェーブガイド12−1、12−2は通信路6に含まれる。プリント基板18と平行に配置された導波路32は、通信路8に含まれる。
<第3の実施の形態の効果>
(1) 高速通信路を構成する通信路8を通信路8−1、8−2のように複路化したので、各通信路8−1、8−2のいずれかに選択的に送信方向または受信方向を設定できる。無線信号に応じて経路選択などが可能になり、通信経路の選択性、自由度が高められる。
(2) 通信路8−1、8−2に折返し通信路9−1、9−2が設けられ、折返し通信路9−1、9−2を導波路で構成すれば、送信方向または受信方向の区別なく無線信号を送ることができる。通信の効率化、高速化が図られる。ただし、この場合にはその方向からの信号をこのブレードサーバでは受信できなくなる。
〔第4の実施の形態〕
図23のAは、第4の実施の形態に係るサーバ装置2Cの一例を示している。このサーバ装置2Cでは、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態に係るブレードサーバをX軸方向およびY軸方向に配列し、二次元構成としたものである。
このサーバ装置2Cは図23のAに示すように、複数のブレードサーバ4−11、4−12・・・4−nnがX軸方向およびY軸方向に複数行複数列に配列されている。各ブレードサーバ4−11、4−12・・・4−nnには既述の通信路6とは別に高速通信路である通信路8が形成されている。通信路8には通信路6と同様に双方向の通信路であってもよいし、既述の一方向の通信路8−1、8−2を用いてもよい。
ブレードサーバ4−11などの左端側のブレードサーバには、図13のAに示すブレードサーバ4−1、図13のBに示すブレード40−1を二次元化構成としたものを使用すればよい。この二次元化構成とは、通信路8をX軸方向とY軸方向のそれぞれに無線信号を送信、受信または通過可能にしたものである。ブレードサーバ4−nnなどの右端側のブレードサーバには、図14のAに示すブレードサーバ4−n、図14のBに示すブレード40−nを二次元化構成としたものを使用すればよい。
そして、中間ブレードサーバ4−Mには図15、図16、図17または図18に示す構成のブレードサーバの通信路6を二次元化構成としたものを用いればよい。この場合、通信路6はパケット処理などの信号処理を伴う無線信号の通信に用いられる。
このように複数のブレードサーバ4−11、4−12・・・4−nnがX軸方向およびY軸方向に複数行複数列に配列された二次元構成とした場合にも一次元構成のものと同様に端部側のブレードサーバと中間ブレードサーバ4−Mとの組み合わせにより、第2および第3の実施の形態と同様に構成できる。つまり、送信方向と受信方向に分けて別経路の一方通行の通信路8−1、8−2による高速通信路を導波路で構成すればよい。
図23のBは、このサーバ装置2Cに用いられている中間ブレードサーバ4−Mの一例を示している。図24のAは、図23のBのXXIVA−XXIVA線断面を示している。図24のBは、図24のAのXXIVB−XXIVB線断面を示している。図24のCは、図24のBのXXIVC−XXIVC線断面を示している。
この中間ブレードサーバ4−Mには筐体16にプリント基板18が設置されている。このプリント基板18には既述のMMIC22、プロセッサ24、MSL26、ウェーブガイド12−11、12−12、12−21、12−22および複数の電気信号−電波変換素子28が設置されている。ウェーブガイド12−11、12−12、12−21、12−22はX軸方向またはY軸方向の通信路6に含まれる。プリント基板18と平行に配置された導波路32−1は通信路8−1、導波路32−2は通信路8−2に含まれる。
このような中間ブレードサーバ4−Mを用いれば、複数の端部側のブレードサーバまたはブレードとともに、X軸方向およびY軸方向に複数のブレードサーバを配置した二次元構成のサーバ装置2C(図23)が得られる。
<第4の実施の形態の効果>
このように多数のブレードサーバ4−11・・・4−nnを備えるサーバ装置2Cでは、隣接するブレードサーバ間通信を媒介とした伝送ではノード間の通信と同様に最終到達点のブレードサーバまでに大きな遅延時間を生じることになる。しかし、既述の通信路8−1、8−2を備えたことにより、隣接するブレードサーバ間で情報を逐次伝達し、遠くに位置するブレードサーバにも通信可能となる。通信路8−1、8−2では送受信、または、片側からの送信のみ、あるいは受信のみのパケット処理をしない別の通信路を構成しているので、通信速度を高速化することができる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、複数のブレードサーバの一次元配列(X軸方向配列またはY軸方向配列)のサーバ装置2A、2B、複数のブレードサーバの二次元配列(XY軸方向配列)のサーバ装置2Cを例示したがこれに限定されない。図25に示すように、複数のブレードサーバのXYZ軸方向に配列したサーバ装置2Dを構成してもよい。このサーバ装置2Dについて、上記実施の形態で説明したように、通信路6とは別に高速通信路としてパケット処理などの信号処理を伴わない通信路8を併設してもよい。ブレードサーバの設置数が多くなればなるほど、パケット処理や増幅処理などの信号処理を経ることなく、送信のみ、受信のみまたは通過のみを行えば、遅延時間の短縮が行え、効率的な通信や通信の高速化を図ることができる。
(2) 上記実施の形態では、ウェーブガイドに導波路を用いたサーバ装置2A、2B、2C、2Dを例示したが、たとえば、図26のA、BおよびCに示すように、導波路に代えてMSL(マイクロストリップライン)36およびパッチアンテナ38−1、38−2、38−3、38−4を用いてもよい。図26は図22の記載と同様の形態で記載されている。つまり、パッチアンテナ38−1、38−2が通信路6に含まれ、パッチアンテナ38−3、38−4が通信路8に含まれる。この例ではMMIC22にパッチアンテナ38−3、38−4が接続されているが、パッチアンテナ38−3、38−4ではパケット処理などの信号処理を行わず、送信のみ、受信のみまたは伝送のみを行っている。その他の構成は図22と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
(3) 無線信号を媒介とした複数のブレードサーバ列の連鎖的な通信では、中間のブレードサーバを外した場合、外されたブレードサーバに対し、ダミーブレードを装着して通信路6、8を確保すればよい。
(4) 上記実施の形態では導波路をたとえば、導波管で構成し、電気信号−電波変換素子にパッチアンテナを用いることを例示した。アンテナはパッチアンテナに限定されることはなく、たとえば、ミリ波、マイクロ波などの電波通信が可能なアンテナであればよい。
(5) 上記実施の形態では、端部側のブレードサーバにおいても通信路8側では信号処理を実行しない構成を含んでいる。この場合、端部側のブレードサーバでは通信路8で伝送される無線信号に増幅以外のパケット処理などの信号処理を行い、通常の通信を行うか、あるいは、ブレードと同じ筐体に、折返し処理する通信路として機能させてもよい。または、ブレードサーバ数を無駄にしないためにサーバーラック102側に折り返し処理する通信路を設けても良い。つまり、通信路8を用いれば、中間ブレードサーバを逐次通過して伝送した場合の無線信号の遅延時間に対して短縮できる。
(6) 通信路6、通信路8のいずれにも増幅器30などの減衰補完手段を設置してもよい。
以上説明したように、本開示の構成の最も好ましい実施の形態などについて説明した。本発明は上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。