JP5988575B2 - 蛍光性クラスターの製造方法および蛍光発光分散液 - Google Patents

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本発明は、蛍光性クラスターの製造方法および蛍光発光分散液に関するものである。
従来、ナノ粒子は量子サイズ効果による蛍光発光特性が知られており、例えば、半導体ナノ粒子は蛍光ラベル等として応用されている。
一方、金、銀、銅等の金属は、ディスクリートなバンドギャップを持たず、量子力学的性質は伝導電子のフェルミ波長に依存することから、数個から数十個の小さい径の原子クラスターにおいてのみ観測される。
このように、金属ナノ粒子に蛍光発光特性を発現させるためには粒径サイズを小さくする必要があるが、このような粒径の小さい金属ナノ粒子の合成方法は限られているのが現状である。
また、蛍光発光特性を持つ金属ナノ粒子は、例えば、バイオセンシング、オフセットインキ、インビジブル塗料、ディスプレイパネル用蛍光体等への応用が期待されるが、このような用途を考慮すると水性溶媒への分散性を高めることも望まれている。
粒径数nm以下の金属ナノ粒子の合成方法として、非特許文献1および対応する特許文献1には、イオン液体に金、銀をスパッタリングしてナノ粒子を合成することが記載されている。
しかしながら、特許文献1に開示されているイオン液体はその分子構造によりいずれも金属ナノ粒子の保護剤としては強く機能せず、金属ナノ粒子表面は化学修飾されていない(段落[0015])。また、平均粒径1.0nm未満の金属ナノ粒子は得られておらず、蛍光発光特性を持つ分散液は得られていない。
非特許文献2には、イオン液体に塩化金酸を添加し、水素化ホウ素ナトリウムで還元して平均粒径5nmの金ナノ粒子を合成する方法が記載されている。
しかしながら、この方法では、金属塩と還元剤の使用を必須としているため、塩や副生物の精製分離が煩雑になる。
一方、特許文献2、3には、蛍光性クラスター前駆体の原子または分子を、クラスターに配位可能な官能基を有する保護剤の液体に接触させて蛍光性クラスターを合成する方法が記載されている。
特許文献2では、蛍光性クラスター前駆体の保護剤として、直鎖状の脂肪族炭化水素基等の一端にイミダゾリウム系や第4級アンモニウム系のカチオン性官能基、他端にチオール基等の蛍光性クラスターに配位可能な官能基を有するものが用いられ、この保護剤の液体に金、銀、銅をスパッタリングしてナノ粒子の蛍光性クラスターを合成している。この方法によれば、煩雑な精製分離操作を要することなく蛍光性クラスターを得ることができ、水性溶媒への分散性の高い蛍光性クラスターを得ることもできる。
また特許文献3では、保護剤として、熱硬化性プラスチックモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールエトキシレートを用いて上記と同様の操作を行い、得られた溶液を原料に用いて成形を行い蛍光プラスチック製品を得ている。
特開2007−231306号公報 特開2011−12184号公報 特開2010−116448号公報
Chem. Commun., 2008, 691-693 J. AM. CHEM. SOC. 2004, 126, 3026-3027 Bioconjugate Chem. 2004, 15, 897-900
しかしながら、特許文献2の方法は、カチオン性の保護剤の融点が比較的高いため、スパッタリングにおいて加熱溶融のためのエネルギー負荷が高くなる。
またカチオン性ナノ粒子は、バイオセンシング等の用途において、生体分子(抗体、酵素、オリゴヌクレオチド等)のアミノ基と安定的に結合させることができない。
さらにカチオン性ナノ粒子は細胞毒性があることが報告されており(非特許文献3)、バイオセンシング等の用途において検体中の細胞に対する影響が懸念される。
特許文献3の方法は、保護剤として、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を用いて金クラスターの溶液を得ているが、この溶液は水に分散しない。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、保護剤が低融点でプロセス上のエネルギー負荷が少なく、煩雑な精製分離操作を要することなく蛍光性クラスターを得ることができ、バイオセンシング等の用途において、生体分子と安定的に結合させることができ、細胞毒性による悪影響の懸念がなく、水性溶媒への分散性の高い蛍光性クラスターを得ることもできる蛍光性クラスターの製造方法および蛍光発光分散液を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の蛍光性クラスターの製造方法は、蛍光性クラスター前駆体の原子または分子を、一般式X-A-Y(Aは、直鎖状の脂肪族炭化水素基、または、ヘテロ原子、芳香族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、および芳香族複素環基から選ばれるいずれかの2価の基を直鎖構造に含む直鎖状の2価の基、あるいはこれらの基に置換基を有する基から選ばれるいずれかの2価の基を示し、Xはアニオン性官能基を示し、Yは蛍光性クラスター前駆体に配位可能な官能基を示す。)で表される保護剤の液体に接触させる工程を含むことを特徴としている。
この蛍光性クラスターの製造方法において、保護剤のXはホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、カルボキシル基、スルフィノ基、スルホ基、チオカルボン酸基、ジチオカルボン酸基、チオール基、ヒドロキシル基、イソシアノ基、ニトリル基、およびニトロ基から選ばれるいずれかの基、またはその塩であることが好ましい。
この蛍光性クラスターの製造方法において、保護剤のYはチオール基であることが好ましい。
この蛍光性クラスターの製造方法において、蛍光性クラスター前駆体は、金属または半導体であることが好ましい。
この蛍光性クラスターの製造方法において、蛍光性クラスター前駆体は、金、銀、および銅から選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましい。
この蛍光性クラスターの製造方法において、固体状態の蛍光性クラスター前駆体を蒸発させて蛍光性クラスター前駆体の原子または分子を生成する工程をさらに含むことが好ましい。
また本発明の蛍光発光分散液は、前記の方法により得られた蛍光性クラスターを溶媒に分散したものであることを特徴としている。
本発明の蛍光性クラスターの製造方法によれば、アニオン性の保護剤を用いているため、カチオン性の保護剤に比べて融点が低く、加熱温度を抑えることができるため、プロセス上のエネルギー負荷が少ない。
また、本発明により得られる蛍光性クラスターはアニオン性ナノ粒子であり、粒子表面にアニオン性官能基を有していることから、バイオセンシング等の用途において、生体分子(抗体、酵素、オリゴヌクレオチド等)のアミノ基と安定的に結合させることができる。さらに、カチオン性ナノ粒子は細胞毒性があるが、アニオン性ナノ粒子はほとんど毒性がないため、検体中の細胞に対する影響を抑えることができる。
そして煩雑な精製分離操作を要することなく蛍光性クラスターを得ることができる。また、溶媒への分散性の高い蛍光性クラスターを得ることもできる。
本発明の蛍光発光分散液によれば、上記の製造方法により得られた蛍光性クラスターを用いているので光励起により強い蛍光を発し、また分散安定性も高いものとすることができる。
実施例1で得られた蛍光性クラスターの透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において、蛍光性クラスター前駆体としては、例えば、金属または半導体を用いることができ、これらは気体、液体、または固体として用いることができる。金属または半導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、インジウム、アルミニウム、鉄、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、モリブデン、亜鉛、バナジウム、タングステン、チタン、マンガン、クロム、シリコン等が挙げられる。中でも、金、銀、銅が好ましい。
半導体としては、例えば、ZnS、CdS、CdSe、In2O3、SiO2、SnO2、TaO5、TiO2、BaTiO3、Si、Se、Te、InAgS2、InCuS2等が挙げられる。
保護剤には、一般式X-A-Yで表されるものが用いられる。ここで、A部分は蒸気圧を下げる役割や蛍光性クラスターの溶剤への溶解性を調整する役割を持ち、また蛍光性クラスターの粒径を制御する役割も持つ。
Aは、直鎖状の脂肪族炭化水素基、または、ヘテロ原子、芳香族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、および芳香族複素環基から選ばれるいずれかの2価の基を直鎖構造に含む直鎖状の2価の基、あるいはこれらの基に置換基を有する基から選ばれるいずれかの2価の基を示す。
前記の直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等が挙げられる。前記の置換基としては、例えば、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルケニル基、C1〜C6アルキニル基、C6〜C10アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Aは、好ましくは、-(CH2)n-(nは1〜20の整数を示す。)または-(CH2)m-B-(CH2)n-(mは0〜20の整数、nは0〜20の整数を示し、m+nは1〜40、好ましくは2〜30である。Bは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、芳香族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、または芳香族複素環基を示す。)である。
ここで、芳香族炭化水素基としては、p-フェニレン基等のC6〜C10アリーレン基等を挙げることができ、脂肪族環状炭化水素基としては、p-シクロヘキシレン基等のC6〜C10シクロアルキレン基を挙げることができ、芳香族複素環基としては、p-ピリジレン基等のC6〜C10の酸素原子、硫黄原子、および/または窒素原子含有の芳香族複素環基等が挙げられる。
Xは、アニオン性官能基を示す。このアニオン性官能基を有することで、カチオン性の保護剤よりも融点が低くなり、加熱温度を抑えてスパッタすることができるため、プロセス上のエネルギー負荷を低減することができる。また、バイオセンシング等の用途において、例えば、アニオン性官能基のホスホン酸基またはカルボキシル基と抗体のアミノ基とを結合させることにより、蛍光性クラスターと抗体を安定的に固定化させることができる。さらに、カチオン性ナノ粒子は細胞毒性があるが、アニオン性ナノ粒子はほとんど毒性がないため(非特許文献3)、検体中の細胞に対する影響を抑えることができる。
アニオン性官能基としては、例えば、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、カルボキシル基、スルフィノ基、スルホ基、チオカルボン酸基、ジチオカルボン酸基、チオール基、ヒドロキシル基、イソシアノ基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。また、これらの基の塩であってもよい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アミン塩等が挙げられる。
Yは、蛍光性クラスター前駆体に配位可能な官能基であり、この官能基を有することによりクラスターの保護剤として機能させることができる。官能基Yとしては、例えば、チオール基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基、リン酸基、スルフィノ基、スルホ基、アミノ基、イソシアノ基、ニトリル基等が挙げられる。
蛍光性クラスターの製造方法は、蛍光性クラスター前駆体の原子または分子を、保護剤の液体に接触させた後、従来の製造方法のような塩や副生物が存在しないため煩雑な精製分離操作を要することなく、例えば、濾過、超遠心、溶剤による再沈殿等により分離、精製し、蛍光性クラスターを得ることができる。
本発明において、蛍光性クラスター前駆体の原子または分子を生成させる方法としては、例えば、物理蒸着法、化学蒸着法等の乾式成膜法と同様の方法を用いることができる、中でも、固体状態の蛍光性クラスター前駆体から原子または分子を蒸発させる物理蒸着法が好ましく、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
蒸発原理としては、スパッタリング法の場合には、例えば、DCスパッタ方式、マグネトロンスパッタ方式、高周波スパッタ方式、イオンビームスパッタ方式等を用いることができる。真空蒸着法の場合には、例えば、抵抗加熱方式、遠赤外線加熱方式、電子ビーム加熱方式、アーク加熱方式、高周波誘導加熱方式等を用いることができる。イオンプレーティング法の場合には、例えば、高周波励起方式、イオンビーム方式、クラスター方式等を用いることができる。
スパッタリング法により蛍光性クラスターを製造する場合、蒸着装置として、例えば、真空にすることが可能な蒸着チャンバと、蒸着チャンバの上面部に設置されターゲット材の蛍光性クラスター前駆体を装着可能な陰極と、陰極に対向する位置に設置された陽極とを備えたものを用いることができる。
蛍光性クラスター前駆体を陰極に装着し、保護剤を陽極上の容器に収容し、あるいは当該液体を保持可能な陽極上のプレートに配置する。当該容器またはプレートは、加熱冷却装置と共に設置して保護剤を加熱・冷却、さらには攪拌できるようにすることが望ましい。
そして、蒸着チャンバ内を真空またはアルゴンガス等のガス雰囲気下にした状態で陰極に高電圧を印加して蒸着チャンバ内にグロー放電を発生させ、グロー放電によって生じたガスイオンがターゲット材の蛍光性クラスター前駆体に衝突することにより、蛍光性クラスター前駆体を構成する原子または分子が蒸発する。この蒸発した原子または分子が下方の陽極上の保護剤の液体に接触することにより、当該液体中または表面に蛍光性クラスターが生成する。本発明に用いられる保護剤は、蒸気圧が低く常温で液体または固体であり、蛍光性クラスター前駆体の原子または分子との接触時には、保護剤は必要に応じて加熱し液体として用いられる。
なお、ガス圧力、蒸着電流、反応(接触)時間、反応温度は、原料や蒸着装置に応じて適宜設定すればよく、例えば、接触(スパッタリング)時間は数十秒〜数時間の範囲で設定することができる。
本発明によれば、平均粒径が好ましくは2.0nm未満、より好ましくは0.5〜1.5nmの蛍光性クラスターを得ることができる。
すなわち、蛍光性クラスター前駆体の原子または分子を有機塩または有機化合物の液体に接触させると、原子等は凝集し、反応時間に応じて粒径が大きくなり粒子成長する。しかし、クラスターに配位可能な官能基(Y)を有する保護剤の液体を用いることで、この官能基が原子等に化学修飾して保護剤として働き、凝集を抑制する。そのため、クラスターの粒子成長が抑制されて、例えば0.5〜1.5nmのクラスターを得ることができ、これによりクラスターは蛍光性を示す。
蛍光発光分散液は、水、アルコール等の水性溶媒、あるいは疎水性溶媒に蛍光性クラスターを適宜分散させることにより得ることができる。蛍光性クラスターは一般式X-A-Yで示される保護剤で化学修飾されたことにより高い分散性を有する。蛍光性クラスターは溶媒に対して好ましくは0.1〜99重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲で分散させる。また水に分散させる際、必要に応じて、NaOH等の強塩基を加えて保護剤のアニオン性官能基を塩にすることが望ましい。強塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を用いることができる。蛍光性クラスターの水分散液を調製する際には、蛍光性クラスターの保護剤中のアニオン性官能基に対して強塩基を好ましくは0.1〜1.0モル当量、より好ましくは0.5〜1.0モル当量添加する。これにより水に良好に分散することができる。
そしてこの分散液は、励起光を照射することでその長波長領域に蛍光が観測される。例えば、金クラスターの場合にはUV(365nm)照射によりオレンジ色や赤色等の蛍光が観測される。
本発明により得られた蛍光性クラスターおよび蛍光発光分散液は、例えば、バイオセンシング、オフセットインキ、インビジブル塗料、ディスプレイパネル用蛍光体等への用途に好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1〜4>
ガラス製の容器に、表1に示す保護剤0.1gを入れ、これをマグネトロンスパッタ装置内の陽極上の加熱冷却装置に設置した。
一方、この容器に対向する上方位置に蛍光性クラスター前駆体のターゲット材として金のターゲットを装着した。その後、蒸着チャンバ内をスパッタリング可能な真空度に制御し、また必要に応じて加熱冷却装置により保護剤を融点以上に加熱し液体とした状態で、放電電流を30mAとし10分間スパッタリングを行った。
その後、容器内の液体を回収し、超遠心により分離、精製し、金クラスターを粉体として得た。この粉体へUV(365nm)照射することにより、蛍光発光を目視にて観測した。また水への分散性(1重量%)を評価した。その結果を表1に示す。なお、実施例1で得られた蛍光性クラスターを透過型電子顕微鏡(TEM:日立ハイテクノロジーズ H-9500、倍率20万倍)で観察したところ、蛍光性クラスター粒子は、平均粒径が1.0nm、標準偏差が0.14nmであることを確認した。図1は実施例1で得られた蛍光性クラスター(黒色部分)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
<比較例1〜3>
表1に示す保護剤を用い、それ以外は実施例1〜4と同様にして金クラスターを粉体または液体として得た。この粉体または液体へUV(365nm)照射することにより、蛍光発光を目視にて観測した。また水への分散性(1重量%)を評価した。その結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜4に用いたアニオン性の保護剤は、比較例1〜2で用いたカチオン性の保護剤よりも融点が低く、スパッタリングにおいて加熱溶融のためのエネルギー負荷を低減でき、得られた金クラスターの粉体は目視でオレンジ色の蛍光発光が確認された。
なお、実施例1〜4において、金属への結合性から、蛍光性クラスター前駆体に配位可能な官能基(Y)としてチオール基が金に配位しており、クラスター表面にアニオン性官能基(X)としてホスホン酸基、カルボキシル基およびヒドロキシル基が存在している。
水への分散性については、実施例1、3で得られた金クラスターの粉体は水に分散しなかったが、NaOHを金クラスターの保護剤中のアニオン性官能基に対して0.5モル当量添加し、アニオン性官能基の一部をホスホン酸ナトリウム塩またはカルボン酸ナトリウム塩とすることにより、水に良好に分散することを確認した。得られた分散液にUV(365nm)を照射することによりオレンジ色の蛍光発光を目視にて確認した。また実施例2で得られた金クラスターは水に分散し、UV(365nm)を照射したところ、オレンジ色の蛍光発光を目視にて確認した。実施例1〜3の金クラスター分散液は1ヵ月後においても、UV(365nm)を照射することにより蛍光発光を示し、分散安定性を有していた。一方、比較例3で得られた金クラスターの液体は水に分散せず、NaOHを金クラスター保護剤中のアニオン性官能基に対して1モル当量添加することにより、分散したが、得られた水分散液にUV(365nm)を照射しても蛍光発光は確認できなかった。

Claims (4)

  1. 固体状態の金属を蒸発させる工程と、
    前記蒸発した状態の金属を、一般式X-A-Y(Aは、直鎖状の脂肪族炭化水素基、または、ヘテロ原子、芳香族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、および芳香族複素環基から選ばれるいずれかの2価の基を直鎖構造に含む直鎖状の2価の基、あるいはこれらの基に置換基を有する基から選ばれるいずれかの2価の基を示し、Xはアニオン性官能基を示し、Yは前記金属に配位可能な官能基を示す。)で表される保護剤の融液に接触させる工程とを含み、
    前記金属は、金、銀、および銅から選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする蛍光性クラスターの製造方法。
  2. 保護剤のXはホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、カルボキシル基、スルフィノ基、スルホ基、チオカルボン酸基、ジチオカルボン酸基、チオール基、ヒドロキシル基、イソシアノ基、ニトリル基、およびニトロ基から選ばれるいずれかの基、またはその塩であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光性クラスターの製造方法。
  3. 保護剤のYはチオール基であることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光性クラスターの製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の方法により蛍光性クラスターを製造した後、得られた蛍光性クラスターを溶媒に分散することを特徴とする蛍光発光分散液の製造方法。
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