以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
電動作業機の一つである電動刈払機1は、図1に示すように、バッテリパック2が取り付けられる操作部10と、操作部10の前端付近に固定される伸縮式の竿と、竿の先端に取り付けられる駆動部151と、竿の前後方向の中央付近に固定されるハンドル部41を含んで構成される。本実施例において伸縮式の竿は、固定パイプ40と、固定パイプ40の前方側に連結され固定パイプ40に対して前後方向に相対移動可能な可動パイプ80により構成され、操作部10と固定パイプ40とハンドル部41と接続部50が可動パイプを固定するための固定部3を構成し、可動パイプ80とその前方側に取り付けられる作業機器の主要部を構成する駆動部151が、固定部3に対して動く部分となる可動部4となる。
操作部10のハウジング11には、リチウムイオン電池等の二次電池を複数本収容するバッテリパック2が装着され、ハウジング11の内部には駆動部151に含まれるモータを駆動するための制御部(コントローラ)と、バッテリパック2から供給される直流電圧を所定の直流電圧に昇圧してモータに供給する昇圧回路が収容される。操作部10から前方側には固定パイプ40が取り付けられる。固定パイプ40は例えばアルミニウム合金等の金属製の環状部材であって、固定パイプ40の前後方向のほぼ中央付近には、ハンドル部41が配置される。ハンドル部41は、前面視で略U字形の中空状のハンドルパイプ42を有し、ハンドルパイプ42の両端に取り付けられるグリップ部43を含んで構成される。2つあるグリップ部43のうち右側部分は操作部として形成され、グリップ部43には回転軸を中心に揺動可能なトリガレバー44が連結される。トリガレバー44にはワイヤ26が接続され、ワイヤ26を介して操作部10に配置されたスイッチ21に連結される。トリガレバー44の前方側にはロックレバー45が設けられる。ハンドルパイプ42はハンドルホルダー46を用いて固定パイプ40にボルト止めされる。ハンドルホルダー46の固定パイプ40に対する固定位置は、所定範囲において前後方向に取り付け位置を調整可能としても良い。ハンドルホルダー46の後方には、肩掛け用吊りベルトを取り付けるためのベルト保持部47が設けられる。
ハウジング11に固定された大径の固定パイプ40の前方側には、固定パイプに対して細径の可動パイプ80が接続される。可動パイプ80も固定パイプ40と同様にアルミニウム合金等の金属製の環状部材で構成すると好ましく、可動パイプ80が固定パイプ40の内側に入り込むように配置される。可動パイプ80と固定パイプ40の固定位置が調整可能とするような連結方法が採用され、可動パイプ80と固定パイプ40からなる竿の長さを可変にできる。固定パイプ40と可動パイプ80は保持具51によりその連結が固定され、保持具51には可動パイプ80の前後方向(軸方向)への移動を制限するための固定レバー62が設けられる。固定レバー62を操作して保持具51による可動パイプ80の固定状態を緩めた状態にて可動パイプ80を前後方向に移動させ、所定位置(伸長位置)にて固定レバー62を操作して可動パイプ80を保持具51にて締め付けることにより、可動パイプ80を前後方向に移動しないように固定する。電動刈払機1は、図1に示すように可動パイプ80を固定パイプ40に対して最も伸ばした状態において作業を行う。また、保持具51には、後述する伸縮検出手段が設けられ、可動パイプ80の伸長が不完全である場合(非伸長状態)には駆動部151が動作しないように構成される。また、可動パイプ80の固定状態が不完全であったり、刈り払い作業中に何らかの原因によって可動パイプ80が縮んでしまったときには、駆動部151の回転動作が自動的に停止するように構成される。
ハンドル部41は固定パイプ40に取り付けられる。固定パイプ40に取り付けることにより、ハンドル部41から腰当て部28及び操作部10の部分の剛性を高めることができる。また、肩掛け用吊りベルトも固定パイプ40に取り付けられるベルト保持部47にて保持されるため、作業時に力が掛かる部分がすべて固定パイプ40の部分に取り付けられることになる。ハンドルパイプ42の形状は、図17で説明したハンドルパイプ1007の形状と同一とすれば良いが、正面視で略U字状のハンドルパイプ42だけでなく、刈払機で広く使われているループハンドル(D字形のハンドル)であっても良い。尚、D字形のハンドルを用いる場合であっても、ハンドルパイプを固定するのは可動パイプ80側でなく固定パイプ40側とすることが重要である。ハンドル部41のトリガレバー44に接続されるワイヤ26は、ハンドルパイプ42から固定パイプ40に沿わせて腰当て部28の内側を通り、操作部10に接続される。また、接続部50の保持具51からは、後述する伸縮検出手段からの出力を伝達するための接続線(後述)を覆うジャバラチューブ27が伸びて、固定パイプ40に沿わせて腰当て部28の内側を通り、操作部10に接続される。操作部10のハウジング11の前方には、コードストッパ12が設けられ、ワイヤ26とジャバラチューブ27が前後方向に動かないように保持する。
駆動部151は、アルミニウム合金等の成型により製造されたモータケース152の内部に、いわゆるコアレスモータ等の直流ブラシ付きのモータ(後述)が収容され、モータの回転により刈刃155を回転させる。このように電気モータを用いるために2サイクルエンジンによる刈払機に比べてきわめて高い静音性が確保できる。モータケース152に収容されるモータの下側にはファンカバー154が設けられ、ファンカバー154から下方に突出する図示しない出力軸に、ホルダー156を用いて刈刃155が装着される。可動パイプ80の先端に取り付けられるモータに隣接して刈刃155の一部を覆う飛散防護カバー170が設けられる。尚、刈刃155は金属製の円形のチップソーを用いることができるが、これだけに限られず、その他の任意の切断手段、例えばナイロンコードカッタや往復動するバリカン手段、トリマー手段等を使用しても良い。
モータケース152の内部には、入力される電圧に応じた速度で回転する図示しないコアレスモータが収容される。コアレスモータは、ギヤやコアがないため比較的軽量である上、刈刃がコアレスモータの中心軸に直接駆動される構成、即ちギヤ等を介さずにコアレスモータに刈刃が直結される構成であるため、機械的な損失を抑制でき、更にギヤ音が発生せず騒音の発生が小さい。さらに、コアレスモータは、コイル基板を中心軸の軸方向に通過する磁束が発生することで回転する構成であるため、可動パイプ80の先端にモータの回転軸が45度程度傾けて配置された構成でありながら、駆動部151の上下方向中心軸の方向にモータの回転軸が突出することが無く、コンパクトな形状とすることができる。
図2は可動パイプ80を固定パイプ40に対して最も縮めた状態の電動刈払機1である。本実施例では例えば図1の伸長時の状態では全長(バッテリパック2の後端から駆動部151のモータケース152の先端までの距離)が1880mmである。このような配置とすると操作部10と駆動部151とが十分離間して配置されることになり、電動刈払機1の重心が操作部10から十分離れるため、ユーザに適度な重量がかかり、作業性が向上する。一方、電動刈払機1の収納時と運搬時の時には図2のように縮めた状態とする。飛散防護カバー170は、可動パイプ80を縮めた際に保持具51に当接することにより、伸縮時の移動位置のストッパとしての役割をも果たす。この際の全長は1350mm程度となり500mm以上も竿を短縮することができる。尚、図2の縮めた状態ではトリガレバー44を引いてもモータを駆動することができないように構成することが重要である。
図3は図1の電動刈払機1の操作部10の拡大図であって、左右分割式のハウジング11の一方を取り外した状態を示す。固定パイプ40部分については側面図でなく断面図で示している。操作部10の内部には昇圧回路や制御回路(コントローラ)を搭載する回路基板13が収容される。ハウジング11の前方側の取付ボス34には固定パイプ40が取り付けられる。固定パイプ40は、アルミニウム合金や強化プラスチック等、軽量で丈夫な素材から形成された中空管であって、その断面が例えば略円形とされ、内部にカールコード35が配置される。カールコード35は回路基板13からモータ(図1参照)へモータの駆動電力を供給する電源線となる。ハウジング11は左右分割式で2分割可能に形成され、その内壁部分と一体的に成形により製造される取付ボス34部分に固定パイプ40が保持される。取付ボス34の後面は突当面34aが形成され、突当面34a付近にはカールコード35の端部付近を固定するための固定具33が設けられる。ハウジング11の前方側であって固定パイプ40との付け根付近には、ワイヤ26とジャバラチューブを固定するためのコードストッパ12が設けられる。信号線58は後述する伸縮検出手段からの信号を伝達するためのもので、ジャバラチューブ27によって折り曲げによる断線から保護される。
バッテリ取付部11aは、電源たるバッテリパック2を取り付ける部分であり電源との接続部となる。バッテリ取付部11aには、図1に示すように上方向から下方向にバッテリパック2をスライドさせながら装着可能である。バッテリ取付部11aには、複数のターミナル15を保持するターミナル基台14が設けられ、バッテリパック2をバッテリ取付部11aに装着した際に、バッテリパック2の出力端子(図示せず)がターミナル15と接続することによりバッテリパック2の電力を回路基板13に供給することができる。ターミナル15と回路基板13は複数のリード線17により接続される。ハウジング11の上面部には主電源スイッチ(後述)と電池残量表示部とメインLED(Light Emitting Diode)が配置される操作パネル16が設けられる。主電源スイッチがオンにされると回路基板13に搭載されるマイコン(後述)に電源が供給され、モータへの電力供給の待機モードになる。主電源スイッチがオフの場合はトリガレバー44(図1参照)が引かれても回路基板13からモータへは電力が出力されない。回路基板13からの電力は伸縮式のカールコード35を介してモータへ供給される。カールコード35はスプリングケーブルとも呼ばれ、伸縮するコイル状に巻かれた複数の電線をまとめて樹脂によって覆ったものであって、伸縮が必要とされる場所で用いられ、耐摩耗性にすぐれ、繰り返し使用に耐えられるという特徴を有する。カールコード35は、コイル状に巻かれたスプリング部35aの両端部にストレート状の端部35bが形成されたものであって、本実施例ではカールコード35は固定パイプ40と可動パイプ80の内部空間に配置され、作業者からはカールコード35が見えないように配置される。カールコード35の図3に図示されていないもう一方の端部は、駆動部151と可動パイプ80との取付部分(図示せず)に配置され、図示しない接続端子を介して駆動部151内に収容されるモータのプラス及びマイナス端子に接続される。
刈刃155を駆動するモータの回転速度は、操作パネル16に設けられるダイヤル20によって設定され、設定された回転速度となるように図示しない昇圧回路からモータに供給される直流電圧が設定される。主電源スイッチがオンの待機モードにおいてトリガレバー44(図1参照)が引かれると、所定電圧の直流が回路基板13からモータへ供給される。トリガレバー44が引かれるとワイヤ26が牽引され、ワイヤ終端26aが移動することにより可動プレート23が前後方向に移動する。可動プレート23の後端部はスイッチ21のプランジャ22に当接するように配置され、ワイヤ26の移動がスイッチ21に伝達され、トリガレバー44が引かれるとスイッチ21がオン(接続状態)となる。本実施例では、トリガレバー44、ワイヤ26、可動プレート23及びスイッチ21等によってトリガスイッチを構成したが、このように複数部品で構成するのではなく、グリップ部43のトリガレバー44(図1参照)の代わりにレバーと一体的に構成されるトリガスイッチを配置し、ワイヤ26の代わりにリード線をハウジング11内に伝達するように構成しても良いし、その他のスイッチ手段にて実現するようにしても良い。ダイヤル20の設定は、抵抗値の変化として回路基板13に伝達され、後述するマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と称する)は、トリガレバー44のオンオフとダイヤル20の設定値に応じて出力する電圧を調整する。
回路基板13は、バッテリパック2から出力される電圧を直流モータ用の高い電圧に昇圧する昇圧回路(図示せず)を含んで構成される。そのため回路基板13上には、複数のコンデンサ31、32やコイル29などの昇圧回路用の電子素子が搭載される。バッテリパック2の出力電圧の大きさに対してどの程度まで昇圧するかは、回転式のダイヤル20の設定値に応じて決定される。本実施例では、例えばバッテリパック2として14.4V又は18Vのリチウムイオン電池を用い、モータとして定格38Vのブラシ付きの直流モータを用いている。このようにバッテリパック2の出力電圧にかかわらず、回路基板13がダイヤル20の設定値に応じて値の電圧をモータに供給するため、バッテリパック2の種類(定格電圧)は問われない。また、昇圧回路を用いることで、容量の小さい電池でも十分に高い回転数で作業を行うことが可能となる。尚、使用されるバッテリパック2やモータの種類及び定格電圧や、昇圧回路でどの程度まで昇圧するか等の組み合わせは任意であり、本実施例で示す例以外のその他の構成であっても良い。
回路基板13から延びる電源線18から別の電源線たるカールコード35への接続は、接続端子30を介して行われる。本実施例では、カールコード35はプラス、マイナスの2本の電線を有するように構成される。回路基板13には、過電流や過電圧からバッテリパック2及びモータを保護する機能を備え、過電流や過電圧の検出時にはモータに供給される電力を強制的に遮断するか、又は、モータにブレーキ電流を流すことによりモータの回転を制動する制御を行うコントローラ(後述)が設けられる。尚、回路基板13に搭載されるコントローラの具体的な回路構成や動作は後述する。ハウジング11の前方側に設けられるコードストッパ12は、ジャバラチューブ27とワイヤ26を保持することにより、信号線58を案内し、ワイヤ26の曲げ等による動作不良を防止する。コードストッパ12の上部にはLED381が設けられる。
次に図4及び図5を用いて電動刈払機1の接続部50の詳細構成を説明する。図4及び図5は電動刈払機1の接続部50の断面図である。図4は可動パイプ80が最も伸びた伸長状態において可動パイプ80が固定パイプ40に対して軸方向に移動しないようにロックされている状態を示している。このように竿を伸ばした状態、即ち可動パイプ80の伸長状態において刈り払い作業が可能となる。固定パイプ40の先端部であって、可動パイプ80との連結部分には保持具51が固定される。保持具51は可動パイプ80を固定パイプ40に対して固定するロック機構を収容するためと、可動パイプ80が所定の伸長位置にまで伸びているか否かを検出するための伸長検出手段を設置するための部材である。保持具51は左右2分割形状とし、それぞれがプラスチック等の高分子樹脂の一体成形にて製造される。左右2分割された部分は、ネジボス59a〜59gに設けられる7本のネジ(図示せず)にて固定パイプ40を挟持するように螺合される。尚、保持具51と固定パイプ40との固定をより強固にするために、接着剤を併用して固定するようにしても良い。ストッパ52の後端部は固定パイプ40の前端面と当接するように配置され、円筒形のストッパ52の内周側に可動パイプ80を軸方向(前後方向)移動可能なように保持する。可動パイプ80の一部には貫通穴80bが形成され、伸縮位置においてボール60の一部が、径方向外側から内側に移動して貫通穴80bに入り込むことによってクリック感があるようにして伸長時の固定位置がわかるように構成した。ボール60の外周側(図では下側)においては、保持具51の内側に保持されたスプリング61によってボール60を可動パイプ80側に押しつけるように付勢する。尚、スプリング61はストッパ52の筐体の一部に形成された円筒状のスプリング収容部51dに収容される。
可動パイプ80のボール60によるロック機構を解除するには、可動パイプ80を固定パイプ40側に強く移動させると、ボール60がスプリング61の付勢力に抗して移動するためロック状態が解除される。しかしながら、ボール60だけのロック機構では刈り払い作業中にロック状態が解除されてしまう恐れがある。そこで、本実施例ではボール60を用いたロック機構に加えて、保持具51の左右両側に設けられるスプリングプレート51aと協働して作用し、2つのスプリングプレート51aの間隔を狭めることにより可動パイプ80を強く締め付けるようにしたロック機構を併用する。2つのスプリングプレート51aにて可動パイプ80を挟み込み、可動パイプ80の軸方向の移動を強力に制限するために固定レバー62(図1参照)が設けられる。
保持具51のスイッチボックス51bの内部には、可動パイプ80が所定位置まで伸長しているかどうかを検出する2系統の伸長検出手段が設けられる。伸長検出手段は、電気的、機械的、光学的等の任意の検出方法で可動パイプ80の位置や状態を検出し、電気信号にて回路基板13に搭載された制御手段(コントローラ)に出力する。伸長検出手段の一つはマイクロスイッチ等の機械的なスイッチ55であり、スイッチ55をオン又はオフされるレバー55aの先端には滑車55bが設けられる。本実施例では滑車55bが図中下方向に移動するとレバー55aがスイッチ55のプランジャを押すことによりスイッチ55がオンとなり、滑車55bが図示のように上側位置にある時にはレバー55aがスイッチ55のプランジャを開放することによりスイッチ55がオフとなる。スイッチ55は信号線58を介して回路基板13(図3参照)に接続される。滑車55bの近傍であって可動パイプ80の後端部にはスリーブ53が設けられる。
図示しないカールコード35と滑車55b、レバー55aはスリーブ53によって隔てられているため、レバー55aの動作時にカールコード35と接触することはない。また、可動パイプ80自体にスイッチ55のオン/オフを切り替えるための凹部を設ける必要がないため、可動パイプ80の歪みや曲りが生じることもない。スリーブ53にはフック状の掛止部53cが形成され、スリーブ53を可動パイプ80に嵌め込んだ際に、可動パイプ80に形成された四角形のくり抜き穴80aに掛止部53cが嵌合することにより、スリーブ53が可動パイプ80から抜けないように固定される。また、スリーブ53は可動パイプ80の外周側の少なくとも一部を覆うように設けられるため、可動パイプ80を最大限引き出した際にスリーブ53の前端部がストッパ52の後端部に当接することによって可動パイプ80の固定パイプ40からの抜け止めとしての機能を果たす。さらに、スリーブ53にはスイッチ55の滑車55bとの摺動部に凹部53aが設けられており、凹部53aに滑車55bが位置することによりレバー55aが移動してスイッチ55がオフ状態となる。スリーブ53の凹部53aからその前方側の外径部への遷移部分には傾斜面53bが形成され、図4の状態から可動パイプ80を固定パイプ40側に縮めたときに傾斜面53bにて滑車55bを径方向外側に案内することによりスイッチ55をオフ状態(図4の状況)から、図5で後述するオン状態に移行させることができる。
伸長しているかどうかを検出する伸長検出手段のもう一つは、スリーブ53の一部に設けられるマグネット54とホールIC56である。ホールIC56は、ホール効果を利用して磁界を検出する素子をIC化したものであって、本実施例ではマグネット54がホールIC56に近接した状態で出力がLow状態となり、マグネット54がホールIC56から離れた状態で出力がHigh状態となるように構成した。ホールIC56の出力はスイッチ55の信号と共に信号線58によって回路基板13に伝達される。信号線58は4線ケーブルであって、外部から加わる力や振動等で断線しないようにジャバラチューブ27の内部に配置される。また、ジャバラチューブ27の保持具51からの取り出しは、信号線案内部51cにて固定される。尚、図4及び図5では図示していないが、固定パイプ40から可動パイプ80の内部には図3で示したカールコード35が配置され、カールコード35はモータにまでの距離可変部分に配置される。これに対して、信号線58は保持具51から操作部10間の距離不変部分を接続するためのケーブルであるので、カールコード等の伸縮ケーブルを用いる必要が無い。従って、本実施例では信号線58は固定パイプ40の内部でなくて外側を這わせるように配置した。このように信号線58を固定パイプ40の外部に配置として、カールコード35を固定パイプ40の内部の配置としたのは、カールコード35の伸縮を極力阻害することがないようにするためと、配線上の容易さと美観のためである。もちろん信号線58を固定パイプ40の内部に配置するように構成しても良いが、その場合は信号線58によってカールコード35の伸縮が阻害されないように考慮すると良い。尚、固定パイプ40と可動パイプ80の内部の配線は、何らかの伸縮手段又は、パイプ側の伸縮に影響を受けないような配線であればよいので、カールコードだけでなくその他の伸縮コードを用いても良い。また、ジャバラチューブ27は信号線58を保護するためのものであるので、何らかのチューブ状の部材で合っても良い。
図5は図4の伸長状態からわずかだけ縮めた状態を示す図である。このように縮めるためには、固定レバー62(図1参照)による締め付け状態を解除してから可動パイプ80を移動させる必要がある。この縮めた状態では滑車55bが傾斜面53bを乗り越えてスリーブ53の太径部分に位置している(乗り上げている)。このため、レバー55aがスイッチ55側に押しつけられるためスイッチ55がオンになる。さらに、マグネット54はホールIC56と離れた位置となるため、マグネット54の磁界はホールIC56には作用しないため、ホールIC56の出力はマグネット54が離れた状態にあることを示すHigh状態となる。一方、可動パイプ80の貫通穴80bは、ボール60から離れた位置になるので、ボール60はスプリング61の付勢力に抗して下方向(可動パイプ80からみたら径方向外側)に移動する。
図6は図1のA−A部の断面図である。図4、図5に示した保持具51は、スプリングプレート51aの部分(64付近)においては、左側部分51−1と右側部分51−2の内側の面が接触せずに、ボルト63によって締め付けられる構成となる。ボルト63は、固定レバー62を図示の位置にすること可動パイプ80が締め付けられるように構成され、固定レバー62を図示の状態から矢印65の方向に揺動させることで左側部分51−1と右側部分51−2の間隔が離れるようになる。固定レバー62の矢印65の方向及び反対方向への揺動の中心66はボルト63の頭部付近となる。固定レバー62を矢印65の方向に揺動させることでストッパ52を介した可動パイプ80の締め付け状態が解除され、図6のように固定レバー62を保持具51に接近させるように移動するとストッパ52を介して可動パイプ80が強く締め付けられることになる。尚、固定レバー62による締め付けを行う構成は公知の締め付け技術を用いれば良い。本実施例においては可動パイプ80の断面形状は完全な円形でなく、下部に軸方向に連続するレール部80c(径方向外側から見たら溝部)が形成される。図示していないが固定パイプ40側にもレール部80cと対応するレール部が形成され、これらのレール部がお互い係合することにより可動パイプ80と固定パイプ40が相対回転しないように保持される。このようにレール部80cを形成することにより製造原価は高くなるものの可動パイプ80と固定パイプ40の剛性を高めることができ、軽量でありながら剛性の高い竿構造とすることができる。
次に、図7を用いて電動刈払機1の回路図を説明する。この回路図に記載されるコントローラ201は回路基板13上に搭載されるものである。また、実際の回路にはフライバック式の昇圧回路が設けられるが、本実施例では説明の便宜上その記載や説明を省略している。コントローラ201は、バッテリパック2からの電力を入力し、出力側に接続されるモータ153を回転させる。モータ153は直流にて駆動されるブラシ付きのコアレスモータであって、モータ153に印加される直流電圧の大きさによってその回転数が変わるものである。コントローラ201は、主に、スイッチ(トリガスイッチ)21と、主電源スイッチ回路214と、電池電圧検出回路235と、トリガ検出回路240と、主電源自動停止回路203と、定電圧回路207と、マイコン211と、出力停止回路243を含んで構成される。
バッテリパック2をバッテリ取付部11a(図3参照)に取り付けると、ターミナル15(+端子15a、−端子15b))を介してバッテリパック2からコントローラ201に電力が供給される。次に、主電源スイッチ回路214の主電源スイッチ220がオンにされると、定電圧回路207にバッテリパック2からの電圧がかかるため、マイコン211に例えば5Vの低電圧直流が供給されてマイコン211が起動する。本回路図から見ると、ターミナル15はバッテリパック2のプラス端子(+)とマイナス端子(−)に接続する端子15a、15bだけを有するように見えるが、実際には、バッテリパック2のLD端子に接続される端子、バッテリパック2のID端子に接続される端子等のその他端子も設けられる。また、それらLD端子やID端子とマイコン211に接続するための回路も有するが、図7の回路図では説明の簡略化のためそれらの記載を両略している。定電圧回路207は、入力端子、出力端子、グランドの3つの端子から構成される三端子レギュレータ209と、その前後に設けられる発振防止用のコンデンサ208、210によって構成された公知のDC−DCコンバータである。定電圧回路207の出力電圧はマイコン211及び、コントローラ内の各電子素子に供給される。
主電源スイッチ回路214は、操作パネル16(図3参照)上に設けられたソフトタッチスイッチ等で構成される主電源スイッチ220と、主電源スイッチ220がオンになった状態を保持するための回路を有して構成される。主電源スイッチ220がオンになった状態を保持するための回路は、トランジスタ221、226、228と、FET230と、コンデンサ219と、複数の抵抗器215、217、218、222〜227、231、ダイオード216により構成される。主電源スイッチ回路214は、タッチ式の主電源スイッチ220が押されるたびに、主電源オンと主電源オフの状態が繰りかえされる。尚、本実施例では電気回路の構成によって主電源スイッチ回路214のオン状態が保持されるように構成したが、これはマイコン211によってFET230を遮断できるように構成して、マイコン211側の指示によって主電源をオフにするためである(このための回路については後述する)。
主電源スイッチ回路214の出力は、電池電圧検出回路235と、定電圧回路207に入力される。電池電圧検出回路235は、分圧抵抗236と分圧抵抗237との直列回路から構成され、分圧抵抗236の一端部はマイコン211のA/D入力端子に接続される。一方、バッテリパック2のプラス端子及びマイナス端子からの出力は、スイッチ21、出力停止回路243、ダイオード257を介してモータ153に接続される。電動工具においては通常スイッチ21をオンにするとモータが回転するように構成されるが、本実施例の場合は、主電源スイッチ回路214がオンになった状態でスイッチ21を引かないとモータ153が回転しないように構成した。出力停止回路243は、スイッチ21がオンの状態であってもマイコン211の制御によって強制的にモータ153の回転を停止するための回路である。トリガ検出回路240は、分圧抵抗241と分圧抵抗242との直列回路から構成され、分圧抵抗241の一端部はマイコン211のA/D入力端子に接続される。
出力停止回路243には出力停止用のFET245が設けられる。FET245には例えばMOSタイプを用いることができ、ゲート信号をオン又はオフさせることにより、ソース−ドレイン間を導通又は非導通の状態に切り替えることができる。FET245のゲート信号は抵抗器247及びFET248を介して接地される。FET248のゲート信号は抵抗器249を介してマイコンのD/A出力端子に接続される。マイコンからHigh信号が出力されるとFET248が導通することによりFET245のゲート信号に所定の電圧がかかり、FET245がオンとなるためスイッチ21を引くことによりモータ153が回転を開始する。一方、マイコン211からLow信号が出力されるとFET248がオフになることによりFET245のゲート信号がゼロとなり、FET245がオフとなるため、スイッチ21を引いていたとしてもモータ153は回転しない。従って、モータ153の回転中に何らかの事象が発生した場合にマイコン211は出力停止回路243にLow信号を出力することによりモータ153の回転を停止することができる。尚、出力停止回路243にはさらなるFET251を有し、竿伸縮センサを収容する接続部50に含まれるスイッチ55又はホールIC56からの信号によってFET248のゲート信号をアースに落とすように制御するFET251が設けられる。
FET251のゲートと、スイッチ55又はホールIC56の間にはダイオード253と254が配置される。またスイッチ55又はホールIC56からの信号線には基準電位を決めるための抵抗器255、256が設けられる。ここで、スイッチ55は可動パイプ80が固定パイプ40に対して所定位置まで伸びているときにオフとなり、伸びていない時はオンとなる。同様にして、ホールIC56の出力であってダイオード254を介してFET251に供給される電位は、可動パイプ80が固定パイプ40に対して所定位置まで伸びているときにLowとなり、伸びていない時はHighとなる。このようにFET251を設けたことによって、可動パイプ80が固定パイプ40に対して所定位置まで伸びていない時にはFET251のゲート信号がHighとなり、出力停止回路243からの出力が停止し、モータ153への電力供給が停止する。以上説明したように、本実施例においてはマイコン211が伸縮検出手段たる竿伸縮センサの出力に応じて出力停止回路243を制御できるように構成した上に、竿伸縮センサの出力を直接出力停止回路243に伝達することにより、竿が伸長状態から縮んでいる、あるいは動作中に縮んでしまった場合に確実にモータ153への電力供給を停止させることができる。また、信号線58が断線した場合やいずれかのセンサの出力結果が異なる場合は、マイコン211が異常状態を検知する異常検知手段として作用するので、抵抗器249を介してLow信号をFET248に供給することによりモータ153を停止させることができる。
主電源自動停止回路203は、マイコン211からの制御によって電動刈払機1の全体の電源を遮断させるための回路である。主電源自動停止回路203のトランジスタ205のコレクタ−エミッタが、抵抗器204を介してアースとFET230のゲートに接続され、ベースが抵抗器206を介してマイコンのA/D出力ポートに接続される。マイコン211からHigh信号がトランジスタ205のゲートに出力されると、トランジスタ205のコレクタ−エミッタ間が導通するため、FET230のゲートに所定電圧が加わることにより、主電源スイッチ220を押したときと同じ状態となり、それまでオン状態だったトランジスタ228がオフになることにより主電源が遮断される。
以上説明したように、本実施例の回路構成によれば、可動パイプ80が固定パイプ40に対して所定位置まで伸びていない時、あるいは、伸びている状態で作業中に突然縮んでしまった場合、及び、信号線58が断線した場合やいずれかのセンサの出力結果が異なる等の異常が発生した場合には、モータ153への電力供給が直ちに停止されるので、安全性の高い伸縮式の竿を有する電動刈払機を実現できる。
次に図8のフローチャートを用いて電動刈払機1の制御手順を説明する。まず、バッテリパック2をバッテリ取付部11aに取り付け、主電源スイッチ220をオンにすると、マイコン211に電力が供給され、マイコン211が起動する。するとマイコン211は格納された起動用プログラムを実行することにより所定の初期設定を行う(ステップ261)。次にマイコン211は、FET248にLow信号を出力することによりFET245のソース−ドレイン間を遮断状態にして、モータ153へ電力が出力されないようにする(ステップ262)。このステップは、トリガレバー44を引きながら主電源スイッチ220を入れてしまって突然刈刃155の回転が開始してしまうという誤動作を防ぐためである。次に、マイコン211は可動パイプ80が固定パイプ40に対して伸びきった状態にあるか、つまり図1のように刈り払いを行う時の伸長状態になっているかどうかを判定する竿伸縮検出ルーチンを実行する(ステップ263)。
ここで図9のフローチャートを用いて竿伸縮検出ルーチンの詳細手順を説明する。このサブルーチンは、マイコン211がコンピュータソフトウェアを実行することにより、磁気センサたるホールIC56とメカニカル式のスイッチ55の出力結果を用いて判定するものである。まず、マイコン211は磁気センサたるホールIC56の出力がLowであるかを判定する(ステップ291)。このホールIC56の出力がLowであることは、竿状態が伸長状態(図1、図4の状態)にあることを示すもので、ホールIC56の出力がLowである場合は、次にメカニカル式のスイッチ55の出力がLow(遮断状態)であるか否かを検出する(ステップ292)。スイッチ55の出力がLowであることは、竿状態が伸長状態(図1、図4の状態)にあることを示すので、ステップ292においてLowの場合は、2つの竿伸縮センサの出力が一致したことによってマイコン211は竿が伸長状態にあると確定し(ステップ293)、竿伸縮検出ルーチンを終了して図8のフローに戻る。
ステップ291にてホールIC56の出力がHighである場合は、ホールIC56による検出では竿が短縮状態にあると判断できるので、次にメカニカル式のスイッチ55の出力がLow(遮断状態)であるか否かを検出する(ステップ294)。ここで、スイッチ55の出力がHighの場合は、スイッチ55によっても竿が短縮状態にあると検出されたため、2つの竿伸縮センサの出力一致によってマイコン211は竿が短縮状態にあると確定し(ステップ296)、竿伸縮検出ルーチンを終了して図8のフローに戻る。尚、ステップ292においてスイッチ55の出力がHighである場合、又は、ステップ294においてスイッチ55の出力がLowの場合は、2つの竿伸縮センサの出力が不一致であるので、マイコン211はどちらかの伸縮センサが異常であると確定して(ステップ295)、竿伸縮検出ルーチンを終了して図8のフローに戻る。
図10は、図9のフローチャートで示す判断結果によってスイッチ55と磁気センサ(ホールIC56)の出力の組み合わせを示すテーブルであり、図に示す組み合わせ状態の時に竿状態が“伸長”または“短縮(非伸長)”と判断される。この図で理解できるように、スイッチ55は閉状態でないと竿が伸長状態であると認識されない。このことは、信号線58の断線、スイッチ55の故障等の何らかの理由によってスイッチ55が開状態にある場合にはモータ153が回転しないことを意味する。また、スイッチと磁気センサの出力は共に短縮時にHighとなるように構成しているので、マイコン211を介在させることなくそれらの出力をトリガにして(図7のダイオード253、254を介した信号を用いて)出力停止回路243を直接制御してモータの回転を停止させることができる。
再び図8のフローチャートのステップ264に戻る。ステップ264においてマイコン211は、2つの伸縮センサの検出結果に異常が発生したかどうかを判定する。図9のフローのステップ295にて異常状態の発生を検出した場合は、ステップ277に進んでマイコン211は主電源自動停止回路203にHigh信号を出力する。その結果、主電源自動停止回路203は主電源スイッチ回路214の主電源スイッチオンの維持状態を解消させるため主電源が遮断し、電動刈払機1が停止する。
ステップ264に2つの伸縮センサの検出結果に異常が無い場合は、竿が伸長状態であるか否かを判定し(ステップ265)、図10のステップ296で竿が短縮状態であると確定された場合には、ステップ263に戻り竿が伸長されるまで待機する。ステップ265において竿が伸長状態にあるときは、その際にスイッチ21がオンになっているかどうかを判定する(ステップ266)。ここでスイッチ21がオンであるということは、例えば、
(1)竿が伸びていない状態で持ち上げた際に先端のモータの自重で伸びた場合や、(2)トリガレバーが何かに障害物によって引かれた状態で竿を伸ばした場合、などが想定されうる。そこで、マイコン211がステップ265にて竿を伸ばした後に一端スイッチ21がオフの状態を確認してからでないとモータ153を回転させないようにした。ここで、上記一連の流れで竿を伸ばした後にトリガレバー44を開放した場合、マイコンは所定時間が経過したかを判断し(ステップ267)、経過していなかったらステップ266に戻る。これは竿を伸ばした後にすぐにモータ153を起動できないようにするための安全機構であって、所定時間としてワンテンポ程度(0.5〜3秒)待機させる。
ステップ266で所定時間が経過している場合、つまりトリガレバー44が離された状態で所定時間が経過したら、再び図9のフローチャートで示した竿伸縮検出ルーチンを実行する(ステップ268)。次に、マイコン211は、竿伸縮検出ルーチンの実行結果で、伸縮センサの異常があったかどうかを判定する(ステップ269)。異常があったら場合は、マイコン211は出力停止回路243にLow信号を出力することによりモータ153への電力の出力を停止し(ステップ278)、主電源自動停止回路203にHigh信号を出力することにより主電源を遮断させ(ステップ279)、電動刈払機1全体を停止させる。
ステップ269にて2つの伸縮センサの検出結果に異常が無い場合は、竿が伸長状態であるか否かを判定し(ステップ270)、竿が伸長状態にない場合は、マイコン211は出力停止回路243にLow信号を出力することによりモータ153への電力の出力を停止することによりモータが回転中ならば回転を停止させる(ステップ280)。そしてスイッチ21がオンのままの状態ならばステップ280に戻ってモータ153の停止状態を維持し、スイッチ21がオフの状態であればステップ268に戻る(ステップ281)。このように本実施例においては、竿が伸縮できる構成のため、竿の伸長状態から外れた場合には、スイッチ21が確実にオフにされるまではマイコン211がモータ153の停止状態を保つように構成し、安全性を一層高めるようにした。
ステップ270にて竿が伸びていると判定されたら、作業者によってスイッチ21がオンにされているかどうかを判定する(ステップ271)。スイッチ21がオンの場合は、マイコン211は、出力停止回路243にHigh信号を出力することによってモータ153への駆動電流の供給を許可する(ステップ272)。この結果、バッテリパック2からの電力が、図示していない昇圧回路を介してモータ153に供給されるので、モータ153がダイヤル20で設定された回転数で回転し、作業者は草等の刈り取り作業を行うことができる。次に、マイコン211は電池電圧検出回路235の出力から電池が過放電状態、即ち電池電圧が低下しているかどうかを判断し、過放電状態でない場合はステップ268に戻る(ステップ273)。ここでいう過放電とは、電池が空になった状態をさすが、ステップ268において図示しない電流検出回路を用いて、モータ153に流れる電流値を監視して、過電流の場合にステップ274に移行するように構成しても良い。
ステップ271においてスイッチ21がオフの場合、又は、ステップ273において過放電である場合は、マイコン211は出力停止回路243にLow信号を出力することによりモータ153への電力の出力を停止することによりモータの回転を停止させる(ステップ280)。次にマイコン211は電池電圧検出回路235の出力から電池が過放電状態であるかを判断し、過放電でない場合はステップ268に戻り(ステップ275)、過放電の場合は主電源自動停止回路203にHigh信号を出力することにより主電源を遮断させ(ステップ276)、電動刈払機1全体を停止させる。
以上のように制御することによって、モータ153が回転駆動されるが、この最中にステップ271にてスイッチ21が戻されたことを検出したら、又は、ステップ273にてバッテリパック2の過放電状態を検出したらモータ153への電力の出力を停止する(ステップ274)。次にマイコン211は、電池電圧検出回路235の出力から電池が過放電状態にあるかどうかを判定し(ステップ275)、過放電状態であったら主電源自動停止回路203にHigh信号を出力することにより主電源を遮断して、電動刈払機1を停止させる(ステップ276)。ステップ275にて過放電状態でなかったらステップ268に戻る。
以上説明したように、マイコン211を用いて図8に示すフローチャートの制御を行うことによって、可動パイプ80が規定位置まで伸びていない場合にはバッテリパック2からモータ153へ通電されないため、モータ153は回転しない。またトリガレバー44を引いた状態のまま可動パイプ80が規定位置まで伸ばしたような場合も、突然モータ153が起動することがない。さらに、モータ153の回転中に何らかの理由によって可動パイプ80が規定位置から縮んでしまって非伸長状態になった場合であっても、直ちにモータ153への通電が遮断されるため、安全性の高い伸縮式の竿を有する電動刈払機1を実現できる。
次に図11を用いて本発明の第2の実施例に係る回路図を説明する。第2の実施例のコントローラ301は、図3で示した回路基板13上に搭載されるものであって、回路基板13に搭載される電気回路以外の構成や各部品は第1の実施例で示したものと全く同じである。コントローラ301においては、スイッチ21、主電源スイッチ回路214、主電源自動停止回路203、定電圧回路207、電池電圧検出回路235、トリガ検出回路240、マイコン211が第1の実施例と同じであるので、それらの内部構成、作用についての繰り返しの説明は省略する。出力停止回路343は、マイコン211からの停止信号(FET348のゲートに対してHigh信号)を受けて、FET345のソース−ドレイン間が遮断される点は、第1の実施例の出力停止回路243(図7参照)と基本的に同様の動作である。しかしながら、第2の実施例の出力停止回路343では竿伸縮センサ(接続部50)からの出力に応じて出力停止用のFET345のソース−ドレイン間を直接遮断させる構成(図7のダイオード253、254、FET251、抵抗器252)が含まれていない。尚、この構成は第2の実施例で不要というわけではないので、図11の回路にこれらを付加させるようにしても良い。
第2の実施例においては、コントローラ301に電子ブレーキ回路360が設けられる。電子ブレーキ回路360はモータ153に流すブレーキ電流を断続的に制御することにより、所定の強さ(急ブレーキより弱い制動力)でモータ153の回転を制動するものである。本実施例で用いるモータ153はコアレスモータを用いており、モータ153に供給される電流を遮断しても惰性で長く回転してしまう。そこで電子ブレーキ回路360を設けて、モータ153を制動させるように作用する電流、即ちブレーキ電流を流してモータ153にブレーキをかけるようにした。電子ブレーキ回路360は、基本的にはモータ153の+端子と−端子を短絡させるためのブレーキ用のFET373を設け、FET373を駆動するための4つのFET361、364、368,370が設けられる。ブレーキ用のFET373は、例えばMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)とすると良く、マイコン211からの信号によってソース−ドレイン間の導通状態がオン/オフ制御される。
まずマイコン211から、電気ブレーキをかけるためのHigh信号が発せられると、その信号は抵抗器362を介してFET361と364のゲート信号に入力される。FET361と364のゲートは抵抗器363を介して接地されており、マイコン211からのHigh信号によってFET361と364が同時にオン(ソース−ドレイン間が導通している状態)になる。FET361と364のドレインがオン、即ちHighになると、FET368がオン状態となり、FET370はオフ状態となる。FET368がオンで、FET370がオフになると抵抗器371を介して所定電圧がブレーキ用のFET373のゲートに印加されるため、FET373のソース−ドレイン間がオンになる。FET373のソースはモータ153の+端子に、ドレインは−端子に接続されているため、FET373のソース−ドレイン間のオンはモータ153の+−端子の短絡を意味し、ブレーキが掛かることになる。
モータ153が短絡されると急激に制動されて、その回転が急激に低下することになる。緊急時にモータ153を停止したい場合や、何らかの原因で竿の伸縮を検出した場合にはモータ153の短絡状態を維持して急制動することが好ましい。しかしながら、トリガレバー44を離した場合には急激にブレーキをかけるのではなく、ワンテンポ遅れてから、若しくはゆっくりとモータ153の回転を停止させる方が好ましい場合がある。例えば刈払作業中の作業者は、ハンドルパイプ42のグリップ部43を握って、ハンドルパイプ42により刈刃155を左右に動かしながら作業を行うが、このハンドルパイプ42を左右に動かす際に、意図せずにトリガレバー44を離してしまうことがある。このような時にモータ153が急激に停止してしまうと、かえって作業に支障が出てしまう恐れがある。そこで本実施例ではブレーキをかける強さ、タイミングをマイコン211によって制御するように構成した。
ブレーキの作動中、即ちFET373のソース−ドレイン間がオンの状態において、マイコン211からの出力がHighからLowに変化すると、Low信号が抵抗器362を介してFET361と364のゲート信号に入力されFET361と364がオフ(ソース−ドレイン間が導通していない状態)になる。FET361と364がオフになると、FET368はオフになるが、FET370はゲートに抵抗器366、369によってゲートに所定電圧が印加されるのでオンになる。その結果、FET373のゲート信号がLowになるため、ブレーキ用のFET373のソース−ドレイン間がオフとなり、ブレーキ(モータ153の短絡状態)が解除される。本実施例のおいてはマイコン211からのブレーキ指示信号を、High−Low間で高速でスイッチングすることによりモータ153をソフトに制動できるようにした。このスイッチング制動は例えばPWM制御を用いることができるが、詳細については後述する。
出力電圧検出回路390は、モータ153の端子間電圧を測定するための回路であって、分圧抵抗391と分圧抵抗392との直列回路から構成され、分圧抵抗391の一端部はマイコン211のA/D入力端子に入力される。図11では開示されていないが、回路基板13(図3参照)にはモータ153を駆動するための昇圧回路が設けられ、昇圧回路からの出力電圧を変化させることによってモータ153の回転数を制御する。そのためにモータ153への出力電圧をフィードバックする回路である。また、ブレーキをかける際の、モータ153が惰性で回転するときは、モータ153で発生する逆起電力は電池電圧検出回路235では検出できないため、出力電圧検出回路390を別途設けるようにした。
マイコン211は、予めメモリに記憶されたプログラムを実行することで、図示しない電流検出回路により検出されるモータ153に流れる電流や、電池電圧検出回路235により検出されるバッテリパック2の出力する電圧を監視し、モータ153に流れる電流がモータ153の定格を超えた場合や、バッテリパック2の出力する電圧が所定の値より低くなった場合などに、主電源スイッチ回路214をオフする。また、マイコン211は、主電源スイッチ回路214がオンされているが、モータ153に電力が一定時間供給されていないことを検知すると、自動的に主電源スイッチ回路214をオフする。マイコン211には、図示しない入力端子(ID端子)から電池情報が入力される。電池情報が入力されると、マイコン211は、内部のメモリに予め記憶されたテーブルを参照して、電池情報からその電池が過放電になる電圧を読み取る。例えば、マイコン211は、電池情報に定格14.4Vという情報が含まれていれば、過放電電圧を8Vとし、定格18Vであれば過放電電圧を10Vとする。マイコン211は、バッテリパック2の出力電圧が過放電電圧を下回ると、自動的に、主電源スイッチ回路214をオフにする。
電池電圧検出回路235は、主電源スイッチ回路214から出力される電圧を測定することによって、バッテリパック2の出力する電圧に比例する電圧をマイコン211に出力する。電池電圧検出回路235が検出したバッテリパック2の出力電圧が異常値になると、マイコン211は主電源スイッチ回路214をオフにしてバッテリパック2の出力を止める。これによって、バッテリパック2が過放電を起こすことを防止することができる。
また、マイコン211には電池電圧検出回路235から電圧が入力され、図示しない電流検出回路からの出力が入力されない期間が、メモリに記憶してある一定の期間を超すと、自動的に主電源スイッチ回路214をオフする。これによって、主電源スイッチ回路がオンのまま、電動刈払機1が放置された場合などに、自動的に電動刈払機1の電源を自動的に落とすことができる。
表示回路380は、定電圧回路207で生成された低電圧の直流によってLED381を点灯させる回路であって、LED381に直列に接続される電流制限用の抵抗器382を含んで構成される。LED381の点灯は、マイコン211によって制御される。LED381は、コードストッパ12の上側に配置された赤色の発光ダイオードであり、通常状態(異常なし)は点灯、電池の過放電状態には遅い点滅、その他の異常状態(竿を縮めたことによるモータ停止等)においては早い点滅とすることによって作業者に対する動作状態、エラー状態の報知手段として機能する。尚、マイコン211によって主電源が遮断された場合は、表示回路380に供給される電流も遮断されるため、LED381は消灯する。
次に、図12のフローチャートを用いて本発明の第2の実施例の制御手順を説明する。図12のフローチャートは、図8で説明した第1の実施例のフローチャートに電気式のブレーキ機能、表示ランプ機能を追加したものであって、基本的な制御の流れは同じである。まず、バッテリパック2が取り付けられ、主電源スイッチ220がオンになると、マイコン211が起動して起動用プログラムを実行することにより所定の初期設定を行う(ステップ401)。次にマイコン211は、FET245のソース−ドレイン間を遮断状態にして、モータ153の回転を停止状態に保つ(ステップ402)。次に、マイコン211は表示回路380に電流を供給することによりLED381を点灯させる(ステップ403)。この点灯状態は、通常状態であることを表示する連続点灯とすると良い。
ここで、図15の表を用いて、LED381の点灯状況について説明する。本実施例においてはLED381として1つの赤い発光ダイオードを用い、その点灯状態を変える事によって作業者に対して報知するように構成した。LED381は、主電源スイッチ220がオンの通常の状態の場合は連続点灯する(通常表示)。バッテリパック2の残量が所定以下になった場合、つまり過放電状態の場合は、LED381を遅い速度で点滅させる(過放電表示)。この遅い点滅により作業者はバッテリパック2を充電又は交換しないと作業を継続できないことを知ることができる。本実施例ではさらにLED381を速い速度で点滅させる“異常表示”が設けられる。これは、複数ある竿の伸縮検出手段からの信号が不一致の場合に表示されるものであって、これにより作業者は電動刈払機1の故障が発生したことを知ることができる。
再び図12のフローチャートに戻る。ステップ404でマイコン211は可動パイプ80が固定パイプ40に対して伸びている状態にあるか、つまり図1のように刈り払いを行う時の伸長状態になっているかどうかを判定する竿伸縮検出ルーチンを実行する。ステップ404で示すルーチンは図9で説明した手順と同じサブルーチンを用いると良い。次に、マイコン211は、2つの伸縮センサの検出結果に異常が発生したかどうかを判定する(ステップ405)。ここで異常状態の発生が検出された場合は、ステップ418に進んでマイコン211は、LED381を“異常表示”を示す早い点滅状態にする。この“異常表示”は所定時間行われ(ステップ419)、その後、マイコン211は主電源自動停止回路203にHigh信号を出力することにより主電源を自動的に停止させる(ステップ420)。これによって電動刈払機1の動作が停止する。
ステップ405にて2つの伸縮センサの検出結果に異常が無い場合は、竿が伸長状態であるか否かを判定し(ステップ406)、竿が短縮状態であると確定された場合には、マイコン211は電子ブレーキ回路360にHigh信号を送出することにより、モータ153にブレーキをかける(ステップ421)。次に、ステップ404に戻り竿が伸長されるまで待機する。ステップ406において竿が伸長状態にあるときは、マイコン211は電子ブレーキ回路360に送出した信号をLowにしてブレーキ動作を解除し(ステップ407)、スイッチ21がオンになっているかどうかを判定する(ステップ408)。ここで、スイッチ21がオフの場合は、マイコン211は所定時間が経過したかを判断し(ステップ409)、経過していなかったらステップ408に戻る。
ステップ409で所定時間が経過している場合は、マイコン211は電子ブレーキ回路360に送出した信号をLowにしてブレーキ動作を解除し(ステップ410)、図9のフローチャートで示した竿伸縮検出ルーチンを実行する(ステップ411)。次に、マイコン211は、竿伸縮検出ルーチンの実行結果で、伸縮センサの異常があったかどうかを判定する(ステップ412)。異常があった場合は、マイコン211は出力停止回路343にLow信号を出力することによりモータ153への電力の出力を停止し(ステップ433)、電子ブレーキ回路360にHigh信号を送出することによりブレーキをオンにし(ステップ434)、LED381を“異常表示”、即ち早い間隔の点滅で所定時間表示させる(ステップ435、436)。所定時間が経過したら、マイコン211は主電源自動停止回路203にHigh信号を出力することにより主電源を遮断させ(ステップ437)、電動刈払機1を停止させる。
ステップ412にて2つの伸縮センサの検出結果に異常が無い場合は、竿が伸長状態であるか否かを判定し(ステップ413)、竿が伸長状態にない場合は、マイコン211は出力停止回路343にLow信号を出力してモータ153の回転を停止させる(ステップ429)。さらに、電子ブレーキ回路360にHigh信号を送出することによりブレーキをオンにし(ステップ430)、LED381を“異常表示”、即ち早い間隔の点滅で所定時間表示させる(ステップ431)。そしてスイッチ21がオンのままの状態ならばステップ429に戻ってモータ153の停止状態を維持し、スイッチ21がオフの状態であればステップ411に戻る(ステップ432)。このように本実施例においては、竿が伸縮できる構成のため、竿の伸長状態から外れた場合には、スイッチ21が確実にオフにされるまではマイコン211がモータ153の停止状態を保つ。
ステップ413にて竿が伸びていると判定されたら、作業者によってスイッチ21がオンにされているかどうかを判定する(ステップ414)。スイッチ21がオンの場合は、マイコン211は、電子ブレーキ回路360への出力レベルをLowにしてブレーキをオフとし(ステップ415)、出力停止回路243にHigh信号を出力することによってモータ153への駆動電流を出力させる(ステップ416)。この結果、バッテリパック2からの電力が、図示していない昇圧回路を介してモータ153に供給されるので、モータ153がダイヤル20で設定された回転数で回転する。次に、マイコン211は電池電圧検出回路235の出力から電池が過放電状態かどうかを判断し(ステップ417)、過放電状態でない場合はステップ411に戻る。
以上のように制御することによって、モータ153が回転駆動されるが、この最中にステップ414にてスイッチ21が戻されたことを検出したら、又は、ステップ417にてバッテリパック2の過放電状態を検出したらモータ153への電力の出力を停止し(ステップ423)、電子ブレーキ回路360にHigh信号を送出することによりブレーキをオンにする(ステップ424)。次にマイコン211は、電池電圧検出回路235の出力から電池が過放電状態にあるかどうかを判定し(ステップ425)、過放電状態でなかったらステップ411に戻る。過放電状態であったらマイコン211はLED381を“過放電表示”、即ち遅い間隔の点滅で所定時間表示させる(ステップ426、427)。“過放電表示”を所定時間行ったら、マイコン211は主電源自動停止回路203にHigh信号を出力することにより主電源を遮断して、電動刈払機1を停止させる(ステップ428)。尚、ステップ424におけるブレーキ(ソフトブレーキ)は、竿の伸縮を検出したり、何らかの異常が発生した時のブレーキ(急ブレーキ)とは異なり急激に制動させる必要はない。逆に作業中に不用意にトリガレバー44を離してしまう癖を有するような作業者にとっては、ステップ424のブレーキを、急ブレーキでなくソフトな制動(利きが弱い制動)とする方が好ましい。そこで、ステップ424ではマイコン211から電子ブレーキ回路360にHigh信号を断続的に送出するようにして、ブレーキの強さを積極的に制御するようにした。このように時間間隔ごとに電子ブレーキ回路360にHigh信号を送出する時間間隔を制御することによって、ブレーキのきき具合を調整することができる。この調整はマイコン211によってソフトウェアで制御することができるので、高精度なブレーキ制御を行うことができる。
図13は、ステップ424における電子ブレーキ制御の手順を示すフローチャートである。これらの手順はマイコン211がコンピュータプログラムを実行することによりソフト的に制御することができる。まずマイコン211は、出力電圧検出回路390で検出される出力電圧(モータ153による逆起電力)が5%以下であるかどうかを判定する(ステップ461)。これはモータ153による逆起電力が5%以下になるほど減速されている場合であればモータ153がすぐに停止するので、電子ブレーキを掛ける必要がないからである。出力電圧が5%以下の場合は、マイコン211は電子ブレーキ回路360への出力レベルをLowにしてブレーキをオフとし(ステップ474)、図12のステップ424に戻る。出力電圧が5%より大きい場合は、マイコン211は内部に含まれるタイマを用いて、ブレーキを掛けるタイミングを遅延させるためのタイマをスタートさせる(ステップ462)。このように電子ブレーキをすぐにかけるのではなく、ワンテンポ遅延させてからブレーキを開始するようにしたのは、刈り払い作業時において竿を左右に振りながらトリガレバー44を頻繁に離してしまう癖を有する作業者がいた場合、そのような作業を行ったとしてもぎくしゃくしないようにするためである。ワンテンポ遅らせるための時間は0.3〜数秒程度で良く、例えば1秒又は1.5秒とする。
次に、マイコン211はトリガレバー44がオンにされたから否かを判定し(ステップ463)、トリガレバー44がオフのままである場合は、設定されている遅延時間が経過したか否かを判定し、経過していない場合はステップ463に戻る(ステップ464)。ステップ463において作業者が再びトリガレバー44を引いた場合、即ちブレーキをかける意思がなかった場合は、竿が伸長されているか否かを判定し(ステップ475)、竿が伸長状態の場合はバッテリパック2が過放電状態であるか否かを判定する(ステップ476)。ステップ475、476で竿が縮んでいる状態である場合、又はバッテリパック2が過放電である場合は、ステップ464に移行して電子ブレーキを継続させる。ステップ475で竿が伸びている状態であってバッテリパック2が過放電でない場合は、作業者はブレーキをかける意図でなく作業を継続させる意思があることを意味するので、ブレーキ遅延タイマをクリアして(ステップ477)、図12のステップ424に戻る。
次に、ステップ464で所定の遅延時間が経過したら、マイコン211はブレーキ遅延タイマをクリアし(ステップ465)、電子ブレーキ回路360にHigh信号を送出することによりブレーキをオンにする(ステップ466)。この際、マイコン211から送出されるブレーキ信号のPWM制御を行い、デューティ比10%で駆動する(ステップ466)。図14はこのPWM制御のしかたを説明する為の図である。図14(1)は、ステップ466で駆動されるデューティ比10%での制御状況を説明する図である。ブレーキ信号491は、マイコン211から電子ブレーキ回路360の送出される信号であって、図11から理解できるように、このブレーキ信号は抵抗器362を介してFET361、364のゲート信号に供給される。このブレーキ信号をデューティ比10%でPWM制御するとは、時間を100μ秒単位で10%に相当する時間だけ、つまり10μ秒だけHigh信号を送出して電子ブレーキをかける。残りの90μ秒はマイコンから電子ブレーキ回路360へ送出する信号をLowにする。この際のPWM制御の周波数は10KHzであって、この制御を繰り返し行う。尚、PWM制御のデューティ比は、0〜100%の間で任意に変更可能である。図14(2)はデューティ比50%の時のブレーキ信号492を示している。ブレーキ信号491は、デューティ比50%でPWM制御され、時間を100μ秒単位のうち50%に相当する時間だけ、つまり50μ秒だけHigh信号を送出して電子ブレーキをかける。残りの50μ秒はマイコンから電子ブレーキ回路360へ送出する信号をLowにする。
再び図13のステップ466に戻る。次にマイコン211はトリガレバー44がオンにされたから否かを判定し(ステップ467)、トリガレバー44がオフのままである場合は、出力電圧検出回路390で検出される出力電圧が15%以下に低下したかどうかを判定し、低下していない場合はステップ467に戻る(ステップ468)。ステップ467において作業者が再びトリガレバー44を引いた場合、即ちブレーキを解除する意思がある場合は、竿が伸長されているか否かを判定し(ステップ478)、竿が伸長状態の場合はバッテリパック2が過放電状態であるか否かを判定する(ステップ479)。ステップ478、479で竿が縮んでいる状態である場合、又はバッテリパック2が過放電である場合は、ステップ468に移行して電子ブレーキを継続させる。ステップ478で竿が伸びている状態であってバッテリパック2が過放電でない場合は、作業者はブレーキをかける意図でなく作業を継続させる意思があることを意味するのでブレーキをオフにし(ステップ480)、図12のステップ424に戻る。
ステップ468において出力電圧が15%以下に低下した場合は、電圧低下により電子ブレーキの利き具合が低下するので、PWM制御のデューティ比を増加させるが、その前に出力電圧検出回路390で検出される出力電圧(モータ153による逆起電力)が5%以下であるかどうかを判定する(ステップ469)。ここで5%以下になるほど減速されている場合であればモータ153がすぐに停止するので、マイコン211は電子ブレーキ回路360への出力レベルをLowにしてブレーキをオフとし(ステップ481)、図12のステップ424に戻る。ステップ469で5%以下になるほど減速されていない場合であれば、マイコン211は図14(2)で示すようにデューティ比を50%にしてブレーキを強くかけるように制御する(ステップ470)。
次に、マイコン211はトリガレバー44がオンにされたか否かを判定し(ステップ471)、トリガレバー44がオフのままである場合は、出力電圧検出回路390で検出される出力電圧が5%以下に低下したかどうかを判定し、低下していない場合はステップ471に戻る(ステップ472)。ステップ471において作業者が再びトリガレバー44を引いた場合、即ちブレーキを解除する意思がある場合は、竿が伸長されているか否かを判定し(ステップ482)、竿が伸長状態の場合はバッテリパック2が過放電状態であるか否かを判定する(ステップ483)。ステップ482、483で竿が縮んでいる状態である場合、又はバッテリパック2が過放電である場合は、ステップ472に移行して電子ブレーキを継続させる。ステップ482で竿が伸びている状態であってバッテリパック2が過放電でない場合は、作業者はブレーキをかける意図でなく作業を継続させる意思があることを意味するのでブレーキをオフにし(ステップ484)、図12のステップ424に戻る。ステップ472において出力電圧が5%以下に低下した場合は、マイコン211は電子ブレーキ回路360への出力レベルをLowにしてブレーキをオフとし(ステップ473)、図12のステップ424に戻る。
図13のフローチャートを用いて説明したように、第2の実施例によればマイコン211でPWM制御される電子ブレーキ回路360を設けて、必要なタイミングにおいて、必要な強さでソフトにブレーキをかけることができるように構成したので、モータの急激な起動及び停止によるモータの寿命低下や、バッテリパックの不要な消耗を防ぐことができる。尚、図13においてPWM制御のデューティ比を10%と50%としたが、これだけに限られずに複数のデューティ比を任意に選択して、又は連続可変に用いても良い。
以上、2つの実施例を用いて本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上記実施例では竿を構成する固定パイプ40と可動パイプ80は、略円筒形のパイプだとして説明したが、操作部10からのモータ153に供給する伸縮電線を内部に配置できるならば形状は円筒形にこだわる必要はなく、断面がその他の形状、例えば四角形あるいは多角形であっても良い。また、接続部50における可動パイプ80の固定方法は上述の実施例のような固定レバー62を用いた固定方法だけに限られずに、その他の公知の固定方法を用いて、可動パイプ80を固定パイプ40に対して軸方向に移動しないように固定しても良い。さらに、接続部50に配置される2つの伸縮検出手段は、スイッチ55やホールIC56だけに限られずに、その他の任意のセンサやスイッチを用いて構成しても良い。
また、上記実施例では、運転状態表示用のLED381によって、バッテリパック2の容量低下状態や、竿の伸縮状態異常、竿の伸縮検出手段の異常を表示するようにしたが、1つのLED381の点滅状態の違いだけによりこれらの状態を表示するのではなく、LEDの表示色で分けて表示するようにしても良いし、複数のLEDを設けて表示しても良い。また、操作パネル16上に液晶表示パネルを設けて詳細な情報を表示するようにしても良いし、スピーカーかブザーを設けて、音を発生させることで作業者に報知するようにしてもよい。
また上記実施例では、電動作業機の例として電動刈払機に適用した例を説明したが、本発明は刈払機だけに限られずに、伸縮式の竿の先端にモータにより駆動される作業機器が設けられた電動式の作業機器においても同様に適用できる。例えば図16(1)〜(4)に示すように、駆動部151の代わりに可動パイプ80の先端に様々な作業機器を取り付けた電動作業機が考えられる。図16(1)は、可動パイプ80の先端にヘッジトリマ駆動部551を取り付けた例である。ヘッジトリマ駆動部551には前後方向に往復移動する刈刃555が設けられ、草や枝をトリムする作業を行うことができる。図16(2)は、可動パイプ80の先端にポールソーヘッジトリマ駆動部651を設けた例である。ポールソーヘッジトリマ駆動部651においては小型のソーチェン655が回転することにより枝の切断作業等を行うことができる。図16(3)は、可動パイプ80の先端にカルチベータ駆動部751を設けた例である。カルチベータ駆動部751では数本の爪755が回転することによって表土を耕す作業を行うことができる。図16(4)は、可動パイプ80の先端にエッジャ駆動部851を設けた例である。エッジャ駆動部851では回転する切断刃855によって芝生のエッジ等をそろえる作業を行う事ができる。尚、本発明の電動作業機においては、竿の先端に種々の作業を行うための駆動部を設けられ、駆動される対象をモータで動作させる作業機あれば、その作業の種類は上述した例には限定されない。