JP5995389B1 - 銅複合鉄粉の製造方法および焼結金属の製造方法 - Google Patents
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そうした一方で銅系は、銅を主成分としており、金属銅やCu−Sn等の合金が例示でき、鉄系のものに比較してコスト高であって高荷重に耐え得る強度が不足しがちであるが、優れた潤滑特性を有するという性質を有する。
例えば、特開2003−184882号公報(特許文献1)や特開平8−92604号公報(特許文献2)には、鉄粉粒子の表面を銅被覆した銅被覆鉄粉が記載されている。
[1] 鉄粉に平均粒径が20μm以下の酸化銅粉と塩化亜鉛を混合し加熱して還元性ガスで酸化銅を還元し、鉄粉表面に銅と錫を付着させた銅複合鉄粉を製造する銅複合鉄粉の製造方法であって、前記塩化亜鉛を前記酸化銅粉含量に対して0.2〜1.5wt%混合し、前記酸化銅粉を前記鉄粉含量に対して金属銅換算で10〜50wt%混合して原料粉を調製し、この原料粉を200℃から330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う銅複合鉄粉の製造方法である。
[3] 前記昇温前の前記鉄粉含量に対して3〜25wt%の青銅粉をさらに混合して原料粉を調製する銅複合鉄粉の製造方法である。
[4] 上記何れかの銅複合鉄粉の製造方法により製造された銅複合鉄粉を圧粉成形後、焼結してなる焼結金属を製造する焼結金属の製造方法である。
また、本発明によれば、偏析のない銅複合鉄粉を製造できる。
本発明は、鉄粉に平均粒径が20μm以下の酸化銅粉と塩化亜鉛を混合し加熱して還元性ガスで酸化銅を還元し、鉄粉表面に銅を付着させた銅複合鉄粉を製造する銅複合鉄粉の製造方法であって、前記塩化亜鉛を前記酸化銅粉に対して0.2〜1.5wt%混合し、前記酸化銅粉を前記鉄粉に対して金属銅換算で10〜50wt%混合し、200℃から330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う銅複合鉄粉の製造方法である。
比表面積としては、50〜4000cm2/g程度のものを好適に用いることができる。比表面積が50cm2/gより小さいと、粒径も小さくなり焼結含油軸受用の粉末としては小さく使い難いものとなる。比表面積が4000cm2/gより大きいと、粒径も大きくなりがちで焼結含油軸受用の粉末としては大きく使い難いものとなる。
平均粒径としては、30〜200μm程度のものとすることが好ましい。焼結含油軸受用の原料粉として適当な大きさだからである。
塩化亜鉛の混合量が0.2wt%より少ないと、塩化亜鉛添加の効果が表れず、1.5wt%を超えて添加すると、原料の鉄粉が酸化しやすくなる。
この錫粉の粒径としては、最大粒径が45μm以下であり、平均粒径が10〜20μm程度であることが好ましい。あまり細かすぎると他の粉体との混合時に偏析を起こし易くて好ましくなく、あまり大きすぎると、錫粉自体の添加量が多くないことから、錫が行き渡らない部分が生じて好ましくない。
青銅粉を添加することで、鉄粉を芯材とする粉体とともに青銅粉を芯材とする粉体が混合された銅複合鉄粉を得ることができる。この混合粉は、何れの粉体の表面も銅で被覆されているため、その表面特性は鉄粉を芯材とする粉体のみの場合と変わらない。即ち、焼結含油軸受に加工した際の摺動面に銅を表出する点で、鉄粉を芯材とする粉体のみの場合と、それに青銅粉を芯材とする粉体が混合された場合で同等である。しかしながら、この混合粉では、全体としての硬度がやや低くなるとともに、鉄に対するよりも青銅に対する方が銅の密着性に優れていると考えられることから、焼結含油軸受に加工した際の軸体とのなじみ性により優れた銅複合鉄粉が得られる。
第1熱処理は、水素ガスやアンモニア分解ガス等の還元性ガスを通した雰囲気で200℃から330℃に昇温する熱処理工程である。この過程では、酸化銅が還元されて生じる水蒸気に塩化亜鉛が溶け出すことになる。塩化亜鉛が無ければ水蒸気が発生した酸化雰囲気となり、鉄粉の表面が酸化されて酸化鉄の被膜が形成され易いが、この酸化鉄の被膜が形成されると、鉄粉表面への銅の好適な付着が阻害されるおそれがある。しかしながら、第1熱処理を行うことで、塩化亜鉛が水蒸気により加水分解され酸性を示し、酸化鉄層を溶かし、鉄粉表面を活性化する働きをする為、鉄粉表面への銅の付着が好適となる。
なお、第1熱処理を経ずにいきなり高温にさらすと、塩化亜鉛は酸化亜鉛に変化して溶融しなくなり、表面に析出するおそれがあるため好ましくない。
この場合、加熱温度が高温でも950℃を超えないこととしたため、熱処理後の粉体同士の結合力が、950℃を超えて加熱する場合よりも弱いため、加熱後の粉砕が容易である。
この銅複合鉄粉は、従来の方法により製造された銅被覆鉄粉と比べて、鉄粉の表面への銅の付着性と密着性に優れている。
原料となる銅複合鉄粉を金型内に充填してプレス機にて圧縮した後、これを焼結炉で焼結する。そして、得られた焼結体をサイジングして所定の形状の軸受を得る。その後、洗浄、油含浸等の後処理工程を順次行う。こうして焼結含油軸受を製造する。
[試料1]:
平均粒径90μmの鉄粉80重量部に対して、酸化銅粉1(酸化銅(II)平均粒径5μm)19重量部と、塩化亜鉛0.12重量部を混合し、十分に攪拌して混合粉を得た。これらの原料粉は何れも市販のものである。
焼結して固まった混合粉は、粉砕器で粉砕することで焼結含油軸受用の銅複合鉄粉である試料1を得た。
上記試料1の銅複合鉄粉の作製に用いた各種原料粉の種類や配合量、および熱処理等の条件を、表1および表2に示した条件に変えた以外は試料1と同様の条件で、試料2〜試料15の銅複合鉄粉を得た。比較のため試料1も併せて表1に示した。
酸化銅粉2は平均粒径が20μmであり、酸化銅粉3は平均粒径が30μmである酸化銅粉であり平均粒径が酸化銅粉1と異なる。
錫粉は、平均粒径15μmの市販の錫粉である。
青銅粉は、平均粒径50μmの市販の青銅粉である。
試料1〜試料15の各銅複合鉄粉を用い、次に説明する工程を経て、それぞれ試料1〜試料15の焼結含油軸受を製造した。
各銅複合鉄粉をそれぞれ金型に入れ、円筒状に圧縮成形した後、水素雰囲気焼結炉にて850℃、20分間の条件で焼結を行った。得られた焼結体を、内径×外径×全長=3mm×6mm×4mmにサイジングし、潤滑油(「平和産業製、合成油HS−32(商品名)」)含浸を行った。こうして、焼結含油軸受である試料1〜試料15を得た。
試料1〜試料15の各焼結含油軸受に対し軸体を通し、軸体の周速(V値)を90m/min.;軸受にかかる面圧(P値)を5.56kg/cm2として、60分間、軸体を回転させた。試験後に軸受の摺動面を肉眼および光学顕微鏡で観察した。
上記のようにして得られた試料1〜試料15の各種銅複合鉄粉、および試料1〜試料15の各種焼結含油軸受について以下の評価を行った。
焼結炉から取り出した際の銅複合鉄粉の表面状態について肉眼および光学顕微鏡で観察した。
表面の状態が均一で銅色をしているものを「◎」、表面は銅色をしているもののややむらが見られたものを「〇」、銅が被覆してない鉄や、周囲とは異なる部位が生じたものがある場合を「×」と、それぞれ評価した。その評価結果を表1、表2に「ケーキの状態」として示す。
銅複合鉄粉を焼結炉から取り出すと、焼結して固まった状態になっているため、これを粉砕する必要がある。そのため、この粉砕のし易さを比較した。
ケーキ状の銅複合鉄粉を人手で簡単にいくつものブロックに割ることができ、平和産業社製のハンマー式粉砕機(刃の直径φ250、回転数850rpm)にこのブロックを入れて粉砕することで、いくつかの粒が凝集したような塊が無くなるものを「〇」、大きな塊は無くなるものの、篩いで篩い分け可能な程度の小さな塊が残るものを「△」、小さな塊だけでなく、再粉砕が必要な程度な大きな塊も残るものを「×」と評価した。その評価結果を表1、表2に「粉砕し易さ」として示す。
加速試験後の焼結含油軸受の摺動面の観察により、加速試験前とみかけはほとんど変わらない場合を「◎」、変色が生じたものの軸体の回転状態に変化が見られず良好なものを「〇」、鉄表面が表出したり、加速試験中に軸体の回転が重くなったりするなどの変化が生じたものを「×」と、それぞれ評価した。その評価結果を表1、表2に「軸受特性」として示す。
上記試験結果より、試料1〜3,6,7,9,12,14の焼結含油軸受は、実用に適したものであるが、試料4,5,8,10,11,13,15の焼結含油軸受は好ましいものではないことがわかる。
Claims (4)
- 鉄粉に平均粒径が20μm以下の酸化銅粉と塩化亜鉛を混合し加熱して還元性ガスで酸化銅を還元し、鉄粉表面に銅を付着させた銅複合鉄粉を製造する銅複合鉄粉の製造方法であって、
前記塩化亜鉛を前記酸化銅粉含量に対して0.2〜1.5wt%混合し、前記酸化銅粉を前記鉄粉含量に対して金属銅換算で10〜50wt%混合して原料粉を調製し、この原料粉を200℃から330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う銅複合鉄粉の製造方法。 - 前記昇温前の前記鉄粉含量に対して0.4〜4.0wt%の錫粉をさらに混合して原料粉を調製する請求項1記載の銅複合鉄粉の製造方法。
- 前記昇温前の前記鉄粉含量に対して3〜25wt%の青銅粉をさらに混合して原料粉を調製する請求項1または請求項2記載の銅複合鉄粉の製造方法。
- 請求項1〜請求項3何れか1項記載の銅複合鉄粉の製造方法により製造された銅複合鉄粉を圧粉成形後、焼結してなる焼結金属を製造する焼結金属の製造方法。
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