JP5973943B2 - ガラスパッドの製造方法及びガラスパッドの製造装置 - Google Patents
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このような純チタンやチタン合金を用いて上述した鍛造品を鍛造する際には、一般に金型を用いた熱間の据え込み鍛造方法が用いられる。据え込み鍛造方法は、予め製品形状を模して形成された金型内に加熱された原料を装入し、原料を高温状態に保持したまま金型に沿った形状に引き伸ばすように変形させながら鍛造するものである。据え込み鍛造方法を用いれば、鍛造中の変形において製品形状に沿ったメタルフローが得られるため他の加工方法に比べてより粘り強く、耐衝撃破壊性に優れた鍛造品を得ることができる。
ところで、近年は、より製品サイズが大きな鍛造品を純チタンやチタン合金で成形するニーズが増している。このような大サイズの鍛造品を鍛造しようとすると、従来より大きな金型を用いる必要があり、鍛造品が金型にこびりついたときに金型と鍛造品との間に作用する固着力も大きくなる。そのため、従来の鍛造方法のように、黒鉛や窒化ボロンなどの潤滑剤を金型に吹き付けるだけでは潤滑能力が不足する場合が多い。
特許文献1〜特許文献3のように押出加工で用いる場合であれば、ガラスパッドの形状は一般に単純な円盤状とされることが多く、径が小さい割には厚みも厚いので、それほど破損を考慮する必要はない。しかし、純チタンやチタン合金の据え込み鍛造の場合、金型の形状を考えるとどうしてもガラスパッドの形状は複雑な三次元形状となり、またパッドの径が大きくされると共に、パッドの厚みも薄くされているため、パッドを製造する場合などにパッド成型用の金型から成形後のパッドを取り外す際にはどうしてもガラスパッドを破損する可能性が高くなる。それゆえ、従来のガラスパッドの製造方法では、純チタンやチタン合金の据え込み鍛造に対応したガラスパッドを収率良く製造することができないという問題があった。
即ち、本発明のガラスパッドの製造方法は、ガラスを含む複数の原材料を混練した混練ガラス材を圧下することにより、据え込み鍛造での潤滑に用いられる固形で円形状のガラスパッドを成形するガラスパッドの製造方法において、前記混練ガラス材を、表面が離型促進剤で被覆された上型と下型とでプレスすることで、円形状で中央部が凹形とされ且つ中心部に孔が形成されたガラスパッドに成形するプレス加工工程と、前記プレス加工工程で成形されたガラスパッドから前記上型を離型させる上型離型工程と、前記上型離型工程で前記上型を離型されたガラスパッドから前記下型を離型させる下型離型工程と、を有し、前記下型を径方向に複数に分割可能に形成しておき、前記下型離型工程は、前記ガラスパッドの外周面を保持する保持具を用いて、当該ガラスパッドの形状を保持しつつ、前記下型を径外方向に2つ以上に分割するように移動させることで、前記ガラスパッドを下型から離型することを特徴とする。
好ましくは、前記材料混練工程の後工程には、前記プレス加工工程を行うために前記混練ガラス材を前記プレス装置の下型の成形面に沿うように整えつつ、押圧しながら塗布する塗布工程を有しているとよい。
好ましくは、前記上型離型工程の後工程には、前記ガラスパッドの表面を加熱することで当該ガラスパッドの表面を溶かしてガラス状に固める表面溶融固着工程を有しているとよい。
好ましくは、前記上型と下型の中央部には、垂直方向に貫通した空洞部が設けられ、円筒状の中央金型が挿入可能となっているとよい。
以下、本発明のガラスパッド1の製造方法及びガラスパッド1の製造装置2の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
まず、ガラスパッド1の製造方法及び製造装置2の説明に先立ち、本製造方法や製造装置2を用いて製造されたガラスパッド1を用いた据え込み鍛造装置3及び据え込み鍛造方法について説明する。
下部金型5は、荒地4を内部に収容可能な円筒状の型上部10と、この型上部10の下側に設けられて、荒地4を下方より支持する型下部11とを有している。型上部10の中央には、その内径が荒地4の外径より大きく形成された孔部12が上下方向に向かって貫通状に形成されており、この孔部12の内部に荒地4を上方から下方に向かって挿入可能となっている。また、この型上部10の下部には、型下部11が、この型上部10と一体となるように形成されている。また、型下部11の中央には上述した荒地4(孔部12の内径)よりも小径な縦穴状の貫通孔13が形成されており、この貫通孔13の内径よりも大きな寸法の荒地4の下方移動を規制できるようになっており、型下部11の上側に荒地4を載置できるようになっている。
上部金型6は、下部金型5の上方に位置しており、下部金型5に載置された荒地4に対して上方から近接離反とされており、上部金型6を下降させることで荒地4を上方から押しつぶすように圧下可能となっている。
次に、図1(a)〜図1(c)を用いて、上述した据え込み鍛造装置3を用いた鍛造方法(据え込み鍛造方法)を説明する。
その後、図1(b)に示すように、荒地4の圧下を行う。すなわち、据え込み鍛造のポンチ7が荒地4に接触するまで上部金型6を押し下げた後、さらに下方に向かって上部金型6を移動させると、上部金型6のポンチ7が孔部12内に収容されていた荒地4を下方に向かって押しつぶし、押しつぶされて変形した材料が広がって型上部10の内部を充填する。そして、型上部10(孔部12)の内部を充填しても余りのある材料が貫通孔13に流れ込む。その結果、荒地4を構成していた材料が、孔部12と貫通孔13との双方に広がって、径が大きな円柱体の下側に径が小さな円柱体を同軸状に重ね合わせたような形状(略ボルト形状)の鍛造品Wが成形される。
ところで、上述した据え込み鍛造方法は、材料を高温状態に保持したまま金型形状に沿って引き伸ばすように変形させながら鍛造するものであり、鍛造時には金型形状に沿ったメタルフローが得られるため他の鍛造方法に比べて粘り強く、耐衝撃性・耐破壊性に優れた鍛造品Wを得ることができる。
以下、図2を用いて、本発明の製造方法や製造装置2で製造されるガラスパッド1を詳しく説明する。
図2(a)〜図2(c)に示すように、ガラスパッド1は、混練ガラス材31をプレス加工で固形物に押し固めて成形したものであり、外周から中央に向かうにつれて下方に向かって凹状に凹むような略ラッパ状(略テーパコーン状)の外観を備えている。
ところで、上述したように本発明のガラスパッド1は、いずれもガラス粉末を水ガラスで結着しただけのものであり、角砂糖のような表面性状を備えた薄板であって、あまり強固なものではない。それゆえ、ガラスパッド1に外から力や衝撃を少し加えただけでも簡単にひびが入ったり割れたりして壊れてしまう。
すなわち、プレス加工工程は、混練ガラス材31を上型32と下型33とでプレスすることで、円形状で中央部が凹形とされ且つ中心部に孔(パッド孔30)が形成されたガラスパッド1に成形する工程である。また、上型離型工程は、このプレス加工工程で成形されたガラスパッド1から上型32を離型させる工程である。さらに、下型離型工程は、この上型32離型工程で上型32を離型されたガラスパッド1と下型33とを離型させる工程である。
図3に示すように、ガラスパッド1の製造装置2は、4つの割り金型を組み合わせた組み合わせ金型の内部に混練ガラス材31を装入し、組み合わせ金型内の材料に所定のプレス圧を加えることで装入された材料をガラスパッド1に成形するものである。この組み合わせ金型は、中央型35、下型33、上型32、コンテナ型36の4つの割り金型(子金型)から構成されており、円板状の設置台37の上に配置される。
下型33は、この中央型35の外周側に隣接して配設された金型(上述した割り金型の1つ)である。この下型33は上方から見た場合にドーナツ状になるような形状に形成されており、下型33の中央には型下部11と同径に開口径を有する円形の開口部38(空洞部)が設けられている。そして、この下型33の中央の開口部38に、上述した中央型35を挿し込むようにして組み合わせることができるようになっている。
さらに、図5に示すように、下型33は、周方向に4つに分割可能となっており、上方から見た場合に扇形となる孫型39を4つ組み合わせたような構造となっている。なお、図5では4つの孫型39に分割される4分割の下型33を例示したが、本発明の下型33は例えば2分割や3分割、あるいは5分割以上の孫型に分かれるものであっても良い。
上述した4つの割り金型は、設置台37の上に配備されており、この設置台37により下方から支持されている。また、この設置台37の中央には、中央型35の下端を挿し込んで固定する固定部41が凹状に形成されていて、金型を所定の位置に位置決めできるようになっている。なお、上型32の下面と、下型33の上面との双方には、混練ガラス材31の貼り付きを予防できるように、フッ素樹脂、シリコン樹脂、窒化ホウ素などの離型促進剤を吹き付けるなどして離型層を形成しておくのが好ましい。この離型層は、コータなどを用いた塗布、スプレー、ディッピングなどの手段で上型32または下型33の表面に形成することができる。
まず、本発明のガラスパッド1を製造する際には、上述したように混練機などを用いて予め混練ガラス材31が材料混練工程で混練される。そして、この材料混練工程で、混練された混練ガラス材31を、図3の[1]に示すような製造装置2の組み合わせ金型内に装入する。
そして、上述した材料混練工程に引き続く後工程では、後述するプレス加工工程を行うために混練ガラス材31をプレス装置の下型33の成形面に沿うように整えつつ、押圧しながら塗布する塗布工程が行われる。
上述したプレス加工工程に引き続く後工程では、ガラスパッド1に含まれる水分を強制的に蒸発させる乾燥工程が行われる。つまり、図3の[5]に示すように上型32または下型33の少なくとも何れか一方を50〜300℃に加熱することで、ガラスパッド1を高温にし、ガラスパッド1の成形品の上側に載せられた上型32を他の割り金型を残したまま上方に引き抜く。このようにすれば、加熱されたガラスパッド1から蒸発した水分が、上型32を取り除いた部分から放散され、ガラスパッド1に含まれる水分を強制的に蒸発させることができる。
すなわち、混練ガラス材31に用いられる水ガラスは吸水性が高い物質であり、高温にするだけでは乾燥が十分に促進されない。そして、乾燥が不十分なガラスパッド1は結着力が弱く、破損されやすくなる。そこで、乾燥工程により上型32を取り除いて、水分の蒸散を少しでも促進し、ガラスパッド1の強度を高くする。この乾燥工程による水分の蒸散がある程度行われたら、図4の[6]〜[10]に示す手順に従って、コンテナ型36、中央型35、下型33の順番でそれぞれの金型を離型させる。
次に、図4の[7]に示すように、上型32を成形品の上に載せたままで、コンテナ型36を上方に引き抜き、コンテナ型36を離型する。また、コンテナ型36が離型されたら、図4の[8]に示すように、上型32を成形品の上に載せたままで、中央型35を上方に引き抜き、中央型35を離型する。最後に、上型32を再度上方に引き抜き、上型32を離型する。このようにしてコンテナ型36、中央型35、上型32が離型されたら、図4の[9]に示すような状態(設置台37の上側に下型33が載置され、さらに下型33の上側にガラスパッド1の成形品が設けられた状態)が得られる。
それゆえ、この保持具43を用いて下型33を押さえたまま、周方向に4つに分割された孫型39をそれぞれ径外側に向かってそれぞれ異なる方向に向かって移動させれば、成形品に対して余計な力や衝撃を与えることなく、下型33を離型することができる。
なお、上述した図3の[5]に示す乾燥工程だけでは水分の蒸散が不十分な場合は、成形品の上方から赤外線を照射したり熱風を吹き付けたりして下型33を50〜100℃程度に加熱することにより、水分の蒸散を促進させても良い。また、図3の[5]の乾燥工程だけでなく、図4の[9]に示すように、上型32の離型が終了した段階で、水分を蒸散させる工程を上述した乾燥工程とは別に設けることもできる。さらに、図4の[8]に示すように、上型32が載せられた状態であっても、下型33を加熱することで成形品を強制乾燥させることもできる。このようにすれば、混練ガラス材31や成形品が雰囲気中から水分を吸湿することも抑制することが可能となり、吸湿によるガラスパッド1の強度低下も抑制できるようになる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 ガラスパッドの製造装置
3 据え込み鍛造装置
4 荒地
5 下部金型
6 上部金型
7 ポンチ
10 型上部
11 型下部
12 孔部
13 貫通孔
21 ノックアウト棒
30 パッド孔
31 混練ガラス材
32 上型
33 下型
34 保持具
35 中央型
36 コンテナ型
37 設置台
38 開口部
39 孫型
41 固定具
43 治具
44 吊下具
W 鍛造品
Claims (8)
- ガラスを含む複数の原材料を混練した混練ガラス材を圧下することにより、据え込み鍛造での潤滑に用いられる固形で円形状のガラスパッドを成形するガラスパッドの製造方法において、
前記混練ガラス材を、表面が離型促進剤で被覆された上型と下型とでプレスすることで、円形状で中央部が凹形とされ且つ中心部に孔が形成されたガラスパッドに成形するプレス加工工程と、
前記プレス加工工程で成形されたガラスパッドから前記上型を離型させる上型離型工程と、
前記上型離型工程で前記上型を離型されたガラスパッドから前記下型を離型させる下型離型工程と、を有し、
前記下型を径方向に複数に分割可能に形成しておき、前記下型離型工程は、前記ガラスパッドの外周面を保持する保持具を用いて、当該ガラスパッドの形状を保持しつつ、前記下型を径外方向に2つ以上に分割するように移動させることで、前記ガラスパッドを下型から離型することを特徴とするガラスパッドの製造方法。 - 前記プレス加工工程の前工程には、ガラス粉末と、ガラス粉末のバインダーとなる水ガラスと、ガラス粉末と水ガラスとの混合を促進する水分と、を加えて混練する材料混練工程を有していることを特徴とする請求項1に記載のガラスパッドの製造方法。
- 前記材料混練工程の後工程には、前記プレス加工工程を行うために前記混練ガラス材を前記プレス装置の下型の成形面に沿うように整えつつ、押圧しながら塗布する塗布工程を有していることを特徴とする請求項2に記載のガラスパッドの製造方法。
- 前記プレス加工工程の後工程には、ガラスパッドを高温にすることで当該ガラスパッドに含まれる水分を強制的に蒸発させる乾燥工程を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラスパッドの製造方法。
- 前記上型離型工程の後工程には、前記ガラスパッドの表面を加熱することで当該ガラスパッドの表面を溶かしてガラス状に固める表面溶融固着工程を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラスパッドの製造方法。
- ガラスを含む複数の原材料を混練した混練ガラス材を圧下することにより、据え込み鍛造での潤滑に用いられる固形で円形状のガラスパッドを成形するガラスパッドの製造装置であって、
前記混練ガラス材をプレス成形する上型及び下型と、径外側から上型と下型とを保持する金型外筒保持体と、ガラスパッドの形状を保持する保持具とを備え、
前記下型は、径外方向に2つ以上に分割された構造とされていることを特徴とするガラスパッドの製造装置。 - 前記保持具は、前記ガラスパッドを全周に亘って囲むような円形状であり、
当該保持具の内周径は、前記ガラスパッドの外周径と同径であることを特徴とする請求項6に記載のガラスパッドの製造装置。 - 前記上型と下型の中央部には、垂直方向に貫通した空洞部が設けられ、円筒状の中央金型が挿入可能となっていることを特徴とする請求項6または7に記載のガラスパッドの製造装置。
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JP2013060451A JP5973943B2 (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | ガラスパッドの製造方法及びガラスパッドの製造装置 |
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