JP5985018B1 - ゲートカット方法及びゲートカット装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】切断不良の発生を抑制できるゲートカット方法を提供する。【解決手段】ゲートカット方法は、有用部Pと、切込みNTを有するゲートGを介して有用部Pに連結された不要部Uと、を有する成形品Mを準備する準備工程S1と、成形品Mを保持台10に保持する保持工程S3と、成形品Mから有用部Pを分離する分離工程S5と、を備え、分離工程S5は、開口端OE側から第1及び第2の突起22,23を有用部Pに押し当てて、ゲートGを折り曲げることと、閉塞端CE側からブラシ27を有用部Pに押し当てて、ゲートGを折り曲げることで、切込みNTを起点としてゲートGを切断することと、を含み、開口端OE側は、ゲートGにおいて切込みNTが開口する側であり、閉塞端CE側は、開口端OE側の反対側である。【選択図】 図10

Description

本発明は、ゲートカット方法及びゲートカット装置に関する。
不要部の枝部分端に接続された有用部としての成形品に接触した状態で前進することで、有用部と不要部との接続部分を徐々に折り曲げる傾斜面が形成されたガイドを備えるゲートカット装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平6−64006号公報
上記ゲートカット装置では、接続部分において傾斜面と接触する側の表面には引張力又は圧縮力の一方が作用し、反対側の表面には引張力又は圧縮力の他方が作用する。このため、接続部分の表面において引張力か圧縮力のいずれか一方しか作用せず、バリやヒゲ等といった接続部分の切断不良が生じるおそれがある、という問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、切断不良の発生を抑制できるゲートカット方法及びゲートカット装置を提供することである。
[1]本発明に係るゲートカット方法は、有用部と、切込みを有するゲートを介して前記有用部に連結された不要部と、を有する成形品を準備する第1の工程と、前記成形品を保持台に保持する第2の工程と、前記成形品から前記有用部を分離する第3の工程と、を備え、前記第3の工程は、第1の側から第1の当接部材を前記有用部に押し当てて、前記第1の側から前記ゲートを折り曲げることと、前記第1の側から前記ゲートを折り曲げた後、第2の側から第2の当接部材を前記有用部に押し当てて、前記第2の側から前記ゲートを折り曲げることで、前記切込みを起点として前記ゲートを切断することと、を含み、前記第1の側は、前記ゲートにおいて前記切込みが開口する側であり、前記第2の側は、前記第1の側の反対側である。
[2]上記発明において、前記第2の当接部材は、先端側で前記有用部と当接し、基端側で集合された複数の線状部材を有するブラシであってもよい。
[3]上記発明において、前記複数の線状部材の先端は、平面視において、前記有用部の長手方向に沿って略直線上に配置されていてもよい。
[4]上記発明において、前記線状部材の長さは、前記ゲートに接近するに従い長くなっていてもよい。
[5]上記発明において、前記不要部は、スプルと、前記スプルの一端に連結された大径部と、一端で前記大径部と連結され、他端で前記ゲートを介して有用部と連結されたランナと、を有し、前記ランナは、当該ランナの短手方向断面において前記第1の側に向かうに従い相互に接近するように傾斜する一対の第1の傾斜面を有し、前記保持台は、負圧発生装置に接続され、前記切込みが開口する側から前記成形品を吸着保持すると共に、延在方向に沿って伸縮可能な吸着保持部材と、前記ランナを内部に収容する嵌合溝が形成された支持部と、を有し、前記嵌合溝は、前記一対の第1の傾斜面に対応する一対の第2の傾斜面を有し、前記第2の工程は、前記第1の側が前記保持台と対向する姿勢で前記ランナを前記嵌合溝に挿入して、前記成形品を前記保持台上に載置することと、前記吸着保持部材の吸着口を前記大径部に密接させた状態で前記負圧発生装置により負圧吸引することで、前記成形品を吸着保持しつつ前記吸着保持部材を収縮させ前記成形品を前記保持台側に向かって沈み込ませることと、を含んでいてもよい。
[6]上記発明において、前記大径部は、前記第1の側に半球状の吸着面を有し、前記第2の工程は、前記吸着口を前記吸着面に密接させた状態で前記負圧発生装置により負圧吸引することをさらに含んでもよい。
[7]本発明に係るゲートカット装置は、有用部と、切込みを有するゲートを介して前記有用部に連結された不要部と、を有する成形品が保持される保持台と、第1の側から前記有用部と当接可能な第1の当接部材と、第2の側から前記有用部と当接可能な第2の当接部材と、前記保持台又は前記第1の当接部材の一方を、前記保持台又は前記第1の当接部材の他方に対して、相対的に移動させる第1の移動機構と、前記保持台又は前記第2の当接部材の一方を、前記保持台又は前記第2の当接部材の他方に対して、相対的に移動させる第2の移動機構と、を備え、前記第1の移動機構により前記第1の当接部材を前記保持台に対して前記第1の側から前記第2の側に相対的に移動させ、前記第1の側から前記第2の側に前記第1の当接部材が移動した後、前記第2の移動機構により前記第2の当接部材を前記保持台に対して前記第2の側から前記第1の側に相対的に移動させ、前記第1の側は、前記ゲートにおいて前記切込みが開口する側であり、前記第2の側は、前記第1の側の反対側である。
[8]上記発明において、前記第2の当接部材は、先端側で前記有用部と当接し、基端側で集合された複数の線状部材を有するブラシであってもよい。
[9]上記発明において、前記複数の線状部材の先端のそれぞれは、前記有用部の長手方向に沿って略直線上に配置されていてもよい。
[10]上記発明において、前記線状部材の長さは、前記ゲートに接近するに従い長くなっていてもよい。
[11]上記発明において、前記保持台は、負圧発生装置に接続され、前記第1の側から前記成形品を吸着保持すると共に、延在方向に沿って伸縮可能な吸着保持部材と、嵌合溝が形成された支持部と、を有し、前記嵌合溝は、短手方向断面において前記第1の側に向かうに従い相互に接近するように傾斜する一対の第2の傾斜面を有してもよい。
[12]上記発明において、前記不要部は、スプルと、前記スプルの一端に連結された大径部と、を有し、前記大径部は、前記第1の側に半球状の吸着面を有し、前記吸着保持部材の吸着口が前記吸着面と密接することで、前記成形品を吸着保持してもよい。
本発明によれば、第1の側からゲートを折り曲げた後、当該第1の側と反対側の第2の側からゲートを折り曲げるので、当該ゲートにおける一方の表面に引張力及び圧縮力の両方を作用させると共に、他方の表面にも引張力及び圧縮力の両方を作用させることができる。これにより、ゲートにおける切断不良が生じるのを抑制することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る成形品を示す斜視図である。 図2(a)は、図1に示す成形品の側面図であり、図2(b)は、図1に示す成形品の正面図である。 図3は、本発明の一実施の形態に係るゲートカット装置を示す斜視図である。 図4は、本発明の一実施の形態に係る保持台を示す斜視図である。 図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。 図6は、図4のVI-VI線に沿った断面図である。 図7は、本発明の一実施の形態に係る切断部を示す斜視図である。 図8は、本発明の一実施の形態に係る切断部の部分拡大平面図である。 図9は、本発明の一実施の形態に係るブラシの平面図である。 図10は、本発明の一実施の形態に係るゲートカット方法を示す工程図である。 図11(a)及び図11(b)は、本発明の一実施の形態に係る保持工程を説明するための図(その1)である。 図12(a)及び図12(b)は、本発明の一実施の形態に係る保持工程を説明するための図(その2)である。 図13は、本発明の一実施の形態に係る分離工程を説明するための図(その1)である。 図14(a)〜図14(c)は、本発明の一実施の形態に係る分離工程を説明するための図(その2)である。 図15は、本発明の一実施の形態に係る分離工程を説明するための図(その3)である。 図16は、本発明の一実施の形態に係る分離工程を説明するための図(その4)である。 図17(a)〜図17(d)は、本発明の一実施の形態に係る分離工程を説明するための図(その5)である。 図18は、図17(b)を上方から見た状態の平面図である。 図19は、本発明の一実施の形態に係る第2の当接部材の変形例を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態のゲートカット装置1は、コールドランナ方式による射出成形が終了した成形品Mから製品を取得する装置である。コールドランナ方式では、射出成形終了時に、射出成型用金型(不図示)における溶融樹脂材料の流路部分が製品と共に取り出されるため、本実施形態では、ゲートカット装置1を用いて製品と流路部分とを分離する。
以下の説明では、まず、成形品Mについて、図1、図2(a)、及び図2(b)を参照しながら、詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る成形品を示す斜視図、図2(a)は図1に示す成形品の側面図、図2(b)は、図1に示す成形品の正面図である。
成形品Mは、図1に示すように、射出成型用金型を用いて成形された複数(本実施形態では、4つ)の製品を一度に成形する多点取り成形品であり、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂材料から構成されている。本実施形態における「成形品M」が本発明における「成形品」の一例に相当する。
この成形品Mは、製品となる有用部Pと、有用部Pを除いた部分である不要部Uと、有用部Pと不要部Uとを相互に連結するゲートGと、を有している。本実施形態の有用部Pは、長方形状の外形を有しているが、有用部Pの形状は特に限定されない。本実施形態における「有用部P」が本発明における「有用部」の一例に相当し、本実施形態における「不要部U」が本発明における「不要部」の一例に相当し、本実施形態における「ゲートG」が本発明における「ゲート」の一例に相当する。
不要部Uは、スプルSと、大径部Wと、ランナRと、を有している。射出成形では、射出装置(不図示)から射出される溶融樹脂材料が、射出成型用金型におけるスプルブッシュやランナ成形溝等の流路を経て、有用部Pを成形するキャビティに流入するが、不要部Uは、この流路に対応する部分である。
スプルSは、平面視において、成形品Mの全体の略中心に位置している。このスプルSは、図2(a)の上下方向に沿って延在しており、下方に向かうに従い漸次的に拡径するように形成されている。スプルSの縮径部(すなわち、上端側の部分)は、射出成型用金型における射出装置が接続される接続開口に対応する。本実施形態における「スプルS」が本発明における「スプル」の一例に相当する。
スプルSの大径側(すなわち、下端側)では、大径部Wが連結している。大径部Wは、図2(a)に示すように、スプルSの大径側の外径よりも大きい径を有しており、半球形状(切断球形状)を有している。この大径部Wには、その下方側(すなわち、スプルSが延在する側と反対側)に半球状の曲面により構成される吸着面Aが形成されている。なお、大径部の外形としては、特に上述に限定されず、半円筒形状を有していてもよい。
大径部Wには、スプルSと同軸上に配置されたスラグウェルCが、吸着面Aから下方に向けて突出するように形成されている。このスラグウェルCは、射出成形の初期段階に生じる冷えた溶融樹脂材料(コールドスラグ)を捕集する機能を有する。なお、特に図示しないが、このスラグウェルCにスプルロックピン(Zピン)が形成されていてもよい。スプルロックピンを形成することで、固定側金型及び可動側金型から構成される射出成型用金型を開放する際、可動側金型に成形品Mを同伴させることができる。本実施形態における「大径部W」が本発明における「大径部」の一例に相当し、本実施形態における「吸着面A」が本発明における「吸着面」の一例に相当する。
図1に戻って、大径部Wからは、当該大径部Wの径方向に沿って放射状に複数(本実施形態では、2本)のランナRが伸びている。それぞれのランナRの先端は、スプルSの延在方向に対して直交する面上でT字状に分割している。本実施形態のランナRは、図2(b)に示すように、樹脂成形用金型において離型性を向上する観点から、当該ランナRの短手方向断面視において、下方に向かうに従い相互に接近するように傾斜する一対の傾斜面R1a,R1bを有している。また、ランナRは、一対の傾斜面R1a,R1bと連続的に繋がる底面R1cを有している。なお、特に限定しないが、傾斜面R1a,R1bのスプルSの延在方向に対する傾斜角度は、1°以上10°以下であることが好ましい。また、本実施形態では、底面R1cは略平坦な面とされているが、樹脂成形用金型において離型性をさらに向上する観点から、曲面により構成されていてもよい。本実施形態における「ランナR」が本発明における「ランナ」の一例に相当し、本実施形態における「傾斜面R1a,R1b」が本発明における「一対の第1の傾斜面」の一例に相当する。
ランナRの先端には、図1及び図2(b)に示すように、当該ランナRと有用部Pとの間に介在するゲートGが形成されている。ゲートGは、射出成型用金型において有用部Pを成形するためのキャビティへの流入口として機能するものであり、逆流防止や有用部Pの切り離し容易の観点から、ランナRと比較して小さい断面積を有している。
本実施形態のゲートGは、一端がランナRの先端の延在方向に沿って略平行となるように当該ランナRと連結し、他端が有用部Pの一端と連結している。有用部Pは、ランナRと同一平面上においてランナRの先端の延在方向に対して直交する方向に沿って、スプルSから離れる側に向かって伸びている。
ゲートGには、切込みNT(ノッチ)が形成されている。切込みNTは、ゲートGの片方の表面からハーフカット状(半切り状)に形成されており、下方側のゲートGの表面で開口する開口端OEと、上方側で閉塞する閉塞端CEと、を有している。スプルSの延在方向における開口端OEと閉塞端CEとの間が切込みNTの切込み量となる。ゲートGにおいて、切込みNTが到達しなかった部分(すなわち、上方側のゲートGの表面及び切込みNTの間の部分)には、有用部PとランナRとを連結する残存部G2が形成されている。
本実施形態の切込みNTの形状は、特に限定されず、V字状に形成されていてもよいし、矩形状に形成されていてもよい。成形品Mにおいては、切込みNTに集中応力が生じることにより、これを起点としてゲートGが容易に、且つ確実に所定位置で折損することができるので、有用部Pと不要部Uとの分離が容易となる。本実施形態における「切込みNT」が本発明における「切込み」の一例に相当し、本実施形態における「開口端OE側」が本発明における「第1の側」の一例に相当し、本実施形態における「閉塞端CE側」が本発明における「第2の側」の一例に相当する。
次に、ゲートカット装置1について、図3〜図9を参照しながら、詳細に説明する。
図3は本発明の一実施の形態に係るゲートカット装置を示す斜視図、図4〜図6は本発明の一実施の形態に係る保持台を示す図、図7及び図8は本発明の一実施の形態に係る切断部を示す図、図9は本発明の一実施の形態に係るブラシの平面図である。
本実施形態のゲートカット装置1は、図3に示すように、保持台10と、切断部20と、移動機構30と、排出シュート40と、負圧発生装置50と、制御装置60と、を備えている。本実施形態における「ゲートカット装置1」が本発明における「ゲートカット装置」の一例に相当し、本実施形態における「保持台10」が本発明における「保持台」の一例に相当し、本実施形態における「負圧発生装置50」が本発明における「負圧発生装置」の一例に相当する。
保持台10は、成形品Mを保持するために用いられ、図4に示すように、本体部11と、支持部12と、ベローズ管13と、接続アーム14と、を有している。本体部11には、図5に示すように、凹部112と、導管113と、が形成されている。凹部112は、本体部11の略中心に位置しており、Z方向に沿って延在している。導管113は、本体部11の内部に形成され、その一端は凹部112の底面に開口し、他端は接続部材を介して負圧発生装置50と接続されている。
図4に示すように、Y方向における本体部11の両側端には、成形品Mを支える支持部12が+Z方向に向かって突出するようにそれぞれ設けられている。支持部12の上端には、上方に向けて開口し、ランナRの先端に対応した形状を有する嵌合溝121が形成されている。この嵌合溝121は、X方向に延在する第1の嵌合溝122と、Y方向に延在する第2の嵌合溝123と、から構成されている。第1及び第2の嵌合溝122,123は、それぞれの略中心付近で相互に交差しており、全体として十字状の嵌合溝121が支持部12の上端に形成されている。
第1の嵌合溝122には、図4及び図6に示すように、一対の傾斜面122a,122bと、底面122cと、が形成されている。一対の傾斜面122a、122bは、−Z方向に向かうに従い相互に接近するように傾斜しており、底面122cと連続的に繋がっている。第2の嵌合溝123にも、第1の嵌合溝122と同様、一対の傾斜面123a、123bと、底面123cと、が形成されている。一対の傾斜面123a、123bは、−Z方向に向かうに従い相互に接近するように傾斜しており、底面123cと連続的に繋がっている。
一対の傾斜面122a,122b及び一対の傾斜面123a,123bは、ランナRの一対の傾斜面R1a,R1bに対応しており、底面122c,123cは、ランナRの底面R1cに対応している(図12(b)参照)。なお、第1及び第2の嵌合溝122,123は、多少の形状の相違はあるが、基本的な構造は同じであるため、図6に第2の嵌合溝123を示し、第1の嵌合溝122については括弧内に対応する符号付すことで図示を省略する。
本実施形態の嵌合溝121はランナRの先端を収容して保持するためのものであり、嵌合溝121にランナRを挿入して成形品Mを保持台10上に載置すると、有用部Pが当該嵌合溝121の先端側から突出するようになっている。
本実施形態における「支持部12」が本発明における「支持部」の一例に相当し、本実施形態における「嵌合溝121」が本発明における「嵌合溝」の一例に相当し、本実施形態における「傾斜面122a,122b」及び「傾斜面123a,123b」が本発明における「一対の第2の傾斜面」の一例に相当する。
図4及び図5に示すように、本体部11に形成された凹部112の内部には、ベローズ管13が収容されている。このベローズ管13は、内部にスラグウェルCが収容できる空洞が形成されたZ方向に収縮可能な蛇腹部131を有している。蛇腹部131の一端には上方に向けて開口する吸着口132が形成され、他端には下方に向けて開口する接続口133が形成されている。
このベローズ管13の全長は凹部112の深さよりも長く、吸着口132が凹部112の上端(すなわち、上面111)よりも+Z方向に突出している。なお、蛇腹部131は、負荷に応じてZ方向に伸縮可能であるが、負荷状態において、吸着口132は凹部112内に入り込んでもよいし、+Z方向に突出したままの状態を維持していてもよい。成形品Mを保持台10上に載置すると、当該成形品Mの大径部Wの吸着面Aがこの吸着口132と当接可能となっている。接続口133は、凹部112の底面と対向しており、当該凹部112の底面に開口する導管113が、当該接続口133を介してベローズ管13の内部空間と連通している。本実施形態における「ベローズ管13」が本発明における「吸着保持部材」の一例に相当し、本実施形態における「吸着口132」が本発明における「吸着口」の一例に相当する。
接続アーム14は、図4に示すように、その下端側において本体部11を片持ち状に支持している。また、接続アーム14の上端側には、Y方向に沿って接続アーム14を貫通する回転軸332(後述)が挿通可能な挿通孔141が形成されている。挿通孔141及び回転軸332にはキー溝が形成されており、当該キー溝にキーを係合させた状態で回転軸332を挿通孔141に挿通することで保持台10が回転軸332に連結される。これにより、回転軸332を回転駆動させると、保持台10が当該回転軸332を中心として回転駆動することができるようになっている。
切断部20は、図7に示すように、装置フレーム70に片持ち状に支持されたX方向に沿って略平行に延在する2つの分離プレート21a,21bと、当該分離プレート21a,21bのそれぞれに2つずつ(合計して4つ)取り付けられたブラシ27と、から構成されている。
分離プレート21aは、当該分離プレート21aのほぼ先端に位置する第1の突起22aと、当該第1の突起と離間して並ぶ第2の突起23aと、当該分離プレート21aの基端側に位置する幅広部24aと、を有している。分離プレート21bも、分離プレート21aと同様、第1及び第2の突起22b,23bと、幅広部24bと、を有している。なお、以下の説明では、必要に応じて「分離プレート21a,21b」を「分離プレート21」と総称し、「第1の突起22a,22b」を「第1の突起22」と総称し、「第2の突起23a,23b」を「第2の突起23」と総称し、「幅広部24a,24b」を「幅広部24」と総称する。本実施形態における「第1及び第2の突起22,23」が本発明における「第1の当接部材」の一例に相当する。
第1及び第2の突起22,23は、矩形状の外形を有する突起であり、分離プレート21と一体的となって形成されている。本実施形態では、2つの第1の突起22と2つの第2の突起23とを合計して4つの突起22,23が分離プレート21に設けられており、この4つの突起22,23が成形品Mの4つの有用部Pに対応している。
分離プレート21aに形成された第1及び第2の突起22a,23aは、分離プレート21b側に向けて、分離プレート21aの側面から+Y方向に突出するように形成されている。同様に、第1及び第2の突起22b,23bも、分離プレート21a側に向けて、分離プレート21bの側面から−Y方向に突出するように形成されている。
第1の突起22a,22bは、その延在方向(すなわち、Y方向)において同一直線上に位置するように対応しているが、これらは相互に離間して配置されており、その間に第1のスリット291を形成している。同様に、第2の突起23a,23bも、その延在方向において同一直線上に位置するように対応しているが、これらは相互に離間して配置されており、その間に第2のスリット292を形成している。
本実施形態では、第1の突起22の上面221は、略平坦な面として形成されており、第2の突起23の上面231も、略平坦な面として形成されている。なお、上面221,231は、特にこれに限定されず、傾斜面や曲面であってもよい。ゲートカット装置1において、この第1及び第2の突起22,23の上面221,231が、保持台10に保持された状態の成形品Mの有用部Pの下側(開口端OE側)の面に当接可能となっている。
幅広部24は、分離プレート21において第1及び第2の突起22,23を支持する部分よりも広い幅を有しており、Y方向に第1及び第2の突起22,23と同程度に突出している。この幅広部24にはボルト穴が形成されており、当該幅広部24を介してボルトを装置フレーム70に螺合することで、分離プレート21が当該装置フレーム70に固定されている。
X方向における第1及び第2の突起22,23の間には、当該第1及び第2の突起22,23に比べて相対的に凹んだ矩形状の第1の凹み25(第1の凹み25a,25bを総称する。)が形成されている。また、X方向における第2の突起23と幅広部24の間には、当該第2の突起23及び幅広部24に比べて相対的に凹んだ矩形状の第2の凹み26(第2の凹み26a,26bを総称する。)が形成されている。この第1及び第2の凹み25,26は、平面視において、第1及び第2の突起22,23の基端側において分離プレート21の側面によって閉塞され、第1及び第2の突起22,23の先端側において開口している。
本実施形態では、第1の凹み25a,25bは、相互に対向しており、これにより、分離プレート21a,21bの間に第1の空間281が形成されている。同様に、第2の凹み26a,26bも、相互に対向しており、これにより、分離プレート21a,21bの間に第2の空間282が形成されている。
第1及び第2の空間281,282は、平面視において、保持台10を収容できる程度の大きさを有する空間であるが、X方向における第1の空間281の長さよりも、X方向における第2の空間282の長さが若干大きくなっている。この第1及び第2の空間281,282は、第2のスリット292を介して相互に連通している。
ブラシ27は、図7及び図8に示すように、分離プレート21a,21bのそれぞれに2つずつ(合計して4つ)設けられており、4つのブラシ27は成形品Mの4つの有用部Pに対応している。本実施形態における「ブラシ27」が本発明における「第2の当接部材」及び「ブラシ」の一例に相当する。
このブラシ27は、図9に示すように、複数の線状部材271と、当該複数の線状部材271を集合する結束部材272と、を有している。線状部材271は、弾性変形が可能な耐静電気性(導電性)を有する材料により構成されており、具体的には、ポリエチレンテレフタラート(Polyethylene terephthalate,PET)やナイロン等が用いられる。なお、線状部材271を構成する材料として、前述の樹脂材料にカーボンを含有してもよい。これにより、線状部材271に耐静電気性が付与されるので、切断された有用部Pがブラシ27に張り付くのを抑制することができる。
この線状部材271は、先端271a側で有用部Pと当接し、基端271b側で結束部材272により集合されている。本実施形態では、ブラシ27の先端(すなわち、複数の線状部材271の先端271a)は、当該ブラシ27の延在方向に対して斜めに略直線となるように切り揃えられている。具体的には後述するが、本実施形態では、ブラシ27を分離プレート21に取り付けると、斜めに切り揃えられたブラシ27の先端がY方向に沿って延在する(図7及び図8参照)。本実施形態における「線状部材271」が本発明における「線状部材」の一例に相当する。
結束部材272は、線状部材271の延在方向に並んで形成された環状部273を有している。結束部材272では、複数の線状部材271を環状部273に収容した状態で当該環状部273をかしめることで、複数の線状部材271を集合させたまま保持することができる。この結束部材272には、ボルト穴が形成されており、当該ボルト穴を介してボルトを分離プレート21に螺合することで、ブラシ27を分離プレート21に固定している。
図8に示すように、分離プレート21aに取り付けられたブラシ27は、分離プレート21b側にその先端が向くように配置されている。同様に、分離プレート21bに取り付けられたブラシ27は、分離プレート21a側にその先端が向くように配置されている。
分離プレート21a,21bのそれぞれに取り付けられたブラシ27の配置は、基本的には同一であるため、以下に分離プレート21aに取り付けられたブラシ27の配置について具体的に説明し、分離プレート21bに取り付けられたブラシ27の配置については、その説明を省略する。
分離プレート21aに取り付けられた2つのブラシ27のうち第1のブラシ27aは、第2の突起23aの基端付近に、その延在方向がY方向に対して+X方向側に傾く姿勢で固定されている。一方、第2のブラシ27bは、幅広部24の基端付近に、その延在方向がY方向に対して−X方向側に傾く姿勢で固定されている。つまり、第1及び第2のブラシ27a,27bは、それぞれの先端が分離プレート21aから離れるに従い、当該第1及び第2のブラシ27aの先端同士が互いに接近するように配置されている。結果として、それぞれのブラシ27は、平面視において、その先端が第2の空間282に臨むように配置されている。
それぞれのブラシ27a,27bは、その先端がY方向に沿うように切り揃えられているため、線状部材271において、分離プレート21aから離れる側に位置する線状部材271の長さL1が、分離プレート21aに接近する側に位置する線状部材271の長さL2よりも長くなっている(L1>L2)。本発明においては、線状部材271の長さL1,L2が実質的に同一でもよいが(L1=L2)、この場合、分離プレート21aに接近する側に位置する線状部材271の一部が、ランナRの先端の一部に接触するおそれがあるため、上述の長さ関係(L1>L2)を有していることが好ましい。
なお、後に詳細に説明するが、本実施形態の切断部20の第2の空間282に成形品Mを対応させると、ブラシ27の先端が有用部P(図8において破線にて表示)の略全体と接触可能に配置される。
移動機構30は、図3に示すように、切断部20に対して保持台10を移動させる機能を有しており、水平移動機構31と、垂直移動機構32と、回転移動機構33と、を有している。水平移動機構31では、X方向に延在するレール311上に、走行体312が一定の速度で往復移動可能に載置されている。垂直移動機構32では、Z方向に延在する昇降フレーム321に、Z方向に沿って一定の速度で昇降する走行体322が支持されている。回転移動機構33では、走行体322に設けられたアーム331に、回転軸332がベアリングを介して回転可能に支持されている。水平移動機構31及び垂直移動機構32の駆動源としては、特に限定しないが、ベルトを介して電動モータに連結されたベルト駆動機構(不図示)を用いてもよいし、電動モータが連結された送りねじの一部を噛合せた送りねじ駆動機構を用いてもよい。回転移動機構33の駆動源としては、特に限定しないが、回転軸332に連結された電動モータを用いてもよい。
なお、本実施形態では、切断部20に対して保持台10を移動させているが、切断部20と保持台10とが所定の速度で相対的に移動できれば、特に上述に限定されない。たとえば、特に図示しないが、切断部20のみを保持台10に対して移動させてもよいし、切断部20と保持台10との両方を移動させてもよい。本実施形態における「垂直移動機構32」が本発明における「第1及び第2の移動機構」の一例に相当する。
排出シュート40は、成形品Mにおいて有用部Pと不要部Uの分離が完了した後、不要部Uを収集する不要部収集ボックス(不図示)に当該不要部Uを案内する機能を有する。この排出シュート40は、退避位置にて待機する保持台10の下方に配置されている。
制御装置60は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェース等を含んで構成されるマイクロコンピュータである。この制御装置60は、以下に説明するゲートカット方法が実行されるように、移動機構30及び負圧発生装置50を駆動させる指令を、移動機構30の駆動源及び負圧発生装置50に出力する。
次に、本実施形態におけるゲートカット方法について、図10〜図18を参照しながら、詳細に説明する。
図10は本発明の一実施の形態に係るゲートカット方法を示す工程図、図11(a)、図11(b)、図12(a)、及び図12(b)は本発明の一実施の形態に係る保持工程を説明するための図、図13、図14(a)〜図14(d)、図15、図16、及び図17(a)〜図17(d)は本発明の一実施の形態に係る分離工程を説明するための図、図18は図17(b)を上方から見た状態の平面図である。
本実施形態のゲートカット方法は、図10に示すように、準備工程S1と、成形品確認工程S2と、保持工程S3と、保持確認工程S4と、分離工程S5と、分離確認工程S6と、を備えている。本実施形態における「準備工程S1」が本発明における「第1の工程」の一例に相当し、本実施形態における「保持工程S3」が本発明における「第2の工程」の一例に相当し、本実施形態における「分離工程S5」が本発明における「第3の工程」の一例に相当する。
まず、準備工程S1では、成形品Mを準備する。次に、成形品確認工程S2では、準備した成形品Mが有用部Pと不要部Uを備えているか否かを確認する。有用部P及び不要部Uの有無は、カメラ等を用いて確認する。成形品Mが有用部Pと不要部Uを備えている場合は、保持工程S3に移行し、有用部P及び不要部Uの少なくとも一方が欠けていれば、成形品Mが不良であるとして、準備工程S1に戻って、準備工程S1〜成形品確認工程S2を繰り返す。
保持工程S3では、準備した成形品Mを切込みNTの開口端OE側が保持台10の上面111と対向するように保持台10上に載置する。つまり、成形品Mは、スプルSが+Z方向に突出するような姿勢で保持台10に保持される。なお、成形品Mの保持台10上への載置は、ロボットや作業者の手作業によって行われる。上記姿勢で成形品Mを保持台10に載置して、ベローズ管13の吸着口132に大径部Wの吸着面Aを当接すると共に、支持部12の嵌合溝121にランナRを挿入する(図11(a)及び図11(b)参照)。なお、図11(b)では、図6と同様、第2の嵌合溝123を図示し、第1の嵌合溝122については括弧内に対応する符号を付して図示を省略する。
次に、負圧発生装置50を作動させ負圧吸引する。この際、図12(a)に示すように、吸着面Aが吸着に適した形状となっていることで、吸着口132が当該吸着面Aに密接する。これにより、ベローズ管13内が密閉され、当該ベローズ管13の内部空間が負圧となる。このベローズ管13の内部空間に生じた負圧が蛇腹部131を−Z方向に収縮させるように作用する。このように、ベローズ管13の内部空間に生じた負圧は、成形品Mをベローズ管13(具体的には吸着口132)に吸着保持させた状態のまま蛇腹部131を収縮させるので、当該成形品Mが−Z方向に向かって沈み込むように下降する。
支持部12においては、図12(b)に示すように、成形品Mが沈み込むことで、ランナRの傾斜面R1が対応する嵌合溝121の傾斜面122a,122b,123a,123b上を摺接する。これにより、嵌合溝121に嵌合するランナRが、傾斜面122a,122b,123a,123bによって案内されて、保持台10に対する成形品Mの多少の位置ずれを補正しながら位置決めが行われる。なお、図12(b)では、図6と同様、第2の嵌合溝123を図示し、第1の嵌合溝122については括弧内に対応する符号を付して図示を省略する。
次に、保持確認工程S4では、成形品Mが保持台10に保持されているか否かを確認する。ここでは、成形品Mが保持台10に固定された後、カメラによって当該成形品Mの保持状態を撮像することで、成形品Mが保持台10に保持されているか否かを確認する。成形品Mが保持台10に保持されている場合は、分離工程S5に移行し、成形品Mが保持台10に保持されていない場合は、保持工程S3に戻って、保持工程S3〜保持確認工程S4を繰り返す。
分離工程S5では、図13に示すように、まず、水平移動機構31を駆動させて、退避位置で待機する保持台10を切断部20の第1の空間281の上方に移動させる。そして、垂直移動機構32を駆動させて保持台10を下降させる(図14(a))。保持台10に成形品Mが保持された状態で、保持台10を分離プレート21に接近させることによって、第1及び第2の突起22,23の上面221,231に有用部Pの下方側(開口端OE側)の面が押し付けられて(図14(b))、切込みNTを起点としてゲートG(具体的には、残存部G2)が折れ曲がるように変形(塑性変形)する(図14(c))。
この際、下方側(開口端OE側)のゲートGの表面には引張力が作用し、上方側(閉塞端CE側)のゲートGの表面には圧縮力が作用する。これにより、ゲートG(具体的には、残存部G2)において、下方側の表面が伸長されて脆化すると共に、上方側の表面が圧縮されて脆化する。なお、保持台10が第1の空間281を通り過ぎ、第1及び第2の突起22,23と有用部Pとが離れて負荷が除去されたあとでも、ゲートGが変形したままに維持されるので、有用部Pが起立した姿勢となる(図14(c))。
ゲートGの表面に作用する引張力や圧縮力は、第1及び第2の突起22,23と有用部Pとの位置関係を調整することで制御することができるが、当該第1の突起22の刃先及び第2の突起23の刃先の位置が、ゲートGにおいて有用部P側に同伴する部分と不要部U側に同伴する部分との境界よりも有用部P側に位置していることが好ましく、有用部PとゲートGの境界(すなわち、切込みNTの有用部P側の末端)と実質的に一致していることがより好ましい。
次に、図15に示すように、水平移動機構31を駆動させて、保持台10を第1の空間281の下方から第2の空間282の下方に移動させる。この際、保持台10の接続アーム14が第1の空間281に進入するが、第1のスリット291を通過して移動するので、保持台10と切断部20が接触することはない。そして、図16に示すように、垂直移動機構32を駆動させて、保持台10を上昇させる。
ここで、ブラシ27は、その先端が第2の空間282に臨む姿勢で配置されている。したがって、垂直移動機構32を駆動させて保持台10を上昇させると、当該保持台10に保持された成形品Mも合わせて上昇し(図17(a))、当該成形品Mの有用部Pの上方側(閉塞端CE側)の面が当該ブラシ27の先端に押し付けられる(図17(b))。ブラシ27の線状部材271は弾性変形が可能な材料で構成されているので、当該線状部材271が成形品Mから受ける反力によって若干屈曲しながらも有用部Pを下方側に押し付けるので、切込みNTを起点として、ゲートGが先の変形と逆向きに折れ曲がるように変形する(図17(c))。
この際、下方側のゲートGの表面には圧縮力が作用し、上方側のゲートGの表面には引張力が作用する。これにより、ゲートGにおいて、下方側の表面が圧縮されて脆化すると共に、上方側の表面が伸長されて脆化する。つまり、ここでは、先の変形において、引張力が作用した表面には圧縮力が作用し、圧縮力が作用した表面には引張力が作用する。そして、脆化したゲートG(残存部G2)に亀裂が生じ、生じた亀裂が進展することで切込みNTを起点としてゲートGが切断に至る(図17(d))。これにより、有用部Pと不要部Uとが分離する。
本実施形態では、ブラシ27は、図18に示すように、平面視において、その先端(すなわち、複数の線状部材271の先端271a)が有用部Pの長手方向に沿うように略直線に揃えられている。この場合、ブラシ27の先端が、有用部Pの長手方向の略全体に均一に当接する。ゲートGと有用部Pとの連結部分(すなわち、残存部G2)付近において当該有用部Pに当接する線状部材271によって、ゲートGを折り曲げ、当該ゲートGと有用部Pとを分断する力が成形品Mに作用する。一方、ゲートGと有用部Pとの連結部分付近以外において当該有用部Pに当接する線状部材271によって、有用部Pが捻れ曲がるのを抑止する力が成形品Mに作用する。
また、本実施形態では、分離プレート21にブラシ27を傾けて固定しているので、線状部材271の延在方向が、有用部Pの延在方向に対して、おおよそ45°の角度をなして交差している。有用部Pの延在方向と線状部材271の延在方向とを一致させると(これらの延在方向を実質的に平行にすると)、集合された複数の線状部材271が有用部Pに当接したときに分かれてしまい、力が作用し難くなるおそれがある。また、有用部Pの延在方向と線状部材271の延在方向とを直交させた場合では、集合された複数の線状部材271が有用部Pに当接したときに分かれてしまい、力が作用し難くなるおそれがある。
このように、有用部Pの延在方向と線状部材271の延在方向とを交差(但し、直交する場合を除く)させることで、集合された複数の線状部材271が分かれてしまうのを防ぎ、より確実にゲートGと有用部Pとの分離を行うことができる。なお、有用部Pの延在方向と線状部材271の延在方向とを交差させると、ゲートGから離れる側に位置する線状部材271がランナRの先端に接触するまで延出してしまうことがある。このため、本実施形態では、線状部材271の先端を有用部Pの延在方向に沿って略直線上に切り揃えている。これにより、ブラシ27によって有用部Pに作用する力が分散してしまうのを抑制している。
また、本実施形態では、線状部材271の長さがゲートGに接近するに従い長くなっている(L1>L2)。線状部材271の長い側(線状部材271のうち有用部PとゲートGとの連結部分付近に位置する側)では、その曲げ剛性が線状部材271の短い側の曲げ剛性に比べて小さいため、変位(すなわち、上昇する保持台10の移動量)に対するゲートGに加わる応力が、線状部材271の短い側に比べて、緩やかに変化する。これにより、当該ゲートGの脆化した箇所に確実に応力を集中させて切断に至らしめることができ、バリやヒゲの発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、ブラシ27の先端において、有用部PとゲートGとの連結部分よりも僅かにランナR側に突出させる突出部分271cを設けている。これにより、ブラシ27を有用部Pに押し付け、当該有用部PとゲートGとを切断させる際、ブラシ27の先端がこれらの切断部分と摺接するので、切断部分から突出するバリやヒゲを除去することができる。
なお、成形品Mにおいて、有用部Pと不要部Mとが分離されたか否かは、分離確認工程S6において確認される。ここでは、分離工程S5が実行された後、ゲートGにカメラなどを向けて、有用部Pと不要部Mとが分離されたか否かを確認する。有用部Pと不要部Mとが分離されていない場合は、分離工程S5のうちブラシ27によるゲートGの折り曲げを再度実行する。ここでは、垂直移動機構32を駆動して保持台10を下降させることで、有用部Pの下方側(開口端OE側)の面にブラシ27の先端を押し付けゲートGを折り曲げる。そして、分離確認工程S6に移行して、有用部Pと不要部Mとが分離されたか否かを確認する。このように、本実施形態では、分離確認工程S6において有用部Pと不要部Mとの分離が確認されるまで、当該ブラシ27を中心に保持台10を上下に搖動して、複数回に亘ってブラシ27によるゲートGの折り曲げを実行する。
切断された有用部Pは下方に落下して、収集ボックス(不図示)により捕集される。なお、捕集した有用部Pを、カメラや目視によって、当該有用部Pと不要部Uとの切断部分に不良がないことを確認する工程を設けてもよい。
ゲートカット装置1は、分離確認工程S6において、有用部Pと不要部Uとの分離が確認されたら、当該不要部Uを排出した後、準備工程S1〜分離確認工程S6までを繰り返し実行する。不要部Uを排出する当たって、ゲートカット装置1は、まず、不要部Uを保持台10に吸着保持したまま、退避位置に移動する。そして、回転移動機構33を駆動させて当該保持台10を逆さまの状態にする。そして、切換え弁(不図示)を作動して圧縮空気供給装置(不図示)からベローズ管13に圧縮空気を供給する経路を確保した後、当該ベローズ管13の内部空間に圧縮空気を供給することで、不要部Uが排出シュート40に向けて噴出される。不要部Uは排出シュート40に導かれて不要部収集ボックス(不図示)により捕集される。
本実施形態のゲートカット方法及びゲートカット装置1は、以下の効果を奏する。
射出成形される成形品において、当該成形品を構成する樹脂材料自体の特性の差、樹脂材料に含有される強化繊維の配向や太さ(径)の差、又は、樹脂材料に含有される無機質の形状(麟片状、球形状など)の差等に起因して、当該成形品が引張強度に対して圧縮強度が高い物性を示したり、その逆で、圧縮強度に対して引張強度が高い物性を示したりすることがある。従来のゲートカット方法では、成形品に当接する部材に対して、成形品を一方向にしか進行させないため、ゲートの一方の表面には引張力か圧縮力の何れか一方しか作用せず、他方の表面には引張力か圧縮力の何れか他方しか作用しない場合があった。この場合、成形品が比較的高い引張強度の物性を示す場合において引張力しか作用しない側の表面や、成形品が比較的高い圧縮強度がの物性を示す場合において圧縮力しか作用しない側の表面では、ゲートが十分に脆化しないおそれがある。特に、射出成型用金型を用いた樹脂成形品においては、その表面に当該金型内で急速に冷却され固化した表面固化層(スキン層)が形成されている。この表面固化層は分子鎖が強く配向しており、負荷を加えると内部から剥離してしまうおそれがある。このように、ゲートの脆化が不十分なままで無理に折り曲げ切断せしめると、ゲートの切断部分(特に表面付近)に毟れ、抉れ、又は延びが生じ、ヒゲやバリといったゲートの切断不良の発生を招くおそれがある。
これに対して、本実施形態では、開口端OE側からゲートGを折り曲げた後、閉塞端CE側からゲートGを折り曲げるので、当該ゲートGにおける一方の表面(たとえば、開口端OE側の表面)に引張力及び圧縮力の両方を作用させると共に、他方の表面(閉塞端CE側の表面)にも引張力及び圧縮力の両方を作用させることができる。これにより、ゲートGにおける切断不良が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、ゲートGにおける一方の表面に引張力を作用させ他方の表面に圧縮力を作用させるタイミングと、一方の表面に圧縮力を作用させ他方の表面に引張力を作用させるタイミングと、を時間的にずらして行うことができる。この場合、ゲートGを折り曲げる順序として、まず、開口端OE側からゲートGを折り曲げることで、成形品Mにおいては、切込みNTに確実に集中応力を生じさせることができる。
また、本実施形態では、突起22,23によるゲートGの折り曲げを実行した後、ブラシ27によるゲートGの折り曲げを実行してもゲートGが切断に至らない場合、当該ブラシ27を中心にして保持台10を上下に搖動することで、複数回に亘ってブラシ27によるゲートGの折り曲げを実行することができる。これにより、有用部Pと不要部Uとの分離をより確実に行うことができる。
また、本実施形態では、複数の線状部材271の先端271aが、平面視において、有用部Pの長手方向に沿って略直線上に配置されていることで、線状部材271の延在方向と有用部Pの延在方向とが、交差(但し、直交する場合を除く)している態様において、ゲートGから離れる側に位置する線状部材271がランナRの先端に接触するのを防止している。これにより、有用部Pに作用する力が分散してしまうのを抑制し、より確実にゲートGと有用部Pとを分断させることができる。
また、線状部材271の長さが、ゲートGに接近するに従い長くなっていることで、有用部PとゲートGとの連結部分付近のおいて、変位に対するゲートGに加わる応力が、比較的緩やかに変化する。これにより、当該ゲートGの脆化した箇所に確実に応力を集中させて切断に至らしめることができ、バリやヒゲの発生をさらに抑制することができる。
また、本実施形態では、保持台10において嵌合溝121が、ランナRの一対の傾斜面R1a,R1bに対応する一対の傾斜面122a,122b(123a,123b)を有していることで、密閉空間とされたベローズ管13内の負圧によって下方に沈み込む成形品MにおいてランナRの一対の傾斜面R1a,R1bが、嵌合溝121の一対の傾斜面122a,122b(123a,123b)によって案内されることで、保持台10に対する成形品Mの位置決めを行うことができる。
また、本実施形態では、大径部Wが半球状の吸着面Aを有していることで、ベローズ管13が成形品Mを保持する際に、吸着口132が吸着面Aに密接し易くなり、より大きな摩擦抵抗を生じさせることができる。これにより、ベローズ管13に成形品Mをより強固に吸着保持することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、本実施形態では、ブラシ27を構成する線状部材271の長さをゲートGに接近するに従い長くしているが、これは、ゲートGと有用部Pとの連結部分付近において当該有用部Pに当接する線状部材271の曲げ剛性と、ゲートGと有用部Pとの連結部分付近以外において当該有用部Pに当接する線状部材271の曲げ剛性と、の間に隔たりを生じさせ、ゲートGと有用部Pとの連結部分付近に加わる応力の変動を緩やかにすることを目的とする。
つまり、有用部Pに当接する部分に応じて部材を変えることで、曲げ剛性に隔たりを生じさせてもよい。具体的には、図19に示すように、ゲートGと有用部Pとの連結部分付近において当該有用部Pに当接する第1の部材271Bと、ゲートGと有用部Pとの連結部分付近以外において当該有用部Pに当接する第2及び第3の部材272B,273Bと、を有する当接部材27Bをブラシ27の代わりに用いることができる。
この当接部材27Bを用いた場合、第2及び第3の部材272B,273Bが、有用部Pが捻れ曲がるのを抑止する力を成形品Mに作用させる。一方、第1の部材271Bが、ゲートGを折り曲げ、当該ゲートGと有用部Pとを分断する力を成形品Mに作用させる。そして、第1の部材271Bが、第2及び第3の部材272B,73Bを構成する材料のヤング率に対して相対的に小さいヤング率の材料により構成されていることで、有用部PとゲートGとの連結部分付近において、変位に対するゲートGに加わる応力が緩やかに変化するので、当該ゲートGの脆化した箇所に確実に応力を集中させて切断に至らしめることができる。
さらに、本例では、第1の部材271Bの先端が有用部PとゲートGとの連結部分よりも僅かにランナR側に突出している。ここでは、第1の部材271Bの先端が有用部PとゲートGの切断部分と摺接して、切断部分から突出するバリやヒゲを除去するが、当該第1の部材271Bを構成する材料のヤング率を調整することで、より効率的にこれらを除去することができる。
なお、上述では、ブラシの線状部材や当接部材について、これらの長さや構成する材料のヤング率を変えることで曲げ剛性の大小を調整しているが、特にこれに限定されず、線状部材や当接部材の断面積や密度を変えることで調整してもよい。
また、ブラシ27の配置は、特に上述の実施形態の場合に限定されない。特に図示しないが、たとえば、分離プレートにおいて、第1のブラシが、第2の突起の先端付近に、その延在方向がY方向に対して+X方向側に傾く姿勢で固定されていてもよい。また、第2のブラシが、幅広部の先端付近に、その延在方向がY方向に対して−X方向側に傾く姿勢で固定されていてもよい。この場合では、第1及び第2のブラシは、それぞれの先端が分離プレートに接近するに従い、当該第1及び第2のブラシの先端同士が互いに接近するように配置される。
1・・・ゲートカット装置
10・・・保持台
11・・・本体部
111・・・上面
112・・・凹部
113・・・導管
12・・・支持部
121・・・嵌合溝
122・・・第1の嵌合溝
122a,122b・・・傾斜面
122c・・・底面
123・・・第2の嵌合溝
123a,123b・・・傾斜面
123c・・・底面
13・・・ベローズ管
131・・・蛇腹部
132・・・吸着口
133・・・接続口
14・・・接続アーム
141・・・挿通孔
20・・・切断部
21a,21b・・・分離プレート
22a,22b・・・第1の突起
221・・・上面
23a,23b・・・第2の突起
231・・・上面
24a,24b・・・幅広部
25a,25b・・・第1の凹み
26a,26b・・・第2の凹み
27(27a,27b)・・・ブラシ(第1及び第2のブラシ)
271・・・線状部材
271a・・・先端
271b・・・基端
271c・・・突出部分
272・・・結束部材
273・・・環状部
27B・・・当接部材
271B・・・第1の部材
272B・・・第2の部材
273B・・・第3の部材
281,282・・・第1及び第2の空間
291,292・・・第1及び第2のスリット
30・・・移動機構
31・・・水平移動機構
311・・・走行レール
312・・・走行体
32・・・垂直移動機構
321・・・昇降フレーム
322・・・走行体
33・・・回転移動機構
331・・・アーム
332・・・回転軸
40・・・シュート
50・・負圧発生装置
60・・・制御装置
70・・・装置フレーム
M・・・成形品
P・・・有用部
U・・・不要部
S・・・スプル
W・・・大径部
A・・・吸着面
C・・・スラグウェル
R・・・ランナ
R1a,R1b・・・傾斜面
R1c・・・底面
G・・・ゲート
NT・・・切込み
OE・・・開口端
CE・・・閉塞端
G2・・・残存部

Claims (12)

  1. 有用部と、切込みを有するゲートを介して前記有用部に連結された不要部と、を有する成形品を準備する第1の工程と、
    前記成形品を保持台に保持する第2の工程と、
    前記成形品から前記有用部を分離する第3の工程と、を備え、
    前記第3の工程は、
    第1の側から第1の当接部材を前記有用部に押し当てて、前記第1の側から前記ゲートを折り曲げることと、
    前記第1の側から前記ゲートを折り曲げた後、第2の側から第2の当接部材を前記有用部に押し当てて、前記第2の側から前記ゲートを折り曲げることで、前記切込みを起点として前記ゲートを切断することと、を含み、
    前記第1の側は、前記ゲートにおいて前記切込みが開口する側であり、
    前記第2の側は、前記第1の側の反対側であるゲートカット方法。
  2. 請求項1に記載のゲートカット方法であって、
    前記第2の当接部材は、先端側で前記有用部と当接し、基端側で集合された複数の線状部材を有するブラシであるゲートカット方法。
  3. 請求項2に記載のゲートカット方法であって、
    前記複数の線状部材の先端は、平面視において、前記有用部の長手方向に沿って略直線上に配置されているゲートカット方法。
  4. 請求項2又は3に記載のゲートカット方法であって、
    前記線状部材の長さは、前記ゲートに接近するに従い長くなっているゲートカット方法。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のゲートカット方法であって、
    前記不要部は、
    スプルと、
    前記スプルの一端に連結された大径部と、
    一端で前記大径部と連結され、他端で前記ゲートを介して有用部と連結されたランナと、を有し、
    前記ランナは、当該ランナの短手方向断面において前記第1の側に向かうに従い相互に接近するように傾斜する一対の第1の傾斜面を有し、
    前記保持台は、
    負圧発生装置に接続され、前記切込みが開口する側から前記成形品を吸着保持すると共に、延在方向に沿って伸縮可能な吸着保持部材と、
    前記ランナを内部に収容する嵌合溝が形成された支持部と、を有し、
    前記嵌合溝は、前記一対の第1の傾斜面に対応する一対の第2の傾斜面を有し、
    前記第2の工程は、
    前記第1の側が前記保持台と対向する姿勢で前記ランナを前記嵌合溝に挿入して、前記成形品を前記保持台上に載置することと、
    前記吸着保持部材の吸着口を前記大径部に密接させた状態で前記負圧発生装置により負圧吸引することで、前記成形品を吸着保持しつつ前記吸着保持部材を収縮させ前記成形品を前記保持台側に向かって沈み込ませることと、を含むゲートカット方法。
  6. 請求項5に記載のゲートカット方法であって、
    前記大径部は、前記第1の側に半球状の吸着面を有し、
    前記第2の工程は、前記吸着口を前記吸着面に密接させた状態で前記負圧発生装置により負圧吸引することをさらに含むゲートカット方法。
  7. 有用部と、切込みを有するゲートを介して前記有用部に連結された不要部と、を有する成形品が保持される保持台と、
    第1の側から前記有用部と当接可能な第1の当接部材と、
    第2の側から前記有用部と当接可能な第2の当接部材と、
    前記保持台又は前記第1の当接部材の一方を、前記保持台又は前記第1の当接部材の他方に対して、相対的に移動させる第1の移動機構と、
    前記保持台又は前記第2の当接部材の一方を、前記保持台又は前記第2の当接部材の他方に対して、相対的に移動させる第2の移動機構と、を備え、
    前記第1の移動機構により前記第1の当接部材を前記保持台に対して前記第1の側から前記第2の側に相対的に移動させ、
    前記第1の側から前記第2の側に前記第1の当接部材が移動した後、前記第2の移動機構により前記第2の当接部材を前記保持台に対して前記第2の側から前記第1の側に相対的に移動させ、
    前記第1の側は、前記ゲートにおいて前記切込みが開口する側であり、
    前記第2の側は、前記第1の側の反対側であるゲートカット装置。
  8. 請求項7に記載のゲートカット装置であって、
    前記第2の当接部材は、先端側で前記有用部と当接し、基端側で集合された複数の線状部材を有するブラシであるゲートカット装置。
  9. 請求項8に記載のゲートカット装置であって、
    前記複数の線状部材の先端は、前記有用部の長手方向に沿って略直線上に配置されているゲートカット装置。
  10. 請求項8又は9に記載のゲートカット装置であって、
    前記線状部材の長さは、前記ゲートに接近するに従い長くなっているゲートカット装置。
  11. 請求項7〜10の何れか一項に記載のゲートカット装置であって、
    前記保持台は、
    負圧発生装置に接続され、前記第1の側から前記成形品を吸着保持すると共に、延在方向に沿って伸縮可能な吸着保持部材と、
    嵌合溝が形成された支持部と、を有し、
    前記嵌合溝は、短手方向断面において前記第1の側に向かうに従い相互に接近するように傾斜する一対の第2の傾斜面を有するゲートカット装置。
  12. 請求項11に記載のゲートカット装置であって、
    前記不要部は、
    スプルと、
    前記スプルの一端に連結された大径部と、を有し、
    前記大径部は、前記第1の側に半球状の吸着面を有し、
    前記吸着保持部材の吸着口が前記吸着面と密接することで、前記成形品を吸着保持するゲートカット装置。
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