JP5995389B1 - 銅複合鉄粉の製造方法および焼結金属の製造方法 - Google Patents

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【課題】鉄粉表面に銅成分を被覆してなる銅複合鉄粉の製造に関し、鉄に対する銅の密着性に優れ、偏析のない銅複合鉄粉の提供。【解決手段】鉄粉に塩化亜鉛と平均粒径が20μm以下の酸化銅粉とを混合し加熱して還元性ガスで酸化銅を還元し、鉄粉表面に銅を付着させた銅複合鉄粉を製造する方法で、塩化亜鉛は酸化銅粉に対して0.2〜1.5wt%混合し、酸化銅粉は鉄粉に対して金属銅換算で10〜50wt%混合し、200〜330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う銅複合鉄粉の製造方法。好ましくは鉄粉に対し、0.4〜1.5wt%の錫粉を混合、その上、好ましくは3〜25wt%の静銅粉を更に混合する銅複合鉄粉の製造方法。前記銅複合鉄粉を圧粉成形し、焼結してなる、焼結金属の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄系および銅系の性質を併せ持つ銅複合鉄粉の製造方法および焼結金属の製造方法に関する。
焼結含油軸受は、金属粉を焼結させてなる焼結体の多孔性を利用して、容積比で10〜25%の潤滑油を含浸させて自己給油の状態で使用することができるため、潤滑油をつぎ足す必要がなく発煙している状態であっても焼付くことなく運転できるという優れた特徴を有している。こうした焼結含油軸受は、電気機器や音響機器、土木機械や自動車など、環境的又は機構的に十分な給油が望めない箇所において広く用いられている。
この焼結含油軸受の材料に用いられる金属粉には種々のものがあるが、主要なものとして銅系と鉄系とがある。 鉄系は、鉄を主成分としており、金属鉄やFe−C、Fe−Pb−C等の合金が例示でき、機械的強度は高いが硬度が高いので軸材に対するなじみ性に劣り、軸材を摩耗させやすくまた耐食性にも劣るという性質を有する。
そうした一方で銅系は、銅を主成分としており、金属銅やCu−Sn等の合金が例示でき、鉄系のものに比較してコスト高であって高荷重に耐え得る強度が不足しがちであるが、優れた潤滑特性を有するという性質を有する。
そこで、双方の利点を備えるべく鉄系の原料粉と銅系の原料粉とを適当な配合量で混合してなる焼結含油軸受の製造も行われている。しかしながら、焼結材は原料粉が完全に合金化するものではなく、摺動面にもある程度の割合で鉄系材料が表出するため、鉄系と銅系の双方の良いところを十分に引き出すことは困難であった。
こうした不具合を解消するため、強度の強い鉄系材の表面をなじみ性に優れた銅系材で覆う原料粉の開発もなされている。
例えば、特開2003−184882号公報(特許文献1)や特開平8−92604号公報(特許文献2)には、鉄粉粒子の表面を銅被覆した銅被覆鉄粉が記載されている。
特開2003−184882号公報 特開平8−92604号公報
特開2003−184882号公報(特許文献1)には、既知の鉄粉粒子表面に対して銅メッキ加工を施して銅被覆鉄粉を製造する技術が記載されている。しかしながら、こうしたメッキ法による銅被覆鉄粉は、廃液処理等の環境に対する対策が必要となり、コストが高くなる。
これに対し特開平8−92604号公報(特許文献2)には、鉄粉と酸化銅粉を混合して還元性雰囲気化で酸化銅粉を還元し、鉄粉の表面に銅を付着させる技術が記載されている。しかしながら、この銅被覆鉄粉の製造方法を行うには、二次粒子の平均粒径が5μm以下で0.1μm以下の一次粒子が凝集したものであり比表面積が10m/g以上であるという特殊な酸化銅粉を用いる必要があり、また得られた銅被覆鉄粉についても銅の密着性が好ましくなく、銅が剥離し易いものであった。
一方、鉄粉と銅粉とを混合した混合粉を熱処理して鉄粉表面に銅被膜を付着させて銅被膜鉄粉を製造する方法もあるが、この銅被覆鉄粉の製造方法では、原料となる鉄粉に比べて銅粉の比重が高いため、鉄粉と銅粉の混合時に偏析が起きやすいという欠点がある。また鉄粉と銅粉の混合粉を高温で処理する必要があり、加熱後に得られた粉体の密着性が高くなる。そのため、固まった粉体を細かな粒子に再粉化するのに過大な労力がかかっていた。
本発明は、こうした課題について検討し、鉄粉表面に銅成分を被覆してなる銅複合鉄粉の製造に関し、鉄に対する銅の密着性に優れ、偏析のない銅複合鉄粉を得ることを目的とするものである。
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
[1] 鉄粉に平均粒径が20μm以下の酸化銅粉と塩化亜鉛を混合し加熱して還元性ガスで酸化銅を還元し、鉄粉表面に銅と錫を付着させた銅複合鉄粉を製造する銅複合鉄粉の製造方法であって、前記塩化亜鉛を前記酸化銅粉含量に対して0.2〜1.5wt%混合し、前記酸化銅粉を前記鉄粉含量に対して金属銅換算で10〜50wt%混合して原料粉を調製し、この原料粉を200℃から330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う銅複合鉄粉の製造方法である。
[2] 前記昇温前の前記鉄粉含量に対して0.4〜4.0wt%の錫粉をさらに混合して原料粉を調製する銅複合鉄粉の製造方法である。
[3] 前記昇温前の前記鉄粉含量に対して3〜25wt%の青銅粉をさらに混合して原料粉を調製する銅複合鉄粉の製造方法である。
[4] 上記何れかの銅複合鉄粉の製造方法により製造された銅複合鉄粉を圧粉成形後、焼結してなる焼結金属を製造する焼結金属の製造方法である。
本発明によれば、鉄に対する銅の密着性に優れた銅複合鉄粉を製造できる。
また、本発明によれば、偏析のない銅複合鉄粉を製造できる。
本発明の銅複合鉄粉の製造方法とその銅複合鉄粉を用いた焼結含油軸受について実施形態に基づいて詳しく説明する。
本発明は、鉄粉に平均粒径が20μm以下の酸化銅粉と塩化亜鉛を混合し加熱して還元性ガスで酸化銅を還元し、鉄粉表面に銅を付着させた銅複合鉄粉を製造する銅複合鉄粉の製造方法であって、前記塩化亜鉛を前記酸化銅粉に対して0.2〜1.5wt%混合し、前記酸化銅粉を前記鉄粉に対して金属銅換算で10〜50wt%混合し、200℃から330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う銅複合鉄粉の製造方法である。
鉄粉は、焼結含油軸受製造に用いることができる市販の鉄粉を利用することができ、電解鉄粉や、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉等を用いることができる。
比表面積としては、50〜4000cm/g程度のものを好適に用いることができる。比表面積が50cm/gより小さいと、粒径も小さくなり焼結含油軸受用の粉末としては小さく使い難いものとなる。比表面積が4000cm/gより大きいと、粒径も大きくなりがちで焼結含油軸受用の粉末としては大きく使い難いものとなる。
平均粒径としては、30〜200μm程度のものとすることが好ましい。焼結含油軸受用の原料粉として適当な大きさだからである。
酸化銅粉は、平均粒径で20μm以下である。平均粒径が20μmを超えると、鉄粉と酸化銅粉との接触が緻密にならず、鉄粉の周囲の空隙が大きくなるからであり、鉄粉を完全に覆うことができず、またその密着性も悪くなる。平均粒径が細かいほど鉄粉の表面に酸化銅粉を接触させる面積が大きくなり、鉄粉表面への銅の被覆性、密着性とも向上する。
酸化銅粉を用いることとしたのは、水素ガスやアンモニア分解ガス等の還元性ガスを含んだ雰囲気において、250℃程度の非常に低い温度で還元されることや、金属銅は延性を有するため微粉化が困難であるのに対して酸化銅とすればもろいため微粉末形状の粉体が金属銅に比べて容易に入手できるからである。さらに、鉄粉と他の微粒子を混合した混合粉とする際に、金属銅は比重が鉄よりも高いため微粉とすれば偏析が起きやすいのに対し、酸化銅は比重が鉄よりもかなり低いため偏析が起きにくいからである。
酸化銅としては、酸化銅(I)でも酸化銅(II)でも良い。酸化銅粉の製造は、電解銅粉やアトマイズ銅粉などの銅粉を空気酸化して行うことができる。
酸化銅粉の混合量は、鉄粉に対して金属銅換算で10〜50wt%であり、好ましくは15〜40wt%である。酸化銅粉が10wt%より少ないと、鉄粉表面への完全被覆が困難になる。また、酸化銅粉が50wt%を超えると、過剰な銅が銅複合鉄粉とは遊離して生じるおそれがある。
塩化亜鉛は、酸化銅に対して0.2〜1.5wt%添加することが好ましく、0.5〜1.0wt%添加することがより好ましい。
塩化亜鉛の混合量が0.2wt%より少ないと、塩化亜鉛添加の効果が表れず、1.5wt%を超えて添加すると、原料の鉄粉が酸化しやすくなる。
錫粉を混合する場合は、焼結含油軸受製造に用いることができる市販の錫粉を利用することができる。
この錫粉の粒径としては、最大粒径が45μm以下であり、平均粒径が10〜20μm程度であることが好ましい。あまり細かすぎると他の粉体との混合時に偏析を起こし易くて好ましくなく、あまり大きすぎると、錫粉自体の添加量が多くないことから、錫が行き渡らない部分が生じて好ましくない。
錫粉の混合量は、鉄粉に対して0.4〜4.0wt%である。錫粉が0.4wt%より少ないと、混合粉全体への錫成分の十分な浸透が困難になる
鉄粉に対して3〜25wt%の青銅粉をさらに混合することができる。
青銅粉を添加することで、鉄粉を芯材とする粉体とともに青銅粉を芯材とする粉体が混合された銅複合鉄粉を得ることができる。この混合粉は、何れの粉体の表面も銅で被覆されているため、その表面特性は鉄粉を芯材とする粉体のみの場合と変わらない。即ち、焼結含油軸受に加工した際の摺動面に銅を表出する点で、鉄粉を芯材とする粉体のみの場合と、それに青銅粉を芯材とする粉体が混合された場合で同等である。しかしながら、この混合粉では、全体としての硬度がやや低くなるとともに、鉄に対するよりも青銅に対する方が銅の密着性に優れていると考えられることから、焼結含油軸受に加工した際の軸体とのなじみ性により優れた銅複合鉄粉が得られる。
青銅粉の混合割合を、鉄粉に対して3〜25wt%としたのは、3wt%よりも少なければ青銅粉を混合した特性を引き出すことができず、25wt%を超えて添加すると、コスト高となるからである。
上記各種粉体は、ヘンシェルミキサーや、V型ミキサー、W型ミキサー等の公知の混合器を用いて攪拌し混合する。こうして得た混合粉は、トレイ等に敷き詰めて以下に説明する加熱処理を行う。
加熱処理は、200℃から330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う。
第1熱処理は、水素ガスやアンモニア分解ガス等の還元性ガスを通した雰囲気で200℃から330℃に昇温する熱処理工程である。この過程では、酸化銅が還元されて生じる水蒸気に塩化亜鉛が溶け出すことになる。塩化亜鉛が無ければ水蒸気が発生した酸化雰囲気となり、鉄粉の表面が酸化されて酸化鉄の被膜が形成され易いが、この酸化鉄の被膜が形成されると、鉄粉表面への銅の好適な付着が阻害されるおそれがある。しかしながら、第1熱処理を行うことで、塩化亜鉛が水蒸気により加水分解され酸性を示し、酸化鉄層を溶かし、鉄粉表面を活性化する働きをする為、鉄粉表面への銅の付着が好適となる。
なお、第1熱処理を経ずにいきなり高温にさらすと、塩化亜鉛は酸化亜鉛に変化して溶融しなくなり、表面に析出するおそれがあるため好ましくない。
第2熱処理は、やはり還元性ガスを通した還元性雰囲気において、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する熱処理工程である。この過程では、鉄や銅の融点以下の温度であり、鉄粉の表面で鉄と銅による焼結が生じると考えられる。これにより、鉄粉の表面に銅が強固に付着した銅-鉄焼結層を備える銅複合鉄粉が得られると考えられる。
この場合、加熱温度が高温でも950℃を超えないこととしたため、熱処理後の粉体同士の結合力が、950℃を超えて加熱する場合よりも弱いため、加熱後の粉砕が容易である。
錫粉を加えた場合には、融点が230℃であり、第1熱処理で溶解する。この錫粉の溶解温度は酸化銅の還元温度よりも低いため、酸化鉄層の形成前に錫が鉄表面を覆うように働くため、先の塩化亜鉛の働きと協働して酸化鉄被膜の形成を抑制する方向に働くと考えられる。
第1熱処理の段階では、酸化鉄被膜を形成し難くするため、水蒸気の発生を抑えるように、還元性ガスとしてのアンモニア分解ガスをそのまま用いずにN:H比を変えるなどして、水素の分率を下げることとするのは好ましい態様として採用することができる。
こうした温度処理を経た後、得られた混合粉(ケーキ)は、粉砕した後、篩いにかけて所望の粒径の焼結含油軸受用原料粉として利用することができる。
この銅複合鉄粉は、従来の方法により製造された銅被覆鉄粉と比べて、鉄粉の表面への銅の付着性と密着性に優れている。
次に、この銅複合鉄粉を用いた焼結金属の中で焼結含油軸受の製造方法について説明する。焼結金属は、金属粉を焼結して得られる成形体であり、油を含ませて用いる焼結含油軸受や、油を含ませずに用いる焼結部品を含む概念である。
原料となる銅複合鉄粉を金型内に充填してプレス機にて圧縮した後、これを焼結炉で焼結する。そして、得られた焼結体をサイジングして所定の形状の軸受を得る。その後、洗浄、油含浸等の後処理工程を順次行う。こうして焼結含油軸受を製造する。
上記実施形態は本発明の一例であり、こうした形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限度において、他の金属材料粉や、種々の添加剤の混合を行い得るものである。
実験例
以下に、より具体的な本発明の実施例を比較例と共に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<銅複合鉄粉の製造>
[試料1]:
平均粒径90μmの鉄粉80重量部に対して、酸化銅粉1(酸化銅(II)平均粒径5μm)19重量部と、塩化亜鉛0.12重量部を混合し、十分に攪拌して混合粉を得た。これらの原料粉は何れも市販のものである。
そして、この混合物をトレイに敷き詰めて焼結炉に入れ、アンモニア分解ガスを導入した還元雰囲気中で、室温から昇温させた。途中、200℃から330℃に徐々に昇温させる第1処理を行い、また、その後820℃まで昇温させる第2熱処理を行った。その後、炉から取り出した混合粉(ケーキ)の状態を観察した。
焼結して固まった混合粉は、粉砕器で粉砕することで焼結含油軸受用の銅複合鉄粉である試料1を得た。
[試料2〜試料15]:
上記試料1の銅複合鉄粉の作製に用いた各種原料粉の種類や配合量、および熱処理等の条件を、表1および表2に示した条件に変えた以外は試料1と同様の条件で、試料2〜試料15の銅複合鉄粉を得た。比較のため試料1も併せて表1に示した。
表1、表2に示した各種原料粉や、熱処理等の条件の詳細は以下のとおりである。
酸化銅粉2は平均粒径が20μmであり、酸化銅粉3は平均粒径が30μmである酸化銅粉であり平均粒径が酸化銅粉1と異なる。
錫粉は、平均粒径15μmの市販の錫粉である。
青銅粉は、平均粒径50μmの市販の青銅粉である。
表1、表2の「第1熱処理」覧および「第2熱処理」覧は、それぞれ各処理を行ったものを「DO」とし、行わなかったものを「−」とした。第1熱処理を行わない試料10は、室温から昇温する工程に代えて、350℃の炉内に混合粉を入れ、その後、820℃まで昇温させた。混合粉の炉への投入から搬出までの時間は試料1と同じである。また、第2熱処理を行わない試料11は、室温から昇温させ600℃にした後、600℃を維持した。この試料11も混合粉の炉への投入から搬出までの時間は試料1と同じである。さらにまた、第2熱処理を行わない試料15は、室温から昇温させた後、1050℃にまで温度を上げて焼成した。試料15も混合粉の炉への投入から搬出までの時間は試料1と同じである。
<焼結含油軸受の製造>
試料1〜試料15の各銅複合鉄粉を用い、次に説明する工程を経て、それぞれ試料1〜試料15の焼結含油軸受を製造した。
各銅複合鉄粉をそれぞれ金型に入れ、円筒状に圧縮成形した後、水素雰囲気焼結炉にて850℃、20分間の条件で焼結を行った。得られた焼結体を、内径×外径×全長=3mm×6mm×4mmにサイジングし、潤滑油(「平和産業製、合成油HS−32(商品名)」)含浸を行った。こうして、焼結含油軸受である試料1〜試料15を得た。
<加速試験>
試料1〜試料15の各焼結含油軸受に対し軸体を通し、軸体の周速(V値)を90m/min.;軸受にかかる面圧(P値)を5.56kg/cmとして、60分間、軸体を回転させた。試験後に軸受の摺動面を肉眼および光学顕微鏡で観察した。
<評 価>
上記のようにして得られた試料1〜試料15の各種銅複合鉄粉、および試料1〜試料15の各種焼結含油軸受について以下の評価を行った。
[銅複合鉄粉の生成(ケーキの状態)について(1)]:
焼結炉から取り出した際の銅複合鉄粉の表面状態について肉眼および光学顕微鏡で観察した。
表面の状態が均一で銅色をしているものを「◎」、表面は銅色をしているもののややむらが見られたものを「〇」、銅が被覆してない鉄や、周囲とは異なる部位が生じたものがある場合を「×」と、それぞれ評価した。その評価結果を表1、表2に「ケーキの状態」として示す。
[銅複合鉄粉の生成(ケーキの粉砕し易さ)について(2)]:
銅複合鉄粉を焼結炉から取り出すと、焼結して固まった状態になっているため、これを粉砕する必要がある。そのため、この粉砕のし易さを比較した。
ケーキ状の銅複合鉄粉を人手で簡単にいくつものブロックに割ることができ、平和産業社製のハンマー式粉砕機(刃の直径φ250、回転数850rpm)にこのブロックを入れて粉砕することで、いくつかの粒が凝集したような塊が無くなるものを「〇」、大きな塊は無くなるものの、篩いで篩い分け可能な程度の小さな塊が残るものを「△」、小さな塊だけでなく、再粉砕が必要な程度な大きな塊も残るものを「×」と評価した。その評価結果を表1、表2に「粉砕し易さ」として示す。
[軸受特性について]:
加速試験後の焼結含油軸受の摺動面の観察により、加速試験前とみかけはほとんど変わらない場合を「◎」、変色が生じたものの軸体の回転状態に変化が見られず良好なものを「〇」、鉄表面が表出したり、加速試験中に軸体の回転が重くなったりするなどの変化が生じたものを「×」と、それぞれ評価した。その評価結果を表1、表2に「軸受特性」として示す。
<考 察>
上記試験結果より、試料1〜3,6,7,9,12,14の焼結含油軸受は、実用に適したものであるが、試料4,5,8,10,11,13,15の焼結含油軸受は好ましいものではないことがわかる。

Claims (4)

  1. 鉄粉に平均粒径が20μm以下の酸化銅粉と塩化亜鉛を混合し加熱して還元性ガスで酸化銅を還元し、鉄粉表面に銅を付着させた銅複合鉄粉を製造する銅複合鉄粉の製造方法であって、
    前記塩化亜鉛を前記酸化銅粉含量に対して0.2〜1.5wt%混合し、前記酸化銅粉を前記鉄粉含量に対して金属銅換算で10〜50wt%混合して原料粉を調製し、この原料粉を200℃から330℃に昇温して酸化銅を還元する第1熱処理と、700℃〜950℃の温度範囲内で焼成する第2熱処理を行う銅複合鉄粉の製造方法。
  2. 前記昇温前の前記鉄粉含量に対して0.4〜4.0wt%の錫粉をさらに混合して原料粉を調製する請求項1記載の銅複合鉄粉の製造方法。
  3. 前記昇温前の前記鉄粉含量に対して3〜25wt%の青銅粉をさらに混合して原料粉を調製する請求項1または請求項2記載の銅複合鉄粉の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3何れか1項記載の銅複合鉄粉の製造方法により製造された銅複合鉄粉を圧粉成形後、焼結してなる焼結金属を製造する焼結金属の製造方法。
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