JP5994971B2 - 炎症部位集積性化合物、核医学画像診断剤及び標識前駆体 - Google Patents
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Description
Z−Y−Leu−Phe−(X)n−DLys(−(DLys)m−HalB)−(DLys)k−NH2 (1)
式(1)中、
Zはアミノ基の保護基を表し;
YはMet又はNleを表し;
(X)nにおいて、Xは1個もしくはそれ以上のアミノ酸及び/又は有機合成可能な化合物よりなるスペーサー、nは0又は1を表し;
mは0又は1を表し;
kは0又は1を表し;
HalBはベンゼン核に放射性ハロゲンを有する置換安息香酸の残基を表す。
また、夲発明のうち第二の発明は、上記第一の発明の炎症部位集積性化合物を主成分とする核医学画像診断剤に係るものである。
また、本発明のうち第三の発明は、上記第一の発明の化合物の標識前駆体であって、下記式(2)で表される標識前駆体に係るものである。
Z−Y−Leu−Phe−(X)n−DLys−(DLys)m−(DLys)k−NH2 (2)
式(2)中の記号の意味は、式(1)中の記号の意味と同じである。
Z−Y−Leu−Phe−(X)n−DLys(−(DLys)m−HalB)−(DLys)k−NH2 (1)
式(1)中、kは0又は1を表す。
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([18F]FB)−NH2;
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−ε([18F]FB)−NH2;
ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([18F]FB)−NH2;
ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−ε([18F]FB)−NH2;
ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([18F]FB)−DLys−NH2;
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([18F]FB)−DLys−NH2;
標識前駆体であるペプチドは、「固相法」又は「液相法」として知られるペプチド合成法により、調製することができる。例えば、社団法人日本生化学会編集『生化学実験講座』、第1巻、「タンパク質IV」、第207〜495頁、1977年、東京化学同人発行及び社団法人日本生化学会編集『新生化学実験講座』、第1巻、「タンパク質VI」、第3〜74頁、1992年、東京化学同人発行などにはペプチド合成の詳細が記載されている。また、Fmoc(9−フルオレニルメトオキシカルボニル)固相合成法を用いてペプチド合成機にて合成することができる。すなわち、合成する各ペプチドのC末端に相当するアミノ酸が導入されているFmocアミノ酸を樹脂に結合させ、(I)Fmoc基の脱保護と洗浄、(II)Fmocアミノ酸の縮合と洗浄、の操作を繰り返してペプチド鎖を延長し、最後に最終脱保護反応させて、目的とするペプチドを合成することができる。
下記に記載した手順に従い、放射性ハロゲン含有モノマー[18F]SFBを得ることができる(図1)。SFBはN−スクシンイミジル−4−フルオロ安息香酸を表し、[18F]SFBはN−スクシンイミジル−4−[18F]フルオロ安息香酸を表す。
2.反応バイアルに窒素ガスを吹き付けながら加熱して溶媒を飛ばす。更に脱水アセトニトリルを加えて溶媒を飛ばし、完全に水を飛ばす。
3.t−butyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflateを脱水アセトニトリルに溶かし、反応バイアルに加えて強く攪拌し、反応させる。なお、t−butyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflateと脱水アセトニトリルの量比については、t−butyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflateが完全に溶解する限りにおいて限定されないが、好ましくはt−butyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflate 0.3〜0.5mgの場合、脱水アセトニトリルは100〜200μLとすることができる。
4.反応後、反応バイアルにtetrapropylammonium hydroxideを加えて攪拌し、反応させる。
5.反応後、TSTUを(脱水)アセトニトリルに溶かして反応バイアルに加えて攪拌し、反応させる。
6.反応バイアル中の反応液を5%酢酸水溶液で希釈し、アセトニトリルと水で活性化したSep−Pak (登録商標、日本ウォーターズ株式会社製)plus PS−2 に通し、水/アセトニトリルでカラムを洗浄し、アセトニトリルで放射性ハロゲン含有モノマーである[18F]SFBを溶出する。
4−N,N−dimethylamino benzoic acid (1)を含む冷却された乾燥THF中にtrifluoroacetic anhydrideを加える。しばらく後(たとえば30分後)にtert−BuOHを加え、室温に保つ(たとえば2時間)。その後、飽和NaHCO3水溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出する。抽出物をショートシリカゲルカラムに通し、減圧下に溶媒を除去することにより、tert−butyl ester (2)が得られる。
(2)をnitromethaneに溶解させ、冷却する。methyl triflateを加え、攪拌する(たとえば1時間)。反応物をdiethyl etherに注ぎ、真空乾燥することによりt−btltyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflate (3)が得られる。
標識前駆体であるペプチドをアセトニトリル(MeCN)とBorate Bufferの混合液に溶かし、70℃ Ar気流下で濃縮した[18F]SFBに加える。MeCN/トリエチルアミン(以下、Et3Nと表記する)=98/2でpHを8.5〜9.0にし、反応させる。反応後、Fmocの脱保護反応を行う。ピペリジンを加えて20%濃度溶液とし、15〜30分反応させる。HPLCを用いて分取、精製し、純度確認を行う。
ペプチド1:ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([19F]FB)−NH2
ペプチド2:ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([19F]FB)−NH2
ペプチド3:ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−ε([19F]FB)−NH2
ペプチド4:ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−ε([19F]FB)−NH2
ペプチド5:ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([19F]FB)−DLys−NH2
本発明と比較するペプチド
ペプチド6:ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−DLys−ε([19F]FB)−NH2
ペプチド7:ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−DLys−DLys−ε([19F]FB)−NH2
なお、非放射性フッ素で標識した化合物の合成においては、公知の方法に準じてリジンの側鎖に非放射性FBを導入したアミノ酸を予め調製し、自動合成機を用いた合成の原料として用いた。
実施例1に使用する下記のペプチドを、ペプチド4から製造した。
Applied Biosystems社製のペプチド自動合成機(433A)を用いて添付のソフトウエアーに従って1個ずつアミノ酸をカルボキシル末端側から結合させていく方法(固相合成法)によりペプチドを合成した。保護ペプチド樹脂の合成を行った。
Fmoc−SAL Resin (0.65mol/g、0.32mmol scal)を出発樹脂担体として使用し、通常のFmoc−ペプチド合成法に使われる各Fmoc−アミノ酸誘導体を原料として、配列にしたがって逐次ペプチド鎖の延長を行った。Fmoc−アミノ酸誘導体を上記ペプチド合成機の反応容器にセットし、合成機に添付されているソフトウエアーに従って、活性化剤として、1−[ビスジメチルアミノメチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウム−3−オキシド−ヘキサフルオロホスフェイト(HBTu),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して反応槽に加えて反応させた。得られた樹脂をピペリジン含有N−メチルピロリドン中で緩やかに攪拌してFmoc基を除いて次のアミノ酸誘導体の縮合に進めた。使用したFmocアミノ酸誘導体のうち側鎖に官能基のあるアミノ酸はそれぞれTyr(t−ブトキシ基、以下OBuと表記する)、Lys−ε([19F]FB)を用いた。配列に従って逐次アミノ酸を延長してH−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−ε([19F]FB)−SAL Resin保護ペプチド樹脂を得た。その後ホルミル−NleをDIC−HOOBtで縮合して目的とする配列の保護ペプチド樹脂の構築を行った。
得られた保護ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸を用いる定法のTFA−TIS−H2O−(95/2.5/2.5,v/v) 脱保護条件で室温、2時間処理し脱保護と樹脂からのペプチドの切り離しを同時に行った。反応液から担体樹脂をろ別の後、TFAを留去した。残渣にエーテルを加えて得られる粗生成ペプチドの沈殿をろ取した。
得られた粗生成ペプチドをアセトニトリルに溶解し、島津製LC−8A−1のHPLC分取装置(カラム:ODS30×250mm)を用いて0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリル(以下、「アセトニトリル」を「MeCN」と表すことがある。)の系で分取精製し、目的のペプチドの分画を得、アセトニトリルを留去した後、凍結乾燥粉末とし、目的物をトリフルオロ酢酸塩として得た。
得られたペプチドが目的のものであることを確認するために、ESI−MS及びHPLCの分析を行った。
HPLC分析条件:
カラム YMC ODS−A(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:90/10→40/60、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL DMSO
分析結果:
retention time 22.1min,純度 99.5%
m/z 1073.9([M+H]+ 1074.3),m/z 537.7([M+2H]2+ 537.7) 分子量 1073.3
HPLC分析条件:
カラム YMC A−302(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:70/30→20/80、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL DMSO
分析結果:
retention time 15.4min,純度 95.2%
m/z 963.6([M+H]+ 964.2),分子量 963.2
HPLC分析条件:
カラム YMC A−302(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:70/30→20/80、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL DMSO
分析結果:
retention time 17.1min,純度 97.3%
m/z 945.6([M+H]+ 946.1),分子量 945.1
HPLC分析条件:
カラム YMC ODS−A(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:90/10→40/60、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL 50% MeCN/H2O
分析結果:
retention time 20.7min,純度 99.1%
m/z 1092.0([M+H]+ 1092.3),m/z 546.6([M+2H]2+ 546.7) 分子量 1091.3
HPLC分析条件:
カラム YMC ODS−A(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:70/30→20/80、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL DMSO
分析結果:
retention time 10.7min,純度 97.4%
m/z 1091.9([M+H]+ 1092.3),m/z 546.8([M+2H]2+ 546.7) 分子量 1091.3
HPLC分析条件:
カラム YMC ODS−A(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:90/10→40/60、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL DMSO
分析結果:
retention time 20.1min,純度 99.3%
m/z 601.6([M+H]2+ 601.7) 分子量 1201.5
HPLC分析条件:
カラム YMC ODS−A(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:90/10→40/60、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL DMSO
分析結果:
retention time 18.6min,純度 99.8%
m/z 665.7([M+2H]2+ 665.8),m/z 444.2([M+3H]3+ 444.2) 分子量 1329.7
Binding Assay/Inhibition Assay:ホルミル化ペプチド受容体(FPR)に対する結合親和性の評価
実施例1で得られた化合物並びにFMLP(fMLF)について、次の方法によりFPRに対する結合親和性を評価した。
binding buffer(170μL)中に様々な濃度のペプチド(DMSO溶液,10μL)と、放射性リガンドとして2nmol/Lの[125I]Trp−Lys−Tyr−Met−Val−DMet(10μL)と、FPR(10μL)を加え、25℃で1時間インキュベート後、ポリリジンbufferによりコーティングしたGF/Cフィルターを用いて濾取(セルハーベスタ)し、wash後、フィルター上に残った放射能をγカウンターで測定した。なお、[125I]Trp−Lys−Tyr−Met−Val−DMetとはFPRに親和性を有する陽性対照を意味し、PerkinElmer社から入手して用いた。
※binding buffer:50mmol/L Hepes,pH 7.4,5mmol/L MgCl2,1mmol/L CaCl2,0.2% BSA
wash buffer:50mmol/L Hepes,pH 7.4,500mmol/L NaCl,0.1% BSA
ポリリジンbuffer:ポリL−リジン臭化水素酸塩100mg/wash buffer 100mL
評価結果を表1に示した。
なお、表中のKi値は次の式(1)を用いて算出した。
Kd:放射性リガンドのKd値=0.39nM
[L]:放射性リガンド濃度(0.2nMに調整)
ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−ε([18F]FB)−NH2の合成
[ステップ−1]標識前駆体の合成
標識前駆体:ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys(Fmoc)−DLys−NH2
(1)保護ペプチド樹脂の合成
Applied Biosystems社製のペプチド自動合成機(433A)を用いて添付のソフトウエアーに従って1個ずつアミノ酸をカルボキシル末端側から結合させていく方法(固相合成法)によりペプチドを合成した。保護ペプチド樹脂の合成を行った。Fmoc−SAL Resin (0.65mol/g、0.32mmol scal)を出発樹脂担体として使用し、通常のFmoc−ペプチド合成法に使われる各Fmoc−アミノ酸誘導体を原料として、配列にしたがって逐次ペプチド鎖の延長を行った。Fmoc−アミノ酸誘導体を上記ペプチド合成機の反応容器にセットし、合成機に添付されているソフトウエアーに従って、活性化剤として、1−[ビスジメチルアミノメチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウムー3−オキシドーヘキサフルオロホスフェイト(HBTu),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して反応槽に加えて反応させた。得られた樹脂をピペリジン含有N−メチルピロリドン中で緩やかに攪拌してFmoc基を除いて次のアミノ酸誘導体の縮合に進めた。
使用したFmocアミノ酸誘導体のうち側鎖に官能基のあるアミノ酸はそれぞれTyr(OBu)、Lys(Boc),Lys(p−メチルトリチル、以下Mttと表記する)を用いた。配列に従って逐次アミノ酸を延長してH−Leu−Phe−Nle−Tyr(OBu)−DLys(Mtt)−DLys(Boc)−SAL Resin保護ペプチド樹脂を得た。その後ホルミル−NleをDIC−HOOBtで縮合して目的とする配列の保護ペプチド樹脂の構築を行った。続いて、TFA−TIS−DCM(1/5/94,v/v)処理にてMttのみを選択的に除去し、代わりにFmoc−OSuを用いてLysの側鎖アミノ基にFmoc基を縮合し、目的とする保護ペプチド樹脂、ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr(OBu)−DLys(Fmoc)−DLys(Boc)−SAL Resinを得た。
得られた保護ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸を用いる定法のTFA−TIS−H2O−DT(DT:ドデカンチオール)(92.5/2.5/2.5/2.5,v/v) 脱保護条件で室温、2時間処理し脱保護と樹脂からのペプチドの切り離しを同時に行った。反応液から担体樹脂をろ別後、TFAを留去し、残渣にエーテルを加えて得られる粗生成ペプチドの沈殿をろ取した。
得られた粗生成ペプチドをアセトニトリルに溶解し島津製LC−8A−1のHPLC分取装置(カラム:ODS30×250mm)を用いて0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリルの系で分取精製し、目的のペプチドの分画を得、アセトニトリルを留去した後、凍結乾燥粉末とし、目的物をトリフルオロ酢酸塩として得た。
得られたペプチドが目的のものであることを確認するために、ESI−MS及びHPLCの分折を行った。
HPLC分析条件:
カラム YMC A−302(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:70/30→20/80、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL 25% MeCN/H2O
分析結果:
retention time 17.0min,純度 98.4%
m/z 1173.9([M+H]+ 1174.4),m/z 587.6([M+2H]2+ 587.7) 分子量 1173.4
1.クリプトフィックス2.2.2.(商品名、メルク社製)(10mg)を遮光バイアル(以下、「反応バイアル」とする。)中で脱水アセトニトリル(500 μL)に溶かし、18FのK2CO3水溶液(100〜500 μL)(放射能量18.5GBq)を加えて攪拌した。
2.窒素ガスを吹き付けながら110℃の油浴で加熱して溶媒を飛ばした(目安:10 min)。更に脱水アセトニトリル(400 μL×3,目安:各3 min)を加えて溶媒を飛ばし、完全に水を飛ばした。
3.t−butyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflate(0.5mg)を脱水アセトニトリル(1 mL)に溶かし、反応バイアルに加えて強く攪拌し、90℃で10 min反応させた。
4.反応後、tetrapropylammonium hydroxide(1 mol/L in H2O,20 μL)を加えて攪拌し、120℃で5 min反応させた。
5.反応後、TSTU(15 mg)を(脱水)アセトニトリル(100 μL)に溶かして反応バイアルに加えて攪拌し、90℃で2 min反応させた。
6.反応液を5%酢酸水溶液(10 mL)で希釈し、アセトニトリルと水(各5 mL)で活性化したSep−Pak(登録商標、日本ウォーターズ株式会社製) plus PS−2 に通し、水/アセトニトリル(80/20,20 mL)でカラムを洗浄し、アセトニトリル(2.5 mL)で[18F]SFBを溶出した。
標識前駆体であるペプチド0.3mgをアセトニトリル(MeCN) 40μL,Borate Buffer 40μLに溶かし、70℃ Ar気流下で濃縮した[18F]SFBに加えた。MeCN/Et3N=98/2でpHを8.5−9.0にし、1時間30分反応させた。
反応後、Fmocの脱保護反応を行った。ピペリジンを加えて20%濃度溶液とし、15〜30分反応させることでFmocの脱保護反応を完了させた。
HPLCを用いて分取、純度確認を行った。
HPLC分析条件:
カラム Cosmosil(5C18−ARII,250×10mm I.D.)
カラム温度 30℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:55/45→25/75、0→30min linear
流速 2.0mL/min
検出器 220nm
注入量 25μL
分析結果:
retention time 11.1min,放射化学的収率 18%、放射化学的純度 99%以上
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−ε([18F]FB)−DLys−NH2の合成
[ステップ−1]標識前駆体の合成
標識前駆体:ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys(Fmoc)−NH2
(1)保護ペプチド樹脂の合成
Applied Biosystems社製のペプチド自動合成機(433A)を用いて添付のソフトウエアーに従って1個ずつアミノ酸をカルボキシル末端側から結合させていく方法(固相合成法)によりペプチドを合成した。保護ペプチド樹脂の合成を行った。Fmoc−SAL Resin (0.65mol/g、0.32mmol scal)を出発樹脂担体として使用し、通常のFmoc−ペプチド合成法に使われる各Fmoc−アミノ酸誘導体を原料として、配列にしたがって逐次ペプチド鎖の延長を行った。Fmoc−アミノ酸誘導体を上記ペプチド合成機の反応容器にセットし、合成機に添付されているソフトウエアーに従って、活性化剤として、1−[ビスジメチルアミノメチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウムー3−オキシドーヘキサフルオロホスフェイト(HBTu),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して反応槽に加えて反応させた。得られた樹脂をピペリジン含有N−メチルピロリドン中で緩やかに攪拌してFmoc基を除いて次のアミノ酸誘導体の縮合に進めた。
使用したFmocアミノ酸誘導体のうち側鎖に官能基のあるアミノ酸はそれぞれTyr(OBu)、Lys(Boc),Lys(Mtt)を用いた。配列に従って逐次アミノ酸を延長してH−Leu−Phe−Nle−Tyr(OBu)−DLys(Boc)−DLys(Mtt)−SAL Resin保護ペプチド樹脂を得た。その後ホルミル−MetをDIC−HOOBtで縮合して目的とする配列の保護ペプチド樹脂の構築を行った。続いて、TFA−TIS−DCM(1/5/94,v/v)処理にてMttのみを選択的に除去し、代わりにFmoc−OSuを用いてLysの側鎖アミノ基にFmoc基を縮合し、目的とする保護ペプチド樹脂、ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr(OBu)−DLys(Boc)−DLys(Fmoc)−SAL Resinを得た。
得られた保護ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸を用いる定法のTFA−TIS−H2O−DT (DT:ドデカンチオール)(92.5/2.5/2.5/2.5,v/v)脱保護条件で室温、2時間処理し脱保護と樹脂からのペプチドの切り離しを同時に行った。反応液から担体樹脂をろ別後、TFAを留去し、残渣にエーテルを加えて得られる粗生成ペプチドの沈殿をろ取した。
得られた粗生成ペプチドをアセトニトリルに溶解し、島津製LC−8A−1のHPLC分取装置(カラム:ODS30×250mm)を用いて0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリルの系で分取精製し、目的のペプチドの分画を得、アセトニトリルを留去した後、凍結乾燥粉末とし、目的物をトリフルオロ酢酸塩として得た。
得られたペプチドが目的のものであることを確認するために、ESI−MS及びHPLCの分析を行った。
HPLC分析条件:
カラム YMC A−302(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:70/30→20/80、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL 25% MeCN/H2O
分析結果:
retention time 15.6min,純度 96.7%
m/z 1191.9([M+H]+ 1192.5),m/z 596.7([M+2H]2+ 596.7) 分子量 1191.5
1.クリプトフィックス2.2.2.(商品名、メルク社製)(10mg)を遮光バイアル(以下、「反応バイアル」とする。)中で脱水アセトニトリル(500 μL)に溶かし、18F−のK2CO3水溶液(100〜500 μL)(放射能量7.46GBq)を加えて攪拌した。
2.窒素ガスを吹き付けながら110℃の油浴で加熱して溶媒を飛ばした(目安:10 min)。更に脱水アセトニトリル(400 μL×3,目安:各3 min)を加えて溶媒を飛ばし、完全に水を飛ばした。
3.t−butyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflate(0.5mg)を脱水アセトニトリル(1 mL)に溶かし、反応バイアルに加えて強く攪拌し、90℃で10 min反応させた。
4.反応後、tetrapropylammonium hydroxide(1 mol/L in H2O,20 μL)を加えて攪拌し、120℃で5 min反応させた。
5.反応後、TSTU(15 mg)を(脱水)アセトニトリル(100 μL)に溶かして反応バイアルに加えて攪拌し、90℃で2 min反応させた。
6.反応液を5%酢酸水溶液(10 mL)で希釈し、アセトニトリルと水(各5 mL)で活性化したSep−Pak(登録商標、日本ウォーターズ株式会社製) plus PS−2 に通し、水/アセトニトリル(80/20,20 mL)でカラムを洗浄し、アセトニトリル(2.5 mL)で[18F]SFBを溶出した。
標識前駆体であるペプチド0.3mgをアセトニトリル(MeCN) 40μL,Borate Buffer 40μLに溶かし、70℃ Ar気流下で濃縮した[18F]SFBに加えた。MeCN/Et3N=98/2でpHを8.5−9.0にし、1時間30分反応させた。反応後、Fmocの脱保護反応を行った。ピペリジンを加えて20%濃度溶液とし、15〜30分反応させることでFmocの脱保護反応を完了させた。HPLCを用いて分取、純度確認を行った。
HPLC分析条件:
カラム Cosmosil(5C18−ARII,250×10mm I.D.)
カラム温度 30℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:55/45→25/75、0→30min linear
流速 2.0mL/min
検出器 220nm
注入量 25μL
分析結果:
retention time 9.6min,放射化学的収率 3%、放射化学的純度 99%以上、収量11.1MBq
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys−DLys−ε([18F]FB)−NH2の合成
[ステップ−1]標識前駆体の合成
標識前駆体:ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr−DLys(Fmoc)−DLys−NH2
(1)保護ペプチド樹脂の合成
Applied Biosystems社製のペプチド自動合成機(433A)を用いて添付のソフトウエアーに従って1個ずつアミノ酸をカルボキシル末端側から結合させていく方法(固相合成法)によりペプチドを合成した。保護ペプチド樹脂の合成を行った。Fmoc−SAL Resin (0.65mol/g、0.32mmol scal)を出発樹脂担体として使用し、通常のFmoc−ペプチド合成法に使われる各Fmoc−アミノ酸誘導体を原料として、配列にしたがって逐次ペプチド鎖の延長を行った。Fmoc−アミノ酸誘導体を上記ペプチド合成機の反応容器にセットし、合成機に添付されているソフトウエアーに従って、活性化剤として、1−[ビスジメチルアミノメチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウムー3−オキシドーヘキサフルオロホスフェイト(HBTu),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して反応槽に加えて反応させた。得られた樹脂をピペリジン含有N−メチルピロリドン中で緩やかに攪拌してFmoc基を除いて次のアミノ酸誘導体の縮合に進めた。
使用したFmocアミノ酸誘導体のうち側鎖に官能基のあるアミノ酸はそれぞれTyr(OBu)、Lys(Boc),Lys(Mtt)を用いた。配列に従って逐次アミノ酸を延長してH−Leu−Phe−Nle−Tyr(OBu)−DLys(Mtt)−DLys(Boc)−SAL Resin保護ペプチド樹脂を得た。その後ホルミル−MetをDIC−HOOBtで縮合して目的とする配列の保護ペプチド樹脂の構築を行った。続いて、TFA−TIS−DCM(1/5/94,v/v)処理にてMttのみを選択的に除去し、代わりにFmoc−OSuを用いてLysの側鎖アミノ基にFmoc基を縮合し、目的とする保護ペプチド樹脂、ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr(OBu)−DLys(Fmoc)−DLys(Boc)−SAL Resinを得た。
得られた保護ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸を用いる定法のTFA−TIS−H2O−DT(DT:ドデカンチオール)(92.5/2.5/2.5/2.5,v/v) 脱保護条件で室温、2時間処理し脱保護と樹脂からのペプチドの切り離しを同時に行った。反応液から担体樹脂をろ別後、TFAを留去し、残渣にエーテルを加えて得られる粗生成ペプチドの沈殿をろ取した。
得られた粗生成ペプチドをアセトニトリルに溶解し島津製LC−8A−1のHPLC分取装置(カラム:ODS30×250mm)を用いて0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリルの系で分取精製し、目的のペプチドの分画を得、アセトニトリルを留去した後、凍結乾燥粉末とし、目的物をトリフルオロ酢酸塩として得た。
得られたペプチドが目的のものであることを確認するために、ESI−MS及びHPLCの分析を行った。
HPLC分析条件:
カラム YMC ODS−A(ODS,150×4.6mm I.D.)
カラム温度 40℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:70/30→20/80、0→25min linear
流速 1.0mL/min
検出器 220nm
注入量 1μL
試料液 1mg/200μL 50% MeCN/H2O
分析結果:
retention time 15.5min,純度 98.0%
m/z 1191.9([M+H]+ 1192.5),m/z 597.0([M+2H]2+ 596.7) 分子量 1191.5
1.クリプトフィックス2.2.2.(商品名、メルク社製)(10mg)を遮光バイアル(以ド、「反応バイアル」とする。)中で脱水アセトニトリル(500 μL)に溶かし、18FのK2CO3水溶液(100〜500 μL)(放射能量18.5GBq)を加えて攪拌した。
2.窒素ガスを吹き付けながら110℃の油浴で加熱して溶媒を飛ばした(目安:10 min)。更に脱水アセトニトリル(400 μL×3,目安:各3 min)を加えて溶媒を飛ばし、完全に水を飛ばした。
3.t−butyl 4−N,N,N−trimethyl−ammoniumbenzoate triflate(0.5mg)を脱水アセトニトリル(1 mL)に溶かし、反応バイアルに加えて強く攪拌し、90℃で10 min反応させた。
4.反応後、tetrapropylammonium hydroxide(1 mol/L in H2O,20 μL)を加えて攪拌し、120℃で5 min反応させた。
5.反応後、TSTU(15 mg)を(脱水)アセトニトリル(100 μL)に溶かして反応バイアルに加えて攪拌し、90℃で2 min反応させた。
6.反応液を5%酢酸水溶液(10 mL)で希釈し、アセトニトリルと水(各5 mL)で活性化したSep−Pak(登録商標、日本ウォーターズ株式会社製) plus PS−2 に通し、水/アセトニトリル(80/20,20 mL)でカラムを洗浄し、アセトニトリル(2.5 mL)で[18F]SFBを溶出した。
標識前駆体であるペプチド0.3mgをアセトニトリル(MeCN) 40μL,Borate Buffer 40μLに溶かし、70℃ Ar気流下で濃縮した[18F]SFBに加えた。MeCN/Et3N=98/2でpHを8.5−9.0にし、1時間30分反応させた。
反応後、Fmocの脱保護反応を行った。ピペリジンを加えて20%濃度溶液とし、15〜30分反応させることでFmocの脱保護反応を完了させた。
HPLCを用いて分取、純度確認を行った。
HPLC分析条件:
カラム Cosmosil(5C18−ARII,250×10mm I.D.)
カラム温度 30℃
溶離液 A液:Water/0.1%TFA、B液:MeCN/0.1%TFA
グラジエント A/B:60/40→25/75、0→25min linear
流速 2.0mL/min
検出器 220nm
注入量 10μL
分析結果:
retention time 16.7min,放射化学的収率 13%、放射化学的純度 97%以上
実施例3から実施例5で得た化合物について、下記のとおりPET撮影を行った。
濃縮後の標識溶液を生理食塩水で希釈し、イソフルランによる吸入麻酔をかけた炎症モデルマウスに投与し、投与直後から60分間のダイナミック撮像を行った。
マウス1(実施例3の化合物):156μCi/50μL
マウス2(実施例4の化合物):18μCi/100μL
マウス3(実施例5の化合物):580μCi/120μL
炎症モデルの作製
一晩培養した大腸菌(XL1Blue)を遠心分離し、集めたpelletを生理食塩水で懸濁させ、再度遠心分離し、得られたpelletを吸入麻酔下のマウス(ddY,雄性,6週齢)の右大腿部筋肉に接種した。4日後、PET撮像に用いた。
投与後45分のマウス1、2、3のPET画像を図3から図5に示した。図中、丸印の部分は炎症部位を示す。
投与後初期より炎症部位への集積が見られ、時間の経過と共にその集積は高くなった。
Claims (7)
- 下記式(1)で表される炎症部位集積性化合物。
Z−Y−Leu−Phe−(X)n−DLys(−(DLys)m−HalB)−(DLys)k−NH2 (1)
式(1)中、
Zはホルミル基を表し;
YはMet又はNleを表し;
(X)nにおいて、Xが(−Nle−Tyr−)であり、nは1を表し;
mは0又は1を表し;
kは0又は1を表し;
ただしYがMetの時、(m,k)の組み合わせは(0,0)、(0,1)または(1,0)のいずれかの組み合わせを取り、YがNLeの時、(m,k)の組み合わせは(0,1)または(1,0)のいずれかの組み合わせを取り;
HalBはベンゼン核に放射性ハロゲンを有する置換安息香酸の残基を表す。 - HalBのハロゲンが、121I、123I、125I、131I、124I又は18Fである請求項1記載の炎症部位集積性化合物。
- HalBのハロゲンが18Fである(この場合のHalBを「[18F]FB」と表す。)請求項2記載の炎症部位集積性化合物。
- 式(1)で表される炎症部位集積性化合物が、
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr− D Lys−ε([ 18 F]FB)−NH 2 ;
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr− D Lys− D Lys−ε([ 18 F]FB)−NH 2 ;
ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr− D Lys− D Lys−ε([ 18 F]FB)−NH 2 ;
ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr− D Lys−ε([ 18 F]FB)− D Lys−NH 2 ;
ホルミル−Met−Leu−Phe−Nle−Tyr− D Lys−ε([ 18 F]FB)− D Lys−NH 2 ;
よりなる群から選ばれる一である請求項1記載の炎症部位集積性化合物。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の炎症部位集積性化合物を主成分とする核医学画像診断剤。
- 糖尿病足病変に伴う炎症部位を診断する請求項5記載の核医学画像診断剤。
- 請求項1記載の化合物の標識前駆体であって、下記式(2)で表される標識前駆体。
Z−Y−Leu−Phe−(X)n−DLys−(DLys)m−(DLys)k−NH2 (2)
式(2)中の記号の意味は、式(1)中の記号の意味と同じである。ただし、YがMetの時、(m,k)の組み合わせは(0,0)、(0,1)または(1,0)のいずれかの組み合わせを取り、YがNLeの時、(m,k)の組み合わせは(0,1)または(1,0)のいずれかの組み合わせを取る。
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