JP6001875B2 - 狭開先溶接監視装置及び狭開先溶接監視方法 - Google Patents

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Description

本発明は、狭開先を溶接している状態を監視する監視装置及び監視方法に関し、特に、TIG溶接による狭開先溶接の溶接状態を監視する狭開先溶接監視装置及び狭開先溶接監視方法に関する。
従来、金属材を接合する方法として溶接が広く用いられているが、特に工業的に使用されるほとんどの金属や合金の接合が可能であることから、TIG溶接(Tungsten Inert Gas Arc Welding)が用いられる場合がある。
TIG溶接は、アルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをシールドガスとしてノズル内から噴流させ、そのシールドガス中で融点の高いタングステン電極(電極部材)と、接合したい被溶接部材との間にアークを発生させ、そのアークの熱により被溶接部材を溶融、接合する方法である。また、TIG溶接では、一般的に、溶接部における溶融池に溶加材(溶着金属)が供給されている。
このような溶接によって接合する被溶接部材には、例えば、大型圧力容器などに用いられる厚肉金属材(例えば、数百mm厚)がある。このような圧肉金属材を溶接接合する場合、厚肉金属材(被溶接部材)の間に狭い開先(例えば、十数mm)を設けて突合わせ、その狭い開先を底部から肉盛りして溶接する狭開先溶接によって接合される。
狭開先溶接とは、被溶接部材間に形成された狭い開先内に電極部材を備えた溶接トーチ及び溶加材(ワイヤー)を供給するワイヤーフィーダを挿入し、被溶接部材と電極部材との間に発生させたアークの熱により被溶接部材を溶融させると共に、溶加材を供給して狭開先を底部から肉盛りすることで被溶接部材を接合するものである。また、狭開先溶接は、狭い開先内を溶接するため、溶接トーチの先端で電極部材のみを狭開先の幅方向に揺動させて溶接している。
一方、大型圧力容器などは高所で狭開先溶接を行う場合もあり、上記TIG溶接の自動溶接装置(例えば、溶接ロボット)をカメラ映像などで監視できれば、高所作業の軽減や、一人の作業員(オペレータ)による複数台の同時操作による工数削減などを図ることができる。そのため、このような自動溶接装置では、TIG溶接によって狭開先溶接を自動溶接しながら、そのアークの発生している付近を監視し、溶接不良の発生を防止しようとしている。
狭開先溶接における溶接不良としては、例えば、電極部材が狭開先内で何れか一方の被溶接部材に片寄ると、電極部材から離れた方の壁面で溶接不良が発生する場合等がある。このような場合、溶接不良箇所を補修することになるが、局部的に加熱して溶融させ難い被溶接部材もあり、そのような場合は溶接品質を低下させる。
従って、高い溶接品質を確保するためには、狭開先内での溶接状態の監視が重要であり、そのためには、作業員が溶接状態を監視し、電極部材が一方の壁面に片寄って接近するようなことがあれば、電極部材の位置調整を行って左右均等な溶接が行われるようにしなければならない。この精度としては、例えば、約0.数mmの精度が要求される場合がある。
この種の先行技術として、例えば、狭開先内に溶接トーチを嵌入し、溶接部の近傍に不活性ガスを流して溶接部を空気から遮蔽して溶接し、その溶接部を、溶接トーチ近傍の被溶接部材上部に配置されたCCDカメラ(撮像装置)から下方に延設されて狭開先内に嵌入する細径で縦長の光伝導体の先端に設けられたプリズム(光反射手段)により、溶接部の画像光を溶接トーチ前方に配置された溶加材を供給するワイヤーフィーダの前方で光伝導体の導光部に向けて反射させ、その画像光をCCDカメラで監視するようにした溶接装置がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−220469号公報
しかしながら、上記溶接装置では、溶接状態を監視するために狭開先内に嵌入した光伝導体によって溶接部を前方の水平方向から監視しているため、ワイヤーフィーダの前方から溶接面に対して略水平方向にワイヤーフィーダ下方の溶接状態を監視することになる。
そのため、例えば、溶融池に対し溶加材が侵入する状態等は、ワイヤーフィーダの存在が邪魔になり、鮮明な画像(映像)を得ることができない。
また、ワイヤーフィーダの存在によって電極部材を鮮明に確認することが難しく、溶接部を監視して、例えば、約0.数mmの精度で電極部材を左右均等に揺動させて位置調整することは難しい。
このように、従来の溶接装置では、電極部材と被溶接部材との隙間の監視や、溶融池の状態の監視、溶加材と電極部材との位置関係などの溶接状態を鮮明な映像で監視することができず、溶接部における溶接品質を向上させることが難しい。
そこで、本発明は、狭開先溶接における溶接状態をより鮮明に撮像して監視することができる狭開先溶接監視装置及び狭開先溶接監視方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る狭開先溶接監視装置は、被溶接部材の間に形成された狭開先内に、電極部材を備えた溶接トーチと溶加材を供給するワイヤーフィーダとの先端部を溶接進行方向に所定間隔で挿入し、前記被溶接部材と電極部材との間にアークを発生させて狭開先を溶接する狭開先溶接監視装置であって、前記アークを発生させる溶接部を撮像する撮像手段を備え、前記撮像手段は、前記ワイヤーフィーダに対して溶接トーチと反対側の狭開先上方から前記溶接部を撮像するように配置されたレンズ部材を有し、前記レンズ部材は、前記ワイヤーフィーダの幅寸法よりも大きいレンズ面を有すると共に、レンズ面と前記溶接部との間にアーク光の光路が確保されるように、前記ワイヤーフィーダの近傍に配置されていることを特徴とする。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「撮像手段」は、前部にレンズ部材を有し、溶接部を撮影できるCCDカメラ等の手段をいう。
この構成により、撮像手段のレンズ部材をワイヤーフィーダに対して溶接トーチと反対側に配置しても、ワイヤーフィーダの幅寸法よりも大きなレンズ面に溶接部におけるアーク光の光路が確保されるようにレンズ部材をワイヤーフィーダの近傍に配置しているので、光量が非常に大きい溶接部のアーク光によってワイヤーフィーダの影が撮像結果に映り込まないようにでき、撮像手段ではレンズ面の一部に確保された光路によってアーク光中の溶接部の像が映り込んで溶接部を撮像できる。しかも、レンズ部材は、レンズ面の中央部において前記ワイヤーフィーダによって前記溶接部との間の光路が遮られ、撮像手段のレンズ部材で撮像する溶接部の像をほぼ左右対称で撮像して監視することができる。その上、溶接部における溶接状態を鮮明に撮像して監視することができ、溶接部における溶融池と電極部材及び溶加材の状態を全体的に監視して溶接品質の向上を図ることができる。
また、前記レンズ部材は、レンズ面の中央部において前記ワイヤーフィーダによって前記溶接部との間の光路が遮られ、レンズ面の側部において前記溶接部との間の光路が確保されるように配置されていてもよい。このように構成すれば、撮像手段のレンズ部材で撮像する溶接部の像をほぼ左右対称に撮像して監視することができる。
また、前記レンズ部材は、レンズ面と溶接部との間の光路が、溶接部における前記電極部材と溶加材との間の溶接進行方向中央部を臨むように配置されていてもよい。このように構成すれば、溶接部における溶融池と電極部材及び溶加材の状態を全体的に監視することができる。
また、前記レンズ部材のレンズ面は、前記ワイヤーフィーダによって遮られる部分に対し、溶接部のアーク光を受ける光路の部分の割合が、レンズ面における面積割合で20%〜50%であるようにしてもよい。このように構成すれば、狭開先の幅寸法や溶接部からのアーク光量等に応じて、アーク光を遮るワイヤーフィーダの幅寸法とレンズ面の大きさとを設定し、狭開先溶接に応じて鮮明な映像で溶接状態を監視できる構成とすることができる。
一方、本発明に係る狭開先溶接監視方法は、被溶接部材の間に形成された狭開先内に、電極部材を備えた溶接トーチと溶加材を供給するワイヤーフィーダとの先端部を溶接進行方向に所定間隔で挿入し、前記被溶接部材と電極部材との間にアークを発生させて狭開先を溶接する狭開先溶接において、前記アークを発生させる溶接部を撮像する撮像手段を、前記ワイヤーフィーダに対して溶接トーチと反対側の狭開先上方から前記溶接部を撮像するように配置し、前記撮像手段に備えさせたレンズ部材の前記ワイヤーフィーダの幅寸法よりも大きいレンズ面の中央部が前記ワイヤーフィーダによって前記溶接部との間の光路が遮られるように、レンズ部材を前記ワイヤーフィーダに対して溶接トーチと反対側で、且つ近傍に配置し、レンズ面の側部において確保される前記溶接部との間のアーク光の光路から映り込んだ溶接部の像によって溶接部を鮮明に撮像し、これにより溶接部を監視することを特徴とする。
この構成によれば、撮像手段のレンズ部材をワイヤーフィーダの溶接トーチと反対側に配置しても、ワイヤーフィーダの幅寸法よりも大きいレンズ面に溶接部との間の光路が確保されるようにレンズ部材とワイヤーフィーダの距離を接近させて配置することにより、光量が非常に大きい溶接部のアーク光によってワイヤーフィーダの影が撮像結果に映り込まないようにでき、撮像手段ではレンズ面の一部に確保された光路によって溶接部の像が映り込んで溶接部を撮像できる。しかも、レンズ部材は、レンズ面の中央部において前記ワイヤーフィーダによって前記溶接部との間の光路が遮られ、撮像手段のレンズ部材で撮像する溶接部の像をほぼ左右対称で撮像して監視することができる。その上、溶接部における溶接状態を鮮明に撮像して監視することができ、溶接部における溶融池と電極部材及び溶加材の状態を全体的に監視して溶接品質の向上を図ることができる。
また、前記レンズ面と溶接部との間の光路を溶接部における前記電極部材と溶加材との間の溶接進行方向中央部を臨む光路とし、撮像手段で溶融池と電極部材及び溶加材を監視するようにしてもよい。このように構成すれば、狭開先溶接における溶融池と電極部材及び溶加材の状態を全体的な映像として得て監視することができる。
本発明によれば、狭開先溶接における溶接状態を、溶接トーチと溶加材との間から溶融池を望む映像として得ることができ、溶接部をより鮮明に監視することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る狭開先溶接監視装置を側面から見た構成図である。 図1に示す狭開先を前方から見た拡大断面図である。 図1に示す狭開先溶接監視装置の狭開先溶接機で溶接する狭開先の上端部分を拡大して示す斜視図である。 図3に示す撮像手段と溶接部の光源との関係を示す模式図である。 図3に示す撮像手段のレンズ面と溶接部の光源との関係を示す模式図である。 図3に示す撮像手段で撮影してモニターに映った溶接部の映像を図面化した図面である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、狭開先溶接の一例として、狭開先の幅寸法Wを「1」とすると深さ寸法Hが約「15」の深い狭開先を例に説明する。また、狭開先溶接の進行方向を溶接進行方向Fで示す。
図1に示すように、狭開先溶接監視装置1は、被溶接部材(以下、「母材」ともいう)100の狭開先101に沿って設けられた走行レール12に沿って走行する走行台車10と、この走行台車10の前部に設けられた溶接トーチ20と、この溶接トーチ20の前部に設けられたワイヤーフィーダ30とを備えている。これら走行台車10、溶接トーチ20及びワイヤーフィーダ30が、TIG溶接を行う狭開先溶接機40の構成である。
走行台車10は、制御部と溶接機電源の機能を兼ね備えた制御装置50に配線51で接続されている。この走行台車10は、制御装置50からの信号によって、走行レール12上を車輪11で正確に走行する。制御装置50には、コントローラ52が配線53によって接続されており、このコントローラ52はモニター54と接続されている。モニター54は、後述する撮像手段たる溶接アーク監視用カメラ60と配線55で接続されており、溶接アーク監視用カメラ60からの映像が映るようになっている。このモニター54で溶接状態を監視し、コントローラ52によって、制御装置50を介して上記走行台車10、溶接トーチ20又はワイヤーフィーダ30の制御ができるようになっている。
また、上記溶接トーチ20は、母材100の狭開先101に挿入される挿入部分22が、狭開先101に挿入できるように溶接進行方向Fに長細い長円形断面で形成されている。この溶接トーチ20は、先端に設けられた電極部材(タングステン電極)21を狭開先101の幅方向に揺動させる機能を備えている。また、図では電極部材21を示しているが、電極部材21の周囲からシールドガスを供給するガス供給ノズル(図示略)も設けられており、TIG溶接を行う構成となっている。
さらに、上記ワイヤーフィーダ30も、挿入部分32は、狭開先101に挿入できるように溶接進行方向Fに長細い長円形断面で形成されている。このワイヤーフィーダ30は、挿入部分32の先端から必要量の溶加材(ワイヤー状溶加材)31を供給するようになっている。
このように溶接進行方向Fに走行台車10と溶接トーチ20とワイヤーフィーダ30とが所定間隔で配置され、走行台車10の前方に溶接トーチ20が配置され、溶接トーチ20の前方にワイヤーフィーダ30が配置されている。
そして、上記したように電極部材21を備えた溶接トーチ20の挿入部分22と溶加材31を供給するワイヤーフィーダ30の挿入部分32とが母材100の間に形成された狭開先101内に挿入される。その後、溶接トーチ20の電極部材21と母材100との間にアークを発生させて、このアークの熱により溶融した母材100とワイヤーフィーダ30から供給される溶加材31とによって狭開先101が肉盛りされて溶接接合される。図示するような狭開先101の場合、例えば、数百回の肉盛りによって母材100が溶接接合される。
このような狭開先溶接機40に、溶接部102を撮影するための撮像手段たる溶接アーク監視用カメラ60が設けられている。この溶接アーク監視用カメラ60は、上記ワイヤーフィーダ30の走行方向前方に設けられており、ワイヤーフィーダ30の前方に設けられた支持アーム65によって支持されている。また、溶接アーク監視用カメラ60は、狭開先101の幅方向中央部において、狭開先溶接機40の溶接進行方向Fに正対して配置されている。この溶接アーク監視用カメラ60によって撮影する範囲としては、上記電極部材21の先端と、上記ワイヤーフィーダ30によって供給されるワイヤー状溶加材31の先端との溶接進行方向Fの中央部Cを臨むように配置されている。つまり、溶接部102における電極部材21と溶加材31との間の中央部Cを中心とした範囲が撮影できるように配置されている。
このように溶接アーク監視用カメラ60を配置することで、後述するようにして、溶接トーチ20の電極部材21と、溶融池103(図6)と、ワイヤーフィーダ30から供給されるワイヤー状の溶加材31とが撮影できるようにしている。
また、上記溶接アーク監視用カメラ60のワイヤーフィーダ30に対する配置としては、例えば、レンズ部材61が、ワイヤーフィーダ30の前方に約50mm離れた位置に設けられる。このレンズ部材61の配置としては、後述するようにワイヤーフィーダ30の映り込みを防止するために約50mm以下が好ましい。
上記溶接アーク監視用カメラ60としては、CCDカメラ(例えば、ワイドダイナミックレンジ(例えば、120dB)のデイナイトカメラ等)を用いることができるが、溶接部102を撮影できる機能を備えた撮像手段であればよい。この溶接アーク監視用カメラ60のレンズ部材61の前方には、遮光フィルタ63が設けられている。遮光フィルタ63は、一般的に使用されている溶接用遮光フィルタ(例えば、TIG溶接用)が使用できる。この遮光フィルタ63は、ワイヤーフィーダ30に接する程度に近接して設けられている。
図2に示すように、この実施形態の狭開先101は、上記したように、開先の幅寸法Wを「1」とすると、深さ寸法Hが約「15」程度の非常に狭く深い開先となっている。図では、ワイヤーフィーダ30の挿入部分32と、この挿入部分22から供給されるワイヤー状の溶加材31とを示している。
図3は、溶接部102(図1)を撮影している状態の斜視図であり、図示するように、溶接アーク監視用カメラ60の前方に設けられた遮光フィルタ63には、溶接部102における溶接アーク70のアーク光71が狭開先101の上端から漏れて映る。上記したように、溶接アーク監視用カメラ60及び遮光フィルタ63は、狭開先101の幅方向中央部に位置するように配置されているので、電極部材21のアーク光71が狭開先101の幅方向中央部の時には、遮光フィルタ63に映るアーク光71は、図示するように、狭開先101の幅方向中央部に挿入されているワイヤーフィーダ30の影33が中央部に映り、その両側部に溶接アーク70のアーク光71が映った状態となる。
そして、この遮光フィルタ63に映る溶接アーク70のアーク光71とワイヤーフィーダ30の影33は、遮光フィルタ63の背面に設けられた溶接アーク監視用カメラ60のレンズ面62にも映っている。しかし、レンズ面62に映る溶接アーク70のアーク光71とワイヤーフィーダ30の影33とは光量差が非常に大きいため、レンズ部材61を介して溶接アーク監視用カメラ60によって映し出される映像は、溶接アーク70のアーク光71によって得られた映像がモニター54(図1)に映し出される。
つまり、溶接アーク監視用カメラ60に入るアーク光71は、非常に明るいが、逆にワイヤーフィーダ30の影33は非常に暗いため、溶接アーク監視用カメラ60として用いられる、例えば、デジタルカメラのDPSイメージセンサ等によって映し出される映像は、暗いワイヤーフィーダ30の影33が消えて、アーク光71からの情報が結像された映像となる。
そして、このアーク光71からの情報には、溶接部102における溶融池103、電極部材21及び溶加材31の情報が含まれており、これらの情報が溶接アーク監視用カメラ60によって映像として出力される。
このことを、図4,5に示す、上記溶接アーク70のアーク光71とワイヤーフィーダ30の影33と、溶接アーク監視用カメラ60のレンズ部材61又はレンズ面62との関係を模式的に示した図で説明する。図4に示すように、狭開先101の幅方向中央部分に溶接アーク70が位置するとした場合、この溶接アーク70からのアーク光71が溶接アーク監視用カメラ60のレンズ部材61に達すると、レンズ部材61にはワイヤーフィーダ30の影33が中央部に映るが、溶接アーク70のアーク光71がその両側部に映る。つまり、溶接部102と溶接アーク監視用カメラ60のレンズ面62との間に光路80が確保され、この光路80によって溶接部102における溶接アーク70からのアーク光71が溶接アーク監視用カメラ60のレンズ部材61に達している。
そして、上記したようにアーク光71の光量がワイヤーフィーダ30の影33の部分に比べて非常に大きな光量であるため、溶接アーク監視用カメラ60から出力される映像が光路80から得られる溶接アーク70からのアーク光71の映像のみとなって出力される。上記光路80としては、レンズ面62における面積割合で20%〜50%あれば、光路80から得られる映像のみとなって出力される。
また、図5に示すように、円形のレンズ面62に対する溶接アーク70からのアーク光71を考えた場合も、レンズ面62の中央部にワイヤーフィーダ30の影33が映り、その両側部に溶接アーク70のアーク光71が映り、そのアーク光71の外側に狭開先101の上端の母材100の影104が映ることになる。つまり、溶接部102と溶接アーク監視用カメラ60のレンズ面62との間に光路80が確保されている。従って、上記したように、レンズ面62に映ったアーク光71がワイヤーフィーダ30の影33に比べて非常に大きな光量であるため、溶接アーク監視用カメラ60によって出力される映像はアーク光71の映像のみとなり、あたかもワイヤーフィーダ30が存在しないような映像として出力することができる。
図6は、上記モニター54(図1)に出力された映像のある瞬間を図面化したものである。上記したように、溶接アーク監視用カメラ60をワイヤーフィーダ30に極めて近い位置で、溶接進行方向Fに正対して配置することで、レンズ部材61のレンズ面62には一部分(中央部分)にワイヤーフィーダ30の映像(アーク光の影33となる部分)が入るが、他の一部分にはアーク光71によって溶接アーク70の映像が入る。
そして、アーク光71の光量は、ワイヤーフィーダ30の影33の部分に比べて非常に大きな光量であるため、図示するように、溶接アーク監視用カメラ60から出力される映像がアーク光71から得られる映像のみとなって出力される。
つまり、溶接アーク監視用カメラ60に入ったアーク光71とワイヤーフィーダ30の影33は明暗差が大きいため、この溶接アーク監視用カメラ60によって出力される映像としてはアーク光71によるものが支配的となる。これに加え、レンズによって集光される際の光路の屈折により、カメラから臨んでワイヤーフィーダの裏側に存在する電極部材21、溶融池103及び溶加材31等が結像された映像として撮影可能となる。
この得られる映像は、溶接アーク監視用カメラ60の前面に位置するワイヤーフィーダ30に隠れたワイヤー状溶加材31の先端部分の映像も映る。これは、ワイヤーフィーダ30の影33の両側部から得られる溶接アーク70のアーク光71から得られる映像が、レンズ部材61によって溶接部102の像として結像されて出力させるものである。
そして、この出力された映像によれば、溶接部102における溶融池103と、この溶融池103に上方に電極部材21が位置し、下方に溶加材31が位置するような状態で鮮明な映像として得ることができる。
従って、溶接部102における鮮明な映像で溶接状態を監視することができ、狭開先溶接のように、例えば、数百回の溶接を繰り返して肉盛りが完了するような溶接を自動化する場合でも、溶接状態を鮮明な映像で監視して溶接品質の向上を図ることができる。
以上のように、上記狭開先溶接監視装置1によれば、狭開先溶接機40による溶接状態の監視を遠隔操作による鮮明な映像で行うことができるので、高所作業等の軽減が可能となる。また、遠隔操作によって溶接状態を鮮明な映像で監視できるので、一名の作業員でも複数台の同時監視が可能となり、工数の削減ができる。しかも、モニター54で溶接映像を監視するので、熟練技能者による複数台の溶接管理が可能となる。その上、映像による溶接状態の記録、管理もできる。
なお、上記実施形態では、狭開先の幅寸法が「1」に対して深さ寸法が約「15」の例を説明したが、狭開先101の寸法関係は上記実施形態に限定されるものではない。
また、上記狭開先101の幅寸法Wに対する溶接アーク監視用カメラ60のレンズ面62の大きさも一例であり、上記実施形態に限定されるものではない。
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
本発明に係る狭開先溶接監視装置は、大型圧力容器などに用いられる厚肉金属材を狭開先で溶接する場合に利用できる。
1 狭開先溶接監視装置
10 走行台車
20 溶接トーチ
21 電極部材(タングステン電極)
22 挿入部分
30 ワイヤーフィーダ
31 溶加材(ワイヤー状溶加材)
32 挿入部分
33 影
40 狭開先溶接機
50 制御装置
51 配線
52 コントローラ
53 配線
54 モニター
55 配線
60 溶接アーク監視用カメラ(撮像手段)
61 レンズ部材
62 レンズ面
63 遮光フィルタ
65 支持アーム
70 溶接アーク
71 アーク光
80 光路
100 母材(被溶接部材)
101 狭開先
102 溶接部
103 溶融池
W 幅寸法(狭開先)
H 深さ寸法(狭開先)

Claims (4)

  1. 被溶接部材の間に形成された狭開先内に、電極部材を備えた溶接トーチと溶加材を供給するワイヤーフィーダとの先端部を溶接進行方向に所定間隔で挿入し、前記被溶接部材と電極部材との間にアークを発生させて狭開先を溶接する狭開先溶接監視装置であって、
    前記アークを発生させる溶接部を撮像する撮像手段を備え、
    前記撮像手段は、溶接進行方向に前記溶接トーチ及び前記ワイヤーフィーダと所定間隔で配置されて一体的に移動するように構成され、
    前記撮像手段は、前記ワイヤーフィーダに対して溶接トーチと反対側の狭開先上方から前記溶接部を撮像するように配置されたレンズ部材を有し、
    前記レンズ部材は、前記ワイヤーフィーダの幅寸法よりも大きいレンズ面を有すると共に、前記レンズ面と前記溶接部との間にアーク光の光路が確保されるように、前記ワイヤーフィーダの近傍に配置され、且つ、前記レンズ部材は、前記レンズ面の中央部において前記ワイヤーフィーダによって前記溶接部との間の光路が遮られ、前記レンズ面の側部において前記溶接部との間の光路が確保されており、さらに、前記レンズ部材は、前記レンズ面と溶接部との間の光路が、前記溶接部における前記電極部材と前記溶加材との間の溶接進行方向中央部を臨むように配置されていることを特徴とする狭開先溶接監視装置。
  2. 前記レンズ部材のレンズ面は、前記ワイヤーフィーダによって遮られる部分に対し、溶接部のアーク光を受ける光路の部分の割合が、レンズ面における面積割合で20%〜50%である請求項1に記載の狭開先溶接監視装置。
  3. 被溶接部材の間に形成された狭開先内に、電極部材を備えた溶接トーチと溶加材を供給するワイヤーフィーダとの先端部を溶接進行方向に所定間隔で挿入し、前記被溶接部材と電極部材との間にアークを発生させて狭開先を溶接する狭開先溶接において、
    前記アークを発生させる溶接部を撮像する撮像手段を、前記ワイヤーフィーダに対して溶接トーチと反対側の狭開先上方から前記溶接部を撮像するように配置し、
    前記撮像手段を、溶接進行方向に前記溶接トーチ及び前記ワイヤーフィーダと所定間隔で配置して一体的に移動するようにし、
    前記撮像手段に備えさせたレンズ部材の前記ワイヤーフィーダの幅寸法よりも大きいレンズ面の中央部が前記ワイヤーフィーダによって前記溶接部との間の光路が遮られるように、前記レンズ部材を前記ワイヤーフィーダに対して溶接トーチと反対側で、且つ近傍に配置し、
    さらに、前記レンズ部材の前記レンズ面の側部において前記溶接部との間の光路が確保され、且つ前記レンズ部材を、前記レンズ面と溶接部との間の光路が、前記溶接部における前記電極部材と前記溶加材との間の溶接進行方向中央部を臨むように配置し、
    レンズ面の側部において確保される前記溶接部との間のアーク光の光路から映り込んだ溶接部の像によって溶接部を鮮明に撮像し、これにより溶接部を監視することを特徴とする狭開先溶接監視方法。
  4. 記撮像手段で溶融池と前記電極部材及び前記溶加材を監視するようにした請求項3に記載の狭開先溶接監視方法。
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