JP5999482B2 - 法面緑化用組成物の吹付方法 - Google Patents

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Description

本発明は、法面緑化のために、種子、肥料、及び土壌等を含む緑化材料とともに法面上に吹き付ける法面緑化用組成物の吹付方法に関するものである。
従来より、土地を切削して道路建設や宅地造成等を行うに際し、切土或いは盛土をして形成された法面の侵食防止、安定化及び環境保全等のために表面緑化をすることが行われている。表面緑化方法としては、通常、植物の種子、堆肥又は木材の生チップ、肥料、及び土壌等を含む緑化材料と、法面における緑化材料の固化を促進させる固化成分とを混合した吹付材料を法面に吹き付けることによって行われている。固化成分としては、セメント或いはモルタルを含む無機系侵食防止材や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等からなる有機系高分子樹脂が使用されるのが一般的である。
特許文献1には、固化成分としてセメント系侵食防止材を使用した緑化基盤材に係る発明が記載されている。ここでは、植物の種子、バーク堆肥、石炭灰、発泡ガラス、及びセメントを混合して法面に吹き付けて表面緑化を促す発明が提案されている。
特開2004−173602号公報
しかし、特許文献1に記載されるように、法面に吹き付ける固化成分としてセメントが含有されるものを用いる場合、緑化材料の固化能力の観点においては優れた効果が期待されるものの、成分中に石灰分を比較的多く含んでいることから、セメント系侵食防止材を含有する土壌からの浸透水が一般的に強いアルカリ性を示すことになる。その結果、緑化材料中に含まれる種子の発芽に好ましくない影響が及び、法面における植生が著しく阻害されるとの問題があった。また、雨水などによって法面からアルカリ性浸透水が外部に流出することも考えられ、環境面における問題も懸念されていた。
一方、固化成分としてアクリル系重合体に代表されるような有機系高分子樹脂を緑化材料に混合させて法面に吹き付けることも行なわれているが、このような方法では、土壌がアルカリ性となって法面からアルカリ性浸透水が外部に流出するとの問題は解消されるものの、長い年月を経ると有機系高分子樹脂が土壌中で化学反応を起こして分解されやすくなってしまうとの問題が新たに生じていた。その結果、法面における土壌の固化力が緩んで植物の根茎に対する保持力が弱まり、植生を好適に維持することができないとの問題となっていた。
本発明は、これら従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、緑化材料とともに法面に吹き付けられる法面緑化用組成物の吹付方法であって、種子の発芽、植生に及ぼす影響を低減させ、植物の根茎の保持能力を向上させ得る法面緑化用組成物の吹付方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の法面緑化用組成物の吹付方法は、法面緑化用組成物を、緑化材料と水分とともに法面に吹き付ける法面緑化用組成物の吹付方法であって、前記法面緑化用組成物は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムを含有して構成される固化成分と、酢酸ビニル系樹脂からなる接着成分とを含んでなり、前記緑化材料は、植物の種子、肥料、及び土壌を含んでなり、前記法面緑化用組成物と前記緑化材料をタンク内に入れて混合し、法面に吹き付ける際に水分を添加することを要旨とする。
通常、土壌を構成する粘土、シルト、砂など様々な大きさの粒子は、それぞれが集合して団粒を形成している。森林の表層土や黒ボク土は、優れた物理性を有する団粒結合であり、団粒内の小間隙から団粒間の大間隙まで多様な大きさの間隙が形成されている。これら間隙のうち、小間隙はその内部に水分を保持することで主に水もちを良くするとの効果を担い、大間隙は水分を通過させやすくすることで主に水はけを良くするとの効果を担っている。
法面緑化用組成物中の固化成分に含有される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムが水分と反応することにより、針状結晶のエトリンガイト、繊維状結晶のカルシウムサルフェイト、及びカルシウムシリケイトが生成される。これらエトリンガイト、カルシウムサルフェイト、及びカルシウムシリケイトが繊維状に絡み合って鎖状結束し、土壌を内包する形態で結晶構造が生成、伸長する。これにより、緑化材料と法面緑化用組成物中の固化成分とが強固に結合して土壌が固化される。また、このような鎖状結束が土壌内で進行することにより、土壌が団粒化され、土壌内部に様々な大きさの間隙を生じさせることになる。したがって、緑化材料中に含まれる植物の種子は、鎖状結束の進行によって固化された法面内で安定的に発芽、伸長し、その根茎は、団粒化された土壌中の間隙内に好適に保持される。また、エトリンガイト、カルシウムサルフェイト、及びカルシウムシリケイトによる土壌の団粒化により、植物の成長に適した水もち及び水はけが発現し、植物の成長に適した環境を創出することができる。さらに、時間の経過とともにこの鎖状結束が土壌にさらに浸透すると、地山と一体化して長期間土壌の固化力が持続されることになる。これにより、土壌内に伸張した植物の根茎がさらに安定的に保持されて伸長を続け、表面緑化がより進行することになる。
また、吹付材料中に含有される法面緑化用組成物の固化成分中の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムの水和反応によって土壌との強固な結晶構造が生成することから、法面緑化用組成物の含有量を少なく抑えた場合であっても、土壌を強固に固化させることができる。したがって、法面緑化用組成物中の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムによる弱アルカリ性成分は、吹付材料中に含有される他の成分との間で中和されることとなり、土壌は全体として中性を維持することができる。これにより、土壌のアルカリ化が好適に抑制される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の法面緑化用組成物の吹付方法において、前記吹付け機材のノズル先端で水分を添加して法面に吹き付けることを要旨とする
本発明によれば、緑化材料とともに法面に吹き付けられる法面緑化用組成物の吹付方法であって、種子の発芽、植生に及ぼす影響を低減させ、植物の根茎の保持能力を向上させ得る法面緑化用組成物の吹付方法を提供することができる。
以下、本発明の法面緑化用組成物を使用した法面緑化方法の第1の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本発明の法面緑化用組成物は、道路建設や宅地造成等を行う際に土地を切削したり、或いは盛土をしたりして形成された法面に対して吹き付けられて使用されるものである。法面に吹き付けられる吹付材料は、植物の種子、堆肥、木材の生チップ、肥料、及び土壌等を含む緑化材料と、緑化材料の法面への固化を促進させる法面緑化用組成物と、水分とから構成されている。
(吹付材料について)
まず、本実施形態の吹付材料中に含まれる緑化材料、法面緑化用組成物の構成について説明する。
緑化材料中に含まれる植物の種子は、生態系を維持する観点から法面が形成された現場付近に生息する植物のものを使用することが好ましい。これは、吹付材料中に含有される本実施形態の法面緑化用組成物では、その固化力により土壌が早期に固化され、外来草本類やハギ等、生育の早い草木類により法面の植物密度を早期に確保しなくても、その侵食を阻止し得る固化力を法面に早期に付与することができることに基づく。これにより、現場付近の植生に影響を及ぼさず、生態系を好適に維持することができる。
堆肥及び木材の生チップは、道路建設や宅地造成等の現場で得られた木材を材料として使用することが好ましい。木材の生チップは、現場に生息していた在来木本類を現場でそのまま細かく砕いてチップ化したものを直接使用することができる。また、堆肥としては、現場で伐採等した在来木本類を工場に運搬してチップ化し、当該木材チップを微生物によって完全に分解させて堆肥化したものを使用することもできる。なお、緑化材料中に含まれる肥料は、使用する植物の種子に適したものを適宜選択すればよく、土壌は、現場から得られた土壌を緑化材料中に混ぜ込んで使用すればよい。
次に、第1の実施形態の法面緑化用組成物について説明する。法面緑化用組成物は、土壌を含む緑化材料と水分とともに法面に吹き付けられることにより、土壌を固化、団粒化し、土壌内部に様々な大きさの間隙を生じさせる作用を有するものである。法面緑化用組成物は、吹付材料に対して0.5〜4.0重量%含有されることが好ましく、1.0〜3.0重量%含有されることがさらに好ましい。
まず、法面緑化用組成物に含有される固化成分について説明する。固化成分は、少なくともその成分中に、二酸化ケイ素SiO、酸化アルミニウムAl、及び酸化カルシウムCaOを含有して構成されている。その含有量については現場の土壌成分によって適宜決定することができるが、例えば、法面緑化用組成物中に二酸化ケイ素SiOが10.0〜30.0重量%、酸化アルミニウムAlが10.0〜40.0重量%、酸化カルシウムCaOが20.0〜60.0重量%含有されることが好ましい。本実施形態では、固化成分中のその他の成分として、酸化第二鉄Fe、酸化マグネシウムMgO、二酸化硫黄SOが含有されている。
第1の実施形態の法面緑化用組成物では、固化成分と凝集成分とを併用している。凝集成分とは、吹付材料中の水分と反応して凝結する作用を有するものであり、固化成分の固化作用をより効果的に発揮させることができるものである。凝集成分の配合量は、法面緑化用組成物に対して0.2〜0.8重量%であることが好ましい。固化成分中の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムが吹付材料中の水分と反応することにより、結晶構造が伸長し、それぞれの結晶構造が鎖状結束して緑化材料と法面緑化用組成物中の固化成分とが強固に結合し、これにより土壌が固化されるが、凝集成分は、このような鎖状結束が進行するまでの初期段階で土壌に固化力を付与するものである。土壌の固化速度を早め、土壌の団粒化を早期に達成することができる。また、このような作用により固化成分の使用量を軽減させるといったことにも繋がる。
凝集成分としては、アクリル系樹脂を使用することが好ましい。より好ましくは、アクリル系樹脂の中でもポリアクリルアミド系樹脂が選択される。ポリアクリルアミド系樹脂としては、カチオン系、アニオン系のいずれでもよい。また、ポリアクリルアミド系樹脂は、アクリルアミド系単量体を重合して得られた重合体、又はアクリルアミド系単量体と他の共重合性単量体との重合体のいずれでもよい。
アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などのアクリルアミド単位を有する単量体が挙げられる。アクリルアミド系単量体は、少なくとも(メタ)アクリルアミド、特にアクリルアミドで構成されているのが好ましい。これらのアクリルアミド系単量体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。他の共重合性単量体としては、例えば、スチレン系モノマー、α,β―不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル系単量体、カルボン酸ビニルエステル、オレフィン系単量体等が挙げられる。
(法面緑化用組成物を使用した吹付方法について)
次に、本実施形態の法面緑化用組成物と、緑化材料と、水分とからなる吹付材料を法面に吹き付けて緑化する法面緑化方法について説明する。まず、道路建設や宅地造成等の現場を切削することにより得られた土壌中に、現場周辺の植生を考慮した植物の種子、肥料、及び現場から切り出し等した木材から得られた生チップ及び堆肥を混合して緑化材料を調整する。生チップは現場で木材をチップ化したものを緑化材料中に混合することができる。また堆肥は、現場に生息していた木材を切り出してチップ化後現場の土壌とともに工場に運搬し、当該土壌とともにストックヤードに保管して微生物による堆肥化を行うことにより得られたものを緑化材料中に混合することができる。続いて、当該緑化材料と、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムを含有して構成される固化成分と、ポリアクリルアミド系樹脂からなる凝集成分と、水分とを車載型の吹付け機材のタンク中に入れてよく混練させて泥状の吹付材料とし、コンプレッサーにて当該吹付材料を法面に吹き付ける。このようにして、法面には固化材料と凝集成分とを含む法面緑化用組成物、緑化材料、及び水分とが混合された吹付材料が吹き付けられて、法面緑化用組成物中の各成分が水分と反応して緑化材料中の土壌の固化、団粒化を進展させることになる。
(法面緑化用組成物の作用について)
以上詳述した本実施形態の法面緑化用組成物の作用について以下に説明する。
法面に吹き付けられた吹付材料は、その中に含まれる法面緑化用組成物の固化成分中に含有される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムが水分と反応することによって、3CaO・Al・3CaSO・32HOの組成を持つ針状結晶のエトリンガイト、CaSO・2HOで表される繊維状結晶のカルシウムサルフェイト、3CaO・2SiO・3HOで表されるカルシウムシリケイトを生成する。そして、これらエトリンガイト、カルシウムサルフェイト、及びカルシウムシリケイトが繊維状に絡み合って鎖状結束し、土壌を内包する形態で結晶構造が生成、伸長する。このようにして、生成したエトリンガイト、カルシウムサルフェイト、及びカルシウムシリケイトにより土壌が補強される。土壌との団結力は、初期は主としてカルシウムサルフェイトにより維持され、エトリンガイトの反応に伴い、これら化合物が相互作用して団結力が維持されることになる。これにより、緑化材料と法面緑化用組成物中の固化成分とが強固に結合して土壌が固化される。また、鎖状結束が土壌内で進行することにより、土壌が団粒化され、土壌内部に様々な大きさの間隙を生じさせることになる。したがって、緑化材料中に含まれる植物の種子は、鎖状結束の進行によって固化された法面内で安定的に発芽、伸長し、その根茎は、団粒化された土壌中の間隙内に好適に保持される。さらに、土壌の団粒化によって植物の成長に適した水もち及び水はけが発現し、植物の成長に適した環境が創出されることで団粒内にその根茎を進展させた植物は、法面に好適に保持されることになる。時間の経過とともに鎖状結束が浸透することで、土壌が固化されて浸食に対する強度を備えることになる。
吹付材料中に含有される法面緑化用組成物は、0.5〜4.0重量%の範囲に抑えられていることから、固化成分を構成する二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムが弱アルカリ性を呈したとしても吹付材料中に含有される他の成分との間で中和されて、吹付材料全体としては中性となる。これにより、土壌のアルカリ化が好適に抑制される。
エトリンガイト、カルシウムサルフェイト、及びカルシウムシリケイトが絡み合って生成する鎖状結束が伸長して土壌の固化が進むまでの初期段階では、法面緑化用組成物中の凝集成分として含有されるポリアクリルアミド系樹脂が土壌の固化力を補助する。つまり、ポリアクリルアミド系樹脂と水分とが反応すると凝集することから、ポリアクリルアミド系樹脂が含有された法面緑化用組成物が水分と反応すると、緑化材料中の種子、肥料等の各構成成分や、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムを含有する固化成分が土壌成分とともにポリアクリルアミド系樹脂により凝集されて土壌中に保持されることになる。これにより、土壌粒子の粒結が促進されることとなり、エトリンガイト等の生成により鎖状結束が進行して土壌の固化が完了するまでの初期段階において、緑化材料が法面に好適に保持される。
ポリアクリルアミド系樹脂による土壌の固化作用に続いて、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムによる鎖状結束の進展に基づく土壌の団粒化が進み、時間の経過とともにこの鎖状結束が土壌にさらに浸透すると、地山と一体化して長期間土壌の固化力が持続されることになる。このようにして、土壌内に伸張した植物の根茎がさらに安定的に保持されて伸長を続け、表面緑化がより進行することになる。
(法面緑化用組成物の効果について)
以上詳述した本実施形態の法面緑化用組成物によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)法面緑化用組成物の固化成分として含有される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムが水分と反応することによって、土壌を団粒化させ、土壌中に様々な大きさの間隙を生成させることから、植物の種子の発芽に適した水分を土壌中に保持することができる。また、植物の生育環境に適した水はけを保持することができる。これにより、植物の生育を好適に促進させる環境を創出することが可能となり、法面の緑化を促進することができる。
(2)法面緑化用組成物の固化成分として含有される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムが水分と反応することによって、土壌が固化し、法面の侵食が抑制される。したがって、雨水等が滲み込んでも法面が強固に保持され、植物の種子が流されたり、植物の根茎が流されたりすることを回避することができる。植物が安定して発芽、伸長し、法面の表面緑化が安定した状態で進行する。
(3)法面緑化用組成物の固化成分として含有される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムによる鎖状結束が時間の経過とともに土壌内で浸透していくことにより、土壌が固化されて長期間に亘り侵食されにくい安定した土壌を提供することができる。したがって、植物が長期間安定的に生長し続けることができるため、法面の表面緑化を長期間に亘って保持することができる。
(4)吹付材料に対する法面緑化用組成物の含有量が0.5〜4.0重量%の範囲に抑えられていることから、固化成分中の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムが弱アルカリ性を呈したとしても吹付材料中に含有される他の成分との間で中和されて土壌のアルカリ化が抑制される。この結果土壌が全体として中性を維持し、土壌からの浸透水がアルカリ性となることが回避される。植物の生育環境に悪影響を及ぼすことがなく、また、環境面における悪影響を回避できる。
(5)吹付材料を法面に吹き付けた後の初期段階では、法面緑化用組成物中の凝集成分として含有されるポリアクリルアミド系樹脂が土壌の固化力を補助し、次第にエトリンガイト、カルシウムサルフェイト、及びカルシウムシリケイトが絡み合って鎖状結束が伸長して土壌の固化が進む。したがって、エトリンガイト等の鎖状結束に基づく土壌固化が完了するまでの間も土壌に固化力が付与され、初期段階から植物の種子が土壌内に保持されることができる。吹付材料の吹付後の早い段階から土壌の侵食が抑制されて安定した法面を保持することができる。法面からの緑化材料の流失抑制の効果を好適に付与することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の法面緑化用組成物を使用した法面緑化方法の第2の実施形態について説明する。
まず、本実施形態の吹付材料中に含まれる各成分について、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態では、吹付材料中の法面緑化用組成物が、凝集成分としてのポリアクリルアミド系樹脂を含有しておらず、凝集成分に代わって接着成分としての酢酸ビニル系樹脂を含有している。酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニル単量体を重合して得られるポリ酢酸ビニル、或いは酢酸ビニル単量体と他の共重合性単量体との重合体のいずれでもよい。
これら酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルユニットに起因する接着性と、柔軟さを併せ持つ合成樹脂であり、法面緑化用組成物中の固化成分と土壌とを接着させる接着成分として機能する。これにより、法面緑化用組成物中の固化成分として含有される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムと水分との反応の初期段階においても、土壌に固化力を付与することができる。
本実施形態の法面緑化用組成物を使用した吹付方法は、第1実施形態での吹付方法とは異なり、あらかじめ水分を除いた各材料を吹付け機材のタンク内で混ぜ合わせ、吹付時に水分を添加することにより行う。具体的には、現場を切削することにより得られた土壌中に、現場周辺の生態系を考慮した植物の種子、肥料、現場から切り出し等した木材をチップ化した生チップ及び堆肥を混合して緑化材料を調整する。続いて、当該緑化材料と、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムを含有して構成される固化成分と、酢酸ビニル系樹脂からなる接着成分とを吹付け機材のタンク内に入れてよく混合させる。タンク内の成分をコンプレッサーにて法面に吹き付ける際、吹付け機材のノズル先端で水分を直接混合して法面への吹付作業を行う。
このような第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(4)に加えて次のような効果を奏することができる。
(6)酢酸ビニル系樹脂の接着性により、法面緑化用組成物中の固化成分と土壌とが接着成分としての酢酸ビニル系樹脂を介して好適に接着される。したがって、吹付材料を吹付後の初期段階においても、土壌に好適な固化力を付与することができるため、植物の種子を土壌内に好適に保持することができ、法面からの緑化材料の流失を抑制することができる。
(7)緑化材料と固化成分と接着成分とをタンク内で混合させた後、吹付時に水分を混合するようにしたため、使用する水分を少なくすることができる。したがって、接着成分による接着力を好適に発揮させることができる。
なお、前記各実施形態は以下のように変更してもよく、また、以下の変更例を組み合わせて適用してもよい。
・ 第1の実施形態では、法面緑化用組成物として固化成分のほかに、ポリアクリルアミド系樹脂からなる凝集成分を含有させたが、これを含有しない組成物として構成してもよい。凝集成分を含有しない場合であっても、固化成分中の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムと水分との反応により鎖状結束が進展し、土壌を固化するとともに土壌を団粒化し、法面での植物の種子の保持、生育を好適に達成することができる。
・ 第1の実施形態では、緑化材料と、固化成分と、凝集成分と、水分とを車載型の吹付け機材のタンク中に入れてよく混練させて泥状とし、コンプレッサーにて法面に吹き付ける方法を採用したが、この方法に限定されるものではない。第2の実施形態に記載したように、緑化材料と固化成分と凝集成分とをタンク内で混合後、法面への吹付時に水分を混合するようにしてもよい。或いは、第2の実施形態の吹付材料を、第1の実施形態に記載したような方法で吹付作業を行ってもよい。
・ 前記各実施形態では、緑化材料中に堆肥及び木材の生チップが含有されたものを用いたが、木材の生チップを含有せず堆肥のみが含まれるものを使用してもよい。
・ 前記各実施形態では、生チップとしては現場に生息していた在来木本類を砕いてチップ化したものを用いたが、現場に生息していたものに限らず、異なる地域で得られた樹木をチップ化したものを用いてもよい。また、堆肥としては現場で伐採等した在来木本類を工場に運搬してチップ化して発酵させたものを用いたが、現場以外で得られた樹木をチップ化して発酵させたものを用いてもよい。
・ 堆肥として、樹木全体を砕いてチップ化後、発酵させて得られるものに限らず、樹木の根株や枝葉等を細かく砕いてチップ化後発酵させたものを用いてもよい。また、樹木の皮の部分を発酵させて得られるいわゆるバーク堆肥を使用することもできる。或いは、トウモロコシ堆肥等、草本類を発酵させて得られる堆肥を使用することもできる。
・ 堆肥としては、現場に生息していた樹木を発酵させて得られる堆肥のみならず現場以外の地域に生息していた樹木を発酵させて得られる堆肥を適宜組み合わせて使用することができる。また、樹木の根株や枝葉から得られる堆肥、樹木の皮から得られるバーク堆肥、或いは各種草本類から得られる堆肥等、各種堆肥をそれぞれ適宜組み合わせて使用することもできる。
・ 前記各実施形態では現場から得られた土壌を緑化材料中に混ぜ込んで使用したが、使用する土壌はこれに限定されるものではない。一般的に市販される堆積土やサバ土等を使用してもよく、これらと現場土壌とを適宜混合して使用してもよい。
さらに、前記各実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)接着成分として酢酸ビニル系樹脂を含有して構成される法面緑化用組成物。
(ロ)植物の種子、肥料、及び土壌を含む緑化材料と、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムを含有して構成される固化成分と、水分とを混練して法面に吹き付ける法面緑化方法。

Claims (2)

  1. 法面緑化用組成物を、緑化材料と水分とともに法面に吹き付ける法面緑化用組成物の吹付方法であって、
    前記法面緑化用組成物は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化カルシウムを含有して構成される固化成分と、酢酸ビニル系樹脂からなる接着成分とを含んでなり、
    前記緑化材料は、植物の種子、肥料、及び土壌を含んでなり、
    前記法面緑化用組成物と前記緑化材料を吹付け機材のタンク内に入れて混合し、法面に吹き付ける際に水分を添加する法面緑化用組成物の吹付方法。
  2. 前記吹付け機材のノズル先端で水分を添加して法面に吹き付ける請求項1に記載の法面緑化用組成物の吹付方法
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