JP5999654B2 - 押釦スイッチ用部材の製造方法 - Google Patents
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Description
また、押し子部は、カバー部材に形成された孔に嵌合させ、たとえ接着材を用いて押し子部とカバー部材との密着を図ろうとしても充分でなく、これにより、たとえばキートップの操作の際のクリック感の向上に影響を及ぼす等の不都合を有していた。
さらに、カバー材料を、成形の事情あるいは押釦としての操作性を良好にするため、厚さを所定以上にしなければならず、押釦スイッチ用部材の全体としての厚み増しにつながる不都合を有していた。
(1)本発明は、金型を用いて、押し子部材が一体に形成される軟質樹脂材のカバー部材を形成する押釦スイッチ用部材の製造方法であって、前記カバー部材を成形する第1凹陥部と前記押し子部材を成形する第2凹陥部が形成された前記金型を用意する工程と、前記金型の少なくとも前記第2凹陥部内に前記第2凹陥部と間隙を有して硬質材からなる一次成形品を配置する工程と、前記金型の前記第1凹陥部および前記前記第2凹陥部と前記一次成形品の前記間隙に軟質樹脂材を充填させる工程と、前記一次成形品と前記軟質樹脂材の一体成形品を前記金型から取り出す工程と、を有し、前記第2凹陥部の底面は、その一部に形成される第3凹陥部と、前記第2凹陥部の周辺と前記第3凹陥部を連結する溝部と、を有する押釦スイッチ用部材の製造方法を提供する。
(2)前記第2凹陥部の底面のうち前記第3凹陥部と前記溝部を除く領域は、型締めの際の前記一次成形品との接触面とする(1)に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法を提供する。
(実施形態1)
図1(a)は、本発明の押釦スイッチ用部材が適用される携帯端末の平面図である。図1(a)に示すように、携帯端末10の主面の大部分の領域にたとえば液晶表示装置からなる表示部11が形成され、この表示部11の下部には、たとえば3個の押釦スイッチ用部材20が並設されている。図1(a)に示す押釦スイッチ用部材20は、そのキートップ21が目視された状態となっている。
図1(b)は、図1(a)のb−b線における断面を示す図である。概略を示すと、図1(b)に示すように、絶縁性の基板22の表面に3個のスイッチ部材23が並設され、これら各スイッチ部材23を被うようにして軟質樹脂材からなる可撓性のカバー部材24が配置されている。カバー部材24は、その周辺において、基板22上の支持板22Aに固定されている。
なお、各キートップ21は、前記支持板22Aに支持される上面板22Bに形成された孔22Hから露出され、該上面板22Bをガイド部として、軸方向に移動できるようになっている。
なお、図2(b)、図2(c)に示すスイッチ部材23は、図3に示すように、基板22の表面に形成された固定接点部材23Aと、この固定接点部材23Aを被って該基板22に固定された弾性接点部材23Bと、から構成されている。スイッチ部材23は、キートップ21の操作による押し子部25の押圧によって弾性接点部材23Bと固定接点部材23Aとが接触することでONするようになっている。
押し子部25は、たとえば矩形の板状部材24Hの一方の面の中央から円柱体25Hが突出する形状で構成されている。ここで、硬質材HSの板状部材24Hはカバー部材24の一部を構成し、硬質材HSの円柱体25Hは押し子部25を構成するようになっている。
硬質材HSの板状部材24Hの一方の面を被う軟質樹脂材SSは、硬質材HSの円柱体25Hの周側面の全域を被うようにして延在されるとともに、軟質樹脂材SSの接続部27を介して該円柱体25Hの頂面の中央に形成される軟質樹脂材SSの先端部28に接続されるようになっている。接続部27は、たとえば、硬質材HSの円柱体25Hの頂面において、該先端部28を間にして横切る直線状の一文字形となっている。
ここで、軟質樹脂材SSの板状部材24Sは、カバー部材24の大部分を構成し、硬質材HSの円柱体25Hの周側面の全域、頂面の一部を被うように形成されている。
まず、図4(a)に示すように、第1金型30があり、この第1金型30には、カバー部材24(図2参照)を成形する第1凹陥部31Aと押し子部25(図2参照)を成形する第2凹陥部31Bが形成されている。第1凹陥部31Aは比較的広い面積で浅く形成され、第2凹陥部31Bは比較的狭い面積で深く形成されている。
この場合、第1凹陥部31Aの深さは、得ようとするカバー部材24の厚さに対応させて設定することができ、第2凹陥部31Bの深さは、得ようとする押し子部25の高さに対応させて設定することができる。
この第2凹陥部31Bは、図5に示すように、その底面には、そのほぼ中央に第3凹陥部32が形成され、この第3凹陥部32を間にして横切る直線状の一文字形からなる溝部33が形成されている。溝部33の深さは、たとえば、第3凹陥部32の深さよりも浅く形成されている。
一次成形品40は、その円柱体25Hが第1凹陥部31A内に該第1凹陥部31Aの側壁面と間隙を有して配置され、その板状部材24Hが第2凹陥部31B内に該第2凹陥部31Bの側壁面と間隙を有して配置される。
なお、図5(a)は、第1金型30の側に溝33を形成したものである。しかし、該溝33と同様の機能を有する溝を一次成形品40の側に設けるようにしてもよい。図5(b)は、一次成形品40に溝33’を形成した場合の構成図である。図5(b)から明らかなように、一次成形品40の周側面側からの軟質樹脂材SSは、前記溝33’を介して第2凹陥部31Bの底面のほぼ中央に形成された第3凹陥部32へ導くことができるようになっている。
押し子部25を構成する硬質材は、たとえば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン系樹脂やメラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。また、鉄、銅、銀、チタン等の金属やその合金(ステンレス等)や酸化物等でも良い。
また、カバー部材24を構成する軟質樹脂は、たとえば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム等の熱硬化性エラストマーや、スチレン系、エステル系、ウレタン系、オレフィン系、アミド系、ブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル系、フッ素ゴム系、イソプレン系、塩素化ポリエチレン系などの熱可塑性エラストマーも使用できる。
軟質樹脂は硬度はJIS K6253 タイプA10〜70が好ましい。10未満ではスイッチ部材との繰り返しの接触により摩耗して耐久性に劣る。70を越えると軟質樹脂を形成する効果が小さくなる。
さらに、キートップ21は、たとえば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン系樹脂やメラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。また、鉄、銅、銀、チタン等の金属やその合金又は酸化物等のほか、ガラスでも良い。
実施形態1では、押し子部25が一体成形されているカバー部材24は、硬質材HSの円柱体25Hの頂面に形成される軟質部材の接続部27(円柱体25Hの頂面の中央に形成される先端部28と円柱体25Hの周側面に形成される側壁部29との接続部27)は、一文字形としたものである。しかし、これに限定されることはなく、図7(a)、(b)に示すように、十文字形としてもよい。
なお、図7(a)は、図2(b)に対応づけて描いた図で、図7(b)は、押し子部25を先端側から観た図である。
この場合、硬質材HSの円柱体25Hの頂面は、被覆される軟質樹脂材SSから4つの露出部が形成されるようになる。このことは、図4(a)に示す工程において、第1金型30の第2凹陥部31Bに配置される一次成形品40の円柱体25Hは、その頂面の4つの前記領域において、第2凹陥部31Bの底面に当接されるようになる。
実施形態1、実施形態2では、押し子部25が一体成形されているカバー部材24は、硬質材HSの円柱体25Hの頂面に形成される軟質樹脂材SSは、該頂面のほぼ中央に形成したものである。しかし、これに限定されることはなく、図8に示すように、該頂面の周辺であってもよい。この場合、円柱体25Hの頂面の周辺に形成された軟質樹脂材SSは、該円柱体25Hの頂面と周側面の境界である稜線部において、円柱体25Hの周側面に形成される軟質樹脂材SSと容易に接続させることができる。
この場合、硬質材HSの円柱体25Hの頂面は、そのほぼ中央部において軟質樹脂材SSからの露出部が形成されるようになる。このことは、図4(a)に示す工程において、第1金型30の第2凹陥部31Bに配置される一次成形品40の円柱体25Hは、その頂面のほぼ中央において、第2凹陥部31Bの底面に当接されるようになる。
図9(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態4を示す構成図で、それぞれ、図2(a)、(b)、(c)に対応づけて描いた図である。
図9(a)、(b)、(c)において、図2(a)、(b)、(c)の場合と異なる部分は、まず、硬質材HSの円柱体25Hの周側面および頂面はいずれも全域に及んで軟質樹脂材SSによって被われて形成されている。
そして、硬質材HSの板状部材24Hにおいて、その表面に形成される軟質樹脂材SSに対してたとえば4つの露出部が得られるようになっている。このことは、図4(a)に示す工程において、第1金型30の第1凹陥部31Aに配置される一次成形品40の板状部材24Hは、その表面の4つの領域において、第1凹陥部31Aの底面に当接されるようになる。軟質樹脂材SSは、押し子部25が露出する開口領域5c〜5fが形成されている。
図10(a)、(b)は、本発明の実施形態5を示す構成図で、それぞれ、図1(b)、図2(c)に対応づけて描いた図である。
図10(a)、(b)において、図1(b)、図2(c)の場合と比較して異なる構成は、まず、押し子部25が一体成形されているカバー部材24において、該押し子部25を構成する硬質材HSはキートップ21側へ延在された延在部25Qを有し、その延在端は該キートップ21と当接されるようになっている。
このように構成した場合、押し子部25を構成する硬質材HSの延在部25Qによって、キートップ21を押す際のクリック感をもたせることができ、また、クリック荷重調整を容易に行うことができるという効果を奏する。
また、押し子部25と一体成形される軟質樹脂材SSのカバー部材24は、その周辺において、支持板22Aと上面板22Bとの間に挟持される構成となっている。この場合、カバー部材24の該周辺に沿った環状形の凸部24Tを表裏面に形成するとともに、支持板22Aと上面板22Bのいずれにおいて、カバー部材24の凸部24Tを圧接させるように構成されている。
これにより、キートップ21側からの水分等をスイッチ部材23あるいは基板22の側へ侵入するのをカバー部材24によって回避することができる効果を奏する。
この場合、押し子部25を構成する硬質材HSの頂面の中央に形成される先端部28は、その高さ(厚み)を0.02mm以上に設定することが好ましい。
この理由は、一体成形金型や一次成形品の形状を調整することにより、要望される機能的スペックを満足する厚みを自由に設計できるが、軟質樹脂材SSの厚みが0.02mm未満では一次成形品との成形密着不良や、一体成形金型の構成上の問題により軟質樹脂材SSの未充填等の不具合が発生し易く、また、打鍵耐久性低下や音鳴り発生に影響が出やすいからである。
また、押し子部25を構成する硬質材HSの頂面の構成として、図7、図8、図9に示したいずれかの構成とするようにしてもよいことはもちろんである。
図11(a)、(b)は、本発明の実施形態6を示す構成図で、それぞれ、図1(b)、図2(c)に対応づけて描いた図である。
図11(a)、(b)において、図1(b)、図2(c)の場合と比較して異なる構成は、まず、基板22上に形成される支持板22Aは、押釦スイッチ用部材20の形成領域に亘って形成され、カバー部材24に一体成形されている押し子部25を位置づける孔22Hが形成された構成となっている。
そして、押し子部25と一体成形され支持板22Aの表面に当接して配置されるカバー部材24は、前記孔22Hの側壁面に当接して延在する延在部24Eを有するようになっている。この延在部24Eは防水パッキンとして機能し、キートップ21側からの水分等をスイッチ部材23あるいは基板22の側へ侵入するのを回避できる効果を奏する。
また、図11(a)、(b)に示すように、押し子部25を構成する硬質材HSは、たとえば、実施形態5に示したと同様に、キートップ21側へ延在された延在部25Qを有し、その延在端は該キートップ21と当接されるようになっている。
なお、図11(a)、(b)に示す構成において、押し子部25を構成する硬質材HSの頂面の構成、すなわち、軟質樹脂材SSの形成の態様において、図2(a)、(b)、(c)で示した構成とする他に、図7、図8、図9に示したいずれかの構成とするようにしてもよいことはもちろんである。
11……表示部
20……押釦スイッチ用部材
21……キートップ
22……基板
22A……支持板
22B……上面板
22H……孔
23……スイッチ部材
23A……固定接点部材
23B……弾性接点部材
24……カバー部材
24H……板状部材
24S……板状部材
24T……凸部
25……押し子部
25H……円柱体
25Q……延在部
26……接着材
27……接続部
28……先端部
29……側壁部
30……第1金型
31A……第1凹陥部
31B……第2凹陥部
32……第3凹陥部
33……溝部
35……第2金型
40……一次成形品
50……弾性材
HS……硬質材
SS……軟質樹脂材
Claims (2)
- 金型を用いて、押し子部材が一体に形成される軟質樹脂材のカバー部材を形成する押釦スイッチ用部材の製造方法であって、
前記カバー部材を成形する第1凹陥部と前記押し子部材を成形する第2凹陥部が形成された前記金型を用意する工程と、
前記金型の少なくとも前記第2凹陥部内に前記第2凹陥部と間隙を有して硬質材からなる一次成形品を配置する工程と、
前記金型の前記第1凹陥部および前記前記第2凹陥部と前記一次成形品の前記間隙に軟質樹脂材を充填させる工程と、
前記一次成形品と前記軟質樹脂材の一体成形品を前記金型から取り出す工程と、
からなり、
前記第2凹陥部の底面は、その一部に形成される第3凹陥部と、前記第2凹陥部の周辺と前記第3凹陥部を連結する溝部と、を有することを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法。 - 前記第2凹陥部の底面のうち前記第3凹陥部と前記溝部を除く領域は、型締めの際の前記一次成形品との接触面とすることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。
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