ここにおいて、本発明は上述の事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、本発明者の先の特許を基礎として、ユーザに特別な労力等の負担を強いることなく、コンタクトレンズの使用に際して一層高度なサポートを実現することが出来る新たな技術を提供することにある。
そして、かかる課題を解決するために、本発明は、(a)コンタクトレンズの画像信号を取得するレンズ画像信号取得手段を備え、コンタクトレンズを使用している各ユーザの利用にそれぞれ供される複数のユーザ用クライアント装置と、(b)前記コンタクトレンズの画像信号に基づいてレンズ状態を評価したレンズ状態評価情報と、前記各ユーザの識別情報とを記憶する情報記憶手段を備え、サポート主体の利用に供されるサーバ装置と、(c)前記ユーザ用クライアント装置と前記サーバ装置の間での信号の送受信を可能とする通信ネットワーク手段と、(d)前記ユーザ用クライアント装置において、前記レンズ画像信号取得手段で取得された前記画像信号を前記通信ネットワーク手段を通じて前記サーバ装置に送信するレンズ画像信号送信手段と、(e)前記サーバ装置において、前記レンズ状態評価情報を前記通信ネットワーク手段を通じて前記ユーザ用クライアント装置に送信するレンズ状態評価情報送信手段とを、(f)含んで構成されたコンタクトレンズユーザのサポートシステムにおいて、(g)前記各コンタクトレンズにおける固有情報を外部から取得可能としたレンズ固有情報表示手段を該各コンタクトレンズに付する一方、(h)前記ユーザ用クライアント装置において、前記レンズ画像信号取得手段による前記コンタクトレンズからの前記画像信号の取得に併せて、前記レンズ固有情報表示手段から該コンタクトレンズの前記固有情報を取得するレンズ固有情報取得手段を設け、(i)該ユーザ用クライアント装置において、前記レンズ画像信号送信手段による前記サーバ装置への前記画像信号の送信に併せて、該レンズ固有情報取得手段で取得した該コンタクトレンズの固有情報を該サーバ装置に送信するレンズ固有情報送信手段を設けると共に、(j)前記サーバ装置において、該コンタクトレンズの固有情報に不適合があった場合に、該コンタクトレンズのユーザの利用に供される前記ユーザ用クライアント装置に対して報知信号を送信する報知信号送信手段を設けたことを、特徴とする。
本発明に従う構造とされたコンタクトレンズユーザのサポートシステムにおいては、特許文献1に記載の発明に係るサポートシステムと同様に、ユーザが画像信号を取得及び送信することでサポート主体によるレンズ状態評価のサービスを容易に受けることができる。ここにおいて、特に本発明では、市場に提供するコンタクトレンズとして予め固有情報を付したものを採用したことにより、かかるレンズ状態評価のサービスを受けるに際して、コンタクトレンズに付された固有情報が自動的に取得されてサポート主体に提供されることとなる。それ故、レンズ状態評価のサービスを受けるユーザには、特別な労力や時間の負担をかけることなく、ユーザに特別な意識を持たせる必要もなく、当該ユーザが使用しているコンタクトレンズについての固有情報をサポート主体が取得して確認等することが可能となる。
そして、サポート主体は、取得したコンタクトレンズの固有情報に基づいて、市場で実際に使用されているコンタクトレンズを特定したり、確認することが可能となるのであり、このことは市場においてユーザに提供されて使用中のコンタクトレンズについて、それを特定する手段が従来では実質的に皆無であったことを考えると画期的な技術なのである。
また、サーバ装置による受信情報や記憶情報を活用することにより、使用中のコンタクトレンズについて、コンタクトレンズの固有情報に基づいて特定したうえで、コンタクトレンズにおける汚れや損傷などの状況を画像信号に基づいて略リアルタイムで現状把握することも可能になる。それ故、例えばコンタクトレンズメーカが、かかる情報に基づいて、コンタクトレンズの改善や対策を極めて早期に行うことが出来、大きな問題発生なども未然に防止することも容易となるのである。
なお、本発明において、ユーザ用クライアント装置としては、外部との通信機能を備えたパソコン等の電子機器が適宜に採用され得、後述するスマートフォン等も好適に採用される。このユーザ用クライアント装置は、ユーザ自身が準備したものであっても、コンタクトレンズのサポート主体や販売店等がユーザに貸与や譲渡等の態様で提供したものであっても良い。また、レンズ画像信号取得手段は、コンタクトレンズの外観等を表す反射光や透過光を電気的な画像信号として取り込むことの出来るCCDカメラ等で構成されることとなり、好適には、ユーザ用クライアント装置に接続されまたは組み込まれて装備される。
また、サーバ装置もパソコン等を用いて実現可能である。更にまた、レンズ状態評価情報と各ユーザの識別情報を記憶する情報記憶手段は、サーバ装置のアプリケーションから直接にアクセス可能なファイルとして管理される情報の他、サーバ装置のアプリケーションから独立して構成されてデータベース管理システム(DBMS)等を通じてサーバ装置に利用される狭義のデータベースによって構成されるものであっても良い。何れの場合でも、サーバ装置における情報記憶手段の記憶情報へのアクセスは、例えばサーバ装置としてのパソコンに適当な情報管理ソフトをインストールすることによって効率的に実行可能である。また、各ユーザの識別情報は、全てのユーザを個別に識別し得るものであれば良く、例えば住所や氏名、ID番号などを識別情報として適当に用いることが可能である。
更にまた、通信ネットワーク手段は、有線又は無線で信号通信し得るものであれば良く、例えば電話回線や光通信回線等の既存の有線或いは無線の通信網が利用され得る。これらの通信ネットワーク手段は、利用する通信ネットワーク手段に対応したハードウェアと制御用プログラム(ドライバ)が、ユーザ用クライアント装置やサーバ装置に備えられて信号の送受信が可能とされる。そして、かかる通信ネットワーク手段を利用した信号の送受信装置によって、ユーザ用クライアント装置におけるレンズ画像信号送信手段と、サーバ装置におけるレンズ状態評価情報送信手段が構成される。
さらに、本発明におけるコンタクトレンズの固有情報としては、当該コンタクトレンズに関する各種情報が利用目的等に応じて適宜に採用され得、例えばコンタクトレンズの製品名や製品種別、製造者、製造地、製造時期、光学特性、形状や寸法特性などを採用することが出来る。また、レンズ固有情報表示手段は、レンズ固有情報取得手段による機能に応じた表示態様を採用することが可能であり、例えば光学的な情報取得機能を有するレンズ固有情報取得手段を採用する場合には印刷や刻設などにより光学的に取得可能に情報表示する他、電気的又は電磁的な情報取得機能を有するレンズ固有情報取得手段を採用する場合にはICタグやICチップなどにより電気的又は電磁的に取得可能に情報表示しても良い。特に光学的に取得可能なレンズ固有情報表示手段を採用すれば、ユーザ用クラアイント装置が備えるレンズ画像信号取得手段をレンズ固有情報取得手段として利用し、コンタクトレンズの画像信号の取得と同時にまたは別操作で、コンタクトレンズの固有情報を取得することも可能となる。
また、本発明におけるレンズ固有情報送信手段としては、例えば上述の通信ネットワーク手段を利用してレンズ画像信号をユーザ用クライアント装置からサーバ装置に送信するレンズ画像信号送信手段によって構成することが可能である。特にコンタクトレンズにおいて固有情報が光学的に取得可能に表示されている場合には、かかる固有情報を画像信号に含ませてレンズ画像信号取得手段にて取得して、固有情報を含む画像信号をレンズ画像信号送信手段で送信することも可能となる。
ところで、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムにおいては、前記ユーザ用クライアント装置として、前記通信ネットワーク手段への接続通信機能を備えた携帯電話およびスマートフォンを含むカメラ付の携帯型情報端末が、好適に採用され得る。
このように、ユーザ用クライアント装置として、近年における普及が著しいカメラ付の携帯型情報端末を活用することで、ユーザがパーソナルコンピュータ等の大がかりな設備を持たない場所等でも、本発明に係るサポートシステムを容易に利用することが可能となる。特に、スマートフォンのプログラム(アプリケーション導入)機能を利用すれば、ユーザによるコンタクトレンズ画像の撮影作業の補助を行わせたり、撮影から画像信号の送信までを自動で実行させたり等する各種のサポートソフトウェアをスマートフォンに導入してユーザの労力の更なる軽減も可能となる。なお、携帯型情報端末が備えるカメラは、静止画撮影カメラであっても良いし、動画撮影カメラであっても良く、コンタクトレンズ状態を評価し得るだけの画像情報を取得できれば良い。
また、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムでは、前記ユーザ用クライアント装置において、前記レンズ画像信号取得手段により取得した前記画像信号を演算処理して前記コンタクトレンズの汚れの状態を画面表示するレンズ汚れ表示手段を設けることが望ましい。
このようなレンズ汚れ表示手段をユーザ用クライアント装置に設けることにより、スマートフォン等のユーザ用クライアント装置自体で、コンタクトレンズの撮影画像を処理してレンズ評価を即時に確認することも可能となり、それによって本発明に係るサポート装置に対するユーザの利用意欲の向上等も図られ得る。
なお、画像信号からコンタクトレンズの汚れの状態を求める解析手段は、例えばコンタクトレンズの撮像画像を拡大表示するだけの簡単ものであっても良いし、コンタクトレンズにおける光透過率又は光反射率に基づいて汚れ等の異物の付着の程度を求めるものや、反射光の周波数解析により異物の種類を識別して画面表示するもの、更に、特定の処理液や光源を用いて取得したコンタクトレンズの処理画像に基づいて更に高度な異物の解析を行った結果を画面表示するもの等も採用可能である。また、コンタクトレンズの汚れの状態の画面表示態様も、例えばコンタクトレンズの画像を表示したり、コンタクトレンズ上への異物の付着の程度や位置を画像表示するものの他、画像に代えて又は画像に加えて、光透過率を数値表示したり、汚れのレベルを段階表示するような表示態様も態様可能である。
また、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムでは、前記サーバ装置における前記情報記憶手段が、前記ユーザ用クライアント装置から受信した前記レンズ画像信号を記憶することが望ましい。
サーバ装置の情報記憶手段にレンズ画像信号を記憶させておくことにより、サーバ装置やそれに接続された外部のクライアント装置から、必要に応じてレンズ画像信号を速やかに入手して確認処理や統計処理等に利用することが可能となり、情報の活用自由度の向上が図られ得る。
また、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムでは、前記ユーザ用クライアント装置における前記レンズ画像信号取得手段が、前記画像信号の取得に際して前記コンタクトレンズに光を照射する光源を備えていることが望ましい。
光源による照明下で画像信号を取得することで、特に画像への影響が大きい照明光のばらつきを軽減することが可能となり、取得される画像信号の質の向上と均一化が図られると共に、ユーザによる撮像ミスの回避も図られ得る。特にコンタクトレンズの固有情報を画像信号として取得する場合には、かかる固有情報の取得精度の向上も達成される。
より好適には、上記光源として、例えばストラップ等の構造をもって鞄やキー、スマートフォン等に取り付けておくことができるものが採用される。特に前述のカメラ付きの携帯型情報端末を採用する場合には、携帯型情報端末に付属の発光源を上記光源として利用することも可能であるし、別体の光源を採用する場合でも携帯型情報端末の電源をかかる光源のエネルギーとして利用することが可能である。
さらに、このような光源をユーザ用クライアント装置に採用する場合には、所定の対象物質を励起させて蛍光を生ぜしめ得る励起光を前記ユーザが使用している前記コンタクトレンズに照射する照射手段としての光源と、該照射手段で照射される励起光によって前記コンタクトレンズにおける前記所定の対象物質から主として生じる蛍光にて形成されるレンズ蛍光像を検知する検知手段とを、備えた前記レンズ画像信号取得手段が好適に採用される。
かくの如き励起光の照射手段とレンズ蛍光像の検知手段とを備えたレンズ画像信号取得手段をユーザ用クライアント装置が備えることにより、コンタクトレンズに残留影響を及ぼすおそれがある染色用試薬等を用いることなく、傷や割れ等の損傷の他に蛋白質や脂質等の付着汚れまでも、画像信号として一層精度良く且つ効率的に検知することが可能となる。また、例えばコンタクトレンズ上の位置をピクセル単位等で把握して、蛍光強度の大小の情報をコンタクトレンズ上の位置情報と関連付けた画像信号として取得することにより、付着汚れ等の程度や位置までも特定した情報を取得することも可能となる。
なお、レンズ画像信号取得手段において採用される上記光源は、携帯型情報端末に一体的に装備されたり、別体で付属や接続可能とされる等して、ユーザが外出時に携行できる携帯型光源とされることが望ましい。携帯型光源とすることで、外出時にも必要な時に速やかにコンタクトレンズを照明下で撮像して画像信号を取得することが可能となる。
また、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムでは、前記コンタクトレンズの固有情報が、前記コンタクトレンズの製造ロットと光学特性と日付情報との少なくとも一つを特定し得る情報であることが望ましい。前述のようにコンタクトレンズの固有情報としては、情報の利用目的等に応じてコンタクトレンズに関する各種情報を採用可能であるが、特にコンタクトレンズの製造ロットと光学特性と日付情報は、各ユーザの安全を確認して確保するために有益である。例えば、特定の製造段階での問題等により製品不具合発生の可能性が発見された場合には、製造ロットや製造日付の情報で対象となるコンタクトレンズを特定等することが可能になるし、各ユーザが適合するコンタクトレンズを使用していることを確認する場合には、光学特性や日付情報での確認が有効になる。
また、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムでは、レンズ固有情報取得手段が、前記レンズ画像信号取得手段で取得される前記画像信号から前記コンタクトレンズの固有情報を得るものであることが望ましい。前述のようにコンタクトレンズの固有情報は、画像信号以外の例えば電磁気的信号として取得することも可能であるが、画像信号から取得可能とすることにより、レンズ画像信号取得手段をレンズ固有情報取得手段として利用して、レンズ画像信号の取得と同時にコンタクトレンズの固有情報を取得することが出来、簡単な装置構造と簡単で速やかな操作で目的とするコンタクトレンズの固有情報を取得することが可能になる。
また、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムでは、前記サーバ装置において、前記情報記憶手段に前記コンタクトレンズの固有情報が記憶されると共に、該情報記憶手段に記憶された該コンタクトレンズの固有情報に基づいて、特定の該コンタクトレンズの固有情報を持つ前記コンタクトレンズだけを抽出する特定レンズ抽出手段が設けられていることが望ましい。
このような情報記憶手段へのコンタクトレンズの固有情報の記憶と特定レンズ抽出手段とが併せて採用されることにより、例えば特定のコンタクトレンズを使用しているユーザだけを選択して、当該コンタクトレンズに適合する保存液等のレンズケア用品の紹介やレンズ使用上の注意情報の提供、アンケートの実施、特定レンズの市場からの早期回収などといったサービスを効率的に実施することも可能となる。
さらに、サーバ装置において、情報記憶手段へのコンタクトレンズの固有情報の記憶と特定レンズ抽出手段とを併せて採用する場合には、更に、前記特定レンズ抽出手段によって抽出された特定の前記コンタクトレンズの固有情報を持つ前記コンタクトレンズについて、該コンタクトレンズのユーザの利用に供される前記ユーザ用クライアント装置に対して報知信号を送信する報知信号送信手段が設けられることが望ましい。
このような報知信号送信手段を採用することにより、例えば特定のコンタクトレンズを使用しているユーザだけを選択して、ユーザ用クライアント装置に対して、サーバ装置から通信ネットワーク手段を介して速やかに且つ簡単に前述の如き必要な情報等を提供することが可能になる。特に紙媒体等を使用して情報等のサービスを各ユーザに提供する場合に比して、大幅な効率化と迅速化が実現され得る。
また、本発明に係るコンタクトレンズユーザのサポートシステムでは、コンタクトレンズの使用に関する専門的知識を有する専門家の利用に供されて、前記サーバ装置の前記情報記憶手段に記憶された情報を前記通信ネットワーク手段を通じて受信し得るアドバイザ用クライアント装置を設けることが望ましい。
かかるアドバイザ用クライアント装置を利用することにより、専門家がユーザにアドバイス等をするに際して、サーバ装置の情報記憶手段に記憶された情報を効率的に活用することが可能になる。例えば、情報記憶手段に記憶されたレンズ使用履歴等のユーザ情報や、コンタクトレンズの画像信号、コンタクトレンズの固有情報などを、アドバイザ用クライアント装置を用いて専門家が適宜に参照することが可能になり、その結果、コンタクトレンズのユーザに対して一層的確なアドバイスを与えることが可能になる。なお、上述の専門家は、眼科医やオプティシャン(レンズ技術者)を含む。
さらに、本発明は、コンタクトレンズの各ユーザが有するユーザ用クライアント装置で取得した該コンタクトレンズの画像信号を、該ユーザ用クライアント装置から通信ネットワーク手段を通じてサポート主体が有するサーバ装置に送信させて、該画像信号に基づいて得られたレンズ状態評価情報と、前記各ユーザの識別情報とを該サーバ装置の情報記憶手段に記憶すると共に、該レンズ状態評価情報を該サーバ装置から該通信ネットワーク手段を通じて該ユーザ用クライアント装置に送信して該ユーザに提供するコンタクトレンズユーザのサポート方法であって、前記コンタクトレンズに対してコンタクトレンズの固有情報を外部から取得可能に付する一方、前記ユーザ用クライアント装置において前記画像信号の取得と併せて該コンタクトレンズの固有情報を取得させ、該ユーザ用クライアント装置において該画像信号の前記サーバ装置への送信と併せて該コンタクトレンズの固有情報を該サーバ装置に送信させると共に、前記サーバ装置において、該コンタクトレンズの固有情報に不適合があった場合に該コンタクトレンズのユーザが有する前記ユーザ用クライアント装置に報知信号を送信させるコンタクトレンズユーザのサポート方法も、特徴とする。
本発明に従う方法によれば、近年発達した通信ネットワーク手段を巧く利用して、ユーザ自身が取得したコンタクトレンズの画像信号を、総合的に情報管理するサーバ装置に送信させて該サーバ装置において情報記憶や解析演算等を行うことにより、ユーザ自身が使用するコンタクトレンズの評価結果をユーザに対して速やかに且つ効率的に提供することが出来る。このようにコンタクトレンズの評価結果をユーザに提供することでコンタクトレンズ使用に際しての安心感や信頼を担保してユーザ自身の利益に資するサポートサービスを前提とし、かかるサービスを提供するのと併せて、ユーザに過度の負担をかけることなく、各ユーザが使用しているコンタクトレンズの固有情報を、サーバ装置において取得することが可能となる。
すなわち、本発明に従う方法によれば、各ユーザに所有権が移転されて市場で実際に使用されているコンタクトレンズの情報を、その使用状態に関する情報と併せて、取得することが可能となる。特に、本発明方法では、ユーザの利益となるサポートサービスの提供に際して、ユーザに課題な労力や時間を強いることなく、目的とするコンタクトレンズの固有情報を取得可能としたことにより、優れた効率をもってコンタクトレンズの固有情報を取得することができる。
本発明に従うコンタクトレンズユーザのサポートシステムによれば、コンタクトレンズユーザが画像信号を取得および送信することで、サポート主体によるレンズ状態評価のサービスを容易に受けることができる。更に、予め固有情報を付したコンタクトレンズを採用することにより、ユーザが使用しているコンタクトレンズについての固有情報をサポート主体が取得して、確認等を行うことが可能となる。
また、本発明に従うコンタクトレンズユーザのサポート方法によれば、ユーザが取得したコンタクトレンズの画像信号をサーバ装置に送信し、画像信号に基づいて汚れ等の詳細な解析を行う。その後、サーバ装置からユーザ用クライアント装置へレンズの評価結果が返信されることにより、ユーザはレンズの評価結果を取得することができる。それにより、ユーザは迅速に評価結果を確認できると共に、サポート主体はユーザが使用しているコンタクトレンズの固有情報をユーザに特別な負担を強いることなく取得できる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に従うコンタクトレンズユーザのサポート方法を実施するために好適に採用される、本発明に従って構成されたコンタクトレンズユーザのサポートシステムの一実施形態の構成が、全体概略図として示されている。本実施形態のサポートシステムは、(1)サービスとしてのサポートを提供する主体であるサポート主体10の管理下にあってサポート主体10の利用に供されるサーバ装置12と、(2)該サーバ装置12が利用可能な情報記憶手段14と、(3)コンタクトレンズのユーザ16の利用に供されるユーザ用クライアント装置18と、(4)ユーザ16の管理下に置かれてユーザ用クライアント装置18に使用中のコンタクトレンズ20の画像信号を取り込むレンズ画像信号取得手段22と、(5)コンタクトレンズ20をユーザ16に対して直接に販売等する販売店24の利用に供されるアドバイザ用クライアント装置26と、(6)上記サーバ装置12とユーザ用クライアント装置18とアドバイザ用クライアント装置26とを相互に接続して情報信号の送受信を可能とする通信ネットワーク手段としてのネットワーク通信網38とを、含んで構成されている。
なお、サーバ装置12やユーザ用クライアント装置18、アドバイザ用クライアント装置26としては、何れも、ネットワーク通信網38としてのインターネット等を利用した情報の送受信が出来るように、キーボードやマウス等の入力装置と、モニタ手段としてのCRTや液晶ディスプレイ等の表示装置を備えたパソコン等のコンピュータ等によって構成されたものが用いられる。なかでも、ユーザ用クライアント装置18としては、ネットワーク通信網38への接続機能を備えた携帯電話やスマートフォンを含むカメラ付の携帯型情報端末が、好適に採用される。このような携帯型情報端末は、携帯性に優れていることから、ユーザ16が必要な時に手軽に利用することが可能となる。
また、サーバ装置12は、インターネット上でWebページを閲覧するWWWブラウザが導入されて構成されており、且つユーザ用クライアント装置18やアドバイザ用クライアント装置26には、インターネット上でかかるWebページを閲覧する適当なソフトウェアが導入されている。そして、ユーザ用クライアント装置18やアドバイザ用クライアント装置26は、ネットワーク通信網38を通じてのサーバ装置12へのアクセスが許容されて、サーバ装置12で提供される情報記憶手段14の各種記憶情報を閲覧や取得等することができるようになっており、サーバ装置12で提供される各種情報をネットワーク通信網38を通じて共有することにより全体としてクラウドコンピューティングを構成している。
更にまた、サーバ装置12やユーザ用クライアント装置18,アドバイザ用クライアント装置26には、インターネット上でE−Mail等を利用してサーバ装置12の情報記憶手段14に記憶されているような各種情報を個別的に送受信し得るように適当なソフトウェアが導入される。更に、これら各装置12,18,26には、必要に応じて、送受信信号を暗号化および復号化するためのソフトウェアが導入される等して、セキュリティ対策が施される。
また、サポート主体10(サーバ装置12)は、基本的に単一のものとして構成されてサポートサービスを統一的に提供することとなるが、ユーザ16(ユーザ用クライアント装置18)および販売店24(アドバイザ用クライアント装置26)は、何れも多数設定される。尤も、サーバ装置12は、必要に応じて、負荷分散装置等を介して相互にネットワーク接続されて要求される処理を協働して分散処理する複数台のコンピュータや情報記憶手段14等で構成されていても良い。
また、販売店24は、コンタクトレンズ20に関して十分な知識や経験,判断力等を備えた者であって、オプティシャンなどの専門的アドバイザを擁することが望ましい。更に、販売店24は、商品提供先であるユーザ16が簡便に利用できるように、ユーザ16の居住分布等を考慮して、サポート主体10によるサービスエリアの全体に散在するように設定されることが望ましい。
更にまた、本実施形態における販売店24は、例えば販売店に並設されてユーザ16の眼科診察や診断を行なう眼科医を含んでいても良い。その場合に、かかる眼科医は、アドバイザ用クライアント装置26を利用してネットワーク通信網38にアクセス可能とされて、各種情報の送受信が可能とされる。現実的には、少なくとも外観上は眼科医を含んで販売店24が設置されて、コンタクトレンズ20をユーザ16に提供するに際して、眼科医と販売店が一体的に機能している場合が多く、アドバイザ用クライアント装置26が眼科医所有のものや眼科医利用可能なものとして構成されていても良い。
また、本実施形態のサポートシステムは、会員ユーザ制度を採用し、予め会員登録されたユーザ16だけを対象としてサービス提供することが望ましい。会員制度を採用して各ユーザ16の氏名や住所,コンタクトレンズ使用履歴などの個人情報(識別情報)等を予め取得して情報記憶手段14に記憶させておくことにより、各ユーザ16毎の情報を精度良く且つ効率的に収集して活用することができると共に、各ユーザ16へのサービスの提供を速やかに処理し、且つ管理も容易に行うことが可能となる。
なお、各ユーザ16は、会員であるためにサポート主体10に対して一定の会費の支払い義務を負うことが望ましい。尤も、ユーザ16にサポートを提供するためにサポート主体10において必要な経費を、例えばユーザ16に販売されるコンタクトレンズ代金に含ませること等によって、見掛け上は本実施形態のサポートシステムにおいて会費の支払いを不要とすることも可能である。また、会員登録に際してのユーザ16の支払能力の審査や定期的な代金の徴収等といった労力負担を、サポート主体10が回避するために、クレジットカード会社を利用することも可能である。
また、サーバ装置12によって利用される情報記憶手段14は、狭義のデータベースの他、RAMやCD−R,CD−RW,DVD−R,DVD−RAM,MO,MD,PD,HD等の適当な記憶媒体を備えたコンピュータ管理可能な各種の記憶装置によって構成され得る。
更にまた、ユーザ用クライアント装置18によって利用されるレンズ画像信号取得手段22は、CCD等を用いたカメラで構成されていても良く、好適にはユーザ用クライアント装置18を構成する携帯型情報端末に付属するカメラが用いられる。より好適には、かかるレンズ画像信号取得手段22において、コンタクトレンズ20を安定して保持せしめるレンズ保持部材と、画像信号を取得する際にコンタクトレンズ20に光を照射する光源44,52(後述)とを備えたレンズ撮影具42,54(後述)が、併せて用いられる。
具体的には、例えば図2(a)に示されているように、浅底で上方に開口するレンズ収容凹所40を備えたレンズ撮影具42が採用され得る。このレンズ撮影具42の内部には、LED等の適当な光源44が装備されており、レンズ収容凹所40の底壁部分を下方から照射するようになっている。また、レンズ収容凹所40の底壁部分は透明とされており、光源44からの放射光がレンズ収容凹所40に収容されたコンタクトレンズ20に対して照射されるようになっている。
なお、レンズ画像信号取得手段22による撮像時にコンタクトレンズ20を安定した形状に保持するために、レンズ収容凹所40には、透明なレンズ保存液が収容されて、コンタクトレンズ20がレンズ保存液に浸漬された状態で、レンズ収容凹所40の底部に位置決めされることが望ましい。また、レンズ撮影具42は、小型で携帯可能とされることが望ましく、例えばストラップ構造をもってスマートフォン等の携帯型情報端末に付属させておくことも有効である。更に、光源44における発光エネルギーは、ボタン電池等をレンズ撮影具42に内蔵することも可能であるが、携帯型情報端末の内蔵電源を利用しても良い。
また、図2(b)に示されているように、レンズ収容凹所50の底壁部分に有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子の膜状成形体からなる光源52を装着したレンズ撮影具54も、採用可能である。このようにレンズ収容凹所50の底壁を広い領域で覆うように面発光する有機ELを光源52として採用することにより、コンタクトレンズ20の全体を略一定の照度で効率的に照明することが可能となり、照明の偏在による測定不良の問題が回避され得る。なお、かかるレンズ撮影具54も、上述のレンズ撮影具42と同様、レンズ収容凹所50の底壁部分が透明とされて、レンズ保存液に浸漬せしめた状態でコンタクトレンズ20を保持し得るようになっていると共に、必要に応じて電源が装備される。
そして、このような光源44,52を備えたレンズ撮影具42,54を利用してレンズ画像信号取得手段22でコンタクトレンズ20を撮像することでコンタクトレンズ20の画像信号が取得される。このようにして取得された画像信号は、コンタクトレンズ20に付着した汚れなどの程度によって光源44,52からの透過光の状態が異なることから、かかる画像信号に基づいてコンタクトレンズ20の汚れ等の状態を判断することが可能とされる。
具体的には、取得した画像信号における光強度の部分的な相違に基づいて汚れの付着の程度や位置の情報を得ることが出来る。また、かかる画像信号を、周波数分析することにより、色(波長)の相違に基づいて、付着した汚れの種類を推定することができる。更に、画像信号によるコンタクトレンズ20外観の観察に基づいて、傷や欠け、割れなどの損傷の有無を確認することができる。
特に本実施形態では、ユーザ用クライアント装置18に画像簡易解析用ソフトウェアが導入されて、レンズ汚れ表示手段が構成されている。そして、ユーザ用クライアント装置18自体が有する演算処理装置により、レンズ画像信号取得手段22を用いて取得した画像信号を簡易解析することによって、ユーザクライアント装置18のモニタ上にコンタクトレンズ20の状態が可視的に判りやすく表示されるようになっている。かかる画像簡易解析用ソフトウェアは、例えばコンタクトレンズ20上で光の透過率が相対的に低い領域を着色して判りやすく表示したり、透過光の波長域に応じて異なる着色を施して表示したりするものの他、単に取得したコンタクトレンズ20の画像を拡大することにより汚れや損傷などを判りやすく表示するもの等であっても良い。
このようなレンズ汚れ表示手段を採用することにより、ユーザ16は、画像信号の取得後に即座にコンタクトレンズ20の状態を目視確認することが可能となる。その結果、画像信号が正しく取得されたか否かを確認できるだけでなく、ユーザ16の楽しみの増大による画像信号取得の促進効果も期待できる。
一方、ユーザ用クライアント装置18を用いて、ユーザ16自身の操作で取得された上述の画像信号は、ユーザ用クライアント装置18に設けられたレンズ画像信号送信手段により、ユーザ用クライアント装置18からネットワーク通信網38を通じてサーバ装置12に送信される。その際、会員制ユーザ16に予め設定されたユーザ情報も、併せて送信される。このユーザ情報は、ユーザ16を特定できるものが採用され得、例えば氏名や生年月日、会員番号、ユーザID等が選択的に又は必要に応じて組み合わされて用いられる。この送信されたユーザ情報に基づいて、サーバ装置12は、情報記憶手段14に記憶された情報から、当該画像信号を送信したユーザ16を特定することができるようになっている。
また、ユーザ用クライアント装置18から画像信号を受信したサーバ装置12は、かかる画像信号を特定のユーザ16と関連付けて情報記憶手段14に記憶すると共に、この画像信号に基づいて汚れ等の詳細な解析処理を行う。かかる解析処理は、ユーザ用クライアント装置18が実行する画像簡易解析よりも精度の高いものであり、具体的には、例えば透過光の波長域や波長分布などのより詳細な解析結果に基づいて付着している汚れの種類を特定すること等が可能である。また、照明光の透過率に基づいて汚れの程度まで求めたり、ピクセル単位で透過光の分布を解析することにより汚れや損傷の位置や大きさを求めたりすることも可能である。
そして、このようにして求められた詳細な解析結果は、レンズ状態評価情報として、サーバ装置12の情報記憶手段14に記憶されると共に、サーバ装置12に設けられたレンズ状態評価情報送信手段により、サーバ装置12からネットワーク通信網38を通じてユーザ用クライアント装置18へ送信される。ユーザ用クライアント装置18では、受信したレンズ状態評価情報を画面表示することで、ユーザ16の利用に供される。かかるレンズ状態評価情報は、例えば汚れの種類や程度等の情報を数値やグラフなどで画面表示しても良いが、好適には、例えば図4に示されているように、コンタクトレンズ20上に汚れの付着状態を目視可能に着色等して判りやすくビジュアル化した画像として表示される。その際、汚れの種類や程度に応じて、コンタクトレンズ20上の着色領域の色や濃度を異ならせて一層判りやすく表示することが望ましい。
さらに、画像信号の解析結果として、レンズ状態評価情報のビジュアル化に加えて、より専門的な知識に基づくアドバイス情報をユーザ16に提供することも可能である。例えば、ユーザ用クライアント装置18からサーバ装置12が受信した画像信号や、かかる画像信号に基づいてサーバ装置12での演算処理等で得られた解析結果情報などを、サーバ装置12からネットワーク通信網38を通じてアドバイザ用クライアント装置26に送信する。これにより、アドバイザ用クライアント装置26を利用するオプティシャンや眼科医などの専門家が、上記の画像信号や解析結果情報を用いて専門的知識に基づくレンズの診断やユーザ16の診断を行うことが可能となる。
そして、このようにして得られた専門家による診断等のアドバイザ情報を、アドバイザ用クライアント装置26からネットワーク通信網38を通じてサーバ装置12に送信し、情報記憶手段14に記憶する。また、かかるアドバイザ情報を、ネットワーク通信網38を通じてユーザ用クライアント装置18に送信することにより、ユーザ16は、わざわざ専門家が所属する販売店24に赴く必要がなく、自身が使用しているコンタクトレンズ20の画像情報に基づいて、専門家による信頼性の高いアドバイス情報を効率的に取得することが出来るのである。
ここにおいて、本実施形態のサポートシステムで用いられるコンタクトレンズ20には、図5に示されているように、当該コンタクトレンズ20の固有情報を外部から取得可能に表示したレンズ固有情報表示手段62が設けられている。本実施形態では、かかるレンズ固有情報表示手段62が、光学的に認識可能な態様で表示された文字などによって構成されている。具体的には、コンタクトレンズ20は、正面視において中央部分に円形状の光学領域64を有していると共に、外周部分に円環形状の周辺部66を有している。そして、光学特性に影響を及ぼさない周辺部66において、「ABC」という商品名と、「−3.00」という光学特性と、「1230」という製造ロット番号が、レンズ固有情報表示手段62として表示されている。
なお、これらの表示は、例えば成形時に凹凸形成する他、フィルム印刷などの印刷技術やレーザ照射による刻設技術などの公知の技術を利用して行うことが可能である。また、表示内容は、上述の具体例に限定されるものでなく、製造工場や製造年月日、販売地、コンタクトレンズ種類などを特定できる情報なども、適宜に採用可能である。
このようにコンタクトレンズ20において光学的に取得可能に表示されたコンタクトレンズ20の固有情報は、前述の如きユーザ16によるコンタクトレンズ20の画像信号の取得の際、ユーザ用クライアント装置18に設けられたレンズ固有情報取得手段により、汚れや損傷などの情報と同時に画像信号として一体的に取り込まれて取得されることとなる。そして、かかる画像信号が、レンズ画像信号送信手段により、ユーザ用クライアント装置18からネットワーク通信網38を通じてサーバ装置12に送信されるのと併せて、レンズ固有情報表示手段62で表されたコンタクトレンズ20の固有情報も、ユーザ用クライアント装置18に設けられたレンズ固有情報送信手段によりサーバ装置12に送信される。
これにより、サポート主体10は、サーバ装置12が受信した画像信号に基づいて、ユーザ16が使用しているコンタクトレンズ20の固有情報を取得することが出来るのであり、かかる固有情報に基づいて、コンタクトレンズ20の商品名や製造ロット番号などを知得することが可能となる。そして、このようにして得られたコンタクトレンズ20の固有情報は、サーバ装置12の情報記憶手段14に記憶される。
従って、本実施形態のサポートシステムを用いたサポート方法によれば、会員登録された各ユーザ16が、自分の使用しているコンタクトレンズ20の状態を知りたいという欲求や、汚れ等がビジュアル化されて表示されたものを見る楽しみから、積極的且つ自発的に画像信号を取得することとなる。これにより、サポート主体10は、各ユーザ16が使用しているコンタクトレンズ20の画像情報を効率的に取得することが可能となり、多くの使用中のコンタクトレンズ20の情報を効率的に収集することができると共に、各ユーザ16もネットワーク通信網38を利用して使用中のコンタクトレンズ20に関する情報を速やかに得ることが可能となる。
特に本実施形態では、コンタクトレンズ20として予め固有情報を付したものを採用し、上述の如き画像情報を用いたコンタクトレンズ20のサポートシステムと組み合わせたことにより、ユーザ16が上述のサービスを受けるに際して、コンタクトレンズ20に付された固有情報が自動的に取得されてサポート主体12に提供されることとなる。それ故、ユーザ16には、コンタクトレンズ20の汚れ等の状態を確認するためのサービスを受ける他に大きな労力や時間の追加負担を強いることなく、コンタクトレンズ20についての固有情報をサポート主体10が取得することが可能になる。
そして、サポート主体10は、取得したコンタクトレンズ20の固有情報に基づいて、市場で実際に使用されているコンタクトレンズ20を特定したり、確認することが可能となり、市場で使用中のコンタクトレンズ20について、それを特定する手段が新たに確立され得るのである。それ故、例えば特定のコンタクトレンズ20に不具合が発見された場合にも、当該コンタクトレンズ20を特定して効率的に回収することも可能となる。また、市場に提供された後のコンタクトレンズ20の流通状況や使用状態、汚れ付着状態を、多くの取得情報に基づいて高い信頼性をもって把握することも可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良などを加えた態様で実施可能である。
例えば、コンタクトレンズ20の画像信号をレンズ画像信号取得手段22により取得する際の照明用光源として、前述の如きコンタクトレンズ20に対して裏側から透過光を照射する光源44,52に代えて又は加えて、コンタクトレンズ20に対して表側から反射光を照射する光源を採用しても良い。また、透過光の照明光源と反射光の照明光源とを併せて用いる場合には、各別に画像信号を取得することも可能であり、それら透過光と反射光の両画像信号を用いて、一層高精度の解析を行うことも可能となる。
また、かかる照明用光源として、可視光線の他、特定波長の光線を採用することも可能である。例えば、前記特許文献1に記載のように、レンズ汚れの主たる原因である蛋白質や脂質等に対する励起光となる波長光を照射し得る照射手段を備えた光源を採用することが可能である。その場合、レンズ画像信号取得手段22が、励起光によって発する蛍光を画像信号(蛍光にて形成されるレンズ蛍光像)から検知することが可能な検出手段を備えており、それにより、波長の相違に基づいて汚れの種類を一層高精度に判別することが可能となる。
さらに、レンズ固有情報表示手段62を構成する表記は、前記実施形態に例示の文字に限定されるものでなく、例えば公知の一次元又は多次元のバーコードによる表記なども採用可能であり、それによって簡単な表記で一層多くの情報を表示することが可能となる。
また、レンズ固有情報表示手段62を、光学的に読み取り可能な表記に代えて、非光学的に読み取り可能な表示で構成することも可能である。例えばRFID(電波固体識別)の技術を利用するICタグをコンタクトレンズ20の周辺部66に固着してレンズ固有情報表示手段62を構成することも可能である。これにより更に多くの情報を表示することが可能になる。特にRFタグを採用することにより、コンタクトレンズ20の製造後でも必要な時点で情報の追記や更新を行うことが可能になることから、例えば販売時に各販売店の識別表記を追記することでトレーサビリティの情報向上を図ったり、販売日や同時販売数を追記したり、ユーザ16が画像信号を取得するのと同時に当該画像信号の取得日を自動的に追記させること等も可能になる。
更にまた、コンタクトレンズ20に関する情報は、コンタクトレンズ20に付されたレンズ固有情報表示手段62の他、コンタクトレンズ20の個別包装(一次包装)や複数の一次包装を収容した外箱(二次包装)においてより詳細な情報を付して流通せしめられる。それ故、これら一次包装や二次包装に付された情報も、併せて利用することも可能である。具体的には、例えばコンタクトレンズユーザ16に対して、コンタクトレンズ20の購入時等において包装に表示された情報(バーコードや記号等)を取得させて記憶させておき、レンズ画像信号を送信する際に併せて当該包装の表示情報を送信することを奨励等することができる。その際、ユーザ用クライアント装置18において、包装の表示情報を予め記憶装置の特定フォルダに記憶させておいて、レンズ画像信号の送信時には、かかる特定フォルダの画像を検索することにより、包装の表示情報を併せて送信させるアプリケーションプログラムなどを用いて、コンタクトレンズユーザ16の労力の軽減を図ることも可能である。また、レンズ画像信号と併せて包装の表示情報を送信したコンタクトレンズユーザ16には、レンズ画像信号だけを送信した場合には提供されない特別な評価情報やアドバイス情報を提供したり商品交換用等のポイントを付与する等の利益を与えることで、包装の表示情報の取得率向上を図っても良い。そして、このように包装の表示情報を取得し、かかる情報をレンズ画像信号と対応付けてサーバ装置12の情報記憶手段14に記憶させることにより、例えば何等かの問題が発生したコンタクトレンズ20の製造情報や関連情報などの一層詳細な情報をより正確に且つ速やかに把握して、ユーザサポートの向上を図ること等も可能になる。
更にまた、例えば図6に示されているように、コンタクトレンズメーカ等のレンズ提供者68の利用に供されるレンズ提供者用クライアント装置69を採用し、かかるレンズ提供者用クライアント装置69をネットワーク通信網38を通じてサーバ装置12に接続して情報送受信可能に構成しても良い。
レンズ提供者用クライアント装置69を採用することにより、サーバ装置12の情報記憶手段14に記憶された市場でのコンタクトレンズ20における汚れの付着情報などをコンタクトレンズメーカ等が参照して、コンタクトレンズ20やケア用品の改善等に役立てることが可能になる。
また、レンズ提供者用クライアント装置69において、基準画像信号取得手段70を採用することにより、所蔵する未使用のコンタクトレンズ72における画像情報を取得して、これを基準画像信号としてサーバ装置12に提供することも可能である。これにより、前記特許文献1に記載されているように、かかる基準画像信号とユーザ用クライアント装置18で取得される画像信号と対比して、汚れ等の解析精度の向上を図ることも可能となる。
なお、レンズ提供者用クライアント装置69で採用される基準画像信号取得手段70は、ユーザ用クライアント装置18で用いられるのと同様な光源44,52を備えたレンズ撮影具42,54を備えており、ユーザ用クライアント装置18による画像信号の取得と略同じ条件下で基準画像信号を取得できることが望ましい。
また、レンズ提供者68がサポート主体10となることも可能であり、その場合には、サーバ装置12がレンズ提供者用クライアント装置69としても機能するように構成可能である。
さらに、コンタクトレンズ20の画像として動画(連続静止画による疑似的な動画を含む)を採用し、前記実施形態と同様な構成において、静止画に代えて又は静止画と併せて動画を画像信号として採用し、ユーザ用クライアント装置18からサーバ装置12に送信することも可能である。これにより、例えばコンタクトレンズ20を装用したユーザ16の眼球を正面から一定時間に亘って動画で撮影した画像信号に基づいて、瞬目をした際のコンタクトレンズ20の動き(移動距離や安定状態となるまでの時間等)等に基づいて、コンタクトレンズ20の適合性や涙液状態等を解析するサービスも提供することが可能となる。
また、例えば、サポート主体10における画像信号の解析の結果、当該コンタクトレンズ20を直ちに廃棄して交換すべきと認定された場合等に、サーバ装置12からユーザ用クライアント装置18へ警告の報知信号を発信して、ユーザ16に対して速やかな対応を求めることも可能である。
更にまた、このような報知信号送信手段を採用することにより、例えばレンズ提供者68からサポート主体10へ緊急連絡があって、既に市場に出回っているコンタクトレンズ20のなかから特定種類のものを早期回収する必要があるような場合でも、サーバ装置12の情報記憶手段14に記憶された情報に基づいて、該当するユーザ16に対して緊急の報知信号を送信して効率的に且つ速やかに対応することも可能となる。
さらに、サーバ装置12には、情報記憶手段14の記憶情報をデータベース化して取り扱うファイリング用のソフトウェアが導入されることが望ましい。これにより、情報記憶手段14に記憶されたコンタクトレンズ20の固有情報に基づいて、特定の固有情報を持つコンタクトレンズ20、言い換えると、特定の条件に該当するコンタクトレンズ20及び/又はそれを使用しているユーザ16を抽出する特定レンズ抽出手段が構成され得る。そして、例えば上述のように特定のコンタクトレンズ20を使用しているユーザ16だけを抽出して報知信号を送信するに際して、かかる抽出処理を速やかに行うことが出来ると共に、特定のコンタクトレンズ20を使用しているユーザ16だけを抽出して、当該ユーザ16だけに好適なケア用品を紹介するなどのサービスも効率的に提供することが可能となる。
なお、前記実施形態では、アドバイザ用クライアント装置26やレンズ提供者用クライアント装置69を含んでシステムが構成されていたが、その他、例えば大学などの研究者の使用に供される研究者用クライアント装置や、コンタクトレンズ20を総合的に取り扱う商社等のレンズ流通業者の使用に供される流通業者用クライアント装置なども、必要に応じて適宜に採用されてネットワーク通信網38に接続されることにより、サーバ装置12にアクセスして各種情報を利用可能とすることが可能である。一方、アドバイザ用クライアント装置26やレンズ提供者用クライアント装置69を含むそれら各種のクライアント装置は、本発明において必須でなく、例えばサーバ装置12と多数のユーザ用クライアント装置18とをネットワーク通信網38で接続したネットワークコンピューティングシステムとして本発明を構成することも可能である。