JP5971651B2 - 緊張力計測装置 - Google Patents
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Description
その施工に際しては、地上側からジャッキ等によりテンドンに緊張力を負荷した後、定着させる。
テンドンの緊張力が増加する要因としては、例えば、地山の滑り、降雨、地震、或いは、過緊張等がある。
一方、テンドンの緊張力が減少する要因としては、例えば、定着後に長期間が経過してことによる老朽化等がある。
何れの場合においても、テンドンの緊張力が変動することは、何らかの異常を意味している。
そのため、テンドンの緊張力の変動から、テンドンの異常を検出したいという要請が存在している。
そして、グラウンドアンカーは一つの現場で多数の施工を行なうので、その全てを検査するためには、低コストで且つ簡便に計測する必要がある。
しかし、リフトオフ試験は、多大なコスト、時間を必要とする。そのため、低コストで且つ簡便に計測することは困難である。
そして、緊張力(軸力)の監視が必要なアンカーは膨大な数が存在するが、リフトオフ試験では、予定されたアンカーの維持管理予算の範囲内でしかアンカーの緊張力を監視することしか出来ない。
しかし、歪センサは耐久性が低く、長期間に亘って建造物や地盤を強固に支持するためのアンカーに要求される寿命に比較して、その寿命も短いという問題がある。
そして、歪センサを使用するためには歪センサの出力(計測データ)を取得して、電子的に処理するための装置(いわゆる「データーロガー」)が必要となるため、テンドン(50)の緊張力の計測システム全体が大規模となり、当該緊張力を簡易に求めることが困難である。
さらに、歪センサの使用に際しては、データの較正等において複雑な手順や特別なノウハウが必要になる場合が多い。その様な複雑な手順や特別なノウハウを必要とする場合には、テンドン(50)の緊張力を簡易に求めることが困難である。
したがって、リフトオフ試験の様に多大な労力やコストを必要とすることなく、定着されたグラウンドアンカーのテンドン緊張力を求めることが出来る。
そして、テンドン緊張力の変動を求めることにより、施工されたグラウンドアンカーにおける各種異常を判定することが出来る。
これに対して、本発明において、受圧板(1)と受圧構造体(10)の間に受圧板載置用板材(3)を設け、受圧板載置用板材(3)に受圧板(1)と線接触する支持部材(4)を載置して、受圧板(1)が支持部材(4)と線接触した状態で受圧板載置用板材(3)上に配置すれば、受圧板(1)は、支持部材(4)間の領域がテンドン緊張力により撓むことになる。したがって、支持部材(4)の間隔を大きくすれば(換言すれば、1対の支持部材4を受圧板載置用板材3の向かい合う縁部近傍に配置することにより)、受圧板(1)の撓み量を大きくして、撓み量からテンドン緊張力を容易且つ正確に求めることが出来る。
あるいは、受圧板(1)を仮設アンカーの架台(10A)上に配置すれば、架台(10A)における受圧板(1)を支持する部分の間隔を大きく設定することにより、受圧板(1)の撓み量を大きくして、撓み量からテンドン緊張力を容易且つ正確に求めることが出来る。
本発明において受圧板(1)と線接触する支持部材(4)を設ければ、リフトオフ試験でアンカー頭部を引っ張り、アンカー頭部を浮かせることにより数mmの隙間が生じれば、当該隙間に前記支持部材(4:例えば鋼棒)を配置して、リフトオフ試験終了後に、上方のプレートである受圧板(1)に前記変動量表示部材(2、2A)を設ければ、本発明によりテンドンの緊張力を計測することが出来る。すなわち、上述した構成を採用すれば、既に設置されているアンカーを、リフトオフ試験以降において、安価に監視することが出来る。
その結果、受圧板(1)の変形量あるいは撓み量からテンドン(50)の緊張力を求める際に、その精度を向上させることが出来る。
そして、歪センサを使用しないため、歪センサの計測データを取得、処理するための装置(いわゆる「データーロガー」)が不要となり、テンドン(50)の緊張力を簡易に求めることが可能である。
さらに、本発明によれば、歪センサの場合の様に較正等において複雑な手順や特別なノウハウを必要とせず、テンドン(50)の緊張力を簡易に求めることが出来る。
先ず、図1、図2を参照して、第1実施形態を説明する。
図1において、全体を符号101で示す緊張力計測装置は、受圧板1と、変動量表示部材2と、受圧板載置用板材3と、支持部材4と、計測装置(例えば、電子ノギス)7を備えている。
コンクリートパネル10は、地中に埋設した図示しないコンクリート製埋設物(アンカー体)と接続された緊張部材(テンドン)50を、地表側(例えば、法面)で受け止めるための構造体である。
受圧板載置用板材3は、図示の例では正方形の厚板で、板の中心には貫通孔3oが形成されている。一方、コンクリートパネル10の地上側端面10uの中心にも貫通孔10oが形成されている。そして、受圧板載置用板材3は、その貫通穴3oがコンクリートパネル10の貫通孔10oに同心となる(あるいは、一致する)ようにコンクリートパネル10上に載置されている。
ここで、支持部材4は例えば棒鋼を材料としており、受圧板1及び受圧板載置用板材3も高い鋼板を材料としている。受圧板1あるいは受圧板載置用板材が軟らかい材料で構成されていると、支持部材4がめり込んでしまい、支持部材4を設けたことによる作用効果が発揮できなくなるからである。
図示の例では、受圧板1の外縁形状は受圧板載置用板材3の外縁形状と同じで、中心には貫通孔1oが形成されている。
図示しないジャッキによってテンドン50に緊張力を与え、テンドン50の図示しない雄ねじに定着ナット5を螺合して、定着ナット5の座面を受圧板1の上面に当接させることにより、テンドン50は緊張力が作用した状態で定着される。これにより、グラウンドアンカーは所定の性能を発揮する。
変動量表示部材2は全体が概略L字状に構成されており、L字の短辺に相当する部分21と、L字の長辺に相当する部分22とを有している。L字の短辺に相当する部分21の端部21eは、溶接等の公知技術によって受圧板1の周縁部に固定されている。一方、L字状の長辺に相当する部分22は、地山表面と平行な方向(あるいは、テンドン50に緊張力が負荷する以前の状態の受圧板1と平行な方向)に延在している。
変動量表示部材2におけるL字の長辺に相当する部分22の端部22eと、受圧板1の端部1eとの間隔(δ)は、テンドン50の緊張力による受圧板1の変形量に比例して増減する。したがって、計測部材(例えば、電子ノギス)7により、変動量表示部材2の端部22eと受圧板1の端部1eとの間隔(δ)を計測することにより、受圧板1の変形量が把握され、テンドン50の緊張力を求めることが出来る。
図2において、受圧板1にはテンドン50の緊張力増加による下向きに作用する力が大きくなる。そのため、受圧板1は、図1の状態に比較して、下に凸の形状に、より曲げられる(撓む)ことになる。
受圧板1がより撓むことにより、その左端上面は(図1の状態に比較して)より左上がりの勾配が生じる。そして、受圧板1の左端上面に固着された変動量表示部材2は、図1の状態に比較して、全体が時計方向(図2において矢印CWで示す方向)に回動(変動)する。その結果、変動量表示部材2の(L字の長辺に相当する)部分22の端部22eと、受圧板1の端部1eとの隙間δの値は、図1の状態における隙間δの値に比較して、小さくなる。
そのため、変動量表示部材2の(L字の長辺に相当する)部分22の端部22eと、受圧板1の端部1eとの隙間δの値は、図1の状態における隙間δの値に比較して、大きくなる。
ここで、テンドン50の緊張力が増加すると、変動量表示部材2の端部22eは下向きに変位し、受圧板1の端部1eは上向きに変位する。そして、テンドン50の緊張力が減少すると、変動量表示部材2の端部22eは上向きに変位し、受圧板1の端部1eは下向きに変位する。すなわち、変動量表示部材2の(L字の長辺に相当する)部分22の端部22eと、受圧板1の端部1eとの隙間δの値を計測することは、動く場所(例えば22e)が変位した際に、それとは反対側に動く部分(1e:22eが上方に動くときは1eは下方に動き、22eが下方に動くときは1eは上方へ動く)の間の相対変化を計測することになり、変位を大きくとらえることが出来る。
したがって、リフトオフ試験の様に多大な労力やコストを必要とすることなく、定着されたグラウンドアンカーにおいて、テンドン50に作用している緊張力を求めることが出来る。そして、テンドン50に作用している緊張力を求めることにより、施工されたグラウンドアンカーにおける各種の異常を判定することが出来る。
隙間δの計測に際しては、電子ノギスのみならず、通常のノギスその他の計測装置で計測することが可能である。
受圧板1全体が下に凸に撓むと、前記反対側の周縁部も上方に変動する(撓む)。上述した様に、例えば図2で示す場合では、変動量表示部材2は全体が時計方向(矢印CW)に回動すると端部22eは下降し、その下降量は、変動量表示部材2の短辺に相当する部分21の端部21eを固定した受圧板1の周縁部が上方に変動する量(撓み量)に等しい。
従って、前記隙間δにおける変動量(図2の場合には減少量)は、受圧板1周縁部の撓み量の変動量の2倍に拡大されることになる。そのため、第1実施形態によれば、テンドン50の緊張力の変動による前記隙間δの変動量が、正確且つ容易に計測される。
これに対して、図示の第1実施形態では、受圧板1とコンクリートパネル10の間に受圧板載置用板材3を設け、受圧板載置用板材3に受圧板1と線接触する支持部材4を固着させているため、受圧板1における1対の支持部材4間の領域が、受圧板載置用板材3と接触することなく、テンドン50の緊張力により撓む。
したがって、1対の支持部材4の間隔を大きくして(例えば、1対の支持部材4を、受圧板載置用板材3の向かい合う縁部直近に配置する)、受圧板1がテンドン50の緊張力により撓む領域を大きくすれば、受圧板1の撓み量が大きくなり、テンドン50の緊張力を容易且つ正確に求めることが可能である。
そして、受圧板1とコンクリートパネル10の間に受圧板載置用板材3を設けることにより、テンドン50の緊張力を求める精度を向上させることが可能になる。
これに対して、図1、図2の第1実施形態では歪センサ等のセンサは設けておらず、テンドン50の緊張力を求めるに際して、寿命の短い部材の使用を必要としていない。従って、長期間に亘ってテンドン50の緊張力を求めることが出来る。
そして、図1、図2の第1実施形態では、ノギス7の計測データを取得、処理するためには、必ずしも、データーロガーは必要ではなく、簡便な装置によりテンドン50の緊張力を求めることが出来る。
また、ノギス7による隙間δの計測に際しては、較正その他の複雑な手順や特別なノウハウを必要としないので、テンドン50の緊張力を簡易に求めることが出来る。
緊張力計測装置101を構成する部材、例えば受圧板1が塑性変形を起こしてしまうと、受圧板1の撓み量からテンドン50の緊張力を正確に求めることが困難になってしまうからである。
そのため、変動量表示部材2が、アンカー頭部を構成する部材や図示しないジャッキ(テンドン50に緊張力を付与するジャッキ)等と干渉せず、アンカー定着作業に際して、変動量表示部材2が邪魔になることもない。
第1実施形態に係る緊張力計測装置101と同様な構造を具備する実験装置を用いて、実験例1を行った。
実験例1においては、予備実験として、図3で示す実験装置を用いた実験を行った。
図3で示す実験装置では、受圧構造体であるコンクリートパネル10Bにテンドン挿通孔10Boを形成し、コンクリートパネル10Bにおける上面10Buに受圧板1Aを直接載置しており、受圧板1Aには全体が概略L字状の変動量表示部材2Aを立設して固定している。なお、図3の実験装置の変動量表示部材2Aは、図1、図2における変動量表示部材2とは異なっているが、受圧板の変動量を拡大して表示する点では同様の作用効果を奏する。
図3の実験装置を用いた予備実験では、概略L字状の変動量表示部材2AにおけるL字の短辺に相当する部分の端部の間隔(第1実施形態における間隔δに相当)を、電子ノギスで測定した。
測定に用いた電子ノギスの仕様は以下の通りである。
測定範囲:0.01〜150mm
最小読取値:0.01mm
精度: ±0.02mm(0.01〜100mm)あるいは±0.03mm(100〜150mm)
使用温度:5〜40℃
軸力(緊張力)は、無負荷状態のテンドンに50kNずつ軸力を増加(載荷)させ、800kNに達した時点で、50kNずつ軸力を減少(徐荷)させ、最終的にはテンドンを無負荷状態にする。
また、予備実験においては、変動量表示部材2Aの長辺21aにおける受圧板1Aからの高さ寸法H(図3参照)を2種類(H=200mm、H=300mm)設定した。
図4の実験結果によれば、図3に示すような実験装置では、1対の変動量表示部材2A間の隙間δの値は、載荷時と徐荷時とでは明らかに異なっており、テンドンを無負荷状態とした場合の隙間δの値も、載荷前と徐荷後で異なっている(いわゆる「ヒステリシス」が生じている)。
このことは、図3の実験装置と同様に、受圧板がコンクリートパネル上に直接載置されている一般的なアンカー頭部構造では、受圧板1Aの変位を計測して、テンドン50に作用する緊張力を正確に求めることは困難であることを示している。
また、一対の支持部材4の間隔が及ぼす影響を確認するために、支持部材4の配置間隔を150mmに設定した受圧板載置用板材3と、230mmに設定した受圧板載置用板材3を用意した。
支持部材4の配置間隔が150mmに設定した場合、無負荷状態(0kN)から、50kNずつ緊張力を増加して(測定ピッチ50kN)、最大で800kNの緊張力を負荷してから、50kNずつ緊張力を減少して無負荷状態(0kN)に戻した(載荷サイクル「0kN−800kN−0kN」)。
一方、支持部材4の配置間隔が230mmに設定した場合には、無負荷状態(0kN)から、50kNずつ緊張力を増加して(測定ピッチ50kN)、最大で600kNの緊張力を負荷してから、50kNずつ緊張力を減少して無負荷状態(0kN)に戻した(載荷サイクル「0kN−600kN−0kN」)。
また、電子ノギス7での測定とは別に、図示しない2台の変位計を用いて、受圧板1の定着ナット5近傍箇所(変位計1により計測)と、支持部材4近傍箇所(変位計2により計測)における変位も測定した。
図5、図6は表1の「実験No.1−1」における実験条件に対する結果であり、図5が電子ノギスによる測定結果、図6が変位計による測定結果を示している。
図7、図8は表1の「実験No.1−2」における実験条件に対する結果であり、図7が電子ノギスによる測定結果、図8が変位計による測定結果を示している。
図9、図10は表1の「実験No.1−3」における実験条件に対する結果であり、図9が電子ノギスによる測定結果、図10が変位計による測定結果を示している。
図11、図12は表1の「実験No.1−4」における実験条件に対する結果であり、図11が電子ノギスによる測定結果、図12が変位計による測定結果を示している。
また、電子ノギス7で計測した間隔δの計測値について、計測者が異なることによる影響は非常に小さかった。
さらに、受圧板1の材質や、1対の支持部材4間の配置間隔が及ぼす影響は、測定箇所にかかわらず同様の傾向を示した。
これ等の結果より、実験例1の条件では、S45Cが受圧板1の素材として好適であることが分かる。
支持部材4の間隔が大きいほど間隔δの変位量は大きくなるので、間隔δを正確に計測するためには、支持部材4の間隔を大きくすることが好適である。
なお、変動量表示部材2の取付け位置を調整することで、より大きな撓み(変動量)を計測することができることが判明した。
実際に施工された地中アンカーでは、テンドン50に緊張力を付与した後に、構造物や周辺地盤の影響を受け、当該緊張力が多様に推移することが想定され、繰り返し荷重が負荷されることが予想される。
実験例2では、図1、図2で示す様な緊張力計測装置101を用いて、繰り返し載荷が受圧板1の撓みにどのような影響を及ぼすかを検証した。
図13、図14に基づいて、実験例2を説明する。
実験例2における実験条件を、下表2に示す。
表2
そして、1対の支持部材4の間隔は150mmとした。
載荷サイクルは、無負荷状態(0kN)から、250kNずつ緊張力を増加して(測定ピッチ250kN)、最大で750kNの緊張力を負荷してから、250kNずつ緊張力を減少して無負荷状態(0kN)に戻した(載荷サイクル「0kN−750kN−0kN」)。繰り返しを載荷回数は4回である。
図13は表2の「実験No.2−1」に対応しており、図14は「実験No.2−2」に対応している。
図13、図14から明らかなように、繰り返し載荷が作用しても、大きな影響はないものと考えられる。そして、実際のアンカーに想定されるテンドン緊張力の推移が、テンドンの緊張力と受圧板の撓み量の関係に及ぼす影響は、測定誤差に比べて小さいものであることが確認された。
なお、図13では除荷後に僅かな残留変形量が確認されているので、実験例2においても、受圧板1は、SS400よりもS45Cが適していることが確認された。
図1、図2の第1実施形態では、受圧構造体であるコンクリートパネル10の上端10uには受圧板載置用板材3が載置されており、受圧板載置用板材3には支持部材4が固着している。
これに対して、図15の変形例に係る緊張力計測装置103には、受圧板載置用板材3に相当する部材は設けられておらず、支持部材4も存在しない。
図15において、緊張力計測装置103の受圧板1は、受圧構造体である架台(鋼材でできた枠体:例えば、仮設アンカーにおける架台)10Aの端部10Aeに支持されている。そして、架台10Aの上端10Aeは、地上側に突出しており、受圧板1は、1対の端部10Aeを架橋する様に配置されている。
受圧板1が撓むと、変動量表示部材2の先端部22eと受圧板1との間隔δが変動する。従って、間隔δを計測することにより受圧板1の撓み量が求まり、テンドン50に作用する緊張力が求まる。
また、受圧板1は、1対の架台10Aによって支持されるので、受圧板1に対して、図3における受圧板1とコンクリートパネル10Bとの板間摩擦力が作用することはない。その結果、図15の緊張力計測装置103では受圧板1に作用する摩擦抵抗は比較的小さいので、テンドン50の緊張力を正確に求めることが可能である。
図15の変形例におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図14で説明した第1実施形態と同様である。
図16において、全体を符号112で示す緊張力測定装置112は、図1、図2の第1実施形態の緊張力測定装置101に比較して、変動量表示部材2Aが異なっている。
以下、第1実施形態に係る緊張力測定装置101と異なる点を、主として説明する。
図16では変動量表示部材2Aは1対のみ設けられているが、複数対設けても良い。変動量表示部材2Aを複数対設ける場合には、テンドン挿入用貫通孔1Ao(と同心の仮想円)の円周方向について、等間隔に配置することが好ましい。
変動量表示部材2AにおけるL字状の長辺に相当する部分21aの端部21aeは、受圧板1Aの周縁部に、溶接等の公知技術によって固定されている。
変動量表示部材2AにおけるL字状の短辺に相当する部分22aは地山と平行に(テンドン50に緊張力が負荷する以前の受圧板1Aと平行に)延在している。
テンドン50の緊張力計測に際しては、電子ノギス7(通常のノギスでも可)によって、対向する1対の変動量表示部材2Aにおける(L字の短辺に相当する部分22aの)端部22ae間の距離δを計測する。
距離δを計測することにより、受圧板1Aの変動量が求まり、テンドン50の緊張力も求まる。
図16で示した第2実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、図1〜図14の第1実施形態と同様である。
載荷サイクルも2通り設定されており、一方の載荷サイクルでは、無負荷状態(0kN)から、50kNずつ緊張力を増加して(測定ピッチ50kN)、最大で750kNの緊張力を負荷してから、50kNずつ緊張力を減少して無負荷状態(0kN)に戻した(載荷サイクル「0kN−750kN−0kN」)。
他方の載荷サイクルでは、600kNから、30kNずつ緊張力を増加して(測定ピッチ30kN)、750kNの緊張力を負荷してから、30kNずつ緊張力を減少して450kNの緊張力を負荷した後、再度、30kNずつ緊張力を増加して、600kNに戻した(載荷サイクル「600kN−750kN−450kN−600kN)」)。
図17は表3における「実験No.3−1」の結果を示し、図18は「実験No.3−2」の結果を示し、図19は「実験No.3−3」の結果を示し、図20は「実験No.3−4」の結果を示している。
図17〜図20で明らかなように、全ての変数において、載荷時と徐荷時で顕著なヒステリシスが生じることなく、変動量表示部材2Aの軸力の増減に伴った変動量が確認できた。支持部材4を設けることにより、受圧板1Aと受圧板載置用板材3の板間摩擦が存在しなくなり、摩擦抵抗の影響が小さくなったことに起因するものと考えられる。
図示はされていないが、実験例3において、受圧板1Aの受圧板載置用板材3に設けた支持部材4との接触部分に僅かな変形が見られた。しかし、図17〜図20では、テンドン50の緊張力と隙間δの変動量の関係が概ね線形となったので、受圧板1A全体としては弾性範囲内に留まっていると考えられる。
電子ノギス7の最小読取値と精度とを考慮すると、実験例3によれば、10kNほどの誤差を含みつつも、テンドン50に作用する緊張力の測定は可能であると考えられる。
実験No.3−3(図19)及び実験No.3−4(図20)は、初期軸力600kNのアンカーについて、軸力が5%ずつ変動する状況を想定しており、施工現場における実際の維持管理で要求される程度のアンカー緊張力の変動についても測定可能であることが確認された。
なお、実験例3においては2名の測定者により測定を行ったが、測定車の相違による顕著な差異は存在しなかった。
2・・・変動量表示部材
3・・・受圧板載置用板材
4・・・支持部材
5・・・定着ナット
10・・・受圧構造体
50・・・テンドン
101、103、112・・・緊張力計測装置
Claims (3)
- 地中に埋没したコンクリート製埋設物と接続されたテンドン(50)に作用する緊張力を計測するための緊張力計測装置において、前記テンドン(50)を地上側で受け止める受圧構造体(10)の地表側端面(10u)上に受圧板載置用板材(3)を設け、該受圧板載置用板材(3)の上面にテンドン(50)の貫通孔(3o)を挟んで対称的な位置に相互に平行となるように配置された1対の支持部材(4)が固定されており、前記1対の支持部材(4)と線接触する受圧板(1)が設けられ、該受圧板(1)の貫通孔(1o)を貫通しているテンドン(50)の地上側端部が定着ナット(5)で受圧板(1)の上面に当接しており、前記受圧板(1)の周縁部近傍にテンドン(50)の緊張力による該受圧板(1)の変動量を示す長尺の変動量表示部材(2)を配置し、該変動量表示部材(2)は全体がL字状に形成されており、該L字状の短辺に相当する部分(21)が前記受圧板(1)の周縁部に固定され、該L字状の長辺に相当する部分(22)は地山表面と平行な方向に延在しており、該長辺に相当する部分(22)の端部(22e)は受圧板(1)から隙間(δ)だけ離隔しており、そして前記隙間(δ)を計測するための計測装置(7)を有していることを特徴とする緊張力計測装置。
- 地中に埋没したコンクリート製埋設物に接続されたテンドン(50)に作用する緊張力を計測するための緊張力計測装置において、前記テンドン(50)を地上側で受け止める受圧構造体である1対の架台(10A)の地表側の上端(10Ae)に受圧板(1)が支持されており、該受圧板(1)の貫通孔(1o)を貫通しているテンドン(50)の地上側端部が定着ナット(5)で受圧板(1)の上面に当接され、該受圧板(1)はテンドン(50)に緊張力が作用すると下側に湾曲するようになっており、前記受圧板(1)の周縁部近傍にテンドン(50)の緊張力による該受圧板(1)の変動量を示す長尺の変動量表示部材(2)を配置し、該変動量表示部材(2)は全体がL字状に形成されており、該L字状の短辺に相当する部分(21)が前記受圧板(1)の周縁部に固定され、該L字状の長辺に相当する部分(22)は地山表面と平行な方向に延在しており、該長辺に相当する部分(22)の端部(22e)は受圧板(1)から隙間(δ)だけ離隔しており、そして前記隙間(δ)を計測するための計測装置(7)を有していることを特徴とする緊張力計測装置。
- 地中に埋設したコンクリート製埋設物と接続したテンドン(50)に作用する緊張力を計測するための緊張力計測装置において、前記テンドン(50)を地上側で受け止める受圧構造体(10)の地表側端面(10u)上に受圧板載置用板材(3)を設け、該受圧板載置用板材(3)の上面にテンドン(50)の貫通孔(3o)を挟んで対称的な位置に相互に平行となるように配置された1対の支持部材(4)が固定されており、前記1対の支持部材(4)と線接触する受圧板(1A)が設けられ、該受圧板(1A)の貫通孔(1Ao)を貫通しているテンドン(50)の地上側端部が定着ナット(5)で受圧板(1)の上面に当接しており、前記受圧板(1A)の上面にテンドン(50)の緊張力による該受圧板(1A)の変動量を示す変動量表示部材(2A)を配置し、該変動量表示部材(2A)は全体が長辺に相当する部分(21a)と短辺に相当する部分(22a)とを有するL字状に形成されており、前記長辺に相当する部分(21a)の端部(21ae)は受圧板(1A)の周縁部に固定され、前記短辺に相当する部分(22a)は地山に平行に延在しており、対向する1対の変動量表示部材(2A)の前記短辺に相当する部分(22a)は距離(δ)だけ隔てられており、そして前記距離(δ)を計測するための計測装置(7)を有していることを特徴とする緊張力計測装置。
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