図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態によるショベルの側面図である。図1に示すショベルはハイブリッド型ショベルであるが、本発明はハイブリッド型ショベルに限られず、電気負荷の駆動用電源として蓄電器を備えているものであれば、どのような型のショベルにも適用することができる。
図1に示すように、ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4、アーム5、及びバケット6と、これらを油圧駆動するためのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が設けられる。また、上部旋回体3には、キャビン10及び動力源が搭載される。
図2は、図1に示すショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図2では、機械的動力系を二重線、高圧油圧ラインを太い実線、パイロットラインを破線、電気駆動・制御系を一点鎖線でそれぞれ示す。
機械式駆動部としてのエンジン11及びアシスト駆動部としての電動発電機12は、ともに変速機13の入力軸に接続されている。変速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。
コントロールバルブ17は、油圧系の制御を行う制御装置である。コントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
電動発電機12には、インバータ18を介して、蓄電用のキャパシタ又はバッテリである蓄電器を含む蓄電装置120が接続されている。本実施形態では蓄電装置120は蓄電器として電気二重層キャパシタ(Electric Double Layer Capacitor(EDLC))等のキャパシタを含むものとする。また、蓄電装置120には、インバータ20を介して旋回用電動機21が接続されている。また、上述では蓄電器としてキャパシタを例として示したが、キャパシタの代わりに、リチウムイオン電池(Lithium Ion Battery(LIB))等の充電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。
操作装置26には、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及びレバー操作検出部としての圧力センサ29がそれぞれ接続される。この圧力センサ29には、電気系の駆動制御を行うコントローラ30が接続されている。
インバータ18は、上述の如く電動発電機12と蓄電装置120との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。これにより、インバータ18は、電動発電機12が力行運転をする際には、必要な電力を蓄電装置120から電動発電機12に供給できる。また、電動発電機12が回生運転をする際には、電動発電機12により発電された電力を蓄電装置120の蓄電器に蓄電できる。
蓄電装置120は、インバータ18とインバータ20との間に配設されている。これにより、電動発電機12と旋回用電動機21の少なくともどちらか一方が力行運転を行っている際には、蓄電装置120は、力行運転に必要な電力を供給できる。また、蓄電装置120は、少なくともどちらか一方が回生運転を行っている際には、回生運転によって発生した回生電力を電気エネルギとして蓄積できる。
インバータ20は、上述の如く旋回用電動機21と蓄電装置120との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、旋回用電動機21の運転制御を行う。これにより、インバータ20は、旋回用電動機21が力行運転をする際には、必要な電力を蓄電装置120から旋回用電動機21に供給できる。また、旋回用電動機21が回生運転をする際には、旋回用電動機21により発電された電力を蓄電装置120の蓄電器に蓄電できる。
なお、蓄電装置120の蓄電器の充放電制御は、蓄電器の充電状態、電動発電機12の運転状態(力行運転又は回生運転)、旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、コントローラ30によって行われる。
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う制御装置であり、駆動制御部32、電動旋回制御部40、及び主制御部60を含む。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。駆動制御部32、電動旋回制御部40及び主制御部60は、コントローラ30のCPUが内部メモリに格納される駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される機能要素である。
また、コントローラ30は、圧力センサ29から入力される信号を速度指令に変換する演算処理部(図示せず。)を備える。これにより、レバー26Aの操作量は、旋回用電動機21を回転駆動させるための速度指令(rad/s)に変換される。この速度指令は、駆動制御部32、電動旋回制御部40及び主制御部60に入力される。
駆動制御部32は、電動発電機12の運転制御(力行運転又は回生運転の切り替え)、及び、蓄電器の充放電制御を行うための制御装置である。駆動制御部32は、エンジン11の負荷の状態と蓄電器の充電状態に応じて、電動発電機12の力行運転と回生運転を切り替える。駆動制御部32は、電動発電機12の力行運転と回生運転を切り替えることにより、インバータ18を介して蓄電器の充放電制御を行う。
図3は、蓄電装置120の回路図である。蓄電装置120は、蓄電器としてのキャパシタ19と、昇降圧コンバータ100とDCバス110とを含む。DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ電圧値を検出するためのキャパシタ電圧検出部112と、キャパシタ電流値を検出するためのキャパシタ電流検出部113が設けられている。キャパシタ電圧検出部112とキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電圧値とキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。DCバス110は、インバータ18及び20と昇降圧コンバータ100との間に配設されており、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を行う。
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112によって検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電流値に基づいて行われる。
以上のような構成において、アシストモータである電動発電機12が発電した電力は、インバータ18を介して蓄電装置120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。旋回用電動機21が回生運転して生成した回生電力は、インバータ20を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。
昇降圧コンバータ100は、リアクトル101、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)102A、降圧用IGBT102B、キャパシタ19を接続するための電源接続端子104、及び、インバータ18、20を接続するための出力端子106を備える。昇降圧コンバータ100の出力端子106とインバータ18、20との間は、DCバス110によって接続される。
リアクトル101の一端は昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bの中間点に接続され、他端は電源接続端子104に接続される。リアクトル101は、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス110に供給するために設けられている。
昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子(スイッチング素子)である。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、コントローラ30により、ゲート端子にPWM電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bには、整流素子であるダイオード102a及び102bが並列接続される。
キャパシタ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図3には、蓄電器としてキャパシタ19を示すが、キャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いてもよい。
電源接続端子104は、キャパシタ19が接続可能な端子であればよく、出力端子106は、インバータ18、20が接続可能な端子であればよい。一対の電源接続端子104の間には、キャパシタ電圧を検出するキャパシタ電圧検出部112が接続される。一対の出力端子106の間には、DCバス電圧を検出するDCバス電圧検出部111が接続される。
キャパシタ電圧検出部112は、キャパシタ19の電圧値Vcapを検出する。DCバス電圧検出部111は、DCバス110の電圧値Vdcを検出する。平滑用のコンデンサ107は、出力端子106の正極端子と負極端子との間に挿入され、DCバス電圧を平滑化するための蓄電素子である。この平滑用のコンデンサ107によって、DCバス110の電圧は予め定められた電圧に維持されている。
キャパシタ電流検出部113は、キャパシタ19の正極端子(P端子)側においてキャパシタ19に流れる電流の値を検出する検出手段である。すなわち、キャパシタ電流検出部113は、キャパシタ19の正極端子に流れる電流値I1を検出する。
昇降圧コンバータ100において、DCバス110を昇圧する際には、昇圧用IGBT102Aのゲート端子にPWM電圧が印加され、降圧用IGBT102Bに並列に接続されたダイオード102bを介して、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がDCバス110に供給される。これにより、DCバス110が昇圧される。
DCバス110を降圧する際には、降圧用IGBT102Bのゲート端子にPWM電圧が印加され、インバータ18、20を介して供給される回生電力がDCバス110から降圧用IGBT102Bを通ってキャパシタ19に供給される。これにより、DCバス110に蓄積された電力がキャパシタ19に充電され、DCバス110が降圧される。
本実施形態では、キャパシタ19の正極端子を昇降圧コンバータ100の電源接続端子104に接続する電源ライン114に、当該電源ライン114を遮断することのできる遮断器としてリレー130−1が設けられる。リレー130−1は、電源ライン114へのキャパシタ電圧検出部112の接続点115とキャパシタ19の正極端子との間に配置されている。リレー130−1はコントローラ30からの信号により作動し、キャパシタ19からの電源ライン114を遮断することで、キャパシタ19を昇降圧コンバータ100から切り離すことができる。
また、キャパシタ19の負極端子を昇降圧コンバータ100の電源接続端子104に接続する電源ライン117に、当該電源ライン117を遮断することのできる遮断器としてリレー130−2が設けられる。リレー130−2は、電源ライン117へのキャパシタ電圧検出部112の接続点118とキャパシタ19の負極端子との間に配置されている。リレー130−2はコントローラ30からの信号により作動し、キャパシタ19からの電源ライン117を遮断することで、キャパシタ19を昇降圧コンバータ100から切り離すことができる。なお、リレー130−1とリレー130−2を一つのリレーとして正極端子側の電源ライン114と負極端子側の電源ライン117の両方を同時に遮断してキャパシタ19を切り離すこととしてもよい。
なお、実際には、コントローラ30と昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bとの間には、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bを駆動するPWM信号を生成する駆動部が存在するが、図3では省略する。このような駆動部は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
図4は、キャパシタ19の構成を示す概略図である。図4に示すように、蓄電器としてのキャパシタ19は、複数の蓄電部としてのn個のキャパシタセル(以下、「蓄電セル」或いは単に「セル」と称する。)19−1〜19−n(nは2以上の整数)と蓄電管理装置140とを含む。なお、図4では、電気駆動系を実線、電気制御系を破線でそれぞれ示す。
蓄電管理装置140は、キャパシタ19の蓄電を管理する装置であり、主に、均等化回路部141−1〜141−n及び均等化制御部142を含む。本実施形態では、蓄電管理装置140は、ショベルがキーオン状態であるときに、キャパシタ19から電力の供給を受けて動作可能な状態となる。なお、蓄電管理装置140は、24Vバッテリ等の外部バッテリから電力の供給を受けてもよい。また、蓄電管理装置140は、コントローラ30から離間して配置され、CAN等の通信規格に準拠する通信線145を介してコントローラ30に接続される。なお、蓄電管理装置140とコントローラ30とは無線通信を介して接続されてもよい。
本実施形態では、n個のセル19−1〜19−nの全ては直列に接続され、全てのセルに対して一つの蓄電管理装置140が設けられている。しかしながら、直列に接続されたセルを一つのグループとし、複数のグループが直列又は並列に接続され、グループ毎に一つの蓄電管理装置が設けられてもよい。また、複数の蓄電管理装置を制御する上位の蓄電管理装置が設けられてもよい。
なお、以下の説明では、便宜上、全てのセル19−1〜19−nをまとめてセル19−nと称することもあり、各セルを19−nと称することもある。均等化回路部141−1〜141−n、並びに、各均等化回路部141−nの構成要素である後述のバランス用スイッチ146−1〜146−n、放電抵抗148−1〜148−n、及び電圧測定部149−1〜149−n等についても同様である。
均等化回路部141−nは、均等化機能を実現する電気回路である。本実施形態では、均等化回路部141−nは、均等化制御部142−nによる制御の下で均等化機能を実行する。均等化機能は、セル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧のバラツキを小さくするためにセル19−1〜19−nの一部又は全部を放電させる機能である。
具体的には、均等化回路部141−nのそれぞれは、対応する1つのセル19−nの両端に接続されている。例えば、図4に示すように、特定のセル19−m(mは1以上n以下の整数)の2つの電極は均等化回路部141−mに接続されている。また、均等化回路部141−mは、バランス用スイッチ146−m及び放電抵抗148−mを有する。また、均等化回路部141−mは、セル19−mの2つの電極の間でバランス用スイッチ146−m及び放電抵抗148−mを直列に、且つ、セル19−mに対して並列に接続する。また、均等化回路部141−mは、セル19−mの電極間電圧を測定する電圧測定部149−mを含む。また、均等化回路部141−nのそれぞれは、1又は複数のセルグループの両端に接続されてもよい。なお、セルグループは、直列に接続された複数のセル19−nのグループである。
バランス用スイッチ146−nは、均等化のためのセル19−nの放電を制御する開閉器であり、ON(導通)状態のときにセル19−nを放電させ、OFF(遮断)状態のときにセル19−nの放電を停止させる。本実施形態では、バランス用スイッチ146−nは、FET(電界効果トランジスタ)で構成され、均等化制御部142からの制御信号に応じてON(導通)状態とOFF(遮断)状態とが切り替わる。
均等化制御部142は、均等化機能を制御する装置である。本実施形態では、均等化制御部142は、均等化回路部141−1〜141−nのそれぞれを制御する。具体的には、均等化制御部142は、均等化回路部141−1〜141−nからキャパシタセル19−1〜19−nのセル電圧測定値を個別に取得する。なお、キャパシタセル19−1〜19−nのセル電圧の測定値(検出値)は、電圧測定部149−1〜149−nによって個別に測定(検出)される。また、均等化制御部142は、バランス用スイッチ146−1〜146−nに対して制御信号を出力し、バランス用スイッチ146−1〜146−nのON(導通)/OFF(遮断)状態を個別に制御する。
より具体的には、均等化制御部142は、CAN等の通信規格に準拠する通信を介して均等化回路部141−1〜141−nのそれぞれに接続される。そして、均等化制御部142は、所定の周期で均等化回路部141−1〜141−nのそれぞれからセル電圧測定値を取得する。そして、均等化制御部142は、取得した1セットのセル電圧測定値の最大値、最小値、平均値等の統計値を算出し、算出した統計値をコントローラ30に対して出力する。1セットのセル電圧測定値は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれの直近のセル電圧測定値で構成される。なお、均等化制御部142は、取得したセル電圧測定値をそのままコントローラ30に対して出力してもよい。
また、均等化制御部142は、コントローラ30からの均等化開始指令(バランス開始指令)に応じて、キャパシタセル19−1〜19−nのうち所定条件を満たすセルに対応するバランス用スイッチ146−nに対して均等化開始信号(バランス開始信号)を出力する。例えば、均等化制御部142は、セル電圧が所定電圧V0より高いキャパシタセル19−nに対応するバランス用スイッチ146−nに対してバランス開始信号を出力する。所定電圧V0は、予め設定された電圧値であってもよく、均等化制御部142が算出したセル電圧の統計値(例えば平均値である。)であってもよい。
バランス開始信号を受けたバランス用スイッチ146−nは、キャパシタ19の充放電が行われているか否かにかかわらず、ON(導通)状態に切り替わり、対応するキャパシタセル19−nを放電させる。また、コントローラ30は、キーオン中に電力供給を受けて作動し、キーオフ中に電力供給が遮断されて停止する。そのため、キーオフ中にバランス用スイッチ146−nがバランス開始信号を受けることはない。しかしながら、キーオフ前にバランス開始信号を受けていた場合、バランス用スイッチ146−nは、キーオフ後もON(導通)状態を維持し、対応するキャパシタセル19−nの均等化(放電)を継続する。なお、「キーオン」は、ショベルを作動させた状態を意味し、例えば、エンジン作動中を含む。また、「キーオフ」は、キーオン以外の状態、すなわち、ショベルの作動を停止させた状態を意味する。
また、均等化制御部142は、コントローラ30からの均等化停止指令(バランス停止指令)に応じて、放電を開始させたキャパシタセル19−nに対応するバランス用スイッチ146−nの全てに対して均等化停止信号(バランス停止信号)を出力する。この場合、バランス停止信号を受けたバランス用スイッチ146−nは、対応するキャパシタセル19−nのセル電圧の大きさにかかわらず、OFF(遮断)状態に切り替わり、対応するキャパシタセル19−nの放電を停止させる。
また、均等化制御部142は、放電を開始させたキャパシタセル19−nのセル電圧がキーオン中に所定電圧V0まで低下すると、コントローラ30からのバランス停止指令の有無にかかわらず、そのキャパシタセル19−nに対応するバランス用スイッチ146−nに対してバランス停止信号を出力する。バランス停止信号を受けたバランス用スイッチ146−nは、OFF(遮断)状態に切り替わり、対応するキャパシタセル19−nの放電を停止させる。
また、均等化制御部142は、キーオフ中においては、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧のバラツキが所定レベル未満となるまで、放電を開始させたキャパシタセル19−nの放電を継続させてもよい。具体的には、均等化制御部142は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧の最大セル電圧と最小セル電圧との差であるバラツキ幅が所定電圧Vth未満となるまで放電を開始させたキャパシタセル19−nの放電を継続させてもよい。
次に、コントローラ30の主制御部60について説明する。主制御部60は、ショベルの動きを制御する機能要素であり、下位の機能要素として均等化要否判定部600を含む。
均等化要否判定部600は、蓄電器における複数のセルのセル電圧の均等化の要否を判定する機能要素である。本実施形態では、均等化要否判定部600は、キーオン中にキャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧の均等化の要否を判定する。
具体的には、均等化要否判定部600は、同じ条件で測定されたキャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれの同じ条件で算出される静電容量に基づいて、セル電圧の均等化の要否を判定する。なお、均等化要否判定部600は、セル電圧に関する情報を蓄電管理装置140の均等化制御部142から取得する。また、セル電圧に関する情報は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧測定値、並びに、1セットのセル電圧測定値の最大値、最小値、及び平均値のうちの少なくとも1つを含む。
「同じ条件で算出される」は、セル電圧を大きく変動させる要因が存在しない状態で測定されること、例えば、キャパシタ19の充放電が行われていない状態で算出されることを含む。なお、「同じ条件で算出される」は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧が異なるタイミングで測定されることを許容する。本実施形態では、均等化制御部142は、所定の周期で、均等化回路部141−1〜141−nのそれぞれからセル電圧測定値を取得するためである。
本実施形態では、均等化要否判定部600は、キャパシタ19の充放電が行われていない状態のときに測定されたセル電圧に関する情報を用いる。なお、均等化要否判定部600は、「同じ条件で算出される」のであれば、例えば充放電量が小さい状態等、充放電が僅かに行われている状態のときに測定されたセル電圧に関する情報を用いてもよい。
また、均等化要否判定部600は、ショベルの誤動作を防ぐためのゲートレバーの状態に基づいて、充放電が行われていない状態を判定することとしてもよい。具体的には、均等化要否判定部600は、ゲートレバーがオフ状態であれば、充放電が行われていない状態であると判定してもよい。なお、ゲートレバーのオフ状態は、ゲートレバーが開かれた状態であり、各種操作レバーの操作が無効とされる状態である。また、ゲートレバーのオフ状態において、均等化要否判定部600は、昇降圧コンバータ100の制御を停止させ、DCバス110における電圧の変動がキャパシタ19の電圧に影響するのを防止してもよい。
ここで、上述のゲートレバーに関して、図5を参照しながら説明する。図5はショベルの運転席及びその周辺を示す図であり、(a)は運転席及びその周辺の斜視図、(b)は、運転席の左側に配置されているコンソールを示す側面図である。
キャビン10内に配設された運転席10Aの両側には、一対のコンソール10Bが配置されている。左側のコンソール10Bには、操作レバー26Aが設けられ、右側のコンソール10bには操作レバー26Bが設けられている。運転者は、運転席10Aの左側から乗降するようになっている。図5(b)に示すように、左側のコンソール10Bには、ゲートロック操作部70が設けられている。
図5(b)に示すように、左側のコンソール10Bに配設されるゲートロック操作部70は、ゲートロック操作レバー70A、ゲートレバー70B、及びリミットスイッチ70Cを備える。
ゲートロック操作部70は、上部旋回体3のキャビン10内に配設される運転席10Aの脇に配置されており、運転席への乗降部に配設されるゲートレバー70Bを開閉操作するための操作部である。ゲートレバー70Bとゲートロック操作レバー70Aはワイヤで接続されており、ゲートロック操作レバー70Aを操作することで、ゲートレバー70Bを操作することができる。ゲートロックレバー60Aが引き倒されるとゲートレバー70Bはコンソール10Bから前方に張り出した状態(ゲートを閉じた状態:図5(b)において実線で示す状態)となる。一方、ゲートロック操作レバー70Aが前方に押されると、ゲートレバー70Bはコンソール10Bに収容された状態(ゲートを開いた状態:図5(b)において破線で示す状態)となる。ゲートレバー70Bがコンソール10Bから前方に張り出した状態では、ゲートレバー70Bが邪魔になり、運転者は運転席10Aへの乗り降りはできない。ゲートレバー70Bがコンソール10Bに収容された状態とすることで、運転者は運転席10Aに乗り降りすることができるようになる。
リミットスイッチ70Cは、ゲートロック操作レバー70Aの操作を検出するためのセンサである。ゲートロック操作レバー70Aが引き倒されてゲートレバー70Bによりゲートを閉じた状態となると、リミットスイッチ70Cはオンになる。一方、ゲートロック操作レバー70Aが前方に押されてゲートレバー70Bによりゲートを開いた状態となると、リミットスイッチ70Cはオフとなる。
リミットスイッチ70Cは、パイロットポンプ15から操作装置26にパイロット圧を伝達するパイロットライン25に設けられた遮断弁に接続されている。この遮蔽弁は、リミットスイッチ70Cから供給される電気信号に応じて、連通状態/遮断状態の切り替えを行なう。ショベルの使用時は遮蔽弁は連通状態にされてパイロット圧が操作装置26に供給される。ショベルの不使用時は遮蔽弁は遮断状態にされ、パイロット圧は操作装置26へ供給されない。
リミットスイッチ70Cがオンになると、遮断弁のリレーはオンになり、リミットスイッチ70Cがオフになると、リレーはオフになる。このように、遮断弁は、リミットスイッチ70Cによって切り替えられる。なお、リミットスイッチ70Cのオン/オフを表す信号は、コントローラ30にも入力される。
ゲートロック操作レバー70Aが引き倒されてゲートレバー70Bによりゲートが閉じられた状態では、リレーがオンにされて遮断弁が連通状態にされるので、ショベルは操作可能(運転可能)な状態になる。
一方、ゲートロック操作レバー70Aが前方に押されてゲートレバー70Bによりゲートが開かれた状態では、リレーがオフにされて遮断弁が遮断状態にされるので、ショベルの各部は操作不能(運転不可能)な状態になる。したがって、ショベルがキーオン状態であっても、ゲートレバー70Bによりゲートが開かれた状態(ゲートレバー70Bがオフ状態と称する)では、運転者が操作レバーを操作してもショベルの作業要素は駆動されない状態である。したがって、蓄電装置120の充放電を制御するコンバータ100の制御を停止しても差し支えないこととなる。そこで、ショベルがキーオン状態であっても、ゲートレバー70Bによりゲートが開かれた状態(ゲートレバー70Bがオフ状態)において、コントローラ30からコンバータ20へ旋回用電動機21の運転制御指令が送信されず、また、コントローラ30からコンバータ100へ充放電の制御指令が送信されないため、ショベルがキーオン状態であっても蓄電装置120に対して充放電が行なわれない状態を実現することができる。また、蓄電装置120に対して充放電が行なわれない状態を実現するための他の方法として、ゲートレバー70Bによりゲートが開かれた状態で、リレー130−1、130−2の少なくともいずれか一方を、オフにしてもよい。
ここで、図4に戻って主制御部60の機能について更に説明する。主制御部60に含まれる均等化要否判定部600は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれの静電容量を個別に算出する。そして、算出した各セル19−nの現在の静電容量Cnに基づいてそのセル19−nの劣化度を判定し、セル電圧の均等化の要否を判定する。
具体的には、均等化要否判定部600は、例えば、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれの直近の静電容量算出値が所定の閾値以下の場合に、セルの劣化のバラツキが大きいと判断し、セル電圧の均等化が必要であると判定する。
均等化要否判定部600は、セル電圧の均等化が必要と判定した場合、蓄電管理装置140の均等化制御部142に対してバランス開始指令を出力する。一方、均等化要否判定部600は、セル電圧の均等化が不要と判定した場合、蓄電管理装置140の均等化制御部142に対してバランス停止指令を出力する。なお、均等化要否判定部600は、セル電圧の均等化の要否の判定結果に応じてバランス開始指令又はバランス停止指令を二者択一的に出力するのではなく、別の手順でバランス開始指令又はバランス停止指令を出力するようにしてもよい。
バランス開始指令を受けた均等化制御部142は、上述のように、キャパシタセル19−1〜19−nのうち所定条件を満たすセルに対応するバランス用スイッチ146−nに対してバランス開始信号を出力する。また、バランス停止指令を受けた均等化制御部142は、放電を開始させたキャパシタセル19−nに対応するバランス用スイッチ146−nに対してバランス停止信号を出力する。なお、バランス停止指令を受けた均等化制御部142は、キャパシタセル19−1〜19−nの全てに対してバランス停止信号を出力してもよい。
図6は、均等化要否判定部600を含む主制御部60と均等化制御部142を含む蓄電管理装置140との接続を示すブロック図である。
蓄電管理装置140の均等化回路部141−1〜141−nは、上述のようにキャパシタセル19−1〜19−nの各々のセル電圧を測定して検出する電圧測定部149−1〜149−nをそれぞれ含んでいる。電圧測定部149−1〜149−nをまとめて電圧検出部152と称する。
電圧検出部152が検出したキャパシタセル19−1〜19−nの各々のセル電圧は均等化制御部142に送られ、均等化制御部142から通信線145を介してコントローラ30の主制御部60に送られる。主制御部60には、均等化要否判定部600の他に静電容量算出部154が設けられている。静電容量算出部154は、通信線145を介して電圧検出部152から送られてくる各セル19nのセル電圧Vnの値に基づいて、各セルの静電容量Cnを算出する。静電容量Cnの算出は以下のようにして行なわれる。
まず、静電容量算出部154は、静電容量Cnの算出を始めた時点における、静電容量Cnを算出するセル19−nのセル電圧Vn0を検出する。そして、静電容量算出部154は、バランス用FET146−nのゲートに信号を送ってバランス用FET146−nを閉じる(ON状態にする)ことにより、セル19−nを短絡して放電させる。短絡路には放電抵抗148−nが設けられているので、セル19−nの放電電流は微小電流である。したがって、放電によるセル19−nのセル電圧Vnは急激にではなく、徐々に降下する。所定の時間Tだけ放電させたら、その時点でのセル電圧Vn1を検出する。セル19−nの静電容量Cnは以下の式(1)により算出することができる。すなわち、静電容量を劣化判定の指標として用いることができる。
Cn=−T/(R1+R2)×ln−1{(R1+R2)/R2×Vn1/Vn0}
ここで、R1はセル19−nの内部抵抗であり、R2は放電抵抗148−nの内部抵抗である。ただし、R1<<R2のため、R1を無視すると、以下の式(1)が導き出される。
Cn=−T/R2×ln−1(Vn1/Vn0) ・・・(1)
算出したセル19−nの静電容量Cnを、予め求められているセル19−nの初期静電容量Cn0(セル19−nが使用される前の静電容量)と比較することで、現在のセル19−nがどの程度劣化しているかを判定することができる。
セルの劣化が進むと、静電容量が小さくなるとともに内部抵抗が大きくなる。静電容量や内部抵抗が各セル間でばらつくと、セル電圧もばらつきやすくなってしまう。したがって、同一の電流を通電させているのにもかかわらず、各セル間において電圧の高低が生じてしまう。その結果、劣化しているセルがより一層劣化することになる。このため、セルの劣化のバラツキに応じて積極的に各セルの電圧を均等にすることが望ましい。
そこで、本実施形態では、算出した各セル19−nの現在の静電容量Cnに基づいてそのセル19−nの劣化度を判定し、劣化度に応じて必要なセルのみに均等化回路の機能を働かせて放電させることで、セル電圧の均等化を行なう。ここで、図7中では主制御部60は静電容量算出部154を含んだ事例を示したが、均等化制御部142が静電容量算出部154を含むように構成してもよい。
次に、図7を参照しながら、コントローラ30がキーオン中にキャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧の均等化の要否を判定する処理(以下、「均等化要否判定処理」とする。)について説明する。図7は、均等化要否判定処理のフローチャートである。コントローラ30は、所定周期で繰り返しこの均等化要否判定処理を実行する。
まず、コントローラ30の主制御部60における均等化要否判定部600は、システム異常の有無を判定する(ステップS1)。具体的には、均等化要否判定部600は、コントローラ30と蓄電管理装置140との間の通信異常、均等化制御部142と均等化回路部141−1〜141−nのそれぞれとの間の通信異常、電圧測定部149−1〜149−nのそれぞれにおける電圧測定異常等の有無を判定する。
システム異常が存在しないと判定した場合(ステップS1のYES)、均等化要否判定部600は、キャパシタ19の充放電が行われているか否かを判定する(ステップS2)。
一方、システム異常が存在すると判定した場合(ステップS1のNO)、或いは、キャパシタ19の充放電が行われていると判定した場合(ステップS2のNO)、均等化要否判定部600は、今回の均等化要否判定処理を終了させる。
キャパシタ19の充放電が行われていないと判定した場合(ステップS2のYES)、均等化要否判定部600は、充放電が行われていない状態の継続時間(以下、「充放電停止状態継続時間」とする。)を監視する(ステップS3)。
充放電停止状態継続時間が所定時間t1未満の場合(ステップS3のNO)、均等化要否判定部600は、今回の均等化要否判定処理を終了させる。一方、充放電停止状態継続時間が所定時間t1以上となった場合(ステップS3のYES)、均等化要否判定部600の静電容量算出部154は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧に基づいて静電容量Cnを算出する。そして、均等化要否判定部600は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれの静電容量Cnのバラツキを求め、静電容量のバラツキの大きさが所定値以上であるか否かを判定する。具体的には、均等化要否判定部600は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれの静電容量Cnの最大値と最小値との差が、予め定められた閾値Cth1以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
均等化要否判定部600は、複数のセル19−nの静電容量にバラツキがあると判定すると(ステップS4のYES)、セル電圧の均等化機能を働かせる必要があると判断し、蓄電管理装置140の均等化制御部142に対してバランス開始指令を出力する(ステップS5)。一方、均等化要否判定部600は、複数のセル19−nの静電容量にバラツキが無いと判定すると(ステップS4のNO)、セル電圧の均等化が不要と判定し、均等化制御部142に対してバランス停止指令を出力する(ステップS6)。
なお、均等化要否判定部600は、静電容量Cnのバラツキ幅が所定値Cth2(<Cth1)未満であると判定した場合にバランス停止指令を出力するようにし、バラツキ幅が所定値Cth2(<Cth1)未満となるまでセル電圧の均等化を継続させてもよい。
均等化要否判定部600は、セル電圧の均等化の要否を判定する度に充放電停止状態継続時間をリセットし、充放電停止状態継続時間が所定時間t1以上となる度にセル電圧の均等化の要否判定を繰り返す。但し、均等化要否判定部600は、一旦セル電圧の均等化の要否を判定した後は、所定時間t2(>t1)が経過するまで再度の要否判定を行わないようにしてもよい。また、均等化要否判定部600は、再度の要否判定を行うための条件を任意に設定してもよい。例えば、均等化要否判定部600は、一旦セル電圧の均等化の要否を判定した後は、キーオフされた後に再びキーオンされるまで再度の要否判定を行わないようにしてもよい。
ここで、上述のステップS4において行なわれる静電容量の算出処理についてさらに詳細に説明する。図8は、図7のステップS4において行なわれる静電容量算出処理のフローチャートである。
上述のように、キャパシタ19に関する充放電停止状態継続時間が所定時間t1以上となると、図7のステップS4において静電容量算出処理が開始される。静電容量算出処理は、コントローラ30の主制御部60に含まれる静電容量算出部154により行なわれる。
静電容量算出処理は、キャパシタへの電流の入出力が無い状態で開始される。すなわち、キャパシタ19の各セル19−nに充放電電流が流れない状態で静電容量算出処理が行なわれる。
ここで、静電容量を算出するための条件が適切か否かを判断する条件判定処理が行なわれる。まず、ステップS11において、全てのセル19−nの温度が計測開始判定温度td1より高いか否かが判定される。
全てのセル19−nの温度がtd1より高くない、すなわち、一つのセルでも計測開始判定温度td1以下のものがあると、静電容量算出処理を行なうことのできる条件にはなっていないとして、静電容量算出部154は、静電容量算出処理を終了する。
一方、ステップS11において全てのセル19−nの温度が計測開始判定温度td1より高いと判定されると、処理はステップS12に進む。ステップS12では、セル19−nの温度のうち、最大温度と最小温度との差が、温度ばらつき判定温度範囲tr2より小さいか否かが判定される。
最大温度と最小温度との差がtr2より小さくない、すなわち、最大温度と最小温度との差が温度ばらつき判定温度範囲tr2以上であると、静電容量算出処理を行なうことのできる条件にはなっていないとして、静電容量算出部154は静電容量算出処理を終了する。
一方、ステップS12において最大温度と最小温度との差がtr2より小さいと判定されると、処理はステップS13に進む。
ステップS11において全てのセル19−nの温度が計測開始判定温度td1より高いか否かを判定するのは、図9に示すようなセルの静電容量と計測温度との関係によるものである。すなわち、セルの静電容量はセルの温度が低くなるほど小さくなり、セルの温度が所定の温度より低い領域では、温度変化に対する静電容量の変化が大すぎるため、温度の変化による静電容量のバラツキが大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、セルの温度があまり低くない状態でセル電圧の測定を開始することとし、その温度を計測開始判定温度td1としている。
また、キャパシタ19の中に配列された複数のセルの間でも温度にばらつきがあり、セルの温度の差が大きくなると、静電容量の算出誤差ΔFが大きくなってしまう。図9において、キャパシタ19の中の例えば一つのセル19−1の温度がt1であり、他のセル19−2の温度がt2であったとすると、セル19−1の静電容量は変化してしまうので、本実施形態では、ステップS2においてセルの最大温度と最小温度の温度差が所定の温度差範囲tr2より小さいと判定された場合にのみセル電圧測定を開始して静電容量の算出を行なうようにしている。すなわち、全てのセル19−nの温度が所定の温度差範囲tr2以内に入っている場合にのみ、セル電圧の測定を開始している。
ステップS13では、電圧検出部152から供給された全てのセル19−nのセル電圧が計測開始判定セル電圧Vd1より高いか否かが判定される。全てのセル19−nのセル電圧が計測開始判定セル電圧Vd1より高くない、すなわち一つのセルでも計測開始判定セル電圧Vd1以下のものがあると、静電容量算出処理を行なうことのできる条件にはなっていないとして、静電容量算出部154は静電容量算出処理を終了する。
一方、ステップS13において全てのセル19−nのセル電圧が計測開始判定セル電圧Vd1より高いと判定されると、処理はステップS14に進む。ステップS14では、計測を開始するセル電圧Vds及び計測を終了するセル電圧Vdeを決定する。計測を開始するセル電圧Vdsは、全セルのセル電圧の最小値Vdminとして決定する。計測を終了するセル電圧Vdeは、全セルのセル電圧の最小値Vdminから、計測開始電圧と計測終了電圧との差Vd2を減算した値として決定する(Vde=Vdmin−Vd2)。
続いて、ステップS15において、全セル19−nのバランス用FET146−nのゲートに信号を送ってバランス用FET146−nを閉じる(ONとする)ことにより、セル電圧の計測(検出)を開始する。
次に、ステップS16において、バランス用FET146−nをONとしてからの経過時間ΔTdが、セル電圧の計測を開始するまでの時間Td1以下であるか否かが判定される。バランス用FET146−nをONとしてからの経過時間ΔTdが、セル電圧の計測を開始するまでの時間Td1以下ではない、すなわちバランス用FET146−nをONとしてからの経過時間ΔTdが、セル電圧の計測を開始するまでの時間Td1より長いと、静電容量算出処理を行なうことのできる条件にはなっていないとして、静電容量算出部154は静電容量算出処理を終了する。
一方、ステップS16においてバランス用FET146−nをONとしてからの経過時間ΔTdが、セル電圧の計測を開始するまでの時間Td1以下であると判定されると、Td1以下と判定されたセルから順次、ステップS17の処理に進む。ステップS17では、各セル19−nのセル電圧VnがステップS5において決定した計測開始セル電圧Vdsより低いか否かが、各セル19−n毎に判定される。
ステップS17においてセル19−nのセル電圧Vnが計測開始セル電圧Vdsより低くない、すなわち、セル19−nのセル電圧Vnが計測開始セル電圧Vds以上であると判定されると、処理はステップS16に戻り、続いてステップS17において次のセル19−nのセル電圧をチェックする。
一方、ステップS17においてセル19−nのセル電圧Vnが計測開始セル電圧Vdsより低いと判定されると、Vdsより低いと判定されたセルから順次、ステップS18に進む。ステップS18では、ステップS17の条件D1が成立したセルに対して、経過時間の計測を開始する。このように、ステップS16からステップS18までの判定は、各セルについて実行される。このため、ステップS16の判定で、一つのセルに対する経過時間がTd1より長いと判定されると、残りの他のセルがステップS18まで到達していた場合であっても、静電容量算出部154は静電容量算出処理を終了する。
このように、全セル19−nのバランス用FET146−nを閉じた(ONとした)時点から計測開始までの時間を規定することで、セル電圧のばらつきが大きいために計測開始されない場合であっても、CMUによるセル電圧の消費を制限することができる。
続いて、ステップS19において、経過時間ΔTdが計測を終了するまでの時間Td2以下であるか否かが判定される。経過時間ΔTdは、全セル19−nのバランス用FETのONを指示してからセル電圧の計測を終了するまでの時間であり、予め設定された時間である。
ステップS19において、経過時間ΔTdがセル電圧の計測を終了するまでの時間Td2以下ではない、すなわち経過時間ΔTdがセル電圧計測終了時間Td2より長いと判定されると、静電容量算出処理を行なうことのできる条件にはなっていないとして、処理はステップS23に進む。ステップS23では、全てのセル19−nに対するバランス用FET146−nをOFFとし、静電容量算出部154は静電容量算出処理を終了する。
一方、ステップS19において経過時間ΔTdがセル電圧計測終了時間Td2以下であると判定されると、Td2以下と判定されたセルから順次、ステップS20の処理に進む。ステップS20では、各セル19−nのセル電圧Vnが、ステップS14で決定した計測終了セル電圧Vde以下であるか否かが判定される。この判定条件Vn≦Vde?を(条件D2)とする。各セル19−nのセル電圧Vnが計測終了セル電圧Vde以下ではない、すなわち、各セル19−nのセル電圧Vnが計測終了セル電圧Vdeより高い場合は、処理はステップS19に戻って、再び経過時間がΔTdがセル電圧計測終了時間Td2以下であるか否かが判定される。
一方、ステップS20において、各セル19−nのセル電圧Vnが、ステップS14で決定した計測終了セル電圧Vde以下であると判定されると、Vde以下と判定されたセルから順次、ステップS21に進む。
以上の処理では、全てのセル19−nのセル電圧Vnが所定の電圧(Vds)以上であるときにセル電圧の測定を開始する。図10に示すように、複数のセルを一定の放電抵抗を介して放電させた場合、セル電圧の減少率はほぼ同じであるので、セル電圧の低いセルのほうが、セル電圧の高いセルより、早く小さな電圧となる。セル電圧が低下し過ぎると、セルの劣化が促進されるので、セル電圧の計測を行なっても全てのセルのセル電圧が所定の電圧以上に維持されている必要がある。ステップS14ではこの所定の電圧を、計測を終了するセル電圧Vdeとして決定している。すなわち、セル電圧の一番低いセルを測定時間ΔTdだけ放電させたときに、計測終了時のセル電圧Vdeが下限電圧を下回らないように計測開始セル電圧Vdsを決定する。
次に、ステップS21では、(条件D2)が成立したセル19−nに対するセル電圧Vnの計測を終了する。次に、ステップS22において、セル毎の計測時間tnに基づいてそのセル19−nの静電容量Cnを算出し、算出した静電容量Cnの値をコントローラ30のメモリに格納する。静電容量の計算は上述の式(1)により計算できる。あるいは、以下の式(2)でも算出できる。
Cn=−tn/{R×ln(Vde/Vds)}+
Ic×tn/(Vds−Vde) ・・・(2)
ここで、Rはセル19−nの放電抵抗(Ω)であり、Icは蓄電管理装置140の消費電流(A)である。
ステップS22の処理が終了すると、処理はステップS23に進む。ステップS23において、全てのセル19−nのセル電圧計測が終了したときのセル19−nの温度における、最大温度、最小温度、及びそれらの平均温度を算出し、コントローラ30のメモリに格納する。その後、静電容量算出部154は静電容量算出処理を終了する。
以上のように、上述の処理によれば、複数のセル19−nの静電容量をセル毎に個別に算出することができる。このため、算出した静電容量に基づいてセルの劣化度を知ることができ、劣化のバラツキ(すなわち、静電容量のバラツキ)に応じて積極的にセル電圧のバランスを働かせることができる。ここで、セル毎に算出した静電容量の最大値と最小値との差が、予め定められた閾値より大きい場合に、複数のセル19−nのセルの静電容量にバラツキがあると判断される。ばらつきがあると判断されると、バランス開始の指示がコントローラ30から出力される。静電容量のバラツキの有無の判断は、静電容量の最大値と最小値との差ではなく、平均値などを用いてもよい。
次に、図11を参照しながら、キーオン中に、均等化制御部142がキャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれに対応するバランス用スイッチ146−1〜146−nを制御する処理(以下、「均等化処理」と称する)について説明する。図11は、均等化処理のフローチャートである。均等化制御部142は、キーオン中において、コントローラ30からバランス開始指令(図7のステップS5参照)を受けた後、所定周期で繰り返しこのキーオン時均等化処理を実行する。
最初に、均等化制御部142は、キャパシタセル19−nに対応する電圧測定部149−nの出力に基づいてセル電圧Vnが所定電圧V0以上であるか否かを判定する(ステップS31)。
セル電圧Vnが所定電圧V0以上であると判定した場合(ステップS31のYES)、均等化制御部142は、当該キャパシタセル19−nに対応するバランス用スイッチ146−nに対してバランス開始信号を出力し、バランス用スイッチ146−nをON(導通)状態に設定する(ステップS32)。
一方、セル電圧測定値Vnが所定電圧V0未満であると判定した場合(ステップS31のNO)、均等化制御部142は、当該キャパシタセル19−nに対応するバランス用スイッチ146−nに対してバランス停止信号を出力し、バランス用スイッチ146−nをOFF(遮断)状態に設定する(ステップS33)。
その後、均等化制御部142は、全てのバランス用スイッチのON(導通)/OFF(遮断)状態の設定を完了したか否かを判定する(ステップS34)。
そして、全てのバランス用スイッチの設定を未だ完了していないと判定した場合(ステップS34のNO)、均等化制御部142は、全てのバランス用スイッチの設定を完了するまで、ステップS31〜ステップS34の処理を繰り返す。
全てのバランス用スイッチの設定を完了したと判定した場合(ステップS34のYES)、均等化制御部142は、今回の均等化処理を終了させる。
なお、均等化制御部142は、キーオン時均等化処理の実行中にコントローラ30からバランス停止指令を受けた場合には、全てのバランス用スイッチをOFF(遮断)状態に設定した上で均等化処理の繰り返しを中止する。
以上の構成により、蓄電管理装置140に接続されるコントローラ30は、キーオン中におけるキャパシタ19の充放電の有無と、充放電が無いときに測定されるキャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧とを把握することができる。そのため、コントローラ30は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれの静電容量Cnのバラツキの大きさを精度よく判定することができる。その結果、コントローラ30は、静電容量Cnのバラツキの大きさに基づいてセル電圧の均等化の要否を判定でき、静電容量Cnのバラツキが小さいにもかかわらずセル電圧の均等化(放電)を開始させてしまい蓄積した電力を無駄に消費してしまうことを回避することができる。
また、コントローラ30は、セルの静電容量のバラツキの大きさに基づいてセル電圧の均等化が必要と判定した場合には、キーオン中であってもセル電圧の均等化を実行する。そのため、コントローラ30は、キーオフ中にセル電圧の十分な均等化ができなかった場合であってもキーオン中にセル電圧の均等化を継続させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形、変更等が可能である。
また、昇降圧コンバータ100を備えない構成、すなわち、キャパシタ19とインバータ18、20とを直接接続する構成においても、コントローラ30は、キャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧に関する情報に基づいて静電容量を算出し、算出した静電容量のバラツキに基づいてセル電圧の均等化の要否を判定してもよい。具体的には、コントローラ30は、充放電が行われていない状態、又は、異なるタイミングで測定されたキャパシタセル19−1〜19−nのそれぞれのセル電圧を「同じ条件で測定された」セル電圧として許容できる程度の僅かな充放電が行われている状態で測定されたセル電圧に関する情報に基づいて、各セルの静電容量を算出し、算出した静電容量に基づいて電圧の均等化の要否を判定してもよい。より具体的には、コントローラ30は、上述の状態が所定時間t1以上継続すれば、その間に測定されたキャパシタ19−1〜19−nのそれぞれの直近のセル電圧に基づいて静電容量を算出し、そのバラツキの大きさに基づいてセル電圧の均等化の要否を判定してもよい。