以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[第1の実施形態]
まず、本発明に係る画像形成装置としてのプリンタについて説明し、次いで、現像装置としての画像形成ユニットについて説明する。
図1は、画像形成装置としてのプリンタ100の構成を説明するための概略図である。プリンタ100は電子写真方式により媒体としての用紙P上に画像を形成する画像形成装置である。このような機能を実現するプリンタ100は、給紙カセット24を始点とし、排出トレイ31を終点とする媒体搬送経路Sに沿って、第1入口センサ12L、第1搬送ローラ14R,14P、第2入口センサ12U、第2搬送ローラ15R,15P、書込みセンサ13、搬送ベルト18、定着器28、排出センサ21、及び排出ローラ22,23を備える。
そして、搬送ベルト18の上面部には、媒体搬送経路S上流側から順に、ブラック(K)の現像剤像を現像する画像形成ユニット2K、イエロー(Y)の現像剤像を現像する画像形成ユニット2Y、マゼンタ(M)の現像剤像を現像する画像形成ユニット2M、シアン(C)の現像剤像を現像する画像形成ユニット2Cがプリンタ100本体から着脱自在に装着されている。また、後述する各画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cが備える像担持体としての感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの直上には、入力された画像情報に基づく光を感光体ドラム表面に照射して潜像を形成させるLED(Light Emitting Diode)ヘッド3K,3Y,3M,3Cがそれぞれ配設されている。また、搬送ベルト18の上面部を介した感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cと対峙する位置には、感光体ドラム4K,4Y,4M,4C表面において現像された現像剤像を用紙Pに転写させる転写ローラ10K,10Y,10M,10Cが配設されている。
給紙カセット24は、内部に用紙Pを積層した状態で収納し、プリンタ100下部に着脱自在に装着されている。給紙カセット24は、分離用舌片等を併用して用紙Pを分離繰り出すための給紙ローラ11を、後述する給紙モータ811から伝達された駆動力に基づき回転させることで、収納された用紙Pをその最上部から1枚ずつ媒体搬送経路に繰り出す。
第1入口センサ12L、及び第2入口センサ12Uは、用紙Pがセンサ上を通過したか否かの情報を後述する画像形成制御部700に対して出力する部材であり、この場合、機械的な動きで媒体を検出できるセンサや、光学的な光の反射や透過を利用したセンサ等を用いることができる。
第1搬送ローラ14R,14P、及び第2搬送ローラ15R,15Pは、それぞれ互いに圧接した状態で配設され、後述する搬送モータ812から伝達された駆動力により所定の方向に回転し、給紙ローラ11により給紙された用紙Pの斜行を矯正しながら、画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cに搬送する。
書込みセンサ13は、用紙Pがセンサ上を通過したか否かの情報を画像形成制御部700に対して出力する部材である。画像形成制御部700は、書込みセンサ13から出力された情報に基づき画像形成動作を開始させる。書込みセンサ13としては、機械的な動きで媒体を検出できるセンサや、光学的な光の反射や透過を利用したセンサ等を用いることができる。
搬送ベルト18は、用紙Pを静電吸着して搬送する無端のベルト部材であり、後述する搬送ベルトモータ801から伝達された駆動力により回転するベルト駆動ローラ17と、当該ベルト駆動ローラ17と対をなして配設され、搬送ベルト18の張りを一定に保つためにスプリングで支持されたベルト従動ローラ16とにより張架されいている。
定着器28は、画像形成ユニット2K,2Y,2M,2C以降の媒体搬送経路S下流側に配置されており、定着ローラ19、定着バックアップローラ20、及びサーミスタ792等を備える。定着ローラ19は、例えば、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被服することによって形成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等のヒータが設けられている。定着バックアップローラ20は、例えば、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAを被覆した構成であり、バネから付与された加圧力により定着ローラ19との間にニップ部が形成されるように配設されている。サーミスタ792は、定着ローラ19の表面温度検出手段であり、定着ローラ19の近傍に非接触で配設されている。サーミスタ792が検出した定着ローラ19の表面温度の検出結果に基づき、上記ヒータを制御することで、定着ローラ19の表面温度は所定の温度に維持される。画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cにおいて現像された現像剤像が転写された用紙Pが所定の温度に維持された定着ローラ19と定着バックアップローラ20とから形成されるニップ部を通過することにより、用紙P上の現像剤に熱、及び圧力が付与され、当該現像剤は溶融し、現像剤像が定着される。
排出センサ21は、用紙Pがセンサ上を通過したか否かの情報を後述する画像形成制御部700に対して出力する部材である。画像形成制御部700は、排出センサ21から出力された情報に基づき現像剤像が定着された用紙Pの排出動作を開始させる。排出センサ21としては、機械的な動きで媒体を検出できるセンサや、光学的な光の反射や透過を利用したセンサ等を用いることができる。
排出ローラ22,23は、定着器28を通過した用紙Pを挟持搬送し、プリンタ100の外筺を利用して形成された排出トレイ31に用紙Pを排出する。
画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cは、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各現像剤色に対応した現像剤像を現像する。このような機能を有する画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cはそれぞれ、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cと、帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cと、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cと、現像ブレード8K,8Y,8M,8Cと、トナー供給用スポンジローラ9K,9Y,9M,9Cと、クリーニングブレード25K,25Y,25M,25Cとを備えた現像部40K,40Y,40M,40Cと、現像部40K,40Y,40M,40Cに対して着脱自在に構成されたトナータンク7K,7Y,7M,7Cとを有する。
感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cは、導電性支持体と光導電層とによって構成され、例えば、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属シャフトに光導電層としての電荷発生層、及び電荷輸送層が順次積層されて構成された有機感光体である。そして、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cは回転しながら、LEDヘッド3K,3Y,3M,3Cから照射された照射光に基づく潜像を形成する。
帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cは、例えば、ステンレス等の金属シャフトと半導電性エピクロロヒドリンゴムとによって構成されている。帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cは、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cに対して所定の圧力をもって当接しており、図示せぬ高圧電源から印加された印加電圧に基づき、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面を一様均一に帯電させる。
現像ローラ6K,6Y,6M,6Cは、例えば、ステンレス等の金属シャフトの外周にカーボンブラックを分散させたウレタンゴムを配設し、その表面はイソシアネート処理が施されている。そして、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cは、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に圧接するように配設され、感光体ドラム4K,4Y,4M,4C上に形成された潜像に回転しながら現像剤を供給し、現像剤像を現像する。
トナータンク7K,7Y,7M,7Cは、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応した現像剤としてのトナーを貯蔵する空間を有し、トナー供給用スポンジローラ9K,9Y,9M,9Cに各現像剤を供給する。
現像ブレード8K,8Y,8M,8Cは、例えば、ばね性を有する厚さ0.1mm程度のSUSにより形成されており、その一端側先端部は外側に向けてL字型に折り曲げられている。そして、該一端側先端部は、後述する画像形成動作時には、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cに対して所定の圧接力を持って当接するように配設されている。
トナー供給用スポンジローラ9K,9Y,9M,9Cは、例えば、ステンレス等の金属シャフトの外周に半導電性発泡シリコーンスポンジ層が配設されている。トナー供給用スポンジローラ9K,9Y,9M,9Cは、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cに対して所定の圧力をもって当接しており、トナータンク7K,7Y,7M,7Cから供給された現像剤を現像ローラ6K,6Y,6M,6Cに回転搬送する。
クリーニングブレード25K,25Y,25M,25Cは、例えば、ウレタン製のゴム部材であり、その一端は感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面の所定位置に当接する位置に配設されている。クリーニングブレード25K,25Y,25M,25Cは、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に残留する現像剤を掻き取ることで感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面をクリーニングする。
なお、本実施形態に係る画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cにおける現像部40K,40Y,40M,40Cの、より詳細な構成については後ほど説明する。
LEDヘッド3K、3Y、3M、3Cは、LED素子とレンズアレイとを有し、後述するヘッド制御部750による制御に基づき該LED素子から照射される照射光がそれぞれの感光体ドラム4K,4Y,4M,4C表面で結像する位置に配設されている。
転写ローラ10K,10Y,10M,10Cは、転写ベルト18の上面部を介した感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cと対峙するそれぞれの位置に配置され、図示せぬ高圧電源から印加された所定の電圧に基づき感光体ドラム4K,4Y,4M,4C表面に現像された現像剤像を用紙Pに転写させる。
また、図1には図示されていないが、プリンタ100は、上記構成以外にも、最小媒体間隔以下の距離に配設された媒体搬送経路S上のローラ、媒体搬送経路Sの経路切り替え用のソレノイド等も備える。そして、プリンタ100は、主に給紙ローラ11に回転駆動力を与える給紙モータ812、第1搬送ローラ14R,14P、及び第2搬送ローラ15R,15Pに回転駆動力を与える搬送モータ812、ベルト駆動ローラ17に回転駆動力を与える搬送ベルトモータ801、定着ローラ19、定着バックアップローラ20、及び排出ローラ22,23に回転駆動力を与える定着モータ793、画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cの各ローラに回転駆動力を与える、それぞれ独立したKモータ781, Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784を備える。
次に、本実施形態に係る制御機構について図2の機能ブロック図を用いて説明する。
画像形成制御部700は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート、タイマ等を備え、上位装置から画像情報、制御コマンドを受信してプリンタ100全体を統括的に制御する。
操作部701は、プリンタ100の状態を表示するための、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置や、ユーザからの指示の入力を受付けるための、例えば、タッチパネル等の入力装置を備える。
各種センサ702は、用紙Pの搬送位置を検出するための複数のセンサ(第1入口センサ12L、第2入口センサ12U、書込みセンサ13、排出センサ21)を有し、各センサからの情報は、画像形成制御部700に出力される。
I/F制御部710は、上位装置へプリンタ情報を送信するとともに、上位装置から受信した制御コマンドを解析して、共に受信した画像情報等を処理する。
受信メモリ720は、上位装置から受信した画像情報をI/F制御部710による制御に基づき、各現像色毎に一時的に格納する。
画像データ編集メモリ730は、I/F制御部710を介して上位装置から受信した画像情報を画像データとして編集するためのメモリである。画像データ編集メモリ730は、受信メモリ720に一時的に格納された各色の画像情報を受け取り、受け取った画像情報をヘッド制御部750へ出力するための画像データとして編集処理する。
帯電制御部740は、画像形成制御部700の指示に基づき、帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cに印加する電圧を制御する。
ヘッド制御部750は、画像形成制御部700の指示に基づき、画像データ編集メモリ730から出力された画像データに対応する照射光を感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に照射するようLEDヘッド3K,3Y,3M,3Cを制御する。
現像電圧制御部760は、画像形成制御部700の指示に基づき、LEDヘッド3K,3Y,3M,3Cから照射された照射光により形成された感光体ドラム4K,4Y,4M,4C表面上の潜像に現像剤を付着させるために現像ローラ6K,6Y,6M,6Cに印加される電圧を制御する。
転写電圧制御部770は、画像形成制御部700の指示に基づき、感光体ドラム4K,4Y,4M,4C表面で現像された現像剤像を用紙Pに転写するために転写ローラ10K,10Y,10M,10Cに印加される電圧を制御する。
画像形成駆動制御部780は、画像形成制御部700の指示に基づき、Kモータ781,Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784を制御して、各感光体ドラム、帯電ローラ、現像ローラ等の回転を制御する。
定着制御部790は、画像形成制御部700の指示に基づき、用紙Pに転写された現像剤像を定着させる定着器28を制御する。具体的には、定着制御部790は、定着ローラ19に内蔵されたヒータに印加される電圧の制御を行う。又、定着制御部790は、サーミスタ792から出力された検出温度に基づき、ヒータのオン・オフを制御することで、定着ローラ19の表面温度は所定の温度に維持する。さらに、定着制御部790は、定着ローラ19の表面が所定温度に達したときに、定着モータ793の駆動を制御して、定着ローラ19を回転させる。
搬送ベルト制御部800は、画像形成制御部700の指示に基づき、搬送ベルトモータ811の駆動を制御し、ベルト駆動ローラ17を回転させることで搬送ベルト18を駆動させる。
給紙・搬送駆動制御部810は、画像形成制御部700の指示に基づき、給紙モータ811、及び搬送モータ812の駆動を制御し、給紙ローラ11、第1搬送ローラ14R,14P、及び第2搬送ローラ15R,15P等を回転させることで、用紙Pを搬送ベルト18の位置まで給紙・搬送させる。
次に、本実施形態に係る画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cの現像部40K,40Y,40M,40Cの構成について、図3−1、図3−2、又は図3−3を用いてより詳細に説明する。図3−1は、本実施形態に係る現像部40K,40Y,40M,40Cの底面斜視図であり、図3−2は、本実施形態に係る当接部の斜視図であり、図3−3は、本実施形態に係る当接部の底面図、及びF−F断面図である。なお、現像部40K,40Y,40M,40Cの構成は、全て同一である。したがっって、以下の説明では、符号のK、Y、M、Cを除いて数字のみの符合を付して説明する。
現像部40は、感光体ドラム4、帯電ローラ5、現像ローラ6、現像ブレード8、及びトナー供給スポンジローラ9、及びクリーニングブレード26等から構成され、これらの部材は、フレームベース41、フレームサイド42、及びフレームサイド43により図示せぬ軸にて固定されている。
そして、フレームベース41には、用紙P先端を感光体ドラム4の表面から分離させるための分離部材44が接着剤等により接着されている。
分離部材44は、厚さが0.2mm程度のPETフィルム材等の可撓性材質からなり、感光体ドラム4の表面に当接する複数の当接部45を有する。当接部45は、分離部材44の曲げ形状によって形成され、その先端部46の角度θ1は45°≦θ1≦135°(好ましくは45°≦θ1≦90°)となるように形成されている。
そして、当接部45には、その先端部46から媒体搬送方向下流側にかけて転写ローラ10側に向かって稜線部47A,47Bが2つの曲げ位置48A,48Bまで同一形状にて形成されている。また、図4−1に示すように、稜線部47A,47Bと媒体搬送方向とのなす角θ2は、感光体ドラム4から離れる方向に所定の角度をもって形成される。具体的には、角θ2は、10°≦θ2≦70°となるように形成することができ、感光体ドラム4の中心軸と先端部46を結ぶ補助線と媒体搬送方向とのなす角をθ3とすると、θ2とθ3との関係は、θ2<θ3となるように形成されている。更に、当接部45には、稜線部47A,47Bにおける曲げ位置48A,48Bの稜線位置50A,50Bから媒体搬送方向下流側に向かって略平行に稜線部51A,51Bが形成されている。
次に、上記構成を有するプリンタ100の画像形成プロセスについて説明する。
画像形成制御部700は、I/F制御部710を介して上位装置から送信された制御コマンド、及び画像情報を受信する。そして、画像形成制御部700は、上位装置から印刷指示を受けると、給紙・搬送駆動制御部810に所定の媒体搬送速度を指示し、用紙カセット24から給紙ローラ11を回転させて用紙Pを1枚繰り出させる。
媒体搬送経路S途中に設けられた第1入口センサ12Lは、用紙Pの搬送位置を検出し、その検出結果を画像形成制御部700に出力する。なお、第1入口センサ12Lは、用紙Pの給紙が正常に行われなかった場合に再度給紙動作を行わせる目的や、画像形成制御部700が第1搬送ローラ14R,14Pの駆動タイミングを制御することによって、用紙Pの先端を第1搬送ローラ14R,14Pに突き当てて用紙Pの斜行を矯正するために設けられている。
第1搬送ローラ14R,14Pまで搬送された用紙Pは、第2搬送ローラ15R,15Pによって画像形成ユニット2Kまで搬送される。
ところで、画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cが備える各ローラは、画像形成駆動制御部780による制御の下、用紙Pの給紙開始と略同時に回転を開始している。このとき、帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cには、画像形成制御部700による指示に基づき、帯電電圧制御部740による制御によって負電圧(約−1000V)が印加され、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面を一様均一に帯電させている。
そして、トナータンク7K,7Y,7M,7Cから印刷に用いられる各現像剤がトナー供給用スポンジローラ9K,9Y,9M,9Cを経由して、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cまで供給される。現像ローラ6K,6Y,6M,6Cまで供給された現像剤は、現像ブレード8K,8Y,8M,8Cにより摩擦帯電される。
また、このとき、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの回転開始に伴い、搬送ベルト18もベルト駆動ローラ17の回転により感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの回転速度と同速度で駆動を開始する。
用紙Pは、第2搬送ローラ15R,15Pにより更に搬送され、書込みセンサ13をオンにする。書込みセンサ13による用紙Pの先端の検出から一定時間後、画像形成制御部700は、ヘッド制御部750にLEDヘッド3Kを制御して露光を開始し、感光体ドラム4Kの表面上に潜像を形成するよう指示を与える。
感光体ドラム4Kの表面上に形成された潜像には、現像ローラ6Kから現像剤が付与され、現像剤像が現像される。そして、画像形成制御部700は、用紙Pが、感光体ドラム4Kと転写ローラ10Kとの間で形成されるニップ部に到達したタイミングで、転写ローラ10Kに正の電圧(約+3000V)を印加するよう転写電圧制御部770に指示を与える。
指示を受けた転写電圧制御部770は、図示せぬ高圧電源を制御して、転写ローラ10Kに電圧を印加させ、感光体ドラム4K上の現像剤像を用紙P側に引き寄せて該現像剤像を用紙Pに転写させる。これらの画像形成プロセスは、用紙Pの搬送に伴い、他の画像形成ユニット2Y,2M,2Cにおいても順次行われていく。
画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cにより現像された全ての現像剤像の用紙Pへの転写が終了すると、用紙Pは定着器28において熱、及び圧力が付与され、現像剤像は用紙P上に定着する。現像剤像の定着が終了した後、用紙Pは、ジャム監視兼定着後の媒体長さ検出用の排出センサ21をオンとし、排出ローラ22,23により排出トレイ31に排出される。
次に、図4−1、図4−2、図4−3、及び図4−4を用いて、現像部40の媒体搬送時における動作について説明する。
まず、用紙Pの先端がカールしていない標準の場合について、図4−1を用いて説明する。用紙Pが現像部40の感光体ドラム4と転写ローラ10との間のニップ部位置まで搬送されると、用紙Pの先端は感光体ドラム4と転写ローラ10とのニップ部方向に対して略垂直方向に搬送される。そして、感光体ドラム4と転写ローラ10とによって更に用紙Pが搬送された場合、用紙Pの先端部は感光体ドラムの表面に当接している分離部材44の当接部45(先端部46や、2つの稜線部47A,47B、51A,51B)と接触することない。したがって、更に、感光体ドラム4と転写ローラ10とによって用紙Pが搬送されたとしても、用紙Pの表面に形成された転写画像は汚されることがなく、媒体搬送方向下流側の次の現像部や、定着器28まで用紙Pを搬送させることができる。
次に、用紙Pの先端が感光体ドラム表面側にカールしている場合について、図4−2、図4−3、及び図4−4を用いて説明する。用紙Pが現像部40の感光体ドラム4と転写ローラ10との間のニップ部位置まで搬送されると、先端が感光体ドラム側にカールしている用紙Pは、感光体ドラム表面に沿って搬送される。
そして、感光体ドラム4と転写ローラ10とによって更に用紙Pが搬送された場合、図4−2に示すように、用紙Pの先端が感光体ドラム4の表面に当接している分離部材44の当接部45に接触する。ここで、当接部45は、感光体ドラム4の表面に当接しているため、カールした用紙Pの先端は、当接部45の先端部46によって感光体ドラム4の表面から分離される。なお、分離部材44は厚さ0.2mm程度のPETフィルム等の可撓性材質により形成されているため、用紙Pの先端が折れ曲がったり、引っ掛かったりすることがない。
その後、更に、感光体ドラム4と転写ローラ10とよって用紙Pが搬送されると、図4−3に示すように、用紙Pの先端は、分離部材44の曲げ形状によって形成されている稜線部47A,47Bに沿って搬送される。ここで、用紙Pの先端は感光体ドラム表面側にカールしているため、用紙Pが分離部材44の稜線部47A,47Bと接触している箇所は用紙Pの先端のエッジ部分のみである。そして、分離部材44の2つの稜線部47A,47Bは媒体搬送方向に対して曲げ位置48A,48Bまではθ1の角度にて形成されているため、図3−3に示すように、用紙Pの先端のエッジ部分と稜線部47A,47Bとの接触範囲はL3の距離となる(ここでL3はL3<5mmとなるのが好ましい)。
更に、用紙Pが搬送されると、図4−4に示すように、用紙Pの先端は、そのエッジ部分のみが分離部材44の稜線部51A,51Bと点接触しながら搬送されるため、用紙Pの先端のエッジ部分における接触幅はL3のみとなり、用紙Pの表面に形成された転写画像は汚されることがなく、媒体搬送方向下流側の次の現像部や、定着器28まで用紙Pを搬送させることができる。
なお、第1の実施形態において説明した当接部45は、分離部材44の5回の曲げ形状によって形成されたものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、変形例として、図5−1、図5−2、図5−3、及び図6に示す当接部45'は、分離部材44の3回の曲げ形状によって形成されたものであり、変形例に示す当接部45'を有する分離部材44によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、第1の実施形態とは異なり、用紙Pは、先端のエッジ部分が当接部45'の1つの稜線部と点接触しながら搬送されることとなる。
以上のように、第1の実施形態によれば、用紙の先端がカールしていない標準の用紙を搬送する場合は、用紙の表面が分離部材と接触しないため、用紙Pに形成された転写画像が汚されることがなく、また、用紙の先端がカールしている用紙を搬送する場合であっても、用紙の先端はエッジ部分のみが分離部材の2つの稜線部に接触して搬送されるため、用紙Pに形成された転写画像が汚されることがなく、良好な搬送を行うことができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るプリンタ、現像部の構成は、第1の実施形態で説明したものと略同一である。第2の実施形態においては、第1の実施形態と同一な箇所についてはその説明を省略し、異なる箇所について説明する。
第2の実施形態における分離部材60は、第1の実施形態に係る分離部材44の形状に対して曲げ形状がなく、当接部45が有する稜線部47A,47Bと稜線部51A,51Bを有していない構成となっている。
図7−1、図7−2、及び図7−3は、第2の実施形態に係る現像部の構成を説明する図である。図7−1は、本実施形態に係る現像部の底面斜視図であり、図7−2は、本実施形態に係る当接部の斜視図であり、図3−3は、本実施形態に係る当接部の底面図、及びG−G断面図である。
分離部材60は、厚さが0.2mm程度のPETフィルム材等の可撓性材質からなり、感光体ドラム4の表面に当接する複数の当接部61を有する。当接部61は、その先端部62の角度θ4は45°≦θ4≦135°(好ましくは45°≦θ4≦90°)となるように形成されている。
そして、当接部61は、その先端部62から媒体搬送方向下流側にかけて転写ローラ10側に向かって、三角柱の両端底面部のそれぞれに三角錐を配した、三角錐柱形状の凸部63として形成されている。凸部63には、先端部62の近傍より、三角錐部分の一辺を利用した第1の稜線部としての稜線部64が形成されており、稜線部64と媒体搬送方向とのなす角θ5は、感光体ドラム4から離れる方向に所定の角度をもって形成される。具体的には、角θ5は、10°≦θ2≦70°となるように形成することができ、、感光体ドラム4の中心軸と先端部62を結ぶ補助線と媒体搬送方向とのなす角をθ6とすると、θ5とθ6との関係は、θ5<θ6となるように形成されている。ここで、先端部62の近傍とは、先端部62のA点から稜線部64の開始点65までの距離L4が、L4<1mmの位置であり、L4=0であることが好ましい。更に、凸部63には、稜線部64の稜線部端部たる稜線位置66から媒体搬送方向下流側に向かって、媒体搬送方向と平行に三角柱部分の一辺の直線部分を利用した第2の稜線部としての稜線部67が形成されている。
なお、凸部63は、分離部材60を構成する可撓性材質(PETフィルム材)と一体的に成型してもよく、また、可撓性材質の一部に稜線部を設けた形状として成型しても構わない。また、凸部63として、可撓性材質を押し出して成型したもの、又は可撓性材質に稜線を押し出して成型したものであっても構わない。さらに、これらの稜線(部)は、感光体ドラムとの当接位置近傍に形成されてもよい。なお、凸部63の形態として、三角柱の両端底面部のそれぞれに三角錐を配した形状について説明したが、凸部63の形態は、これに限定されず、先端部62側の三角柱底面部のみに三角錐を有する形状としてもよく、また、該三角錐の形状は、例えば、少し丸みを帯びた形状としても構わない。第1の稜線部としての稜線部64が用紙Pの搬送方向に対して10°<θ5<70°の角度をもって形成され、第2の稜線部としての稜線部67が、稜線部64の稜線位置66から延在し、用紙Pの搬送方向と平行となるように形成されるのならば、凸部63の形状にその制限はない。
次に、図8−1、図8−2、図8−3、及び図8−4を用いて、現像部40の媒体搬送時における動作について説明する。
まず、用紙Pの先端がカールしていない標準の場合について、図8−1を用いて説明する。用紙Pが現像部40の感光体ドラム4と転写ローラ10との間のニップ部位置まで搬送されると、用紙Pの先端は感光体ドラム4と転写ローラ10とのニップ部方向に対して略垂直方向に搬送される。そして、感光体ドラム4と転写ローラ10とによって更に用紙Pが搬送された場合、用紙Pの先端部は感光体ドラムの表面に当接している分離部材60の当接部61(先端部62や、凸部63)と接触することない。したがって、更に、感光体ドラム4と転写ローラ10とによって用紙Pが搬送されたとしても、用紙Pの表面に形成された転写画像は汚されることがなく、媒体搬送方向下流側の次の現像部や、定着器28まで用紙Pを搬送させることができる。
次に、用紙Pの先端が感光体ドラム表面側にカールしている場合について、図8−2、図8−3、及び図8−4を用いて説明する。用紙Pが現像部40の感光体ドラム4と転写ローラ10との間のニップ部位置まで搬送されると、先端が感光体ドラム側にカールしている用紙Pは、感光体ドラム表面に沿って搬送される。
そして、感光体ドラム4と転写ローラ10とによって更に用紙Pが搬送された場合、図8−2に示すように、用紙Pの先端が感光体ドラム4の表面に当接している分離部材60の当接部61に接触する。ここで、当接部61は、感光体ドラム4の表面に当接しているため、カールした用紙Pの先端は、当接部61の先端部62によって感光体ドラム4の表面から分離される。なお、分離部材60は厚さ0.2mm程度のPETフィルム等の可撓性材質により形成されているため、用紙Pの先端が折れ曲がったり、引っ掛かったりすることがない。
その後、更に、感光体ドラム4と転写ローラ10とよって用紙Pが搬送されると、図8−3に示すように、用紙Pは、分離部材60の凸部63によって形成されている稜線部64に沿って搬送される。ここで、用紙Pの先端は感光体ドラム表面側にカールしているため、用紙Pが分離部材60の稜線部64と接触している箇所は用紙Pの先端のエッジ部分のみである。そして、分離部材60の稜線部64は媒体搬送方向に対して平行に形成されているため、用紙Pの先端のエッジ部分と稜線部64との接触は点接触のみとなる。
更に、用紙Pが搬送されると、図8−4に示すように、用紙Pの先端は、そのエッジ部分のみが分離部材60の稜線部67と点接触しながら搬送されるが、稜線部64と稜線部67とは媒体搬送方向に対して略平行で一直線上に形成されているため、用紙Pの先端のエッジ部分における接触幅も点接触のみとなり、用紙Pの表面に形成された転写画像は汚されることがなく、媒体搬送方向下流側の次の現像部や、定着器28まで用紙Pを搬送させることができる。
以上のように、第2の実施形態によれば、用紙の先端がカールしていない標準の用紙を搬送する場合は、用紙の表面が分離部材と接触しないため、用紙Pに形成された転写画像が汚されることがなく、また、用紙の先端がカールしている用紙を搬送する場合であっても、用紙の先端はエッジ部分のみが分離部材の連続する稜線部に点接触して搬送されるため、第1の実施形態と比べて、エッジ部分の接触跡が1点のみとなり、用紙の先端の用紙Pに形成された転写画像が汚されることがなく、良好な搬送を行うことができる。
本発明の実施形態の説明において、画像形成ユニット2K,2Y,2M,2Cの駆動にはそれぞれ独立したKモータ781,Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784を用いる形態について説明したが、これに限らず、1つのモータにより全ての画像形成ユニットを駆動させる形態としても構わない。また、本発明の実施形態の説明において、4つの画像形成ユニットを備えたプリンタについて説明したが、例えば、ブラック等の単色の画像形成ユニットを備えた画像形成装置に対しても本発明は適用可能である。
また、本発明の実施形態の説明において、画像形成装置の一例としてプリンタを用いて説明したが、これ以外にも、マルチファンクションプリンタ、ファックス、又は複写機等の電子写真方式により印字・印刷を行う画像形成装置であれば、何れにも本発明は適用可能である。